説明

画像形成装置

【課題】安価な構成にて、駆動装置の振動の影響を軽減でき、小型軽量化を図った場合においても濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転体である像担持体2と、駆動源からの回転力をギアを介して伝達して像担持体2を回転駆動する駆動装置と、レーザ光を偏向走査する回転体である回転多面体を有し像担持体上に画像を形成する露光装置7と、を有する画像形成装置において、露光装置7の回転多面体の回転周波数と、駆動装置のギアの噛み合い周波数が整数倍となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。より詳しくは、像担持体などの回転体と、回転体を回転駆動する駆動装置と、レーザ光などを走査して回転体上に画像を形成する露光装置を有する画像形成装置において、回転駆動に起因する濃度ムラを防ぐ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、画像形成装置の一例である電子写真方式タンデム型のフルカラー画像形成装置100を示す。
【0003】
本例にて、画像形成装置100は、4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。つまり、イエロー色の画像を形成する画像形成部1Yと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1Mと、シアン色の画像を形成する画像形成部1Cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1Kである。これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0004】
各画像形成部1Y、1M、1C、1Kには、それぞれ、回転体である像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)2a、2b、2c、2dが設置されている。各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、帯電ローラ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4d、1次転写ローラ5a、5b、5c、5d、ドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ設置されている。帯電ローラ3a、3b、3c、3dと現像装置4a、4b、4c、4d間の上方には露光装置7a、7b、7c、7dがそれぞれ設置されている。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。
【0005】
感光ドラム2a、2b、2c、2dは、本例では負帯電の有機感光体でアルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)を有している。そして、各色毎に、例えば、図8に示す感光体駆動装置90によって所定のプロセススピード(例えば190mm/s)で回転駆動される。
【0006】
感光体駆動装置90は、主に、駆動源としてのモータ91と、モータ91の出力ギアGDと、出力ギアGDに噛合したギアGOと、ギアGOに噛合した感光体駆動ギアGS等を備えており、画像形成装置の筐体に支持固定される。モータ91の回転力は、ギアGD、GOを介して感光体駆動ギアGSに伝達されて感光ドラム2を回転する。
【0007】
帯電手段としての帯電ローラ3a、3b、3c、3dは、それぞれ感光ドラム2a、2b、2c、2dに所定の圧接力で接触している。そして、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a、2b、2c、2d表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0008】
露光装置7a、7b、7c、7dは、それぞれ画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザ光を偏向走査して各感光ドラム2a、2b、2c、2d表面に画像露光する。これにより、各帯電ローラ3a、3b、3c、3dで帯電された各感光ドラム2a、2b、2c、2d表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する。露光装置7としては、本例では、図9に示すレーザスキャナ装置を使用している。
【0009】
レーザスキャナ装置7は、レーザ光源101からのレーザビームを回転多面体(即ち、ポリゴンミラー)102によって反射して、さらにFθレンズ103、折り返しミラー104で光路を折り曲げて感光ドラム2の表面に結像走査させる。このレーザスキャナ装置においては、回転体であるポリゴンミラーの回転により、感光ドラム2の軸方向に主走査が行われ、感光ドラム2の回転により、感光ドラム2の軸方向とは直交方向に副走査が行われる。
【0010】
現像装置4a、4b、4c、4dは、それぞれ感光ドラム2a、2b、2c、2d上に形成される静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0011】
