説明

画像形成装置

【課題】 用紙のコバによる定着ローラの傷の発生を低減し、高品位な画像を維持する。
【解決手段】 カセット21bにおける用紙の搬送方向における用紙の位置を、カセット21aの用紙に対して所定量ずらすようにカセット桶位置調整部材203の位置を設定することにより、カセット21bから給送される用紙が定着ローラ401を通過する位置が、カセット21aから給送される用紙の通過位置と異なる様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録用紙の搬送における定着ローラ或いはベルトの表面の傷防止に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録用紙に画像形成を行う電子写真プリンタ等の画像形成装置では、複数枚の記録用紙を収容したカセットから一枚ずつ用紙を分離して画像形成部(例えば感光ドラム)に搬送し、該画像形成部で形成された画像を転写ローラを介して用紙に転写する。その後、用紙は、定着部(例えば定着ローラ)に送られて加圧、加熱処理が施され、転写された画像が用紙に定着された後、画像形成装置外に排出される。
【0003】
用紙幅方向に関して同一サイズの用紙を連続的に搬送する場合、用紙幅方向における端部が常に定着ローラの同じ位置を通過すると、用紙を裁断した際に形成された微小な凹凸(ばり)が定着ローラを傷つけてしまう。図1に用紙コバ(ばり)が定着ローラを傷つけている様子を示す。定着ユニット40は、定着ローラ401と、そのローラに加圧される加圧ローラ402からなる。用紙Pが毎回同じ位置に搬送されると、図中の矢印のところを用紙コバ部が通過するため、定着ローラ401もしくは加圧ローラ402の表面を傷つけてしまう。そして、傷が付いた後に、定着ローラ401を傷つけた用紙よりも用紙幅方向のサイズが大きな用紙が定着ローラ401を通過すると、定着ローラ401の傷が定着ムラを引き起こし、用紙上のトナー画像に濃度差をつけるという問題がある。
【0004】
このような濃度差の発生を防止するために、特許文献1では、定着ローラの表面にヒータが接触する定着装置において、定着ローラもしくはヒータの少なくとも一方が、定着ローラの回転方向に対して交差する交差方向へ移動する構成をとっている。この構成により、定着ローラの表面が鱗片状に引き伸ばされ、用紙の通過時に用紙コバにより定着ローラ表面に発生する傷を覆うことができ、定着画像上の傷を目立たなくしている。
【0005】
特許文献2では、感光ドラムをスラスト方向に移動することで同一サイズの用紙が感光ドラムの同一場所だけを長期間に渡って通過することを極力防ぎ、用紙コバによる傷の発生を防いでいる。
【0006】
特許文献3では、定着ローラの用紙搬送方向の上流側で用紙の搬送位置を用紙の幅方向にシフトすることで同じ幅の用紙が定着ローラの同じ位置を連続して通過しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−116262号公報
【特許文献2】特開平10−293512号公報
【特許文献3】特開平08−188300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、定着ローラの表面を削っているので傷は目立たなくなるが、定着ローラの寿命が短くなってしまう。
【0009】
特許文献2では、感光ドラムをスラスト方向に移動するための構成が必要となり、装置の大型化と、コストアップにつながる。
【0010】
特許文献3では、用紙シフト機構が必要であるため、用紙のシフトを高速で行おうとするとシフト精度を良くする事が難しく、シフト精度を良くしようとすると生産性が低下する。また記録用紙シフト機構自身が高価であるため、コストアップにつながる。
【0011】
本発明では、高価な構成を使用することなく、簡単な構成で用紙コバによる定着ローラの傷防止の対策を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置は、同一のサイズの用紙を収納し、給送する第1の給送手段及び第2の給送手段と、前記第1の給送手段或いは前記第2の給送手段から給送される用紙にトナー画像を形成する画像形成手段と、一対の回転部材を有し、前記一対の回転部材の間に前記トナー画像が形成された用紙を通過させることによりトナー画像を用紙に定着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、前記第1の給送手段から給送される用紙と前記第2の給送手段から給送される用紙がそれぞれ前記回転部材を通過する位置が搬送方向に直交する方向において異なる様に、前記第1の給送手段と前記第2の給送手段における前記搬送方向に直交する方向の用紙の収納位置が異なり、前記画像形成手段は、前記第2の給送手段から給送される用紙に画像形成するときの前記搬送方向に直交する方向の画像形成開始位置を、前記第1の給送手段から給送される用紙に画像形成するときの画像形成開始位置に比べて、前記第1の給送手段と前記第2の給送手段における用紙の収納位置の差に応じた量だけ異ならせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送後の養子のシフト機構やローラ対のシフト機構を設けることなく、ローラ対にコバ傷が生じることを低減することができ、高品位な画像の形成を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】用紙が定着器を通過する様子を表す図。
