説明

画像形成装置

【課題】感光ドラムの周面から転写ローラの周面へのトナーの転移を防止することができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】モータの正回転時の出力により、感光ドラム5が正回転されるとともに、用紙Pが搬送路14に沿って搬送される。また、転写ローラ8の表面電位が感光ドラム5上のトナーと逆極性に制御される。これにより、感光ドラム5の周面に形成されるトナー像は、感光ドラム5と転写ローラ8との間を通過する用紙Pに転写される。一方、モータの逆回転時の出力により、感光ドラム5が逆回転されるとともに、一方面に画像の形成された用紙Pが反転搬送路21を通して搬送路14に送り込まれる。モータの逆回転時には、転写ローラ8の表面電位が感光ドラム5上のトナーと同極性でその電位以上の電位に制御される。よって、感光ドラム5の周面から転写ローラ8の周面へのトナーの転移を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光ドラムの回転に伴って、感光ドラムの周面に静電潜像が形成された後、現像ローラから感光ドラムの周面にトナーが供給される。これにより、静電潜像がトナー像に現像され、感光ドラムの周面にトナー像が担持される。現像ローラに対する感光ドラムの回転方向の下流側において、感光ドラムには、転写ローラが対向して配置されている。感光ドラムの回転に伴って、その周面に担持されたトナー像が転写ローラの周面に対向するタイミングで、感光ドラムと転写ローラとの間に用紙が供給される。そして、転写ローラに印加されるバイアスの働きにより、感光ドラムの周面から用紙にトナー像が転写されることにより、用紙への画像(トナー像)の形成が達成される。
【0003】
このような画像形成装置において、用紙の一方面に画像が形成された後、用紙がその表裏を反転して搬送されて、用紙の一方面と反対側の他方面に画像が形成される、いわゆる両面モードを有するものが提供されている。
【0004】
両面モードを有する画像形成装置には、たとえば、感光ドラムが備えられている画像形成部を経由して排紙口まで用紙を搬送するための主搬送路と、画像形成部で一方面に画像が形成された用紙をその表裏を反転させて画像形成部に送り込むための副搬送路とが設けられている。
【0005】
感光ドラムや主搬送路および副搬送路に備えられる各ローラは、たとえば、単一の可逆モータの出力により回転される。すなわち、可逆モータの正回転時の出力により、感光ドラムが回転されるとともに、主搬送路の各ローラが回転される。これにより、用紙が主搬送路を搬送されて、その用紙に感光ドラムからトナー像が転写される。一方、可逆モータの逆回転時の出力により、副搬送路の各ローラが回転され、用紙が副搬送路を搬送される。感光ドラムの劣化を抑制するという観点から、たとえば、可逆モータと感光ドラムとの間にクラッチが設けられて、可逆モータの逆回転時に、クラッチにより可逆モータと感光ドラムとの接続が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−313568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
用紙が副搬送路を搬送されている間は、主搬送路を用紙が搬送されないので、可逆モータの逆回転時の出力が感光ドラムおよび主搬送路の各ローラに伝達されても、用紙の搬送に影響はない。したがって、クラッチを省略し、可逆モータの逆回転時の出力が感光ドラムにも伝達されるようにすれば、画像形成装置の構成を簡素化することができる。
【0008】
しかし、感光ドラムの回転により、感光ドラムの周面に付着しているトナーが転写ローラと対向したときに、そのトナーが感光ドラムの周面から転写ローラの周面に転移するおそれがある。転写ローラにトナーが付着していると、次に用紙が主搬送路を搬送されたときに、転写ローラから用紙にトナーが転移し、用紙が汚れてしまう。
【0009】
本発明の目的は、感光ドラムの周面から転写ローラの周面へのトナーの転移を防止することができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、画像形成装置であって、感光ドラムと、その周面が前記感光ドラムの周面に接触するように設けられ、前記感光ドラムの周面に現像剤を供給するための現像ローラと、その周面が前記感光ドラムの周面に対向するように設けられ、前記現像ローラからの前記現像剤の供給により前記感光ドラムの周面に形成される現像剤像を当該周面からシートに転写するための転写ローラと、正逆回転可能なモータを含み、前記モータの正回転時の出力により前記感光ドラムを正回転させ、前記モータの逆回転時の出力により前記感光ドラムを逆回転させるドラム駆動手段と、前記モータの正回転時の出力により、シートを前記感光ドラムの周面と対向する搬送路に沿って搬送する正搬送手段と、前記モータの逆回転時の出力により、一方面に現像剤像が転写されたシートを反転搬送路に沿って搬送し、当該シートを前記一方面と反対の他方面が前記感光ドラムの周面と前記搬送路上で対向する姿勢に反転させて前記搬送路に送り込む反転搬送手段と、前記モータの正回転時に、前記転写ローラの表面電位を前記感光ドラム上の前記現像剤と逆極性に制御し、前記モータの逆回転時に、前記転写ローラの表面電位を前記感光ドラム上の前記現像剤と同極性でその電位以上の電位に制御する転写電位制御手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、感光ドラムおよび現像ローラは、それらの周面が互いに接触するように設けられている。また、転写ローラは、その周面が感光ドラムの周面に対向するように設けられている。
