説明

画像形成装置

【課題】シート挿入口から挿入された用紙におけるレジスト装置のニップによる変形に伴う搬送不良を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙18が挿入されるシート挿入口と、画像形成部で形成されたトナー像を画像転写領域で用紙18に転写する転写ロールと、シート挿入口から挿入された用紙18をニップして画像転写領域へ搬送するレジスト装置27と、レジスト装置27と画像転写領域との間に設けられ、用紙18を画像転写領域へと案内する案内通路44と、用紙18の搬送方向先端が案内通路44に到達した位置で用紙18を待機させた後に、これを所定のタイミングで画像転写領域へ搬送する動作をレジスト装置27に実行させる制御手段とを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用したプリンタや複写機等の画像形成装置では、像保持体としての感光体ドラムの表面全体を所定の電位に帯電した後、画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナー(可視剤)を供給して顕像化することによりトナー像として、当該トナー像を画像転写領域で感光体ドラムから直接用紙(シート)上に転写した後、定着装置によって定着するか、中間転写体を介して画像転写領域で用紙上に転写した後、定着装置によって定着することで、画像を形成するように構成されている。
【0003】
このような構成の画像形成装置では、ローラ対からなる給紙手段であるレジスト装置が設けられている。そして、感光体ドラムまたは中間転写体上に形成されて画像転写領域に送られてくるトナー像のタイミングに合わせて、当該レジスト装置により用紙を画像転写領域へと搬送することにより、転写ロールでトナー像を用紙に転写している。
【0004】
ここで、シート挿入口から1枚の用紙を給紙する場合には、回転するレジスト装置に用紙が挟持(ニップ)され、センサが用紙の搬送方向先端を検知すると、所定時間経過後にレジスト装置が停止される。このときの用紙先端のニップ部からの突出長は、一般的には5mm程度である。その後、印刷指示に従ってレジスト装置が再度回転され、用紙が画像転写領域へと搬送される。
【0005】
レジスト装置を構成するローラ対は、図5に示すように、相互に圧接配置された金属製のレジストローラR1とゴム製のピンチローラR2とで構成され、ピンチローラR2がレジストローラR1に食い込むことで所定のニップ長NLを確保している。
【0006】
このようなレジスト装置において、上述したシート挿入口から用紙Pが給紙されると、用紙Pの搬送方向の先端PSをニップした状態でレジスト装置が停止するため、用紙Pの先端PSにいわゆる曲げ癖がついて変形してしまい、曲がった状態で搬送方向の下流側へと搬送されることになる。そのため、曲がった用紙先端PSが、レジスト装置から画像転写領域へ至る搬送途中に配置された部材に当たり、搬送不良を引き起こしてしまう。
【0007】
なお、シート挿入口を備えた画像形成装置に関する技術は、例えば特開2006−298561号公報に記載がある。
【特許文献1】特開2006−298561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、シート挿入口から挿入されたシートにおける給紙手段のニップによる変形に伴う搬送不良を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、1枚のシートが挿入されるシート挿入口と、画像形成手段で形成された可視像を画像転写領域でシートに転写する転写手段と、前記シート挿入口から挿入されたシートを挟持して前記画像転写領域へ搬送する給紙手段と、前記給紙手段と前記画像転写領域との間に設けられ、シートを前記画像転写領域へと案内する案内通路と、前記シートの搬送方向先端が前記案内通路に到達した位置で当該シートを待機させた後に、これを所定のタイミングで前記画像転写領域へ搬送する動作を前記給紙手段に実行させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記シート挿入口に挿入されたシートを検知するシート挿入センサをさらに有し、前記制御手段は、前記シート挿入センサでシートが検知されてから所定時間経過後に前記給紙手段の動作を開始させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記案内通路は、一方がシート搬送ベルトで構成され、前記給紙手段は、弾性ローラと当該弾性ローラよりも硬質の硬質ローラとで構成されるとともに、前記硬質ローラが前記シート搬送ベルト側に配置された、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、シート挿入口から挿入されたれたシートは、その搬送方向先端が案内通路に到達した位置で用紙が待機状態に移行するので、シートは搬送途中に配置された部材に当たることがなくなり、給紙手段のニップによるシートの変形に伴う搬送不良を防止することが可能になる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、シート挿入口から挿入されたシートの搬送方向先端が動作開始前の給紙手段に当たって先端位置が矯正されるので、ユーザが先端位置に注意を払うことなくシート挿入口に挿入したシートを、その搬送方向に対して真っ直ぐに送り込むことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、シートは硬質ローラ側に曲がるので、シートの曲がる方向にシート搬送ベルトを配置することで、搬送不良を防止することすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態としての画像形成装置であるタンデム型のカラープリンタの概念図を示すものである。