説明

画像形成装置

【課題】所定極性の電圧を出力する電源を用いて、2通りのクリーニングを可能とした画像形成装置を提供すること。
【解決手段】転写後の像担持体の表面をクリーニングするブラシと、ブラシが回転されたとき、当該ブラシと接触するように設けられた当接部材と、トナーの帯電極性と逆極性の電圧を出力する電源と、当接部材を介して、電源の出力をブラシに付与する制御手段と、を有する画像形成装置において、電源は、ブラシによる像担持体のクリーニング時に使用される第1電圧と、画像形成装置の非作像時であって、ブラシに蓄積されたトナーの除去時に使用される、第1電圧よりも大きい第2電圧の出力が可能であり、制御手段は、画像形成装置の非作像時において、電源の出力を第1電圧から第2電圧に切り換える、ことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、粉体トナーを用いて画像を形成し、転写材上に転写する形式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、それらの機能を組み合わせて構成される複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムからなる像担持体上に、帯電、露光、現像処理を施して形成したトナー画像を直接、転写材上に転写するか、一度、中間転写ベルトからなる像担持体に転写せしめた後、転写材上に転写し、定着処理を施す構成の画像形成装置はよく知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、転写工程終了後に像担持体の表面に残留しているトナー(残留トナー)を除去すべくクリーニング装置を備えているのが一般的である。
【0004】
クリーニング装置としては、ゴム製のクリーニングブレードを用いる形態と、繊維からなるクリーニングブラシを用いる形態とに大別され、仕様に応じて適宜に選択使用されてきた。
【0005】
しかしながら、クリーニングブレードを用いる形態では、使用時間の増大に伴ってクリーニングブレードの先端捲れが生じたり、あるいは、重合トナーと呼称されるトナーのように粒径が小さいトナーに対してクリーニング性能が十分ではないという問題がある。
【0006】
近年、そのような小粒径トナー(例えば、体積平均粒径が3〜8ミクロン)に対しても良好なクリーニング性能を保有しうる形態として、上述の如くのクリーニングブラシを用いる形態が見直され、その技術の改良が進められている。
【0007】
但し、このクリーニングブラシを主要素とするクリーニング装置は、像担持体の表面から残留トナーを高効率で除去することはできるものの、新たな問題のあることが解った。
【0008】
即ち、除去したトナーがクリーニングブラシ内に混入し、蓄積してしまうという問題がそれである。
【0009】
クリーニングブラシ(実質的には、クリーニングブラシを構成する繊維間である)に蓄積されたトナーを適宜に吐き出させる(回収する意)ことができないと、クリーニング性能の低下につながり、やがて、クリーナーとしての機能を果たせなくなる。
【0010】
このような問題の対処策として次のような方法が提案されている。
【0011】
例えば、クリーニングブラシと当接部材とを上述の如くに配置するとともに、マイナス極性の電圧を出力する電源およびプラス極性の電圧を出力する電源とを備えておく。
【0012】
そして、像担持体表面をクリーニングする場合は、現像時において付与されるトナーの帯電極性とは逆極性の電圧をクリーニングブラシに付与する。
【0013】
また、クリーナ(クリーニングブラシ)を清掃する場合は、前記に代えて、トナーの帯電極性と同極性の電圧を付与し、蓄積しているトナーを吐き出す方法がそれである。
【特許文献1】特開2006−30520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に開示された方法は、クリーニングブラシに混入・蓄積したトナーを吐き出させるための1つの有用な方法ではあるが、1つのブラシに2つの電源を準備する必要があるので、電源構成が大掛かりになるという問題がある。
【0015】
また、極性切り換えによって2つのクリーニングを達成するという以外の技術的思想は示されていない。
【0016】
本願発明は、上述の如くの問題に鑑みて成されたもので、その目的は、所定極性の電圧を出力する簡素化した電源を用いて、上述の如くの2通りのクリーニングを可能とした画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明の目的は、下記する構成要件のよって達成することができる。
【0018】
1.記録媒体へのトナーによる画像形成動作を担う機能性部材と、画像形成動作後に前記機能性部材の表面をクリーニングする可回転のクリーニングブラシと、少なくとも、前記クリーニングブラシが回転されたとき、当該クリーニングブラシと接触するように設けられた当接部材と、前記トナーの帯電極性と逆極性の電圧を出力する電源と、前記当接部材を介して、前記電源の出力を前記クリーニングブラシに付与する制御手段と、を有する画像形成装置において、
