説明

画像形成装置

【課題】設定寿命を超えても画像形成を安心して行わせることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部6が設定寿命を超えた場合、画像メモリ5に格納されている画像データに基づく画像を画像形成部1にて形成するか否かを選択する選択手段(制御部1)を備え、選択手段が画像形成部6にて画像を形成することを選択した場合、当該画像に係る画像データを保存する。画像形成部6が設定寿命を超えた場合、画像メモリ5に格納されている画像データに基づく画像を画像形成部6にて形成するか否かの選択を受け付ける操作部7を備え、操作部7が受け付けた選択に基づき選択手段が選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、詳しくは画像形成手段の設定寿命を判定する機能を有するファクシミリ機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、一般的に、感光体ドラムの設定寿命を判定する機能を有しており、設定寿命が近づいたとき警告を発し、設定寿命に達したとき画像形成を停止する。感光体ドラムの設定寿命は累積画像形成枚数等の判定基準を超えたか否かにより判定されるが、この判定基準には設計上の余裕が織り込まれており、実際には設定寿命に達した後もある程度の枚数の画像形成を良好に行うことができる。そして、感光体ドラムが設定寿命を超えても画像形成を強制的に行うことが可能な画像形成装置もあった。
【0003】
なお、特許文献1には、感光体ドラムの寿命が近づいたことを検知してから所定枚数の画像を形成した後に画像形成が禁止される複合機が開示されている。そして、この複合機は、感光体ドラムの寿命が近づいたことを検知した後、受信したファクシミリデータに基づく画像形成機能を直ちに禁止しメモリ代行受信に切り替えることができる。これにより、ファクシミリ受信した画像が途中までしか形成できなくなることを防止している。
【特許文献1】特開2004−151392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体ドラムが設定寿命を超えてから画像形成を行わせる場合、感光体ドラムが実際の寿命に達し良好な画像形成を行うことができないおそれがあるので、安心して画像形成を行わせることができないという問題があった。特に、受信したファクシミリデータに基づき良好な画像形成を行うことができなった場合、ファクシミリデータは消滅しており、ユーザもファクシミリデータを保有していないので、再送してもらう以外、当該ファクシミリデータに基づく画像形成を行うことができないという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に開示されている複合機においては、感光体ドラムの寿命が近づいたことを検知してから所定枚数の画像を形成した後に画像形成を行うことが実際には可能な場合もある。このような場合に、感光体ドラムを交換するまで一切画像形成を行うことができないという問題があった。また、感光体ドラムの寿命が近づいた後にファクシミリデータに基づく画像形成機能を禁止した場合、良好な画像形成を行うことが実際に可能であるにも関わらず、緊急を要するファクシミリデータを受信したときなどに画像形成を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、設定寿命を超えても画像形成を安心して行わせることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、画像データに基づく画像を形成する画像形成手段と、画像データを格納する格納手段と、前記画像形成手段が設定寿命を超えたか否かを判定する寿命判定手段と、前記画像形成手段が設定寿命を超えたと前記寿命判定手段が判定した場合、前記格納手段に格納されている画像データに基づく画像を前記画像形成手段にて形成するか否かを選択する選択手段と、前記選択手段が前記画像形成手段にて画像を形成することを選択した場合、当該画像に係る画像データを保存させる制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記選択手段は、前記格納手段に格納されている画像データがファクシミリ受信したデータである場合、当該画像データを前記画像形成手段にて形成することを選択することを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記寿命判定手段は、前記画像形成手段の像担持体が設定寿命を超えたか否かを判定することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成手段が設定寿命を超えたと前記寿命判定手段が判定した場合、前記格納手段に格納されている画像データに基づく画像を前記画像形成手段にて形成するか否かの選択を受け付ける選択受付手段を備え、前記選択受付手段が受け付けた選択に基づき前記選択手段が選択することを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成手段を交換した後、前記保存した画像データに基づく画像を交換後の画像形成手段にて形成させることが可能なことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成手段が設定寿命を超えたと寿命判定手段が判定した場合、格納手段に格納されている画像データに基づく画像を画像形成手段にて形成するか否かを選択手段が選択し、選択手段が画像形成手段にて画像を形成することを選択した場合、当該画像に係る画像データを制御手段が保存させる。