説明

画像形成装置

【課題】用紙の再セットのようなわずらわしい作業をユーザが行うことなくカールの発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ユーザは、タッチパネル32を用いて、印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かの設定を行う。制御部30は、設定が印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す場合には、反転部22に印刷媒体の表裏を反転させた後に搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eにより印刷媒体を搬送させ、設定が印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す場合には、反転部22に印刷媒体の表裏を反転させることなく搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eにより印刷媒体を搬送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、電子写真法によってトナー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生紙の使用比率が高まっており、画像形成装置における再生紙に対する印刷品位の重要性も高まっている。ところが、再生紙は排紙時にカールし易いので、後処理装置において整合ずれを起こしたり、トレイにおいて載置不良を引き起こしたりする。
【0003】
前記のように再生紙にカールが発生する場合には、カセット内の再生紙の表裏を反転させて再セットすれば、再生紙のカールの発生を抑制できることがわかっている。そこで、従来の画像形成装置では、そのユーザマニュアルに、「カールが発生している場合には、カセットの用紙を取り出して、用紙の表裏を反転させて再セットしてください。」という内容が記載されている。
【0004】
しかしながら、前記ユーザマニュアルでは、再生紙にカールが発生した場合には、ユーザ自身が、カセット内の再生紙の表裏を反転させて再セットする必要があり、この再セットはユーザにとって非常にわずらわしい作業であった。
【0005】
なお、カール量を低減する発明としては、特許文献1に記載の印刷装置用スタッカ及び特許文献2に記載のカール補正装置が提案されている。特許文献1に記載の印刷装置用スタッカでは、カールした用紙をパドルで押し下げることにより、カール量を低減している。また、特許文献2に記載のカール補正装置では、用紙がカールする方向を検出し、ベルトにより挟持してカールを矯正している。
【特許文献1】特開平5−155516号公報
【特許文献2】特開平8−175732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、印刷媒体の再セットのようなわずらわしい作業をユーザが行うことなくカールの発生を抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷媒体を格納するカセットと、前記印刷媒体の表裏を反転させる反転手段と、前記印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段が搬送している前記印刷媒体に対して画像を印刷する印刷手段と、前記印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得する取得手段と、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す場合には、前記反転手段に該印刷媒体の表裏を反転させた後に前記搬送手段により該印刷媒体を搬送させ、該情報が該印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す場合には、該反転手段に該印刷媒体の表裏を反転させることなく該搬送手段により該印刷媒体を搬送させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、取得手段が印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得し、該情報に基づいて、印刷媒体の表裏の反転の要否が決定される。その結果、画像形成装置において、ユーザが印刷媒体の表裏を反転させて再セットするなどのわずらわしい作業を行うことなく、印刷媒体にカールが発生することを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明において、ユーザは、前記取得手段を用いて前記情報を入力し、前記情報を記憶する記憶手段を、更に備えていてもよい。
【0010】
本発明において、前記カセットは、複数種類のサイズの前記印刷媒体を格納できるように、複数設けられており、前記ユーザは、前記取得手段により、前記カセット毎に前記情報を入力でき、前記記憶手段は、前記カセット毎に前記情報を記憶していてもよい。
【0011】
本発明において、前記制御手段は、前記カセット、前記反転手段、前記搬送手段及び前記印刷手段に印刷ジョブを実行させると共に、該印刷ジョブの実行が終了した場合には、印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更してもよい。これにより、次回の印刷ジョブの実行時において、ユーザの意に反して、勝手に印刷媒体のカールの発生を抑制されることが防止される。
【0012】
本発明において、前記制御手段は、前記カセット内の前記印刷媒体がなくなった場合には、印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更してもよい。印刷媒体がなくなった場合には、カセットに印刷媒体が補給される。そのため、カセット内の印刷媒体の種類や表裏の向きが変わる可能性がある。従って、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更されることにより、ユーザの意に反して、印刷媒体のカールの発生を抑制されることが防止される。
【0013】
本発明において、前記制御手段は、前記カセットが開けられた場合には、該カセットに対応する印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更してもよい。カセットが開けられた場合には、カセットに印刷媒体が補給されることが多い。そのため、カセット内の印刷媒体の種類や表裏の向きが変わる可能性がある。従って、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更されることにより、ユーザの意に反して、印刷媒体のカールの発生を抑制されることが防止される。
【0014】
本発明において、印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報から印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更する時期を、前記ユーザが入力する入力手段を、更に備えていてもよい。
【0015】
本発明において、前記制御手段は、印刷ジョブが、複数種類のサイズの印刷媒体に対して画像を印刷することを示す場合には、前記情報が印刷媒体に発生するカールを抑制することを示していても、前記反転手段に印刷媒体の表裏を反転させることなく前記搬送手段により印刷媒体を搬送させてもよい。
【0016】
本発明において、前記取得手段は、前記搬送手段が搬送した前記印刷媒体のカール状態を検出する検出手段であってもよい。