前記電源は、前記クリーニングブラシによる前記機能性部材とのクリーニング時に使用される第1電圧と、前記画像形成装置の非作像時であって、前記クリーニングブラシに蓄積されたトナーの除去時に使用される、前記第1電圧よりも大きい第2電圧の出力が可能であり、
前記制御手段は、前記画像形成装置の非作像時において、前記電源の出力を第1電圧から第2電圧に切り換える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【0019】
2.前記画像形成装置の非作像時における前記当接部材と前記クリーニングブラシの軸との間の電圧差は200ボルト以上であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0020】
3.前記電源は定電流電源であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0021】
4.前記電源は定電圧電源であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0022】
5.前記機能性部材は像担持体であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0023】
6.前記機能性部材は記録材搬送ベルトであることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0024】
7.前記像担持体は中間転写体であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0025】
8.前記像担持体は中間転写ベルトであり、かつ、前記中間転写ベルトの移動方向において、前記クリーニングブラシおよび前記当接部材の下流位置近傍には、第2のクリーニングブラシと第2の当接部材とが設けられ、かつ、前記第2のクリーニングブラシには、トナーの帯電極性と同極性の電圧を出力する第2の電源からの出力が前記第2の当接部材を介して付与される、
ことを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本願発明は、所定極性の電圧(電流)を出力できる電源からの出力の大きさを変えてクリーニングブラシに付与する簡単な構成で、像担持体表面からの残留トナーの除去と、クリーニングブラシ内からの蓄積トナーの吐き出しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本願発明に係わる実施の形態について図面を基に説明する。
【0028】
図1は、デジタルカラー複写機からなる画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0029】
画像形成装置(画像形成装置本体という場合がある)は、上部に自動原稿送り装置1を有し、内部に画像読み取り部2、画像形成部3、ベルトユニット4のためのベルト設置部、給紙部5、定着装置T、反転排紙・再給紙部6と反転搬送手段ADU7を有する。
【0030】
自動原稿送り装置1は、原稿を1枚ずつ送り出して画像読み取り位置へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を所定の場所に排出する装置である。
【0031】
自動原稿送り装置1は、原稿載置台101、原稿分離手段103、原稿搬送部105、原稿排紙手段107、原稿排紙台109、および、両面コピーモードにおいて、原稿の表裏面を反転させるためのローラ対からなる原稿反転手段111を有している。
【0032】
原稿読み取り位置は、原稿搬送部105の下方部に設けられており、そこで、画像読み取り部2を構成するスリット201を介して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0033】
なお、両面コピーモードにおいては、片面が読み取られて搬送されてくる原稿は原稿反転手段111により二点鎖線の矢印で示す方向に搬送される。
【0034】
そして、進行方向における原稿の後端を咬んでいる状態で駆動停止された後の原稿反転手段111の逆方向回転により、前記原稿搬送部105を介して、再び画像読み取り位置に導かれた後、原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0035】
画像読み取り部2は、スリット201、原稿照射用のランプ213と原稿の反射光を反射させる第1ミラー215とを一体化した第1ミラーユニット205、第2ミラー217と第3ミラー219とを一体化した第2ミラーユニット207を有する。
【0036】
また、第3ミラー219からの反射光を撮像素子上に結像させる結像レンズ209、および、結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を有している。
