説明

画像形成装置

【課題】非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置において、転写ローラの端部や画像形成装置内のトナー汚染を抑えつつ、また、幅広紙を通紙した場合でも、長手端部側の余白部や裏側の汚れを抑えつつ、画像領域においては、反転カブリの発生を防止して、良好な画質を実現する。
【解決手段】非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置において、像担持体1に対する画像形成において、像担持体の長手方向に関して、少なくとも、現像剤供給部材4の長手幅Fの端部から現像開口部33の長手幅Eの端部に至る領域Nの暗部電位の絶対値をV1、画像領域Hの暗部電位の絶対値をV2としたとき、V1>V2、であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式を用いて像担持体に形成した静電潜像を現像装置を用いて可視化して顕画像を形成する画像形成装置に関する。ここで、電子写真方式の画像形成装置としては、例えば複写機、プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、ファクシミリ装置、及び、ワードプロセッサ等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体である電子写真感光体を帯電した後に画像情報に応じて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像に応じて現像手段により現像剤を像担持体に供給して現像剤画像とする。次いで、この現像剤画像を転写手段によって記録材、例えば、記録用紙、OHPシート、布などに転写した後、定着手段によって現像剤画像を記録材に定着して記録画像を得ている。例えば、帯電手段として接触帯電装置を使用し、現像手段として非磁性一成分接触現像装置を用いた画像形成装置がある(特許文献1)。
【0003】
接触現像方式は、像担持体と現像剤担持体間にギャップを作り、その間に交番電界を形成してトナーを飛翔させて現像する所謂ジャンピング現像方式とは異なり、像担持体と現像剤担持体を接触させて現像を行う。より具体的には、像担持体と現像剤担持体とを回転させ、適当な相対周速差で押圧もしくは接触させることで、現像剤担持体上の現像剤により像担持体上の静電潜像を現像している。そのため現像工程時に発生する現像剤の飛散が少ない点で優れ、かつ像担持体上の静電潜像に対して忠実に現像剤画像を形成できることから近年実用化されてきている。
【0004】
非磁性一成分接触現像装置には、現像剤担持体(以下、現像ローラと記す)に接触して回転して非磁性一成分現像剤(以下、トナーと記す)を供給(塗布)するための現像剤供給部材(以下、供給ローラと記す)が配設されている。供給ローラはトナーを内包することが可能なスポンジなどの弾性部材で構成されている。供給ローラは現像ローラに対してトナーを供給するだけでなく、現像時に現像されずに現像ローラ上に残った現像残トナーを掻き取って、現像ローラをリフレッシュさせる役割もある。また、現像ローラの両端部とそれぞれその側の現像容器側壁の内面との間には端部シールが側壁の内面に貼り付けられて配設されている。端部シールは現像ローラの端部とオーバーラップすることで、現像ローラの両端部とそれぞれその側の現像容器側壁の内面との間からの現像剤の漏れを防止している。この場合、供給ローラの端部と端部シールが接触していると、供給ローラ端部のスポンジ部分の削れを引き起こすことがある。そこで、供給ローラの長手幅は現像ローラの長手幅よりも短くして、供給ローラの両端部の端面とそれぞれその側の端部シールとの間に隙間を設けて供給ローラの端部と端部シールとを非接触状態にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−092250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の隙間のために、現像ローラ上には、現像ローラと供給ローラが接触せずにトナーが現像ローラにコートされる部分ができる。この部分では、供給ローラによって現像ローラ上のトナーが掻き取れずトナーが現像ローラ上に残留し、印刷を進めていくに連れて、現像時に地カブリが発生することがある。また、このカブリトナーが転写ローラを汚染したり、そのトナーが飛散して、画像形成装置本体内を汚してしまうことがある。また、ノビサイズ等の幅広紙を通紙した場合、紙の余白部や裏面をトナーで汚してしまうことがある。像担持体上の暗部の帯電電位と現像バイアスとの差分すなわちVbackを大きくすることによって、像担持体端部の地カブリを防止することが可能となる。しかし、そうした場合、画像領域において、Vbackが大きくなりすぎるために、通常のトナーの極性とは逆の極性のトナーが白地部に付着するいわゆる「反転カブリ」が発生してしまうことがあった。
