説明

画像形成装置

【課題】被転写材の搬送時に消費される電力を低く抑えることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、被転写材に画像を形成する画像形成部30と、駆動ローラを有し、駆動ローラにより被転写材を搬送する被転写材搬送部と、駆動ローラを駆動させる駆動部20と、駆動部20に対して電流の供給及び電圧の印加を行う電力供給部21と、被転写材搬送部によって被転写材を搬送する状態に応じて、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値の中からいずれか1つの電流値を選択し、選択された電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する制御部90とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の被転写材を搬送するための駆動ローラを駆動させる駆動部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置には、現像器によって静電潜像が現像されることによりトナー画像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムに対向して配置された転写ローラと、感光体ドラムと転写ローラとの間に形成される転写ニップに向けて用紙(被転写材)を搬送する用紙搬送部とを備えるものがある。現像器は、トナーカートリッジから供給されたトナーを攪拌する攪拌ローラを備える。また、用紙搬送部は、用紙を収容する給紙カセットから転写ニップに用紙を搬送する駆動ローラを備える。攪拌ローラ及び駆動ローラは、同一の駆動部(モータ)により回転駆動される。
【0003】
このような画像形成装置は、現像器の内部でトナーが固まることにより攪拌ローラが回転し難くなった場合(攪拌ローラの負荷が大きくなった場合)等では駆動部が動作し難くなって脱調するので、駆動ローラを駆動させることができない。このときに駆動部に供給される電流の電流値を第1電流値とする。この場合、画像形成装置は、第1電流値よりも大きな第2電流値の電流を駆動部に供給することにより、駆動ローラを駆動させている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−281757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された画像形成装置は、現像器内のトナーが攪拌されることにより攪拌ローラにかかる負荷が小さくなった場合でも、第2電流値の電流をモータに供給し続けるため、必要以上の電流を消費することになる。
【0006】
本発明は、被転写材の搬送時に消費される電力を低く抑えることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被転写材に画像を形成する画像形成部と、駆動ローラを有し、前記駆動ローラにより被転写材を搬送する被転写材搬送部と、前記駆動ローラを駆動させる駆動部と、前記駆動部に対して電流の供給及び電圧の印加を行う電力供給部と、前記被転写材搬送部によって被転写材を搬送する状態に応じて、前記電力供給部から前記駆動部に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値の中からいずれか1つの電流値を選択し、選択された電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0008】
また、前記電力供給部は、前記制御部により選択された電流値を保ちつつ前記駆動部に電流を供給することが好ましい。
【0009】
また、前記被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、前記制御部は、被転写材搬送部が被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に、前記センサにより被転写材の通過を検知しない場合には、3段階以上に設定された電流値のうち最大の電流値を選択して、前記最大の電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記電力供給部により前記駆動部に供給される電流の電流値を最大にした後の所定の第2時間以内に、前記センサにより被転写材の通過を検知しない場合には、前記駆動ローラの回転速度を遅くするために前記駆動部に印加する電圧の電圧値を被転写材の搬送動作を開始したときの電圧値よりも小さくするよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、被転写材に画像を形成するためのジョブが複数実行される場合であって、所定数以上連続したジョブのそれぞれにおいて前記駆動部に印加する電圧の第2の電圧値を被転写材の搬送動作を開始したときの第1の電圧値よりも小さくするよう前記電力供給部を制御したときには、次回以後のジョブにおいては前記第2の電圧値の電圧を前記駆動部に印加するよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【0012】
また、被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、前記制御部は、被転写材搬送部が第1の被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知し、前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知するまでの時間が所定の第3時間以内の場合に、前記第1の被転写材を搬送するときに前記駆動部に供給される電流値よりも一段階小さな電流値を選択し、前記第1の被転写材以後の第2の被転写材を搬送するときに、選択された一段階小さな電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【0013】
