説明

画像形成装置

【課題】モノクロ画像形成時に冷却能力を高くできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ブラック現像ユニット2Kおよびカラー現像ユニットを装着可能な本体1に、カラー現像ユニットと係合して該カラー現像器を駆動するカップリング26を有する画像形成装置において、カップリング2と係合して回転駆動されるファン30を有するファンユニット27を、カラー現像ユニットに換えて本体1に装着可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの機器と同様に、画像形成装置にも、制御基板のような熱に弱い部品を冷却するために、ファンを設けることがある。特許文献1には、メンテナンス性を向上させるために、着脱可能なファンを設けた画像形成装置が記載されている。
【0003】
カラー/モノクロ兼用の画像形成装置では、モノクロの画像形成には、カラーの画像成形よりも、速度および解像度に対する要求が高い。そのようなモノクロ画像形成に合わせてファンを設計すると、装置が大型化したり、メンテナンス性を低下させたりするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−139644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記問題点に鑑みて、本発明は、モノクロ画像形成時に冷却能力を高くできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明による画像形成装置は、ブラック現像ユニットおよびカラー現像ユニットを装着可能な本体に、前記カラー現像ユニットと係合して該カラー現像器を駆動するカップリングを有し、前記カップリングと係合して回転駆動されるファンを有するファンユニットを、前記カラー現像ユニットに換えて前記本体に装着可能であるものとする。
【0007】
この構成によれば、カラー現像ユニットをファンユニットに交換することにより、装置の冷却能力を高め、モノクロ画像形成をより高速またはより高解像度で行える。また、ファンユニットは、モノクロ現像時に余っているカラー現像ユニットの駆動源によって駆動されるので、カラー現像ユニットの駆動源の消費エネルギを有効利用して装置を冷却できる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置において、前記ファンユニットは、前記本体に対して、前記カラー現像ユニットと同じ位置決め手段によって位置決めされてもよい。
【0009】
この構成によれば、ユニットの位置決め構造が複雑化しない。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記ファンユニットは、前記カップリングの回転を増速して前記ファンを駆動する増速手段を有してもよい。
【0011】
この構成によれば、ファンを高速回転させることで、効率よく気流を発生させて、十分な冷却能力を確保できる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、前記ファンユニットは、複数の前記カラー現像ユニットに換えて装着され、交換された複数の前記現像ユニットに対する前記カップリングとそれぞれ係合して駆動される複数の前記ファンを有してもよい。
【0013】
この構成によれば、複数の現像ユニットの駆動源を利用することで、冷却効率を高くすることができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記ファンが発生する気流を発熱部に案内するダクトを有してもよい。
【0015】
この構成によれば、発熱部を集中的に冷却でき、装置の安定した動作を確保できる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記カラー現像ユニットが装着されたときはカラー標準画質モードに設定され、前記ファンユニットが装着されたときはモノクロ高画質モードに設定され、前記カラー現像ユニットおよび前記ファンユニットのいずれも装着されていないときは、モノクロ標準画質モードに設定されてもよい。
【0017】
この構成によれば、装着されたユニットの種類に応じて最適なモードを自動選択することで、装置の設定作業が容易である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カラー現像ユニットに換えてファンユニットを装着することで、モノクロ画像成型時に装置を冷却できる。これにより、装置の大型化を招かずに、モノクロ画像の品質や処理能力を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置のカラー現像ユニットの配置を示す斜視図である。
【図3】図2のカラー現像ユニットとカップリングとの接続構造を示す斜視図である。
【図4】図1の画像形成装置のファンユニットの配置を示す斜視図である。
【図5】図4のファンユニットのファンの駆動系を示す斜視図である。
【図6】図5のファンの駆動系の拡大斜視図である。
【図7】図5の駆動系の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明の1つの実施形態である画像形成装置を示す。