【0037】
画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、後記する制御手段S内のメモリに蓄積されるようになっている。
【0038】
自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読み取り部2で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205および第2ミラーユニット207は、図示の如き位置に固定されている。
【0039】
画像読み取り部2によって読み取られた各色毎の画像情報は、前記メモリより順次取り出され、静電荷潜像形成手段である各色毎の露光光学系にそれぞれ電気信号として入力される。
【0040】
画像形成部3は色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の4組の画像形成手段30(30Y、30M、30C、30BK:以下、画像形成ユニットという)を有する。
【0041】
各々の画像形成ユニット30は、像担持体としての感光体ドラム310、帯電器320、画像書き込み手段である露光光学系330、現像装置340、転写手段350、クリーニング手段360を主要構成要素とする。
【0042】
感光体ドラム310は、記録媒体へのトナーによる画像形成動作を担う機能性部材と表現することができる。
【0043】
なお、前記露光光学系330はレーザ光学系で構成される露光ユニットである。
【0044】
図においては、イエローの画像形成ユニットを構成する部材にのみ参照符号を付し、他の画像形成ユニットも基本的に同じ構成を有するので、参照符号は省略してある。
【0045】
現像装置340は、磁性キャリア(以下、単にキャリアという)と非磁性トナー(以下、単にトナーという)とを含む二成分現像剤を収納している。
【0046】
また、現像装置340は、周方向に沿って複数の磁石(磁極)を位置固定で内蔵した、可回転、かつ、非磁性の円筒形状からなる現像剤担持体(以下、現像スリーブあるいは単にスリーブと呼称する)を有している。
【0047】
また、現像スリーブには、画像形成動作に所定極性(ここではマイナス極性の直流電圧と交流電圧の重畳)のバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0048】
クリーニング手段360は転写後の前記感光体ドラム310上に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは適宜の廃トナーボックスDTに収納されるようになっている。
【0049】
各々の画像形成ユニット30は、縦方向に配設されたループ状の中間転写ベルト401の一平面(張設面)Aに沿って、上から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の順に配列されている。
【0050】
中間転写ベルトは、記録媒体へのトナーによる画像形成動作を担う機能性部材であり、記録媒体上に転写されるトナー像を担持する機能から像担持体であり、また、ベルト状でなくドラム状としても同様の機能を果たせることから中間転写体でもあるといえる。
【0051】
中間転写ベルト401と、中間転写ベルトを回転可能に懸架する支持ローラ405、406、407、および、バックアップローラ410等がベルトユニット4を構成する。
【0052】
また、バックアップローラ410は、中間転写ベルト401を挟んで当該バックアップローラと押圧しながら回転するように対向配置した転写ローラ510とで二次転写手段を構成している。
【0053】
上記の画像形成ユニット30とベルトユニット4の構成とによる画像形成は次のようになされる。
【0054】
画像形成プロセスの開始に伴って、反時計方向に回転する感光体ドラム310の表面は帯電器320により所定の極性(ここではマイナス極性)に帯電される。
【0055】
次いで、露光光学系330による第1の色信号、即ち、イエロー(Y)の画像信号に対応する露光が施され、当該イエロー(Y)の画像に対応する潜像が感光体ドラム310上に形成される。
【0056】
潜像は、現像装置340の現像剤による接触または非接触現像処理により、反転現像されてイエロー(Y)のトナー像に変換された後、転写手段350の作用によって中間転写ベルト401上に転写される。
【0057】
第1の色信号による画像形成開始から所定の時間後に順次開始される他の色信号による画像形成は、上記と同様のプロセスにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の各画像形成ユニット30によってなされる。
【0058】
それぞれの画像形成ユニットで形成された感光体ドラム上の各トナー像は、前記イエロー(Y)のトナー像のある画像領域と重畳するように順次転写され、中間転写ベルト401上に重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0059】
