説明

画像形成装置

【課題】 プロセスユニットを取り付けたドロワケーシングを備えた画像形成装置において、プロセスユニットおよび定着器周囲の空気を効率よく排気ダクトに導入可能とする。
【解決手段】 ドロワケーシング21の後方でかつ定着器11の上方に排気ダクト23を設け、排気ダクト23の排気ファン25寄りの位置にドロワケーシング21側に開口した第1流入口23A、定着器11の上方において長手方向全長にわたった第2流入口23Bを設ける。ドロワケーシング21の帯電器7Bの近傍を、後壁部21Dに設けた連通口21Jを介して略直線状に第1流入口23Aと連通させる。これにより、定着器11周囲の空気を吸引しながら、プロセスユニット7周囲の空気も、排気ファン25に近い位置から排気ダクト23に効率よく吸入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロセスユニットを一体的に装置本体に対して挿抜可能とするためのドロワケーシングを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の発明では、ドロワケーシング(ドラムユニット)の装着方向前進側(引き出し方向上流側)にドロワケーシングを把持するための把持部を設けるとともに、この把持部の指掛け穴を利用してプロセスユニット周囲の空気を排気用のダクトに導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−72421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、画像形成装置の小型化を図りつつ、多くの部品を装置本体内に収納する必要があるため、装置本体内の各機器から排気ダクトに至る排気経路が複雑になってきている。このため、排気経路の通風抵抗(圧力損失)が大きくなり、排気効率を向上させることが難しくなってきている。特に、ドロワケーシングを備えた画像形成装置においては、プロセスユニットの周囲がドロワケーシングの壁面で覆われているので、通気性の悪化が問題となっている。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、ドロワケーシングを備えた画像形成装置において、プロセスユニット周囲の空気を効率よく排気ダクトに導入可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、記録シートに画像形成するためのプロセスユニット(7)と、複数のプロセスユニット(7)が取り付けられ、装置本体(2、3)に対して挿抜可能に装着されたドロワケーシング(21)と、ドロワケーシング(21)側に開口した流入口(23A)を有し、この流入口(23A)に流入した空気を装置本体(2、3)外に導くための排気ダクト(23)とを備え、ドロワケーシング(21)のうち流入口(23A)と対向する壁部(21D)の少なくとも一部には、この壁部(21D)を挟んでプロセスユニット(7)側と流入口(23A)側とを連通させる連通口(21J)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、本発明では、プロセスユニット(7)周囲の空気の多くは、連通口(21J)を経由して排気ダクト(23)の流入口(23A)側に流通するので、プロセスユニット(7)周囲の空気を効率よく排気ダクト(23)に導入可能とすることができる。
【0008】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドロワユニット19の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るドロワユニット19の装置本体に対する挿抜を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るドロワユニット19が装置本体に装着された状態を示す説明図である。
【図5】壁部21Dおよび排気ダクト23近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態はダイレクトタンデム方式の画像形成装置に本発明に係る画像形成装置を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置概要
画像形成装置1の装置本体内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、周知のごとく、プロセスユニット7、露光器9および定着器11等から構成されている。
【0011】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1には、ダイレクトタンデム方式のカラー画像形成装置であるため、用紙の搬送方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスユニット7が配設されている。
