説明

画像形成装置

【課題】表示部にプレビュー画像等の画像を表示する際に、ユーザの使い勝手のよいものを提案する。
【解決手段】各種情報を表示する表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、印刷対象画像を記録媒体に印刷する印刷部と、印刷対象画像の印刷用データを記憶する記憶部と、表示部、操作部、印刷部及び記憶部を統括的に制御する制御部と、を有し、操作部がプレビュー指示を受け付けたとき、制御部が記憶部に記憶された印刷用データに基づいて印刷対象画像の内容を確認するためのプレビュー画像を表示部に表示させる画像形成装置において、制御部は、プレビュー画像の全領域をテキスト領域とピクチャ領域とに区分し(ステップS2)、テキスト領域の画像をピクチャ領域よりも優先して表示部に表示させ(ステップS3)、その後にピクチャ領域の画像を表示させる(ステップS4,S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、印刷用データを保存できるハードディスク等の記憶装置を備えるものがある。また、このような画像形成装置で、下記特許文献1に開示されているようなプレビュー画像を表示させる機能を有するものにおいては、ユーザは、画像形成装置の操作表示部を用いて、記憶装置に保存した印刷用データを呼び出し、必要に応じてプレビュー画像を表示させて確認の上、印刷を実行する等といった使い方をすることがある。
上記のような従来の画像形成装置は、例えば複合機として具現される。
【特許文献1】特開2006−41947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合機は、複数名で使われることが多いものである。このため、複合機に向かうユーザが、記憶装置に記憶させた印刷用データを呼び出してプレビュー画像を表示させる操作を行っている間にも、イントラネット経由で、他のユーザからの割り込みジョブが入る、というようなことは少なくない。そして、このような場合には、プレビュー画像が表示されるまでに時間がかかってしまうことがある。
プレビュー画像表示は、ファイルサイズが大きい印刷データでは特に時間がかかるものである。印刷データのファイルサイズは、文字情報のみの場合よりも、画像が含まれている場合の方が大きくなる傾向にある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、表示部にプレビュー画像等の画像を表示する際に、ユーザの使い勝手のよいものを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置では、以下の手段を採用した。
第1の発明としては、各種情報を表示する表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、印刷対象画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷対象画像の印刷用データを記憶する記憶部と、前記表示部、前記操作部、前記印刷部及び前記記憶部を統括的に制御する制御部と、を有し、前記操作部がプレビュー指示を受け付けたとき、前記制御部が前記記憶部に記憶された前記印刷用データに基づいて前記印刷対象画像の内容を確認するためのプレビュー画像を前記表示部に表示させる画像形成装置において、前記制御部は、前記プレビュー画像の全領域をテキスト領域とピクチャ領域とに区分し、前記テキスト領域の画像を前記ピクチャ領域の画像よりも優先して表示させ、その後に前記ピクチャ領域の画像を表示させるものを採用した。
【0006】
次に、上記画像形成装置において、前記制御部は、前記ピクチャ領域の画像の表示に際しては、低解像度画像を表示させた後に高解像度画像を表示させる段階的表示手法を採用するものを採用した。
【0007】
また、上記画像形成装置において、前記制御部は、前記ピクチャ領域における中間階調ドット数が所定の閾値を超えている場合に、前記段階的表示手法を採用するものを採用した。
【0008】
そして、上記画像形成装置において、前記制御部は、前記プレビュー画像の全領域のうち、2階調が交互に配置された領域を前記テキスト領域と判定し、連続的に階調が変化する領域を前記ピクチャ領域と判定するものを採用した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プレビュー画像等の画像を表示させるにあたって、テキスト領域を優先して表示させる。
画像形成装置でのプレビュー画像表示において、ユーザが重要とする部分、即ち当該印刷用データが印刷しようとするものであるか否かを判断する際にユーザが注目する部分は、ピクチャ領域よりもテキスト領域であることが多い。また、テキスト領域はデータサイズが小さいため、表示処理に多くの時間を要さない。