そのため、画像形成手段が設定寿命を超えた画像形成手段にて画像形成を行うことが可能となる。しかしながら、画像形成手段は設定寿命を超えているので良好な画像形成を行うことができないおそれがある。そこで、このような場合、画像形成手段にて画像形成を行った画像に係る画像データが保存されるので、画像形成手段を新品に交換等した後に、再度この画像データに基づき画像形成を行うことが可能となる。よって、画像形成手段が実際の寿命に達するまで画像形成を行うことができるとともに、画像形成手段が実際の寿命に達し画像形成を良好に行うことができなった場合であっても、当該画像形成に係る画像データを失うことがないので、安心して画像形成を行わせることができる。なお、画像形成手段の設定寿命とは、画像形成手段の設計上の寿命であって、画像形成手段が画像形成を良好に行うことができなくなる実際の寿命より短い余裕のある寿命である。
【0013】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、選択手段は、格納手段に格納されている画像データがファクシミリ受信したデータである場合、当該画像データを画像形成手段にて形成することを選択する。ファクシミリ受信したデータは、コピーデータやPCプリントデータ等のようにユーザ自身がデータ源を保持するデータではなく、失われた場合には送信先から再送を受けない以外は復活しないデータである。そのため、画像形成手段が実際の寿命に達し良好な画像形成を行うことができなかった場合、当該画像形成に係るファクシミリ受信したデータを失うことがないので、安心して設定寿命を超えた画像形成手段に画像形成を行わせることが可能となる。これにより、緊急を要するファクシミリ受信したデータに基づく画像形成を、新品に交換等するまで待つ必要なく、設定寿命を超えた画像形成手段にて安心して行なわせることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、寿命判定手段は画像形成手段の像担持体が設定寿命を超えたか否かを判定する。像担持体は、画像形成手段における重要部分であるとともに、その寿命を主とて支配する部分である。そのため、画像形成手段の設定寿命を、画像形成手段の実際の寿命に対して所定の最低限の余裕を持たせた上で良好に設定することができる。なお、寿命判定手段は、画像形成手段の定着手段、現像手段、トナー量等が設定寿命を超えたか否かを判定するものであってもよい。
【0015】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成手段が設定寿命を超えたと寿命判定手段が判定した場合、格納手段に格納されている画像データに基づく画像を画像形成手段にて形成するか否かの選択を受け付ける選択受付手段を備え、選択受付手段が受け付けた選択に基づき選択手段が選択する。画像形成手段が設定寿命を超えた場合、当該画像形成手段が画像形成を一切良好に行うことができないおそれがあり、さらに実際の寿命を迎えるまで何枚良好な画像形成を行うことができるかは未知である。このような場合に、ユーザから画像形成手段に画像形成を行わせるか否かの選択を受け付けることにより、ユーザによる判断に基づく緊急性、重要性等の高い画像形成のみを行うことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成手段を交換した後、保存した画像データに基づく画像を交換後の画像形成手段にて形成させる。そのため、設定寿命を超えた画像形成手段にて画像形成を行ったが良好な画像が形成されなかった場合、画像形成手段が設定寿命を超えていたため画像形成を行わなかった場合等において、保存した画像データに基づく画像が交換後の画像形成手段にて形成される。よって、交換後の画像形成手段により画像形成された良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を装備するMFP(Multiple Functional Peripheral:多機能周辺機器)100について、図面に基づき説明する。MFP100は、図1にそのブロック図を示すように、制御部(CPU:Central Processing Unit)(制御手段)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、コーデック(CODEC:Coder and Decoder)4、画像メモリ(格納手段)5、画像形成部(画像形成手段)6、操作部(選択受付手段)7、表示部(表示手段)8、モデム9、NCU(Network Control Unit)10、及びLAN I/F(Local Area Network Interface)11を備えたものであって、各部1乃至11は、バス12によって通信可能に接続されている。
【0018】