1次転写手段としての1次転写ローラ5a、5b、5c、5dは、各1次転写部Nにて中間転写体としての中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a、2b、2c、2dに当接している。そして、1次転写バイアス電源(不図示)から印加される1次転写バイアスによって、各感光ドラム上の各トナー像を中間転写ベルト8に1次転写する。
【0012】
中間転写ベルト8は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13間に張架されており、駆動ローラ11の駆動によって矢印方向(時計方向)に回転(移動)される。2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ14と当接して2次転写部Mを形成している。テンションローラ13は、ばね(不図示)によって図中右方向に移動可能な状態で付勢支持されていて、これにより、中間転写ベルト8に一定張力を持たせている。
【0013】
2次転写手段としての2次転写ローラ14は、2次転写対向ローラ12と対向する位置に中間転写ベルト8及び紙などの転写材Pを挟んで当接、離間可能な状態で設置されている。
【0014】
中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置15が設置されている。また、2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ14とが当接する2次転写部Mの転写材Pの搬送方向下流側には、定着ローラ16aと加圧ローラ16bを有する定着装置16が設置されている。
【0015】
次に、上記した画像形成装置による画像形成動作について説明する。
【0016】
画像形成動作開始信号が発せられると、転写材(紙)Pは、カセット(不図示)から送り出されて、レジストローラ20まで搬送され、2次転写部Mの直前で一時待機する。
【0017】
一方、各画像形成部1Y、1M、1C、1Kでは、画像形成動作開始信号が発せられる。すると、所定のプロセススピードで回転駆動される各感光ドラム2a、2b、2c、2dは、それぞれ帯電ローラ3a、3b、3c、3dによって一様に、本従来例では負極性に帯電される。そして、露光装置7a、7b、7c、7dにより変調されたレーザ光を、帯電された各感光ドラム2a、2b、2c、2d上にそれぞれ走査露光して静電潜像を形成する。そして、先ず感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、現像装置4aによりイエローのトナーを付着させて、トナー像として可視像化する。このイエローのトナー像は、1次転写ローラ5aにより、回転している中間転写ベルト8上に1次転写される。
【0018】
イエローのトナー像が転写された中間転写ベルト8は、画像形成部1M側に移動される。そして、画像形成部1Mにおいても、前記同様にして感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて、1次転写ローラ5bにより転写される。
【0019】
以下、同様にして中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1C、1Kの感光ドラム2c、2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を、1次転写ローラ5c、5dにより順次重ね合わせる。これにより、フルカラーのトナー像を中間転写ベルト8上に形成する。
【0020】
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部Mに移動されるタイミングに合わせて、レジストローラ20により転写材Pをこの2次転写部Mに搬送する。これにより、この転写材Pに、2次転写ローラ14によりフルカラーのトナー像が一括して2次転写される。
【0021】
フルカラーのトナー像が形成された転写材Pは定着装置16に搬送されて、定着ローラ16aと加圧ローラ16b間の定着ニップでフルカラーのトナー像を加熱、加圧して転写材P表面に熱定着した後に外部に排出して、一連の画像形成動作を終了する。
【0022】
なお、上記した各1次転写時において、感光ドラム2a、2b、2c、2d上に残留している1次転写残トナーは、それぞれドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dによって除去されて回収される。また、2次転写後に中間転写ベルト8上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置15によって除去されて回収される。
【0023】
このような、レーザ走査装置を用いた画像形成装置は、感光ドラムの駆動において、モータ自身が持つ回転ムラや、ギアの噛み合いに起因する伝達誤差、駆動時の装置の各種負荷の変動などによって感光ドラムの回転速度にムラが生じる。そのため、色ずれや周期的な濃度ムラとなるなど画像品質を劣化させてしまう場合がある。
【0024】
