説明

画像形成装置

【課題】停電を検出した場合、蓄電手段の直流電力の蓄積状況および実行中のジョブの種別に基づいて最適な制御を行うことで、停電による不具合を最小限に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、蓄電手段、充電手段、電圧検出手段、制御手段、停電検知手段および記憶手段を備える。
蓄電手段は、装置本体各部に供給すべき直流電力を蓄えることが可能である。充電手段は、商用電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する。電圧検出手段は、前記蓄電手段の両端電圧を検出する。制御手段は、装置本体を制御し、複数種類のジョブのうちいずれかを実行する。停電検知手段は、商用電源からの電力供給の停止を検知する。記憶手段は、装置本体の各部を制御する制御プログラムを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置において、蓄電手段を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置あるいはインクジェット方式の画像形成装置においては、商用交流電源等の外部電源から電力供給が行われるようになっており、その入力電力により各部が駆動されて印刷出力が行われる。その際、印刷ジョブの実行中に停電等により外部からの電力供給が遮断された場合には、その途切れた時点で全ての処理動作が停止した状態となる。したがって、ジョブの実行中に電力供給が停止した場合はその時点で全ての処理が止まってしまうため、状況によっては事故が発生したり、電力復帰後の動作に支障をきたすという問題点があった。
【0003】
そこで、装置本体にバッテリを設け、停電の場合はバッテリからの電力供給により用紙を強制的に排出するとともに装置本体の状態データを記憶し、停電解消時にはジョブを支障なく再開できる印刷装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−042707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、バッテリの電力供給能力について特に考慮しておらず、例えばバッテリが電気二重層コンデンサなどの二次電池タイプである場合、電源が遮断された時点で充電が十分ではないというケースが想定でき、この場合に不具合が生じる虞がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、上記課題に鑑み、停電を検出した場合、蓄電手段の直流電力の蓄積状況および実行中のジョブの種別に基づいて最適な制御を行うことで、停電による不具合を最小限に抑えることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、蓄電手段、充電手段、電圧検出手段、制御手段、停電検知手段および記憶手段を備える。
【0007】
蓄電手段は、装置本体各部に供給すべき直流電力を蓄えることが可能である。充電手段は、商用電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する。電圧検出手段は、前記蓄電手段の両端電圧を検出する。制御手段は、装置本体を制御し、複数種類のジョブのうちいずれかを実行する。停電検知手段は、商用電源からの電力供給の停止を検知する。記憶手段は、装置本体の各部を制御する制御プログラムを格納する。
【0008】
本発明の画像形成装置における制御手段は、ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、その検出結果および実行中のジョブの種類に基づいて実行中のジョブの継続処理の可否を決定する。
【0009】
この構成では、ジョブを実行中に停電になっても装置本体が稼動可能である。しかし、蓄電手段における直流電力の蓄積状況や実行中のジョブの種類によっては、装置本体の十分な稼動が見込めない場合が生じる。そこで、停電を検出した場合、蓄電手段の直流電力の蓄積状況および実行中のジョブの種類に基づいて最適な制御を行うことで、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【0010】
この構成において、前記記憶手段は、装置本体が実行中の印字ジョブを継続することができる最小有効電圧値を示す第1の閾値を記憶しており、前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、実行中の印字ジョブを継続することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、実行中の印字ジョブを中断することを決定すると好ましい。
【0011】
この構成では、装置本体が印字ジョブを継続することができるかの閾値を示す第1の閾値を記憶手段に記憶させておき、その第1の閾値と蓄電手段の直流電力の蓄積状況とを比較して印字ジョブ実行の可否を決定することにより、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、給紙部、感光体、転写部、定着部および温度検出部をさらに備えると好ましい。
【0013】
給紙部は、記録媒体を積載し、記録媒体を装置本体へ給紙する。感光体は、表面に像を担持する。転写部は、前記感光体の表面の像を記録媒体に転写する。定着部は、前記転写部によって記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させる。温度検出部は、前記定着部の表面温度を検出する。