このように構成されたMFP100は、他の装置から送信されたデータを受信する機能を備えている。具体的には、PSTN(公衆交換電話網:Public Switched Telephone Network)21を介して通信可能に接続されたファクシミリ装置22からデータを受信するファクシミリデータ受信機能を備えている。また、MFP100は、受信したデータに基づく画像を用紙に記録して出力するプリント機能を備えている。なお、MFP100は、図示しないが、原稿載置板に載置された原稿や自動原稿給送装置により原稿トレイから搬送される原稿の画像を読み取るスキャナ機能、読み取った原稿の画像を用紙に記録して出力する複写機能、原稿の画像を読み取って得た画像データをPSTN21を介してファクシミリ装置22に送信するファクシミリデータ送信機能も備えている。
【0019】
制御部1は、MFP100の各部の動作を制御する。ROM2は、制御部1によりMFP100の各部の動作が制御されるための各種プログラムを格納している。
【0020】
RAM3は、制御部1の主メモリ、ワークエリア等として機能するものであり、受信した画像データに関する各種データ、MFP100の各部の処理動作に用いる各種情報等を読み出し及び書き込み可能な状態で格納している。RAM3は、画像形成枚数カウント値格納領域3aを備えている。また、プロセスユニット設定寿命枚数Nは、このRAM3に格納されている。
【0021】
コーデック4は、画像データを符号化(エンコード)・復号(デコード)する。ここでは、ファクシミリ受信等した符号化されている画像データを復号する。コーデック4は、受信したデータに付されている符号化方式情報等に対応した復合方式にて復号する。
【0022】
画像メモリ5は、DRAM (Dynamic Random Access Memory)などにより構成され、原稿の画像を読み取って得られた画像データ、他のファクシミリ装置などの外部装置から受信した画像データ、コーデック4において符号化された画像データ等の画像データを格納する。
【0023】
画像形成部6は、画像メモリ5から読み出された画像データに基づく画像を用紙に記録する。
【0024】
MFP100は、その内部を図2に示すように、各種サイズの用紙を収容可能な給紙カセット101を複数引出し可能に備えており、必要に応じて用紙を給紙カセット101に装填できるようになっている。各給紙カセット101には所定サイズの用紙がそれぞれ収容され、給紙位置に位置する最上位の用紙はピックアップローラによって繰り出され、一対の給紙ローラにニップされて画像形成部6へ至る搬送路102に繰り込まれる。各給紙カセット101から搬送路102に繰り込まれた用紙は、複数の搬送ローラによって搬送路102に沿って搬送され、画像形成部6に供給される。搬送路102は、各給紙カセット101の一端側から延設されて画像形成部6に至り、更に排紙トレイ103へ通じるように形成されている。
【0025】
画像形成部6は、感光体ドラム(像担持体)61、該感光体ドラム61の周囲に配設された帯電デバイス62、LEDヘッド63、現像デバイス64、転写ローラ65及びクリーニングデバイス66、感光体ドラム61の下流側の搬送路102に配設された定着デバイス67から構成されている。これらのうち、感光体ドラム61、帯電デバイス62、及びクリーニングデバイス66は、プロセスユニットPUとして例えば合成樹脂製のカートリッジに収容されて一体となっており、必要に応じて本体から取り外して交換できるようになっている。
【0026】
感光体ドラム61は不図示のモータにより回転駆動し、その表面は、帯電デバイス62により一定電圧に帯電され、画像データに基づきLEDヘッド63により選択的に露光されて、静電潜像が形成される。感光体ドラム61の表面上の静電潜像が現像デバイス64により現像され、トナー画像が形成される。感光体ドラム61の表面に形成されたトナー画像が転写ローラ65により用紙へ転写される。感光体ドラム61の表面に残留したトナー等はクリーニングデバイス66により除去される。定着デバイス67は、搬送路102を搬送される用紙に転写されたトナー画像を加熱及び加圧して定着させる。なお、画像形成部6における記録方式としては、電子写真方式に限られず、インクジェット記録方式等の各種の記録方式を用いることも可能である。
【0027】
このような内部構成を備えたMFP100において、用紙を収容する給紙カセット101から供給された用紙は、搬送路102に沿って搬送され、その途中の画像形成部6にて画像が形成された後に、排紙ローラ104によって排紙トレイ103に排紙される。画像形成部6にて画像形成を行う毎に、画像形成枚数をカウントし、図1に示すように、RAM3の画像形成枚数カウント値記憶領域3aに格納する。
【0028】
感光体ドラム61は、その薄肉円筒形状の本体基体がアルミニウムまたは導電性の各種アルミニウム合金からなっており、基体の表面にはアルマイト層が形成されている。アルマイト層の上には、有機系感光体(OPC)等からなる薄膜の感光体層が形成されている。基体の外周面のアルマイト層は、感光体層の下引き層としても機能する。そして、感光体層の上には保護層が形成されている。保護層が磨耗してなくなると、その下の感光体層は直ぐに磨耗劣化して、正常な画像形成を行うことができなくなり、実際の寿命に達する。プロセスユニットPUの寿命は感光体ドラム61の寿命に依存しており、感光体ドラム61の寿命はその保護膜の磨耗に依存する。この保護膜は画像形成部6にて画像形成が行われる毎に磨耗するので、プロセスユニットPUの寿命として、画像形成部6にて画像形成が行われた累積枚数によりプロセスユニット設定寿命枚数Nとして設定寿命を設定している。
【0029】
操作部7は、図1に示すように、原稿の複写、送信等の開始を指示するためのスタートキー、複写枚数や送信先番号等を入力するためのテンキー、各種設定を入力するためのカーソルキーやボタンキーなど、表示部8と連動した各種操作キーを備えている。