また、被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、前記制御部は、被転写材搬送部が前記第1の被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知し、前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知するまでの時間が所定の第3時間を超える場合に、前記第1の被転写材を搬送するときに前記駆動部に供給される電流値よりも一段階大きな電流値を選択し、前記第1の被転写材以後の第2の被転写材を搬送するときに、選択された一段階大きな電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【0014】
また、前記制御部は、少なくとも前記第1の被転写材及び前記第2の被転写材に画像を形成するための第1ジョブが終了するまで選択された電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御し、前記第1ジョブに続く第2ジョブに基づいて被転写材に画像を形成する場合には、3段階以上に設定された電流値のうちの初期値に設定される電流値を選択し、選択された初期値に設定される電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被転写材の搬送時に消費される電力を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の一実施形態に係るプリンタの全体構成を説明するための図である。
【図2】プリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタの動作を説明するための第1のフローチャートである。
【図4】プリンタの動作を説明するための第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るプリンタ1について説明する。まず、プリンタ1の全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一実施形態に係るプリンタ1の全体構成を説明するための図である。
【0018】
プリンタ1は、被転写材搬送部としての用紙搬送部10と、画像形成部30と、定着部40とを備える。
用紙搬送部10は、駆動ローラを有し、この駆動ローラにより用紙Tを搬送する。駆動ローラは、後述する搬送路Lに複数配置され、後述する駆動部20(図2参照)によって回転駆動されることにより被転写材としての用紙Tを搬送する。本実施形態では、駆動ローラの一例として第1送りローラ11及び第2送りローラ12について説明する。
具体的には、用紙搬送部10は、第1送りローラ11と、第2送りローラ12と、レジストローラ対13と、第1ローラ対14と、第2ローラ対15と、用紙排出部16とを備える。また、用紙Tが搬送される搬送路Lは、第1送りローラ11又は第2送りローラ12から画像形成部30(後述する転写ニップN)までの第1搬送路L1と、画像形成部30(後述する転写ニップN)から定着部40までの第2搬送路L2と、定着部40から用紙排出部16までの第3搬送路L3と、定着部40から排出された用紙Tをレジストローラ対13に戻す戻し搬送路Lbとを備える。
【0019】
第1送りローラ11は、給紙カセット17に収容される用紙Tを第1搬送路L1に供給する。第2送りローラ12は、手差しトレイ18に載置される用紙Tを第1搬送路L1に供給する。レジストローラ対13は、第1搬送路L1を搬送されてきた用紙Tを感光体ドラム31と転写ローラ38との間に形成される転写ニップNに供給して、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラ対13は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。第1ローラ対14は、第3搬送路L3に設けられ、定着部40から排出された用紙Tを用紙排出部16側に搬送する。第2ローラ対15は、第1ローラ対14により用紙排出部16側に搬送された用紙Tを第4搬送路L4に搬入させる。用紙排出部16は、トナー画像が定着された用紙Tをプリンタ1の外部に排出する。用紙排出部16におけるプリンタ1の外側には、排紙集積部19が形成される。排紙集積部19には、用紙排出部16から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0020】
なお、搬送路Lには、用紙が通過したことを検知する用紙検知センサ101(図2参照)が配置されている。用紙検知センサ101は、例えば、第1送りローラ11及び第2送りローラ12それぞれにおける用紙搬送方向の下流側に配置される。
【0021】
画像形成部30は、用紙Tに画像を形成する。具体的には、画像形成部30は、感光体ドラム31と、帯電部32と、レーザスキャナユニット33と、現像器34と、除電器35と、クリーニング部36と、トナーカートリッジ37と、転写ローラ38とを備える。感光体ドラム31は、トナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム31の周囲には、感光体ドラム31の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部32と、レーザスキャナユニット33と、現像器34と、クリーニング部36とが配置される。帯電部32は、感光体ドラム31の表面を帯電させる。レーザスキャナユニット33は、感光体ドラム31の表面から離れて配置され、外部に配置される外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)により送信された画像データに基づいて感光体ドラム31の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム31の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
【0022】
現像器34は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。現像器34は、感光体ドラム31の表面に対向配置された現像ローラ341と、トナーカートリッジ37から供給されたトナーを攪拌する攪拌ローラ342とを備える。除電器35は、感光体の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム31の表面を除電する(電荷を除去する)。クリーニング部36は、除電器35によって感光体ドラム31の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。トナーカートリッジ37は、現像器34に供給されるトナーを収容する。トナーカートリッジ37と現像器34とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。転写ローラ38は、感光体ドラム31との間に用紙Tを挟み込むことにより、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させる。
