説明

画像形成装置

【課題】記録媒体の中央先行を抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1の本体ケーシング2には、用紙100を搬送する搬送ベルト9と、搬送ベルト9に対して用紙100の搬送方向上流側に配置される第1ガイド部材24とが設けられている。プロセスユニット50には、搬送ベルト9に対して搬送方向上流側に配置される押圧部材31が設けられている。押圧部材31は、搬送方向に対して直交する幅方向における用紙100の中央領域100Aのみを押圧するので、押圧された中央領域100Aは、押圧部材31に対向配置された第1ガイド部材24に押し付けられる。これにより、搬送ベルト9へ向けて搬送される用紙100では、中央領域100Aのみに抵抗が生じるので、中央領域100Aが幅方向における両端部100Bよりも先に搬送されることがなく、用紙100の中央先行を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像が転写される転写材を搬送する無端状の転写材搬送ベルトと、転写材搬送ベルトの内側に配置されて転写材搬送ベルトを周回移動させる複数の回動ロールと、トナー像を形成する複数の画像形成ユニットとを備えるカラー画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1のカラー画像形成装置では、各画像形成ユニットが形成したトナー像が、周回移動する転写材搬送ベルトに搬送される転写材に順次重ねて転写されることにより、転写材には、カラー画像が形成される。
【0003】
そして、特許文献1のカラー画像形成装置は、転写材の搬送方向における転写材搬送ベルトの上流側に転写材吸着ロールを備えている。転写材吸着ロールは、転写材搬送ベルトを挟んで、転写材の搬送方向における最上流位置にある回動ロールに対向している。転写材搬送ベルトへ向けて搬送される転写材は、転写材搬送ベルトの上流側において転写材吸着ロールと回動ロール(厳密には転写材搬送ベルト)とに挟まれることによって転写材搬送ベルトに吸着される。これにより、転写材と転写材搬送ベルトとの密着性を向上させることができる。
【特許文献1】特開平5−270686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写材の搬送に関し、中央先行という現象が生じることがある。中央先行とは、転写材の搬送時に、転写材の搬送方向に対する直交方向(いわゆる用紙幅方向)における転写材の中央領域が、直交方向における両端部に対して先行する(先に搬送される)ことである。
ここで、たとえば多数の転写材が積層状態で高温多湿下に放置された場合、積層方向において上部を除く位置にある転写材では、周縁部だけが大気に露出されるので、直交方向において、中央領域が乾燥したままの状態にある一方で、両端部側が大気中の水分を吸収して湿ってしまう。つまり、この転写材では、湿り具合が直交方向において異なる。また、この転写材では、中央領域が乾燥している一方で両端部側が湿っていることから、中央領域が硬く、両端部側が軟らかくなる。
【0005】
そして、転写材の搬送時に中央先行が発生すると、中央先行が発生した転写材では、両端部側から中央領域へ向かう力が発生する。このとき、中央先行が発生した転写材が、上述した積層方向における上部の転写材のように、直交方向において湿り具合(換言すれば硬さ)が均一な転写材であれば、両端部側から中央領域へ向かうそれぞれの力は、相殺され、転写材に悪影響を及ぼさない。
【0006】
しかし、中央先行が発生した転写材において、上述したように中央領域が硬く、両端部側が軟らかいと、両端部側から中央領域へ向かうそれぞれの力が相殺されることなく中央領域に集中し、これにより、この転写材では、中央領域に皺が発生し得る。中央領域に皺が発生した転写材が、皺が解消されないまま転写材搬送ベルトに搬送され、トナー像がこの転写材に転写されると、転写材において皺が発生した中央領域では、トナー像の転写不良が生じる。また、転写材に皺があると、搬送不良が生じるおそれもある。
【0007】
そのため、転写材の中央先行を抑制する必要がある。
ここで、特許文献1のカラー画像形成装置では、転写材吸着ロールが直交方向に延びており、転写材吸着ロールでは、直交方向における両端部がカラー画像形成装置本体側に支持されている。つまり、転写材吸着ロールでは、直交方向において、両端部の剛性が中央部の剛性よりも高い。そのため、転写材搬送ベルトの上流側において転写材が転写材吸着ロールと回動ロールとに挟まれた場合、この転写材では、直交方向において、両端部側が中央領域よりも強く挟まれるので、両端部側が中央領域に遅れて搬送される。そのため、特許文献1のカラー画像形成装置では、中央先行が、抑制されるどころか、逆に促進されてしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、記録媒体の中央先行を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、装置本体と、前記装置本体に対して着脱自在に装着され、静電潜像が形成される感光体を保持する感光体ユニットと、前記装置本体に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部材と、前記感光体ユニットに設けられ、前記搬送部材に対して記録媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記搬送方向に対して直交する方向における記録媒体の中央領域のみを押圧する押圧部材と、前記装置本体に設けられ、前記搬送部材に対して前記搬送方向上流側に配置され、前記押圧部材に対向し、前記搬送部材へ向けて記録媒体を案内する第1ガイド部材とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押圧部材は、搬送される記録媒体に接触することによって回転可能なローラであることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対して接離可能であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記押圧部材は、前記搬送方向における前記第1ガイド部材の下流側端部に当接可能であることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記搬送方向における前記第1ガイド部材の下流側端部において前記押圧部材に当接される部分は、前記搬送方向下流側へ向かうに従って前記搬送部材に近付く傾斜面であることを特徴としている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の発明において、前記感光体ユニットには、前記第1ガイド部材に対向し、前記搬送部材へ向けて記録媒体を案内する第2ガイド部材が備えられ、前記押圧部材は、前記第2ガイド部材に支持されていることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第2ガイド部材には、前記押圧部材を支持し、揺動自在な支持部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記支持部材は、揺動中心を挟むように配置される一端および他端を含み、前記一端で前記押圧部材を支持しており、前記押圧部材が前記第1ガイド部材に向かうように前記他端を付勢する付勢部材を備えていることを特徴としている。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記支持部材は、前記搬送方向において前記一端が前記他端よりも下流側に配置され、かつ、前記搬送方向下流側へ向かうに従って前記一端側が記録媒体に近付くように、傾斜していることを特徴としている。