【0012】
4個のプロセスユニット7は、具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスユニット7K、イエロー用のプロセスユニット7Y、マゼンタ用のプロセスユニット7M、シアン用のプロセスユニット7Cである。そして、プロセスユニット7K〜7Cは、ドロワケーシング21に取り付けられてドロワユニット19を構成する。なお、ドロワユニット19の詳細は後述する。
【0013】
また、各プロセスユニット7K〜7Cは、収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造等は略同一である。具体的には、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光体7A、および感光体7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。感光体7Aは、ドラム状又はベルト状等各種のものを使用可能であるが、ここではドラム状のものを使用し、以下「感光ドラム」という。
【0014】
なお、各プロセスユニット7K〜7Cは、その各ユニットを構成する一部分(例えば、感光ドラム7Aや帯電器7B等)がドロワケーシング21に組み付けられ、その他の部分(例えば、現像ユニット等)がドロワケーシング21に対して着脱可能に取り付けられるようになっていてもよい。
【0015】
また、各プロセスユニット7K〜7Cを構成する各部分の全部がドロワケーシング21に組み付けられていてもよいし、各プロセスユニット7K〜7Cを構成する各部分が、各プロセスユニット7K〜7C毎に、ドロワケーシング21に対して一体的に着脱可能に取り付けられるようになっていてもよい。
【0016】
そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0017】
また、用紙を搬送する用紙搬送ベルトとしても機能する転写ベルト(以下、単にベルトと称する)13Aを挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、この転写ローラ15には、感光ドラム7Aに担持された現像剤像を用紙に転写させるための電圧が印加されている。
【0018】
なお、ベルト13Aは、駆動ローラ13Bおよび従動ローラ13C間に架け渡されて、これらローラ13B、13Cと共に回転する無端状のベルトであり、ベルト13A、駆動ローラ13B、従動ローラ13C、並びに両ローラ13B、13Cを支持するフレーム(図示せず。)等によりベルトユニット13が構成されている。
【0019】
そして、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像が、ベルト13Aにより搬送される用紙に転写されると、その現像剤像が転写された用紙は、ベルトユニット13よりも用紙の搬送方向下流側に配設された定着器11に搬送され、定着器11にて現像剤像が用紙に溶着(定着)される。その後、用紙は、その搬送方向が上方側に転向されて画像形成装置1の筐体3の上端面に設定された排紙トレイ3Aに排出される。
【0020】
また、定着器11は、用紙を搬送しながら加熱する加熱ローラ11A、および用紙を加熱ローラ11Aに押し付ける加圧ローラ11B等から構成されている。本実施形態では、ベルト13A上を搬送される用紙の上面側が画像形成面となるため、加熱ローラ11Aは加圧ローラ11Bの上方側に配設されている。
【0021】
なお、搬送される用紙の幅方向全域で、感光ドラム7、ベルト13A、転写ローラ15、加熱ローラ11Aおよび加圧ローラ11Bが用紙と接触するように、定着器11についても、搬送される用紙の幅方向全域で接触するように、用紙の幅方向、すなわち複数のプロセスユニットの配列方向と交差する方向に延びた形状となっている。帯電器7Bも感光ドラム7と対応して用紙の幅方向に延びた形状となっている。
【0022】
因みに、幅方向とは、用紙の搬送方向および厚み方向と直交する方向をいい、本実施形態では、画像形成装置1の左右方向と一致する。
また、ベルトユニット13より用紙の搬送方向上流側には、一対のレジストローラ17が設けられており、この一対のレジストローラ17は、ベルトユニット13に搬送される用紙の斜行を矯正するとともに、ベルトユニット13に突入するタイミングを制御する。一対のレジストローラ17は、用紙を挟持するように厚み両側から用紙に接触する。
【0023】
因みに、レジストローラ17は、その回転を一時的に停止又は逆転させて用紙の搬送を堰き止めるようにして用紙の斜行を矯正した後、再び、正転して用紙をベルトユニット13に向けて搬出することにより、用紙がベルトユニット13に突入するタイミングを制御する。
【0024】
また、ベルトユニット13の下方側には、給紙トレイ14が着脱自在に装置本体に装着されており、この給紙トレイ14に載置されている用紙は、フィーダ機構16により1枚ずつレジストローラ17に送出される。