【0017】
本発明によれば、検出手段により印刷媒体にカールが発生するか否かの情報が自動的に取得されるので、ユーザは、印刷媒体のカールの発生を意識することなく画像形成装置を使用することができる。
【0018】
本発明において、前記カセットに格納されている印刷媒体に方向性があるか否かに関する方向性情報を取得する方向性情報取得手段を、更に備え、前記印刷手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す場合には、該印刷媒体に対して画像が第1の方向を向くように該画像を印刷し、前記制御手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、前記方向性情報が該印刷媒体に方向性がないことを示す場合には、前記第1の方向を向くように該画像を該印刷媒体に対して前記印刷手段に印刷させ、該情報が該印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、該方向性情報が該印刷媒体に方向性があることを示す場合には、該第1の方向から180度回転した第2の方向を向くように該画像を該印刷媒体に対して該印刷手段に印刷させてもよい。
【0019】
本発明において、前記制御手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、前記方向性情報が該印刷媒体に方向性があることを示す場合には、該印刷媒体に対してステープル処理及びパンチ処理を施すことを禁止してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
(画像形成装置の全体構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、該画像形成装置1の概略構成を示した図である。以下では、Y,yはイエロー、M,mはマゼンタ、C,cはシアン、K,kはブラックを示す。
【0021】
画像形成装置1は、タンデム方式で4色の画像を合成するカラープリンタである。該画像形成装置1は、画像形成ステーション2Y,2M,2C,2K、自動給紙カセット5a,5b、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7e、排紙部9、転写ベルト10、駆動ローラ11、従動ローラ12、定着装置15、排出ローラ対17、光走査装置20、逆搬送部21、反転部22、制御部30、記憶部31及びタッチパネル32を備える。
【0022】
画像形成ステーション2Y,2M,2C,2Kは、転写ベルト10の直下に配置され、それぞれ、感光体ドラム3Y,3M,3C,3K、現像器4Y,4M,4C,4Kや図示しない帯電器、残留トナーのクリーナなどを含む。なお、黒色の画像を形成するための画像形成ステーション2Kは大型に構成され、使用頻度の高いモノクロ画像を高速で形成できるようにしている。
【0023】
光走査装置20は、画像形成ステーション2Y,2M,2C,2Kの直下に配置され、Y,M,C,Kの画像データに基づいてビームBy,Bm,Bc,Bkを各感光体ドラム3上に照射する。これにより、各感光体ドラム3の周面には、静電潜像が形成される。この静電潜像はトナーによって可視像化される。このような電子写真プロセスは周知であり、その説明は省略する。
【0024】
転写ベルト10は、駆動ローラ11及び従動ローラ12に無端状に張り渡され、矢印X方向への回転にさせられる。転写ベルト10の表面には、各感光体ドラム3上に形成された各色のトナー画像が順次1次転写され、合成される。
【0025】
自動給紙カセット5a,5bは、それぞれ異なるサイズ(例えば、A4タテやB5タテ等)の再生紙等の印刷媒体を格納しており、1枚ずつ所定のタイミングで給紙する。以下、用紙サイズについて説明する。例えば、A4タテとは、A4横送りを意味し、具体的には、A4サイズの用紙の長辺を縦方向に一致させた状態で該A4サイズの用紙をセットして、該A4サイズの用紙を短辺の延びる方向に搬送することを意味する。一方、A4ヨコとは、A4縦送りを意味し、具体的には、A4サイズの用紙の短辺を縦方向に一致させた状態で該A4サイズの用紙を配置して、該A4サイズの用紙を長辺の延びる方向に搬送することを意味する。なお、図1において、自動給紙カセット5a,5bは、2つだけ示されているが、実際には、多種類のサイズの印刷媒体を格納するために更に多数の自動給紙カセットが設けられている。搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eは、搬送経路Rを形成しており、給紙された印刷媒体を搬送する搬送手段としての役割を果たす。
【0026】
2次転写位置13及び定着装置15は、搬送経路R上に設けられており、印刷手段としての役割を果たす。2次転写位置13では、転写ベルト10から合成トナー画像が、印刷媒体に対して2次転写される。定着装置15は、トナー画像を印刷媒体に加熱定着する。排出ローラ対17は、トナー画像が定着した印刷媒体を排紙部9上に排出する。
【0027】
一方、両面プリントの際には、排出ローラ対17は、印刷媒体を画像形成装置1の外方に搬送し、スイッチバックする。逆搬送部21は、スイッチバックされてきた印刷媒体を2次転写位置13に戻す。2次転写位置13では、印刷媒体の裏面にトナー画像が2次転写される。排出ローラ対17は、この印刷媒体を排紙部9上に排出する。
【0028】
制御部30は、例えば、CPUにより構成され、画像形成装置1全体を制御する。記憶部31は、例えば、ハードディスクにより構成され、画像データや種々のデータを記憶する。タッチパネル32は、ユーザの入力を受付ける入力手段としての役割を果たすと共に、種々の画像を表示してユーザに情報を通知する通知手段としての役割を果たす。
【0029】
ところで、印刷媒体が再生紙であって、かつ、表裏が本来の方向とは逆の方向で自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体がセットされている場合には、該印刷媒体は、定着装置15を通過した際にカール(丸まる)してしまう。そこで、本実施形態に係る画像形成装置1は、印刷媒体に対して画像を印刷する際に、ユーザの指示によって、自動給紙カセット5a,5bにセットされた印刷媒体の表裏を反転させて搬送し、画像の印刷を行う。以下に、詳細に説明する。
【0030】
ユーザは、印刷媒体にカールが発生する場合には、カール抑制モードを画像形成装置1に設定することができる。このカール抑制モードとは、印刷媒体にカールが発生することを抑制するモードであり、具体的には、画像形成装置1が、印刷媒体に対して画像を印刷する際に、自動給紙カセット5a,5bにセットされた印刷媒体の表裏を反転させて、印刷媒体に画像の印刷を行うモードである。一方、画像形成装置1が、印刷媒体の表裏の反転を行うことなく画像の印刷を行うモードを通常モードと称す。通常モードでは、印刷媒体にカールが発生することが抑制されない。
【0031】
記憶部31は、このカール抑制モード又は通常モードに関する設定(情報)が印刷媒体の用紙サイズ毎(すなわち、自動給紙カセット5a,5b毎)に記録された表1に示す第1のテーブルを記憶している。表1において、モードの欄がONとなっている用紙サイズについては、カール抑制モードが設定されており、モードの欄がOFFとなっている用紙サイズについては、通常モードが設定されている。
【0032】
【表1】

【0033】