【0014】
また、請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の発明において、前記感光体ユニットには、前記感光体ユニットが前記装置本体から離脱されたときに前記支持部材の揺動を規制する規制部材が設けられていることを特徴としている。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の発明において、前記押圧部材に対して前記搬送方向上流側に配置され、記録媒体における少なくとも前記中央領域に接触することによって所定のタイミングで前記搬送方向下流側へ記録媒体を送り出すレジストローラを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、この画像形成装置では、静電潜像が形成される感光体を保持する感光体ユニットが装置本体に対して着脱自在に装着されている。
そして、装置本体には、記録媒体を搬送する搬送部材と、搬送部材に対して記録媒体の搬送方向(以下では、単に「搬送方向」ということがある。)上流側に配置される第1ガイド部材とが設けられている。
【0016】
また、感光体ユニットには、搬送部材に対して搬送方向における上流側に配置される押圧部材が設けられている。
押圧部材は、搬送方向に対して直交する方向(以下では「直交方向」ということがある。)における記録媒体の中央領域のみを押圧するので、押圧された中央領域は、押圧部材に対向配置された第1ガイド部材に押し付けられる。
【0017】
これにより、搬送部材へ向けて搬送される記録媒体では、中央領域のみに抵抗が生じるので、中央領域が他の領域(直交方向における両端部)よりも先に搬送されることがなく、記録媒体の中央先行を抑制することができる。
ここで、感光体ユニットは、静電潜像が形成される感光体を保持するので、装置本体に対して比較的高精度で位置決めされる。これに伴い、押圧部材も比較的高精度で位置決めされるので、押圧部材は、正確に記録媒体の中央領域のみを押圧することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、押圧部材は、搬送される記録媒体に接触することによって回転可能なローラであるので、記録媒体の中央領域を押圧している最中では、回転することによって、必要以上に記録媒体に抵抗を生じさせない。そのため、中央先行を抑制しつつ、記録媒体を搬送部材へ向けて円滑に搬送することができる。
請求項3に記載の発明によれば、押圧部材は、第1ガイド部材に対して接離可能であるので、接離することによって、必要以上に記録媒体に抵抗を生じさせない程度の適切な強さで記録媒体の中央領域を押圧することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、押圧部材は、搬送方向における第1ガイド部材の下流側端部(搬送部材に最も近い部分)に当接可能である。
これにより、搬送部材の直前において、記録媒体の中央先行を抑制することができる。そのため、押圧部材を過ぎて搬送部材へ向かう記録媒体に中央先行が生じることはなく、記録媒体は、中央先行がない状態を保ったまま、速やかに搬送部材に受け渡され、その状態で引き続き搬送される。
【0020】
つまり、搬送部材の直前で記録媒体の中央先行を抑制しておくことによって、中央先行が生じた状態で記録媒体が搬送部材に搬送されることを効果的に抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、搬送方向における第1ガイド部材の下流側端部において押圧部材に当接される部分は、搬送方向下流側へ向かうに従って搬送部材に近付く傾斜面である。これにより、押圧部材を過ぎて搬送部材へ向かう記録媒体は、この傾斜面に案内されることによって、円滑に搬送部材に受け渡される。そのため、記録媒体の円滑な搬送を達成することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、感光体ユニットには、第1ガイド部材に対向し、搬送部材へ向けて記録媒体を案内する第2ガイド部材が備えられている。そのため、記録媒体は、第1ガイド部材だけでなく、第2ガイド部材によっても案内されることによって、搬送部材へ向けて円滑に案内される。
そして、押圧部材が第2ガイド部材に支持されていることから、第2ガイド部材は、記録媒体を案内する役割と押圧部材を支持する役割とを兼ねるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、第2ガイド部材には、押圧部材を支持し、揺動自在な支持部材が設けられているので、押圧部材は、支持部材とともに揺動することによって、第1ガイド部材に対して簡易に接離可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、支持部材では、揺動中心を挟むように配置される一端および他端において、一端で押圧部材が支持されており、そして、一端側の押圧部材が第1ガイド部材に向かうように他端が付勢部材によって付勢されている。そのため、押圧部材は、付勢部材に付勢されることによって、第1ガイド部材に確実に接近し、記録媒体の中央領域を強く押圧することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、支持部材は、搬送方向において一端が他端よりも下流側に配置され、かつ、搬送方向下流側へ向かうに従って一端側が記録媒体に近付くように、傾斜している。
これにより、支持部材において、他端が付勢部材に付勢されることによって一端側の押圧部材が第1ガイド部材に接近すると、押圧部材は、押圧部材と第1ガイド部材との間を通過する記録媒体の中央領域を押圧するときに、この中央領域に対して、付勢部材の付勢力の一部を、搬送方向上流側に作用させることができる。そのため、記録媒体の中央領域のみに抵抗が生じ、記録媒体の中央先行を確実に抑制することができる。
【0024】
そして、このように支持部材が傾斜していれば、押圧部材は、記録媒体を押圧しながら、記録媒体からの反力によって第1ガイド部材から離間することができるので、記録媒体は、押圧部材と第1ガイド部材との間を円滑に通過することができる。