一方、転写処理終了後の前記感光体ドラム310の表面はクリーニング手段360で清掃され、新たな画像形成のための準備が整えられる。
【0060】
Sはコンピュータを含む制御手段(以下、制御部ともいう)で、機械作動のプログラムを内蔵し、一連の画像形成プロセスに係わる制御、給紙制御等、全ての制御を行う。
【0061】
換言すれば、制御手段Sは、演算制御処理を行うCPUと、各種動作プログラムを記憶しているROM、演算結果データを記憶するRAM等を有する。
【0062】
そして、インターフェースを介して各種センサの出力を前記CPUに取り込むとともに、その情報を基にモータ或いは表示手段等を駆動制御する。
【0063】
P1、P2、P3は、装置本体の下部に設置された用紙トレイ(記録媒体の収納手段と同義)である。
【0064】
用紙トレイP1乃至P3の送り出し部には給紙ローラ503、513、523と、分離ローラ506、516、526、および、搬送ローラR1、R2、R3が備えられ、ローラで繰り出された記録媒体である用紙PはR4乃至R7が配設されている搬送路に沿って搬送される。
【0065】
59はレジストローラを示し、搬送ローラR7よりも下流であって、二次転写部に近接した位置に設けられている。
【0066】
搬送路上であって前記二次転写部(転写ローラ510のある位置)より下流に設置されているのは、加熱源を内蔵した第1定着ローラT1と、当該第1定着ローラと圧接しながら回転する第2定着ローラT2を主要素とする定着装置Tである。
【0067】
600は排紙ローラ、650は排紙された用紙を積載収納する排紙トレイを示す。
【0068】
次に、中間転写ベルト401上に形成されたカラートナー画像が用紙P上に転写され、装置外に排紙されるまでの工程を簡単に説明する。
【0069】
中間転写ベルト401上における画像形成に対応した適宜のタイミングで、用紙Pが給紙ローラ503(513、523)によって給紙される。
【0070】
次いで、用紙Pは、分離ローラ506、および搬送経路上に設けた搬送ローラR1〜R7により挟持搬送されて転写部(転写領域)の手前位置に設けられているレジストローラ59に向けて搬送される。
【0071】
給紙される用紙Pは、操作表示板150上で選択されたサイズのシート材である。
【0072】
用紙Pは、レジストローラ59にその先端が当接された後、中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するタイミングで再給紙される。
【0073】
次いで、用紙Pは二次転写部においてバックアップローラ410と転写ローラ510とにより前記中間転写ベルトとともに押圧挟持され、この間に、前記中間転写ベルト401上のカラートナー画像が用紙P上に転写される。
【0074】
その後、用紙Pは前記中間転写ベルト401から分離され、搬送ベルト(不図示)により定着装置Tに向けて搬送され、トナーは溶融されて用紙P上に定着される。
【0075】
定着装置Tによる定着処理終了後の用紙Pは、排紙ローラ600により搬送され、装置本体外に設けてある排紙トレイ650上に排出される。
【0076】
一方、二次転写終了後の中間転写ベルト401の表面は、クリーニング手段40によってクリーニングされ、新たなトナー像を担持する準備がなされる。
【0077】
本願発明に係わるリーニング装置について、詳細は後記する。
【0078】
図において、通路切替部材601の図示上の位置は、定着処理後に用紙Pを反転することなく排出する場合の位置である。
【0079】
用紙の反転排出時には、前記通路切替部材601が所定量回動され、定着後の用紙Pは通路切替部材601の右辺に沿って下方に案内される。
【0080】
次いで、ローラ602によって後端が挟持された状態とされた後の当該ローラ対602の逆回転により、用紙Pは前記通路切替部材601の左側の辺に沿って上昇せしめられ、前記排紙ローラ600を介して排出される。
【0081】
更に、ADU7を用いる両面コピーモードの場合、片面に画像が形成された定着処理後の用紙Pは前記通路切替部材601の右側の辺に沿って下方に案内され、用紙Pの後端がローラ対605により挟持された状態で搬送停止される。
【0082】
次いで、当該ローラ対605を逆回転せしめて用紙Pを上昇させ、複数のローラ対701、702、703を有するADU7に導いて用紙Pの反転を達成する。
【0083】
用紙Pの第2面に対する画像形成プロセスは前述と基本的に同じであり、また、定着装置Tから送り出された後の排出路については前述した何れかが選択される。
【0084】
次に、本願発明に係わるクリーニング装置の構成について、図2を用いて説明する。
【0085】
図2は、クリーニング装置と像担持体としての中間転写ベルトの一部を拡大して示す図であるが、便宜上、図1に示す構成とは少し異なる構成で示してある。
【0086】
なお、既出の部材と同様の機能を有する部材については同一の参照符号を付す。
【0087】