【0025】
なお、ベルトユニット13と給紙トレイ14との間には、ベルト13Aに付着した現像剤等の付着物を回収するベルトクリーナ18が配設され、給紙トレイ14の下方側には、用紙の表裏両面に画像を形成する両面印刷時に、表裏いずれか一面目への画像形成が終了した用紙をレジストローラ17側に再搬送して二面目に画像を形成するための再搬送経路Lが設定されている。
【0026】
2.ドロワユニット
ドロワユニット19は、図2に示すように、4つのプロセスユニット7K〜7C、およびこれらを収納するドロワケーシング21等を備える。このドロワユニット19は、装置本体に対して挿抜可能に装着されている。このため、本実施形態では、図3に示すように、4つのプロセスユニット7K〜7Cを一体的に装置本体に対して挿抜することができる。
【0027】
すなわち、ドロワケーシング21は、全体として平面視略矩形の枠状をなすように一対の側壁部、前壁部21Eおよび後壁部21Dからなるケーシング本体21Aを備える。ケーシング本体21Aは、上面を開放し、その中に4つのプロセスユニット7を用紙の搬送方向に配列して備える。各プロセスユニット7の感光ドラム7Aおよび帯電器7Bは、用紙の搬送方向に対して直交する方向に長く延び、かつ前壁部21Eおよび後壁部21Dと平行に位置している。
【0028】
ドロワケーシング21は、装置本体における左右一対のフレーム2に設けられたレール(図示せず)により支持された状態で、ベルト13A上を搬送される用紙の搬送方向、換言すると複数のプロセスユニットの配列方向と略平行な方向(本実施形態では、前後方向)に移動可能に装置本体に取り付けられている。ドロワケーシング21は、この状態において前壁部21Eおよび後壁部21Dを移動方向において前後に位置させる。またドロワケーシング21は装置本体内の装着位置において、ベルト13Aを挟んで感光ドラム7Aを転写ローラ15と対向させる。
【0029】
筐体3の前面に設けたドア(図示せず。)を開放して、ドロワケーシング21を前方へ引き出した4つのプロセスユニット7が筐体3外に露出する抜出位置において、ドロワユニット19を装置本体から取り外すことができる。逆に、ドロワケーシング21を後方側に押し込むことによりドロワユニット19を装置本体に装着することができる。
【0030】
因みに、装置本体とは、一対のフレーム2およびそれを収容する筐体3等からなり、ドロワユニット19、ベルトユニット13等を含む画像形成部5や、給紙トレイ14、フィーダ機構16、レジストローラ17等を収容し支持するものである。
【0031】
なお、本実施形態では、プロセスユニット7のうち、現像剤が充填された収納部および感光ドラム7Aに現像剤を供給する現像ローラ等が設けられたカートリッジ部7Eが、ドロワケーシング21に対して着脱自在に装着されているので、カートリッジ部7Eのみを交換することにより、画像形成装置1に現像剤の補充をすることができる。
【0032】
また、図2に示すように、ケーシング本体21Aの前後両壁部21D、21Eには、把持部21B、21Cが設けられており、これらの把持部21B、21Cは、ドロワユニット19を装置本体に対して挿抜又は着脱する際にユーザがドロワケーシング21を把持するためのものである。
【0033】
すなわち、後壁部21Dの把持部21Bは、後壁部21Dの上端21Fより上方側に位置して幅方向(左右方向)に延びる棒状の取手部21G、および取手部21Gの長手方向両端側から壁部21D側に延びて壁部21Dと一体化された繋ぎ部21Hを有して略逆U字状に形成されており、後壁部21Dのうち取手部21G(把持部21B)に対応する上端部21F1は、把持部21Bが設けられていない部位の上端部21F2より低い位置に設定されている。
【0034】
また、後壁部21Dのうち把持部21B(繋ぎ部21H)と後壁部21Dとの連結部に対して幅方向端部側にずれた位置には、後壁部21Dを貫通してドロワケーシング21内外を連通させる連通口21J、21Kが設けられている。なお、後壁部21Dの上端は、感光ドラム7A、帯電器7Bよりも高い位置にある。
【0035】
一方、前壁部21Eの把持部21Cは、図4に示すように、前壁部21Eの壁面略中央に設けられ、下方側が開放された袋状のハンドル形状である。
3.画像形成装置内の換気
電子写真方式の画像形成部5では、帯電器7Bの帯電ワイヤ周囲でオゾンを発生し、このオゾンが滞留蓄積すると、画像形成に悪影響を与えるおそれがある。また、定着器11にて加熱された熱気が装置本体内で滞留すると、定着器11やその他の機器に熱損傷が発生するおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、ドロワユニット19(ドロワケーシング21)の装着方向先進側、つまり後壁部21Dと対向する部位であって、定着器11の上方側に、排気ダクト23を設けている。
【0037】