これに反し、搬送方向において他端が一端よりも下流側に配置され、かつ、搬送方向上流側へ向かうに従って一端側が記録媒体に近付くように支持部材が傾斜している場合には、押圧部材は、搬送されてきた記録媒体を押圧するどころか、逆に記録媒体によって第1ガイド部材側へ押圧され、第1ガイド部材との隙間を塞いでしまう。この場合、記録媒体は、押圧部材と第1ガイド部材との間を通過することができず、ジャムが生じ得る。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、感光体ユニットには、感光体ユニットが装置本体から離脱されたときに支持部材の揺動を規制する規制部材が設けられているので、感光体ユニットが装置本体から離脱されたときに支持部材が不必要に揺動することを防止できる。
請求項11に記載の発明によれば、押圧部材に対して搬送方向上流側に配置されたレジストローラが、記録媒体における少なくとも中央領域に接触することによって所定のタイミングで搬送方向下流側へ記録媒体を送り出す。これより、記録媒体では、直交方向において、どうしても中央領域が両端部よりも先に搬送され易くなるので、レジストローラを通過した後に中央先行が生じ易いが、このような場合であっても、レジストローラの搬送方向下流側の押圧部材によって、記録媒体の中央先行を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
1.プリンタ
図1Aは、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を示す側断面図である。図1Bは、プリンタを右前側から見た斜視図であって、装置本体の一例としての本体ケーシングに対して感光体ユニットの一例としてのプロセスユニットが着脱される様子を示している。なお、方向について言及する場合には、図示した方向矢印を参照する(他の図についても同様)。ここで、左右方向と幅方向とは同じであり、水平方向は、幅方向および前後方向を含んでいる。
【0027】
プリンタ1は、カラープリンタである。図1Aに示すように、プリンタ1は、前後方向に長手の略ボックス形状の本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、感光体の一例としての4つの感光ドラム3が、回転自在な状態で、前後方向に沿って並列配置されている。以下では、4つの感光ドラム3を、各感光ドラム3で形成されるトナー像(後述する)の色(ブラック、シアン、マゼンタまたはイエロー)に応じて、感光ドラム3K(ブラック)、感光ドラム3C(シアン)、感光ドラム3M(マゼンタ)、感光ドラム3Y(イエロー)と区別する。各感光ドラム3には、主にスコロトロン型帯電器4および現像ローラ6が対向配置されている。
【0028】
感光ドラム3は、その表面がスコロトロン型帯電器4によって一様に帯電された後、本体ケーシング2の上部に設けられたスキャナユニット17から出射されたレーザビーム(図示破線矢印参照)によって露光される。これにより、各感光ドラム3の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。各静電潜像は、各感光ドラム3に対応する現像ローラ6に担持されるトナー(現像剤)によって可視像化され、感光ドラム3の表面上にトナー像が形成される。
【0029】
記録媒体の一例としての用紙100は、本体ケーシング2の底部に配置された給紙カセット7に、上下方向に積層された状態で、収容されている。給紙カセット7に収容された用紙100のうち、最上位の用紙100は、給紙カセット7の前端部周辺に設けられた給紙部8の各種ローラにより前側から後側に方向を変えながら上昇し、搬送部材の一例としての搬送ベルト9に搬送される。ここで、各種ローラには、1対のレジストローラ18が含まれており、レジストローラ18は、給紙カセット7からの用紙100を、所定のタイミングで搬送ベルト9へ向けて搬送する。なお、記録媒体には、用紙100以外にOHPシート等が含まれる。
【0030】
搬送ベルト9は、感光ドラム3K、3C、3Mおよび3Yと、各感光ドラム3に対向する転写ローラ10との間に配置されている。各感光ドラム3の表面上のトナー像は、転写ローラ10に印加された転写バイアスによって、搬送ベルト9に搬送されてきた用紙100上に転写され、順次重ね合わされる。
4色のトナー像が転写された用紙100は、搬送ベルト9によって、後側の定着部11に搬送される。用紙100上に転写されたトナー像は、定着部11で熱定着される。その後、用紙100は、各種ローラにより、後側から前側に方向を変えながら上昇し、本体ケーシング2上部の排出トレイ12に排出される。
【0031】
このように、用紙100は、給紙カセット7から排出トレイ12までの間を、上下方向および/または前後方向に沿って搬送される。
ここで、プリンタ1は、各色に対応して、4つのプロセスカートリッジ13を備えている。なお、以下では、4つのプロセスカートリッジ13を、各色に対応して、プロセスカートリッジ13K(ブラック)、プロセスカートリッジ13C(シアン)、プロセスカートリッジ13M(マゼンタ)、プロセスカートリッジ13Y(イエロー)と区別する。
【0032】
各プロセスカートリッジ13は、本体ケーシング2内において、前後方向に沿って並列配置されている。
各プロセスカートリッジ13のケーシング(プロセスケーシング14)内には、対応する感光ドラム3と、スコロトロン型帯電器4と、現像ローラ6と、供給ローラ15と、トナーホッパ16とが主に配置されている。感光ドラム3、現像ローラ6および供給ローラ15の各中心軸(回転軸)は、幅方向に沿って延びている。各プロセスカートリッジ13では、トナーホッパ16に収容されたトナーが、供給ローラ15によって現像ローラ6に供給され、上述したように、現像ローラ6に担持される。
【0033】
これらのプロセスカートリッジ13は、ユニット化されており、まとめてプロセスユニット50とされる(図1B参照)。プロセスユニット50の前端には、ハンドル55が設けられている。プロセスユニット50は、各プロセスカートリッジ13において感光ドラム3を保持し、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。
ここで、本体ケーシング2の前壁には、正面視において略矩形をなす板状のカバー51が設けられている。カバー51は、本体ケーシング2の前壁の下端に設けられた揺動軸52を中心に揺動自在となるように、本体ケーシング2の前壁に支持されている。揺動軸52は、幅方向に沿って延びており、カバー51は、揺動することによって、図1Aに示すように略垂直方向に延びて起立する接近位置と、略水平に沿う程度に前側へ傾倒する離間位置(図1B参照)とに移動可能である。
【0034】
