説明

画像形成装置

【課題】像担持体1に現像剤Tを供給して静電潜像を現像するための現像剤担持体25と、これに接触して現像剤を供給する現像剤供給部材24と、現像剤を収容した現像剤収容室と、を有する現像手段5を有し、記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置において、現像手段の使用環境や放置状態に因らず、安定して、かつ高精度に現像手段内の現像剤の残量検知を行なうことを可能にする。
【解決手段】現像手段5の姿勢を、現像剤収容室21の現像剤Tを現像剤供給部材24へ供給可能な第1の姿勢Cと部材24から現像剤収容室21へ現像剤Tが戻る第2の姿勢Eとに変化させる転換手段50と、第1のポジションから第2のポジションへの転換の途中、若しくは、第2のポジションへの到達後において、現像手段に衝撃を与える手段とを有し、衝撃を与える手段による衝撃付与後に、現像手段5の第2の姿勢Eにおいて現像剤の残量検知を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式・静電記録方式等の画像形成装置のように、表面に静電潜像を担持する電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体と、静電潜像を現像剤で現像する現像手段を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、現像手段である現像装置(以下、現像器と記す)における現像剤(以下、トナーと記す)の残量を検出する方法を提案している(特許文献1)。これは、像担持体にトナーを供給して静電潜像を現像するためのトナー担持体と、トナー担持体に接触してトナーを供給するトナー供給部材とを備えた現像器におけるトナーの残量を検出する方法である。より具体的には、導電性支持体上にトナー担持体にトナーを塗布するためのトナー塗布部材を設け、現像バイアス電源により、トナー担持体に交番電圧を印加するようにする。そして、トナー塗布部材の導電性支持体に誘起される電圧を検知することでトナーの残量を検知するものである。即ち、導電性支持体上に誘起される電圧は、トナー担持体と導電性支持体間の静電容量に依存している。従って、現像器内にトナーが充分に存在し、導電性支持体とトナー担持体間がトナーで満たされた状態と、画像形成によりトナーが消費され、トナー担持体と導電性支持体間のトナーが減少した状態とでは、トナー担持体と導電性支持体間の静電容量が異なる。この為、導電性支持体に誘起される電圧も異なる。この現象を利用してトナーの残量を検出するものである。この方法によれば、スペースを格別に必要とせずにトナーの残量検知ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−234777公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の更なる改善である。即ち、上記の残量検知においては、現像器内のトナーが消費されていないにも関らず、現像器内のトナー密度が変化した場合においては、得られる静電容量にばらつきが生じる場合があることが判明した。通常、画像形成時には、現像器内のトナーは、トナー担持体の回転、トナー送り部材の回転等により十分に攪拌され循環している。一方、画像形成終了後に現像器が長時間放置された場合では、現像器内のトナーは自重により、トナー容器鉛直下方に向かって密に締まっていく。結果として、トナー担持体とナー塗布部材の導電性支持体間のトナー密度に変化が生じ、得られる静電容量の値にばらつきが生じる場合があった。これを解決しようとするならば、残量検知測定前には、予め現像器を回転駆動させて、現像器内のトナーを攪拌し、トナー密度を均一にする作業が必要となる。残量検知毎にある一定時間を要するため、画像形成装置のスループットの低下につながってしまう。また、現像器の回転駆動により、現像器が磨耗や劣化が促進し、現像器寿命にも影響を及ぼす恐れがあった。これを解決しようとするならば、残量検知測定前には、予め現像器を回転駆動させて、現像器内のトナーを攪拌し、トナー密度を均一にする作業が必要となる。残量検知毎にある一定時間を要するため、画像形成装置のスループットの低下につながってしまう。また、現像器の回転駆動により、現像器が磨耗や劣化が促進し、現像器寿命にも影響を及ぼす恐れがあった。
【0005】
本発明は上記従来技術のトナー残量検出について一層の精度向上を図るものである。その目的は、トナー密度の変化に起因する検知静電容量のばらつきの発生を抑制する。即ち、現像手段の使用環境や放置状態に因らず、静電容量の変化を利用したトナー残量検出を、安定かつ精度良くに行なうことを可能にした画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、 表面に静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給して前記静電潜像を現像するための現像剤担持体と前記現像剤担持体に接触して現像剤を供給する現像剤供給部材と前記静電潜像の現像に用いられる現像剤を収容した現像剤収容室とを有する現像手段と、を有し記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記現像手段を、前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とのニップ部の上方にある現像剤が存在する現像可能姿勢にした第1のポジションと、前記第1のポジションにおいて前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とのニップ部の上方の領域の現像剤を落下させた姿勢にした第2のポジションとに変化させる転換手段と、前記現像手段の前記第1のポジションから前記第2のポジションへの転換の途中、若しくは、第2のポジションへの到達後において、前記現像手段に衝撃を与える衝撃付与手段と、前記現像剤供給部材と前記現像剤担持体の間の静電容量を検出する検出手段と、を有し、前記第2のポジションにおいて、衝撃付与手段による衝撃付与後の前記現像手段について前記静電容量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静電容量の変化を利用したトナー残量検出を、安定かつ高精度に行なうことを可能にした画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は実施例1の画像形成装置の概略構成図である。(b)は第1のポジションにおける現像器の拡大模式図である。