排気ダクト23は、図3に示すように、定着器11の長手方向と平行な方向(幅方向)、換言すると複数のプロセスユニット7の配列方向の一端側においてその一端側のドロワケーシング21の後壁部と略平行に延びる中空の筒状をなし、一対のフレーム2間に橋渡して固定されている。
【0038】
排気ダクト23の長手方向一端側(本実施形態では、右側)は、ドロワケーシング21と対向しない位置、すなわちドロワケーシング21の幅よりも外へ延び、右側のフレーム2を通して、外部に開口し、さらにその開口と対向する筐体3の部位に設けた排気口(図示せず)から装置本体外に開口している。排気ダクト23の右側フレーム2側の開口端には、排気ファン25が設けられ、その排気ファン25にて排気ダクト23内の空気を装置本体外に排出する。なお、排気ダクト23の長手方向他端側(左側)は、閉塞されている。
【0039】
装着位置にあるドロワケーシング21は、その後壁部21Dを排気ダクト23と対向させている。後壁部21Dの連通口21J、21Kと対向する排気ダクト23の部位には、ドロワケーシング21側に開口した第1流入口23Aが設けられている。本実施形態では、第1流入口23Aは、連通口21J、21Kのうち排気ファン25寄りの連通口21Jの少なくとも一部に対向する位置にのみ設けられ、その連通口21Jとは間隔をおいて斜め方向に対向している。
【0040】
そして、連通口21Jおよび第1流入口23Aは、図5に示すように、後壁部21Dの近傍に位置する帯電器7Bから連通口21Jに至る方向D1と、連通口21Jから第1流入口23Aに至る方向D2とが略直線状となるように構成されている。
【0041】
また、この第1流入口23Aには、空気中の塵埃を捕捉するとともに、帯電器7Bで発生したオゾンを分解又は捕捉するための第1フィルタ23B(図5参照)が設けられている。
【0042】
なお、本実施形態に係る帯電器7Bは、コロナ放電を行う帯電用ワイヤ7Fおよび帯電用ワイヤ7Fを挟んで感光ドラム7Aと反対側を覆うカバー7G等から構成され、感光ドラム7Aとカバー7Gとの間の空間は、帯電用ワイヤ7Fの長手方向の一端において送風ダクト(図示せず)に接続されている。その送風ダクトから送られた空気流により、帯電用ワイヤ7F周囲で発生したオゾンは、帯電器7Bのうちカバー7Gで覆われていない部位、たとえば露光器9に対し感光ドラム7Aを露出させる開口部7Hから帯電器7B(カバー7G)外に流出する。
【0043】
したがって、本実施形態における「帯電器7Bから連通口21Jに至る方向D1」とは、部位7Hから連通口21Jに至る方向となるが、仮に、帯電用ワイヤ7Fがカバー7Gで覆われていない場合には、帯電用ワイヤ7Fから連通口21Jに至る方向が「帯電器7Bから連通口21Jに至る方向D1」となる。
【0044】
また、排気ダクト23のうち定着器11の上方に対向する部位には、その長手方向(幅方向)に略全域に亘って開口した第2流入口23Cが設けられており、この第2流入口23Cには、装置本体内を浮遊している現像剤や塵埃等を捕捉する第2フィルタ23Dが設けられている。
【0045】
したがって、排気ファン25を動作させると、定着器11によって熱せられた空気を第2流入口23Cから吸引し、同時に4つのプロセスユニット7の上方の空間からもオゾンを含んだ空気を第1流入口23Aから吸引することができる。排気ダクト23に近いプロセスユニット7の帯電器7Bと第1流入口23Aとの間にドロワケーシング21の後壁部21Dが存在するが、その帯電器7B近傍のオゾンを含んだ空気は連通口21J、21Kを経て第1流入口23Aに達する。
【0046】
第1流入口23Aは排気ダクト23において排気ファン25に比較的近い位置にあるので、第2流入口23Cから吸引しながらでも、プロセスユニット7周囲の空気を比較的強い力で吸引することができ、効率よく定着器11およびプロセスユニット7周囲の空気を排出することができる。
【0047】
そして、排気ダクト23の下方側には、装置本体内の空間を定着器11側と空間とドロワユニット19側の空間とに仕切るように幅方向に帯板状に延びる仕切部23Eが設けられており、本実施形態では、仕切部23Eは排気ダクト23と共に一体成形されている。第2流入口23Cは、その仕切部23Eの下端よりも上方でかつ定着器11の上方に位置している。
【0048】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
(1)本実施形態では、ドロワケーシング21側に面して開口した第1流入口23Aが排気ダクト23に設けられ、ドロワケーシング21のうち第1流入口23Aと対向する壁部(後壁部)21Dの一部に、この壁部(後壁部)21Dを挟んでプロセスユニット7側と第1流入口23A側とを連通させる連通口21Jが設けられていることを特徴としている(図4および図5参照)。なお、この構成では、第1流入口23Aを排気ダクト23の幅方向略全域に設けてもよく、連通口21J、21Kを後壁部21Dの幅方向略全域に設けてもよい。また連通口21Jと第1流入口23Aとが互いに幅方向にずれた位置となるように設けてもよい。さらに、ドロワケージング21は、複数のプロセスユニット7の配列方向と平行に挿抜するだけでなく、それと直交する方向(本実施形態における左右方向又は上下方向)に挿抜するようにしてもよい。