接近位置にあるカバー51は、本体ケーシング2に接近し、本体ケーシング2の内部を前側から塞ぐ。詳しくは、本体ケーシング2の前壁には、本体ケーシング2の内部に連通する着脱口42が形成されており、接近位置にあるカバー51は、着脱口42を前側から塞ぐ。
離間位置にあるカバー51は、図1Bに示すように、本体ケーシング2から前側へ離間しており、本体ケーシング2の内部および着脱口42を前側へ開放する。カバー51が離間位置にあるとき、本体ケーシング2に装着された状態にあるプロセスユニット50の前端部(ハンドル55周辺)が、着脱口42を介して本体ケーシング2の前壁から前側へ露出される。
【0035】
常態では、カバー51は、接近位置(図1A参照)にあるが、カバー51を接近位置から離間位置に移動させることによって、開放された着脱口42を介して、上述したプロセスユニット50を前側から引き出し、または、前側から本体ケーシング2の内部に押し込むことができる。つまり、カバー51が離間位置にあるときには、本体ケーシング2に対してプロセスユニット50を着脱させることができる。プロセスユニット50の着脱方向は、前後方向である。また、プロセスユニット50の着脱の際には、ハンドル55が把持される。
【0036】
ここで、上述したプロセスユニット50は、プロセスカートリッジ13の他に、4つのプロセスカートリッジ13を前後方向に並べた状態で保持するフレーム(プロセスフレーム43)を含んでいる。プロセスフレーム43は、平面視において中央に内部空間44が形成された略矩形をなす枠体形状であり、4つのプロセスカートリッジ13は、プロセスフレーム43の内部空間44に差し込まれることによって、プロセスフレーム43に保持される。上述したハンドル55は、プロセスフレーム43の前壁43Aの上部に取り付けられている。
【0037】
また、プロセスフレーム43の前端部には、幅方向外側へ突出する基準軸45が一体的に設けられており、プロセスフレーム43の後端縁には、前側へ窪む凹部46が形成されている。プロセスユニット50を本体ケーシング2に装着すると、プロセスフレーム43では、基準軸45が本体ケーシング2に係合し、かつ、凹部46に、本体ケーシング2側の基準軸(図示せず)が嵌合する。これにより、プロセスユニット50は、本体ケーシング2に装着された状態で、所定位置に位置決めされる。
2.用紙搬送ユニット
図1Aに示すように、プリンタ1には、給紙カセット7から搬送されてきた用紙100を定着部11まで搬送するための用紙搬送ユニット20が備えられている。以下では、特に言及がない限り、プロセスユニット50が本体ケーシング2に装着され、かつ、カバー51が接近位置にあるものとする。
【0038】
図2は、プロセスユニットのプロセスフレームの前壁周辺を左後側から見た斜視図である。図3は、用紙搬送ユニット周辺における図1Aの要部拡大図である。なお、図3では、プロセスカートリッジ13(図1A参照)の図示を省略している。
用紙搬送ユニット20は、本体ケーシング2内において、給紙カセット7の上方、かつ、各プロセスカートリッジ13(プロセスユニット50)の下方に配置されている。用紙搬送ユニット20は、上述した搬送ベルト9および転写ローラ10を備え、さらに、フレーム(搬送フレーム21)と、駆動ローラ22と、従動ローラ23とを備えている。
【0039】
図2に示すように、搬送フレーム21は、上下方向に薄手かつ平面視略矩形状の枠体形状に形成されている。なお、図2では、搬送フレーム21の前側部分のみが示されている。
駆動ローラ22および従動ローラ23は、それぞれの中心軸が幅方向に延びた状態で、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている(図1Aも参照)。具体的には、駆動ローラ22は、搬送フレーム21の後端部に支持されており(図2では図示されていない)、従動ローラ23は、搬送フレーム21の前端部に支持されている。
【0040】
搬送ベルト9は、用紙100より幅広でポリカーボネート等の樹脂製のエンドレスベルトからなり、所定の張力が付与された状態で、駆動ローラ22と従動ローラ23との間に巻回されている(図1Aも参照)。つまり、搬送ベルト9は、駆動ローラ22および従動ローラ23を介して搬送フレーム21に支持されている。そして、この状態における搬送ベルト9において、少なくとも上面(上側部分9A)は、略水平方向に沿っている(図1Aおよび図3も参照)。ここで、搬送フレーム21の左端部21Aおよび右端部21Bは、それぞれ、駆動ローラ22と従動ローラ23との間の前後方向における全範囲に亘って、搬送ベルト9から幅方向外側にはみ出ている。
【0041】
転写ローラ10は、感光ドラム3の数に応じて4つ設けられており、搬送フレーム21の上側部分に支持されている。図1Aに示すように、4つの転写ローラ10は、駆動ローラ22および従動ローラ23の間に巻回されている搬送ベルト9内において、対応する感光ドラム3と、搬送ベルト9の上側部分9Aを挟んで下から対向しつつ、前後方向に間隔を隔てて並んでいる。
【0042】
画像形成時において、駆動ローラ22には、本体ケーシング2内に設けられる図示しないモータからの駆動力が伝達され、駆動ローラ22が回転される。これに伴い、搬送ベルト9が、左側面視で反時計回りの方向に周回移動するとともに、従動ローラ23が従動される。これにより、搬送ベルト9では、上側部分9Aが、略水平方向に沿って、前側から後側へ移動する。
【0043】
ここで、給紙カセット7から搬送されて搬送ベルト9に受け渡された用紙100は、搬送ベルト9の上側部分9A上に載置されると、前側から後側に向かって搬送され、その途中で、各感光ドラム3と上側部分9Aとの接触位置(転写位置)を順次通過する。このとき、上述したように、各感光ドラム3の表面上のトナー像が、用紙100上に順次転写されて重ね合わされる。そして、トナー像が転写された用紙100は、搬送ベルト9によってさらに後側に向かって搬送されて、定着部11に受け渡される。
【0044】
このように用紙100を搬送する用紙搬送ユニット20は、図3に示すように、第1ガイド部材24と、第2ガイド部材25とを備えている。
第1ガイド部材24は、幅方向に長手の板状であり、搬送ベルト9よりも幅広である。図示されていないが、第1ガイド部材24は、搬送フレーム21の左端部21A(図2参照)の前端部と右端部21B(図2参照)の前端部と間に架設されることによって搬送フレーム21に支持されている。この状態において、第1ガイド部材24は、搬送ベルト9において従動ローラ23の上端部に一致する部分の近傍に対して、所定の間隔を隔てて上から対向しており、第1ガイド部材24のいずれの部分も搬送ベルト9に接触していない。第1ガイド部材24の上面の少なくとも後側部分は、斜め後側下方へ傾斜しており、第1ガイド面24Aとされる。このように傾斜する第1ガイド面24は、後側へ向かうに従って搬送ベルト9の上側部分9Aに上から近付く傾斜面である。
【0045】