【図2】(a)は第2のポジションにおける現像器の拡大模式図である。(b)は塗布ローラの通気量測定方法を示す模式図である。
【図3】(a)は現像器内トナー充填量と塗布ローラのスポンジ内トナー量の関係を示すグラフである。(b)は塗布ローラのスポンジ内トナー量と静電容量の関係を示すグラフである。
【図4】(a)はトナー残量検知手段のブロック図である。(b)は衝撃付与手段とその位置に移動した現像器の拡大模式図である。
【図5】(a)は衝撃付与手段がある場合と無い場合のトナー残量検知出力を示すグラフである。(b)は実施例2の画像形成装置の概略構成図である。
【図6】衝撃付与手段が金属ローラで構成される場合のトナー残量検知出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施例1]
《画像形成装置例の全体的な概略構成》:図1の(a)は本実施例の画像形成装置の概略構成の模式図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーの画像形成装置である。この画像形成装置はイメージリーダ(原稿画像読装置)・パソコン・ファクシミリ等のホスト装置200からコントローラ部(制御手段:CPU)100に入力する電気的画像信号に基づいて記録媒体としてのシート状の記録材Pに画像形成を行う。コントローラ部100はホスト装置200や画像形成装置の操作部300との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、画像形成装置の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。この画像形成装置は、表面に静電潜像を担持する像担持体としての、回転ドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。及び、このドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電手段2、画像露光手段3、現像手段5(5a・5b・5c・5d)、転写手段6、ドラムクリーニング手段7を有する。ドラム1はドラム軸線を中心に矢印R1の反時方向に所定の速度で回転駆動される。帯電手段2はドラム1の表面を所定の極性(本実施例では負極性)・電位に一様に帯電する手段であり、本実施例では接触帯電ローラを用いている。画像露光手段3はドラム1の表面に静電潜像を形成する手段であり、本実施例ではレーザースキャナユニットを用いている。このユニット3はホスト装置200からコントローラ部100に入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力して反射ミラー4を介してドラム1の帯電処理面を露光部位Aにおいて走査露光する。これにより、ドラム1の面に静電潜像が形成される。本実施例においては、静電潜像形成方式は、帯電したドラム面を画像情報部に対応して露光するイメージ露光方式としている。現像手段5はドラム面に形成された静電潜像を現像剤像(トナー像)として可視化する手段である。本実施例の画像形成装置においては現像手段としての現像器を複数有する。即ち、第1から第4の4つの現像器5(5a・5b・5c・5d:現像カートリッジ)を有する。そして、これらの現像器を現像器保持体(転換手段)としてのロータリ50に保持させてある。ロータリ50は中央軸51を中心に割り出し回転可能である。各現像器5a・5b・5c・5dはロータリ50の回転方向において互いに90°間隔の割り付けにて予め決められた所定の装着部(現像手段装着部)に取外し可能に装着されている。ロータリ50はコントローラ部100で制御される駆動手段(モータ等:不図示)により矢印R2の時計方向に90°間隔で割り出し回転される。これにより、第1から第4の現像器5a・5b・5c・5dがひとつずつ順次、ドラム1に所定に対向した現像位置Cに切換え的に移動して、この位置Cにおいてドラム1の面に形成されている静電潜像をトナー像として現像する。ここで、ロータリ50に装着されている現像器5がドラム1に所定に対向した現像位置Cに移動した現像器位置をポジションCとする。また、この現像器5がポジションCからロータリ50の90°回転により移動した現像器位置をポジションFとする。また、この現像器5がポジションFからロータリ50の更なる90°回転(ポジションCからは180°回転)により移動した現像器位置をポジションEとする。また、この現像器5がポジションEからロータリ50の更なる90°回転(ポジションCからは270°回転)により移動した現像器位置をポジションGとする。
【0011】
本実施例においては、第1から第4の各現像器5a・5b・5c・5dは、それぞれ、現像剤Tとして負帯電性の非磁性トナーを用いた接触現像型の反転現像器である。そして、本実施例においては、第1の現像器5aは現像剤収容室にイエロー(Y)色のトナーを収容したイエロー現像器である。第2の現像器5bは現像剤収容室にマゼンタ(M)色のトナーを収容したマゼンタ現像器である。第3の現像器5cは現像剤収容室にシアン(C)色のトナーを収容したシアン現像器である。第4の現像器5dは現像剤収容室にブラック(Bk)色のトナーを収容したブラック現像器である。転写手段6はドラム1の面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する手段であり、本実施例では中間転写ベルトユニットを用いている。このユニット6は、中間転写体(第1の記録媒体)としての、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)61を有する。