【0007】
本発明は、このような非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置における技術的課題に鑑みてなされたものである。その目的は、転写ローラの端部や画像形成装置内のトナー汚染を抑えつつ、画像領域においては、反転カブリの発生を防止して、良好な画質を実現することにある。また、他の目的は、幅広紙を通紙した場合でも、長手端部側の余白部や裏側の汚れを抑えつつ、画像領域においては、反転カブリの発生を防止して、良好な画質を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電するための帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された像担持体に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、前記静電潜像を可視像とするための現像手段であって、非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記像担持体に接触して前記現像剤を供給するための現像剤担持体と、前記現像容器に設けられ、前記現像剤担持体に前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像開口部と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記現像剤担持体に接触して前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像剤供給部材であって、長手幅が前記現像開口部の長手幅よりも短い現像剤供給部材と、を備えた現像手段と、を有する画像形成装置において、前記像担持体に対する画像形成において、像担持体の長手方向に関して、少なくとも、前記現像剤供給部材の長手幅の端部から前記現像開口部の長手幅の端部に至る領域の暗部電位の絶対値をV1、画像領域の暗部電位の絶対値をV2としたとき、V1>V2、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非画像領域においては、地カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行い、画像領域内においても、反転カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行うので、画像領域内のカブリも抑えることができる。そのため、転写ローラや画像形成装置本体の汚染を防止しつつ、画像領域内のカブリの発生を抑制し、良好な画質を実現することができる。また、幅広紙を通紙した場合でも、長手端部側の余白部や非画像領域においては、地カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行い、画像領域内においても、反転カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行うので、画像領域内のカブリも抑えることができる。そのため、長手端部側の余白部や裏側の汚れを抑えつつ、画像領域内のカブリの発生を抑制できるので、良好な画質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は実施例1における画像形成装置の概略構成図、(b)は部分的な拡大図である。
【図2】(a)は現像装置の現像開口、現像ローラ、供給ローラ、端部シールの長手端部の配置説明図、(b)は各構成部材の長手幅、及び長手方向に関するドラム上の電位分布を説明するための図である。
【図3】(a)は補助帯電ローラを配設した実施例2の画像形成装置の部分図、(b)は各構成部材の長手幅、及び長手方向に関するドラム上の電位分布を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面及び実施例を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
【0012】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略構成
図1の(a)は本実施例における画像形成装置100の概略構成図、(b)は部分的な拡大図である。この画像形成装置100は乾式電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンタである。画像形成装置100はホスト装置300から制御回路部(CPU:制御手段)200に入力する画像情報(電気的画像信号)に基づいてシート状の記録材Pに画像形成を行う。ホスト装置300はパーソナルコンピュータ・イメージリーダー等である。制御回路部200はホスト装置300や画像形成装置の操作パネル(不図示)との間で各種の電気的情報の授受をする。また、制御回路部200は画像形成装置100の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0013】