【0049】
これにより、本実施形態では、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気の多くは、連通口21Jを経由して排気ダクト23の第1流入口23A側に流通するので(図5参照)、プロセスユニット7周囲の空気を効率よく排気ダクト23に導入することができる。
【0050】
(2)また、本実施形態では、上記(1)の構成において、壁部(後壁部)21Dには、ドロワケーシング21(ドロワユニット19)を把持するための把持部21Bが設けられており、さらに、連通口21Jは、壁部(後壁部)21Dのうち把持部21Bと壁部(後壁部)21Dとの連結部に対して水平方向(幅方向)にずれた位置に設けられていることを特徴としている(図2参照)。
【0051】
これにより、本実施形態では、把持部21B(繋ぎ部21H)と後壁部21Dとの連結部に対応する部位には、連通口21Jが設けられていない構成となるので(図2参照)、連結部の機械的強度が過度に低下してしまうことを防止できる。また、後壁部21Dに連通口21Jを設けることにより、後壁部21D自体の高さを著しく低くする必要がないので、ドロワケーシング21の強度を高く保つことができる。
【0052】
(3)また、本実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、排気ダクト23は、複数のプロセスユニット7の配列方向の一端側において、その一端側のドロワケーシング21の壁部(後壁部)21Dと略平行に延び、かつドロワケーシング21と対向しない位置へ延びた一端部を装置本体外に連通し、第1流入口23Aが壁部(後壁部)21Dと略平行な部分に設けられており、さらに、連通口21Jは、壁部(後壁部)21Dのうち第1流入口23Aと対向する部位に設けられていることを特徴としている(図4参照)。なお、上記(1)ないし(3)の構成では、第1流入口23Aを排気ファン25側に設けるだけなく、排気ファン25と反対側に設けてもよい。
【0053】
これにより、本実施形態では、定着器11から排紙トレイ3への用紙経路、および給紙トレイ14の存在にかかわらず、プロセスユニット7から装置本体外へ排気ダクト23を介して排気通路を確保することができる。また、連通口21Jから第1流入口23Aに至る空気流路を直線的な流路とすることができる。したがって、通風抵抗(圧力損失)を小さくすることができるので、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を効率よく排気ダクト23に導入することができる。
【0054】
(4)また、本実施形態では、上記(3)の構成において、排気ダクト23の装置本体外に連通する一端部には、排気ダクト23内の空気を装置本体外に排出するための排気ファン25が設けられ、前記連通口21Jは、前記ドロワケーシング21の前記壁部(後壁部)21Dのうち前記ファン(排気ファン)25寄りの部位に設けられ、前記流入口(第1流入口)23Aは、前記排気ダクト23において前記連通口21Jと対向する前記ファン(排気ファン)25寄りの部位に設けられていることを特徴としている(図4参照)。
【0055】
これにより、連通口21Jから流入口23Aを経て排気ファンに至る空気流路を短くすることができ、排気ファン25により、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を連通口21Jから第1流入口23A、排気ダクト23を経由して効率よく排出することができる。
【0056】
(5)また、本実施形態では、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、ドロワケーシング21は、複数のプロセスユニット7の配列方向と平行な方向に、装着位置と抜出位置とに移動可能であって、排気ダクト23は、ドロワケーシング21の装着方向前進側に配設されていることを特徴としている。
【0057】
これにより、ドロワケーシング21が移動可能であっても、装着位置において連通口21Jを排気ダクト23に対向させ、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を排出することができる。
【0058】
(6)また、本実施形態では、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、ドロワケーシング21に感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7Bが複数設けられており、さらに、複数の帯電器7Bのうち壁部(後壁部)21Dの近傍に位置する帯電器7Bから連通口21Jを経て前記流入口(第1流入口)23Aに至る方向とが略直線状であることを特徴としている。