このカラープリンタは、例えば、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいてプリント動作を実行するように構成されている。
【0017】
図1において、タンデム型のカラープリンタ本体1の内部には、その略中央部に、画像形成ユニット2が上下方向に沿って配置されている。また、カラープリンタ本体1の内部には、画像形成ユニット2の一方側(図示する場合には左側)に、画像形成ユニット2で形成された複数色のトナー像(可視像)が転写される転写材を吸着した状態で搬送する用紙搬送ベルトユニット3が配置されているともに、当該画像形成ユニット2の他方(図示する場合には右側)には、制御回路等を備えた制御ユニット(制御手段)4が、画像形成ユニット2の斜め上方に、高圧電源回路等を備えた電源回路ユニット5が、それぞれ配置されている。
【0018】
また、カラープリンタ本体1内の底部には、トナー像が転写形成される転写材としてのシート(用紙18)等を収容してこれを給紙する給紙カセット6が配置されている。
【0019】
画像形成ユニット2は、下から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成部(画像形成手段)7Y、7M、7C、7Kを備えており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、上下方向に沿って一定の間隔を隔てて直列的に配置されている。
【0020】
これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、形成するトナー像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、図1に示すように、所定の回転速度で回転する像保持体である感光体ドラム8(8Y、8M、8C、8K)と、この感光体ドラム8の表面を一様に所定電位に帯電する一次帯電用の帯電ロール9(9Y、9M、9C、9K)と、当該感光体ドラム8の表面に各色に対応したレーザビームを露光して静電潜像を形成する露光装置10(10Y、10M、10C、10K)と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置11(11Y、11M、11C、11K)と、現像後の感光体ドラム8上に残留した電荷を除去する除電装置21(21Y、21M、21C、21K)と、感光体ドラム8上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置12(12Y、12M、12C、12K)と、現像装置11にトナーを供給するトナーカートリッジ13(13Y、13M、13C、13K)とから構成されている。
【0021】
現像装置11は、図1に示すように、内部に収容された二成分または一成分の現像剤を撹拌しながら現像ロール14(14Y、14M、14C、14K)へと供給し、当該現像ロール14に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム8と対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム8の表面に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像するように構成されている。
【0022】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像装置11Y、11M、11C、11Kに対応して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーを供給する現像剤収容容器としてのトナーカートリッジ13Y、13M、13C、13Kを備えている。
【0023】
また、除電装置21は、感光体ドラム8に光を照射することにより現像後の残留電荷を除去し、次の画像形成においてドラム表面が一様に帯電されるようにしている。
【0024】
さらに、クリーニング装置12は、図1に示すように、感光体ドラム8の表面に残留した転写残トナーをクリーニングブレード15(15Y、15M、15C、15K)によって除去し、除去された転写残トナーをクリーニング装置12の内部に搬送して収容するようになっている。
【0025】