画像形成装置内部のほぼ中央部には、静電潜像が形成される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1が回転可能に支持されて配設されている。また、このドラム1の周囲には、ドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電手段2、露光手段7、現像手段30、転写手段11、クリーニング手段8がドラム回転方向に沿って順次に配設されている。本実施例において、ドラム1は、直径24mmのアルミシリンダーの外周面に有機感光体(OPC)が塗布されている。感光体は、有機感光体に限られるものではなく、a−Si(アモルファスシリコン)、CdS、Seなどであってもよい。感光体は、帯電された面が露光されることで露光領域の表面電位の絶対値が小さくなる特性を有する。本実施例において、ドラム1は、画像形成スタート信号に基づいて駆動機構(不図示)により矢印R1の時計方向に周速135mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0014】
帯電手段2は、回転しているドラム1の外周面を所定の極性・電位に一様に帯電する手段である。本実施例において、帯電手段2は、直径が10mmの接触帯電ローラ(導電性弾性ローラ:接触帯電装置)である。帯電ローラ2は、ステンレスの円筒体である芯金2aの周囲に、基層2b1としてウレタンゴム、表層2b2としてフッ素系樹脂からなる弾性層2bを設けた多層構成とした。芯金2aの材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を用いても良い。弾性層2bの基層2b1としては、NBR、EPDM、シリコーンゴムなどのゴム材を用いても良い。また、弾性層2bの表層2b2としては、エーテルウレタンやナイロンなどを用いても良い。帯電ローラ2は、ドラム1にほぼ並行に配列されてドラム1に対して所定の押圧力で接触させて配設されていて、ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2には所定の制御タイミングにて、電源装置(帯電バイアス印加手段)E2から所定の帯電バイアスが印加される。これにより、回転しているドラム1の外周面が所定の極性・電位に一様に帯電されて、ドラム面に所定の暗部電位Vdが形成される。本実施例においては、電源装置E2から帯電ローラ2に−1300Vの直流の帯電バイアスを印加している。これによって、ドラム面に暗部電位Vd=−750Vが形成される。本実施例においては、帯電バイアスとして、直流バイアスを用いたが、帯電バイアスとして、直流成分に交流成分を重畳したバイアスを用いてもよい。
【0015】
露光手段7は上記のように帯電処理されたドラム面に画像露光して、ドラム面に露光パターンに対応した静電潜像を形成する手段である。本実施例においては、露光手段7はレーザービームスキャナ装置としている。このスキャナ装置7は、入力信号に対応した画像情報信号に応じて半導体レーザー(図示せず)が発光する。そのレーザー光を高速回転しているポリゴンミラー(図示せず)で反射し、結像レンズ群(図示せず)を通って、ドラム1に照射(レーザービーム走査露光)Lする。このレーザー光照射Lによって、ドラム面には所定の明部電位が形成される。即ち、ドラム面には走査露光した画像情報信号に対応した静電潜像が形成される。そして、その静電潜像が現像手段としての現像装置30により現像剤画像(トナー画像)として可視像化される。ここで、静電潜像形成方式としては、バックグランド露光方式と、イメージ露光方式がある。バックグランド露光方式は、帯電したドラム面を画像情報のバックグランド部に対応して露光して静電潜像を形成する。イメージ露光方式は、帯電したドラム面を画像情報部に対応して露光して静電潜像を形成する。バックグランド露光方式による静電潜像はバックグランド部以外の部分を現像する正規現像方式により可視像化される。イメージ露光方式による静電潜像は露光部分を現像する反転現像方式により可視像化される。本実施例においては、イメージ露光方式により静電潜像を形成し、ドラム1の帯電極性(本実施例においては負極性)と同極性に帯電した現像剤(ネガトナー)を用いて露光部分を現像する反転現像方式の接触現像装置30により可視像化している。即ち、ドラム1の帯電電荷と同極性(負極性)の現像剤がドラム上の負極性の帯電電荷が減衰した部分(画像部)に付着する。現像装置30については(2)項で詳述する。
【0016】