【0030】
表示部8は、各種の表示画面やMFP100の動作状態などを文字や図形などで表示するLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)などを備えている。なお、LCDは、タッチパネル式のものであり、操作部7に代えてこのLCDの画面をユーザが指等により触れることにより各種の操作を行うこともできる。
【0031】
モデム9は、例えばITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行う。NCU10は、電話回線を制御して電話をかけたり切ったりする回線網制御装置であり、PSTN21を介して、ファクシミリ装置22と通信可能に接続されている。
【0032】
LAN I/F11は、LAN(Local Area Network)23とMFP100とを通信可能に接続する。また、LAN23には、複数台のクライアントPC24が接続されており、クライアントPC24からMFP100が有する各種機能を利用することができるようになっている。
【0033】
このような構成において、制御部1は、ROM2に格納されたプログラムに従って、画像形成枚数カウント値格納領域3aに格納された画像形成枚数カウント値がプロセスユニット設定寿命枚数Nを超えた場合に、プロセスユニットPUが設定寿命を超えたと判定する寿命判定手段として機能する。また、制御部1は、ROM2に格納されたプログラムに従って、画像メモリ5に格納されている画像データに基づく画像を画像形成部6にて形成するか否かを選択する選択手段として機能する。
【0034】
以下、画像形成を行うべき画像データを受け付けた場合に、MFP100において行われる処理動作について、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このMFP100の各部における処理動作は、制御部1の各部の制御命令に従って行われるものである。
【0035】
まず、画像形成を行うべき画像データを受け付けたか否かを判断する(S1)。具体的には、NCU10を介してファクシミリ装置22から画像形成を行うべきファクシミリデータを受信したか否か、操作部7からスタートキーが押下されること等により原稿の画像をコピーする指示が入力されたか否か、LAN I/F11を介してクライアントPC24から画像データに基づく画像をプリントする旨の指示を受けたか否かを判断する。画像形成を行うべき画像データを受け付けた場合(S1:YES)、受け付けた画像データを画像メモリ5に格納する(S2)。
【0036】
次に、受け付けた画像データがファクシミリデータであるか否かを判断する(S3)。ここで、受け付けた画像データがファクシミリデータでないと判断した場合(S3:NO)、受け付けた画像データに基づく画像を画像形成部6にて形成し(S4)、画像形成が行われた画像データを画像メモリ5から消去する(S5)。
【0037】
一方、受け付けた画像データがファクシミリデータであると判断した場合(S3:YES)、プロセスユニットPUが設定寿命を超えているか否かを判定する(S6)。具体的には、RAM3の画像形成枚数カウント値記憶領域3aに格納されている画像形成枚数カウント値が、プロセスユニット設定寿命枚数Nを超えているか否かにより判定する。プロセスユニットPUが設定寿命を超えていないと判定した場合(S6:NO)、受け付けた画像データに基づく画像を画像形成部6にて形成し(S4)、画像形成が行われた画像データを画像メモリ5から消去する(S5)。なお、画像形成枚数カウント値がプロセスユニット設定寿命枚数Nを超えていない場合であっても、画像形成枚数カウント値がプロセスユニット設定寿命枚数Nから100枚等の所定枚数以内である場合には、表示部8にプロセスユニットPUの交換を促す旨の表示を行う。例えば、表示部8のLCDに「プロセスユニットを交換して下さい。プリントできなくなります。」等の表示を行う。また、ランプ、警報音等にて、その旨を報知してもよい。
【0038】
一方、プロセスユニットPUが設定寿命を超えていると判定した場合(S6:YES)、受け付けた画像データに基づく画像を画像形成部6にて形成するが(S7)、画像形成が行われた画像データを画像メモリ5から消去しない。そして、表示部8にプロセスユニットPUの至急な交換を促す旨の表示を行う(S8)。例えば、表示部8のLCDに「プロセスユニットを至急交換して下さい。すぐにプリントできなくなります。」等の表示を行う。また、ランプ、警報音等にて、その旨を報知してもよい。さらに、表示部8に画像形成した画像が明瞭であるか否か、再度画像形成を行う必要があるか否か、画像形成を行ったファクシミリデータ(画像データ)を消去してもよいか否かを問い合わせる旨の表示を行う。例えば、表示部8のLCDに「*月*日*時*分に*から受信したファクスをプリントしました。印字は明瞭でしたか?明瞭でないためプロセスユニット交換後に再度プリントを行う場合には「1」を、明瞭であったためデータを消去する場合には「2」を押して下さい。」等の表示を行う。また、ランプ、警報音等にて、これらの旨を報知してもよい。そして、操作部7から画像形成を行ったファクシミリデータを消去してもよい旨の入力が否かを判断する(S9)ここで、ファクシミリデータを消去してもよい旨の入力があったと判断した場合(S9:YES)、当該ファクシミリデータを画像メモリ5から消去する(S10)。一方、ファクシミリデータを消去してもよい旨の入力がなかったと判断した場合(S9:NO)、当該ファクシミリデータを画像メモリ5からは消去せずに、代行受信を行った旨を表示する(S11)。例えば、表示部8のLCDに「*月*日*時*分に*からファクスを受信しました。プロセスユニット交換後にプリントを行って下さい。」等の表示を行う。また、ランプ、警報音等にて、代行受信を行ったファックスデータが存在する旨を報知してもよい。