【0021】
本実施形態の画像形成装置は、本体1の内部に、ブラックのトナーで画像を現像するブラック現像ユニット2Kと、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナーで画像を現像する3つのカラー現像ユニット2Y,2M,2Cとを着脱可能に装着できるようになっている。
【0022】
画像形成装置は、現像ユニット2Y,2M,2C,2Kで各色のトナー画像を形成し、形成したトナー画像を、中間転写ベルト3上に、1次転写ローラ4Y,4M,4C,4Kによって重ねて1次転写し、2次転写ローラ5によって中間転写ベルト3から記録紙Sに2次転写し、トナー画像が転写された記録紙Sを定着器6によって加圧・加熱することで、トナー画像を記録紙Sに定着させる。また、画像形成装置は、現像ユニット2Y,2M,2C,2Kに新しいトナーを補給するためのトナーボトル7Y,7M,7C,7Kを有する。
【0023】
現像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、感光体8と、感光体8を帯電させる帯電器9と、帯電した感光体8を選択露光して感光体8上に静電潜像を形成する露光器10と、感光体8上の静電潜像にトナーを供給してトナー画像を現像する現像器11と、中間転写ベルト3に転写できずに感光体8上に残留するトナーを掻き落とすクリーナ12とを有する。現像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、本体1に設けた不図示のモータと係合し、感光体8や現像器10等の可動部が回転駆動される。
【0024】
また、この画像形成装置において、中間転写ベルト3は、駆動ローラ13、従動ローラ14およびテンションローラ15の間に掛け渡されて周回し、ベルトクリーナ16によって2次転写できなかったトナーが除去される。
【0025】
記録紙Sは、給紙トレイ17に積層されており、供給ローラ18によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラ19によって中間転写ベルト3と2次転写ローラ5とのニップに供給される。トナー画像が転写され、定着器6によってトナー画像を固定された記録紙Sは、本体1の上部の排紙部20に排出される。
【0026】
また、画像形成装置は、各構成要素の動作を制御するマイコンからなる制御装置21を有する。制御装置21は、不図示のセンサによって、現像ユニット2Y,2M,2C,2Kの装着の有無を把握することもできる。
【0027】
図2に、現像ユニット2Y,2M,2C,2Kの配置を示す。現像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、ハウジング22Y,22M,22C,22K内に上述の感光体8等の各構成要素を収容している。ハウジング22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、本体1の内壁23に設けた不図示の位置決め穴(位置決め手段)24に嵌合する位置決めピン25を有する。
【0028】
図3に示すように、各現像ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体8は、内壁12に設けたカップリング26の凹部に、三角柱状の軸端部が嵌合するようになっている。カップリング26は、不図示のモータによって所定の速度で回転させられ、現像ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体8を回転駆動し、現像器10等の他の構成要素を不図示の駆動系を介して感光体8と同期して駆動する。
【0029】
図4に、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cに換えて本体1に装着できるファンユニット27を示す。ファンユニット27は、ハウジング22Fに、位置決め穴23の一部に嵌合可能な、カラー現像ユニット2Y,2Cの位置決めピン24と同一形状の位置決めピン28を有する。つまり、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cとファンユニット27とは、本体1に対する位置決め構造が共通化されている。
【0030】
図5および6に示すように、ファンユニット27は、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cを駆動するカップリング26にそれぞれ係合する駆動系29によって回転駆動される3つのファン30を有する。そして、ファンユニット27は、3つのファン30が発生する気流を合流させ、回路基板上に構成された制御装置21のCPU31まで案内するダクト32を有する。
【0031】
図7に、ファンユニット27のファン30を駆動する駆動系29の構成を詳しく示す。駆動系29は、カップリング26の凹部に嵌合する三角柱状の接続部材33と、接続部材33と一体に形成された第1ギア34と、第1ギア34に咬合する小径の第2ギア35と、第2ギア35と一体に形成された大径の第3ギア36と、第3ギア36に咬合し、ファン30と一体に形成され、接続部材33および第1ギア34と同軸上で独立して回転可能な小径の第4ギア37とからなる。
【0032】