【0023】
定着部40は、加熱回転体41と、加圧回転体42とを備える。加熱回転体41と加圧回転体42とは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0024】
次に、プリンタ1の機能構成について説明する。図2は、プリンタ1の機能構成を示すブロック図である。
プリンタ1は、上述した構成要素(用紙搬送部10、画像形成部30及び定着部40)を備える。なお、図1を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。さらに、プリンタ1は、上述した機能構成に加えて、駆動部20と、電力供給部21と、操作部50と、表示部60と、インターフェース部70と、記憶部80と、制御部90とを備える。
【0025】
駆動部20は、駆動ローラ(例えば、用紙搬送部10に配置される第1送りローラ11及び第2送りローラ12)を駆動させると共に、現像器34に配置される攪拌ローラ342を駆動させる。駆動部20は、モータから構成される。
電力供給部21は、駆動部20に対して電流の供給と電圧の印加とを行う(電力を供給する)。
【0026】
操作部50は、複数のキー(図示せず)から構成され、一例として、プリンタ1の設定を変更する場合やジョブをリセットする場合などに操作される。操作部50は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
表示部60は、トナーカートリッジ37に収容されるトナーの残量が少ないこと、給紙カセット17内に用紙Tが収容されていないこと等の種々の情報を表示する。
インターフェース部70は、プリンタ1の外部に設置された外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)に接続される。
【0027】
記憶部80は、半導体メモリ又はハードディスク等から構成される。記憶部80は、上述した外部機器から供給された画像データを記憶する。また、記憶部80は、プリンタ1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0028】
制御部90は、用紙搬送部10と、画像形成部30と、定着部40と、表示部60とを制御する。
また、制御部90は、用紙搬送部10によって用紙Tを搬送する状態に応じて、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値の中からいずれか1つの電流値を選択し、選択された電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
3段階以上に設定される電流値とは、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の最小電流値と、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の最大電流値と、最小電流値と最大電流値との間に設定される2つ以上の電流値とのことである。
上記の最小電流値とは、駆動部20によって駆動される第1送りローラ11又は第2送りローラ12により用紙Tを搬送させることが可能な状態における、最小の電流値のことである。また、最大電流値とは、駆動部20に加わる負荷が最も大きい場合でも、駆動部20が第1送りローラ11又は第2送りローラ12を駆動させることが可能な最大電流値のことである。
【0029】
ここで、3段階に設定される電流値の具体的な一例は、最小電流値(0.3[A])と、最大電流値(1[A])と、最小電流値と最大電流値とに設定される電流値(0.65[A])とである。また、4段階に設定される電流値の具体的な一例は、最小電流値(0.3[A])と、最大電流値(1[A])と、最小電流値と最大電流値との間に設定される2つの電流値(0.53[A]、0.77[A])とである。また、最小電流値と最大電流値との間には、3つ以上の電流値が設定されてもよい。
これにより、制御部90は、用紙Tを搬送するために電力供給部21から駆動部20に供給される電流の最適な電流値を選択することが可能になる。
【0030】
なお、電力供給部21は、制御部90により選択された電流値を保ちつつ駆動部20に電流を供給してもよい。例えば、制御部90により3段階以上に設定された電流値の中から最小電流値が選択(便宜的に、第1回目の選択とする。)された場合、第1回目の選択後にさらに制御部90により最小電流値以外の他の電流値が選択されるまで、電力供給部21は、第1回目に選択された最小電流値の電流を駆動部20に供給する。
また、制御部90は、ジョブ(単数又は複数の用紙Tにそれぞれ画像を形成するための指令)中の1枚目の用紙Tに画像を形成するときに、3段階以上に設定された電流値の中から選択される電流値(初期値)として最小電流値を選択してもよい。
【0031】
また、制御部90は、用紙搬送部10が用紙Tの搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に、用紙検知センサ101(センサ)により用紙Tの通過を検知しない場合には、3段階以上に設定された電流値のうち最大の電流値を選択して、最大の電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
この場合、プリンタ1は、計時を行う計時部91(図2参照)を備える。計時部91は、例えば、給紙カセット17に収容される用紙Tの搬送が開始される場合、第1送りローラ11が駆動を開始したときに、所定の第1時間に到達したか否かを判断するための計時を開始すればよい。なお、所定の第1時間は、適宜設定される。
【0032】