図において、中間転写ベルト401は反時計方向に回転されるように構成され、また、クリーニング装置40は支持ローラ405に対向する位置に設けられている。
【0088】
クリーニング装置40は、容器440の内部に設けられる第1クリーニングブラシ450、第1当接部材455、第2クリーニングブラシ460、第2当接部材465、区画部材470、トナー回収用のスクリュー480等を有する。
【0089】
第1クリーニングブラシ(以下、単に第1ブラシという)450は、少なくとも回転時において、中間転写ベルト401と第1当接部材455の表面に当接する。
【0090】
第1ブラシ450の下流近傍位置に設けられた第2クリーニングブラシ(以下、単に第2ブラシという)460は、少なくとも回転時において、中間転写ベルト401と第2当接部材465の表面に当接する。
【0091】
第1ブラシ450および第2ブラシの回転方向は反時計方向に設定されている。
【0092】
区画部材470は、第1ブラシ450によって除去されたトナーが第2ブラシ460に飛来する現象を抑制するように、第1ブラシと第2ブラシとの間に設けられている。
【0093】
第1当接部材455には、現像時においてマイナス極性に帯電されるトナーと逆極性のプラスの電圧を出力する第1電源D1が接続され、第1ブラシ450は接地されている。
【0094】
また、第1電源D1は、中間転写ベルト401の表面に残留しているトナーを除去するための第1電圧と、第1ブラシ450に蓄積したトナーの帯電極性を逆極性に変換させて吐き出させるための第1電圧よりも大きな第2電圧とを出力することができる。
【0095】
換言すれば、第2電圧の印加により第1当接部材455と第1ブラシ450との間に放電を発生させ、当該放電を介してトナー極性を変換するものである。
【0096】
放電によってトナーの帯電極性が変換される状況は図3に模式的に示される。
【0097】
同図における回収ローラは、図2における第1当接部材455に対応する。
【0098】
なお、第1電圧と第2電圧の選択的な切り換えは、制御手段Sを介して自動的に行うことができる。
【0099】
第2当接部材465二は、トナーと同極性のマイナスの電圧を出力する第2電源D2が接続され、第2ブラシ460は接地されている。
【0100】
第2電源D2の出力電圧は、第1ブラシ450から吐き出された(除去された)トナーを第2ブラシ460を介して除去させる役割を果たす。
【0101】
第1電源D1および第2電源D2は、本実施の形態においては定電圧電源としたが、定電流電源でも同様に目的を達成することができる。
【0102】
定電流電源の場合、前述の第1電圧、第2電圧は、第1電流、第2電流と読み替えられる。
【0103】
なお、上述から理解されるように、第1電源D1の第1電圧は、画像形成装置が、転写材上にトナー像を作成するプロセスを実行している時間帯、即ち、作像時に使用される。
【0104】
また、第2電圧は画像形成装置が画像形成プロセスを実行していない時間帯、即ち、非作像時において使用されるものである。
【0105】
上述のクリーニング装置を使用したクリーニングの動作を、図1に示した画像形成の構成を踏まえながら説明する。説明に際しては、必要最低限の制御を組み込んで行う。
【0106】
画像形成装置の作像時において、転写材に対するトナー像の転写が終了した中間転写ベルト401上の領域は、クリーニング装置40に導かれ、第1ブラシ450の作用をうけるようになる。
【0107】
第1ブラシ450にはトナーの帯電極性と逆極性の第1電圧が印加されており、中間転写ベルト上の残留トナーは、第1ブラシ450の回転による当接を介しての電気的な吸引や機械的な叩き作用により中間転写ベルト401上から順次、除去される。
【0108】
除去されたトナーは、第1当接部材455に第1ブラシ450が当接した衝撃で当該第1ブラシ450から分離され、容器440内を落下し、スクリュー480を介して回収される。
【0109】
この作像時において、第2ブラシ460は非作動状態に保たれている。
【0110】
次に、所定の画像形成ジョブが終了した後であって、画像形成装置の非作像時における第1ブラシに係わるクリーニングについて説明する。
【0111】
一連の画像形成ジョブが終了したことを制御手段Sが判断すると、画像形成装置は、第1ブラシ450のクリーニングを実行するモードに自動的に変えられる。
【0112】
例えば、中間転写ベルト401とクリーニング装置40が作動状態とされ、他の画像形成手段等はアイドリング状態とされる。
【0113】
このクリーニングモードにおいて、第1ブラシに印加される第1電源D1からの出力は、第2電圧に切り換えられる。
【0114】
同時に、第2ブラシ460が作動状態にされるとともに、第2電源D2からの出力電圧が第2ブラシ465に印加される。
【0115】
第1電圧よりも大きな第2電圧は、第1ブラシ450と第1当接部材455との間に放電を発生させ、第1ブラシに蓄積されているトナーの帯電極性をマイナスからプラス極性に変えることによって中間転写ベルト側に当該トナーを吐き出させる。
