説明

画像形成装置

【課題】縁無しモードを有する画像形成装置において、回収手段によって回収され回収容器に蓄積された廃トナー量を精度良く見積もる。
【解決手段】縁無しモードが実行され記録材がニップ部で搬送される場合に、二次転写ベルト31上に形成されたトナー像のうち、この記録材よりも大きい部分のトナー量と、この記録材の厚さに基づいた転写効率とから、ブラシローラ34により回収されるトナー量を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年において、電子写真方式の画像形成装置においても、余白の無い縁無し画像を形成することが望まれている。
縁無し画像をプリントする一つの方法として、中間転写体上の画像位置と記録材の位置が多少ずれてもプリント画像に余白が生じることの無いように、中間転写体上に、記録材サイズよりやや大きめの画像をプリントする方法が考えられる。
この場合、記録材からはみ出した中間転写体上のトナー(塗り足しトナー)が記録材搬送部材としての二次転写ベルト上に転写されて、紙裏汚れなどを発生させてしまうことが懸念される。このため、記録材搬送部材を清掃する清掃手段(二次転写ベルトクリーナ、トナーを回収する回収手段)を設ける必要がある。清掃方法としては、樹脂ブレードによる物理的なトナーの掻き取りや、導電性ブラシローラによる静電的なトナー回収などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−45457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、ブラシローラでトナーを回収する場合には、画像形成終了後に再度ブラシローラから二次転写ベルト上にトナーを転写させ、さらに中間転写体上に転写させて中間転写体クリーナで清掃させることも可能である。この場合、二次転写ベルトクリーナ部にトナー回収容器を配設せずに済む。しかし、その反面、複雑なクリーニング制御が必要になるため、スループットが落ちるデメリットが懸念される。
スループットを確保するために、二次転写ベルトクリーナで回収したトナーは、二次転写クリーナ部に配設したトナー回収容器に蓄積するのが一般的である。
この場合、トナー回収容器、またはトナー回収容器が付属するユニットは、トナー回収容器に蓄積された廃トナー量が所定量を超えた場合にユーザが交換する必要がある。このためには、回収した廃トナーがトナー回収容器から溢れる(パンクする)前にトナー回収容器フル(満タン)の情報をユーザに伝える必要がある。
しかしながら、廃トナー量の見積もりの精度が低い装置において、廃トナーが容器から溢れることを防止するためには、早めにトナー回収容器フルの報知を行わざるを得ない。その結果、一般的なユーザにとってはトナー回収容器にまだ十分に空きがある状態でトナー回収容器フルの報知がなされ、トナー回収容器交換の必要が生じてしまう場合がある。高精度に廃トナー量の検知を行うため光学センサなどを用いても良いが、このような場合にはコストアップや画像形成装置が大きくなってしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、縁無しモードを有する画像形成装置において、回収手段によって回収され回収容器に蓄積された廃トナー量を精度良く見積もることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成するように構成された転写部材であって、前記ニップ部で記録材を搬送しながら、前記像担持体に形成されたトナー像を前記記録材に転写させる転写部材と、
前記転写部材上のトナーを回収容器に回収する回収手段と、
を有し、
記録材に画像を形成する画像形成モードとして、前記像担持体上に記録材より大きいトナー像を形成し、前記トナー像の一部を記録材に転写することで、記録材の全域に画像を形成する縁無しモードが設けられている画像形成装置において、
記録材の厚さと、前記像担持体上のトナーが前記記録材に転写される転写効率との関係が予め設定されており、
前記縁無しモードが実行され記録材が前記ニップ部で搬送される場合に、前記像担持体上に形成されたトナー像のうち、この記録材よりも大きい部分のトナー量と、この記録材の厚さに基づいた転写効率とから、前記回収手段により回収されるトナー量を予測する予測手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縁無しモードを有する画像形成装置において、回収手段によって回収され回収容器に蓄積された廃トナー量を精度良く見積もることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】実施例1の画像形成装置の記録材搬送経路を説明する図。
【図3】実施例1のメディアセンサの概略構成について説明する図。
【図4】記録材の厚さ(坪量)と塗り足しトナーの転写効率の関係を示す図。
【図5】塗り足し幅と転写効率の関係を示す図。
【図6】記録材の坪量(厚さ)と光透過率との関係を示す図。
【図7】記録材の厚さとトナーの転写効率との関係について説明する図。
【図8】実施例2の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
(実施例1)
本発明の実施例1では、回収手段(清掃手段)としてのブラシローラを有する画像形成装置において、次のようにして、低プリントコスト及び高ユーザビリティを達成する方法について説明する。すなわち、ブラシローラによって回収され回収容器に蓄積される廃トナー量の見積もりを、メディアセンサで検知した記録材の厚さに関連させて行うことで見積もり精度の向上を図り、低プリントコスト及び高ユーザビリティを達成する。