用紙検知センサ101は、搬送路Lを搬送されている用紙Tを検知するセンサであり、具体的な一例としては、接触型アームセンサや非接触反射型センサ等が挙げられる。接触型アームセンサは、搬送路Lに突出して設けられたアームを備え、用紙Tがアームに接触した場合に用紙Tを検知するセンサである。非接触反射型センサは、発光素子と、この発光素子から出射され、その後に搬送路L又は用紙Tによって反射された光を受光する受光素子とを備える。非接触反射型センサは、搬送路Lによって反射された光と、非接触反射型センサの下方を通過する用紙Tによって反射された光との強度等の違いを利用して、用紙Tを検知するセンサである。用紙検知センサ101は、用紙Tを検知した場合に検知信号を制御部90に供給する。
【0033】
制御部90は、計時部91による計時が所定の第1時間に到達したか否かを判断する。さらに、制御部90は、計時部91による計時が所定の第1時間に到達したときまでに、用紙検知センサ101から検知信号を受信しない場合には、電力供給部21から駆動部20に供給する電流の電流値が最大になる電流値を選択して、この最大電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
これにより、プリンタ1は、現像器34の内部でトナーが固まることにより攪拌ローラ342が回転し難くなり、その結果、駆動部20に加わる負荷が大きくなった場合でも、最大電流値の電流を駆動部20に供給することにより、駆動部20を動作させること可能になる。
【0034】
また、制御部90は、電力供給部21により駆動部20に供給される電流の電流値を最大にした後の所定の第2時間以内に、用紙検知センサ101により用紙Tの通過を検知しない場合には、第1送りローラ11又は第2送りローラ12の回転速度を遅くするために駆動部20に印加する電圧の電圧値を用紙Tの搬送動作を開始したときの電圧値よりも小さくするよう電力供給部21を制御する。
計時部91は、例えば、電力供給部21から駆動部20に最大電流値の電流を供給するために、制御部90により3段階以上に設定された電流値の中から最大電流値が選択された場合に、所定の第2時間に到達したか否かを判断するための計時を開始すればよい。なお、所定の第2時間は、適宜設定される。
【0035】
制御部90は、計時部91による計時が所定の第2時間に到達したか否かを判断する。さらに、制御部90は、計時部91による計時が所定の第2時間に到達したときにまでに、用紙検知センサ101からの検知信号を受信しない場合には、第1送りローラ11又は第2送りローラ12の回転速度を遅くするために駆動部20に印加する電圧の電圧値を用紙Tの搬送動作を開始したときの電圧値よりも小さくするよう電力供給部21を制御する。なお、第1送りローラ11又は第2送りローラ12の回転速度を遅くする場合では、例えば、通常の回転速度に対して半分程度の回転速度であればよい。
これにより、最大電流値の電流を駆動部20に供給する場合でも用紙検知センサ101により用紙Tの通過を検知しないときには、第1送りローラ11又は第2送りローラ12にすべりが発生して用紙Tを搬送することができない状態にあると仮定して、プリンタ1は、第1送りローラ11又は第2送りローラ12の回転速度を遅くすることによりすべりを発生し難くすることが可能である。
【0036】
また、制御部90は、用紙Tに画像を形成するためのジョブが複数実行される場合であって、所定数以上連続したジョブのそれぞれにおいて、駆動部20に印加する電圧の第2の電圧値を、用紙Tの搬送動作を開始したときの第1の電圧値よりも小さくするよう電力供給部21を制御したときには、次回以後のジョブにおいては第2の電圧値の電圧を駆動部20に印加するよう電力供給部21を制御してもよい。
ジョブは、単数又は複数の用紙Tにそれぞれ画像を形成するための指令である。また、上記の所定数は、適宜設定される閾値である。
具体的な一例として、所定数として「2」が設定されている場合であって、連続する2つのジョブ(第1ジョブ及び第2ジョブ)のそれぞれにおいて、用紙Tの搬送動作を開始した当初のときに比べて電力供給部21から駆動部20に印加する電圧の電圧値を低くしたとき(第1の電圧値から、第1の電圧値よりも低い第2の電圧値に変更したとき)には、制御部90は、第3ジョブ以後のジョブにおいて、用紙Tの搬送動作を開始する当初から第2の電圧値の電圧を駆動部20に印加するよう電力供給部21を制御する。
これにより、例えば、駆動部20に加わる負荷が小さいために、第1ジョブ及び第2ジョブのそれぞれにおいて第2の電圧値の電圧を駆動部20に印加した場合には、第3ジョブ以後のジョブにおいても駆動部20に加わる負荷が小さいと仮定して、第3ジョブ以後のジョブにおいて当初から第2の電圧値の電圧を駆動部20に印加するので、プリンタ1は、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることが可能になる。
【0037】
また、制御部90は、用紙搬送部10が第1の用紙Tの搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知し、用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間以内の場合に、第1の用紙Tを搬送するときに駆動部20に供給される電流値よりも一段階小さな電流値を選択し、第1の用紙T以後の第2の用紙Tを搬送するときに、選択された一段階小さな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
【0038】
計時部91は、例えば、給紙カセット17に収容される用紙Tの搬送が開始される場合、第1送りローラ11が駆動を開始したときに、所定の第3時間に到達したか否かを判断するための計時を開始すればよい。所定の第3時間は、用紙Tの搬送動作を開始してから、用紙検知センサ101が用紙Tを検知するまで(用紙検知センサ101が配置されている位置に用紙Tが到達するまで)の理論値である。
【0039】
制御部90は、計時部91による計時が所定の第3時間に到達したか否かを判断する。さらに、制御部90は、用紙搬送部10が第1の用紙Tの搬送動作を開始してから用紙検知センサ101によって用紙Tが検知されるまでの時間が所定の第3時間(理論値)以内の場合には、第1の用紙Tを搬送するときに駆動部20に供給される電流値よりも一段階小さな電流値を選択し、第1の用紙T以後の第2の用紙Tを搬送するときに、選択された一段階小さな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
【0040】