【0059】
これにより、本実施形態では、帯電器7Bから第1流入口23Aに至る空気流路が略直線状となるので(図5参照)、通風抵抗(圧力損失)を小さくすることができ、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を効率よく排気ダクト23に導入することができる。
【0060】
(7)また、本実施形態では、複数のプロセスユニットを取り付けたドロワケーシング21と、複数の前記プロセスユニット7の配列方向の一端側に、その配列方向と交差する方向に延びる定着器11と、ドロワケーシング21よりも定着器11側において定着器11の上方側に配設された排気ダクト23とを備え、排気ダクト23は、定着器11の長手方向と平行な方向に延びて、その長手方向一端側が装置本体外に連通し、ドロワケーシング21に対向する部位に第1流入口23A、定着器11に対向する部位には、その長手方向に略全域に亘って開口した第2流入口23Cが設けられ、ドロワケーシング21のうち第1の流入口23Aと対向する壁部(後壁部)21Dの少なくとも一部には、この壁部(後壁部)21Dを挟んでプロセスユニット7側と前記流入口(第1流入口)23A側とを連通させる連通口21Jが設けられていることを特徴としている。
【0061】
なお、この構成では、第1流入口23Aを排気ダクト23の幅方向略全域に設けてもよく、連通口21J、21Kを壁部(後壁部)21Dの幅方向略全域に設けてもよい。また連通口21Jと第1流入口23Aとが互いに幅方向にずれた位置となるように設けてもよい。さらに、ドロワケージング21は、複数のプロセスユニット7の配列方向と平行に挿抜するだけでなく、それと直交する方向(本実施形態における左右方向又は上下方向)に挿抜するようにしてもよい。
【0062】
これにより、本実施形態では、定着器11の熱気を排出しながら、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気は、連通口21Jを経由して排気ダクト23の第1流入口23Aに流通するので、プロセスユニット7周囲の空気を効率よく排気ダクト23に導入することができる。また、定着器11から排紙トレイ3への用紙経路、および給紙トレイ14の存在にかかわらず、プロセスユニット7および定着器11から装置本体外へ排気ダクト23を介して排気通路を確保することができる。
【0063】
(8)また、本実施形態では、上記(7)の構成において、排気ダクト23の長手方向一端側には、排気ダクト内の空気を装置本体外に排出するためのファン(排気ファン)25が設けられており、さらに、第1の流入口23Aは、排気ダクト23の長手方向のうちファン(排気ファン)25寄りの部位に設けられていることを特徴としている。
【0064】
これにより、排気ダクト23は、排気ファン25寄りの位置でオゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を吸入するので、定着器11の熱気を排出しながらであっても、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気を比較的強い力で第1の流入口23Aへ導入することができる。
【0065】
(9)また、本実施形態では、複数のプロセスユニット7を取り付けたドロワケーシング21と、複数の前記プロセスユニット7の配列方向の一端側に、その配列方向と交差する方向に延びる定着器11と、ドロワケーシング21よりも定着器11側において定着器11の上方側に配設され定着器11の長手方向と平行な方向に延びた排気ダクト23と、排気ダクト23の装置本体外に連通する一端側に設けられた排気ファン25とを備え、排気ダクト23のドロワケーシング21に対向する部位でかつ排気ダクト23のうち排気ファン25寄りの部位には第1流入口23A、定着器11に対向する部位にはその長手方向に略全域に亘って開口した第2流入口23Cが設けられ、装置本体内に装着されたドロワケーシング21は、帯電器7B近傍を第1の流入口23Aと略直線状に連通させる位置にあることを特徴としている。
【0066】
なお、この構成では、ドロワケーシング21に連通口21Jを設けても、また設けなくてもよい。
これにより、本実施形態では、定着器11の熱気を排出しながらであっても、オゾンを含むプロセスユニット7周囲の空気は、排気ファン25寄りの位置で排気ダクト23の第1流入口23Aに流通するので、プロセスユニット7周囲の空気を比較的強い力で第1の流入口23Aへ導入し、効率よく排気ダクト23に導入することができる。また、定着器11から排紙トレイ3への用紙経路、および給紙トレイ14の存在にかかわらず、プロセスユニット7および定着器11から装置本体外へ排気ダクト23を介して排気通路を確保することができる。
【0067】