ユーザは、タッチパネル32により、印刷媒体のサイズ毎(すなわち、自動給紙カセット5a,5b毎)にカール抑制モード又は通常モードに関する設定(情報)を入力する。このとき、タッチパネル32は、印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得する取得手段としての役割を果たしている。これにより、制御部30は、記憶部31の第1のテーブルを更新する。
【0034】
制御部30は、ユーザから印刷ジョブを受付けた場合、表1の設定に基づいて、カール抑制モード又は通常モードのいずれかにて、印刷媒体の搬送を、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7e及び反転部22に実行させる。より詳細には、カール抑制モードである場合には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、反転部22に印刷媒体の表裏を反転させる。この後、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eは、表裏が反転された印刷媒体を搬送する。一方、通常モードである場合には、反転部22は、動作せず、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eは、印刷媒体を搬送する。以下に、反転部22の構成について説明する。
【0035】
反転部22は、搬送手段の一部を構成しており、反転ローラ対23a,23b,23c,23d、切換爪24a,24b及び反転経路R1,R2,R3,R4,R5を含む。反転経路R1,R2は、自動給紙カセット5aから2方向に分岐している。反転経路R1は、搬送経路Rに接続されている。反転経路R2は、反転経路R5に接続されている。同様に、反転経路R3,R4は、自動給紙カセット5bから2方向に分岐している。反転経路R3は、搬送経路Rに接続されている。反転経路R4は、反転経路R5に接続されている。
【0036】
切換爪24aは、制御部30からの指示により、自動給紙カセット5aから給紙されてくる印刷媒体を搬送経路Rに接続された反転経路R1へ出力するか、反転経路R2へ出力するかを切り替える役割を果たす。反転経路R2に出力された印刷媒体は、反転ローラ対23aにより反転経路R5へと搬送される。これにより、印刷媒体の表裏が反転する。次に、反転ローラ対23aは、逆方向に回転して、印刷媒体を上方へと搬送する。この後、反転ローラ対23b,23c,23dは、表裏が反転された印刷媒体を搬送経路Rへと搬送する。
【0037】
切換爪24bは、制御部30からの指示により、自動給紙カセット5bから給紙されてくる印刷媒体を搬送経路Rに接続された反転経路R3へ出力するか、反転経路R4へ出力するかを切り替える役割を果たす。反転経路R4に出力された印刷媒体は、反転ローラ対23a,23b,23cにより反転経路R5へと搬送される。これにより、印刷媒体の表裏が反転する。次に、反転ローラ対23a,23b,23cは、逆方向に回転して、印刷媒体を上方へと搬送する。この後、反転ローラ対23dは、表裏が反転された印刷媒体を搬送経路Rへと搬送する。
【0038】
(画像形成装置の動作について)
以上のように構成された画像形成装置1について、以下にその動作について図面を参照しながら説明する。画像形成装置1では、モード設定動作、印刷動作及びモード解除動作の3種類の動作が存在する。モード設定動作とは、ユーザが、画像形成装置1にカール抑制モードを設定する動作である。印刷動作とは、画像形成装置1が印刷媒体に画像を印刷する動作である。モード解除動作とは、所定条件下において、画像形成装置1が、カール抑制モードから自動的に通常モードに変更する動作である。
【0039】
まず、モード設定動作について図面を参照しながら説明する。図2は、モード設定動作時に制御部30が行う処理を示したフローチャートである。
【0040】
ユーザは、タッチパネル32を操作する。これに応じて、制御部30は、タッチパネル32にモード設定動作のための設定画面を表示する(ステップS1)。図3は、該設定画面の一例を示した図である。設定画面には、用紙サイズとモードとが関連付けて表示される。なお、モードとは、カール抑制モードを意味し、ONとは、カール抑制モードが設定されていることを示し、OFFとは、通常モードが設定されていることを示す。
【0041】
制御部30は、ユーザによりカール抑制モードの設定を行う用紙サイズが選択されたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS2)。応じて、ユーザは、タッチパネル32上において、カール抑制モードを設定したい用紙サイズを選択する。なお、図3では、用紙サイズ「A4タテ」が選択されている。
【0042】
次に、制御部30は、ユーザにより通常モード(OFF)からカール抑制モード(ON)にモードが変更されたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS3)。応じて、ユーザは、タッチパネル32上において、選択した用紙サイズのモードをOFFからONに切り替える。なお、図3では、用紙サイズ「A4タテ」がOFFからONに切り替えられている。
【0043】
次に、制御部30は、記憶部31が記憶している表1に示す第1のテーブルを更新する(ステップS4)。なお、図3に示す設定画面の場合には、制御部30は、用紙サイズ「A4タテ」のモードをOFFからONに変更する。以上で、モード設定動作が終了する。
【0044】
次に、印刷動作について図面を参照しながら説明する。図4は、印刷動作時に制御部30が行う処理を示したフローチャートである。
【0045】
制御部30は、印刷ジョブが入力されてきたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS11)。ユーザは、タッチパネル32を操作して、印刷媒体の用紙サイズを選択し、印刷開始の指示を行う。なお、印刷ジョブが画像形成装置1に複数種類の用紙サイズの印刷媒体に対して印刷を行わせる異サイズ混載ジョブである場合には、ユーザは、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであることをタッチパネル32により入力する。これにより、制御部30は、印刷ジョブを取得する。
【0046】
印刷ジョブを取得した制御部30は、該印刷ジョブに含まれる用紙サイズを識別し、表1の第1のテーブルを参照して、該用紙サイズにカール抑制モードが設定されているか否かを判定する(ステップS12)。カール抑制モードが設定されている場合には、本処理はステップS13に進む。カール抑制モードが設定されていない場合には、本処理はステップS15に進む。
【0047】
カール抑制モードが設定されている場合、制御部30は、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであるか否かを判定する(ステップS13)。異サイズ混載ジョブでない場合には、本処理はステップS14に進む。異サイズ混載ジョブである場合には、本処理はステップS15に進む。
【0048】
異サイズ混載ジョブでない場合、制御部30は、印刷媒体の表裏を反転させて反転部22及び搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS14)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、印刷媒体を反転経路R2又は反転経路R4側へと導くように、切換爪24a又は切換爪24bの向きを制御する。そして、制御部30は、印刷媒体を下方の反転経路R5へと反転ローラ対23a又は23cに搬送させる。この後、制御部30は、反転ローラ対23a,23b,23cの回転方向を反転させて、反転経路R5の上方へと印刷媒体を搬送させる。これにより、印刷媒体は、表裏が反転された状態で搬送経路Rへと搬送される。この後、本処理はステップS16に進む。