【0014】
前記記憶手段は、前記定着部が前記給紙部から前記定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができる最小有効温度を示す第2の閾値を記憶しており、前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第2の閾値以上であれば、実行中の印字ジョブを継続することを決定し、前記定着部の表面温度が第2の閾値未満または前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、実行中の印字ジョブを中断することを決定すると好ましい。
【0015】
この構成では、電子写真方式の画像形成装置において、定着部が給紙部から定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができるかの閾値を示す第2の閾値を記憶手段に記憶させておき、その第2の閾値と定着部の表面温度とを比較して印字ジョブ実行の可否を決定することにより、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【0016】
この構成において、前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第2の閾値以上であれば、前記給紙部から給紙された全ての記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記定着部の表面温度が第2の閾値未満であれば、前記給紙部から給紙された記録媒体のうち、前記転写部に到達した記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することを決定すると好ましい。
【0017】
この構成では、第2の閾値と定着部の表面温度とを比較して記録媒体に対する画像形成の継続の可否を決定することにより、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
また、前記記憶手段は、前記定着部が前記転写部から前記定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができる最小有効温度を示す第3の閾値を記憶しており、前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第3の閾値以上であれば、前記給紙部から給紙された記録媒体のうち、前記転写部に到達した記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記定着部の表面温度が第3の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することおよび給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することを決定すると好ましい。
【0019】
この構成では、定着部が転写部から定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができるかの閾値を示す第3の閾値を記憶手段に記憶させておき、その第3の閾値と定着部の表面温度とを比較して記録媒体に対する画像形成の継続の可否を決定することにより、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【0020】
この構成において、前記記憶手段は、装置本体が実行中の印字ジョブ以外のジョブを継続することができる最小有効電圧値を示す第4の閾値を記憶しており、前記制御手段は、印字ジョブ以外のジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第4の閾値以上であれば、継続中のジョブの実行を完了して待機状態に移行することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第4の閾値未満であれば、ジョブの実行を中断して待機状態に移行することを決定すると好ましい。
【0021】
この構成では、装置本体が実行中の印字ジョブ以外のジョブを継続することができるかの閾値を示す第4の閾値を記憶手段に記憶させておき、その第4の閾値と蓄電手段の直流電力の蓄積状況とを比較して印字ジョブ実行の可否を決定することにより、停電による装置本体の不具合を最小限に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明における画像形成装置は、停電を検出した場合、蓄電手段の直流電力の蓄積状況および実行中のジョブの種別に基づいて最適な制御を行うことで、停電による不具合を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照にしつつ詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【0025】
画像形成装置(装置本体)100は、外部から受け取った画像データに応じて、所定の用紙(記録媒体)にモノクロ画像を形成するものである。画像形成装置100は、露光ユニット13、現像器15、感光体17、帯電器19、クリーナユニット21、定着ユニット40、給紙トレイ(給紙部)25、給紙トレイ25から上方に延びる給紙搬送路27、給紙搬送路27の終端からレジストローラ29、転写ベルト45および定着ユニット40を経て排紙ローラ95に至るまでの用紙搬送路31、排紙トレイ33等より構成されている。