【0011】
図1は、本実施例の、中間転写方式を用いた画像形成装置(カラー画像形成装置)100の概略構成を示す断面図である。また、図2は、本実施例の画像形成装置100の記録材搬送経路について説明するための図である。
本実施例の画像形成装置100は、インライン中間転写方式、つまり、それぞれ感光ドラム2(第1の像担持体)を備えた、複数の画像形成部にて各色のトナー像を形成するタンデム式のカラー画像形成装置である。また、本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を採用している。
【0012】
この画像形成装置は、画像入力データに基づき、像担持体(中間転写体、第2の像担持体)としての中間転写ベルト8に沿って設けられた複数色の画像形成部において、次のようにして単色トナー像を形成する。すなわち、露光手段としての露光装置1の露光動作により感光ドラム2上に静電潜像が形成され、単色トナーを用いて該静電潜像を現像することで、単色トナー像を形成する。そして、各画像形成部にて形成された単色トナー像を中間転写ベルト8上で重ね合わせて、多重(多色)トナー像を形成し、該多重トナー像を記録材に転写し、記録材上の多重トナー像を定着器21で定着させる構成となっている。ここでは、各色画像形成部には、それぞれ感光ドラム(ドラム状の感光体)2(2a,2b,2c,2d)が一列に配置されている。
【0013】
各感光ドラム2の周囲には、トナー像を形成する手段として、一次帯電手段としての帯電ローラ7(7a〜7d)、露光装置1(1a〜1d)、現像手段を構成する現像装置3(3a〜3d)、感光ドラムクリーニングブレード5(5a〜5d)が配置されている。各色感光ドラム2は、駆動装置(不図示)により所定のプロセススピードで回転駆動される。各色感光ドラム2の下部では、各一次転写ニップ部にて、無端状の中間転写ベルト8を介して一次転写ローラ4(4a〜4d)と当接している。
【0014】
中間転写ベルト8は、駆動ローラとしての役割を併せ持つ二次転写対向ローラ15、テンションローラ9、二次転写前張架ローラ11によって張架されており、図に示す矢印の方向に回転される。
給送カセット20から搬送された記録材P(不図示)は、1対のローラからなる二次転写前搬送ローラ(レジストローラ)13から転写前ガイド16により二次転写ニップ部(ニップ部)に導かれる。二次転写ニップ部は、二次転写対向ローラ15と二次転写ローラ10との間に設けられた、中間転写ベルト8と、転写部材としての二次転写ベルト31とによって形成される。
そして、この二次転写ニップ部で記録材Pを搬送することで、中間転写ベルト8上(像担持体上)に形成されたトナー像が記録材P上に転写され、その後、定着器21にて加圧及び加熱されることにより定着されたトナー像を記録材P上に得ることが可能となる。一方、二次転写ニップ部において記録材Pに転写できなかった中間転写ベルト8上のトナー像(廃トナー)は、中間転写体クリーナ12で清掃される。
【0015】
また転写前ガイド16を図示したような形状及び配置とし、転写ニップ部に搬送されてくる記録材を中間転写体に接触させてから二次転写ニップ部に進入させ、転写前の記録材と中間転写体の密着性を確保している(特開2001−356538号公報参照)。
これにより、本実施例の装置構成において高い二次転写バイアスを印加した場合でも、二次転写部における転写前電界による転写飛び散りや転写抜けなどの画像不良の発生の防止を図っている。
【0016】
以下に、上記した画像形成動作を行う各画像形成手段について、具体的に説明する。
各色画像形成部の各感光ドラム2は、直径30mmの負帯電性の感光ドラム2を用い、帯電ローラ7に帯電バイアスを印加して、感光ドラム2を一様に帯電する。露光装置1は、不図示の近赤外レーザダイオードと、感光ドラム2上にレーザ光を走査するポリゴンスキャナを有し、画像部の電位を低下させて画像データに従った静電潜像を形成する。現像装置3は、現像剤として非磁性一成分トナーを用いた接触現像器であり、感光ドラム2上の静電潜像にトナーを接触現像する。一次転写ローラ4は、中間転写ベルト8裏面に従動回転し、一次転写ローラ4の芯金には300Vの一次転写電圧が印加され、感光ドラム2上のトナー像が中間転写ベルト8に一次転写される。
【0017】
中間転写ベルト8は、駆動ローラとしての役割を併せ持つ二次転写対向ローラ15、テ
ンションローラ9、二次転写前張架ローラ11により張架されている。
二次転写対向ローラ15は、直径30mmの芯金にカーボンブラックにより抵抗調整されたEPDMゴムを500μmの厚さで被覆したものである。テンションローラ9は直径30mmのアルミ製中空管であり、両端軸受け部にバネがあり総圧40Nでベルトを張架している。
また、二次転写前張架ローラ11は直径20mmのステンレス製のローラであり、中間転写ベルト8裏面からの摩擦により駆動を受けて回転している。
中間転写ベルト8は、厚さ75μm、周長1000mm、画像形成幅方向長320mmの単層無端状(シームレス)の樹脂ベルトであり、カーボン分散により抵抗調整を行ったポリイミドで形成されている。
【0018】
次に、二次転写部の構成について説明する。