【図2】画像形成装置の断面図。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図。
【図4】給紙ユニット内の用紙位置の調整機構を表す図。
【図5】用紙が定着器を通過する位置の変位を表す図。
【図6】図3の画像形成制御部と露光系の構成を示す図。
【図7】画像信号のタイミングチャート。
【図8】カセット切替の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の画像形成装置の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。本実施形態の画像形成装置は、複数の画像形成部を並列に配し、且つ中間転写方式を採用した電子写真カラー画像形成装置である。
【0016】
画像形成装置は、画像読取部1Rと、画像出力部1Pとを有する。画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して画像出力部1Pに送信する。画像出力部1Pは、4つ並設された画像形成部10(10a、10b、10c、10d)、給紙ユニット20、中間転写ユニット30、定着ユニット40、クリーニングユニット50、フォトセンサ60、制御ユニット70等を有する。
【0017】
更に、個々のユニットについて詳しく説明する。各画像形成部10a〜10d)は、それぞれ、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkのトナー画像を形成する。トナーの色が異なる以外、構成は同じであるので、代表して画像形成部10aについて説明する。各画像形成部10aでは、第一の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体である感光体ドラム11aが回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム11aの外周面に対向してその回転方向に一次帯電器12a、光学系13a、折り返しミラー16a、現像装置14a、及びクリーニング装置15aが配置されている。
【0018】
一次帯電器12aにおいて感光体ドラム11aの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、光学系13aにより、記録画像信号出力部1Rからの記録画像信号に応じて変調した、例えばレーザビームなどの光線を折り返しミラー16aを介して感光体ドラム11a上に露光することによって、そこに静電潜像を形成する。現像剤としてのトナー収納した現像装置14aによって静電潜像を顕像化し、トナー画像を形成する。顕像化されたトナー画像は画像転写領域Taにて中間転写ユニット30を構成する第二の像担持体としてのベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト31に転写される。中間転写ユニット30については、後で詳述する。画像転写領域Taの下流側では、クリーニング装置15aにより中間転写体に転写されずに感光体ドラム11a上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。
【0019】
以上に示したプロセスが各画像形成部10a〜10dにより実行され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像が中間転写ベルト31に順次重ねて形成される。
【0020】
給送手段としての給紙ユニット20は、用紙Pを収納するためのカセット21a、21bと、各カセット21a〜21bより用紙Pを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a、22bとを有する。各ピックアップローラ22a〜22bから送り出された用紙Pは給紙ローラ対23により給紙ガイド24に沿ってレジストレーションローラ対25へ搬送される。レジストレーションローラ対25は、中間転写ベルト31に重ねて転写されたトナー画像にタイミングを合わせて用紙Pを二次転写領域Teへ送り出す。
【0021】