また、第1ガイド部材24には、ガード26が一体的に取り付けられている。ガード26は、搬送ベルト9の前端部において従動ローラ23の外周面に沿って湾曲する湾曲部分9Bに沿うように下方へ延びて、この湾曲部分9Bに対して所定の間隔を隔てて前から対向している。これにより、ガード26は、湾曲部分9Bを前側から保護している。
第2ガイド部材25は、幅方向に長手の板状であり、第1ガイド部材24とほぼ同じ幅方向寸法を有している。図2に示すように、第2ガイド部材25は、搬送フレーム21でなく、プロセスユニット50のプロセスフレーム43の前壁43Aの後側面に一体的に備えられている。前壁43Aの後側面は、プロセスフレーム43の内部空間44(図1Bも参照)に前側から臨む面である。第2ガイド部材25は、前壁43Aの下端をなし、前壁43Aの後側面よりも後側へはみ出ている。
【0046】
図3に示すように、プロセスユニット50が本体ケーシング2に装着された状態では、第2ガイド部材25は、搬送ベルト9に接触することなく、第1ガイド部材24に対して間隔を隔てて上から対向している。そして、第2ガイド部材25全体は、第1ガイド面24Aと同様に、斜め後側下方へ傾斜している(図2も参照)。詳しくは、水平面(搬送ベルト9の上側部分9Aを参照)に対する第2ガイド部材25の傾斜角度は、水平面に対する第1ガイド面24Aの傾斜角度より大きい。
【0047】
また、このように傾斜した第2ガイド部材25の下面が、第1ガイド部材24の上面(第1ガイド面24Aも含む。)に対して上から対向しており、第2ガイド面25Aとされる。第2ガイド面25Aは、前側から後側へ向かって、まず上側へ滑らかに突出するように湾曲し、その後、後側へ向かうに従って第1ガイド面24Aに接近するように斜め後側下方へ傾斜している。
【0048】
ここで、第1ガイド部材24の上面と第2ガイド面25Aとによって上下から挟まれる空間40は、左側面視において、後側へ向かって細くなる略三角形状をなしており、用紙100より幅広である。空間40の後端は、搬送ベルト9の上側部分9Aに前上側から臨んでいる。そして、空間40に対して前側から臨む位置に、上述した1対のレジストローラ18が、互いに接触した状態で配置されている。これらのレジストローラ18は、搬送フレーム21でなく、カバー51の後側面によって回転自在に支持され、用紙搬送ユニット20の一部をなしている。
【0049】
そして、図2に示すように、第2ガイド部材25の上面の幅方向中央の下側には、支持部材30と押圧部材31とが設けられている。
支持部材30は、幅方向にやや長手、かつ、平面視で略矩形状の板状である(ドットで示した部分を参照、図1Aおよび図3も同様)。
支持部材30は、第2ガイド部材25にほぼ沿うように斜め後側下方へ傾斜した状態で、第2ガイド部材25によって揺動自在に支持されている。支持部材30の揺動中心30Aは、図3に示すように、左側面視において、支持部材30の上下(前後)方向における略中央にあり、支持部材30の揺動軸は、揺動中心30Aを通って幅方向に延びている。ここで、支持部材30の下端(後端)を一端30Bとし、支持部材30の上端(前端)を他端30Cとする。揺動中心30Aは、一端30Bおよび他端30Cによって上下前後方向から挟まれている。このような支持部材30が揺動すると、一端30Bおよび他端30Cが上下する。詳しくは、一端30Bが上昇すると他端30Cが下降し、一端30Bが下降すると他端30Cが上昇する。
【0050】
ここで、図2に示すように、支持部材30の一端30B近傍における左右の各端縁には、規制部材の一例として幅方向外側へ突出する突起53が一体的に設けられている。換言すれば、これらの突起53は、支持部材30および第2ガイド部材25を介して、プロセスフレーム43(プロセスユニット50)に設けられている。これらの突起53は、点線で示すように、第2ガイド部材25において支持部材30の一端30Bに左右から隣接する部分(被係合部54という。)の下側に潜り込むように配置されている。そのため、支持部材30が揺動することによって一端30Bが必要以上に上昇しようとすると、各突起53が、対応する被係合部54に下から係合するので、それ以上一端30Bが上昇できず、これに伴い、支持部材30の揺動が停止する。プロセスユニット50が本体ケーシング2に装着された状態ではもちろんのこと、プロセスユニット50が本体ケーシング2から離脱されたときであっても、突起53は、被係合部54に係合することによって、左側面視における時計回りの方向への支持部材30の揺動を規制する。
【0051】
図3に示すように、支持部材30の他端30Cの下面には、下向きに突出するボス32が一体的に設けられており、第2ガイド部材25の上面において支持部材30のボス32に対して下から対向する部分には、上向きに突出するボス33が一体的に設けられている。ボス32とボス33との間には、プリンタ1に含まれる付勢部材の一例としてのばね34が介挿されている。そのため、ボス32が設けられた他端30Cは、上向き(厳密には斜め後側上方)に伸びようとするばね34によって上向きに付勢されている。これに伴い、支持部材30全体は、左側面視で反時計回りの方向へ揺動するように付勢されており、そのため、一端30Bは、下向きに(厳密には斜め前側下方であり、実線矢印で示した付勢力Aを参照)付勢されている。
【0052】
押圧部材31は、幅方向に延びる中心軸を有する幅方向に長手のローラである。押圧部材31は、支持部材30の一端30Bによって回転自在に支持されている。換言すれば、押圧部材31は、プロセスユニット50に設けられ、支持部材30を介して第2ガイド部材25に支持されている。支持部材30が第2ガイド部材25に支持されている状態において、押圧部材31は、第2ガイド部材25よりも後側(詳しくは、上述した空間40の後端)に配置されており、押圧部材31の外周面の下側部分は、第1ガイド部材24の上面(第1ガイド面24A)の後端部に対して上から対向している。
【0053】
この状態で、上述したように支持部材30が揺動自在なので、押圧部材31は、支持部材30の揺動に伴って上下に動くことによって、第1ガイド面24Aの後端部に対して接離可能である。常態では、上述したように支持部材30において他端30Cがばね34に付勢されることによって一端30Bが下向きに付勢されているので、一端30Bに支持された押圧部材31は、第1ガイド面24Aの後端部に向かうように下向きに付勢されている。そのため、押圧部材31と第1ガイド面24Aとの間に何もない場合には、押圧部材31は、第1ガイド面24Aの後端部に上から当接している。
【0054】
ここで、上述したように、支持部材30の突起53が第2ガイド部材25の被係合部54に係合することによって、左側面視における時計回りの方向への支持部材30の揺動が規制されている(図2参照)。そのため、プロセスユニット50が本体ケーシング2に装着された状態において、支持部材30が時計周りの方向へ必要以上に揺動することで押圧部材31が上昇して第1ガイド部材24から離間してしまうことを防止できる。
3.用紙搬送
ここでは、図1Aに示す給紙カセット7の用紙100が搬送ベルト9まで搬送される流れを詳しく説明する。また、以下では、引き続き、プロセスユニット50が本体ケーシング2に装着されているものとする。