【0026】
帯電器19は、感光体17の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようにチャージャ型の帯電器が用いられているが、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いてもよい。
【0027】
露光ユニット13は、図1に示すようにレーザ照射部35および反射ミラー37を備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いる手法のほかに、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法もある。さらに、露光ユニット13は、高速印字処理を行うために、複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減する2ビーム手法を採用している。
【0028】
そして、帯電器19によって均一に帯電された感光体17を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体17の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
【0029】
現像器15は、感光体17上に形成された静電潜像をトナーで顕像化するものである。クリーナユニット21は、現像画像転写後における感光体17上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
【0030】
前述のようにして感光体17上で顕像化されたトナーは、用紙搬送路31を搬送される用紙上に転写される。このための転写機構(転写部)39は、トナーが有する電荷の逆極性の電界を印加して、用紙上にトナーを転写するための機構である。例えば、静電像が(−)極性の電荷を有しているときは、転写機構39への印加極性は(+)極性となる。
【0031】
転写機構39は、駆動ローラ41、従動ローラ43および他のローラで架橋され、所定の抵抗値(1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト45を有する。感光体17と転写ベルト45の接触部47には、駆動ローラ41、従動ローラ43と別のローラであって転写電界を印加しうる弾性導電性ローラ49が配置されている。弾性導電性ローラ49は弾性を有する。これによって、感光体17と転写ベルト45とは、線接触ではなく互いが所定の幅(転写ニップとよばれる。)を有して面接触する。これによって搬送される用紙への転写効率の向上が図られる。
【0032】
さらに、転写ベルト45の転写領域の下流側には、接触部47を通過する際に印加された電圧により帯電した用紙を除電し、次工程への搬送をスムーズに行うための除電ローラ51が配置されている。除電ローラ51は、転写ベルト45の背面に配置されている。
【0033】
転写機構39には、転写ベルト45のトナー汚れと転写ベルト45の除電を行うクリーニングユニット53、除電機構55が配置されている。除電機構55は、装置を介して接地する手法もしくは積極的に転写電界の極性とは逆の極性を印加する手法がある。転写機構39で用紙上に転写されたトナーは、定着ユニット40に搬送される。
【0034】
定着ユニット40は、加熱ローラ(定着部)408、加圧ローラ410を備えており、加熱ローラ408の外周部には用紙剥離爪412、サーミスタ(温度検出部)406、ローラ表面クリーニング部材65が配置されている。また、加熱ローラ408の内周部には、ローラの表面を所定温度(定着設定温度:概ね170℃〜200℃)に加熱するための第1のヒータ402、第2のヒータ404が配置されている。他方、加圧ローラ410の外周には用紙剥離爪414が配置されている。
【0035】
定着ユニット40は、加熱ローラ408と加圧ローラ410との圧接部(定着ニップ部とよばれる)において、搬送される用紙上の未定着トナーを加熱ローラ408表面の温度で加熱して溶融させ、かつ、加圧ローラ410による圧接力で用紙上の未定着トナーを投鋲作用で用紙上に定着させる。
【0036】
給紙トレイ25は、画像形成に使用する用紙を積載しておくためのトレイであり、ここでは、画像形成部の下側および側壁面に設けられている。画像形成装置100は、高速印字処理を行うことを目的とするため、定型サイズの用紙を500枚〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ25が配置されている。他方、画像形成装置100の側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット73および主として不定型サイズの印字等に用いる手差しトレイ75が配置されている。
【0037】
排紙トレイ33は、装置の手差しトレイ75とは反対側の側面に配置されているが、排紙トレイ33に変わって、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理など)や複数段排紙トレイをオプションとして配置することも可能な構成となっている。
【0038】