二次転写部は、二次転写ベルト31、二次転写ローラ10、駆動ローラ33、導電性のブラシローラ34、トナー回収容器(回収容器)39、テンションローラ35から構成され、二次転写ユニットとして交換可能に設定されている。ここで、ブラシローラ34及びトナー回収容器39は、回収手段を構成している。トナー回収容器39は、ブラシローラ34で回収したトナーを蓄積するものである。テンションローラ35は、ベルトのテンションを調整するためのものである。
ベルトクリーナとしてブラシローラを用いるメリットとして、二次転写ベルトへの負荷が小さく、二次転写ベルトの耐久性及びトルクを低く抑えられることが挙げられる。また、その結果として、ベルト部材の選択肢を広げられる。
二次転写ローラ10は、芯金に約4mmの厚さの発泡ヒドリンゴムからなる弾性層が被覆されており、外径が14mmになるように構成されている。
【0019】
本実施例では、二次転写ローラ10の素材としては、EPDM、ウレタン、NBR、エピクロルヒドリン、シリコン等のゴム材を用いることができる。二次転写部の硬度が高くなると、ラフ紙(紙繊維が大きく表面形状が粗い紙)の転写性悪化が懸念されるため、比較的硬度が高い樹脂製の二次転写ベルト31が介在することを考慮すると、4.9N荷重状態のAskerC硬度で30度未満であることが望ましい。
【0020】
二次転写ローラ10の抵抗値は、10〜10Ωに調整されている。この抵抗値は、50Vを印加した二次転写ローラ10を表面速度が100mm/secで回転するアルミニウムシリンダに加重9.8Nで圧接させ、100Ωの検出抵抗を用いて測定用テスタにて電圧Vを測定し、次式で算出したものである。
抵抗R=50×100/V
二次転写ローラ10は、二次転写ベルト31の内側に配設され、二次転写ベルト31を二次転写対向ローラ15に圧着している。そして、二次転写ローラ10が二次転写ベルト31を二次転写対向ローラ15に圧着することにより、二次転写ニップ部が構成されている。ここで、片側4.9N、両側で9.8Nの加重をばねにより付与することで、二次転写ローラ10を、二次転写ベルト31及び中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ15に向けて押圧させている。
【0021】
二次転写ベルト31としては、体積抵抗率が10〜1016(Ω・cm)程度、厚さが50〜200μmのPVDF、PPS、PET、ポリイミド、PEEKを用いることができる。
二次転写ベルト31上のトナーの回収を導電性のブラシローラ34による静電回収で行うため、前記したようにベルト材質の選択肢は広い。すなわち、本実施例のような低硬度の二次転写ローラ10と離型性に優れた樹脂ベルトを組み合わせた二次転写部の構成は、転写性とベルトクリーニング性を両立させたものである。二次転写ベルト31にゴムベルトを使用する場合には、本実施例における二次転写ローラ10よりも高硬度の転写ローラ
を使用しても良い。本実施例における回収手段(二次転写ベルトクリーナ)は、前記したように回転可能なブラシローラ34である。
【0022】
ブラシローラ34は、多数の導電糸を芯金に植え付けた構成で、全体として円柱状の外形を持つように構成されている。導電糸の基材はナイロンやポリエステルなどで、カーボンブラックなどの導電剤を添加して導電性を持たせてある。ブラシローラ34の導電糸の体積抵抗率は10〜1012Ω・cm、繊維密度は100〜430kF/cm、単繊維の太さは1〜4デニールとしてある。
ブラシローラ34は、電流検知回路を有する定電圧電源であるブラシローラバイアス印加電源(不図示)に接続されている。本実施例では、画像形成プロセス速度60mm/secの条件で、環境に依らず、5μA程度の電流となるような電圧印加がブラシローラ34に対して行われることで、十分に塗り足しトナーの回収を行うことができる。ここで、トナーの回収(一次回収)時にブラシローラ34に印加する電圧は、トナーとは逆極性、つまり正極性のDCバイアスとしている。ブラシローラ34に流れる電流が不足すると、十分に塗り足しトナーの回収ができない一方、電流が過多になると、放電によって塗り足しトナーの一部の極性が反転し、やはりトナー回収不良が発生してしまうことが懸念される。
前記した電圧設定においては、塗り足しトナーのほとんどは、二次転写ベルト31上に転写された後も転写前の極性(ここでは負極性)を保っているため、回収前のトナー再帯電等を必要とせず、DCバイアスでのトナー回収が可能である。
【0023】
本実施例においては、二次転写ベルト31とブラシローラ34は同一の駆動系であるため、二次転写ベルト31とブラシローラ34の表面速度比は常に一定である。本実施例における二次転写ベルト31上のトナーの一次回収は、ブラシローラ34が、二次転写ベルト31の回転方向と同一方向に回転して行う。ブラシローラ34と二次転写ベルト31を同一方向に回転させると、両者の接触部においては物理的な掻き取り力が生じ、クリーニング性の点で有利である。ただし、静電気力によって十分にトナー回収が可能な場合には前記の限りではなく、ブラシローラ34の回転方向は自由に選択できる。
【0024】
また、本実施例では前記したように二次転写ベルト31とブラシローラ34の表面速度比を一定としてあるが、必要に応じてその速度比を可変に設定しても良い。
例えば、塗り足しトナーが発生する縁無しプリント中のみブラシローラ34を前記した条件で回転させておいてもよい。この場合、通常プリントにおいてはほとんど二次転写ベルト31上にはトナーが存在しないため、ブラシローラ34の摩耗を防止する目的でブラシローラ34は回転させてなくて良い。ただし、部分的な塑性変形や偏摩耗を防ぐ目的では、二次転写ベルト31に対して可能な限り小さい速度で回転させた方が良い。また、ブラシローラ34を二次転写ベルト31から離間する機構を設け、通常プリントにおいてはブラシローラ34を二次転写ベルト31から離間させる構成にすると、二次転写ベルト31及びブラシローラ34のいずれに対しても耐久性の面で有利である。