【0116】
この折、例えば、帯電がニュートラルにされたトナーは、第1ブラシを構成するパイルのフリック力で飛ばされやすくなり、除去が容易になる。
【0117】
吐き出されたトナーは中間転写ベルト401に付着し、また、一部のトナーは第1当接部材455と第1ブラシ450との叩き作用で当該第1ブラシから分離され、容器440内を落下する。
【0118】
中間転写ベルト401に付着したトナーは、マイナス極性の電圧が印加されている第2ブラシ460に電気的に吸引されて除去される。
【0119】
除去されたトナーは、第2ブラシ460が第2当接部材465に当接した衝撃で当該第2ブラシ460から分離され、容器440内を落下し、スクリュー480を介して回収される。
【0120】
所定のクリーニング時間が経過すると、制御手段Sは、通常の画像形成ジョブを可能とする状態に画像形成装置を復帰させる。
【0121】
所定のクリーニング時間は、例えば、各種の実験で決定することができる。
【0122】
また、第1ブラシ450のクリーニングを実行するモードの設定は、例えば、操作表示板150上に設けた専用の釦を使用して設定する方法や、所定時間毎に自動的に行わせる方法等、種々の方法が可能であり、設計上の自由度は広い。
【0123】
上記の方法においても、電源出力の選択切り換えは制御手段Sによってなされる。
【0124】
なお、上述の第1ブラシあるいは第2ブラシは、東英産業(株)製のUUN(商品名)なるナイロン系の繊維(繊度6デニール)を120万本/25.4mmの密度で植設した布地をローラの周囲に固定することにより構成した。
【0125】
また、ブラシの回転時における外径は16,3mmφで、繊維の立ち上がり長さ(穂立ち長さ)を4.15mmとした。繊維の原糸の抵抗は1011.5Ωである。
【0126】
実施の形態における第1ブラシの回転数は420rpmとした。
【0127】
更に、第1当設部材あるいは第2当設部材はSUS304からなる11.0mmφのローラとした。
【0128】
しかしながら、上記の数値、材質等は固定されるものではなく、所期目的を達成できるものであれば良い。
【0129】
また、第2ブラシや第2当接部材は本願発明に必須のものではなく、他の方法によって、第1ブラシから吐き出されるトナーを捕獲・除去することができる。
【0130】
上記の放電については、電流を変化させて、上記構成からなる第1当接部材455と第1ブラシ450の軸との電位差を変化させ、そのときの第1ブラシからのトナーの吐き出しを観察した。
【0131】
電位差は59V、106V、128V、137V、145V、205V、213V、220V、380V、500Vと振ってみた。
【0132】
その結果、電位差が200ボルト以上のときに、蓄積していたトナーが第1当接部材455に転移できずに転写ベルト401に付着することが究明された。
【0133】
これは、第1ブラシに蓄積していたトナーの帯電極性が変わったことを意味する。
【0134】
図4は、第1当接部材455と第1ブラシ450間の電位差を500ボルトとしたときの吐き出しモード(ブラシクリーニングモードと同義)未実施時と、1万枚の画像形成毎に2分間実施したときの第1ブラシに蓄積したトナー量の推移を示す。
【0135】
図において、縦軸はトナー蓄積量(g)を示し、横軸は画像形成枚数(CV(kp))を示す。
【0136】
これから明らかなように、未実施の場合にはトナー量が順次増加して、第1ブラシのクリーニング性能は低下する。
【0137】
しかしながら、1万枚の画像形成毎にクリーニングモードを実施した場合には、長期間にわたって第1ブラシのクリーニング性能を良好に維持することできる。
【0138】
図5は、上記と同様のクリーニングモード時であって、特に、第1当接部材455を介して第1ブラシ450にプラス10μAとプラス150μAの印加電流を付与したときの第1ブラシ内に蓄積したトナー量の推移を示す。
【0139】
プラス10μAは中間転写ベルトをクリーニングする場合に印加される電流値であり、プラス150μAは第1ブラシのクリーニング時に印加される電流値で、定電圧電源を使用したときの第1電圧と第2電圧に対応する。
【0140】
同様の方法で、第2ブラシ460については、マイナス10μAを印加したときの第2ブラシ内に蓄積したトナー量の推移を示す。
【0141】
図において、縦軸は蓄積したトナー量(g)を示し、横軸はブラシの駆動時間を示す。
【0142】
図5から、上記のような電流制御によっても第1ブラシに付着あるいは蓄積したトナーの吐き出し除去が適切に行われ、結果として、第1ブラシの良好なクリーニング性能を長期間維持することができる。
【0143】
本実施の形態において、クリーニングブラシによるクリーニングの対象を、感光体ドラム、中間転写ベルト等のトナーを担持しうる部材を例としたが、この他の部材を対象とすることもできる。
【0144】
例えば、転写領域を含んで記録媒体を搬送する搬送ベルトを設ける構成とした場合の当該搬送ベルトを対象とすることも有用である。