上記のようにしてドラム面に形成された現像剤画像が、ドラム1と転写手段としての転写ローラ11との当接部である転写領域(転写ニップ)において記録材Pに対して順次に転写される。転写ローラ11はEPDMスポンジ等からなる導電性弾性ローラであり、ドラム1にほぼ並行に配列されてドラム1に対して所定の押圧力で接触させて配設されていて、ドラム1の回転に順方向R11にドラム1の回転速度とほぼ同じ速度で回転している。記録材Pは画像形成装置内部の下部に配設されている記録材カセット18に積載収納されている。そして、所定の制御タイミングにて給送ローラ17が駆動されることでカセット18内から記録材Pが1枚分離給送される。給送された記録材は、搬送ローラ21、レジストローラ22を有する搬送路23を通って転写領域へ、ドラム上の現像剤画像が転写領域に至るのに同期して搬送される。記録材Pが転写領域を挟持搬送されている間、転写ローラ11には電源装置(転写バイアス印加手段)E11から、現像剤の帯電極性とは逆極性の所定の転写バイアスが印加される。そして、転写領域に形成される転写電界によりドラム面の現像剤画像が記録材Pの面に静電転写される。転写領域を通った記録材Pはドラム面から分離され、搬送路24を通って定着装置12に導入される。記録材上の現像剤画像は定着装置12に備えられる定着手段(ヒートローラ)12aによる加熱、及び、加圧手段(加圧ローラ)12bによる加圧を受けて、記録材面に固着画像として定着される。そして、定着装置12を出た記録材Pは出口25から排出トレイ26上に画像形成物(プリント)として搬出される。また、記録材分離後のドラム面に残留した転写残トナーは、ブレード状のクリーニング部材8aを備えるクリーニング装置(クリーニング手段)8によって除去されて廃現像剤容器(廃トナー容器)8bに収容される。クリーニングされたドラム1は繰り返して画像形成動作に供される。
【0017】
(2)現像装置30
本実施例における現像手段である現像装置30は、現像剤として非磁性一成分現像剤を用い、現像剤担持体を像担持体に当接させ、現像剤を像担持体と接触させた状態で静電潜像を反転現像する、非磁性一成分接触現像方式、反転現像方式の装置である。この現像装置30は、負帯電性の非磁性一成分現像剤(トナー)tを収容するための現像容器(トナー収容部)31を有する。現像剤としては、転写性に優れた球形のトナーが用いられている。また、現像容器31に回転可能に配設されていて、像担持体としてのドラム1に接触してドラム1に形成された潜像を現像剤画像として現像する現像剤担持体としての現像ローラ3を有する。現像ローラ3の回転軸線はドラム1の回転軸線に対してほぼ並行である。また、現像容器31に回転可能に配設されていて、現像ローラ3に接触して現像ローラへ現像剤を供給する現像剤供給部材としての現像剤供給ローラ4を有する。供給ローラ4の回転軸線は現像ローラ3の回転軸線に対してほぼ並行である。また、現像容器31に配設されていて、供給ローラ4により現像ローラ3に供給された現像剤を規制して現像ローラ3の表面に現像剤の薄層を形成する現像剤規制部材(層厚規制部材)としての現像ブレード5を有する。また、現像容器31に回転可能に配設されていて、現像容器内の現像剤tをほぐし、さらに現像剤tを供給ローラ4に搬送するための現像剤攪拌・搬送部材6を有する。また、図2の(a)のように、現像ローラ3の両端部とそれぞれその側の現像容器側壁31aの内面との間には端部シール32が側壁31aの内面に貼り付けられて配設されている。端部シール32は現像ローラ3の端部とオーバーラップすることで、現像ローラ3の両端部とそれぞれその側の現像容器側壁31aの内面との間からの現像剤の漏れを防止している。現像ローラ3の両端部側の端部シール32・32の間が現像ローラ3に現像剤が供給される現像開口部33となる。供給ローラ4の端部と端部シール32が接触していると、供給ローラ端部のスポンジ部分の削れを引き起こすことがある。そこで、供給ローラ4の長手幅Fは現像開口部33の長手幅Eよりも短くして、供給ローラ4の両端部の端面とそれぞれその側の端部シール32との間に隙間αを設けて供給ローラ4の端部と端部シール32とを非接触状態にしている。現像開口部33の長手幅Eは、現像ローラ3の長手幅Cよりも短かく、供給ローラ4の長手幅Fよりも上記の隙間α・αを形成する分だけ長い。
【0018】
本実施例において、現像ローラ3は、ステンレスの芯金3aの周囲に、基層3b1としてのウレタンゴム、その上の表層3b2としてのカーボンを混ぜたウレタンゴムからなる弾性層3bを設けた、直径が16mmの多層構成ローラとした。しかし、この限りではなく、芯金3aとして、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属の円筒体を用い、弾性層3bの基層3b1はNBR、EPDM、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材からなるものを用いても良い。また、表層3b2はエーテルウレタンやナイロンなどから構成されていても良い。現像ローラ3は所定の当接圧にてドラム1に当接しており、周速160mm/secで矢印R3方向(ドラム1の回転方向に順方向)に回転駆動される。