【0012】
モータの正回転時の出力により、感光ドラムが正回転されるとともに、シートが搬送路に沿って搬送される。また、モータの正回転時には、転写ローラの表面電位が感光ドラム上の現像剤と逆極性に制御される。これにより、感光ドラムの周面に形成される現像剤像は、感光ドラムと転写ローラとの間をシートが通過するときに、そのシートに転写される。
【0013】
一方、モータの逆回転時の出力により、感光ドラムが逆回転されるとともに、一方面に画像が形成されたシートが反転搬送路を通して搬送路に送り込まれる。このモータの逆回転時には、転写ローラの表面電位が感光ドラム上の現像剤と同極性でその電位以上の電位に制御される。よって、感光ドラムの周面から転写ローラの周面へのトナーの転移を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタの断面図である。
【図2】図2は、プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、転写ローラおよび現像ローラの表面電位の制御について説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図4は、転写ローラおよび現像ローラの表面電位の制御の他の手法(第2実施形態)について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内の中央部には、プロセス部3が設けられている。プロセス部3の上方には、レーザなどを備える露光器4が配置されている。
【0016】
プロセス部3は、感光ドラム5、帯電器6、現像器7および転写ローラ8を備えている。
【0017】
感光ドラム5は、図1の紙面に垂直な方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0018】
帯電器6は、スコロトロン型帯電器であり、感光ドラム5の周面に対して間隔を空けて対向配置されている。
【0019】
現像器7は、トナーを収容する現像筐体9と、現像筐体9に回転可能に保持された現像ローラ10とを備えている。現像筐体9に収容されているトナーは、エステル系樹脂を主成分とするトナーである。現像ローラ10は、その周面の一部が現像筐体9から露出している。そして、現像器7は、現像ローラ10の周面が感光ドラム5の周面と接触するように配置されている。
【0020】
転写ローラ8は、感光ドラム5の下方において、感光ドラム5の回転軸線と平行な軸線を中心に回転可能に設けられ、その周面が感光ドラム5の周面に接触するように配置されている。
【0021】
画像形成時には、感光ドラム5が図1における時計回りに一定速度で回転される。感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の周面(表面)は、帯電器6からの放電により、一様に正帯電される。一方、プリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図示せず)から受信する画像データに基づいて、露光器4からレーザビームが出射される。レーザビームは、帯電器6と現像器7との間を通り、一様に正帯電された感光ドラム5の周面に照射される。これにより、感光ドラム5の周面が選択的に露光され、その露光された部分から電荷が選択的に除去されて、感光ドラム5の周面に静電潜像が形成される。そして、感光ドラム5の回転により、静電潜像が現像ローラ10に対向すると、現像ローラ10から静電潜像に正極性に帯電したトナーが供給される。これによって、感光ドラム5の周面にトナー像が形成される。
【0022】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット11が配置されている。給紙カセット11の上方には、給紙カセット11から用紙を送り出すためのピックアップローラ12が設けられている。
【0023】
また、本体ケーシング2内には、側面視S字状の搬送路14が形成されている。この搬送路14は、給紙カセット11から感光ドラム5と転写ローラ8との間を経由して、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ13に至る。搬送路14上には、互いに対向配置される分離ローラ15および分離パッド16、1対の給紙ローラ17、1対のレジストローラ18ならびに1対の排紙ローラ19が設けられている。
【0024】