具体的な一例としては、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値として4段階の電流値(0.3[A]、0.53[A]、0.77[A]、1[A])が設定され、さらに第1の用紙Tを搬送するときに電流値として0.53[A]が選択された場合において、用紙搬送部10が第1の用紙Tの搬送動作を開始してから用紙検知センサ101によって用紙Tが検知されるまでの時間が所定の第3時間(理論値)以内のときには、制御部90は、第2の用紙Tを搬送するときに電流値として0.3[A]を選択して、0.3[A]の電流が駆動部20に供給されるよう電力供給部21を制御する。
【0041】
これにより、第1の用紙Tを所定の第3時間以内に搬送することができる場合には駆動部20に加わる負荷が小さく、その後の第2の用紙Tを搬送するときにおいても駆動部20に加わる負荷が小さいと仮定して、第2の用紙Tの搬送時に、選択された一段階小さな電流値の電流を駆動部20に供給するので、プリンタ1は、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることが可能になる。
【0042】
また、制御部90は、用紙搬送部10が第1の用紙Tの搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知し、用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間を超える場合に、第1の用紙Tを搬送するときに駆動部20に供給される電流値よりも一段階大きな電流値を選択し、第1の用紙T以後の第2の用紙Tを搬送するときに、選択された一段階大きな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
【0043】
具体的な一例としては、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値として4段階の電流値(0.3[A]、0.53[A]、0.77[A]、1[A])が設定され、さらに第1の用紙Tを搬送するときに電流値として0.53[A]が選択された場合において、用紙搬送部10が第1の用紙Tの搬送動作を開始してから用紙検知センサ101によって用紙Tが検知されるまでの時間が所定の第3時間(理論値)を超えるときには、制御部90は、第2の用紙Tを搬送するときに電流値として0.77[A]を選択して、0.77[A]の電流が駆動部20に供給されるよう電力供給部21を制御する。
【0044】
これにより、第1の用紙Tを所定の第3時間以内で搬送することができない場合には、駆動部20に加わる負荷が大きく、その後の第2の用紙Tを搬送するときにおいても駆動部20に加わる負荷が大きいと仮定して、選択された一段階大きな電流値の電流を駆動部20に供給するので、プリンタ1は、用紙Tの搬送に最適な電流値を電力供給部21から駆動部20に供給すること可能になる。
【0045】
また、制御部90は、少なくとも第1の用紙T及び第2の用紙Tに画像を形成するための第1ジョブが終了するまで選択された電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御し、第1ジョブに続く第2ジョブに基づいて用紙Tに画像を形成する場合には、3段階以上に設定された電流値のうちの初期値に設定される電流値を選択し、選択された初期値に設定される電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御してもよい。
【0046】
具体的な一例としては、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値として4段階の電流値(0.3[A]、0.53[A]、0.77[A]、1[A])が設定され、さらに初期値として0.53[A]の電流値が設定された場合において、第1ジョブにおける最後の用紙Tを搬送する時の電流値として0.3[A]が選択されているときには、制御部90は、第2ジョブにおける最初の用紙Tを搬送するときの電流値として0.53[A](初期値)を選択して、0.53[A]の電流が駆動部20に供給されるよう電力供給部21を制御する。
【0047】
次に、図3及び図4を参照して、プリンタ1の特徴的な動作について説明する。図3は、プリンタ1の動作を説明するための第1のフローチャートである。図4は、プリンタ1の動作を説明するための第2のフローチャートである。
図3に示すステップST101において、制御部90は、用紙搬送部10において用紙Tのすべりが発生したか否かを判断する。すなわち、制御部90は、用紙Tを画像形成部30に搬送するために電力供給部21に対して電力の供給を開始してから所定の第1時間に、第1送りローラ11における用紙搬送方向の下流側に配置された用紙検知センサ101において用紙Tを検知したか否かを判断する。用紙Tのすべりが発生していない(用紙Tを検知した)場合(No)には、ステップST102に進む。用紙Tのすべりが発生した(用紙Tを検知していない)場合(Yes)には、ステップST104に進む。
【0048】
ステップST102において、制御部90は、画像形成部30に搬送された用紙Tに画像を形成させる処理が新しいジョブに基づくものか否かを判断する。すなわち、制御部90は、外部に配置される外部機器から送信されたジョブに基づいて画像を形成する場合に、ステップST101においてすべりが発生しているか否か判断された用紙Tがジョブの1枚目であるのか否かを判断する。新ジョブ(ジョブの1枚目)の場合(Yes)には、ステップST103に進む。新ジョブ(ジョブの1枚目)ではない場合(No)には、ステップST104に進む。
【0049】
ステップST103において、制御部90は、用紙Tの搬送速度を通常の速度に戻す。すなわち、制御部90は、直前のジョブにおいて、第1送りローラ11又は第2送りローラ12(以下、単に「第1送りローラ11」という。)の回転速度を遅くするよう制御することにより用紙Tの搬送速度を遅くした場合には、第1送りローラ11の回転速度を予め設定された初期値に戻して用紙Tの搬送速度を通常に戻す。
【0050】
ステップST104において、制御部90は、後述するステップST110の処理によりセットされる設定値変更フラグをクリアする。
ステップST105において、制御部90は、用紙Tの搬送動作を用紙搬送部10に行わせる。
【0051】