【0049】
前記ステップS15において、制御部30は、印刷媒体の表裏を反転部22に反転させずに搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS15)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bから給紙される印刷媒体を搬送経路R側へと導くように、切換爪24a又は切換爪24bの向きを制御する。これにより、印刷媒体は、搬送経路Rへと搬送される。この後、本処理はステップS16に進む。
【0050】
前記ステップS16において、制御部30は、印刷媒体に対して画像を印刷する(ステップS16)。より詳細には、制御部30は、搬送ローラ対7c,7d,7eに印刷媒体を搬送させる。この際、2次転写位置13において、印刷媒体にトナー画像が2次転写され、2次転写されたトナー画像は、定着装置15において定着される。この後、画像が印刷された印刷媒体は、排出ローラ対17により排紙部9に排出される。なお、ステップS14ないしステップS16における処理は、印刷ジョブが終了するまで繰り返し実行される。以上で、本印刷を終了する。
【0051】
次に、モード解除動作について図面を参照しながら説明する。図5は、モード解除動作時に制御部30が行う処理を示したフローチャートである。本実施形態に係る画像形成装置1では、モード解除動作は、印刷ジョブが終了した場合、電源がON/OFFされた場合、自動給紙カセット5a,5bの印刷媒体がなくなった場合、又は、自動給紙カセット5a,5bが開閉された場合に、実行される。
【0052】
まず、制御部30は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS21)。印刷ジョブが終了したという意味は、ユーザがカール抑制モードを設定した直後に行われた印刷ジョブが終了したことである。印刷ジョブが終了していない場合には、本処理はステップS22に進む。印刷ジョブが終了した場合には、本処理はステップS25に進む。
【0053】
印刷ジョブが終了していない場合、制御部30は、画像形成装置1の電源がON/OFFされたか否かを判定する(ステップS22)。電源がON/OFFされたという意味は、前回にユーザがカール抑制モードを設定してからステップS22の判定までの間に、電源のON/OFFがされたことである。電源がON/OFFされていない場合には、本処理はステップS23に進む。電源がON/OFFされた場合には、本処理はステップS25に進む。
【0054】
電源がON/OFFされていない場合、制御部30は、自動給紙カセット5a,5b内の印刷媒体がなくなっているか否かを判定する(ステップS23)。印刷媒体がなくなっている場合には、本処理はステップS25に進む。印刷媒体がなくなっていない場合には、本処理はステップS24に進む。
【0055】
印刷媒体がなくなっていない場合、制御部30は、自動給紙カセット5a,5bが開閉されたか否かを判定する(ステップS24)。自動給紙カセット5a,5bが開閉されたという意味は、前回にユーザがカール抑制モードを設定してからステップS24の判定までの間に、自動給紙カセット5a,5bが開閉されたことである。自動給紙カセット5a,5bが開閉された場合には、本処理はステップS25に進む。自動給紙カセット5a,5bが開閉されていない場合、制御部30は、第1のテーブルの更新をする必要がないと判断する。そして、本処理は終了する。
【0056】
前記ステップS25において、制御部30は、表1に示す第1のテーブルを参照して、モードの欄がONになっている用紙サイズが存在するか否かを判定する(ステップS25)。第1のテーブル中にONが存在する場合には、本処理はステップS26に進む。第1のテーブル中にONが存在しない場合には、制御部30は、第1のテーブルの更新をする必要がないと判断する。そして、本処理は終了する。
【0057】
第1のテーブル中にONが存在する場合には、制御部30は、ステップS21における印刷ジョブに含まれる用紙サイズ、ステップS23においてなくなった印刷媒体の用紙サイズ、又は、ステップS24において開閉された自動給紙カセット5a,5bの用紙サイズに対応するモードの欄を、ONからOFFに切り替える(ステップS26)。すなわち、制御部30は、カール抑制モードから通常モードに切り替える。なお、ステップS22において、制御部30は、電源のON/OFFがされたと判断した場合には、表1の全てのモードの欄を、ONからOFFに切り替える。以上で、本処理は終了する。
【0058】
(効果)
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、ユーザの入力に従って、印刷媒体の表裏が反転された状態で画像の印刷が行われるようになる。その結果、画像形成装置1は、ユーザに煩雑な作業を行わせることなく、印刷媒体にカールが発生することを効果的に抑制することができる。
【0059】
(変形例)
なお、本実施形態に係る画像形成装置1では、印刷ジョブが終了した場合、電源がON/OFFされた場合、自動給紙カセット5a,5bの印刷媒体がなくなった場合、又は、自動給紙カセット5a,5bが開閉された場合に、制御部30は、カール抑制モードから通常モードへと変更するようにしているが、カール抑制モードから通常モードへの変更タイミングはこれに限らない。すなわち、自動給紙カセット5a,5b内の印刷媒体の表裏の向きが反転しうるタイミングにおいて、制御部30は、カール抑制モードから通常モードへと変更すればよい。また、ユーザがタッチパネル32を入力手段として用いてこのタイミングを任意に入力できるようにしてもよい。この場合、記憶部31は、表2に示す第2のテーブルを記憶している。
【0060】
【表2】

【0061】
前記第2のテーブルには、カール抑制モードから通常モードへと制御部30が自動的に変更するタイミングと、その設定とが関連付けて記録されている。設定の欄がONである場合には、該設定の欄に対応する解除タイミングにおいて、制御部30は、自動的にカール抑制モードから通常モードへと変更する。
【0062】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示した図である。
【0063】
第1の実施形態に係る画像形成装置1と本実施形態に係る画像形成装置1との構成上の相違点は、検知部33の有無のみである。そこで、以下では、検知部33について図面を参照しながら説明する。図7は、検知部33の構成図である。より詳細には、図7(a)は、検知部33の側面図であり、図7(b)は、検知部33を矢印αの方向から見た図である。
【0064】
図7に示すように、検知部33は、ガイド35,36、検知板37,38及びセンサ39,40を含む。ガイド35,36は、互いに略平行に配置され、金属板を折り曲げる等して作製され、印刷媒体の進行方向を規制する役割を果たす。ガイド35,36の一部は、図7(a)に示すように、外方に膨らんでいる。更に、図7(b)に示すように、ガイド35には、スリットSが形成されている。なお、図示はしないが、ガイド36にも、同様に、スリットSが形成されている。
【0065】