また、現像ローラ3には電源装置(現像バイアス印加手段)E3によって、−300Vの直流の現像バイアスが印加される。供給ローラ4は弾性発泡体からなる弾性ローラであり、本実施例においては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属の芯金4aの周囲に弾性層4bとしてウレタンフォームを設けた、直径が16mmのスポンジローラである。供給ローラ4は所定の当接圧にて現像ローラ3に当接しており、周速160mm/secで矢印R4方向に回転している。供給ローラ4の回転方向は現像ローラ3との当接部において、現像ローラ3の回転方向と逆方向である。これにより、供給ローラ4は、現像ローラ3に対して現像剤を供給する役目をする共に、現像時に現像されずに現像ローラ上に残った現像剤を掻き取って現像ローラをリフレッシュする役目もする。現像剤攪拌・搬送部材6は矢印R6方向に所定の速度で回転している。現像ブレード5は、現像ローラ3と供給ローラ4の当接部よりも現像ローラ回転方向下流側で、ドラム1と現像ローラ3の当接部(現像領域、現像ニップ)よりも現像ローラ回転方向上流側において、現像ローラ3を加圧するように設けられている。供給ローラ4によって、現像ローラ3上に供給された現像剤は、現像ローラ3とブレード5との当接部分にて層厚を規制され、かつ、塗布されて現像ローラ3上に現像剤の薄層が形成される。更に、このときの現像ローラ3及び現像ブレード5のそれぞれの表面との摩擦によって、現像剤には現像に供するのに十分な電荷が付与される。また、ブレード5には、電源装置(ブレードバイアス印加手段)E5によって、現像ローラ3に印加される現像バイアスと極性が同じ−500Vの直流のブレードバイアスが印加される。現像ブレード5は、厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板の弾性規制部材で構成されている。現像ブレード5は、その他、リン青銅製やアルミニウム製等の金属薄板でも良い。また、現像ブレード5の表面を、絶縁層としてポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂等の薄膜で被覆しても良い。引き続く現像ローラ3の回転に伴って、現像ローラ3上の現像剤の薄層は、ドラム1と現像ローラ3との当接部である現像領域へと搬送され、現像ローラ3上の現像剤がドラム1に接触した状態で潜像の現像に供される。即ち、電源装置E3によりドラム1と現像ローラ3との間に現像電界が形成されており、その現像電界の作用により現像ローラ3上の現像剤はドラム1上に転移し、ドラム表面の静電潜像に対応して現像剤画像を形成し、静電潜像を可視化する。また、現像には寄与せず現像ローラ上に更に担持されたまま、引き続く現像ローラの回転により現像容器31内に持ち運ばれた現像剤は、現像ローラ3と供給ローラ4との接触部において供給ローラ4による摺擦で現像ローラ3上から掻き取られる。そして、掻き取られた現像剤の一部は、新たに供給ローラ4上に供給された現像剤と共に再び供給ローラ4によって現像ローラ3へと供給され、残りは現像容器31内の現像剤溜まり部へと戻される。また、ドラム1と現像ローラ3の当接部よりも現像ローラ回転方向下流側で、現像ローラ3と供給ローラ4の当接部よりも現像ローラ回転方向上流側には吹き出し防止シート15が設けられている。このシート15は現像ローラ3と現像容器底面との間からの現像剤の飛散を防止する。
【0019】
(3)長手配置
次に、上記画像形成装置の長手配置について説明する。ここで、画像形成装置及び現像装置の構成部材に関して、長手、或いは長手方向、或いは長手幅とは、像担持体であるドラム1の回転軸線方向に平行な方向、或いはその方向の寸法である。図2の(b)は、本実施例における、ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ3、通紙可能領域、現像開口部33、供給ローラ4、の長手配置模式図、及び長手方向に関するドラム上の電位分布を説明するための図である。Aはドラム1の長手幅、Bは帯電ローラ2の長手幅、Cは現像ローラ3の長手幅、Dは通紙可能領域幅、Eは現像開口部33の長手幅、Fは供給ローラ4の長手幅である。A>B>C>D>E>Fの長手幅関係になっている。現像開口部33と現像ローラ3と供給ローラ4の長手幅の関係は、長い方から、現像ローラ3>現像開口部33>供給ローラ4の順になっている。これは、図2の(a)で説明したように、現像ローラ3の端部と現像容器側壁31aとの間に端部シール32を配設して現像剤の漏れを防止するためと、供給ローラ4の端面と端部シール32との接触防止のために両者間に隙間αを設けるためである。Nは上記の隙間αの位置に対応している現像ローラ領域である。この領域Nは、現像開口部33の長手幅Eの内側に位置しているので現像剤が供給されるけれども、供給ローラ4の長手幅Fの外側であるので現像ローラ3上の現像剤が供給ローラ4によって掻き取られない領域である。即ち、現像ローラ3の上記の領域Nは、隙間αの形成のために、現像ローラ3と供給ローラ4が接触せずに、現像剤が現像ローラにコートされる部分である。この領域Nでは、供給ローラ4によって現像ローラ上の現像剤が掻き取られず現像剤が現像ローラ上に残留する。そのために、印刷を進めていくに連れて、現像時に地カブリが発生することがある。特に、このカブリ現像剤(カブリトナー)が転写ローラ11を汚染したり、その現像剤が飛散して、画像形成装置本体内を汚してしまうことがある。また、ノビサイズ等の幅広紙を通紙した場合、紙の余白部や裏面を現像剤で汚してしまうということがある。
