説明

画像形成装置

【課題】複合機などの画像形成装置において、印刷処理、電子文書化処理、電子メール送信処理、FAX送信処理などの複数の処理を行う場合に、画像読み込み操作を1度で済ませ、処理時間を短縮する。
【解決手段】USBメモリや画像形成装置本体などに複数の画像出力処理を行う設定情報を保存し、原稿読取後にその保存情報に従って一連の画像出力処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一度の原稿読取動作において複数の画像出力処理動作を実行可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置においてスキャナのような画像読み取り部で読み取った画像データを印刷したり、USBフラッシュメモリのような記憶媒体に所定の形式のデータ(例えばPDF(Portable Document Format))を保存したり、電子メールのような情報送信部で電子メールアドレスにPDFを添付して送信することが実現されている。
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、画像を読み取った後の処理を2つ以上同時に行いたい場合、ユーザにとって操作のステップ数が多くなるだけでなく、非常に煩雑となる問題がある。また、各種設定を毎回設定しなおす必要があることもユーザに煩わしさを感じさせる原因となる。
【0004】
従来技術として、複数の印刷条件を記録したファイルをメモリカードに記憶させておき、所望の印刷条件をメモリカードから読み出して容易に印刷条件を設定することが可能なプリンタがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、FAX受信の際に、紙原稿とPDFファイルを並行して生成し、送信の際には前記PDFファイルを送信原稿として利用可能なFAX装置がある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、印刷条件の設定を行うだけで画像形成装置における複数の画像出力機能を一度の画像読込により行うことは出来ない。
【0007】
また、特許文献2の方法では、FAX受信時の紙出力とPDFファイルの同時生成にのみ対応しているだけで、複合機などの画像形成装置における原稿の読取後に複数の画像出力機能を処理させることには対応していない。
【0008】
【特許文献1】特開2003−175657号公報
【特許文献2】特開2004−88708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、複合機などの画像形成装置において、一度の原稿読み取りの後に、印刷処理、電子文書化処理、電子メール送信処理、FAX送信処理などの複数の処理を実行させることができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
原稿を読み取る原稿読み込み手段と画像出力処理に関する設定情報を保存する設定情報保存手段と読み取った原稿を画像出力処理する複数の画像出力手段とを有する画像形成装置において、前記設定情報保存手段は、原稿を読み取った後に画像出力手段による複数の出力処理を選択的に行うことを可能にする画像出力処理に関する設定情報を備え、前記画像出力手段は、前記原稿読み込み手段による原稿読み込みの後、前記設定情報保存手段の設定情報により画像出力処理を行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
原稿を読み取る原稿読み込み手段と画像出力処理に関する設定情報を保存する設定情報保存手段と読み取った原稿を画像出力処理する複数の画像出力手段とを有する画像形成装置において、前記設定情報保存手段は、原稿を読み取った後に画像出力手段による複数の出力処理を選択的に行うことを可能にする画像出力処理に関する設定情報を備え、前記画像出力手段は、前記原稿読み込み手段による原稿読み込みの後、前記設定情報保存手段の設定情報により画像出力処理を行うことを最も主要な特徴とするため、画像読み込み後に複数の処理を行う場合、画像読み込み操作を1度で済ませることができ、処理時間を大幅に短縮することが可能となった。また、毎回特定の利用方法に特化した使い方をする場合には、設定情報を保存しておくことで操作パネルなどからの毎回の画像出力処理の設定を更新する必要がなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
複合機などの画像形成装置において、一度の原稿読み取りの後に、印刷処理、電子文書化処理、電子メール送信処理、FAX送信処理などの複数の処理を実行させることができなかったという問題点をUSBメモリなどに設定情報を保存し、原稿読取後にその保存情報に従って一連の画像出力処理を行うことにより実現した。