【0055】
上述したように、給紙カセット7に積層状態で収容された用紙100のうち、最上位にある用紙100は、給紙カセット7の前端部周辺に設けられた各種ローラ(レジストローラ18と区別して、搬送ローラ19という。)によって、まず、1対のレジストローラ18の間へ搬送される。
1対のレジストローラ18は、搬送されてきた用紙100の先端(搬送方向下流側端であり、以下同じ。)を挟み、所定のタイミングで回転することによって、この用紙100を搬送方向下流側の搬送ベルト9へ向けて送り出す。このとき、1対のレジストローラ18は、用紙100において幅方向(用紙100の搬送方向に対して直交する方向)における少なくとも中央領域100A(図2参照)に接触することによって用紙100を送り出す。図3では、レジストローラ18によって送り出された直後の用紙100の先端Xが示されている。
【0056】
レジストローラ18によって送り出された用紙100は、後向きに搬送され、上述した空間40(第1ガイド部材24の上面と第2ガイド面25Aとによって上下から挟まれる空間)に前側から進入する。この用紙100は、引き続き後向き(詳しくは斜め後側上方)に搬送され、第2ガイド面25Aの前端部に接触する。ここで、上述したように、第2ガイド面25Aは、前側から後側へ向かって、まず上側へ滑らかに突出するように湾曲し、その後、後側へ向かうに従って第1ガイド面24Aに接近するように斜め後側下方へ傾斜している。そのため、第2ガイド面25Aの前端部に接触した用紙100は、第1ガイド面24Aの湾曲部分では折れ曲ることがなく、その後、第2ガイド面25Aの後側部分に沿って空間40内を斜め後側下方へ搬送される。このときの用紙100の先端には、符号Yが付されている。
【0057】
その後、この用紙100は、引き続き第2ガイド面25Aに沿って斜め後側下方へ搬送され、押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達する。このときの用紙100の先端には、符号Zが付されている。このように、第2ガイド25は、第2ガイド面25Aにおいて、搬送方向下流側の搬送ベルト9へ向けて用紙100を案内する。
ここで、用紙100では、上述した中央領域100Aと、押圧部材31とが幅方向において一致している(図2参照)。そのため、用紙100では、中央領域100Aのみが、押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達する。なお、用紙100がレジストローラ18から後向きに搬送されていることから、第1ガイド面24Aの後端部は、用紙100の搬送方向における第1ガイド部材部材24の下流側端部である。
【0058】
用紙100(詳しくは用紙100の先端Z)の中央領域100A(図2参照)が押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達したとき、用紙100では、搬送方向上流側部分が1対のレジストローラ18に挟まれているので、用紙100は、回転するレジストローラ18によって引き続き後向きに搬送される。
そのため、用紙100の先端Zにおける中央領域100Aは、ばね34の付勢力に抗して押圧部材31を上方ヘ押し上げて第1ガイド面24Aの後端部から離間させ、これによって押圧部材31と第1ガイド面24Aとの間に形成された隙間を通って後側へ進行する。これに伴い、用紙100の先端Zは、幅方向における全域に亘って、左側面視で押圧部材31を後側へ通過する。その結果、用紙100全体は、引き続き後向きに搬送される。
【0059】
用紙100が押圧部材31を通過する最中では、ばね34の付勢力によって第1ガイド面24Aの後端部に向かおうとする押圧部材31によって、用紙100の中央領域100Aのみが、第1ガイド面24Aに向けて上から押圧され、第1ガイド面24Aに押し付けられる。これに伴い、用紙100において幅方向における中央領域100A以外の領域が、第1ガイド面24Aに押し付けられないものの、第1ガイド面24Aに近付く。ここで、第1ガイド面24Aは、上述したように後側(搬送方向下流側)へ向かうに従って搬送ベルト9の上側部分9Aに上から近付くように傾斜している。そのため、第1ガイド面24Aに近付きながら後側へ搬送される用紙100は、第1ガイド面24Aによって、搬送ベルト9の上側部分9Aへ案内される。このように、第1ガイド24は、第1ガイド面24Aにおいて、搬送方向下流側の搬送ベルト9へ向けて用紙100を案内する。また、押圧部材31は、回転自在なので、押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との間を通過する用紙100の中央領域100Aの上面に接触することによって、回転しながら用紙100の中央領域100Aを押圧する。
【0060】
このように搬送ベルト9の上側部分9Aへ案内された用紙100は、上側部分9A上に載置され(受け渡され)、上述したように、後側へ搬送される。
以上のように、給紙カセット7の用紙100は、搬送方向上流側から順に、レジストローラ18、第2ガイド部材25、押圧部材31、第1ガイド部材24を通過して、その後、搬送ベルト9に受け渡される。そのため、搬送ベルト9に対して用紙100の搬送方向における上流側に押圧部材31および第1ガイド部材24が配置され、押圧部材31に対して搬送方向上流側にレジストローラ18が配置されていることがわかる。
【0061】
また、図1Aに示すように、用紙搬送ユニット20では、搬送ベルト9、転写ローラ10、搬送フレーム21、駆動ローラ22、従動ローラ23および第1ガイド部材24は、本体ケーシング2に設けられているが、レジストローラ18は、カバー51に設けられ、第2ガイド部材25、支持部材30および押圧部材31は、プロセスユニット50(プロセスフレーム43)に設けられている。
【0062】
なお、搬送ベルト9、転写ローラ10、搬送フレーム21、駆動ローラ22、従動ローラ23および第1ガイド部材24は、ユニット化されて、まとめてベルトユニット56とされる。ベルトユニット56は、プロセスユニット50同様、カバー51を離間位置に移動させてから、本体ケーシング2に対して前側から着脱可能である(図1B参照)。ここで、プロセスユニット50側の第2ガイド部材25、支持部材30および押圧部材31の各下端部がベルトユニット56側の第1ガイド部材24に対して上側へ離間した状態でプロセスユニット50を動かせば、ベルトユニット56がプロセスユニット50に干渉することなく、プロセスユニット50だけを本体ケーシング2に対して着脱できる。
4.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1では、図1Aに示すように、静電潜像が形成される感光ドラム3を保持するプロセスユニット50が本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。