カラープリンタ本体1の内部には、図1に示すように、制御ユニット4が配置されており、この制御ユニット4には、例えば、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置16が設けられている。この画像処理装置16からは、露光装置10にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが順次出力され、この露光装置10から画像データに応じて出射される4本のレーザビームLBが、それぞれの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に走査露光されて静電潜像が形成される。各感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置11Y、11M、11C、11Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として現像される。
【0026】
また、用紙搬送ベルトユニット3は、図1に示すように、無端状ベルトとして、循環し移動する用紙搬送ベルト(シート搬送ベルト)17を備えており、当該用紙搬送ベルト17は、各画像形成部7Y、7M、7C、7Kで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が転写される転写材としての用紙18を静電的に吸着した状態で搬送するように構成されている。
【0027】
用紙搬送ベルト17は、図1に示すように、上下方向に沿って配置された張架ロールとしての駆動ロール19と従動ロール20との間に所定のテンションで張架されており、図示しない駆動モータによって回転駆動される駆動ロール19によって、所定の速度で図1においては反時計回りに循環移動するように構成されている。
【0028】
駆動ロール19と従動ロール20との距離は、例えば、A3サイズの用紙18の長さと略等しい長さに設定されているが、これに限らず、任意に設定してよいことはもちろんである。また、用紙搬送ベルト17としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0029】
また、駆動ロール19の表面には、図1に示すように、用紙18を用紙搬送ベルト17の表面に静電的に吸着させるための吸着ロール22が、用紙搬送ベルト17を介して当接するように配置されている。この吸着ロール22は、例えば、画像形成部7Y、7M、7C、7Kの帯電ロール9と同様に、金属製芯金の表面に導電性ゴムを被覆して構成されており、金属製芯金に所定の吸着用のバイアス電圧が印加されるようになっている。そして、吸着ロール22は、後述する給紙カセット6やシート挿入口40から送られてくる用紙18を静電的に帯電して、用紙搬送ベルト17の表面に吸着させるように構成されている。なお、吸着ロール22は、必ずしも設けなくともよい。
【0030】
各画像形成部7Y、7M、7C、7Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、図1に示すように、用紙搬送ベルト17の表面に吸着された状態で搬送される用紙18上に、転写ロール(転写手段)23Y、23M、23C、23Kによって互いに重ね合わされた状態で順次多重に転写される。なお、転写ロール23Y、23M、23C、23Kは用紙搬送ベルトユニット3に一体的に取り付けられており、これらの転写ロール23Y、23M、23C、23Kが感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kにそれぞれ圧接された部位が、トナー像が用紙18上に転写される画像転写領域Qとなる。
【0031】
用紙18は、図1に示すように、プリンタ本体1の底部に配置された給紙カセット6やシート挿入口40から給紙されて、プリンタ本体1へと搬送される。そして、用紙搬送ベルト17の吸着ロール22よりも用紙搬送方向上流側には、ガイド43が用紙搬送ベルト17に沿って、且つ当該用紙搬送ベルト17に近接して取り付けられている。そして、ガイド43と用紙搬送ベルト17とによって、用紙搬送ベルト17まで搬送された用紙18の搬送方向を規制してこれを画像転写領域Qへと案内する案内通路44が形成されている。つまり、案内通路44は、一方がガイド43で構成され、もう一方が用紙搬送ベルト17で構成されている。
【0032】
なお、ガイド43の用紙搬送方向上流側端は僅かに用紙搬送ベルト17から離間する方向に開いており、用紙18の搬送方向先端がスムーズに案内通路44に導入されるように配慮されている。
【0033】
給紙カセット6は、所望のサイズや材質の用紙18が収容される用紙トレイ24を備えている。また、用紙トレイ24の直上には、最上部に位置する用紙18とニップするピックアップロール35が配置されている。これにより、当該用紙トレイ24からは、所望のサイズや材質の用紙18が一枚ずつピックアップロール35で取り出されて給送ロール25によって給送されるとともに、捌きロール26によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、搬送経路28上に設けられた給紙手段としてのレジスト装置27を介して所定のタイミングで用紙搬送ベルト17上の吸着位置(吸着ロール22に吸着される位置)へと搬送されるようになっている。
【0034】