【実施例1】
【0013】
[構成]
図1は、本発明の実施例に係わる画像形成装置のブロック構成図である。
【0014】
画像形成装置101は、操作パネル111、スキャナ113、コントローラ115、画像データ変換部117、エンジン119(印刷エンジン)、USBホストI/F121、ネットワークI/F123、モデム125からなる。
【0015】
操作パネル111は、ユーザが画像形成装置の操作を入力したり、またユーザに画像形成装置の状態を表示したりする。ユーザは操作パネル111を用いて、画像形成装置101の原稿読取後の複数の処理を設定することが可能である。
【0016】
スキャナ113は、原稿読み込み手段であり、スキャナ台上におかれた原稿を読み取る。
【0017】
コントローラ115は、CPU(Central Processing Unit)と半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶装置と周辺機器制御回路からなり、画像形成装置101の各機能部の制御を行う。
【0018】
画像データ変換部117は、スキャナ113で読み取った原稿をPDF(Portable Document Format)に変換したり、印刷エンジン119で印刷するためにビットマップデータに変換したりする。
【0019】
エンジン(印刷エンジン)119は、印刷のための機構部であり、画像データ変換部117で変換されたビットマップデータを印刷する。
【0020】
USBホストI/F121は、USBデバイスとのインターフェースであり、例えば、USBメモリ151と接続して、USBメモリに複数の画像処理の設定情報を保存したり、USBメモリ151に保存されている複数の画像処理の設定情報を読込んだりする。
【0021】
この設定情報には、印刷の有無、USBメモリへの印刷の有無、電子メール送信の有無、印刷枚数、USBメモリ内の保存場所、送信手段、電子メールアドレス、ファクシミリ番号、保存データの種類などが対象となる。
【0022】
これとは別にUSBメモリ内のPDFファイル出力設定情報を保存可能でもよい。この設定情報は自動読み込みや手動読み込み、保存データ一括印刷設定などを対象とする。
【0023】
また、USBメモリ151中に読込んだ原稿を電子文書化してPDF(Portable Document Format)ファイルにしたものを保存することが可能となっている。
【0024】
ネットワークI/F123は、ネットワークとの間で通信を行うためのインターフェースであり、ホストPC201とネットワークを通して接続し、ホストPC201からの印刷データの受信を行ったりする。
【0025】
モデム125は、FAX送受信を行うための装置であり、公衆交換電話網と接続して、FAXの送受信を行う。
【0026】
[フローチャート]
図2のフローチャートを用いて動作の流れについて説明する。
【0027】
図2(A)は、画像形成装置101を用いてUSBメモリに複数の画像出力処理の設定情報を保存する過程のフローチャートである。
【0028】
S11で、画像形成装置101の操作パネル111を用いて、ユーザは原稿読み込み後にどの画像出力処理を行うかを指定する。例えば、原稿読み込み後にエンジン119を用いて原稿の複写を行い、原稿を電子文書化してUSBメモリ151に保存し、電子メールとして指定アドレスに送信し、指定の送信先にFAX送信を行うなどの一連の画像出力処理を設定することができる。
【0029】
S13で、前記S11で入力された複数の画像出力処理をUSBメモリ151に書き込んで保存する。
【0030】
以上で複数の画像出力処理の設定の動作を終了する。
【0031】
次に図2(B)のフローチャートを用いて、画像形成装置の原稿読み込み動作から複数の画像出力処理の一連の動作を説明する。
【0032】
S21で、ユーザが操作パネル111からスキャン開始の操作を実行する。
【0033】
S23で、操作パネル111からのスキャン開始動作の通知をコントローラ115に行う。
【0034】
S25で、コントローラ115は、USBホストI/F121を通して、上記のS13で書き込まれた複数の画像出力処理の設定情報をUSBメモリ151から読込む。
【0035】
S27で、コントローラ115は、前記設定情報の読込が終了すると操作パネルにスキャン準備OKの表示を行う。
【0036】
S29で、スキャナ113より原稿の読み込みを行う。
【0037】
S31で、スキャナ113から画像データ変換部117にスキャンされた原稿のデータを受け渡す。
【0038】
S33で、スキャナで読込まれたデータを描画データに変換する。
【0039】
S35で、画像出力処理の設定情報に従って画像データを各機能部に受け渡す。
【0040】