給紙カセット11から送り出された用紙Pは、分離ローラ15と分離パッド16との間を通過し、その際に1枚ずつに捌かれる。その後、用紙Pは、給紙ローラ17により、レジストローラ18に向けて搬送される。そして、その用紙Pは、レジストローラ18によるレジスト後に、レジストローラ18により、感光ドラム5と転写ローラ8との間に向けて搬送される。
【0025】
感光ドラム5の周面上のトナー像は、感光ドラム5の回転により、感光ドラム5と転写ローラ8との間を通過する用紙Pと対向したときに、その用紙Pに転写される。
【0026】
搬送路14上には、転写ローラ8に対して用紙Pの搬送方向の下流側に、定着器20が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、搬送路14を搬送されて、定着器20を通過する。定着器20では、加熱および加圧により、トナー像が画像となって用紙Pに定着される。
【0027】
なお、プリンタ1では、クリーナレス方式が採用されており、トナー像が用紙Pに転写された後に感光ドラム5の周面に残存するトナーは、感光ドラム5の回転により、現像ローラ10と対向したときに、現像ローラ10の周面に引き寄せられて回収される。
【0028】
また、プリンタ1は、動作モードとして、用紙Pの片面に画像(トナー像)を形成する片面モードと、用紙Pの一方面に画像を形成した後、その用紙Pの一方面と反対の他方面に画像を形成する両面モードとを有している。
【0029】
片面モードでは、一方面に画像が形成された用紙Pは、排紙ローラ19により、排紙トレイ13に排出される。
【0030】
両面モードを実現するための構成として、本体ケーシング2内には、反転搬送路21が形成されている。反転搬送路21は、排紙ローラ19の近傍から搬送路14と給紙カセット11との間を延び、搬送路14における給紙ローラ17とレジストローラ18との間の部分に接続されている。反転搬送路21上には、1対の第1反転搬送ローラ22および1対の第2反転搬送ローラ23が設けられている。
【0031】
両面モードでは、用紙Pの一方面に画像が形成された後、その用紙Pは、排紙トレイ13に排出されずに、反転搬送路21に送り込まれる。そして、用紙Pは、第1反転搬送ローラ22および第2反転搬送ローラ23により、反転搬送路21を搬送され、その表裏が反転されて、画像が形成されていない他方面が感光ドラム5の周面と対向する姿勢で搬送路14に送り込まれる。そして、用紙Pの他方面に画像が形成されることにより、用紙Pの両面への画像の形成が達成される。
2.プリンタの電気的構成
図2に示すように、プリンタ1は、ドラム駆動手段の一例としてのモータ31を備えている。モータ31は、正回転および逆回転可能なモータである。
【0032】
モータ31の正回転時の出力により、感光ドラム5が静電潜像の現像時の回転方向(図1における時計回り)に正回転される。また、モータ31の正回転時の出力により、搬送路14上の正搬送手段の一例としての分離ローラ15、給紙ローラ17、レジストローラ18および排紙ローラ19が回転される。分離ローラ15、給紙ローラ17、レジストローラ18および排紙ローラ19の回転により、用紙Pが搬送路14に沿って搬送される。
【0033】
一方、モータ31の逆回転時の出力により、感光ドラム5が正回転と反対方向(図1における反時計回り)に逆回転される。また、モータ31の逆回転時の出力により、反転搬送手段の一例としての排紙ローラ19ならびに反転搬送路21上の第1反転搬送ローラ22および第2反転搬送ローラ23が回転される。この第1反転搬送ローラ22および第2反転搬送ローラ23の回転により、用紙Pが反転搬送路21に沿って搬送される。また、このときの排紙ローラ19の回転方向は、モータ31の正回転時の出力による回転方向と逆方向である。
【0034】
また、プリンタ1は、帯電器6に帯電バイアス(ワイヤバイアス、グリッドバイアス)を印加するための帯電バイアス回路32と、転写ローラ8に転写バイアスを印加するための転写バイアス印加手段の一例としての転写バイアス回路33と、現像ローラ10に現像バイアスを印加するための現像バイアス回路34とを備えている。
【0035】
そして、プリンタ1は、マイクロコンピュータ35を備えている。マイクロコンピュータ35は、ハードウェア構成として、CPUおよびメモリなどを備えている。また、マイクロコンピュータ35は、CPUによるプログラム処理によってソフトウエア的に実現される構成として、転写ローラ8の表面電位を制御する転写電位制御手段の一例としての転写電位制御部36と、現像ローラの表面電位を制御する現像電位制御手段の一例としての現像電位制御部37とを実質的に備えている。
【0036】
マイクロコンピュータ35には、モータ31、帯電バイアス回路32、転写バイアス回路33および現像バイアス回路34が制御対象として接続されている。
3.表面電位制御
図3に示すように、モータ31の正回転時、つまり用紙Pが搬送路14に沿って搬送される時には、転写電位制御部36により転写バイアス回路33が制御されて、転写バイアス回路33から転写ローラ8に負の転写バイアス(たとえば、−1000V)が印加される。
【0037】
また、現像電位制御部37により現像バイアス回路34が制御されて、現像バイアス回路34から現像ローラ10に正の現像バイアス(たとえば、+300V)が印加される。