検知板37,38は、ガイド35,36の外方において、該ガイド35,36に対して垂直な面内において回転可能に設けられた部材である。該検知板37,38は、ガイド35,36の膨らんだ部分の内側に前記スリットSを介して挿入されている。センサ39,40は、検知板37,38の一端に設けられ、検知板37,38の状態を検知する。より詳細には、センサ39,40の受光部は、検知板37,38の一部が実線に示すようにガイド35,36の膨らんだ部分の内側にあるときには、検知板37,38に遮光されない。このとき、センサ39,40からは、ハイレベルの信号が出力される。一方、センサ39,40の受光部は、検知板37,38の一部が点線に示すようにガイド35,36の膨らんだ部分の外側にあるときには、検知板37,38に遮光される。このとき、センサ39,40からは、ローレベルの信号が出力される。
【0066】
以上のように構成された検知部33では、カールが発生した印刷媒体が通過するときには、印刷媒体が検知板37又は検知板38のいずれかに接触し、検知板37又は検知板38は、図7(a)の点線に示すように、センサ39又はセンサ40の受光部を遮光する。一方、カールが発生していない印刷媒体が通過するときには、印刷媒体が検知板37又は検知板38のいずれにも接触せず、検知板37又は検知板38は、図7(a)の実線に示すように、センサ39又はセンサ40の受光部を遮光しない。制御部30は、このときにセンサ39,40から出力される信号に基づいて、印刷媒体にカールが発生しているか否かを判定する。以上で、検知部33の構成の説明を終了する。
【0067】
以上のような検知部33を備えた画像形成装置1は、印刷ジョブに基づいて、1枚だけ印刷媒体に画像を印刷し、このとき検知部33にて印刷媒体にカールが発生したか否かを検知する。この際、検知部33は、印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得する取得手段としての役割を果たしている。そして、カールが印刷媒体に発生した場合には、画像形成装置1は、以後の印刷媒体に対する画像の印刷をカール低減モードにより行う。以下に、図8を参照しながら、該画像形成装置1の動作について説明する。図8は、制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0068】
まず、制御部30は、印刷ジョブが入力されてきたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS31)。ユーザは、タッチパネル32を操作して、印刷媒体の用紙サイズを選択し、印刷開始の指示を行う。なお、印刷ジョブが画像形成装置1に複数種類の用紙サイズの印刷媒体に対して印刷を行わせる異サイズ混載ジョブの場合には、ユーザは、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであることをタッチパネル32により入力する。これにより、制御部30は、印刷ジョブを取得する。
【0069】
印刷ジョブを取得した制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a,5bに1枚だけ印刷媒体を給紙させる(ステップS32)。
【0070】
印刷媒体が給紙されると、制御部30は、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eを回転させて、印刷媒体を搬送させる(ステップS33)。この際、印刷媒体は、2次転写位置13及び定着装置15を通過する。2次転写位置13において、トナー画像が2次転写され、定着装置15が、トナー画像を定着させる。これにより、印刷媒体に画像が印刷される(ステップS34)。このとき、印刷媒体が再生紙であって、該印刷媒体の自動給紙カセット5a,5bへのセット方向によっては、印刷媒体にカールが発生する。
【0071】
次に、印刷媒体は、検知部33を通過する。この際、制御部30は、検知部33から出力されてくるローレベルの信号又はハイレベルの信号に基づいて、カールの発生の有無を検知する(ステップS35)。制御部30は、ローレベルの信号が出力されてきた場合には、印刷媒体にカールが発生したと判定する。一方、制御部30は、ハイレベルの信号が出力されてきた場合には、印刷媒体にカールが発生していないと判定する。そして、制御部30は、記憶部31に記憶されている表1に示す第1のテーブルを更新する(ステップS36)。
【0072】
次に、制御部30は、該印刷ジョブに含まれる用紙サイズを識別し、表1の第1のテーブルを参照して、該用紙サイズにカール抑制モードが設定されているか否かを判定する(ステップS37)。カール抑制モードが設定されている場合には、本処理はステップS38に進む。カール抑制モードが設定されていない場合には、本処理はステップS40に進む。
【0073】
カール抑制モードが設定されている場合、制御部30は、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであるか否かを判定する(ステップS38)。異サイズ混載ジョブでない場合には、本処理はステップS39に進む。異サイズ混載ジョブである場合には、本処理はステップS40に進む。
【0074】
異サイズ混載ジョブでない場合、制御部30は、印刷媒体の表裏を反転させて反転部22及び搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS39)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、印刷媒体を反転経路R2又は反転経路R4側へと導くように、切換爪24a又は切換爪24bの向きを制御する。そして、制御部30は、印刷媒体を下方の反転経路R5へと反転ローラ対23a又は反転ローラ対23cに搬送させる。この後、制御部30は、反転ローラ対23a,23cの回転方向を反転させて、反転経路R5の上方へと印刷媒体を搬送させる。これにより、印刷媒体は、表裏が反転された状態で搬送経路Rへと搬送される。この後、本処理はステップS41に進む。
【0075】
前記ステップS40において、制御部30は、印刷媒体の表裏の反転をさせずに搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS40)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bから給紙される印刷媒体を搬送経路R側へと導くように、切換爪24a又は自動給紙カセット24bの向きを制御する。これにより、印刷媒体は、搬送経路Rへと搬送される。この後、本処理はステップS41に進む。
【0076】
前記ステップS41において、制御部30は、印刷媒体に対して画像を印刷する(ステップS41)。より詳細には、制御部30は、搬送ローラ対7c,7d,7eに印刷媒体を搬送させる。この際、2次転写位置13において、印刷媒体にトナー画像が2次転写され、2次転写されたトナー画像は、定着装置15において定着される。この後、画像が印刷された印刷媒体は、排出ローラ対17により排紙部9に排出される。なお、ステップS39ないしステップS41における処理は、印刷ジョブが終了するまで繰り返し実行される。以上で、本印刷を終了する。
【0077】
(効果)
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、検知部33において1枚目の印刷媒体のカールの発生の有無を検知し、印刷媒体にカールが発生した場合には、その後の印刷媒体の表裏が反転された状態で画像の印刷を行っている。その結果、画像形成装置1は、ユーザに煩雑な作業を行わせることなく、印刷媒体にカールが発生することを効果的に抑制することができる。
【0078】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1においても、第1の実施形態に係る画像形成装置1と同様に、モード解除動作が行われてもよい。