なお、用紙18が搬送される経路には、給紙カセット6から延びる搬送経路28aとシート挿入口40から延びる搬送経路28bとがあり、これらの搬送経路28a、28bはレジスト装置27の用紙搬送方向上流側で相互に合流して1つの搬送経路28となり、排紙トレイ33まで続いている。
【0035】
シート挿入口40は、プリンタ本体1で印刷可能な最大サイズの用紙18が挿入可能な幅を有してプリンタ本体1の側面下部に開口している。このシート挿入口40は、用紙18が1枚だけ挿入されるものであり、挿入された用紙18は、給紙カセット6からの用紙18と同様に、レジスト装置27を介して所定のタイミングで用紙搬送ベルト17上の吸着位置へと搬送される。
【0036】
なお、本実施の形態においては、シート挿入口40は、ユーザにより用紙18が1枚だけ挿入されることが前提となっているので、用紙を一枚ずつに分離するための前述した捌きロール26は設けられていない。
【0037】
ここで、レジスト装置27について、詳しく説明する。レジスト装置27は、それぞれの回転軸が相互に平行となって互いに圧接配置された駆動側(図示しないモータからの駆動力がクラッチを介して伝達される側)のゴム製のレジストローラ(弾性ローラ)27bと、従動側(モータにより回転するレジストローラ27bの回転により従動回転する側)の金属製のピンチローラ(弾性ローラよりも硬質のローラ)27aとからなるローラ対を有している。そして、硬質のピンチローラ27aが案内通路44の一方を構成する用紙搬送ベルト17側に配置されている。
【0038】
これらのローラ27a,27bを回転停止状態にすることにより、搬送経路28a,28bを搬送されてきた用紙18の搬送方向先端がレジストローラ27bとピンチローラ27aとで形成されるニップ部Nに当接され、用紙18の先端位置が矯正される。
【0039】
また、給紙カセット6からの用紙18は、用紙18の先端位置が矯正された後にローラ27a,27bを所定のタイミングで回転状態にすることにより、感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに形成されたトナー像が画像転写領域Qに移動するタイミングに合わせて用紙搬送ベルト17により画像転写領域Qへと搬送され、前述のように、転写ロール23Y、23M、23C、23Kによってトナー像が多重転写される。
【0040】
一方、シート挿入口40からの用紙18は、用紙18の先端位置が矯正された後にローラ27a,27bを所定の回転角だけ回転させることによりこれらのローラ27a,27bによりニップされる。その後、ローラ27a,27bを所定のタイミングで回転再開させることにより感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに形成されたトナー像が画像転写領域Qに移動するタイミングに合わせて用紙搬送ベルト17により画像転写領域Qへと搬送され、同様にしてトナー像が多重転写される。
【0041】
シート挿入口40からレジスト装置27に至る搬送経路28b上には第1のセンサ(シート挿入センサ)41が、レジスト装置27の用紙搬送方向下流側には第2のセンサ(シート通過センサ)42が、それぞれ設けられている。ここで、第1のセンサ41は、シート挿入口40に挿入された用紙18を検知するセンサであり、第2のセンサ42は、レジスト装置27を通過したシートを検知するセンサである。なお、第2のセンサ42と前述した案内通路44の用紙搬送方向上流端までの距離は、本実施の形態の場合、17mmに設定されている。
【0042】
センサ41、42は、搬送される用紙18の先端により倒されるセンサフラグ41a、42aと、倒されたセンサフラグ41a、42aにより発光部と受光部との間が遮光されることにより用紙18の通過を光学的に検知するセンサ本体41b、42bとからなり、センサフラグ41a、42aの倒れにより用紙18の有無が検知される。なお、これらのセンサ41、42の検知信号は制御ユニット4に送られて用紙18の搬送が制御されるが、詳しい説明については後述する。
【0043】
シートとしては、例えば、A4サイズやA3サイズ、あるいはB5サイズやB4サイズなど種々のサイズ、および、普通紙、コート紙等の厚紙やOHPシートなど、画像の記録が可能な種々の材質のものが用いられる。
【0044】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が多重に転写された用紙18は、図1に示すように、用紙18自体が有する剛性(いわゆるコシ)によって用紙搬送ベルト17から分離された後、搬送経路28に沿って定着装置29へと搬送される。そして、定着装置29において用紙18に熱および圧力が加えられることによりトナー像が用紙18上に定着される。
【0045】
用紙搬送ベルト17と定着装置29は近接して配置されており、用紙搬送ベルト17から分離された用紙18は、用紙搬送ベルト17の搬送力によって定着装置29へと搬送される。この定着装置29は、加圧ベルト30と加熱ロール31とを互いに圧接した状態で回転駆動し、これら加圧ベルト30と加熱ロール31の間に形成されるニップ部に用紙18を通過させることにより、熱および圧力で定着処理を施すように構成されている。
【0046】