(10)また、本実施形態では、上記(7)ないし(9)のいずれかの構成において、ドロワケーシング21を一対のフレーム2に移動可能に支持し、排気ダクト23を一対のフレーム2間に橋渡して配設し、その長手方向一端を一方のフレーム2を通して装置本体外に開口していることを特徴としている。
【0068】
これにより、定着器11から排紙トレイ3への用紙経路、および給紙トレイ14の存在にかかわらず、ドロワケーシング21を支持する一対のフレーム2間に排気ダクト23を橋渡して支持し、プロセスユニット7および定着器11から装置本体外への排気通路を確保することができる。
【0069】
(11)また、本実施形態では、上記(7)ないし(10)のいずれかの構成において、排気ダクト23は、定着器11とドロワケーシング21との間を仕切るように長手方向に延びる仕切部23Eを備え、第2の流入口23Bは、前記仕切部23Eの下端よりも上方でかつ前記定着器11の上方に位置していることを特徴としている。
【0070】
これにより、定着器11の熱がドロワケーシング21やプロセスユニット7に対して影響を与えるのを少なくすることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、排気ファン25を軸流ファン(JIS B 0132番号1012等参照)にて構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遠心ファン(JIS B 0132 番号1004等参照)や横流ファン(JIS B 0132 番号1017等参照)等のその他ファンにて排気ファン25を構成してもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、色毎の現像剤像を搬送される用紙に直接的に重ね合わせながら転写したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、中間転写体としての中間転写ベルト上で色毎の現像剤像を重ね合わせた後、この中間転写ベルトに形成された画像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置にも適用できる。
【0072】
また、上述の実施形態では、把持部21B、21Cは、ドロワケーシング21に不動状態で一体化されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、把持部21B、21Cをドロワケーシング21に対して可動、例えば、折りたたみ自在としてもよい。
【0073】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排紙トレイ、5…画像形成部、
7…プロセスユニット、7A…感光ドラム、7B…帯電器、9…露光器、
11…定着器、11A…加熱ローラ、11B…加圧ローラ、13…ベルトユニット、
13A…転写ベルト、15…転写ローラ、17…レジストローラ、
19…ドロワユニット、21…ドロワケーシング、21A…ケーシング本体、
21B、21C…把持部、21D…後壁部、21E…前壁部、21J…連通口、
23…排気ダクト、23A…第1流入口、23B…第1フィルタ、
23C…第2流入口、23D…第2フィルタ、25…排気ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
記録シートに画像形成するためのプロセスユニットと、
複数の前記プロセスユニットが取り付けられ、装置本体に対して挿抜可能に装着されたドロワケーシングと、
前記ドロワケーシング側に開口した流入口を有し、この流入口に流入した空気を前記装置本体外に導くための排気ダクトとを備え、
前記ドロワケーシングのうち前記流入口と対向する壁部の少なくとも一部には、この壁部を挟んで前記プロセスユニット側と前記流入口側とを連通させる連通口が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記壁部には、前記ドロワケーシングを把持するための把持部が設けられており、
さらに、前記連通口は、前記壁部のうち前記把持部と前記壁部との連結部に対して水平方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排気ダクトは、複数の前記プロセスユニットの配列方向の一端側において、その一端側の前記ドロワケーシングの前記壁部と略平行に延び、かつ前記ドロワケーシングと対向しない位置へ延びた一端部を前記装置本体外に連通し、前記流入口を、前記壁部と略平行な部分に設けており、
さらに、前記連通口は、前記壁部のうち前記流入口と対向する部位に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排気ダクトの前記一端部には、前記排気ダクト内の空気を前記装置本体外に排出するためのファンが設けられ、