このため、例えば、特許文献1には、エンコーダなどにより回転体の回転ムラを検知し、検知結果に応じて速度制御を行うようにして、安定した回転を行うことで、色ずれや周期的な濃度ムラなどの画像劣化を防止する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平10−66373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記従来例においては、以下の課題があった。
【0026】
上記従来例の駆動装置においては、ギアの噛み合いで発生する伝達誤差によって回転速度ムラを生じるとともに、支持構造に対しては振動を発生させている。この振動は、モータとギアの噛み合い周波数に一致する。駆動装置の振動は、特に画像形成系である露光装置に伝達すると、共振現象によるうなりを生じる場合がある。そのため、画像上では副走査方向に濃度ムラが生じたり、カラー画像で色ずれが生じたりして画像品質を劣化させてしまうことがあった。
【0027】
周期的な濃度ムラは、特に、画像上で1mm〜20mmピッチのものが目立ち易く、著しく画像品質を低下させる。一般には、プロセススピードなど装置構成条件によるが、露光装置の回転周波数や、ギアの噛み合い周波数自体は高周波であり、影響を受けたとしても画像上では1mm以下のピッチの濃淡となるため目立ちにくい。
【0028】
しかしながら、共振によるうなりなどで、10Hz〜150Hz程度の振動となると、プロセススピードによっては画像上で1mm〜20mmピッチの濃度ムラとなって画像品質を著しく低下する。
【0029】
振動対策として伝達経路などに防振装置を配置し振動の伝達を抑制することなどが考えられるものの、複雑な構成となるなど低コスト化にとっては不利であり、簡易な構成にて濃度ムラを軽減することが課題であった。
【0030】
また、装置の小型化や軽量化などを実現しようとした場合、装置構成によっては、振動源と露光装置が近距離となり、剛性の関係からも振動を生じやすく、振動の振幅も大きくなる。その結果、共振現象によるうなりによって、濃度ムラも顕著となる。
【0031】
そこで、本発明の目的は、安価な構成にて、駆動装置の振動の影響を軽減でき、小型軽量化を図った場合においても濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第一の態様によれば、回転体である像担持体と、駆動源からの回転力をギアを介して伝達して前記像担持体を回転駆動する駆動装置と、レーザ光を偏向走査する回転体である回転多面体を有し前記像担持体上に画像を形成する露光装置と、を有する画像形成装置において、
前記露光装置の回転多面体の回転周波数と、前記駆動装置のギアの噛み合い周波数が整数倍となるように構成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0033】
第二の態様によれば、回転体である像担持体と、駆動源からの回転力を複数のギアを備えたギア列を介して伝達して前記像担持体を回転駆動する駆動装置と、レーザ光を偏向走査する回転体である回転多面体を有し前記像担持体上に画像を形成する露光装置と、を有する画像形成装置において、
前記露光装置の回転多面体の回転周波数と、前記駆動装置の複数のギアのうち、少なくとも駆動源からみて最上流側のギアの噛み合い周波数が整数倍の関係となるように構成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、露光装置の回転多面体の回転周波数を、駆動装置のギアの噛み合い周波数の整数倍となるように構成することで、安価な構成にて、駆動装置のギアの噛み合いに起因する振動と露光装置との干渉現象を防止できる。その結果、小型軽量化を図った場合においても濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0036】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置100の一実施例を示す。本実施例にて、画像形成装置100は、電子写真方式でタンデム型のレーザプリンタ等のフルカラー画像形成装置とされる。また、図2は、本実施例の感光体駆動装置110を示す概略構成図である。
【0037】
なお、本実施例の画像形成装置100は、先に説明した図7に示す従来の画像形成装置100と同様の構成とされ、従って、同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0038】
本実施例にて、画像形成装置100は、従来の図7に示す画像形成装置100に比べ装置高さを低くし、また、装置筐体の厚みを薄くして小型軽量化を図ったものである。
【0039】
尚、本実施例にて、露光装置7は、前に図9に示して説明した従来の露光装置であるレーザスキャナ装置7と同様の構成とされる。従って、先の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
【0040】
ここで、本実施例では、露光装置7、即ち、レーザスキャナ装置における回転多面体(ポリゴンモータ)102の回転周波数をf1、感光体駆動装置のギアの噛み合い周波数をf2とすると、