【0063】
そして、図3に示すように、本体ケーシング2には、用紙100を搬送する搬送ベルト9と、搬送ベルト9に対して用紙100の搬送方向における上流側に配置される第1ガイド部材24とが設けられている。
また、プロセスユニット50には、搬送ベルト9に対して搬送方向における上流側に配置される押圧部材31が設けられている。
【0064】
押圧部材31は、搬送方向に対して直交する直交方向(幅方向)における用紙100の中央領域100Aのみを押圧するので(図2も参照)、押圧された中央領域100Aは、押圧部材31に対向配置された第1ガイド部材24に押し付けられる。
これにより、図2を参照して、搬送ベルト9へ向けて搬送される用紙100では、中央領域100Aのみに抵抗が生じるので、中央領域100Aが他の領域(幅方向における両端部100B)よりも先に搬送されることがなく、用紙100の中央先行を抑制することができる。
【0065】
ここで、プロセスユニット50は、静電潜像が形成される感光ドラム3を保持するので、基準軸45および凹部46(図1B参照)において、本体ケーシング2に対して比較的高精度で位置決めされる。これに伴い、プロセスユニット50に設けられた押圧部材31も比較的高精度で位置決めされるので、押圧部材31は、正確に用紙100の中央領域100Aのみを押圧することができる。
【0066】
また、図3に示すように、押圧部材31が、中央領域100Aにおいて、少なくとも先端(先端Z参照)を押圧していれば、用紙100において、先端Zの中央先行だけでなく、先端Z以降の搬送方向上流側の領域における中央先行も抑制されるので、結果として、用紙100の搬送方向全域における中央先行を確実に抑制することができる。
また、図2を参照して、用紙100が中央先行しようとすると、幅方向において両端部100Bから中央領域100Aへ向かう力が発生するが、押圧部材31が中央領域100Aのみを押圧することによって、用紙100には、中央領域100Aから両端部100Bへ向かう力が作用されるので、用紙100において、幅方向における力が相殺される。
(2)図2に示すように、押圧部材31は、モータ等の駆動力を受けることなく、搬送される用紙100に接触することによって回転可能なローラであるので、用紙100の中央領域100Aを押圧している最中では、回転することによって、必要以上に用紙100に抵抗を生じさせない。そのため、中央先行を抑制しつつ、用紙100を搬送ベルト9へ向けて円滑に搬送することができる。
(3)図3に示すように、押圧部材31は、第1ガイド部材24に対して接離可能であるので、接離することによって、必要以上に用紙100に抵抗を生じさせない程度の適切な強さで用紙100の中央領域100Aを押圧することができる。
【0067】
ここで、押圧部材31は、搬送ベルト9には接触しないので、搬送ベルト9が押圧部材31に起因して摩耗することはない。
(4)押圧部材31は、搬送方向における第1ガイド部材24の下流側端部(第1ガイド面24Aの後端部であって、搬送ベルト9に最も近い部分)に当接可能である。
これにより、搬送ベルト9の直前において、用紙100の中央先行を抑制することができる。そのため、押圧部材31を過ぎて搬送ベルト9へ向かう用紙100に中央先行が生じることはなく、用紙100は、中央先行がない状態を保ったまま、速やかに搬送ベルト9に受け渡され、その状態で引き続き搬送される。
【0068】
つまり、搬送ベルト9の直前で用紙100の中央先行を抑制しておくことによって、中央先行が生じた状態で用紙100が搬送ベルト9に搬送されることを効果的に抑制することができる。
(5)搬送方向における第1ガイド部材24の下流側端部において押圧部材31に当接される部分である第1ガイド面24Aの後端部は、搬送方向下流側(後側)へ向かうに従って搬送ベルト9に近付く傾斜面である。これにより、押圧部材31を過ぎて搬送ベルト9へ向かう用紙100は、この第1ガイド面24Aに案内されることによって、円滑に搬送ベルト9に受け渡される。そのため、用紙100の円滑な搬送を達成することができる。
(6)図3に示すように、プロセスユニット50には、第1ガイド部材24に対向し、搬送ベルト9へ向けて用紙100を案内する第2ガイド部材25が備えられている。そのため、用紙100は、第1ガイド部材24だけでなく、第2ガイド部材25によっても案内されることによって、搬送ベルト9へ向けて円滑に案内される。
【0069】
そして、押圧部材31が第2ガイド部材25に支持されていることから、第2ガイド部材25は、用紙100を案内する役割と押圧部材31を支持する役割とを兼ねるので、部品点数の削減を図ることができる。
逆に、第2ガイド部材25が押圧部材31を支持しないのであれば、幅方向に延びる鉄軸等をプロセスフレーム43の前壁43Aに設けて、この鉄軸で押圧部材31を支持しなければならず、その場合、第2ガイド部材25が押圧部材31を支持する場合よりも、コストが高くなる。
(7)第2ガイド部材25には、押圧部材31を支持し、揺動自在な支持部材30が設けられているので、押圧部材31は、支持部材30とともに揺動することによって、第1ガイド部材24に対して簡易に接離可能となる。
(8)支持部材30では、揺動中心30Aを挟むように配置される一端30Bおよび他端30Cにおいて、一端30Bで押圧部材31が支持されており、そして、一端30B側の押圧部材31が第1ガイド部材24に向かうように他端30Cがばね34によって付勢されている。そのため、押圧部材31は、ばね34に付勢されることによって、第1ガイド部材24に確実に接近し、用紙100の中央領域100Aを強く押圧することができる。
(9)支持部材30は、搬送方向において一端30Bが他端30Cよりも下流側(後側)に配置され、かつ、搬送方向下流側へ向かうに従って一端30B側が用紙100に近付くように、斜め後側下方へ傾斜している。
【0070】
これにより、支持部材30において、他端30Cがばね34に付勢されることによって一端30B側の押圧部材31が下降して第1ガイド部材24に接近すると、押圧部材31は、押圧部材31と第1ガイド部材24との間を通過する用紙100の中央領域100Aを押圧するときに、この中央領域100Aに対して、ばね34の付勢力(図示実線矢印で示した斜め前側下方へ向かう付勢力Aを参照)の一部(図示点線矢印で示した前向きの分力Cを参照。なお、分力Cに直交する別の分力には符号Bを付している。)を、搬送方向上流側(つまり前側)に作用させることができる。そのため、用紙100の中央領域100Aのみに抵抗が生じ、用紙100の中央先行を確実に抑制することができる。
【0071】
そして、このように支持部材30が傾斜していれば、押圧部材31は、用紙100を押圧しながら、用紙100からの反力によって第1ガイド部材24から離間することができるので、用紙100は、押圧部材31と第1ガイド部材24との間を円滑に通過することができる。