そして、このベルト61を懸回張設している、1次転写ローラ62、ベルト駆動ローラ63、2次転写対向ローラ64、テンションローラ65を有する。1次転写ローラ62はドラム1に対してベルト61を挟んで圧接している。ドラム1とベルト61の接触部が1次転写ニップ部Bである。2次転写対向ローラ64のベルト懸回部には2次転写ローラ66が対向配設されている。この2次転写ローラ66は、揺動機構(不図示)により、ベルト61を挟んで2次転写対向ローラ64に当接した作用位置と、ベルト61の表面から離間した非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。2次転写ローラ66が作用位置に移動された状態において、2次転写ローラ66とベルト61の接触部が2次転写ニップ部Dである。テンションローラ65のベルト懸回部には、ベルト61の表面をクリーニングするベルトクリーニング手段67が配設されている。このベルトクリーニング手段67は揺動機構(不図示)によりクリーニング部材がベルト61の表面に接触した作用位置と、クリーニング部材がベルト61の表面から離間した非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。ドラムクリーニング手段7は、ベルト61に対するトナー像の1次転写後のドラム1面から1次転写残トナーを除去する手段であり、クリーニングブレードを用いている。ドラム面から除去されたトナーはクリーナ容器71に収容される。コントローラ部100は画像形成スタート信号が入力すると、メインモータ(不図示)を駆動させる。これにより、ドラム1が矢印R1の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。また、第1の現像器5aがポジションCに移動した状態になるようにロータリ50の割り出し回転がなされる。そして、その第1の現像器5aに駆動力が伝達される。また所定の現像バイアスが印加される。レーザースキャナユニット3が駆動される。ベルト61が矢印R3の時計方向(ドラム回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。2次転写ローラ66とベルトクリーニング手段67は、それぞれ、ベルト61から離間した非作用位置に移動されて保持されている。帯電ローラ2に所定の帯電バイアスが印加される。これにより回転しているドラム1の表面が所定の極性(本実施例では負極性)・電位に均一に帯電される。レーザースキャナユニット3からフルカラー画像のY色成分画像信号に対応して変調されたレーザー光Lが出力されてドラム面が走査露光される。これにより、ドラム面にY色成分画像に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像がポジションCに位置している第1の現像器5aによりY色トナー像(現像剤像)として現像される。本実施例においては、ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性のネガトナーを用いて静電潜像を反転現像している。そのY色トナー像が1次転写ニップ部Bにおいてベルト61の面に1次転写される。1次転写ローラ62には所定の制御タイミングでトナーの帯電極性とは逆極性(正極性)で所定電位の1次転写バイアスが印加される。1次転写後のドラム面はドラムクリーニング手段7によりクリーニングされる。Y色トナー像のベルト61に対する1次転写が終了すると、ロータリ50が時計方向に90°間欠回転される。これにより、今度は第2の現像器5bがポジションCに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のM色成分画像に対応したM色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのM色トナー像が1次転写ニップ部Bにおいて、ベルト61上にすでに転写されているY色トナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。M色トナー像のベルト61に対する1次転写が終了すると、ロータリ50が時計方向に更に90°間欠回転される。これにより、今度は第3の現像器5cがポジションCに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のC色成分画像に対応したC色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのC色トナー像が1次転写ニップ部Bにおいて、ベルト61上にすでに転写されているY色+M色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。C色トナー像のベルト61に対する1次転写が終了すると、ロータリ50が時計方向に更に90°回転される。これにより、今度は第4の現像器5dがポジションCに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のBk色成分画像に対応したBk色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのBk色トナー像が1次転写ニップ部Bにおいて、ベルト61上にすでに転写されているY色+M色+C色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。このようにして、ベルト61上にはY色+M色+C色+Bk色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。
【0012】