したがって、本発明によれば、画像形成装置においてプレビュー画像等の画像を表示する際に、ユーザにとって重要な部分をいち早く表示させるので、ユーザの使い勝手のよいものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る複合機Cの機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、本複合機C(画像形成装置)は、操作表示部1、画像読取部2、画像記憶部3、画像処理部4、印刷部5、記憶部6及び制御部7を備えている。
【0011】
操作表示部1(表示部、操作部)は、タッチパネル及び操作キーを備え、ユーザと本複合機Cとを関係付けるマンマシンインタフェースとして機能する。
タッチパネルは、周知のように表示パネルの表示面に抵抗膜方式等の透明な面状押圧センサを設けたものである。
【0012】
表示パネルは、制御部7による制御の下に、各種機能がそれぞれ割り当てられた複数の操作ボタンを所定のレイアウトで表示する。
面状押圧センサは、ユーザが操作ボタンを指等で押圧したときに、押圧位置(押圧座標)を示す操作信号を制御部7に出力する。
【0013】
操作キーは、例えば電源キーやコピー開始キー、クリアキー等、タッチパネルに表示される操作ボタン以外の操作キー(ハードウエアキー)である。
タッチパネルに表示される操作ボタンは、制御部7が所定のプログラムに基づいてソフトウエア的に表示パネルに表示させるものであるが、操作キーは、ハードウエアキーとして物理的に備えられたものであり、ユーザの操作に基づいた操作信号を制御部7に出力する。
【0014】
また、上記操作ボタンとしては、プレビューボタンがある。プレビューボタンは、例えば、記憶部6に記憶された印刷用データ(後述する)が一覧表示される際に共に表示される。そして、このプレビューボタンが押下されたとき、操作表示部1は、ユーザからプレビュー画像をタッチパネルの表示パネルに表示させる指示、つまりプレビュー指示を受け付けたとし、その旨を示す信号を、制御部7に出力する。
【0015】
画像読取部2は、制御部7から入力される制御指令に基づいてADF(Auto Document Feeder)によって自動給紙される原稿或いはプラテンガラス上に載置された原稿の画像(原稿画像)をラインセンサで読み取って画像データ(原稿画像データ)に変換するものであり、この原稿画像データを画像記憶部3に出力する。
画像記憶部3(記憶部)は、半導体メモリ或いはハードディスク装置等であり、制御部7から入力される制御指令に基づいて上記原稿画像データを記憶すると共に当該原稿画像データを読み出して画像処理部4に出力する。
【0016】
画像処理部4は、制御部7から入力される制御指令に基づいて原稿画像データに必要に応じて各種画像処理を施すと共に原稿画像データを印刷部5の印刷形式に対応した画像データ(即ち印刷用データ)に変換して印刷部5に出力する。上記画像処理には拡大縮小印刷に対応した画像処理等がある。
画像読取部2がカラー原稿を読み取った場合、画像記憶部3から画像処理部4に入力される原稿画像データは光の三原色に対応したRGB画像データ(カラー画像データ)となるが、画像処理部4は、このようなRGB画像データを、例えばYMCK画像データ、つまりY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(黒)を基準色とする印刷用データに変換して印刷部5に出力する。
【0017】
印刷部5は、制御部7から入力される制御指令に基づいて用紙カセットから給紙された紙上に、上記画像処理部4から入力された印刷用データに基づく画像(即ち印刷対象画像)を印刷する。この印刷部5は、例えば上記基準色のトナーに対応した4つの現像装置が二次転写ベルト上に配列したタンデム方式の印刷装置であり、画像処理部4から入力されたYMCKの印刷用データに基づいて紙上に印刷対象画像をカラー印刷する。
【0018】
記憶部6は、ハードディスク等であって、図示しないイントラネット経由等によりユーザが印刷用データを記憶させるためのものである。ユーザは、操作表示部1への操作によって、記憶部6に記憶させた印刷用データを呼び出し、必要に応じてプレビュー画像を操作表示部1に表示させ、印刷部5に印刷させる。
【0019】