画像形成装置100は、制御部300を備える。制御部300は、メイン制御部(制御手段)30、メイン制御部30が実行する処理の手順である制御プログラムを格納するROM(記憶手段)34、作業用のワークエリアを提供するRAM36、制御に必要なデータをバックアップして保持する不揮発性メモリ、センサーやソレノイド、ランプなどの負荷を駆動するためのドライバを含む出力回路などから構成される。
【0039】
次に、画像形成装置100の処理モードに対応する用紙搬送工程を詳細に記載する。メイン制御部30により、印字要求に適合する用紙は、複数の給紙トレイ25の中から選択され、搬送路中の搬送ローラ93によってレジストローラ29まで搬送される。メイン制御部30の制御によってレジストローラ29に到達した用紙は一旦停止する。メイン制御部30は、用紙の先端と感光体17上の画像情報を合致させるタイミングでレジストローラ29を再回転させ、これによって用紙が転写機構39に搬送される。転写機構39で、用紙上に画像情報に対応するトナーが転写され、その後、用紙は定着ユニット40へ導かれて転写されたトナーが用紙上に固着される。さらにその後、用紙は排紙トレイ33に排出される。
【0040】
メイン制御部30は、印字のモード(コピアモード、プリンタモードまたはFAXモードなど)および印字処理手法(片面印字または両面印字)に応じて、定着ユニット40以降から排紙トレイ33までの搬送方法を制御する。通常コピアモードでは、ユーザが装置の近傍で操作を行うことから、印字面を上側にして排出するように用紙搬送制御することが多い。これは、「フェースアップ排出」と呼ばれる。一方、プリンタ、FAXの各モードでは、ユーザが装置の近傍にいないことから排出用紙のページ順を揃える「フェースダウン排出」が多く用いられている。
【0041】
したがって、画像形成装置100では、印字のモードに応じてフェースアップ排出とフェースダウン排出とを切り換え得る機構を有している。この切り換え機構は、定着ユニット40を通過した用紙が排紙トレイ33に排出されるまでの間に、複数の搬送路と複数の分岐爪とを配置し、これによって印字モードに応じた用紙排出を行うように構成されている。
【0042】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のブロック図を示す図である。
【0043】
画像形成装置100は、メインスイッチ52を備える。メインスイッチ52は、商用電源20からの電力供給のオン/オフを切り換える第1の接続部10を導通状態または非導通状態に設定するように構成される。
【0044】
画像形成装置100は、メイン制御部30を備える。メイン制御部30には、ROM34、RAM36、搬送部46、画像形成部38、表示部48、操作部44、画像読取部42、定着駆動部18および切換制御部32に接続される。
【0045】
ROM34は、メイン制御部30の動作に必要な複数のプログラムを格納する。RAM36は、データを一時的に保持する揮発性メモリである。搬送部46は、画像形成装置100の内部に設けられた搬送路に沿って用紙を搬送する。画像形成部38は、搬送部46によって搬送される用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を実行する。表示部48は、ユーザに対して通知すべき情報を表示する。操作部44は、ユーザからの入力操作を受け付ける。画像読取部42は、原稿台に置かれた原稿の画像を読み取って画像データを生成する。定着駆動部18は、メイン制御部30からの信号に基づいて定着ユニット40を制御する。定着ユニット40は、用紙に付着したトナー像を熱と圧力とによって用紙に定着させる。
【0046】
切換制御部32は、メイン制御部30からの信号に基づき第2の接続部12、第3の接続部14および第4の接続部16の接続状態を設定するように構成される。
【0047】
第2の接続部12は、第1の接続部10を介して商用電源20に接続される。第2の接続部12の後段には整流部22および電圧調整部28が配置される。整流部22は、ダイオードブリッジ222を備える。電圧調整部28は、スイッチング発振部282、トランス284および電圧変換部286を備えており、商用電源20からの電力を変換し、メイン制御部30および切換制御部32などの制御系回路や、画像形成部38および画像読取部42などの駆動系回路に直流電力を供給する。
【0048】
第3の接続部14は、第1の接続部10を介して商用電源20に接続される。第3の接続部14の後段には充電部(充電手段)24および蓄電部(蓄電手段)26が配置される。充電部24は、商用電源20からの交流電力を整流するとともに、蓄電部26に直流電力を蓄えさせる。蓄電部26は、充電部24によって充電可能な電気2重層コンデンサによって構成される。
【0049】
第4の接続部16は、蓄電部26と電圧調整部28との間に配置される。第4の接続部16の後段には蓄電部26に蓄えられている電力を検出するための電圧検出部(電圧検出手段)50が設けられる。電圧検出部50は、メイン制御部30に接続されており、検出結果をメイン制御部30に対して出力する。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の詳細なブロック図を示す図である。
【0051】
第2の接続部12は、商用電源20と整流部22との間の導通/非導通を切り換え、商用電源20から整流部22への電力供給のオン/オフを制御する。第2の接続部12は、リレースイッチ122およびリレーコイル124を備える。リレースイッチ122は、第1の接続部10とダイオードブリッジ222との間に配置されている。リレーコイル124は、電圧変換部286と切換制御部32との間に配置されている。切換制御部32がリレーコイル124を選択的に通電することにより、リレースイッチ122のオン/オフが制御される。