【0025】
テンションローラ35にバックアップされた二次転写ベルト31に対するブラシローラ34の侵入量は、0.5〜1.5mm程度が望ましい。侵入量が0.5mm以下であると、二次転写ベルト31とブラシローラ34の間に安定したニップが形成できず、トナーの回収が不安定である。
【0026】
一方、前記侵入量を大きくし過ぎると、画像形成装置の停止時にブラシローラ34が大きく塑性変形して二次転写ベルト31とブラシローラ34の接触が不安定になったり、ブラシローラ34の回転トルクの上昇や摩耗劣化が懸念される。
さらに、ブラシローラ34に対し侵入量1mm程度に設定された回転可能な導電性の回収ローラ37と、回収ローラ37上のトナーを掻き落とすためのローラクリーナ38が設
けられている。ここで、回収ローラ37及びローラクリーナ38も、回収手段を構成している。そして、ブラシローラ34上から一旦回収ローラ37上に付着した廃トナーは、ローラクリーナ38によって物理的に掻き落とされてトナー回収容器39に回収される。ここで、回収ローラ37に対して、ブラシローラ34との間に電位差を生じるように電圧が印加されることで、静電的にブラシローラ34に付着したトナーが回収ローラ37上に回収される。
【0027】
次に、二次転写工程について説明する。
本実施例の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成モードとして、縁無しプリントモードを有しており、単一のプリンタ本体の構成において、通常プリント(縁有りプリント)と縁無しプリントが可能である。ここで、縁無しプリントモード(縁無しモード)は、像担持体(感光ドラム2、中間転写ベルト8)上に記録材Pより大きいトナー像を形成し、像担持体上のトナー像を記録材Pに転写することで、記録材Pの全域に画像を形成するモードである。また、縁有りプリントモード(縁有りモード)は、像担持体(感光ドラム2、中間転写ベルト8)上に記録材Pより小さいトナー像を形成し、このトナー像を記録材Pに転写することで、記録材Pの端部に余白を残して画像を形成するモードである。
【0028】
二次転写ローラ10の芯金には、給電バネを介して不図示の二次転写バイアス電源が接続されている。レジストローラ13より搬送された記録材は二次転写部に搬送され、二次転写ローラ10に接続された二次転写バイアス電源により、可変な二次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト8上のトナー画像は転写ニップ部にて記録材(例えば紙)に転写される。記録材上のトナー像は、その後、定着器21で溶融加圧定着される。
二次転写の際に記録材からはみ出したトナー(塗り足しトナー)は、一部が二次転写ベルト31上に転写され、テンションローラ35に対向して配設されたブラシローラ34に一次回収され、最終的には前記したようにトナー回収容器39に回収される。また、二次転写部で転写されなかった残りのトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーナ12で回収される。
【0029】
本実施例の画像形成装置は、予測によってトナー回収容器39に蓄積されたトナー量を推定する方式を採用している。このため、ユーザ(使用者)に対し、より正確にトナー回収容器フルに伴う二次転写ユニットの交換タイミングを報知するうえで、前記した塗り足しトナーの転写効率の見積もりを精度よく行う必要がある。
本実施例では、記録材の厚さを検知可能な検知手段としてのメディアセンサ50による、記録材の厚さ検知結果に基づき、塗り足しトナーの転写効率を予測してトナー回収容器39に蓄積されるトナーの量を精度良く見積もる方法を採用している。
【0030】
トナー回収容器39に蓄積されるトナー量を推定した結果は、画像形成装置100に設けられた制御部(制御手段、予測手段)に設けられたメモリ(不図示、記憶手段)に積算されて記録される。そして、トナー回収容器39に回収されたトナー量Sが閾値L1を超えた(又はL1に達した)と判断すると画像形成装置100の制御部は、縁無しプリントを継続するにはトナー回収容器を交換する必要がある旨(トナー回収容器フル)をユーザに報知する。トナー回収容器フルの報知は、画像形成装置100に設けられた表示操作部70に文字情報として表示する。ここで、トナー回収容器フルの報知は、表示操作部70への表示に限るものではなく、例えば、LEDの点滅など、簡易な方法としても良い。
本実施例においては、トナー回収容器を交換する必要がある旨の報知後も、縁無しプリント以外であれば、プリント可能に設定してある。
【0031】
メディアセンサ50は、様々な記録材に対しても、ユーザが煩雑な設定をすることなく画像形成条件を最適化できるよう、記録材の厚さ(坪量)、表面粗さ、記録材の種類など
を検知可能にしたセンサであり、近年電子写真画像形成装置でも使用されつつある。本実施例においても、メディアセンサ50によって検知された記録材情報を用い、二次転写電圧設定及び定着温調設定を行っている。
図6(a)は、記録材の坪量と光透過率との関係を示す図、図6(b)は、記録材の厚さと光透過率との関係を示す図である。