ステップST106において、制御部90は、第1送りローラ11における用紙搬送方向の下流側に配置された用紙検知センサ101が用紙Tを検知したか否かを判断する。用紙検知センサ101が用紙Tを検知していない場合(No)には、ステップST107に進む。用紙検知センサ101が用紙Tを検知した場合(Yes)には、図4に示すステップST201に進む。
【0052】
ステップST107において、制御部90は、用紙搬送部10が用紙Tの搬送動作を開始してから所定の時間(所定の第1時間又は所定の第2時間)が経過したか否かを判断する。所定の時間が経過していない場合(No)には、ステップST106に戻る。所定の時間が経過した場合(Yes)には、ステップST108に進む。
【0053】
ステップST108において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20(モータ)に供給される電流の電流値が、3段階以上に設定された電流値の中の最大電流値であるか否かを判断する。駆動部20に供給される電流の電流値が最大電流値ではない場合(No)には、ステップST109に進む。駆動部20に供給される電流の電流値が最大電流値の場合(Yes)には、ステップST111に進む。
【0054】
ステップST109において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値のうち最大電流値を選択して、最大電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
ステップST110において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流が最大電流値であることを示す設定値変更フラグ、又は用紙Tの搬送速度が通常よりも遅くなっていることを示す設定値変更フラグをセットする。ステップST110の処理の後は、ステップST105へ進む。
【0055】
ステップST111において、制御部90は、用紙Tの搬送速度が通常であるか否かを判断する。すなわち、制御部90は、用紙Tの搬送速度を遅くするために第1送りローラ11の回転速度が初期値よりも遅くなるよう制御されているか否かを判断する。用紙Tの搬送速度が通常の場合(Yes)には、ステップST112に進む。用紙Tの搬送速度が通常ではない場合(No)には、ステップST113に進む。
【0056】
ステップST112において、制御部90は、駆動部20に印加される電圧の電圧値が小さくなるよう電力供給部21を制御することにより、第1送りローラ11の回転速度を遅くして、用紙Tの搬送速度を遅くする。ステップST112の処理の後は、ステップST110に進む。
ステップST113において、制御部90は、紙詰まり(JAM)を検知する。制御部90は、JAMを検知した場合、JAMが発生したことを表示部60に表示させる。
【0057】
次に、図4に示すステップST201において、制御部90は、用紙Tの搬送速度が通常であるか否かを判断する。すなわち、制御部90は、用紙Tの搬送速度を遅くするために第1送りローラ11の回転速度が初期値よりも遅くなるよう制御されているか否かを判断する。用紙Tの搬送速度が通常(第1送りローラ11の回転速度が初期値)の場合(Yes)には、ステップST202に進む。用紙Tの搬送速度が通常(第1送りローラ11の回転速度が初期値)ではない場合(No)には、処理を終了する。
【0058】
ステップST202において、制御部90は、ステップST110の処理により設定値変更フラグがセットされているか否かを判断する。設定値変更フラグがセットされていない場合(No)には、ステップST203に進む。設定値変更フラグがセットされている場合(Yes)には、処理を終了する。
【0059】
ステップST203において、制御部90は、用紙搬送部10が用紙Tの搬送動作を開始した後、用紙検知センサ101が用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間(理論値)以内であるか否かを判断する。用紙検知センサ101が用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間以内の場合(Yes)には、ステップST204に進む。用紙検知センサ101が用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間以内ではない場合(No)には、ステップST206に進む。
【0060】
ステップST204において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最小であるか否かを判断する。電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最小ではない場合(No)には、ステップST205に進む。電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最小の場合(Yes)には、処理を終了する。
【0061】
ステップST205において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を一段階下げる。すなわち、制御部90は、3段階以上に設定された電流値のうち、ステップST105における用紙Tの搬送動作時に電力供給部21から駆動部20に供給された電流の電流値よりも一段階小さな電流値を選択し、選択された一段階小さな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
【0062】
ステップST206において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最大であるか否かを判断する。電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最大の場合(Yes)には、ステップST207に進む。電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値が最大ではない場合(No)には、ステップST208に進む。
【0063】
ステップST207において、制御部90は、駆動部20に印加される電圧の電圧値が小さくなるよう電力供給部21を制御することにより、第1送りローラ11の回転速度を遅くして、用紙Tの搬送速度を遅くする。