中間転写ユニット30について詳細に説明する。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32と従動ローラ33と二次転写対向ローラ34に架け回されている。駆動ローラ32は、DCブラシレスモータ(不図示)によって回転駆動され、中間転写ベルト31に駆動力を与え、中間転写ベルト31を回動させる。従動ローラ33は、ばね(図示せず)の付勢によって中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラーとして機能し、中間転写ベルト31の回動に従動する。
【0022】
各感光体ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31が対向する一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写用帯電器35(35a〜35d)が配置されている。一方、二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップによって二次転写領域Teが形成されている。二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
【0023】
また、中間転写ベルト31の二次転写領域Teの下流には中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニット50が配置される。クリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード51と、廃トナーを収納する廃トナーボックス52とを備えている。
【0024】
定着手段としての定着ユニット40は、それぞれ回転部材としての定着ローラ401と定着ローラ401に加圧される加圧ローラ402とを有する。定着ユニット40の上流には、ローラ対401,402のニップ部へ用紙Pを導くためのガイド43が設けられている。また、定着ユニット40の下流には、定着ユニット40を通過した用紙Pをさらに装置外部に導き出すための排紙ローラ44、45、用紙Pを積載する排紙トレイ48が設けられている。
次に、画像形成装置の画像形成動作を説明する。
【0025】
上段の給紙段であるカセット21aから用紙が給紙される場合について説明する。ピックアップローラ22aにより、カセット21aに収納された用紙Pが一枚ずつ送り出される。そして、用紙Pは給紙ローラ対23によって給紙ガイド24の間を案内されてレジストレーションローラ(以下、レジストローラと称す)対25まで搬送される。その時レジストローラ対25は停止されており、用紙Pの先端はレジストローラ対25のニップ部に突き当たり、用紙の先端辺の斜行が補正される。中間転写ベルト31の内側には、マーク(不図示)が形成されており、フォトセンサ60により検知される。なお、このマークは中間転写ベルト31の内側の複数個所にあってもかまわない。フォトセンサ60が中間転写ベルト31内に記されたマークを検知してから所定時間後に画像形成部10による画像形成が開始される。
【0026】
一方、画像形成部10では、各色のトナー画像を順次形成し、各色のトナー画像が中間転写ベルト31に重ねて転写される。その後、レジストローラ対25で停止している用紙Pは、二次転写領域Teでの転写のタイミングに合わせて再び搬送され、二次転写領域Teで中間転写ベルト31上に形成されたフルカラーのトナー画像が用紙Pの表面に転写される。その後、用紙Pは搬送ガイド43によって定着ユニット40まで搬送され、ローラ対401,402の熱及びニップの圧力によってトナー画像が用紙P表面に定着される。その後、用紙Pは排紙ローラ44、45により機外に排出され、排紙トレイ48に積載される。
【0027】
図3は、画像形成装置の制御ブロック図である。CPU100は、画像形成装置の各部の動作を制御する。ROM101はプログラムや各種データを記憶している。RAM102はCPU100の作業領域として機能する。搬送制御部300は、図2の給紙ユニット20や用紙の搬送にかかわる部分の動作を制御する。搬送制御部300には、後述のカセット桶位置調整部材203の位を検知するセンサ等も含まれる。画像形成制御部400は、図2の画像形成部10の動作制御や定着ユニット40の温度の制御等を行ったり、画像読取部1Rから送信される画像信号や外部インターフェース700を介してコンピュータから送信されるプリントジョブのデータの処理を行う。操作部600は、ユーザからの指示を入力するキーや情報を表示する表示部を備えている。
【0028】
次に、給紙ユニット20内の第1の給送手段としてのカセット21aと第2の給送手段としてのカセット21bについて詳細に説明する。カセット21aと21bは同一構成であるため、カセット21aについて説明する。
【0029】
図4は、給紙カセット21aの上面図である。用紙Pが積載されるカセット桶200には、用紙サイズに応じて位置が変更可能な規制板201a、201b、201cが設けられている。用紙の搬送方向に交差する幅方向(図の上下方向)の調整は規制板201a、201bで行われ、長さ方向(図の左右方向)の調整は規制板201cで行われる。なお、規制板201a〜201cは、用紙サイズに合わせてユーザにより手動で位置が調整されるものとする。本実施形態では、カセット21aと21bには同一サイズの用紙を収納してある。カセット桶200は、画像形成装置を正面から見て、手前方向(図2の紙面手前方向、図3の下方向)に引き出せるようになっている。