メディアセンサ50は、図6(a),(b)に示すように、記録材が厚いほど、また坪量が大きいほど光が透過し難いことを利用したものであり、比較的記録材の位置が安定した状態で測定を行うために、レジローラの直後に配置されている。
【0032】
図3は、メディアセンサ50の概略構成について説明するための図である。メディアセンサ50は、図3に示すように発光手段としてLED55を、受光手段としてフォトトランジスタ52を用い、記録材裏面から照射するLED55の発光量とフォトトランジスタ52での受光量の比率を用いて記録材の厚さを検知することが可能である。ここで、51は、記録材Pの表面に光を照射する照射手段としての照射用LEDである。また、53は、照射用LED51から照射された光によって記録材Pの表面から反射する反射光を受光し結像する結像手段としての結像レンズである。
また、記録材表面からの反射光を検知することで、転写性及び定着性に不利な、ボンド紙のような表面が粗い紙(ラフ紙)と、表面が比較的平滑な紙(平滑紙)の区別が可能である。すなわち、ラフ紙は記録材表面の粗さが大きいため、平滑紙と比較して反射率が小さい。透過光量は記録材の種類によらず坪量との相関が高いため、透過光量の検知結果のみを利用し、記録材の坪量検知を行うことも可能である。
【0033】
記録材の種類や厚さを検知することができれば、本実施例に用いたタイプ以外のメディアセンサであっても用いることができる。例えば、光学式に限らず、メディアの厚さを検知可能な変位センサを用いても良い。変位センサの一例としては、可動コアと可動コアの移動に伴う磁束密度の変化を検知する磁気量センサからなり、記録材の厚さによって可動コアの位置が変動し、記録材の厚さを検知する仕組みである。
従来、記録材の厚さによらず、塗り足しトナーの転写効率を99%と見積もってトナー回収ボックスに回収されるトナー量を計算していた。これに対して、本実施例においては、記録材の厚さに応じた塗り足しトナーの転写効率換算を行い、より精度の高い廃トナー量の見積もりを可能とした。精度の良く転写効率を推定できれば、2次転写ベルト31に転写される塗り足しトナー量を推定することが可能になる。2次転写ベルトに付着する塗り足しトナー量が、即ちトナー回収容器39に蓄積されるトナーの量と考えることができるので、本実施例では、転写効率を精度良く推定することで、トナー回収容器39に蓄積されるトナーの量を精度良く見積もっている。従来の塗り足しトナーの転写効率の見積もりは、記録材が無い状態における中間転写体から二次転写ベルト上への転写効率に由来したものである。
【0034】
図4(a)に、記録材の厚さと塗り足しトナーの転写効率の関係を調査した実験結果を示し、図4(b)に、記録材の坪量と塗り足しトナーの転写効率の関係を調査した実験結果を示す。
本実験は、23℃×50%RH環境において、記録材の4辺すべてにおいて3mm幅で2色ベタ画像を塗り足した画像パターンを用いて行った。ここで、2色ベタ画像とは、トナー量が1色当たり0.5mg/cmのベタ画像を2色重ねたものである。
塗り足しトナーの転写効率は、次式によって求めた。
(塗り足しトナーの転写効率)=(二次転写ベルト上のトナー重量)/(中間転写体上の二次転写残トナー重量+二次転写ベルト上のトナー重量)
また、実験に用いた記録材としての紙は、坪量60g/mラフ紙(厚さ0.096mm)、120g/m(厚さ0.14mm)、200g/m(厚さ0.21mm)の3水準で全てLETTERサイズである。そして、記録材印字面における転写効率は全て9
5%以上となるように二次転写電圧を調整した。
また、通常定着性の観点から坪量(記録材の厚さ)によって画像形成速度を変更するが、ここでは比較のため、画像形成プロセス速度は、60mm/secの条件で実験を行った。
図4(a)に示すとおり、記録材の種類によらず、薄紙ほど塗り足しトナーの転写効率が高く、厚い紙ほど塗り足しトナーの転写効率が低いことがわかる。画像形成装置100の制御部には、このような、記録材の厚さとトナーの転写効率との関係が予め記憶(設定)されている。
【0035】
図7は、記録材の厚さとトナーの転写効率との関係について説明するための図である。ここで、図7(a)に、記録材端部における、二次転写ベルト31と中間転写ベルト8の空隙についての模式図を示す。また、図7(b)は、二次転写ベルト31上に転写される塗り足しトナーについて説明するための図である。
中間転写ベルト8と二次転写ベルト31との間に生じる空隙の大きさが記録材の厚さによって異なり、空隙が所定値以上に大きい場合にはトナーの移動に必要な電界が形成されないため、トナーの移動が起こらないことを意味する。
実際に、二次転写ベルト31上に転写される塗り足しトナーを観察すると、記録材の端面外側の部分に、より多くのトナーが残っており、また、記録材の厚さが厚いほどその幅が広かった(図7(b))。
【0036】
上記の具体例として、記録材の厚さと、塗り足し領域に2色ベタを描画したパターンを流し続けた場合のトナー回収容器フルまでのプリント枚数との関係の計算結果を表1に示す。合わせて、従来塗り足しトナーの転写効率を99%と見積もっていた場合との比較した結果も表1に示しておく。ここで、本実施例におけるトナー回収容器39の容量は500ccである。また、トナー回収容器中のトナーの嵩密度は0.4g/ccで見積もりを行った。
【表1】

【0037】
表1より、厚紙の割合が多いほど、従来の廃トナー量の見積もりとの差が大きくなることがわかる。