【0079】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照しながら説明する。図9ないし図11は、画像形成装置1における用紙の搬送方向を示した図である。
【0080】
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る画像形成装置1では、印刷媒体には方向性が存在しなかった。そのため、カール抑制モードが設定されている場合に、表裏が反転された状態で印刷媒体が搬送されたとしても、印刷媒体の方向と印刷方向との整合に留意する必要がなかった。
【0081】
しかしながら、例えば、パンチ穴が予め設けられた状態で自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体がセットされると、印刷媒体の方向と印刷方向とに不整合が発生する場合がある。以下に、詳しく説明する。
【0082】
通常モードが設定されている場合には、図9に示すように、パンチ穴が給紙方向後端に位置するように、自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体がセットされた状態において、印刷媒体の上側の面に対して画像が印刷される。そのため、排紙部9に印刷媒体が排出された状態では、印刷面が下側に位置し、印刷媒体の右側にパンチ穴が位置し、かつ、紙面奥側に画像の上側が位置するようになる。以下、この状態を印刷方向とパンチ穴とが整合した整合状態と称す。また、紙面奥側に画像の上側が位置するように画像が形成されることを、第1の方向を向くように画像が形成されると称す。
【0083】
一方、カール抑制モードが設定されている場合には、図10に示すように、印刷媒体が、反転経路5Rにて表裏が反転させられた状態で搬送されて、画像が印刷媒体に印刷される。そのため、画像の印刷面は、自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体がセットされた状態における、印刷媒体の下側の面であり、パンチ穴は給紙方向前端に位置するようになる。その結果、排紙部9に印刷媒体が排出された状態では、印刷面が下側に位置し、印刷媒体の左側にパンチ穴が位置し、かつ、紙面奥側に画像の上側が位置するようになる。すなわち、カール抑制モードが設定されている場合では、印刷方向とパンチ穴とが整合しない。以下、この状態を不整合状態と称す。
【0084】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1は、カール抑制モードが設定された場合における不整合状態を防止するために、図11に示すように、第1の方向に対して180度回転した方向を向くように画像を印刷媒体に印刷する。これにより、排紙部9に印刷媒体が排出された状態では、印刷面が下側に位置し、かつ、紙面手前側に画像の上側が位置するようになる。すなわち、印刷方向とパンチ穴とが整合状態をとるようになる。以下では、第1の方向に対して180度回転した方向を第2の方向と定義する。
【0085】
以下に、前記動作を行うための第3の実施形態に係る画像形成装置1についてより詳細に説明する。本実施形態に係る画像形成装置1の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る画像形成装置1の構成と同じである。そこで、以下に、本実施形態に係る画像形成装置1と第1の実施形態に係る画像形成装置との相違点を中心に説明する。
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置1では、ユーザは、表3に示す第3のテーブルのように、モード及び方向性を用紙サイズ毎に設定することができる。用紙サイズ及びモードは、第1の実施形態において既に説明を行ったのでこれ以上の説明を省略する。
【0087】
【表3】

【0088】
方向性は、印刷媒体に対して所定の方向に画像を印刷する必要性の有無を示している。より詳細には、例えば、印刷媒体に対してパンチ穴が形成されていたり、ミシン目加工が施されていたり、予め罫線や枠線が印刷されていて、印刷すべき位置が決まっており、かつ、上下左右のマージンが異なっている場合には、該印刷媒体に対して所定の方向に画像を印刷する必要がある。このような印刷媒体を反転時の給紙方向の前後が非対称となる状態で自動給紙カセット5a,5bにセットすると、不整合状態が発生する。そこで、このように画像を所定の方向に印刷する必要がある場合を、方向性有りと称し、画像を所定の方向に印刷する必要がない場合を、方向性無しと称す。そして、第3のテーブルの方向性の欄には、この方向性の有無が設定される。
【0089】
ユーザは、タッチパネル32により、印刷媒体のサイズ毎(すなわち、自動給紙カセット5a,5b毎)にカール抑制モード又は通常モードに関する設定(情報)を入力すると共に、方向性の有無に関する設定(方向性情報)を入力する。このとき、タッチパネル32は、印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得する取得手段としての役割を果たすと共に、自動給紙カセット5a,5bに格納されている印刷媒体に方向性があるか否かに関する方向性情報を取得する方向性情報取得手段としての役割を果たす。これにより、制御部30は、記憶部31の第3のテーブルを更新する。
【0090】
制御部30は、ユーザから印刷ジョブを受付けた場合、表3の設定に基づいて、カール抑制モード又は通常モードのいずれかにて、印刷媒体の搬送を、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7e及び反転部22に実行させる。より詳細には、カール抑制モードである場合には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a,5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、反転部22に印刷媒体の表裏を反転させる。この後、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eは、表裏が反転された印刷媒体を搬送する。更に、制御部30は、方向性無しの場合には、第1の方向を画像が向くように該画像を印刷媒体に対して印刷する。一方、制御部30は、方向性有りの場合には、第2の方向を画像が向くように該画像を印刷媒体に対して印刷すると共に、印刷媒体に対してステープル処理及びパンチ処理を施すことを禁止する
【0091】
一方、通常モードである場合には、反転部22は、動作せず、搬送ローラ対7a,7b,7c,7d,7eは、印刷媒体を搬送する。制御部30は、第1の方向を画像が向くように該画像を印刷媒体に対して印刷する。
【0092】
(画像形成装置の動作について)
以上のように構成された画像形成装置1について、以下にその動作について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置1のモード設定動作、印刷動作及びモード解除動作の内、モード解除動作については、第1の実施形態に係る画像形成装置1のモード解除動作と同じであるので説明を省略する。
【0093】
まず、モード設定動作について図面を参照しながら説明する。図12は、モード設定動作時に制御部30が行う処理を示したフローチャートである。
【0094】
ユーザは、タッチパネル32を操作する。これに応じて、制御部30は、タッチパネル32にモード設定動作のための設定画面を表示する(ステップS51)。図13は、該設定画面の一例を示した図である。設定画面には、用紙サイズとモードと方向性とが関連付けて表示される。
【0095】