【0020】
本実施例においては、上記の問題を解消するために、ドラム1に対する画像形成において、画像領域Hに対して領域Nを含む非画像領域Iの電位を高くする。即ち、ドラム1の長手方向に関して、少なくとも、供給ローラ4の長手端部から現像開口部33の長手端部に至る領域Nの暗部電位の絶対値をV1、画像領域Hの暗部電位の絶対値をV2としたとき、V1>V2であることを特徴とする。本実施例においては、画像領域内では、ドラム1に対して帯電ローラ2によって絶対値がV1となる暗部電位を形成し、その後、露光手段7によって絶対値がV2となる暗部電位を形成している。本実施例における印加されるバイアス及び電位に関して、図2の(b)を用いて説明する。本実施例では、画像領域幅Hとして、現像ローラ3と供給ローラ4の当接している長手領域(=供給ローラ4の長手幅F)とし、非画像領域Iとしては長手方向に関して画像領域幅Hの外側の領域とした。従って、非画像領域Iには上記の領域Nが含まれる。まず、帯電ローラ2には、電源装置E2によって−1300Vの直流の帯電バイアスが印加されている。これによって、ドラム1上には暗部電位Vd=−750Vが形成される(図2の(b)中の[1])。また、ドラム1の表面には、レーザービームスキャナ装置7によって、レーザービームLが照射されて静電潜像が形成される。画像領域幅Hの印字部分(黒地部)においては、レーザー光が照射されることによって、ドラム1上には明部電位Vl=−100Vが形成される。そして、非印字部、即ち印字しない部分(白地部)においても、弱露光(バックグラウンド露光)を行う。これによって、印字しない部分(白地部)のドラム電位は帯電直後には暗部電位Vd=−750Vであったものが、弱露光後電位Vd’=−450Vとなる(図2の(b)中の[2])。即ち、本実施例においては、画像領域Hの領域内では、帯電ローラ2によって絶対値がV1となる暗部電位Vdを形成し、その後、露光装置7によって絶対値がV2となる暗部電位をVd’を形成している。電源装置E3より現像ローラ3に印加される現像バイアスはVdc=−300Vである。暗部電位(弱露光後電位)と現像バイアスとの差であるVbackは、画像領域Hにおいては、Vback=Vdc−Vd’=150Vである。また、非画像領域Iにおいては、Vback=Vdc−Vd=450Vとなる。即ち、Vbackは画像領域Hよりも非画像領域Iの方が大きくなっている(図2の(b)中の[3])。
【0021】
上記のように、本実施例においては、ドラム1に対する画像形成においては、画像領域における白地部においても弱露光(バックグラウンド露光)することで、ドラム1上の長手での電位を変えて、長手で異なるVbackにして現像する。この設定で、画像形成を行ったところ、現像ローラ3の上記領域Nにおける地カブリが抑制され、転写ローラ11も汚れることは無く、画像形成装置本体内のトナー汚れを防止することができた。また、印刷する用紙内の白地部にもカブリの発生は無かった。また、幅広サイズ紙を通紙し画像形成を行ったところ、端部のカブリや裏汚れの発生もなく、画像部の白地部においてもカブリの発生はなく良好な画質を実現することができた。
【0022】
即ち、非画像領域Iにおいては、地カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行い、画像領域内においても、反転カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行ので、画像領域内のカブリも抑えることができる。そのため、転写ローラや画像形成装置本体の汚染を防止しつつ、画像領域内のカブリの発生を抑制し、良好な画質を実現することができる。また、幅広紙を通紙した場合でも、長手端部側の余白部や非画像領域Iにおいては、地カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行い、画像領域内においても、反転カブリの発生を防止できる暗部電位設定を行う。これにより、画像領域内のカブリも抑えることができる。そのため、長手端部側の余白部や裏側の汚れを抑えつつ、画像領域内のカブリの発生を抑制できるので、良好な画質を実現することができる。
【0023】
[実施例2]