即ち、駆動手段によりロータリ50を割り出し回転させて1つの現像器をドラム1に所定に対向させたポジションCに移動させ、その現像器によってドラム1に形成された静電潜像をトナー像として現像する。この動作を複数の現像器について順次に切換え的に実行させてベルト61に対するフルカラートナー像の形成を実行するのである。なお、ドラム1に対して順次に形成する色トナー像の色順は本実施例のようなY色→M色→C色→Bk色の色順に限られるものではなく、適宜の色順で行うことができる。ベルト61上に形成された4色フルカラーの未定着トナー像の画像先端部がベルト61の移動により2次転写ローラ66の位置に到達する前に、2次転写ローラ66がベルト61に接触した作用位置に移動される。また、ベルトクリーニング手段67もベルト61に対する作用位置に移動される。一方、所定の制御タイミングで記録材給送部(不図示)から第2の記録媒体としてのシート状の記録材Pが一枚分離されて給送される。その記録材Pはレジストローラユニット(不図示)によって所定の制御タイミングにて2次転写ローラ66とベルト61との接触部である2次転写ニップ部Dに導入される。2次転写ローラ66にはトナーの帯電極性とは逆極性(正極性)で所定電位の2次転写バイアスが印加される。これにより、記録材Pが2次転写ニップ部Dを挟持搬送されていく過程で、ベルト61上の4色重畳のトナー像が記録材Pの面に順次に一括2次転写される。記録材Pはベルト61の面から分離されて定着ユニット8へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の記録材Pへの定着(溶融混色)がなされる。そして、記録材Pは定着ユニット8を出て、フルカラー画像形成物として排出部(不図示)に排出される。記録材分離後のベルト61の表面に残留した2次転写残トナーはベルトクリーニング手段67によって除去される。
【0013】
コントローラ部100は1枚或いは連続複数枚の画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置を待機状態にして、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。即ち、ドラム1、レーザースキャナユニット3、ベルト61等の駆動を停止する。2次転写ローラ66とベルトクリーニング手段67を非作用位置に移動する。モノクロ画像形成モードの場合は、ブラック用の第4の現像器5dを用いた画像形成だけが行われる。コントローラ部100は1枚或いは連続複数枚のモノクロ画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置を待機状態に戻して、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。
【0014】
《現像器5》:本実施例において、それぞれ現像手段である第1から第4の4つの現像器5a・5b・5c・5dは、収容させている現像剤(トナー)の色が互いに異なるだけで、構成は同一である。図1の(b)はポジションCにおける現像器5の拡大模式図である。現像器5は、トナーTを収容させた現像剤収容室として現像剤容器21と、ドラム1に形成された静電潜像を現像するための現像剤担持体としての現像ローラ25と、現像ローラ25に接触してトナーを供給する現像剤供給部材としての塗布ローラ24を有する。また、現像ローラ25上のトナー層を規制する現像剤層厚規制部材としての規制ブレード27と、現像ローラ25と現像剤容器21との隙間からのトナー漏れを防止する漏れ防止シール26を有する。現像剤容器21はドラム1の軸線方向を長手とする横長の容器である。この容器21の下部に容器長手方向に沿ってドラム1に対向する開口部を有する。現像ローラ25はこの開口部に位置させて容器長手方向に並行に配置され、容器長手方向の両側にそれぞれ取り付けられた軸受部材(不図示)を介して回転自在に容器21に支持されている。塗布ローラ24は、現像ローラ25のドラム対向側とは反対側において容器21内に現像ローラ25に並行に配置され、容器長手方向の両側にそれぞれ取り付けられた軸受部材(不図示)を介して回転自在に容器21に支持されている。本実施例において、現像ローラ25はφ13であり、φ8の導電性芯金(芯金部)28の周囲に、シリコンゴムを基層28aとし、アクリル・ウレタン系ゴムを表面にコート28bした構成で、体積抵抗は10〜1012Ω・cmである。また、塗布ローラ24は、φ6の導電性の芯金(芯金部)29の周囲に連続気泡体からなるウレタンスポンジ層29aを設けた、φ15のウレタンスポンジローラである。スポンジ層29aの体積抵抗は10〜1012Ω・cm程度である。即ち、塗布ローラ24は連続気泡体で構成されている。現像ローラ25の芯金28と塗布ローラ24の芯金29間の距離(中心間距離)は13mmであり、現像ローラ25の表面に対して、塗布ローラ24のウレタンスポンジ層29aを1.0mm侵入させている。規制ブレード27は、先端部が現像ローラ25に摺擦して、現像ローラ25に塗布されたトナーを薄層にコーティングする、リン青銅、ウレタンゴム等でできた可撓性部材である。規制ブレード27はその基部が前記開口部の上縁部に固定されて容器21に配設されている。漏れ防止シール26は、先端部が現像ローラ25に接し、現像ローラ25の下方部と現像剤容器21との隙間を覆ってトナー漏れ防止する可撓性部材である。シール26はその基部が前記開口部の下縁部に固定されて容器21に配設されている。
【0015】
ドラム1に形成された静電潜像の現像器による現像は、ロータリ50の割り出し回転制御により所定の現像器5が、図1の(a)や(b)のように、ドラム1に所定に対向したポジションC(第1のポジション)に移動されて行なわれる。本実施例においては、ポジションCにおける現像器5は、現像剤容器21の天面側が上向きで底面側が下向きの正立姿勢(第1の姿勢)となってドラム1に対向している。そして、この現像器5aの現像ローラ25がドラム1に接触している。現像ローラ25はドラム1に接触した状態でドラム1に形成された静電潜像を現像する。所謂、接触現像方式を用いている。ポジションCにおける現像器5には、画像形成実行時に画像形成装置本体側の駆動手段(不図示)と電源部Vから駆動力と現像バイアスが入力される。現像ローラ25は図1の(b)において矢印R4の時計方向に所定の速度で回転駆動される。従って、現像ローラ25のドラム接触部における回転方向はドラム1の回転方向R1に対して順方向である。