f1=N×f2(Nは整数)
の関係になるように、各モータの回転数、ギアの歯数を設定している。
【0041】
具体的には、露光装置7における回転体であるポリゴンモータ102の回転周波数(f1)を600Hzとする。
【0042】
また、図2に示すように、本実施例にて感光体駆動装置110は、駆動源である電動モータ111を備えており、その出力ギアGDは、10歯ギアとされ30Hzで回転する。出力ギアGDは、30歯のギアGO(回転数:10Hz)に噛合し、更に、ギアGOは、150歯の感光体駆動ギアGS(回転数:2Hz)に噛合し、感光ドラム2を回転駆動する構成としている。
【0043】
なお、感光体駆動装置110において、ギアの噛み合い周波数f2は、「ギアの歯数」×「ギア回転数(Hz)」で決まる。従って、本実施例の場合は、ギアの噛み合い周波数f2は、300Hzとなっている。即ち、本実施例では、
f1=2×f2
の関係となるように、駆動装置110及び露光装置7を構成している。
【0044】
上記のように構成することで、濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となる。
【0045】
すなわち、スキャナ7の回転周波数f1を駆動装置110のギア噛み合い周波数f2の整数倍(N)となるように構成する。これにより、駆動装置110の振動が露光装置7に伝達した場合においても、基本的に両者の干渉現象を防止でき、濃度ムラ等の画像劣化を防止できる。
【0046】
ここで、うなりは、ある瞬間に振動する両者のタイミングが合うことで強めあった後、徐々にずれが生じることにより弱めあい、そして再びタイミングが合ったときに強めあう、ということを繰り返すことによって発生する現象である。特に振動する両者の周波数が近接するときに顕著に発生する。
【0047】
うなりの周期は、両者の周波数の差であり、うなりの発生しない条件としては、両者の振動周波数が、一致しているか、若しくは、整数倍となっていることである。
【0048】
本実施例では、露光装置7の振動周波数と、駆動装置110に起因する振動の周波数(=ギアの噛み合い周波数)の関係が整数倍となるように構成しているため、駆動装置110の振動が露光装置7に伝達しても、干渉現象(うなり)は発生しない。
【0049】
このため、装置の小型軽量化などにより、駆動装置110の振動を露光装置7に伝達しやすい構成となった場合においても、濃度ムラなどの画像劣化を防止できる。従って、駆動装置110と露光装置7を近くに配置することができ、装置の小型化が可能となる。また、筐体などの厚みも薄く設定でき、装置の軽量化を図ることも可能で、簡易な構成とすることで低コスト化にも有利となる。
【0050】
本発明者等は、以下の方法により検証を行い、本実施例における濃度ムラの抑制効果を確認した。確認方法としては、実際に画像形成装置100にて画像形成を行った時の、露光装置部の振動状態の確認と、濃度ムラなどの画像評価を行った。
【0051】
比較例として、露光装置の周波数600Hzに対し、ギアの噛み合い周波数を560Hzとしたもの(本実施例では、300Hz)の例も確認した。
【0052】
なお、振動状態の確認は、露光装置の支持構造体に加速度センサを配置して実際の振動を測定し、振動の周波数成分を解析した。画像評価は、干渉ムラによる濃度ムラが目立ちやすい横線などのハーフトーン画像を用いて確認し、同じく濃度差の周期を周波数解析した。濃度ムラの周波数解析は、出力画像を読取装置などで読み込んで、濃度差情報を周波数特性として抽出し評価した。
【0053】
結果は、以下の通りである。
【0054】
図3、図4は、それぞれ本実施例及び比較例における、露光装置の支持構造体の振動の周波数解析結果である。また、表1は、画像評価結果である。
【0055】
【表1】

【0056】
図3、図4より、露光装置7の振動には、露光装置7のモータによる振動周波数成分のピーク(600Hz)と、駆動装置110の噛み合い周波数に相当する振動周波数成分のピーク(本実施例:300Hz、比較例:560Hz)をそれぞれ確認できる。また、比較例には、矢印で示したように40Hzあたりにピークが見られ、干渉現象によるうなり周期(=600−560)での振動も発生しているのが確認できる。
【0057】
一方、画像評価においては、比較例では、約5mmピッチの顕著な濃度ムラが発生したのに対し、本実施例では、濃度ムラの発生はなく、良好な画像が得られた。
【0058】
本実施例では、プロセススピードは190mm/sであるため、上記うなりによる振動周波数40Hzの影響は、4.75mmピッチの濃度ムラとなる。実際に、比較例の濃度ムラ画像に対して、濃度差の周波数解析を行った結果、40Hz(4.75mm)付近にピークがみられた。
【0059】
以上説明したように、露光装置7の回転周波数を、駆動装置110のギアの噛み合い周波数の整数倍となるように構成することで、駆動装置ギアの噛み合いに起因する振動と露光装置との干渉現象を防止できる。そのため、安価な構成にて、濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となる。その結果、駆動装置と露光装置を近くに配置することができ、装置の小型化可能となる。また、筐体などの厚みも薄く設定でき、装置の軽量化を図ることも可能で、簡易な構成とすることで低コスト化も可能となる。