上記の実施例1では、画像領域Hで弱露光(バックグラウンド露光)することによって、相対的に領域Nを含む非画像領域Iのドラム電位を上げる手段としたが、この限りではなく、別途、非画像領域Iの電位を上げる手段を設けても良い。本実施例は、その別途の手段例であり、補助帯電部材を用いて、画像領域Hに対して非画像領域Iの電位を高くすることを特徴とする。本実施例においては、実施例1の画像形成装置100に対して、図3の(a)ように、補助帯電部材としての補助帯電ローラ2Aが追加されている。補助帯電ローラ2Aは直径が6mmでドラム1に接触し、ドラム1の回転に従動して矢印R16の方向に回転する。補助帯電ローラ2Aは、ドラム1の長手方向両端側の、領域Nを含む非画像領域Iに対応して存在しており、ドラム1の両端部の非画像領域Iに対応する部分のみを帯電できるようになっている。図3の(b)は、本実施例における、ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ3、通紙可能領域、現像開口部33、供給ローラ4、補助帯電ローラ2A、の長手配置模式図、及び長手方向に関するドラム上の電位分布を説明するための図である。
【0024】
本実施例では、まず、帯電ローラ2に電源装置E2によって−1000Vの帯電バイアスが印加される。ドラム1上に暗部電位Vd=−450Vが形成される(図3の(b)中の[1])。そして、補助帯電ローラ2Aによってドラム端部(領域Nを含む非画像領域I)の電位が暗部電位Vd=−750Vとなるように(図3の(b)中の[2])、補助帯電ローラ2Aに補助帯電バイアスが印加されている。その補助帯電バイアスが印加は電源装置(補助帯電バイアス印加手段)E2Aによってなされる。即ち、画像領域Hの領域内では、帯電ローラ2によって絶対値がV2となる暗部電位を形成し、領域Nを含む非画像領域Iでは帯電ローラ2とは別の補助帯電ローラ2Aによって絶対値がV1となる暗部電位を形成する。次に、電源装置E3より現像ローラ3に現像バイアスVdc=−300Vを印加して、画像形成を行った。このように、本実施例においては、補助帯電ローラ2Aを用いて、ドラム1上の長手での電位を変えて、長手で異なるVbackにして現像する。これによって、本実施例の場合も実施例1の場合と同様に、現像ローラ3の上記領域Nにおける地カブリが抑制され、転写ローラ11も汚れることは無く、画像形成装置本体内の現像剤汚れを防止することができた。また、印刷する用紙内の白地部にもカブリの発生は無かった。また、幅広サイズ紙を通紙し画像形成を行ったところ、端部のカブリや裏汚れの発生もなく、画像部の白地部においてもカブリの発生はなく良好な画質を実現することができた。
【0025】
[その他]
1)実施例1・2は単色の画像形成を行う画像形成装置について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、複数色の画像形成を行うカラー画像形成装置にも適用できる。2)また、本発明は電子写真方式で非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置に限られず、静電記録方式で非磁性一成分接触現像方式の画像形成装置にも適用できる。この画像形成装置の場合は、像担持体として静電記録誘電体を用い、これを帯電手段により一様に帯電する。そして、その帯電面を除電針アレイや電子銃ユニットなどを潜像形成手段として画像情報信号に対応して選択的に除電処理することで静電潜像の形成がなされる。3)静電潜像の現像は、反転現像に限られず、正規現像にすることもできる。ただし、正規現像の場合には、領域Nの電位の絶対値をV1、画像領域の非印字部の電位の絶対値をV2とすると、V1<V2とすることになる。実施例1のように、レーザー露光で感光ドラム上の電位を制御する場合、反転現像の場合には、非画像領域は露光しないで、画像領域の白地部(非印字部)は弱露光していた。これに対して、正規現像の場合には、非画像領域は露光し、画像領域の白地部(非印字部)は弱露光することになる。
【0026】
本発明のポイントとしては、反転現像の場合においては、像担持体と現像剤担持体とが対向する位置において領域Nの電位V1と、画像領域の非印字部の電位V2が、V1>V2となる関係を満たすことである。そして、正規現像の場合は、像担持体と現像剤担持体とが対向する位置において領域Nの電位V1と、画像領域の非印字部の電位V2が、V1<V2となる関係を満たすことである。
【符号の説明】
【0027】