ステップST208において、制御部90は、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を一段階上げる。すなわち、制御部90は、3段階以上に設定された電流値のうち、ステップST105における用紙Tの搬送動作時に電力供給部21から駆動部20に供給された電流の電流値よりも一段階大きな電流値を選択し、選択された一段階大きな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態のプリンタ1によれば、制御部90が、用紙搬送部10によって用紙Tを搬送する状態に応じて、電力供給部21から駆動部20に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値の中からいずれか1つの電流値を選択し、選択された電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御するので、用紙Tの搬送に最適な電流値を選択することができる。したがって、プリンタ1は、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることができる。
【0065】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、電力供給部21が、制御部90により選択された電流値を保ちつつ駆動部20に電流を供給するので、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることができる。
【0066】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、所定の第1時間以内に用紙検知センサ101により用紙Tの通過を検知しない場合には、制御部90が、3段階以上に設定された電流値のうち最大の電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御するので、駆動部20のトルクを大きくして用紙Tを搬送させることができる。
【0067】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、所定の第2時間以内に用紙検知センサ101により用紙Tの通過を検知しない場合には、制御部90が、駆動ローラの回転速度を遅くするために駆動部20に印加する電圧の電圧値を用紙Tの搬送動作を開始したときの電圧値よりも小さくするよう電力供給部21を制御するので、第1送りローラ11の回転速度が遅くして用紙Tを搬送させることができる。
【0068】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、制御部90が、所定数以上連続したジョブのそれぞれにおいて、駆動部20に印加する電圧の第2の電圧値を、用紙Tの搬送動作を開始した当初の第1の電圧値よりも小さくするよう電力供給部21を制御した場合には、次回以後のジョブにおいては第2の電圧値の電圧を駆動部20に印加するよう電力供給部21を制御するので、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることができる。
【0069】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間(理論値)以内の場合において、第1の用紙T以後の第2の用紙Tを搬送するときには、制御部90が、第1の用紙Tを搬送するときの電流値よりも一段階小さな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御するので、用紙Tの搬送時に消費される電力を低く抑えることができる。
また、本実施形態のプリンタ1によれば、用紙検知センサ101により第1の用紙Tの通過を検知するまでの時間が所定の第3時間(理論値)を超える場合において、第1の用紙T以後の第2の用紙Tを搬送するときには、制御部90が、第1の用紙Tを搬送するときの電流値よりも一段階大きな電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御するので、用紙Tの搬送に最適な電流値を電力供給部21から駆動部20に供給することができる。
【0070】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、制御部90が、少なくとも第1の用紙T及び第2の用紙Tに画像を形成するための第1ジョブが終了するまで選択された電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御し、第1ジョブに続く第2ジョブに基づいて用紙Tに画像を形成する場合には、初期値に設定される電流値の電流を駆動部20に供給するよう電力供給部21を制御するので、用紙Tの搬送に最適な電流値を電力供給部21から駆動部20に供給することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態で説明したプリンタ1は、1つの駆動部20により、攪拌ローラ342、第1送りローラ11及び第2送りローラ12を駆動させる形態であるが、本発明はこの形態に限定されることはない。すなわち、プリンタは、攪拌ローラを第1の駆動部により駆動させ、第1送りローラ及び第2送りローラを第2の駆動部により駆動させる形態であってもよい。また、プリンタは、攪拌ローラを第1の駆動部により駆動させ、第1送りローラを第2の駆動部により駆動させ、第2送りローラを第3の駆動部により駆動させる形態であってもよい。この場合、何らかの理由により第1送りローラ又は第2送りローラに負荷が加わった場合には、第1送りローラ及び/又は第2送りローラを駆動させる駆動部に接続される電力供給部に対して、制御部が上記の実施形態で説明した制御を行えばよい。
また、本発明の駆動ローラは、上述した第1送りローラ11及び第2送りローラ12に限定されることはなく、用紙Tを搬送させるために搬送路内に配置されるローラであってもよい。
【0072】
また、本実施形態で説明したプリンタ1はモノクロプリンタであるが、本発明は、この形態に限定されることはなく、カラープリンタであってもよい。
また、本実施形態で説明したプリンタ1は、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写する形態(直接転写方式)であるが、本発明は、この形態に限定されることはなく、中間転写ベルトを介して用紙にトナー画像を転写する形態(間接転写方式)であってもよい。