S37で、画像出力処理の設定情報に画像印刷実行が含まれているかどうかを判断する。含まれている場合は、動作をS39に移行し、エンジン119で原稿データを印刷する。含まれていない場合は、画像印刷を行わないで動作をS41に移行する。
【0041】
S41で、画像出力処理の設定情報に電子文書化の実行が含まれているかどうかを判断する。含まれている場合は、動作をS43に移行し画像データ変換部117で原稿データをPDF(Portable Document Format)に変換する。変換されたPDFファイルは、画像形成装置101本体内の記憶装置かまたは、USBメモリ151に保存する。電子文書化の実行が含まれていない場合は、電子文書化を行わず動作をS45に移行する。
【0042】
S45で、画像出力処理の設定情報に電子メール送信の実行が含まれているかどうかを判断する。含まれている場合は、動作をS47に移行しコントローラ115がネットワークI/F123を通して電子メールを送信する。含まれていない場合は、電子メール送信を行わず動作をS49に移行する。
【0043】
S49で、画像出力処理の設定情報にFAX送信の実行が含まれているかどうかを判断する。含まれている場合は、動作をS51に移行しコントローラ115がモデム125を通してFAXを送信する。含まれていない場合は、FAX送信を行わず動作を終了する。
【0044】
以上により一連の複数の画像出力処理を終了する。
【0045】
[実施例の効果]
以上の方法によって、画像読み込み後に複数の処理を行う場合にも画像読み込み動作を一度で済ませることができ、処理時間を大幅に短縮することが可能となった。
【0046】
また、特定の利用方法に特化した使い方をする場合(例えば複数の特定相手先にFAX送信すると共に特定枚数の複写を行う)は、USBメモリに設定情報を保存しておくことで、毎回操作パネルで設定を更新する必要が無くなった。
【0047】
[その他]
本実施例では、画像形成装置に接続した可搬性メモリであるUSBメモリに画像出力処理の設定情報を保存したが、可搬性メモリはUSBメモリ以外のリムーバブルディスクなどでも良い。また、画像形成装置本体内の記憶装置に保存しても良い。
【0048】
または上記の本体接続されたUSBメモリなどの可搬性メモリと画像形成装置本体内の両方に保持して、どちらかを優先して選択させても良いし、どちらかを指定して選択させても良い。
【0049】
本実施例では、電子文書化の方法としてPDFファイル形式で保存する方法をとったが他の形式(例えばTIFF(Tagged Image File Format)など)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】画像形成装置の機能ブロック図である(実施例1)。
【図2】画像形成装置の動作のフローチャートである(実施例1)。
【符号の説明】
【0051】
101 画像形成装置
113 スキャナ(原稿読み込み手段)
115 コントローラ(画像出力手段、電子メール送信手段、FAX送信手段)
117 画像データ変換部(画像出力手段、電子文書化手段)
119 エンジン(画像出力手段、印刷手段)
151 USBメモリ(設定情報保存手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る原稿読み込み手段と
画像出力処理に関する設定情報を保存する設定情報保存手段と
読み取った原稿を画像出力処理する複数の画像出力手段と
を有する画像形成装置において、
前記設定情報保存手段は、原稿を読み取った後に画像出力手段による複数の出力処理を選択的に行うことを可能にする画像出力処理に関する設定情報を備え、
前記画像出力手段は、前記原稿読み込み手段による原稿読み込みの後、前記設定情報保存手段の設定情報により画像出力処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記複数の画像出力手段が、印刷手段、電子文書化手段、電子メール送信手段、FAX送信手段を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置であって、
前記設定情報保存手段は、前記画像出力処理に関する設定情報を前記画像形成装置本体内の記憶装置かまたは、前記画像形成装置に接続された可搬性メモリに保存する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置であって、
前記可搬性メモリがUSBメモリである
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−22107(P2008−22107A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190005(P2006−190005)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】