その後、各色のトナー像が定着された用紙18は、排出ロール32によって、カラープリンタ本体1の上部に設けられた排紙トレイ33上にプリント面を下にした状態で排出され、プリント動作が終了する。
【0047】
なお、カラープリンタでは、カラーの画像に限らず、モノクロなど所望の色の画像をプリントすることが可能となっており、プリントする画像の色に応じて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の全てまたは一部の画像形成部7Y、7M、7C、7Kによってトナー像が形成される。
【0048】
なお、図1中、符号34はプリンタ本体1の正面に取り付けられた液晶パネル等の表示部を備えた操作パネルを示しており、当該操作パネル34では、プリンタの状態を表示したり、必要な操作等を行うように構成されている。
【0049】
さて、以上の構成を有する画像形成装置において、シート挿入口40に用紙18が挿入されたときの用紙搬送動作について、図2〜図4を用いて説明する。ここで、図2は本発明の一実施の形態である画像形成装置における用紙搬送を実現するための制御ユニットによる制御プロセスを示すフローチャート、図3は本発明の一実施の形態である画像形成装置における用紙の搬送状態を示す説明図、図4は本発明の比較例としての画像形成装置における用紙の搬送状態を示す説明図である。
【0050】
図2において、シート挿入口40に用紙18が挿入されて第1のセンサ41により検知されたならば(ステップS1)、この検知信号を受信した制御ユニット4は、2秒経過後にレジスト装置27の回転を開始させる(ステップS2、S3)。
【0051】
このように、用紙18の挿入が第1のセンサ41に検知されたならば、直ちにではなく2秒のタイムラグがあった後にレジスト装置27の回転を開始させることで、用紙18の搬送方向先端が動作開始前のレジスト装置27(のニップ部N)に当たって先端位置が矯正されることになる。したがって、先端位置に格別注意を払うことなくシート挿入口40に用紙18を挿入しても、用紙18はその搬送方向に対して真っ直ぐに送り込まれる。よって、ユーザは用紙18をニップ部Nに当てて軽く撓ませる程度に挿入するのがよい。
【0052】
なお、用紙18の挿入が第1のセンサ41に検知されると直ちにレジスト装置27が回転を開始されるようにしてもよく、また、タイムラグを設けるにしても、その時間は2秒以外であってもよい。
【0053】
ステップS3においてレジスト装置27が回転を開始されたならば、用紙18がこのレジスト装置27にニップされて搬送されていく。そして、用紙18の搬送方向先端がレジスト装置27の用紙搬送方向下流側に到達して第2のセンサ42に検知されたならば(ステップS4)、この検知信号を受信した制御ユニット4は、1.5秒経過後にレジスト装置27の回転を停止させて、図3(a)に示すように、用紙18を待機状態に移行させる(ステップS5、S6)。
【0054】
ここで、用紙18の搬送方向先端が第2のセンサ42に検知されてから1.5秒後にレジスト装置27の回転を停止させるとは、本実施の形態では、用紙18の搬送方向先端が第2のセンサ42に検知されてから1.5秒経過すると、当該先端が第2のセンサ42から17mmだけ搬送方向下流側に位置する案内通路44に到達するからである。したがって、用紙18は、その先端が案内通路44に到達した状態で一旦搬送が停止されて、待機状態となる。
【0055】
なお、レジスト装置27の回転速度によって、あるいは第2のセンサ42から案内通路44までの距離によって、用紙18の先端が案内通路44に到達するまでの時間は変動する。そして、本発明においては、用紙18の搬送方向先端が案内通路44に到達するまでの時間が設定されることから、第2のセンサ42が用紙先端を検知してからレジスト装置27の回転が停止されるまでの時間は前述した1.5秒に限定されるものではない。
【0056】
また、用紙18は、その搬送方向の少なくとも先端が到達すればよく、例えば中腹まで到達するようになっていてもよい。
【0057】
さらに、本実施の形態では、第2のセンサ42をレジスト装置27の近傍に設置して、当該センサ42による用紙検知から所定時間経過後にレジスト装置27の回転を停止させているが、第2のセンサ42を案内通路44の近傍あるいは案内通路44の途中に設置して用紙18の先端が案内通路44に到達したときに検知されるようにし、センサ42により検知が行われたならば直ちにレジスト装置27の回転を停止させるようにしてもよい。
【0058】
あるいは、用紙18の搬送方向先端が案内通路44に到達するまでのレジスト装置27の回転角を予め求めておき、当該回転角に達したときにレジスト装置27の回転を停止させるようにしてもよい。
【0059】
さて、制御ユニット4は、上述した待機状態において、搬送実行信号(感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに形成されたトナー像が画像転写領域Qに移動するタイミングに一致した用紙搬送タイミングの信号)を受信したならば(ステップS7)、レジスト装置27の回転を再開させ(ステップS8)、用紙を画像転写領域Qへと搬送させる(図3(b))。これにより、前述のように、転写ロール23Y、23M、23C、23Kによってトナー像が用紙18上に多重転写される。
【0060】