また、本実施形態で説明したプリンタ1は用紙Tの両面を印刷可能な形態であるが、本発明は、この形態に限定されることはなく、用紙の片面のみを印刷する形態であってもよい。
【0073】
また、本実施形態で説明したプリンタ1は、トナー画像を用紙Tに転写して、トナーを溶融及び加圧することにより、そのトナーを用紙に定着させる形態であるが、本発明はこの形態に限定されることはない。すなわち、プリンタは、インクジェットヘッドからインクを吐出して、そのインクを用紙に付着させるインクジェットプリンタであってもよい。この場合、給紙カセットに収容される用紙を搬送路に送るための送りローラ等に何らかの負荷が加わったときに、その送りローラを駆動させる駆動部に接続される電力供給部に対して、制御部が上記の実施形態で説明した制御を行えばよい。
【0074】
また、本発明の画像形成装置は、上述したプリンタ1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びスキャナ機能等を備える複合機であってもよく、ファクシミリであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被転写材は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバヘッドプロジェクタ)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…プリンタ(画像形成装置)、10…用紙搬送部(被転写材搬送部)、11…第1送りローラ(駆動ローラ)、12…第2送りローラ(駆動ローラ)、20…駆動部、21…電力供給部、30…画像形成部、40…定着部、90…制御部、101…用紙検知センサ(センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写材に画像を形成する画像形成部と、
駆動ローラを有し、前記駆動ローラにより被転写材を搬送する被転写材搬送部と、
前記駆動ローラを駆動させる駆動部と、
前記駆動部に対して電流の供給及び電圧の印加を行う電力供給部と、
前記被転写材搬送部によって被転写材を搬送する状態に応じて、前記電力供給部から前記駆動部に供給される電流の電流値を変えるために3段階以上に設定された電流値の中からいずれか1つの電流値を選択し、選択された電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記電力供給部は、前記制御部により選択された電流値を保ちつつ前記駆動部に電流を供給する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、
前記制御部は、被転写材搬送部が被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に、前記センサにより被転写材の通過を検知しない場合には、3段階以上に設定された電流値のうち最大の電流値を選択して、前記最大の電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力供給部により前記駆動部に供給される電流の電流値を最大にした後の所定の第2時間以内に、前記センサにより被転写材の通過を検知しない場合には、前記駆動ローラの回転速度を遅くするために前記駆動部に印加する電圧の電圧値を被転写材の搬送動作を開始したときの電圧値よりも小さくするよう前記電力供給部を制御する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、被転写材に画像を形成するためのジョブが複数実行される場合であって、所定数以上連続したジョブのそれぞれにおいて前記駆動部に印加する電圧の第2の電圧値を被転写材の搬送動作を開始したときの第1の電圧値よりも小さくするよう前記電力供給部を制御したときには、次回以後のジョブにおいては前記第2の電圧値の電圧を前記駆動部に印加するよう前記電力供給部を制御する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、
前記制御部は、被転写材搬送部が第1の被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知し、前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知するまでの時間が所定の第3時間以内の場合に、前記第1の被転写材を搬送するときに前記駆動部に供給される電流値よりも一段階小さな電流値を選択し、前記第1の被転写材以後の第2の被転写材を搬送するときに、選択された一段階小さな電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
被転写材搬送部は、被転写材が通過したことを検知するセンサを備え、
前記制御部は、被転写材搬送部が前記第1の被転写材の搬送動作を開始した後の所定の第1時間以内に前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知し、前記センサにより前記第1の被転写材の通過を検知するまでの時間が所定の第3時間を超える場合に、前記第1の被転写材を搬送するときに前記駆動部に供給される電流値よりも一段階大きな電流値を選択し、前記第1の被転写材以後の第2の被転写材を搬送するときに、選択された一段階大きな電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
少なくとも前記第1の被転写材及び前記第2の被転写材に画像を形成するための第1ジョブが終了するまで選択された電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御し、
前記第1ジョブに続く第2ジョブに基づいて被転写材に画像を形成する場合には、3段階以上に設定された電流値のうちの初期値に設定される電流値を選択し、選択された初期値に設定される電流値の電流を前記駆動部に供給するよう前記電力供給部を制御する
請求項6又は7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−158519(P2011−158519A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17844(P2010−17844)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】