制御部7は、MPU(Micro Processing Unit)、内部メモリ並びに上記操作表示部1、画像読取部2、画像記憶部3、画像処理部4及び印刷部5と各種信号の授受を行うインタフェース回路等から構成されており、内部メモリに予め記憶された制御プログラム及び上記操作表示部1から入力される操作指示に基づいて本複合機Cの全体動作を制御するものである。制御部7と操作表示部1とが、所定の通信形式で各種信号を送受信することにより、制御部7は、操作表示部1の動作状態を把握すると共に制御する。
【0020】
また、制御部7は、操作表示部1から、ユーザからプレビュー指示を受け付けたことを示す信号を入力されると、記憶部6又は画像処理部4から印刷用データを取得し、当該印刷用データに基づいてプレビュー画像データを作成し、該プレビュー画像データに基づいて、操作表示部1にプレビュー画像を表示させる。
【0021】
なお、本実施形態では、プレビュー画像を表示させるにあたって、制御部7は、図2に例示するように、プレビュー画像の全領域をテキスト領域Aとピクチャ領域Bとに区分し、テキスト領域Aをピクチャ領域Bよりも優先して表示させ、その後にピクチャ領域Bを表示させる。テキスト領域Aは、プレビュー画像のうち、文字列の画像aが占める領域である。ピクチャ領域Bは、プレビュー画像のうち、写真又は絵の画像bが占める領域である。
具体的には、以下の通りである。
【0022】
制御部7は、プレビュー画像データを分析する。即ち、プレビュー画像データに基づいて構成されるプレビュー画像を分割して複数の小領域とし、各小領域について以下のいずれに当てはまるかを判断し、特徴付けする。
(1)濃度が2値的に変化する画素が連続する
(2)特定パターン(文字や記号等)と一致する
(3)スクリーン線数(1インチ当りのドット数)が所定値(例えば85線、133線)である
(4)階調が連続的に変化する
【0023】
続いて、制御部7は、上記(1)又は(2)に当てはまる小領域をテキスト領域であると判別し、上記(3)又は(4)に当てはまる小領域をピクチャ領域であると判別する。
更に、制御部7は、隣り合う小領域がテキスト領域同士又はピクチャ領域同士であれば、それらの小領域を統合する。
そして、制御部7は、上記作業を繰り返すことにより、プレビュー画像データに基づいて構成されるプレビュー画像全体をテキスト領域とピクチャ領域とに分ける。
【0024】
次に、本複合機Cの要部動作について、図3のフローチャートに沿って説明する。また、図4は、S3〜S6の各ステップにおける操作表示部1の表示例を示す図である。
まず、制御部7は、ユーザの操作表示部1への操作指示に応じて、記憶部6又は画像処理部4から印刷用データを取得し、これらの名称を操作表示部1に一覧表示させると共に、プレビューボタンをも表示させる。
そして、ユーザが一覧表示された印刷用データから一つを選択してプレビューボタンを押下すると、操作表示部1は、制御部7にプレビュー指示を出力する(ステップS1)。操作表示部1からプレビュー指示を入力された制御部7は、上述のようにプレビュー画像データを分析して、プレビュー画像データに基づいて構成されるプレビュー画像にピクチャ領域が存在するか否かを判断する(ステップS2)。
【0025】
ステップS2において、ピクチャ領域が存在すると判断した場合(ステップS2のYes)、制御部7は、図4(a)に示すように、操作表示部1に、ピクチャ領域に先立ってテキスト領域のプレビュー画像を表示させ(ステップS3)、次に、図4(b)に示すように、ピクチャ領域のプレビュー画像を低解像度で表示させ(ステップS4)、最後に、図4(c)に示すように、ピクチャ領域のプレビュー画像を高解像度で表示させ(ステップS5)、処理を終了する。
上記ステップS3〜S5に要する時間は、複合機Cがそれぞれのタイミングで抱えているジョブの量によって変動し、長ければ数秒(例えば1〜2秒)を要することが考えられる。
【0026】
一方、ステップS2において、ピクチャ領域が存在しないと判断した場合(ステップS2のNo)、制御部7は、操作表示部1に、テキスト領域(つまり全領域)のプレビュー画像を表示させ(ステップS6)、処理を終了する。
【0027】
このように、本実施形態によれば、プレビュー画像を表示させるにあたって、テキスト領域を優先して表示させる。
複合機Cでのプレビュー画像表示において、ユーザが重要とする部分、即ち当該印刷用データが印刷しようとするものであるか否かを判断するにあたってユーザが注目する部分は、ピクチャ領域よりもテキスト領域であることが多い。また、テキスト領域はデータサイズが小さいため、表示処理に多くの時間を要さない。
したがって、本実施形態によれば、複合機Cにおいてプレビュー画像を表示する際に、ユーザにとって重要な部分をいち早く表示させるので、ユーザの使い勝手がよい。
【0028】