【0052】
第3の接続部14は、商用電源20と充電部24との間の導通/非導通を切り換え、商用電源20から充電部24への電力供給のオン/オフを制御する。第3の接続部14は、リレースイッチ142およびリレーコイル144を備える。リレースイッチ142は、第1の接続部10と充電部24との間に配置されている。リレーコイル144は、電圧変換部286と切換制御部32との間に配置されている。切換制御部32がリレーコイル144を選択的に通電することにより、リレースイッチ142のオン/オフが制御される。
【0053】
第4の接続部16は、蓄電部26と電圧調整部28との間の導通/非導通を切り換え、蓄電部26から電圧調整部28への電力供給のオン/オフを制御する。第4の接続部16は、FET162を備える。FET162は、そのゲートが切換制御部32に接続される。切換制御部32がFET162のゲートに印加する電圧を制御することにより、蓄電部26から電圧調整部28への電力供給が制御される。
【0054】
商用電源20の停電を検知するため、停電検知部(停電検知手段)200が設けられている。停電検知部200が商用電源20の停電を検知すると、その検知結果がメイン制御部30に通知される。停電検知部200は、商用電源20の交流波形を検出して、交流波形の有無を監視する。
【0055】
定着駆動部18は、トライアック184、トライアック186およびトライアック駆動回路182を備える。トライアック184は、第1の接続部10と第1のヒータ402との間に配置されている。トライアック186は、第1の接続部10と第2のヒータ404との間に配置されている。トライアック駆動回路182は、メイン制御部30からの信号に基づいて、トライアック184およびトライアック186の導通状態をそれぞれ制御する。
【0056】
上述の構成において、メイン制御部30は、サーミスタ406で加熱ローラ408の表面温度を検出し、加熱ローラ408の表面温度が170℃〜200℃の範囲内になるように第1のヒータ402および第2のヒータ404への通電状態を制御する。また、メイン制御部30は、第1のヒータ402および第2のヒータ404への通電状態を切換制御部32に通知する。
【0057】
切換制御部32は、メイン制御部30からの通知内容に基づいて、第2の接続部12、第3の接続部14および第4の接続部16の接続状態を制御する。具体的には、切換制御部32は、トライアック184およびトライアック186が導通状態のときには、第2の接続部12および第3の接続部14を非導通状態に切り換えるとともに第4の接続部16を導通状態に切り換える。一方、切換制御部32は、トライアック184およびトライアック186が非導通状態のときには、第2の接続部12および第3の接続部14を導通状態に切り換えるとともに第4の接続部16を非導通状態に切り換える。
【0058】
この結果、第1のヒータ402および第2のヒータ404がオンしている間は、電圧調整部28を商用電源20から切断し、予め充電しておいた蓄電部26で定着ユニット40以外の電気回路を駆動する。逆に、第1のヒータ402および第2のヒータ404がオフの間は、電圧調整部28を商用電源20に接続し、定着ユニット40以外の電気回路に対し商用電源20から電力供給する。同時に、商用電源20からの電力を用いて蓄電部26の充電を行う。
【0059】
以上によれば、商用電源20から供給可能な1.5kwのほぼ全てを第1のヒータ402および第2のヒータ404に供給することが可能になる。このため、画像形成装置100全体の消費電力が所定の電力値1.5kwを超えることなく、加熱ローラ408の表面温度を維持しやすくなる。この結果、画像形成装置100では、高速連続印刷が可能になる。
【0060】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における定着ユニットの構成を示す図である。
【0061】
図4(A)に示すように、定着ユニット40は、加熱ローラ408、加圧ローラ410、サーミスタ406および用紙剥離爪412,414を備える。加熱ローラ408は、第1のヒータ402および第2のヒータ404を内部に備える。図4(B)に示すように、第1のヒータ402および第2のヒータ404は、互いに異なる加熱特性を備えるように構成される。
【0062】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御手段のフローを示すフローチャートである。
【0063】
以下のフローは、メイン制御部30のサブプロセスとして印字ジョブ実行などのメインプロセスと並列実行されており、サブプロセスからメインプロセスにコマンドを送信することで、本発明の制御を実現させている。
【0064】
ここで、第1の閾値は、画像形成装置100が実行中の印字ジョブを継続することができる最小有効電圧値を示すものとし、第2の閾値は、加熱ローラ408が給紙トレイ25から加熱ローラ408までにある全ての用紙においてこれらの用紙上に転写された像を用紙に定着させることができる最小有効温度を示すものとし、第3の閾値は、加熱ローラ408が転写機構39から加熱ローラ408までにある全ての用紙においてこれらの用紙上に転写された像を用紙に定着させることができる最小有効温度を示すものとし、第4の閾値は、画像形成装置100が実行中の印字ジョブ以外のジョブを継続することができる最小有効電圧値を示すものとする。