ここで、図4に示すように、用紙18の搬送方向の先端をニップ部Nでニップした状態でレジスト装置が停止した場合には(図4(a))、用紙18の先端がレジストロール27aの外周面に沿って曲がるために、その状態が保持されることで曲げ癖がついて変形してしまう。そして、曲がった状態で搬送方向の下流側へと搬送されると、図4(b)に示すように、用紙18の先端が案内通路44に至る途中で用紙搬送ベルト17などに当たって搬送不良を引き起こしてしまう。
【0061】
これに対して、本実施の形態の画像形成装置では、上述のように、用紙18の搬送方向先端が案内通路44に到達した位置で用紙18が待機状態に移行されるので、用紙18は搬送途中に配置された部材に当たることがなくなる。したがって、レジスト装置27が用紙18をニップすることで用紙18の先端が変形し、これに伴って搬送不良が発生することが防止される。
【0062】
また、レジスト装置27を通過した用紙18は、硬質のピンチローラ27a側へ変形する。したがって、用紙18の曲がる方向であるピンチローラ27a側に用紙搬送ベルト17を配置することで、変形した用紙18が積極的に案内通路44へと搬送されることになり、用紙18の搬送不良が防止される。
【0063】
なお、以上の説明において、案内通路44は用紙搬送ベルト17とガイド43とで構成されているが、これの構造に限定されるものではなく、用紙18の搬送方向を規制してこれを画像形成領域Qへと案内する構造を有しているものは本発明の案内通路とされる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上の説明では、本発明をタンデム型のカラープリンタに適用した場合が説明されているが、画像形成装置としては、スキャナを備えた複写機やファクシミリ、あるいはこれらの機能を備えた複合機等として構成してもよい。さらに、モノクロプリンタでもよく、タンデム型以外のカラープリンタでもよい。
【0065】
また、搬送されるシートとしては、用紙やフィルム、はがき、現金など、シート状である様々なものが適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態としての画像形成装置であるタンデム型のカラープリンタの概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態である画像形成装置における用紙搬送を実現するための制御ユニットによる制御プロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態である画像形成装置における用紙の搬送状態を示す説明図である。
【図4】本発明の比較例としての画像形成装置における用紙の搬送状態を示す説明図である。
【図5】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 カラープリンタ本体
2 画像形成ユニット
3 用紙搬送ベルトユニット
4 制御ユニット(制御手段)
5 電源回路ユニット
7Y、7M、7C、7K 画像形成部(画像形成手段)
17 用紙搬送ベルト
18 用紙(シート)
22 吸着ロール
23Y、23M、23C、23K 転写ロール(転写手段)
27 レジスト装置(給紙手段)
27a ピンチローラ(硬質ローラ)
27b レジストローラ(弾性ローラ)
40 シート挿入口
41 第1のセンサ(シート挿入センサ)
42 第2のセンサ(シート通過センサ)
44 案内通路
Q 画像転写領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のシートが挿入されるシート挿入口と、
画像形成手段で形成された可視像を画像転写領域でシートに転写する転写手段と、
前記シート挿入口から挿入されたシートを挟持して前記画像転写領域へ搬送する給紙手段と、
前記給紙手段と前記画像転写領域との間に設けられ、シートを前記画像転写領域へと案内する案内通路と、
前記シートの搬送方向先端が前記案内通路に到達した位置で当該シートを待機させた後に、これを所定のタイミングで前記画像転写領域へ搬送する動作を前記給紙手段に実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート挿入口に挿入されたシートを検知するシート挿入センサをさらに有し、
前記制御手段は、前記シート挿入センサでシートが検知されてから所定時間経過後に前記給紙手段の動作を開始させる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内通路は、一方がシート搬送ベルトで構成され、
前記給紙手段は、弾性ローラと当該弾性ローラよりも硬質の硬質ローラとで構成されるとともに、前記硬質ローラが前記シート搬送ベルト側に配置された、
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−265919(P2008−265919A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109323(P2007−109323)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】