なお、上記実施形態におけるステップS3〜S5に要する時間は、複合機Cが抱えるジョブの量によって変動し、ジョブが混み合っている場合には、S3〜S5の各ステップに、例えば1〜2秒程度、更にはそれ以上の時間を要することが考えられる。
そこで、実施にあたっては、例えば、プレビュー画像と共にプレビュー中途キャンセルボタンを表示させてもよい。これによれば、プレビュー中途キャンセルボタンを押下することにより、プレビュー表示処理を中途で終えて一覧表示画面に戻ることが可能となる。
このプレビュー中途キャンセルボタンは、ユーザが、ステップS3のテキスト領域が表示された段階や、ステップS4のピクチャ領域が低解像度で表示された段階で、当該プレビュー表示処理中の印刷用データが所望のものであるか否かを確認できた場合等に、有用である。
また、上記プレビュー中途キャンセルボタンのような機能をクリアキー等のハードキーに振り当ててもよい。
【0029】
更に、上記実施形態では、ピクチャ領域のプレビュー画像を低解像度で表示した後に高解像度で表示するという段階的表示手法を採用しているが、実施にあたってはこれに限らず、例えば、中間階調ドット数が所定の閾値を超えている場合にのみ、段階的表示手法を採用する等してもよい。
【0030】
また、プレビュー画像は、ページめくりや拡大表示が可能なものであってもよい。
【0031】
更に、上記実施形態では、プレビュー画像を表示させる場合を例として説明しているが、実施にあたっては、サムネイルの表示に適用してもよい。
ここで、サムネイルとは、例えば、記憶部6に記憶された複数の印刷データのトップページのみを小さく並べて表示させるものである。そして、サムネイルで小さく表示されたうちの一つをユーザが選択すると、当該印刷データのプレビュー画像を表示する等の処理を行う。
また更に、このときのプレビュー表示に上記実施形態を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態におけるプレビュー画像の例を示す図である。
【図3】上記実施形態における複合機の要部動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のS3〜S6の各ステップにおける操作表示部の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
C…複合機(画像形成装置)、 1…操作表示部(表示部、操作部)、 2…画像読取部、 3…画像記憶部(記憶部)、 4…画像処理部、 5…印刷部、 6…記憶部、 7…制御部、 A…テキスト領域、 B…ピクチャ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示する表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、印刷対象画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷対象画像の印刷用データを記憶する記憶部と、前記表示部、前記操作部、前記印刷部及び前記記憶部を統括的に制御する制御部と、を有し、前記操作部がプレビュー指示を受け付けたとき、前記制御部が前記記憶部に記憶された前記印刷用データに基づいて前記印刷対象画像の内容を確認するためのプレビュー画像を前記表示部に表示させる画像形成装置において、
前記制御部は、前記プレビュー画像の全領域をテキスト領域とピクチャ領域とに区分し、前記テキスト領域の画像を前記ピクチャ領域の画像よりも優先して表示させ、その後に前記ピクチャ領域の画像を表示させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ピクチャ領域の画像の表示に際しては、
低解像度画像を表示させた後に高解像度画像を表示させる段階的表示手法を採用する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ピクチャ領域における中間階調ドット数が所定の閾値を超えている場合に、前記段階的表示手法を採用する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プレビュー画像の全領域のうち、
2階調が交互に配置された領域を前記テキスト領域と判定し、
連続的に階調が変化する領域を前記ピクチャ領域と判定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−33530(P2009−33530A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195941(P2007−195941)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】