具体的には、坪量が200g/mの厚紙を通紙した場合、従来の廃トナー量見積もりではトナー回収容器の容量に対し、77%しかトナーが充填されていない状態で、ユーザにトナー回収容器フルの情報が画像形成装置から報知されることになってしまっていた。一方、本実施例により、トナー回収容器へのトナー回収量をより正確に見積もることができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0038】
本実施例では、塗り足しトナーの幅を記録材の4辺いずれにおいても3mm幅とした結果、表1に示す転写効率となったが、図7(a)で説明したように、転写効率が低下するのは記録材端面近傍であるため、塗り足し幅によって転写効率の結果は大きく異なる。一例として、塗り足し幅と転写効率の関係を図5に示しておく。
塗り足し幅を3mmとしたのは、本実施例の画像形成装置における、記録材搬送のばらつきを考慮して、より確実に縁無し画像をプリントするためである。ここで、記録材搬送のばらつきが小さい装置においては、塗り足し幅をさらに小さくしても良く、これにより、トナー回収容器を小さくできる、あるいはトナー回収容器の交換頻度を少なくできるメ
リットがある。
【0039】
本実施例においては、さらに印字される画像パターンに応じて廃トナー量の予測を行って廃トナー量の見積もり精度を向上させている。印字される画像パターンが濃い画像パターンであれば、転写によって二次転写ベルトに転写されるトナー量も多くなる。よって、塗り足し領域の画像パターンから中間転写ベルト8上のトナーの量を推定し、そのトナー量に記録材の厚さに応じた転写効率をかけることにより、高精度な廃トナー量の見積もりが可能である。本実施例では、塗り足しトナーの転写効率を記録材の厚さに応じて1水準しか設定していないが、さらには、単位面積当たりのトナー載り量毎の転写効率を把握できている場合には、その転写効率値を用いると良い。
また、本実施例では、塗り足し領域の画像パターンから推測される総トナー量に記録材の厚さに応じた転写効率をかけ、廃トナー量の見積もりを行っているが、これに限るものではない。すなわち、前記したように、記録材端部からの距離によって塗り足しトナーの転写効率は大きく異なるため、塗り足し領域の画像パターンと画像端部からの距離の関係を廃トナー量の計算に用いても良い。
さらに、廃トナー量見積もりの精度を向上させるためには、記録材の位置をできる限り正確に把握し、塗り足し領域に印字される画像パターンを特定することが重要である。これには、装置による記録材の搬送精度を向上させる、あるいは、装置が記録材の位置を特定できるような記録材幅センサを備えることが望ましい。このようにして記録材の位置を正確に制御、把握できる結果、前記したように塗り足し領域を小さくすることができるメリットも生じる。
【0040】
本実施例における塗り足しトナーの転写効率は、本実施例で示した二次転写部構成(部材硬度、抵抗、二次転写ローラ加圧力など)に依存するものであり、構成の差により装置として塗り足しトナーの転写効率が上下することはある。しかし、記録材が薄いほど塗り足しトナーの転写効率が高く、記録材が厚いほど塗り足しトナーの転写効率が低下する関係性は変化するものではなく、構成に応じて廃トナー量の計算に用いる転写効率の値を変更すれば良い。
本実施例においては、二次転写部材(転写部材)として二次転写ベルトを用いたが、従来、二次転写部材として一般的に用いられてきた二次転写ローラを用いることも可能である。
本実施例における塗り足しトナーの量は、記録材に印字される画像パターンと、記録材のサイズによって決まるものである。
また、トナー回収容器に回収されたトナー量が閾値L1を超えた(又はL1に達した)(トナー回収容器フルを検知した)と同時に、次のような制御を行ってもよい。すなわち、トナー回収容器フルを検知したと同時に、自動的に画像幅を通常プリント用に切り替え、縁有りモードを実行して、縁無し画像の形成を禁止する制御を行ってもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施例によれば、記録材の種類(厚さ)によって塗り足しトナーの転写効率が異なることから、記録材の種別を検知することで転写効率を推定している。推定した転写効率に基づいて、クリーニング手段に回収されたトナー量を、より精度良く見積もることができる。
そして、そのトナー量が閾値を超えた場合に、その旨をユーザに報知するので、従来懸念されていた、トナー回収容器39にまだ十分に空きがある状態で、トナー回収容器フルの報知がなされるようなことはなくなる。
このように、トナー回収容器39に蓄積された廃トナー量を精度良く見積もることができるので、装置の状態を良好に保ちつつ、コストアップすることなく利便性(ユーザビリティ)を向上させることが可能となる。
【0042】
(実施例2)
図8は、実施例2の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて説明を行うが、実施例1と同様の構成・作用をするものは同一の番号を付し説明は略す。
本実施例では、感光ドラム上のトナー像を、転写部材上に吸着搬送(担持搬送)される記録材上に直接転写する直接転写方式を採用し、回収手段としてクリーニングブレードを用いた画像形成装置について説明する。
【0043】