また、現像ローラ25に接触して現像ローラ25にトナーを供給する塗布ローラ24は矢印R5の時計方向に所定の速度で回転駆動される。従って、塗布ローラ24の現像ローラ接触部における回転方向は現像ローラ25の回転方向R4に対して逆方向(カウンタ方向)である。回転する現像ローラ25の周上には回転する塗布ローラ24によってトナーが塗布され、塗布されたトナーが規制ブレード27により薄層にコーティングされる。そのトナー薄層が現像ローラ25の引き続く回転により現像位置Cに搬送されてドラム1の面に適用される。また、現像ローラ25には現像バイアス電源部Vから所定の現像バイアス、本実施例では、DC電圧が印加される。これにより、現像ローラ25の周上のトナー薄層がドラム面の静電潜像に対応して選択的にドラム面に転移する。これにより静電潜像がトナー像として現像される。静電潜像の現像に供されなかったトナーは現像ローラ25の引き続く回転により現像剤容器21内に戻し搬送される。そして、塗布ローラ24により現像ローラ25の面から除去されるとともに、現像ローラ25の面には再び塗布ローラ24によってトナーが塗布される。この動作が繰り返されて、ドラム面の静電潜像の現像が実行される。
【0016】
ポジションCにおける現像器5の姿勢は上記のように正立姿勢(第1の姿勢)であり、現像剤容器21内のトナーTは、塗布ローラ24を配設した現像剤容器内下方部(容器底面側)に重力により鉛直下方に偏って存在している。Taは現像剤容器21に収容されているトナーTのトナー面(現像剤面)である。この現像器5の姿勢はトナーTを塗布ローラ24に供給可能な姿勢である。これにより、トナーTを現像ローラ25に塗布することが可能である。そして、前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とのニップ部の上方の領域XにトナーTが存在する現像可能姿勢である。本実施例では、現像ローラ25と塗布ローラ24のニップ部(当接ニップ部)から現像ローラ25の回転方向上流側の領域XにトナーTが存在している。通常の画像形成時では、現像位置であるポジションCにおける現像器5の姿勢は正立姿勢であり、現像剤容器21内のトナーTは重力により鉛直下方に偏って存在しており、特に、領域Xの近傍のトナー密度が高い状態となっている。これは、通常画像形成時に領域Xの近傍のトナー密度が低下してしまうと、現像ローラ25へのトナーの供給が不十分となり、画像上に白抜け部などが発生してしまうことがあるためである。従って、画像形成時は、領域Xの近傍はトナーが密な状態であることが望ましい。ここで、ポジションFにおける現像器5は、現像ローラ25側が下向きとなった横向き姿勢となる。また、ポジションEにおける現像器5は、ポジションCにおける正立姿勢から天地が逆転した倒立姿勢(逆姿勢、第2の姿勢)となる。また、ポジションGにおける現像器5は、現像ローラ25側が上向きとなった横向き姿勢となる。
【0017】
《現像器のトナー残量検知方法》:第1から第4の各現像器5(5a・5b・5c・5d)は、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、各現像器に収容されているトナーが消費される。そこで、個々の現像器のトナーの残量を検知する残量検知手段(残量検知回路部)100aを設ける。そして、コントローラ部100は、残量検知手段100aにより検知した残量値を、予め設定した現像器寿命予告や寿命警告のための閾値と比較する。この比較において、残量値が閾値よりも少ない残量値までトナーが現象した現像器については、操作部300の表示部300aにその現像器についての寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これにより、使用者に、交換用の現像器の準備を促す、或いは現像器の交換を促して、出力画像の品質を維持している。現像器の新旧交換は、ロータリ50の現像器装着部から使用済みの現像器を所定の手順にて取り外し、新しい現像器を所定の手順にて装着することでなされる。本実施例では、現像器のトナー残量検知は、現像器5の姿勢を第1の姿勢(図1の(b))から第2の姿勢(図2の(a))に変化させた状態にして行う。そして、第2の姿勢に変化させた現像器のトナー残量検知は、本実施例では、残量検知手段100aによって、塗布ローラ24の導電性の芯金29に、交流バイアスを印加する。そして、現像ローラ25の導電性の芯金28に誘起される電圧、静電容量から現像剤容器21内のトナー残量検知を行なうものである。アンテナ方式による静電容量の変化を利用したトナー残量検出である。ここで、以下の説明において、「静電容量」とは、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量のことである。
【0018】
トナー残量検知の基本原理について述べる。本実施例における塗付ローラ24は、連続気泡体からなるウレタンスポンジ層29aの通気量と呼ばれる物性値の最適化により、スポンジ層内部に保持できるトナー量が変化する特徴がある。この通気量という物性値は、連続気泡体からなるウレタンスポンジ層表面のセルの開口と、スポンジ内部のセルに対し、単位時間あたりに通過する空気の量を示すものである。即ち、表面のセルが小さく、内部セルの構造も細かく密になるほど、通気量は低下し、逆に、表面セルを大きく、内部セルを大きくすると、通気量は増加する傾向にある。このため、通気量の変化で、スポンジ内部に保持可能なトナー量が変化する。ここで、前述した通気量の測定方法を説明する。図2の(b)は通気量測定方法を示すモデル図である。塗布ローラ24のウレタンスポンジ層29aの表面に、φ10mmの穴301aをあけたアクリル板301の穴部を当接する。そして、その穴301aよりも大きい径のホース302をつなげ、市販のポンプ304で吸気したときの吸気量を通気量測定器303(メーカー;大栄科学精器製作所、商品名;KZ型通気量測定器)にて測定する。ポンプ304の吸気量は、塗布ローラ24が無い状態で10.8リットル/minである。本発明者らの実験で、本実施例に即する画像形成装置においては、適応する連続気泡体からなるウレタンスポンジ層29aの通気量は、2リットル/min以上にすることが好適であった。