【0030】
カセット桶200には幅方向位置規制部材202が設けられている。更に、カセット収納庫204には、カセット桶位置調整部材203が取り付けられており、その位置は矢印205方向において調整可能である。なお、位置調整は手動でのねじ止めにより行うものとするが、他の方法でも良い。幅方向位置規制部材202がカセット桶位置調整部材203に突き当たることにより、カセット桶200が位置決めされる。カセット桶位置調整部材203の位置を調整することによって、カセット収納庫204の手前および奥方向へにおけるカセット桶200の収納位置が調整される。すなわち、カセット桶200をカセット収納庫204へ収納した状態での、カセット収納庫204に対する用紙Pの幅方向の配置が変るため、用紙Pが定着器を通過する用紙幅方向の位置も変る。なお、カセット収納庫204には不図示の目盛りがあり、ユーザはカセット桶位置調整部材203の調整位置を確認できる。また、カセット21a,21bにおけるカセット桶位置調整部材203の位置は、不図示のセンサによりその位置がCPU100に認識される。なお、センサを用いる代わりに、操作部600からカセット桶位置調整部材203の位置を登録するようにし、CPU100が登録されたカセット桶位置調整部材203の位置を認識するようにしても良い。
【0031】
図4(a)は、用紙Pが定着ユニット40における用紙の搬送路の中央を通るようにカセット桶位置調整部材203の位置が調整されている様子を示し、この状態が基準位置となる。図4(b)は、カセット桶位置調整部材203を基準位置に対して画像形成装置の奥側に3mm移動した様子を示している。図4(b)の状態では、図4(a)の状態に比べて。用紙Pは定着ユニット40に対して3mm奥側の位置を通過する。
【0032】
用紙Pが定着ユニット40を通過する様子を図5に示す。図5(a)は、カセット桶位置調整部材203の位置が図4(a)に示す位置にある場合の定着ユニット40と用紙の通過位置との関係を示し、C1の位置を用紙のコバ部が通過する。多数の用紙が常に図5(a)に示す位置を通過していると、C1の位置をコバ傷が生じる。図5(b)は、カセット桶位置調整部材203の位置が図4(b)に示す位置にある場合の定着ユニット40と用紙の通過位置との関係を示し、C2の位置を用紙のコバ部が通過する。図5(c)は、図5(a)と(b)の用紙位置を重ね合わせた状態を示す。所定枚数毎に定着ユニット40に対する用紙の通過位置をずらすようにすれば、定着ローラ401、加圧ローラ402の表面に生じるコバ傷を分散し、コバ傷による定着ムラを目立たせなくできる。
【0033】
なお、本実施形態では、用紙の通過位置をずらすために、カセット21aのカセット桶位置調整部材203が図4(a)に示す位置にあり、カセット21bのカセット桶位置調整部材203が図4(b)に示す位置に調整されている。そして、所定枚数毎に使用する給紙部をカセット21aと21bとで切り替える。 幅方向における用紙位置をずらすと用紙P上の画像形成位置がずれるため、画像形成位置を補正する必要が生じる。以下、画像形成位置を補正する光学系13a〜13dの動作について説明する。光学系13a〜13dはほぼ同じ構成であるため、光学系13aを代表して説明する。
【0034】
図6に、画像形成位置補正のための構成を示す。
半導体レーザ131は、画像形成制御部400内のレーザ駆動装置72により駆動され、画像に応じたレーザ光を照射する。半導体レーザ131から照射されたレーザ光は、ポリゴンミラー(回転多面鏡)132に入射する。ポリゴンミラー132は等角速度で回転しており、この回転に伴い、ポリゴンミラー132に入射したレーザ光は、連続的に角度を変える偏向ビームとなって反射される。偏向ビームとなって反射されたレーザ光は、f−θレンズ133により集光作用を受ける。f−θレンズ133は、歪曲収差の補正を行うので、f−θレンズ133を通過したレーザ光は、ミラー16aを反射して感光ドラム11a上を等速で走査する。
【0035】
感光ドラム11aの一方の端部近傍には、ミラー16aから反射されたレーザ光を検知するビームディテクト(以下、BDという)センサ134が設けられている。BDセンサ134の検知信号は、感光ドラム11aの軸方向(主走査方向)における画像の開始位置を規定するための走査開始位置信号であり、ポリゴンミラー132の回転と画像信号の書き込みの同期をとるための同期信号として用いられる。この主走査方向は、用紙が搬送される方向に直交する方向と同一である。即ち、画像読取部1R等から送信される画像信号1は、画像信号タイミング制御部71にてBD信号および水晶発振器等からなるクロック発生回路73からのクロック信号CLKとの同期をとられて、画像信号2としてレーザ駆動装置72に送出される。なお、画像信号タイミング制御部71、クロック発生回路73は共に画像形成制御部400内に設けられている。また、CPU100が図4に示すカセット桶位置調整部材203の位置に応じた画像形成位置の補正値を画像信号タイミング制御部71に出力する。これにより、主走査方向の画像形成開始位置となる画像信号の書き出し位置の調整をすることができる。なお、操作部600から画像形成開始位置の補正値を画像信号タイミング制御部71に入力させて、画像形成開始位置の微調整を行うようにしても良い。