【0065】
停電検知部200が商用電源20の停電を検知すると(S10)、その検知結果がメイン制御部30に通知され、第2の接続部12および第3の接続部14を非導通状態に切り換えるとともに第4の接続部16を導通状態に切り換える(S20)。メインプロセスに問い合わせを行い、メインプロセスでジョブを実行中であれば(S30)、電気二重層コンデンサの両端電圧Vcを電圧検出部50で検出する(S40)。メインプロセスに問い合わせを行い、実行中のジョブが印刷ジョブであれば(S50)、Vcが第1の閾値V1以上であるかどうかを判断する(S60)。VcがV1以上であれば、サーミスタ406で加熱ローラ408の表面温度T1を検出する(S70)。T1が第2の閾値180℃以上であるかどうかを判断し(S80)、T1が180℃以上であれば、メインプロセスに新たな給紙トレイ25からの給紙を禁止するコマンドを送信する(S90)。メインプロセスは、既に給紙トレイ25から給紙された用紙の枚数を記憶しており、既に給紙トレイ25から給紙された用紙の枚数分は画像書込みを継続して実行する。このようにすれば給紙済みの用紙への印刷を行うことができ、用紙を無駄にすることなく、排紙トレイ33から排出された白紙を取り除く必要がない。次に、メインプロセスに給紙済みの用紙が全て排出されたか、および、印字データの受信とHDDへの受信データの記憶が完了したかをメインプロセスに問い合わせを行い(S100)、これらの工程が完了したらメインプロセスに画像形成装置100を待機状態に移行するようコマンドを送信する(S110)。メインプロセスが待機状態移行コマンドを受信すると、PCにエラー通知を送信し、画像形成装置100の状態をメモリに記憶し、待機状態に移行する。待機状態では、電源が再投入すなわち停電が解消されるまで装置動作を停止する。電源が再投入されると、メイン制御部30が起動プログラムを実行するので、その際にメモリに記憶しておいた停電前の画像形成装置100の状態をメモリから読み出し、HDDに記憶していた印字データを用いて、中断していたジョブを再開する。
【0066】
S80でT1が180℃未満であれば、T1が第3の閾値170℃以上であるかどうかを判断する(S120)。T1が170℃以上であれば、メインプロセスに新たな頁の画像形成禁止コマンドを送信する(S130)。その結果、メインプロセスは、既に書き込み中の頁については画像形成を継続し、その頁の書込み完了後、新たな書込みを停止する。なお、給紙済みの用紙については、白紙で排出されるので、排出された白紙はユーザが取り除く必要がある。
【0067】
S120でT1が170℃未満であれば、実行中の画像形成を即時停止するコマンドを送信する(S140)。その結果、トナー像の形成は頁の途中で中断する。加熱ローラ408の表面温度が低い状態でトナーが付着した用紙が加熱ローラ408を通過すると、加熱ローラ408上にトナーが残留してローラ表面が汚れるので、できるだけトナーが付着しない状態で用紙を排出させる。なお、給紙済みの用紙については、印字途中もしくは白紙で排出されるので、排出された用紙はユーザが取り除く必要がある。
【0068】
S60でVcがV1未満であれば、モータ等の駆動継続が困難であると判断して、実行中の画像形成を即時停止するコマンドを送信する(S145)。その結果、トナー像の形成は頁の途中で中断する。このとき、加熱ローラ408および加圧ローラ410の駆動のみを継続することで、定着ユニット40内に用紙が残留して用紙が過熱することを防ぐことができる。
【0069】
S50で実行中のジョブが印刷ジョブでなければ、Vcが第4の閾値V2以上であるかどうかを判断する(S150)。VcがV2以上であれば、新たなジョブ実行を禁止するコマンドをメインプロセスに送信する(S160)。これによってメインプロセスは実行中のジョブについては継続し、それ以降の別のジョブの実行は行わない。次に、メインプロセスに実行中のジョブが完了したかを問い合わせ(S170)、ジョブが完了したらメインプロセスに待機状態に移行するコマンドを送信する(S110)。
【0070】
S150でVcがV2未満であれば、制御系部品の駆動継続が困難であると判断して、実行中のジョブを強制停止させるコマンドをメインプロセスに送信する(S180)。
【0071】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のブロック図を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の詳細なブロック図を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置における定着ユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御手段のフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
10−第1の接続部
12−第2の接続部
14−第3の接続部
16−第4の接続部
17−感光体
20−商用電源
24−充電部
25−給紙トレイ
26−蓄電部
30−メイン制御部
34−ROM
39−転写機構
50−電圧検出部
200−停電検知部
406−サーミスタ
408−加熱ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体各部に供給すべき直流電力を蓄えることが可能な蓄電手段と、