この駆動系29は、カップリング26の回転(例えば1rps)を、4つのギア34,35,36,37によって例えば50rpsまで増速してファン30を駆動する増速手段である。これにより、感光体8の駆動速度に最適化されたカップリング26の回転を、ファン30によって気流を発生させるのに最適な回転数に増速する。
【0033】
3つのファン30によって発生させられた気流は、温度上昇には弱い発熱部であるCPU31を集中的に冷却する。尚、本発明では、本実施形態のCPU31だけでなく、他の発熱部を冷却できるように、ファン30が発生した気流を案内してもよい。
【0034】
カップリング26を駆動するモータは、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cが装着されていなくても、回転抵抗や内部負荷によって電力を消費する。また、ファンユニット27の駆動系29およびファン30の駆動に必要なエネルギはさほど大きくない。このため、カップリング26を駆動するモータのファンユニット27の装着によるエネルギ消費量の増加は殆ど無視し得る程度のものである。つまり、ファンユニット27は、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cが装着されていないときに、カラー現像ユニット2Y,2M,2C用のカップリング26の駆動のために無駄に消費される電力を活用して、CPU31を冷却するものである。
【0035】
本実施形態の画像形成装置では、ファンユニット27が装着されていれば、ファン30によってCPU31が冷却されるため、形成する画像のデータ密度を高くしてCPU31に演算負荷のかかるモノクロ高画質モードで運転しても、CPU31がオーバーヒートしない。このため、制御装置21は、ファンユニット27の装着を検出した場合、画像形成装置の動作を自動的にモノクロ高画質モードに設定するようにしてもよい。
【0036】
またその場合、制御装置21は、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cの装着を検出したときは、カラー標準画質モードに設定し、カラー現像ユニット2Y,2M,2Cおよびファンユニット27のいずれも装着されていないときは、モノクロ標準画質モードに設定するようにするとよい。
【0037】
また、制御装置21がファンユニット27の装着を検出した場合、画像形成装置の駆動速度を高く設定する高速画像形成モードに設定してもよい。画像形成を高速化すると、CPU31の演算負荷も比例して高くなるが、ファン30が発生した気流によってCPU31が冷却されるため、過熱による演算エラーを防止できる。
【符号の説明】
【0038】
1…本体
2Y,2M,2C…カラー現像ユニット
2K…ブラック現像ユニット
22Y,22M,22C,22K,22F…ハウジング
23…内壁
24…位置決め穴(位置決め手段)
25,28…位置決めピン
26…カップリング
27…ファンユニット
29…駆動系(増速手段)
30…ファン
31…CPU(発熱部)
32…ダクト
33…接続部材
34,35,36,37…ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラック現像ユニットおよびカラー現像ユニットを装着可能な本体に、前記カラー現像ユニットと係合して該カラー現像器を駆動するカップリングを有し、
前記カップリングと係合して回転駆動されるファンを有するファンユニットを、前記カラー現像ユニットに換えて前記本体に装着可能であることを特長とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ファンユニットは、前記本体に対して、前記カラー現像ユニットと同じ位置決め手段によって位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ファンユニットは、前記カップリングの回転を増速して前記ファンを駆動する増速手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ファンユニットは、複数の前記カラー現像ユニットに換えて装着され、交換された複数の前記現像ユニットに対する前記カップリングとそれぞれ係合して駆動される複数の前記ファンを有することを特長とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ファンが発生する気流を発熱部に案内するダクトを有することを特長とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カラー現像ユニットが装着されたときはカラー標準画質モードに設定され、前記ファンユニットが装着されたときはモノクロ高画質モードに設定され、前記カラー現像ユニットおよび前記ファンユニットのいずれも装着されていないときは、モノクロ標準画質モードに設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−243757(P2010−243757A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91911(P2009−91911)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】