本実施例においては、転写部材としての転写搬送ベルト(ベルト部材)41は駆動ローラ33、テンションローラ32、テンションローラ(吸着対向ローラ)35の3軸によって張架されている。そして、転写搬送ベルト41上に記録材を吸着するための転写前帯電手段(帯電手段)としての吸着ローラ36が、画像形成部の上流、かつ吸着対向ローラ35に対向するように配設されている。また、回収手段としてのクリーニングブレード40が、駆動ローラ33に対向し、転写搬送ベルト41に当接するように配設されている。吸着ローラ36は、記録材を転写搬送ベルト41に担持させるため、ニップ部(感光ドラム2dと転写ローラ4dで構成されるニップ部)よりも記録材搬送方向の上流に設けられた帯電部(後述の吸着ニップ部)で転写搬送ベルト41を帯電する帯電手段に相当する。
クリーニングブレード40によって回収されたトナーは、トナー回収容器39に蓄積される構成である。転写搬送ベルト41としては耐久性に優れるポリイミドを採用した。転写搬送ベルト41にポリイミドを用いたことにより、転写搬送ベルトクリーナとして構成がより簡易でコスト面でも有利なクリーニングブレードを採用したが、もちろん実施例1同様、ブラシローラを用いても構わない。
【0044】
本実施例における吸着ローラ36は転写搬送ベルト41の回転に従動して回転する構成である。吸着ローラ36は、給搬送装置20から搬送されてきた記録材Pを転写搬送ベルト41表面に静電吸着させるためのものである。吸着ローラ36は、例えば金属の芯金を、体積抵抗率10〜10Ω・cm程度に調整したEPDM、ウレタンゴム、NBR等の導電弾性体で覆い、その上に中層としてウレタン等の層を設け、さらにその上に表層を設けて構成されている。中層は厚さ200〜600μm程度、表層は250μm程度としている。表層にはスチレン等を用いる。
【0045】
吸着ローラ36の両端の芯金部を0.04〜0.5N程度の線圧でバネ加圧することにより、吸着ローラ36を転写搬送ベルト41を介して吸着対向ローラ35に圧着させ、転写搬送ベルト41の移動に対して従動回転させる。これにより、吸着ローラ36と吸着対向ローラ35との間には吸着ニップ部(以下、吸着部)が構成されている。吸着ローラ36には定電圧電源である吸着バイアス印加電源が接続されている。
【0046】
本実施例においては、記録材の厚さ情報を、表示操作部70でユーザが設定したプリントモードから得る方式を採用している。ここで、本実施例では、ユーザが設定したプリントモードから記録材の厚さに関する情報を取得するものであるが、表示操作部70が、ユーザが記録材の厚さを直接設定可能な操作部として構成されるものであってもよい。
近年の電子写真画像形成装置においては、様々な種類の記録材への対応が求められており、各記録材に対して高画質を求めると、記録材の種類によって場合分けをして画像形成条件を設定する必要がある。
本実施例においても、記録材の厚さ(坪量)は、記録材へのトナー転写性及び定着性に影響するために、記録材の厚さ(坪量)に応じてプロセススピードを設定し、さらに記録材の抵抗検知を行って転写制御、定着制御を最適化している。
【0047】
本実施例の画像形成装置は、5段階の記録材の坪量に対応したプリントモードを有しており、それぞれのプリントモードとターゲットとする記録材の坪量の関係を表2に示す。
【表2】

【0048】
記録材と塗り足しトナーの転写効率の関係については実施例1で示したとおりであり、5段階にプリントモードを分けることにより、比較的精度良く回収されるトナーの量を見積もることは可能である。一方で、ユーザがプリントを行う際に、必ずしも適切にプリントモードを設定し直すとは限らないため、場合によっては塗り足しトナーの転写効率を正確に見積もることができないこともある。
そのような場合に備え、画像形成部(転写部)上流の吸着部において、転写搬送ベルト41の電気抵抗値を基に記録材の厚さを推定する方法を補助的に用いることも可能である。
【0049】
その方法は、記録材が到達する前に(記録材を含まない状態の)吸着部の電気抵抗を抵抗検知手段により検知させておき、記録材が到達した後に記録材を含む吸着部の電気抵抗を検知させて、その差分から記録材の電気抵抗を測定するものである。厚さのみが異なる同一銘柄の記録材を用い、同一条件で十分に環境になじませた場合には、記録材の厚さが厚いほど記録材の厚さ方向の電気抵抗が増す。ただし、記録材の電気抵抗は記録材の種類及び吸湿状態によっても大きく左右されるため、各環境条件において、一般的な放置状態における記録材の厚さと電気抵抗の関係を用いて、前記したように記録材の厚さ検知のための補助的な方法として用いると良い。各環境条件における、一般的な放置状態における記録材の厚さと電気抵抗の関係は予め画像形成装置の制御部に記憶させておくとよい。
ここで、本実施例で言う環境条件とは、絶対水分量を意味するものである。環境条件を検知するための手段として、本実施例の画像形成装置は環境検知センサを備え、温度情報と相対湿度情報を取得可能であり、結果として装置が設置された環境の絶対水分量情報を計算することが可能である。
【0050】
厚紙が給紙トレーにセットされたにも関わらず、ユーザが普通紙モードで印字を行った場合、吸着部での抵抗検知によって普通紙の範囲から外れた高い電気抵抗を検知した場合には、厚紙として塗り足しトナーの転写効率を計算するなどしても良い。また、記録材の幅によって、吸着ローラと転写搬送ベルト41の接触面積が変化し、記録材抵抗検知の結果が異なるため、記録材の幅毎に記録材の厚さと電気抵抗の関係を補正することが望ましい。
また、縁無し印刷専用紙を、用途に応じて厚さを数水準設けて設定するような場合には、吸着部の抵抗検知のみによって記録材の厚さ検知を行っても良い。その場合には、塗り足しトナーの転写効率の見積もり精度が高く、その結果トナー回収容器フルの報知タイミングの精度が高い旨をユーザに周知しておくことが望ましい。