【0036】
図7に、画像信号タイミング制御部71から出力される画像信号2のタイミングチャートを示す。図7(a)のように、BD信号が入力されてから所定数のクロック分遅延した時点で(Tdelay後)に画像信号2を出力する。なお、ここでは、BD信号はローアクティブであり、ローレベルからハイレベルに変化した時点をBD信号の入力と見なす。このTdelayの時間を調整することで、主走査方向の画像の書き出し位置を調整することができる。図4(b)で説明したように、用紙Pが基準の位置よりも定着器の奥側3mmの位置を通るようにカセット桶位置調整部材203を調整した時は、この遅延させるクロック数(Tdelay時間)を図7(b)で示すように3mmに相当する量に変更する。これにより、給紙ユニット20におけるカセット桶の位置を変更しても用紙Pに対する画像形成位置を常に同じにすることができる。
【0037】
図8に、本実施形態におけるカセット選択と画像書き出し位置制御のフローチャートを示す。このフローチャートはCPU100により実行される。ここでは、上述したように、カセット21aは、図4(a)に示すように、用紙Pが定着ユニットのローラ対401,402の基準位置を通過するようにカセット桶位置調整部材203が調整されている。また、カセット21bは、図4(b)に示すように、用紙Pが基準位置から3mm奥側の位置を通過するようにカセット桶位置調整部材203が調整されている。また、カセット21aと21bには同じサイズの用紙が収納されている。
【0038】
CPU100は、カセット21aからの累積給紙枚数とカセット21bからの累積給紙枚数のどちらが多いかを、それぞれの給紙枚数カウンタから判断する(S1)。カセット21からの給紙枚数の方が少ない場合、CPU100は、画像形成に使用する給紙部としてカセット21aを選択し(S2)、画像形成部による主走査書き出し位置を基準位置に設定する(S3)。そして、CPU100は、画像形成部により画像形成を行わせ(S4)、カセット21aの給紙カウンタを1つカウントアップする(S5)。次の画像形成がなければ(S6でYes)、処理は終了する。次の画像形成があれば(S6でNo)、CPU100は、カセット21aの給紙カウンタのカウント値が100×M(Mは自然数)であるか否かを判断する(S7)。カウント値が100の倍数になっていなければ、CPU100は、次の画像形成もカセット21aから給紙するように制御する。カウント値が100の倍数になると、CPU100は、給紙部としてカセット21bを選択する(S11)。即ち、CPU100は、カセット21aから100枚給紙する毎に、給紙部をカセット21bに切り替える。これにより、用紙が定着ユニット40のローラ対401,402を通過する位置が3mm奥側に変化する。そして、CPU100は、通過位置の切替に合わせて、画像形成部による主走査方向の書き出し位置を基準位置から3mm奥側に設定する(S12)。CPU100は、画像形成部による画像形成を行わせ(S13)、カセット21b給紙カウンタを1つカウントアップする(S14)。次の画像形成がなければ(S15でYes)、処理は終了する。次の画像形成があれば(S15でNo)、CPU100は、カセット21aの給紙カウンタのカウント値が100×N(Nは自然数)であるか否かを判断する(S16)。カウント値が100の倍数になっていなければ、CPU100は、次の画像形成もカセット21bから給紙するように制御する。カウント値が100の倍数になると、CPU100は、給送元としてカセット21aを選択する(S2)。即ち、CPU100は、カセット21bから100枚給紙する毎に、給紙元をカセット21aに切り替える給送制御手段として機能する。これにより、用紙が定着ユニット40のローラ対401,402を通過する位置がこれまでよりも3mm手前側に変化する。
【0039】
このように用紙を100枚給紙する毎に給紙部をカセット21aと21bとの間で切り替える。従って、カセット21aからの給紙を続けることにより用紙のコバ部により定着ユニット40のローラ対401,402にコバ傷が生じることを低減でき、コバ傷による定着ムラが目立つ前に用紙の通過位置を変えることができる。そして、カセット21bからの次の100枚の用紙の通過中のローラ対401,402の加熱及び加圧によって、前の100枚の通過によるローラ対401,402上のコバ傷が目立たなくなる。