このようにして、通気量の最適化が行なわれた塗付ローラ24を用いた場合の、塗付ローラのスポンジ層内部のトナー量と、現像剤容器内部のトナー量との推移を示す。図3の(a)に示すように、現像剤容器内トナー量が減少するにつれて、塗付ローラ24のスポンジ層内部のトナー量も減少していく傾向がわかる。この結果より、塗付ローラ24のスポンジ層内部に保持されるトナー量と、現像剤容器内のトナー総量とに相関があることがわかる。さらに、スポンジ層内のトナー量と、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量の推移を測定した。結果を図3の(b)に示す。この静電容量は、NF社製LCRメータZM2354にて測定した。図3の(b)に示すように、スポンジ層内のトナー量と静電容量は線形関係となっている。この結果から、塗布ローラのスポンジ層内部に保持されるトナー量と、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量に相関があることがわかる。つまり、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量を測定することで、現像剤容器21内のトナー量を見積もることが可能なのである。
【0019】
しかしながら、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量を測定する際に、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在すると、静電容量が変化してしまう場合がある。これは、塗付ローラ24の近傍に多量にトナーが存在すると、塗付ローラ24のスポンジ層内部に含まれたトナー量以上のトナー量の静電容量を検出してしまうためである。このため塗付ローラ24のスポンジ層内部だけのトナー量を正確に見積もるためには、塗付ローラ24の付近にトナーが存在しないことが好ましい。そこで、現像器5の塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量の測定によるトナー残量検知は、現像器5の姿勢を第1のポジションにおける第1の姿勢から第2のポジションにおける第2の姿勢に変化させて行う。現像器5の第1のポジションにおける姿勢は、ドラム1に対する現像姿勢であり、現像ローラ25と塗布ローラ24とのニップ部の重力方向において上方の領域Xにトナーが存在する姿勢である。現像器5の第2のポジションにおける姿勢は、第1のポジションの姿勢から現像器の姿勢を変化させて、前記領域XからトナーTを落下させた姿勢である。本実施例においては、図1の(a)や(b)におけるポジションCが第1のポジションであり、ポジションEを第2のポジションとしている。そして、ポジションEに位置している現像器について残量検知手段(塗布ローラ24の芯金部29と現像ローラ25の間の静電容量を検出する検出手段)100aによりトナー残量検知が実施される。現像位置である第1のポジションCに位置している現像器5の姿勢は正立姿勢であるのに対して、第2のポジションEに位置している現像器5の姿勢は天地が逆転した倒立姿勢に変化している。この現像器の倒立姿勢においては、図2の(a)のように塗付ローラ24の周囲にはトナーがほとんど無い状態である。第2のポジションEでは、現像剤容器21に収容されているトナーTのトナー面Taが塗布ローラ24にかからない。この状態において、当該現像器5の残量検知手段100aによるトナー残量検知が実施される。トナー残量検知時の第2のポジションEにおける現像器を図2の(a)にて説明する。画像形成後のロータリ50の回転による現像器5のポジションCからポジションEへの回転により、天地が逆転した現像器5の現像剤容器21内部のトナーは天面側に振り落とされる。このため、第2のポジションEでは塗付ローラ24の近傍のトナーの影響を受けずに、塗付ローラ25のスポンジ層内部だけのトナー量から静電容量を得ることが出来る。
【0020】
残量検知手段100aを構成している、検出器30、積分器31、比較器32について述べる。図4の(a)は、コンデンサC1で示される塗布ローラ24と現像ローラ25、検出器30、積分器31、比較器32、トナー残量検知用バイアス電源33、現像バイアス電源34の等価回路を示したものである。トナー残量検知用バイアス電源33より、交流バイアスであるトナー残量検知用バイアスが供給される。検出器30は抵抗RとダイオードDから成り、コンデンサC1の出力は、抵抗Rの電圧として取り出され、ダイオードDで半波整流される。半波整流された電圧は、コンデンサC2で示される積分器31により積分され、直流電圧化される。この直流電圧は、コンパレーターFと、基準電圧Eで示される比較器32により比較される。コンパレーターFは、積分器31の出力電圧と、基準電圧Eとの大小を比較し、出力電圧の方が大きければトナー有と判断し、出力電圧の方が小さければトナー無と判断する。従って、基準電圧Eは、現像器内のトナーが消費され、無くなった時の積分器31の出力電圧に調整すれば良い。コントローラ部100は、残量検知手段100aでトナー無しと判断された場合は、操作部300の表示部300aに、当該現像器についての「トナー無」等の警告表示を行う。画像形成を中止する制御をさせても良い。また、現像器の交換時期を知らせるようにしても良い。
【0021】