【0145】
換言すれば、前述の構成における搬送ベルトは記録媒体を搬送するものであるとはいえ、トナー像を担持する像担持体と接触する機会が多く、その接触を介して、地かぶりトナー等が付着する危惧がある。
【0146】
斯様な付着トナーをクリーニングして搬送ベルト表面を清浄に保つことは、画像の品質を維持する上で極めて有用である。
【0147】
斯様な構成における上述の搬送ベルトは、記録媒体へのトナーによる画像形成動作を担う機能性部材として機能するものであり、この場合のクリーニングについては、図2に係わる説明を適用することができる。
【0148】
このように、本願発明は、上記の実施の形態のみに拘束されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することのない応用、変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】デジタルカラー複写機からなる画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】クリーニング装置と像担持体としての中間転写ベルトの一部を拡大して示す図である。
【図3】放電によってトナーの帯電極性が変換される状況を模式的に示す図である。
【図4】ブラシクリーニング未実施時と、所定条件でブラシクリーニングを実施したときの第1ブラシに蓄積したトナー量の推移を示す図である。
【図5】クリーニングモード時であって、特に、第1ブラシにプラス10μAとプラス150μAの印加電流を付与したときの第1ブラシ内に蓄積したトナー量の推移を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
1 自動原稿送り装置
2 画像読み取り部
3 画像形成部
4 ベルトユニット
5 給紙部
6 反転排紙・再給紙部
40 クリーニング装置
440 容器
450 第1クリーニングブラシ(第1ブラシ)
455 第1当接部材
460 第2クリーニングブラシ(第2ブラシ)
465 第2当接部材
D1 第1電源
D2 第2電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体へのトナーによる画像形成動作を担う機能性部材と、画像形成動作後に前記機能性部材の表面をクリーニングする可回転のクリーニングブラシと、少なくとも、前記クリーニングブラシが回転されたとき、当該クリーニングブラシと接触するように設けられた当接部材と、前記トナーの帯電極性と逆極性の電圧を出力する電源と、前記当接部材を介して、前記電源の出力を前記クリーニングブラシに付与する制御手段と、を有する画像形成装置において、
前記電源は、前記クリーニングブラシによる前記機能性部材とのクリーニング時に使用される第1電圧と、前記画像形成装置の非作像時であって、前記クリーニングブラシに蓄積されたトナーの除去時に使用される、前記第1電圧よりも大きい第2電圧の出力が可能であり、
前記制御手段は、前記画像形成装置の非作像時において、前記電源の出力を第1電圧から第2電圧に切り換える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の非作像時における前記当接部材と前記クリーニングブラシの軸との間の電圧差は200ボルト以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源は定電流電源であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源は定電圧電源であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機能性部材は像担持体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記機能性部材は記録材搬送ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は中間転写体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体は中間転写ベルトであり、かつ、前記中間転写ベルトの移動方向において、前記クリーニングブラシおよび前記当接部材の下流位置近傍には、第2のクリーニングブラシと第2の当接部材とが設けられ、かつ、前記第2のクリーニングブラシには、トナーの帯電極性と同極性の電圧を出力する第2の電源からの出力が前記第2の当接部材を介して付与される、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−145588(P2010−145588A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320732(P2008−320732)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】