【0038】
さらに、マイクロコンピュータ35により帯電バイアス回路32が制御されて、帯電バイアス回路32から帯電器6に帯電バイアスが印加される。帯電器6に帯電バイアスが印加されることにより、帯電器6が放電し、感光ドラム5の周面が一定の正電位(たとえば、+800V)に帯電する。
【0039】
この感光ドラム5の周面に露光器4からのレーザビームが照射されると、レーザビームが照射された露光部分から電荷が消失する。したがって、感光ドラム5の周面が選択的に露光されることにより、感光ドラム5の周面に電荷の有無による潜像(静電潜像)が形成される。そして、露光部分は、電荷が選択的に除去されることにより、その表面電位が現像ローラ10に印加されている現像バイアスよりも低くなる。そのため、現像ローラ10の周面に担持されている正極性のトナーは、感光ドラム5の周面の露光部分と対向したときに、その露光部分に静電気力により引き寄せられて転移する。これにより、静電潜像のトナーによる現像が達成され、感光ドラム5の周面にトナー像が形成される。
【0040】
その後、感光ドラム5の回転により、トナー像が用紙Pを挟んで転写ローラ8に対向すると、トナー像は、正極性に帯電しているので、負の転写バイアスが印加されている転写ローラ8に静電気力により引き寄せられる。これにより、感光ドラム5の周面から用紙Pにトナー像が転写される。
【0041】
一方、モータ31の逆回転時、つまり一方面に画像が形成されている用紙Pが反転搬送路21に沿って搬送される時には、転写電位制御部36により転写バイアス回路33が制御されて、転写バイアス回路33から転写ローラ8に正の転写バイアスが印加される。このときの転写バイアスは、感光ドラム5の周面に残存しているトナーと同極性でその電位以上の電位(たとえば、+1500V)に設定される。マイクロコンピュータ35により帯電バイアス回路32が制御されて、帯電器6には、モータ31の正回転時と同じ帯電バイアスが印加されている。そのため、感光ドラム5の周面上のトナーの電位は、帯電器6からの放電により一様に正帯電した感光ドラム5の表面電位とほぼ同じになっている。
【0042】
転写ローラ8への転写バイアスの印加により、転写ローラ8の表面電位は、感光ドラム5の周面上のトナーと同極性でその電位より大きい電位に制御される。そのため、感光ドラム5の逆回転により、感光ドラム5の周面に残留しているトナーが転写ローラ8と対向した時に、トナーと転写ローラ8との間には、互いに反発する斥力となる静電気力が働く。よって、感光ドラム5の周面から転写ローラ8の周面へのトナーの転移を防止することができる。
【0043】
また、モータ31の逆回転時には、現像電位制御部37により現像バイアス回路34が制御されて、現像バイアス回路34から現像ローラ10への現像バイアスの印加が中止される。これにより、制御上は、現像ローラ10の表面電位が0Vとなるが、実際には、現像ローラ10の表面に担持されているトナーの影響により、現像ローラ10の表面電位は、微小な正の電位となる。
【0044】
これにより、現像ローラ10の表面電位が感光ドラム5の表面電位よりも低くなるので、現像ローラ10から感光ドラム5の周面へのトナーの転移を防止することができる。その結果、現像領域における、感光ドラム5へのトナーの転移(いわゆる押圧かぶり)を起こしにくく、感光ドラム5の周面から転写ローラ8の周面へのトナーの転移を一層防止することができる。
【0045】
また、トナーがエステル系樹脂を主成分とするトナーであり、このトナーは、摩擦帯電により正極性に帯電する。そのため、モータ31の逆回転時に、感光ドラム5の表面電位の低下を抑制することができる。
【0046】
また、プリンタ1では、クリーナレス方式が採用されており、モータ31の正回転時には、現像ローラ10により、用紙Pへのトナー像の転写後に感光ドラム5の周面上に残存するトナーが回収される。そのため、感光ドラム5の周面上に残存するトナーを回収するためのクリーニング機構(クリーニングブラシ、クリーニングローラなど)を別途設ける必要がない。その結果、プリンタ1の構成を簡素化することができる。さらに、クリーニング機構が設けられていなければ、モータ31の逆回転時に、クリーニング機構から感光ドラム5の周面にトナーが転移することがない。よって、感光ドラム5の周面におけるトナーの付着量を減らすことができ、感光ドラム5の周面から転写ローラ8の周面へのトナーの転移を一層防止することができる。
【0047】
さらに、感光ドラム5の逆回転方向において、露光器4から感光ドラム5に照射されるレーザビームが通過する部分に隣接して帯電器6が配置されているので、モータ31の逆回転時(感光ドラム5の逆回転時)には、感光ドラム5の周面に暗露光による表面電位の低下が生じても、その表面電位の低下を即座に解消することができる。また、感光ドラム5を逆回転させずに停止させておく構成を採用した場合、露光器4から感光ドラム5に照射されるレーザビームが感光ドラム5表面の同一部分を走査する。この場合、感光ドラム5上において著しく電位の下がった部分が発生し、画像に悪影響を及ぼすことがある。本実施形態によれば、このような問題も解消することができる。