【0040】
なお、同一サイズの用紙を収納したカセットが3つある場合は、3つのカセットのカセット桶位置調整部材203の位置のそれぞれ異ならせ、1つのカセットから100枚給紙する毎に給紙するカセットが切り替えられる。そして、主走査方向の画像書き出し位置もカセット桶の位置に合わせて変更される。
【0041】
また、上記の説明では、100枚毎に給紙するカセットを切り替えているが、コバ傷が発生しない枚数であれば、例えば200枚毎にカセットを切り替えても良い。
【0042】
また、上記の説明では、カセット21a,21bにA4サイズの用紙が収納されているものとしたが、その他にもカセットが複数あり、他の2つのカセットにB4サイズの用紙が収納される場合も、同様に、2つのカセット桶の位置を異ならせるようにすればよい。
【0043】
上記の説明では、できるだけ、カセット21aと21bから均等に用紙が給紙されるようにしているが、ユーザが使用するカセットを指定する場合は、ユーザが選択したカセットのカセット桶の位置に合わせて主走査方向の書き出し位置が変更される。
【0044】
また、画像形成装置に同一サイズの用紙を収納するカセットが2つ以上ない場合も考えられる。そのような場合、1つのカセットから所定枚数の用紙を給紙する毎に、操作部600に、カセット桶位置調整部材203の位置を変更することの表示を行い、ユーザにカセット桶位置調整部材203の位置を変更するように指示しても良い。CPU100は、前述のカセット桶位置調整部材203の位置を検知するセンサにより、位置が変更されたか否かを確認できる。
また、定着ユニット40は、ローラ以外にベルトで構成されるものであっても良い。
【0045】
以上のように各カセットのカセット桶の位置を定着ローラ通過位置が同じにならないように変えることで、定着ローラに生じる傷を低減しつつ高品位な画像を記録用紙に印刷することができる。
【0046】
また、本発明は、定着ローラ、加圧ローラの傷低減に限定されるのではなく、感光ドラム、中間転写ベルト、転写ローラ、搬送ローラへの傷低減にも有効である。
【符号の説明】
【0047】
20 給紙ユニット
21a カセット
200 カセット桶
202 幅方向位置規制部材
203 カセット桶位置調整部材
204 カセット収納庫
100 CPU
40 定着ユニット
401 定着ローラ
402 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のサイズの用紙を収納し、給送する第1給送手段及び第2の給送手段と、
前記第1の給送手段或いは前記第2の給送手段から給送される用紙にトナー画像を形成する画像形成手段と、
一対の回転部材を有し、前記一対の回転部材の間に前記トナー画像が形成された用紙を通過させることによりトナー画像を用紙に定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置において、
前記第1の給送手段から給送される用紙と前記第2の給送手段から給送される用紙がそれぞれ前記回転部材を通過する位置が搬送方向に直交する方向において異なる様に、前記第1の給送手段と前記第2の給送手段における前記搬送方向に直交する方向の用紙の収納位置が異なり、
前記画像形成手段は、前記第2の給送手段から給送される用紙に画像形成するときの前記搬送方向に直交する方向の画像形成開始位置を、前記第1の給送手段から給送される用紙に画像形成するときの画像形成開始位置に比べて、前記第1の給送手段と前記第2の給送手段における用紙の収納位置の差に応じた量だけ異ならせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の給送手段から所定枚数の用紙を給送する毎に、前記第2の給送手段に切り替えて用紙を給送させる給送制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給送制御手段は、前記第2の給送手段から所定枚数の用紙を給送する毎に、前記第1の給送手段に切り替えて用紙を給送させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の給送手段は、それぞれ用紙を収納するカセット桶と、前記カセット桶を収納するカセット収納庫と、前記カセット収納庫における前記搬送方向に直交する方向の前記カセット桶の位置を調整するための調整部材を有し、前記第2の給送手段の調整部材の位置が前記第1の給送手段の調整部材の位置に対してずれて設定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−203333(P2011−203333A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68286(P2010−68286)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】