【0060】
なお、本実施例では、露光装置7の回転周波数f1=600Hz、駆動装置110のギアの噛み合い周波数f2=300Hzとして、f1>f2の場合の例を示した。しかし、例えば、f1=400Hz、f2=800Hzのように、f1<f2となるように構成しても同様の効果が得られた。
【0061】
実施例2
本発明に係る画像形成装置の第二の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置は、実施例1で説明した画像形成装置と同様の構成とされる。ただ、本実施例では、4色の各感光ドラム2(2a、2b、2c、2d)が、即ち、複数の感光ドラムが一つの駆動源にて駆動される。
【0062】
つまり、図5に示すように、本実施例の感光体駆動装置200は、駆動源である電動モータ201と、複数のギアを備えたギア列202とを備えている。
【0063】
更に説明すると、モータ201の出力ギアGDは、駆動段ギアGOを介して、ギア列202に回転力が伝達される。即ち、出力ギアGDは、駆動段ギアGOの大ギアGOaに噛合し、駆動段ギアGOの小ギアGObが、第1ギア列のギアG1に噛合する。ギアG1は、段ギアG2の大ギアG2aに噛合し、小ギアG2bが感光ドラム2dの駆動ギアGSKに噛合し、ブラックの感光ドラム2dを回転駆動する。
【0064】
段ギアG2の大ギアG2aは、第2ギア列のギアG3に噛合する。ギアG3は、段ギアG4の大ギアG4aに噛合し、小ギアG4bが感光ドラム2cの駆動ギアGSCに噛合し、シアンの感光ドラム2cを回転駆動する。
【0065】
同様に、段ギアG4の大ギアG4aは、第3ギア列のギアG5に噛合する。ギアG5は、段ギアG6の大ギアG6aに噛合し、小ギアG6bが感光ドラム2bの駆動ギアGSMに噛合し、マゼンタの感光ドラム2bを回転駆動する。
【0066】
また、同様に、段ギアG6の大ギアG6aは、第4ギア列のギアG7に噛合する。ギアG7は、段ギアG8の大ギアG8aに噛合し、小ギアG8bが感光ドラム2aの駆動ギアGSYに噛合し、イエローの感光ドラム2aを回転駆動する。
【0067】
本実施例では、このように、モータ201とギア列202から構成される感光体駆動装置200を用い、一つのモータ201にて、4色の感光ドラム2(2a、2b、2c、2d)を回転駆動させる。
【0068】
ギア列202は、主に、ギアG0、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8から構成され、モータ201の回転力を、順次ギアを介して、各感光ドラム2に伝達し、各色の感光ドラム2を回転する。なお、これらモータ、及び、各ギア列は、それぞれ画像形成装置の筐体に支持固定されている。
【0069】
本実施例においては、駆動側から見て最上流側のギアの噛み合い周波数f2が、露光装置の回転周波数f1に対し、
f1=N×f2 (Nは整数)
の関係になるように、モータの回転数、ギアの歯数を設定している。
【0070】
具体的には、露光装置7の回転周波数f1=600Hzに対し、駆動装置200の最上流部である、駆動モータ201の出力ギアGDを、15歯、20Hzとし、最上流のギアGDとの噛み合い周波数f1=300Hzとしている。出力ギアGDに噛合するギアG0は、60歯のギアで、5Hzで回転する(噛み合い周波数は、同じく300Hzとなる)。
【0071】
駆動装置から発生する振動は、ギアの噛み合いによる伝達誤差に起因している。そのため、複数のギアを備えたギア列を有する駆動装置の場合は、伝達経路上、最上流部であるモータなどの駆動源の伝達誤差は振動となりやすく、伝達先である下流部などの伝達誤差は、振動とはならず回転速度ムラとして吸収されやすい傾向にある。
【0072】
これは、駆動源に近いギアは、駆動装置内部に振動として伝播しやすく、反対に駆動源から遠いギアは、負荷変動として伝達先である回転体の微小な回転ムラなどになりやすいためである。つまり、駆動対象である回転体までの伝達経路(近い/遠い)や、支持体に対する負荷状況(材質、形状、重量など)に関係している。
【0073】
従って、ギアの噛み合い周波数は、基本的には露光装置の振動周波数の整数倍となるのが好ましいものの、最上流部以外のギアに関しては、実際には振動には直接影響しにくいことから、任意の噛み合い周波数で構成してもよい。
【0074】
本実施例では、各画像ユニットの配置位置や、トルク、伝達効率などを考慮して決定した。具体的には、G1、G3、G5、G7と、G2、G4、G6、G8は、それぞれ同じ径と歯数のギアを用いており、噛み合い周波数は、各々、250Hzと、200Hzとなっている。
【0075】
上記のように構成することで、安価な構成にて、駆動装置ギアの噛み合いに起因する振動と露光装置との干渉現象を防止でき、濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となる。
【0076】