また、吸着部の抵抗検知に限らず、抵抗検知手段により記録材の電気抵抗を検知することで、予め設定(記憶)されている記録材の電気抵抗と記録材の厚さとの関係から、記録材の厚さを導出してもよい。
【0051】
上記構成において、取得した記録材の厚さに関する情報を基に、塗り足しトナーの、感光ドラムから転写搬送ベルト41への転写効率を精度良く見積もることができる。その結果、クリーニングブレード40によって回収され、トナー回収容器に蓄積されたトナー容量を高精度に見積もることが可能である。
また、メディアセンサを用いない構成により、コスト、装置サイズの面でも有利である
。一方、廃トナー容量の見積もり精度を確保するうえでは、本構成の画像形成装置においても、実施例1で述べたように、メディアセンサを併用してメディア検知をより高精度に行っても良い。
【0052】
以上、本実施例では、縁無しプリントモードを有し、転写搬送ベルト41に回収手段としてのクリーニングブレード40を当接させた構成の画像形成装置において、トナー回収容器に蓄積されるトナー量を精度良く見積もる方法について説明した。それは、ユーザが設定したプリントモードから記録材の厚さに関する情報を取得し、状況に応じて吸着ローラ36による記録材抵抗検知によって補助的に記録材の厚さに関する情報を修正して、塗り足しトナーの転写効率を高精度に見積もるものである。これにより、トナー回収容器に蓄積されるトナー量を精度良く見積もることができる。
【符号の説明】
【0053】
8 中間転写ベルト
31 二次転写ベルト
34 ブラシローラ
37 回収ローラ
38 ローラクリーナ
39 トナー回収容器
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成するように構成された転写部材であって、前記ニップ部で記録材を搬送しながら、前記像担持体に形成されたトナー像を前記記録材に転写させる転写部材と、
前記転写部材上のトナーを回収容器に回収する回収手段と、
を有し、
記録材に画像を形成する画像形成モードとして、前記像担持体上に記録材より大きいトナー像を形成し、前記トナー像を記録材に転写することで、記録材の全域に画像を形成する縁無しモードが設けられている画像形成装置において、
記録材の厚さと、前記縁無しモードが実行され記録材が前記ニップ部で搬送される場合に、前記像担持体上に形成されたトナー像のうち、この記録材よりも大きい部分のトナーの転写効率との関係が予め設定されており、
前記縁無しモードが実行され記録材が前記ニップ部で搬送される場合に、前記像担持体上に形成されたトナー像のうち、この記録材よりも大きい部分のトナー量と、この記録材の厚さに対応して前記関係から導出される転写効率とから、前記回収手段により回収されるトナー量を予測する予測手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成モードとして、前記像担持体上に記録材より小さいトナー像を形成し、前記トナー像を記録材に転写することで、記録材の端部に余白を残して画像を形成する縁有りモードを有し、
前記予測手段はさらに、前記回収手段により前記回収容器に回収された総トナー量を予測するものであって、
前記縁無しモードが実行されているときに、前記予測手段により予測された前記回収容器の総トナー量が閾値を超えた場合、前記画像形成モードを前記縁無しモードから前記縁有りモードに変更する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
使用者が記録材の厚さを設定可能な操作部を備え、
前記予測手段は、使用者により前記操作部で設定された記録材の厚さから前記関係を用いて転写効率を導出し、前記回収手段により回収されるトナー量を予測することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材の厚さを検知する検知手段を備え、
前記予測手段は、前記検知手段により検知された記録材の厚さから前記関係を用いて転写効率を導出し、前記回収手段により回収されるトナー量を予測することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録材の電気抵抗を検知する抵抗検知手段を備え、
記録材の電気抵抗と、記録材の厚さとの関係が予め設定されており、
前記予測手段は、前記抵抗検知手段により検知された記録材の電気抵抗から記録材の厚さを導出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写部材は、記録材を担持搬送するベルト部材であって、
記録材を前記ベルト部材に担持させるために、前記ニップ部よりも記録材搬送方向の上流に設けられた帯電部で前記ベルト部材を帯電する帯電手段を備え、
前記抵抗検知手段は、前記ベルト部材の帯電部の電気抵抗を検知するものであって、
前記予測手段は、前記抵抗検知手段により検知された、記録材を含まない状態の前記帯電部の電気抵抗と、記録材を含んだ状態の前記帯電部の電気抵抗との差分から記録材の電
気抵抗を導出することで記録材の厚さを導出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−138029(P2011−138029A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298421(P2009−298421)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】