これに反し、搬送方向において他端30Cが一端30Bよりも下流側に配置され、かつ、搬送方向上流側へ向かうに従って一端30B側が用紙100に近付くように支持部材30が他端30Cから一端30Bへ向けて斜め前側下方へ傾斜している場合には、押圧部材31は、搬送されてきた用紙100を押圧するどころか、逆に用紙100によって第1ガイド部材24側へ押圧され、第1ガイド部材24との隙間を塞いでしまう。この場合、用紙100は、押圧部材31と第1ガイド部材24との間を通過することができず、ジャムが生じ得る。
(10)図2に示すように、プロセスユニット50には、プロセスユニット50が本体ケーシング2から離脱されたときに支持部材30の揺動を規制する突起53が設けられているので、プロセスユニット50が本体ケーシング2から離脱されたときに支持部材30が不必要に揺動することを防止できる。
(11)図3に示すように、押圧部材31に対して搬送方向上流側に配置されたレジストローラ18が、用紙100における少なくとも中央領域100Aに接触することによって所定のタイミングで搬送方向下流側へ用紙100を送り出す。これより、用紙100では、幅方向において、どうしても中央領域100Aが両端部100B(図2参照)よりも先に搬送され易くなるので、レジストローラ18を通過した後に中央先行が生じ易いが、このような場合であっても、レジストローラ18の搬送方向下流側の押圧部材31によって、用紙100の中央先行を抑制することができる。
5.変形例
上記の実施形態では、図3に示すように、ばね34を用いて、支持部材30の一端30Bに設けられた押圧部材31を用紙100側へ付勢しているが、支持部材30、ばね34および押圧部材31に代え、たとえば、弾性を有するフィルムを用いてもよい。その場合、フィルムは、予め撓んだ状態でプロセスフレーム43(詳しくは第2ガイド部材25)に取り付けられており、撓んだフィルムが元の形状に復元しようとするときに、フィルムの先端が、押圧部材31となって、用紙100の中央領域を押圧する。
【0072】
上記の実施形態では、感光ドラム3をレーザによって露光させて静電潜像を形成する構成のプリンタを例示したが、本発明は、LEDで感光ドラム3を露光させる構成のプリンタにも適用可能であり、さらに、搬送ベルト9を用いて用紙100を搬送させる全てタイプの画像形成装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図1B】プリンタを右前側から見た斜視図であって、装置本体の一例としての本体ケーシングに対して感光体ユニットの一例としてのプロセスユニットが着脱される様子を示している。
【図2】プロセスユニットのプロセスフレームの前壁周辺を左後側から見た斜視図である。
【図3】用紙搬送ユニット周辺における図1Aの要部拡大図である。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 感光ドラム
9 搬送ベルト
18 レジストローラ
24 第1ガイド部材
24A 第1ガイド面
25 第2ガイド部材
30 支持部材
30A 揺動中心
30B 一端
30C 他端
31 押圧部材
34 ばね
50 プロセスユニット
53 突起
100 用紙
100A 中央領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に対して着脱自在に装着され、静電潜像が形成される感光体を保持する感光体ユニットと、
前記装置本体に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記感光体ユニットに設けられ、前記搬送部材に対して記録媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記搬送方向に対して直交する方向における記録媒体の中央領域のみを押圧する押圧部材と、
前記装置本体に設けられ、前記搬送部材に対して前記搬送方向上流側に配置され、前記押圧部材に対向し、前記搬送部材へ向けて記録媒体を案内する第1ガイド部材と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、搬送される記録媒体に接触することによって回転可能なローラであることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対して接離可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記搬送方向における前記第1ガイド部材の下流側端部に当接可能であることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送方向における前記第1ガイド部材の下流側端部において前記押圧部材に当接される部分は、前記搬送方向下流側へ向かうに従って前記搬送部材に近付く傾斜面であることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体ユニットには、前記第1ガイド部材に対向し、前記搬送部材へ向けて記録媒体を案内する第2ガイド部材が備えられ、
前記押圧部材は、前記第2ガイド部材に支持されていることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2ガイド部材には、前記押圧部材を支持し、揺動自在な支持部材が設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持部材は、揺動中心を挟むように配置される一端および他端を含み、前記一端で前記押圧部材を支持しており、
前記押圧部材が前記第1ガイド部材に向かうように前記他端を付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記搬送方向において前記一端が前記他端よりも下流側に配置され、かつ、前記搬送方向下流側へ向かうに従って前記一端側が記録媒体に近付くように、傾斜していることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光体ユニットには、前記感光体ユニットが前記装置本体から離脱されたときに前記支持部材の揺動を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする、請求項7ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記押圧部材に対して前記搬送方向上流側に配置され、記録媒体における少なくとも前記中央領域に接触することによって所定のタイミングで前記搬送方向下流側へ記録媒体を送り出すレジストローラを備えていることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−66391(P2010−66391A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231096(P2008−231096)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】