すなわち、本実施例では、少なくとも駆動装置の最上流部のギア噛み合い周波数と、露光装置の回転周波数の関係が整数倍となるように構成する。これにより、駆動装置の振動が露光装置に伝達した場合においても、基本的に両者の干渉を防止でき、濃度ムラ等の画像劣化を防止できる。従って、装置の小型軽量化により、駆動装置の振動を露光装置に伝達しやすい構成となった場合においても、濃度ムラの発生を防止できる。
【0077】
また、モータの個数を軽減できるため、低コスト化にも有利な構成を実現できる。
【0078】
図6は、実施例1と同様にして振動周波数解析を行い、本実施例の装置の効果を確認した結果である。
【0079】
図から分かるように、本実施例の画像形成装置の振動成分としては、600Hzと300Hz付近にピークを確認でき、それぞれ、露光装置の回転周波数(600Hz)と、最上流部の噛み合い周波数(300Hz)に一致している。一方、他のギアの噛み合い周波数相当部分(例えば、250Hz、200Hz付近)にはピークはなく、最上流部の噛み合い周波数による振動が伝達されているのが分かる。また、干渉現象によるうなり成分も発生しない。
【0080】
実際の画像においても、濃度ムラの発生もなく良好な画像品質を得られた。
【0081】
以上説明したように、露光装置の回転周波数を、少なくとも駆動装置の最上流部のギアの噛み合い周波数の整数倍となるように構成することで、駆動装置ギアの噛み合いに起因する振動と露光装置との干渉現象を防止できる。そのため、安価な構成にて、濃度ムラなどの画像不具合のない良好な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となる。その結果、駆動装置と露光装置を近くに配置することができ、装置の小型化可能となる。また、筐体などの厚みも薄く設定でき、装置の軽量化を図ることも可能で、簡易な構成とすることで低コスト化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置における駆動装置の一実施例の概略構成図である。
【図3】本発明の画像形成装置における露光装置の支持構造体の振動の周波数解析結果を示す図である。
【図4】比較例の画像形成装置における露光装置の支持構造体の振動の周波数解析結果を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置における駆動装置の他の実施例の概略構成図である。
【図6】本発明の画像形成装置における他の実施例の露光装置の支持構造体の振動の周波数解析結果を示す図である。
【図7】従来の画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図8】従来の画像形成装置における駆動装置の一例を示す概略構成図である。
【図9】従来の画像形成装置における露光装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1(1Y、1M、1C、1K) 画像形成部(画像形成ユニット)
2(2a、2b、2c、2d) 感光ドラム(像担持体)
3(3a、3b、3c、3d) 帯電ローラ(帯電手段)
4(4a、4b、4c、4d) 現像装置
5(5a、5b、5c、5d) 1次転写ローラ(1次転写手段)
6(6a、6b、6c、6d) ドラムクリーニング装置
7(2a、2b、2c、2d) 露光装置(レーザスキャナ装置)
8 中間転写ベルト(中間転写体)
14 2次転写ローラ(2次転写手段)
15 転写クリーニング装置
16 定着装置
110、200 感光体駆動装置
202 ギア列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体である像担持体と、駆動源からの回転力をギアを介して伝達して前記像担持体を回転駆動する駆動装置と、レーザ光を偏向走査する回転体である回転多面体を有し前記像担持体上に画像を形成する露光装置と、を有する画像形成装置において、
前記露光装置の回転多面体の回転周波数と、前記駆動装置のギアの噛み合い周波数が整数倍となるように構成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転体である像担持体と、駆動源からの回転力を複数のギアを備えたギア列を介して伝達して前記像担持体を回転駆動する駆動装置と、レーザ光を偏向走査する回転体である回転多面体を有し前記像担持体上に画像を形成する露光装置と、を有する画像形成装置において、
前記露光装置の回転多面体の回転周波数と、前記駆動装置の複数のギアのうち、少なくとも前記駆動源からみて最上流側のギアの噛み合い周波数が整数倍の関係となるように構成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記像担持体を有し、前記複数の像担持体を1つの駆動源で駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−39226(P2010−39226A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202472(P2008−202472)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】