制御部30は、ユーザによりカール抑制モードの設定を行う用紙サイズが選択されたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS52)。応じて、ユーザは、タッチパネル32上において、カール抑制モードを設定したい用紙サイズを選択する。なお、図13では、用紙サイズ「A4タテ」が選択されている。
【0096】
次に、制御部30は、ユーザにより通常モード(OFF)からカール抑制モード(ON)にモードが変更されたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS53)。応じて、ユーザは、タッチパネル32上において、選択した用紙サイズのモードをOFFからONに切り替える。なお、図13では、用紙サイズ「A4タテ」がOFFからONに切り替えられている。
【0097】
次に、制御部30は、ユーザにより方向性が変更されたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS54)。応じて、ユーザは、タッチパネル32上において、選択した用紙サイズの方向性を無しから有り又は有りから無しに切り替える。なお、図13では、用紙サイズ「A4タテ」が無しから有りに切り替えられている。
【0098】
次に、制御部30は、記憶部31が記憶している表3に示す第3のテーブルを更新する(ステップS55)。なお、図13に示す設定画面の場合には、制御部30は、用紙サイズ「A4タテ」のモードをOFFからONに変更すると共に、用紙サイズ「A4タテ」の方向性を無しから有りに変更する。以上で、モード設定動作が終了する。
【0099】
次に、印刷動作について図面を参照しながら説明する。図14は、印刷動作時に制御部30が行う処理を示したフローチャートである。
【0100】
制御部30は、印刷ジョブが入力されてきたか否かの判定を繰り返しながら待機する(ステップS61)。ユーザは、タッチパネル32を操作して、印刷媒体の用紙サイズを選択し、印刷開始の指示を行う。なお、印刷ジョブが画像形成装置1に複数種類の用紙サイズの印刷媒体に対して印刷を行わせる異サイズ混載ジョブである場合には、ユーザは、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであることをタッチパネル32により入力する。これにより、制御部30は、印刷ジョブを取得する。
【0101】
印刷ジョブを取得した制御部30は、該印刷ジョブに含まれる用紙サイズを識別し、表3の第3のテーブルを参照して、該用紙サイズにカール抑制モードが設定されているか否かを判定する(ステップS62)。カール抑制モードが設定されている場合には、本処理はステップS63に進む。カール抑制モードが設定されていない場合には、本処理はステップS65に進む。
【0102】
カール抑制モードが設定されている場合、制御部30は、印刷ジョブが異サイズ混載ジョブであるか否かを判定する(ステップS63)。異サイズ混載ジョブでない場合には、本処理はステップS64に進む。異サイズ混載ジョブである場合には、本処理はステップS65に進む。
【0103】
前記ステップS65において、制御部30は、印刷媒体の表裏を反転部22に反転させずに搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS65)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bから給紙される印刷媒体を搬送経路R側へと導くように、切換爪24a又は切換爪24bの向きを制御する。これにより、印刷媒体は、搬送経路Rへと搬送される。
【0104】
次に、制御部30は、画像が第1の方向を向くように印刷媒体に対して該画像を印刷する(ステップS66)。より詳細には、制御部30は、搬送ローラ対7c,7d,7eに印刷媒体を搬送させる。この際、2次転写位置13において、第1の方向を向いたトナー画像が印刷媒体に対して2次転写され、2次転写されたトナー画像は、定着装置15において定着される。この後、画像が印刷された印刷媒体は、排出ローラ対17により排紙部9に排出される。以上で、本印刷を終了する。
【0105】
ステップS63において異サイズ混載ジョブでない場合、制御部30は、印刷媒体の表裏を反転させて反転部22及び搬送ローラ対7a,7bに印刷媒体を搬送させる(ステップS64)。より詳細には、制御部30は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズに対応する自動給紙カセット5a又は自動給紙カセット5bに印刷媒体を給紙させる。次に、制御部30は、印刷媒体を反転経路R2又は反転経路R4側へと導くように、切換爪24a又は切換爪24bの向きを制御する。そして、制御部30は、印刷媒体を下方の反転経路R5へと反転ローラ対23a又は23cに搬送させる。この後、制御部30は、反転ローラ対23a,23b,23cの回転方向を反転させて、反転経路R5の上方へと印刷媒体を搬送させる。これにより、印刷媒体は、表裏が反転された状態で搬送経路Rへと搬送される。この後、本処理はステップS67に進む。
【0106】
次に、制御部30は、ステップS61において取得した印刷ジョブに含まれる用紙サイズを識別し、該用紙サイズの印刷媒体に方向性があるか否かを判定する(ステップS67)。方向性がある場合には、本処理はステップS68に進む。方向性がない場合には、本処理はステップS70に進む。
【0107】
方向性がある場合に、制御部30は、画像が第2の方向を向くように印刷媒体に対して該画像を印刷する(ステップS68)。より詳細には、制御部30は、搬送ローラ対7c,7d,7eに印刷媒体を搬送させる。この際、2次転写位置13において、第2の方向を向いたトナー画像が印刷媒体に対して2次転写され、2次転写されたトナー画像は、定着装置15において定着される。この後、画像が印刷された印刷媒体は、排出ローラ対17により排紙部9に排出される。更に、制御部30は、パンチ処理やステープル処理の実行を禁止する(ステップS69)。以上で、本印刷を終了する。
【0108】
方向性がない場合に、制御部30は、画像が第1の方向を向くように印刷媒体に対して該画像を印刷する(ステップS70)。より詳細には、制御部30は、搬送ローラ対7c,7d,7eに印刷媒体を搬送させる。この際、2次転写位置13において、第1の方向を向いたトナー画像が印刷媒体に対して2次転写され、2次転写されたトナー画像は、定着装置15において定着される。この後、画像が印刷された印刷媒体は、排出ローラ対17により排紙部9に排出される。これらステップS64ないしS70における処理は、印刷ジョブが終了するまで繰り返し実行される。以上で、本印刷を終了する。
【0109】
(効果)
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、方向性がある印刷媒体に対してカール抑制モードにて画像を形成する際に、印刷すべき画像を本来の方向(第1の方向)から180度回転させて印刷している。そのため、カール抑制モードにて画像を印刷する際に、印刷方向とパンチ穴とが整合しない不整合状態が発生することが防止される。
【0110】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1では、第1の実施形態に係る画像形成装置1において、方向性がある印刷媒体に対して、カール抑制モードにて画像を印刷する際に、印刷すべき画像を本来の方向から180度回転させているが、同様の動作を第2の実施形態に係る画像形成装置1に行わせることも可能である。
【0111】