前記連通口は、前記ドロワケーシングの前記壁部のうち前記ファン寄りの部位に設けられ、前記流入口は、前記排気ダクトにおいて前記連通口と対向する前記ファン寄りの部位に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ドロワケーシングは、複数の前記プロセスユニットの配列方向と平行な方向に、装着位置と抜出位置とに移動可能であって、
前記排気ダクトは、前記ドロワケーシングの装着方向前進側に配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスユニット又は前記ドロワケーシングには、感光体を帯電させる帯電器が複数設けられており、
さらに、複数の前記帯電器のうち前記壁部の近傍に位置する帯電器から前記連通口を経て前記流入口に至る方向とが略直線状であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
記録シートに画像形成するための複数のプロセスユニットと、
複数の前記プロセスユニットが配列して取り付けられ、装置本体に対して挿抜可能に装着されたドロワケーシングと、
前記装置本体内の、複数の前記プロセスユニットの配列方向の一端側に、その配列方向と交差する方向に延びて配設され、前記プロセスユニットにて現像剤像が転写された記録シートを加熱して現像剤像を記録シートに定着させる定着器と、
前記ドロワケーシングよりも前記定着器側において前記定着器の上方側に配設され、かつ、前記定着器の長手方向と平行な方向に延びて、その長手方向一端側が前記装置本体外に連通した排気ダクトとを備え、
前記排気ダクトは、前記ドロワケーシングに対向する部位に第1の流入口、および前記排気ダクトのうち前記定着器に対向する部位にその長手方向に略全域に亘って開口した第2の流入口を有し、
前記ドロワケーシングのうち前記第1の流入口と対向する壁部の少なくとも一部には、この壁部を挟んで前記プロセスユニット側と前記流入口側とを連通させる連通口が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記排気ダクトの前記長手方向一端側には、前記排気ダクト内の空気を前記装置本体外に排出するためのファンが設けられており、
さらに、前記第1の流入口は、前記排気ダクトの前記長手方向のうち前記ファン寄りの部位に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
記録シートに画像形成するため、感光体およびその感光体を帯電させるための帯電器をそれぞれ含む複数のプロセスユニットと、
複数の前記プロセスユニットが配列して取り付けられ、装置本体に対して挿抜可能に装着されたドロワケーシングと、
前記装置本体内の、複数の前記プロセスユニットの配列方向の一端側に、その配列方向と交差する方向に延びて配設され、前記プロセスユニットにて現像剤像が転写された記録シートを加熱して現像剤像を記録シートに定着させる定着器と、
前記ドロワケーシングよりも前記定着器側において前記定着器の上方側に配設され、かつ、前記定着器の長手方向と平行な方向に延びて、その長手方向一端側が前記装置本体外に連通した排気ダクトと、
前記排気ダクトの前記長手方向一端側に設けられ、前記排気ダクト内の空気を前記装置本体外に排出するための排気ファンとを備え、
前記排気ダクトは、前記ドロワケーシングに対向する部位でかつ前記排気ダクトの前記長手方向のうち前記ファン寄りの部位に設けられた第1の流入口、および前記排気ダクトのうち前記定着器に対向する部位にその長手方向に略全域に亘って開口した第2の流入口を有し、
前記装置本体内に装着された前記ドロワケーシングは、前記帯電器近傍を前記第1の流入口と略直線状に連通させる位置にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記ドロワケーシングを複数の前記プロセスユニットの配列方向と平行な方向に装着位置と抜出位置とに移動可能に支持する一対のフレームを備え、
前記排気ダクトは、前記ドロワケーシングの装着方向前進側に前記一対のフレーム間に橋渡して配設され、その長手方向一端を一方の前記フレームを通して前記装置本体外に開口していることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記排気ダクトは、前記定着器と前記ドロワケーシングとの間を仕切るように前記長手方向に延びる仕切部を備え、前記第2の流入口は、前記仕切部の下端よりも上方でかつ前記定着器の上方に位置していることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237634(P2011−237634A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109377(P2010−109377)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】