【0039】
以下、画像メモリ5に格納されているファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けた場合に、MFP100において行われる処理動作について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このMFP100の各部における処理動作は、制御部1の各部の制御命令に従って行われるものである。
【0040】
まず、画像メモリ5に格納されているファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けたか否かを判断する(S21)。このファクシミリデータは、代行受信を行ったときに画像メモリ5に格納したデータである(図3、S11参照。)。具体的には、操作部7から消去キーなど所定のキー等が押下されること等によりファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けたか否か、または、LAN I/F11を介してクライアントPC24からファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けたか否かを判断する。ファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けた場合(S21:YES)、受け付けた命令に係るファクシミリデータを画像メモリ5から消去する(S22)。
【0041】
そして、画像メモリ5にファクシミリデータがさらに保存されているか否かを判断する(S23)。ここで、画像メモリ5にファクシミリデータが保存されている場合(S23:YES)、待機状態となる。逆に、画像メモリ5にファクシミリデータが保存されていない場合(S23:NO)、代行受信を行ったファックスデータが存在する旨を報知するランプ、警報音等があるとき、これらを停止し(S24)、待機状態となる。
【0042】
以下、プロセスユニットPUを交換した場合に、MFP100において行われる処理動作について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このMFP100の各部における処理動作は、制御部1の各部の制御命令に従って行われるものである。
【0043】
まず、プロセスユニットPUが交換されたか否かを判断する(S31)。具体的には、プロセスユニットPUの交換に伴うヒューズによる導通の変化、タグチップから読み出した情報等により、新しいプロセスユニットPUに交換されたか否かを判断する。ここで、プロセスユニットPUが交換されたと判断した場合(S31:YES)、画像メモリ5にファクシミリデータが保存されているか否かを判断する(S32)。画像メモリ5にファクシミリデータが保存されていないと判断した場合(S32:NO)、待機状態となる。
【0044】
逆に、画像メモリ5にファクシミリデータが保存されていると判断した場合(S32:YES)、画像メモリ5に保存されているファクシミリデータに基づく画像を形成するか否かの選択を受け付ける(S33)。例えば、表示部8のLCDに「代行受信したファクシミリデータをプリントしますか?プリントする場合には「1」を、プリントせずにデータを消去する場合には「2」を選択して下さい」と表示し、操作部7のテンキーから「1」又は「2」が入力されるまで待機する。そして、画像メモリ5に保存されているファクシミリデータに基づく画像を形成しない選択を受け付けた場合(S33:NO)、当該ファクシミリデータを画像メモリ5から消去し(S34)、代行受信を行ったファックスデータが存在する旨を報知するランプ、警報音等があるとき、これらを停止する(S35)。一方、画像メモリ5に保存されているファクシミリデータに基づく画像を形成するか選択を受け付けた場合(S33:YES)、当該ファクシミリデータに基づく画像を画像形成部6にて形成する(S36)。そして、当該ファクシミリデータを画像メモリ5から消去し(S34)、代行受信を行ったファックスデータが存在する旨を報知するランプ、警報音等があるとき、これらを停止する(S35)。なお、ここでは、画像メモリ5に保存されている全てのファクシミリデータに基づく画像を形成する場合(S36)について説明したが、選択を受け付けて画像メモリ5に保存されている個々のファクシミリデータに基づく画像を形成してもよい。
【0045】
以上説明したように、このMFP100によれば、画像形成部6のプロセスユニットPUが設定寿命を超えても、具体的には感光体ドラム61の累積画像形成がプロセスユニット設定寿命枚数Nを超えても、画像形成を行うことが可能である。そして、この場合、画像形成部6にて画像形成を行った画像に係る画像データが画像メモリ5に保存されるので、プロセスユニットPUを新品に交換等した後に、再度この画像データに基づき画像形成を行うことが可能となる。よって、プロセスユニットPUが実際の寿命に達するまで画像形成を行うことができるとともに、プロセスユニットPUが実際の寿命に達し画像形成を良好に行うことができなった場合であっても、当該画像形成に係る画像データを失うことがないので、安心して画像形成を行わせることができる。さらに、ユーザから画像形成を行わせるか否かの選択を受け付けることにより、ユーザによる判断に基づき緊急性、重要性等の高い画像形成のみを行うことが可能となる。