4.第2実施形態
前述のように、転写ローラ8の表面電位は、転写バイアス回路33から転写ローラ8に、感光ドラム5の周面上のトナーと同極性でその電位以上の電位のバイアスを印加することにより、感光ドラム5の周面上のトナーと同極性でその電位より高い電位に制御することができる。
【0048】
しかしながら、転写ローラ8の表面電位の制御方法は、その方法に限定されない。たとえば、図2に破線で示すように、転写ローラ8と転写バイアス回路33との電気的な接続を切断するためのリレー41が設けられていれば、このリレー41を切断することにより、転写ローラ8の表面電位を、感光ドラム5の周面上のトナーと同極性でその電位とほぼ同じ電位に制御することができる。
【0049】
モータ31の逆回転時に、転写ローラ8と転写バイアス回路33との電気的な接続が切断されると、転写ローラ8は、電気的にオープン状態となるので、転写ローラ8の表面電位は、図4に示すように、感光ドラム5の表面電位とほぼ同じになる。これによっても、転写ローラ8の表面電位を感光ドラム5の周面上のトナーと同極性でその電位とほぼ同じ電位に制御することができる。その結果、感光ドラム5の周面から転写ローラ8の周面へのトナーの転移を防止することができる。
5.変形例
本発明は、モノクロプリンタに限らず、カラープリンタに適用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンタ
5 感光ドラム
8 転写ローラ
10 現像ローラ
14 搬送路
15 分離ローラ
17 給紙ローラ
18 レジストローラ
19 排紙ローラ
21 反転搬送路
22 第1反転搬送ローラ
23 第2反転搬送ローラ
31 モータ
33 転写バイアス回路
34 現像バイアス回路
35 マイクロコンピュータ
36 転写電位制御部
37 現像電位制御部
41 リレー
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
その周面が前記感光ドラムの周面に接触するように設けられ、前記感光ドラムの周面に現像剤を供給するための現像ローラと、
その周面が前記感光ドラムの周面に対向するように設けられ、前記現像ローラからの前記現像剤の供給により前記感光ドラムの周面に形成される現像剤像を当該周面からシートに転写するための転写ローラと、
正逆回転可能なモータを含み、前記モータの正回転時の出力により前記感光ドラムを正回転させ、前記モータの逆回転時の出力により前記感光ドラムを逆回転させるドラム駆動手段と、
前記モータの正回転時の出力により、シートを前記感光ドラムの周面と対向する搬送路に沿って搬送する正搬送手段と、
前記モータの逆回転時の出力により、一方面に現像剤像が転写されたシートを反転搬送路に沿って搬送し、当該シートを前記一方面と反対の他方面が前記感光ドラムの周面と前記搬送路上で対向する姿勢に反転させて前記搬送路に送り込む反転搬送手段と、
前記モータの正回転時に、前記転写ローラの表面電位を前記感光ドラム上の前記現像剤と逆極性に制御し、前記モータの逆回転時に、前記転写ローラの表面電位を前記感光ドラム上の前記現像剤と同極性でその電位以上の電位に制御する転写電位制御手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラにバイアスを印加する転写バイアス印加手段をさらに備え、
前記転写電位制御手段は、前記転写バイアス印加手段を制御して、前記モータの逆回転時に、前記転写ローラに前記感光ドラム上の前記現像剤と同極性でその電位より大きい電位のバイアスを印加させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ローラにバイアスを印加する転写バイアス印加手段をさらに備え、
前記転写電位制御手段は、前記モータの逆回転時に、前記転写ローラと前記転写バイアス印加手段との電気的な接続を切断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モータの逆回転時に、前記感光ドラムの周面を正極性または負極性に帯電させる帯電手段と、
前記モータの逆回転時に、前記現像ローラの表面電位を0Vに制御する現像電位制御手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤は、エステル系樹脂を主成分とするトナーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
現像ローラは、前記モータの正回転時に、シートへの現像剤像の転写後に前記感光ドラムの周面上に残存する現像剤を回収する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150140(P2011−150140A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11376(P2010−11376)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】