商用電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電するための充電手段と、
前記蓄電手段の両端電圧を検出する電圧検出手段と、
装置本体を制御し、複数種類のジョブのうちいずれかを実行する制御手段と、
商用電源からの電力供給の停止を検知する停電検知手段と、
装置本体の各部を制御する制御プログラムを格納する記憶手段と、
を備え、
前記制御手段は、ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、その検出結果および実行中のジョブの種類に基づいて実行中のジョブの継続処理の可否を決定する画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、装置本体が実行中の印字ジョブを継続することができる最小有効電圧値を示す第1の閾値を記憶しており、
前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、実行中の印字ジョブを継続することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、実行中の印字ジョブを中断することを決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体を積載し、記録媒体を装置本体へ給紙する給紙部と、
表面に像を担持する感光体と、
前記感光体の表面の像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写部によって記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させる定着部と、
前記定着部の表面温度を検出する温度検出部と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、前記定着部が前記給紙部から前記定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができる最小有効温度を示す第2の閾値を記憶しており、
前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第2の閾値以上であれば、実行中の印字ジョブを継続することを決定し、前記定着部の表面温度が第2の閾値未満または前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、実行中の印字ジョブを中断することを決定する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第2の閾値以上であれば、前記給紙部から給紙された全ての記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記定着部の表面温度が第2の閾値未満であれば、前記給紙部から給紙された記録媒体のうち、前記転写部に到達した記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することを決定する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記定着部が前記転写部から前記定着部までにある全ての記録媒体においてこれらの記録媒体上に転写された像を記録媒体に定着させることができる最小有効温度を示す第3の閾値を記憶しており、
前記制御手段は、印字ジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値以上であれば、前記定着部の表面温度を前記温度検出部によって検出し、前記定着部の表面温度が第3の閾値以上であれば、前記給紙部から給紙された記録媒体のうち、前記転写部に到達した記録媒体に対する画像形成が完了するまで画像形成を継続することおよび前記給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記定着部の表面温度が第3の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することおよび給紙部から給紙された全ての記録媒体を排出することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第1の閾値未満であれば、記録媒体に対する画像形成を即時停止することを決定する請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、装置本体が実行中の印字ジョブ以外のジョブを継続することができる最小有効電圧値を示す第4の閾値を記憶しており、
前記制御手段は、印字ジョブ以外のジョブを実行中に前記停電検知手段により停電が検知されると、前記蓄電手段の直流電力の蓄積状況を、前記電圧検出手段によって検出し、前記蓄電手段の両端電圧が第4の閾値以上であれば、継続中のジョブの実行を完了して待機状態に移行することを決定し、前記蓄電手段の両端電圧が第4の閾値未満であれば、ジョブの実行を中断して待機状態に移行することを決定する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−26037(P2010−26037A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184622(P2008−184622)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】