【0046】
さらに、プロセスユニットPUを交換した後、保存したファクシミリデータに基づく画像を交換後のプロセスユニットPUを含む画像形成部6にて形成させる。そのため、プロセスユニットPUが実際の寿命に達したため良好な画像形成が行わなかった場合、保存したファクシミリデータに基づく画像がプロセスユニットPUを交換した後の画像形成部6にて形成されるので、良好な画像形成を確実に行うことができる。
【0047】
なお、本実施の形態で示したMFP100の構成は、本発明に係る画像形成装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、プロセスユニットPUの感光体ドラム61の寿命に関する制御について説明したが、画像形成部1の他の部位、例えば、現像デバイス64、定着デバイス67、または現像デバイス64にて消費されるトナー量の寿命に関して、同様の制御を行ってもよい。
【0048】
また、感光体ドラム61の設定寿命を画像形成が行われた累積枚数によるプロセスユニット設定寿命枚数Nにて判定する場合について説明したが、感光体ドラム61の設定寿命を当該感光体ドラム61の累積回転数、感光体ドラム61の保護膜の抵抗値等にて判定してもよい。
【0049】
また、ファクシミリデータを画像メモリ5に保存する場合について説明したが、ファクシミリデータを画像メモリ5以外の保存手段、例えば、RAM3、RAM,ハードディスク等の外付けの大容量記憶装置、クライアントPC内の記憶装置に保存してもよい。
【0050】
さらに、実施の形態では、画像形成装置をMFP100として実施した態様を説明したが、画像形成装置はMFP100に限定されず、複写機、ファクシミリ機、及びこれらを含む複合機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るMFP100の構成例を示したブロック図である。
【図2】MFP100について説明するための概略断面図である。
【図3】画像形成を行うべき画像データを受け付けた場合に、MFP100において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【図4】画像メモリ5に格納されているファクシミリデータを消去すべき命令を受け付けた場合に、MFP100において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【図5】プロセスユニットPUを交換した場合に、MFP100において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 制御部(制御手段、寿命判定手段、選択手段)
2 ROM
3 RAM
5 画像メモリ(格納手段)
6 画像形成部(画像形成手段)
7 操作部(選択受付手段)
8 表示部(表示手段)
61 感光体ドラム(像担持体)
100 MFP(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づく画像を形成する画像形成手段と、
画像データを格納する格納手段と、
前記画像形成手段が設定寿命を超えたか否かを判定する寿命判定手段と、
前記画像形成手段が設定寿命を超えたと前記寿命判定手段が判定した場合、前記格納手段に格納されている画像データに基づく画像を前記画像形成手段にて形成するか否かを選択する選択手段と、
前記選択手段が前記画像形成手段にて画像を形成することを選択した場合、当該画像に係る画像データを保存させる制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記格納手段に格納されている画像データがファクシミリ受信したデータである場合、当該画像データを前記画像形成手段にて形成することを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記寿命判定手段は、前記画像形成手段の像担持体が設定寿命を超えたか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段が設定寿命を超えたと前記寿命判定手段が判定した場合、前記格納手段に格納されている画像データに基づく画像を前記画像形成手段にて形成するか否かの選択を受け付ける選択受付手段を備え、
前記選択受付手段が受け付けた選択に基づき前記選択手段が選択することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段を交換した後、前記保存した画像データに基づく画像を交換後の画像形成手段にて形成させることが可能なことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−244763(P2009−244763A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93663(P2008−93663)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】