1・・像担持体、2・・帯電手段、3・・現像剤担持体、4・・現像剤供給部材、7・・潜像形成手段(露光手段)、30・・現像手段、31・・現像容器、t・・非磁性一成分現像剤、33・・現像開口部、E・・現像開口部の長手幅、F・・現像剤供給部材の長手幅、N・・現像剤供給部材の長手幅の端部から現像開口部の長手幅の端部に至る領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電するための帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された像担持体に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、前記静電潜像を可視像とするための反転現像方式の現像手段であって、非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記像担持体に接触して前記現像剤を供給するための現像剤担持体と、前記現像容器に設けられ、前記現像剤担持体に前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像開口部と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記現像剤担持体に接触して前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像剤供給部材であって、長手幅が前記現像開口部の長手幅よりも短い現像剤供給部材と、を備えた現像手段と、を有する画像形成装置において、前記像担持体に対する画像形成において、像担持体の長手方向に関して、少なくとも、前記現像剤供給部材の長手幅の端部から前記現像開口部の長手幅の端部に至る領域の電位の絶対値をV1、画像領域の非印字部の電位の絶対値をV2としたとき、像担持体と現像剤担持体とが対向する位置においてV1>V2、であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記潜像形成手段が露光手段であり、前記画像領域の領域内では、前記帯電手段によって絶対値がV1となる電位を形成し、その後、前記露光手段によって絶対値がV2となる電位を形成することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像領域の領域内では、前記帯電手段によって絶対値がV2となる電位を形成し、非画像領域では前記帯電手段とは別の補助帯電手段によって絶対値がV1となる電位を形成することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項4】
静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電するための帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された像担持体に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、前記静電潜像を可視像とするための正規現像方式の現像手段であって、非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記像担持体に接触して前記現像剤を供給するための現像剤担持体と、前記現像容器に設けられ、前記現像剤担持体に前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像開口部と、前記現像容器に回転可能に設けられ、前記現像剤担持体に接触して前記非磁性一成分現像剤を供給するための現像剤供給部材であって、長手幅が前記現像開口部の長手幅よりも短い現像剤供給部材と、を備えた現像手段と、を有する画像形成装置において、
前記像担持体に対する画像形成において、像担持体の長手方向に関して、少なくとも、前記現像剤供給部材の長手幅の端部から前記現像開口部の長手幅の端部に至る領域の電位の絶対値をV1、画像領域の非印字部の電位の絶対値をV2としたとき、像担持体と現像剤担持体とが対向する位置においてV1<V2、であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記潜像形成手段が露光手段であり、少なくとも、前記現像剤供給部材の長手幅の端部から前記現像開口部の長手幅の端部に至る領域の領域内では、前記露光手段によって絶対値がV1となる電位を形成し、画像領域の非印字部においては、前記露光手段によって絶対値がV2となる電位を形成することを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像領域の非印字部においては、前記帯電手段、及び前記潜像形成手段によって絶対値がV2となる電位を形成し、非画像領域では前記帯電手段とは別の補助帯電手段によって絶対値がV1となる電位を形成することを特徴とする請求項4の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−28086(P2011−28086A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175203(P2009−175203)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】