上記のように、現像器5を、現像器内の主にトナーを収容するトナー収容室から塗布ローラや現像ローラが存在する現像室へトナーを供給可能な第1の姿勢Cと、現像室からトナー収容室へトナーが戻る第2の姿勢Eとに姿勢を変化させる転換手段を設ける。そして、現像器5の第2の姿勢においてトナー残量検知を行なう。これにより、トナー密度の変化に起因する検知静電容量のばらつきの発生を抑制して、現像器の使用環境や放置状態に因らず、静電容量の変化を利用したトナー残量検出を、安定かつ精度良く行なうことが可能となる。しかしながら、画像形成装置の使用環境、現像器の使用状況等によっては、ポジションEにおいて現像器5が倒立姿勢になったにもかかわらず、トナーTが落下しない場合が見られた。この場合には、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在するため、所望の静電容量が得られず、正しいトナー残量測定を行うことができない。そこで本発明は更にその余分なトナーの存在を抑制する工夫をして、トナー残量検出について一層の精度向上を図ったものである。その特徴とするところは、現像手段5の第1のポジションCから第2のポジションEへの転換の途中、若しくは、第2のポジションEへの到達後において、現像手段5に衝撃を与える衝撃付与手段60を具備させる。そして、第2のポジションEにおいて、衝撃付与手段60による衝撃付与後の現像手段5について検出手段100aにより現像剤供給部材24と現像剤担持体25の間の静電容量を検出する。その検出した静電容量に基づいて現像剤収容室21に収容されている現像剤の量を検知するのである。現像手段5の第1のポジションCから第2のポジションEへの転換の途中、若しくは、第2のポジションEへの到達後において、衝撃付与手段60により現像手段5に衝撃を与える。これにより、現像手段内の現像室からトナー収容室へトナーが戻る第2の姿勢において、素早く、確実にトナー収容室へトナーが戻り、塗付ローラ24の周囲における余分なトナーの存在を抑制することができる。そして、第2のポジションEにおいて、衝撃付与手段60による衝撃付与後の現像手段5について検出手段100aにより現像剤供給部材24と現像剤担持体25の間の静電容量を検出する。これにより、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在することによる検知静電容量のばらつきの発生を抑制して、トナー残量検出について一層の精度向上を図ることができる。
【0022】
本実施例においては、衝撃付与手段60は、図1の(a)のように、現像器5がロータリ50の回転によって現像位置であるポジションCから90°回転したポジションFから更に90°回転したポジションEまでの回転移動途中に設けられている。その衝撃付与手段60の配設位置をポジションHとする。本実施例における衝撃付与手段60は、図3の(b)のように、第1のポジションCから第2のポジションEへ移動していく現像器5の現像ローラ2と接触し、その接触ショックで現像器5に衝撃を与える定置配設された非導電性のローラ状部材である。衝撃付与手段60は、ロータリ50の最大回転半径よりも、所定量内側に侵入して設けられる。本実施例においては、ドラム1と当接する現像ローラ25がロータリ50の最外に設けられ、最大回転半径を形成する部材である。衝撃付与手段60は現像ローラ25の回転半径よりも0.2mm内側に設けられる。従って、第1のポジションCから第2のポジションEへ移動していく現像器5の現像ローラ25はポジションHにおいて衝撃付与手段60に対して接触する。そして、現像ローラ25の弾性層28aが衝撃付与手段60の侵入量分だけ弾性的に撓んで衝撃付与手段60のポジションHを通過していく。この衝撃付与手段60と現像ローラ25との接触ショックにより現像器5に衝撃が与えられる。衝撃付与手段60を設けることで現像器5に衝撃を与え、それにより現像室からトナー収容室へ素早く、確実にトナー収容室へトナーが戻る。そして、衝撃付与手段60が現像ローラ25に衝撃を与えることで、画像形成装置の使用環境、現像器の使用状況にかかわらず、塗付ローラ24の周囲からトナーを落下させることができる。特に、現像ローラ25と塗布ローラ24とのニップ部の重力方向において上方の領域Xにから、トナーを落下させることができる。そして、本実施例においては、第2のポジションEにおいて、衝撃付与手段60による衝撃付与後の現像器5について検出手段100aにより塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量を検出する。これにより、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在することによる検知静電容量のばらつきの発生が抑制されて、トナー残量検出について一層の精度向上を図ることができる。
【0023】
図5の(a)に、衝撃付与手段60を用いた場合(a)と、用いなかった場合(b)でのトナー残量検知出力値の比較を示す。この出力値は、残量検知手段100aからの出力値である。残量検知手段100aは、塗布ローラ24の導電性の芯金29に、バイアス電源33からトナー残量検知用バイアスを印加する。トナー残量検知用バイアスとしては、周波数5KHz、Vpp=200Vの交流バイアスを用いている。現像ローラ25の導電性の芯金28には、トナー残量検知用バイアスにより電圧が誘起され、この電圧は検出器30で検出される。衝撃付与手段60を用いない場合(b)は、現像器5がポジションEに遷移した直後には、ポジションEにおいて現像器5が倒立姿勢になったにもかかわらず、トナーTが落下しない場合がある。そのために、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在するため、安定した静電容量を得ることができなかった。衝撃付与手段60を用いた場合(a)は、現像器5がポジションEに遷移した直後から安定した静電容量を得ることができた。これは、現像機5のポジションFからポジションEまでの回転移動途中において、衝撃付与手段60による衝撃で、現像ローラ25と塗布ローラ24とのニップ部の重力方向において上方の領域Xから、トナーを落下させることができた為である。この効果は、画像形成終了後に現像器が長時間放置された場合や、画像形成装置の使用環境により現像器内のトナーが鉛直方向に密に充填されやすい状況において、はっきりと表れ、衝撃付与手段60による衝撃で確実にトナー落下が促される。本実施例において、衝撃付与手段60はポジションEに至る直前に設けてある(図1の(a)、図4の(b))。そのねらいは、概ね現像器5の姿勢変化に追従して変化する現像剤容器21に収容されているトナーTのトナー面Taが塗布ローラ24にかからないタイミングで現像器に衝撃を付与して、トナーを落下させることにある。