なお、第1の実施形態ないし及び第3の実施形態に係る画像形成装置1において、印刷媒体の表とは、印刷媒体において、図1又は図6の自動給紙カセット5a,5bにセットされた状態における上側の面を示し、印刷媒体の裏とは、自動給紙カセット5a,5bにセットされた状態における下側の面をさす。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】モード設定動作時に制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【図3】設定画面の一例を示した図である。
【図4】印刷動作時に制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【図5】モード解除動作時に制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図7】検知部の構成図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置の制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図9】画像形成装置における用紙の搬送方向を示した図である。
【図10】画像形成装置における用紙の搬送方向を示した図である。
【図11】画像形成装置における用紙の搬送方向を示した図である。
【図12】モード設定動作時に第3の実施形態に係る画像形成装置の制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【図13】設定画面の一例を示した図である。
【図14】印刷動作時に第3の実施形態に係る画像形成装置の制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
5a,5b 自動給紙カセット
7a,7b,7c,7d,7e 搬送ローラ対
13 2次転写位置
15 定着装置
17 排出ローラ対
22 反転部
30 制御部
31 記憶部
32 タッチパネル
33 検知部
R 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を格納するカセットと、
前記印刷媒体の表裏を反転させる反転手段と、
前記印刷媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段が搬送している前記印刷媒体に対して画像を印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体に発生するカールを抑制するか否かに関する情報を取得する取得手段と、
前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す場合には、前記反転手段に該印刷媒体の表裏を反転させた後に前記搬送手段により該印刷媒体を搬送させ、該情報が該印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す場合には、該反転手段に該印刷媒体の表裏を反転させることなく該搬送手段により該印刷媒体を搬送させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザは、前記取得手段を用いて前記情報を入力し、
前記情報を記憶する記憶手段を、
更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カセットは、複数種類のサイズの前記印刷媒体を格納できるように、複数設けられており、
前記ユーザは、前記取得手段により、前記カセット毎に前記情報を入力でき、
前記記憶手段は、前記カセット毎に前記情報を記憶していること、
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記カセット、前記反転手段、前記搬送手段及び前記印刷手段に印刷ジョブを実行させると共に、該印刷ジョブの実行が終了した場合には、印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更すること、
を特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記カセット内の前記印刷媒体がなくなった場合には、印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更すること、
を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記カセットが開けられた場合には、該カセットに対応する印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報を、印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更すること、
を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷媒体に発生するカールを抑制することを示す情報から印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す情報に変更する時期を、前記ユーザが入力する入力手段を、
更に備えることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、印刷ジョブが、複数種類のサイズの印刷媒体に対して画像を印刷することを示す場合には、前記情報が印刷媒体に発生するカールを抑制することを示していても、前記反転手段に印刷媒体の表裏を反転させることなく前記搬送手段により印刷媒体を搬送させること、
を特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記取得手段は、前記搬送手段が搬送した前記印刷媒体のカール状態を検出する検出手段であること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カセットに格納されている印刷媒体に方向性があるか否かに関する方向性情報を取得する方向性情報取得手段を、
更に備え、
前記印刷手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制しないことを示す場合には、該印刷媒体に対して画像が第1の方向を向くように該画像を印刷し、
前記制御手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、前記方向性情報が該印刷媒体に方向性がないことを示す場合には、前記第1の方向を向くように該画像を該印刷媒体に対して前記印刷手段に印刷させ、該情報が該印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、該方向性情報が該印刷媒体に方向性があることを示す場合には、該第1の方向から180度回転した第2の方向を向くように該画像を該印刷媒体に対して該印刷手段に印刷させること、
を特徴する請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記情報が前記印刷媒体に発生するカールを抑制することを示し、かつ、前記方向性情報が該印刷媒体に方向性があることを示す場合には、該印刷媒体に対してステープル処理及びパンチ処理を施すことを禁止すること、
を特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−62194(P2009−62194A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107760(P2008−107760)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】