【0024】
以上説明したように、本実施例においては、現像位置であるポジションCから90°回転したポジションFから更に90°回転したポジションEまでの現像器5の回転移動途中において、衝撃付与手段60を設けて現像器に衝撃を与える。これにより、現像器内の現像室からトナー収容室へ素早く、確実にトナー収容室へトナーが戻るようにすることができる。その結果、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在するために静電容量にバラツキが生じる場合においても、安定した静電容量を得ることができるようになり、より精度の高いトナー残量検知を行うことが可能となる。
【0025】
[実施例2]
図5の(b)は本実施例の画像形成装置の概略構成の模式図である。本実施例の画像形成装置は実施例1の画像形成装置との対比において衝撃付与手段60の配置位置と構成が異なるだけで、他の構成は実施例1の画像形成装置と同じであるからその構成の説明は省略する。本実施例においては、衝撃付与手段60は、図5の(b)、図6に示すように、現像位置であるポジションCから180°回転したポジションEにおける現像器5の現像ローラ25に対向する位置に設置されている。そして、この衝撃付与手段60は当接・回避手段61によりポジションEに位置した現像器5の現像ローラ25に対して実線示のように当接した状態と、2点鎖線示のように退避した状態とに転換される。即ち、衝撃付与手段60は、ロータリ50の回転半径の内外に移動可能に構成されている。当接・回避手段61は、例えば、電磁ソレノイド機構、カムとバネ加圧機構などの適宜の揺動手段機構を用いることができ、コントローラ100により動作制御される。コントローラ100は、ロータリ50の回転最中は衝撃付与手段60がロータリ50の回転半径外に退避しているように当接・回避手段61を制御している。衝撃付与手段60は、現像器5の第1のポジションCから第2のポジションEへの転換動作中において、現像器5から退避可能である。コントローラ100は、現像器5がポジションEに位置に到達してロータリ50の回転が停止したと同時に或いはその後に、ポジションEに位置した現像器5の現像ローラ25に対して衝撃付与手段60させるように当接・回避手段61を制御している。この衝撃付与手段60の現像ローラ25に対する当接の際に現像器5に衝撃が与えられる。これにより現像室からトナー収容室へ素早く、確実にトナー収容室へトナーが戻るようにすることができる。そして、第2のポジションEにおいて、衝撃付与手段60による衝撃付与後の現像器5について検出手段100aにより塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量を検出する。これにより、塗付ローラ24の周囲に余分なトナーが存在することによる検知静電容量のばらつきの発生が抑制されて、トナー残量検出について一層の精度向上を図ることができる。
【0026】
[実施例3]
本実施例においては、実施例2で説明した、衝撃付与手段60が、導電性を有する金属ローラで構成されている。さらに、この金属ローラは、トナー残量検知が実施中において、現像ローラ25と短絡している。よって、ポジションEに位置している現像器5について残量検知手段100aは、塗布ローラ24の芯金部29と現像ローラ25と衝撃付与手段60の間の静電容量を検出することで、手段100aによりトナー残量検知が実施される。この状態で、残量検知手段100aは、塗布ローラ24の導電性の芯金29に、バイアス電源33からトナー残量検知用バイアスを印加する。トナー残量検知用バイアスとしては、周波数5KHz、Vpp=200Vの交流バイアスを用いている。現像ローラ25の導電性の芯金28には、トナー残量検知用バイアスにより電圧が誘起され、この電圧は検出器30で検出される。本実施例における、現像器内のトナー量と積分器31の出力電圧の変化を図5の(a)に示す。図5の(a)において、グラフ線(c)が本実施例の場合である。衝撃付与手段60が、導電性を有しない場合(a)、あるいは、衝撃付与手段が無い場合(b)と比較して、検出される静電容量が大きく、検知感度が上昇していることが分かる。以上のことから、衝撃付与手段60を、導電性を有する金属ローラで構成することで、画像形成装置の使用環境、現像器の使用状況にかかわらず、塗付ローラ24の周囲から、トナーを落下させることができ、かつ、検知感度を向上させることが出来る。よって、塗布ローラ24と現像ローラ25間の静電容量を安定して精度よく測定することでき、現像剤容器21内のトナー量を正確に見積もることが可能となる。
【0027】
[その他の事項]
1)衝撃付与手段60は実施例の構成に限られるものではない。例えば、各現像器自体に衝撃付与手段として電磁石やピエゾ素子などを用いたバイブレータを具備させる。そしてコントローラ100により、そのバイブレータを現像器5の第1のポジションCから第2のポジションEへの転換の途中、若しくは、第2のポジションEへの到達後において所定の制御時間動作させる構成にすることもできる。また、実施例における衝撃付与手段60を上記のようなバイブレータにすることもできる。バイブレータ以外の打撃機構にすることもできる。
【0028】
2)画像形成装置は実施例の電子写真方式のものに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録方式の画像形成装置や、像担持体として磁気記録磁性体を用いた磁気記録方式の画像形成装置であってもよい。
【0029】
3)また、現像手段5は、現像剤として非磁性トナーを用いた非接触式の現像器、現像剤として磁性トナーを用いた接触式又は非接触式の現像器であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1・・像担持体(電子写真感光体ドラム)、21・・現像剤収容室、24・・現像剤供給部材、25・・現像剤担持体(現像ローラ)、T・・現像剤(トナー)、Ta・・現像剤面、50・・転換手段(ロータリ)、60・・衝撃付与手段、100a・・検出手段、P・・記録媒体(記録材)、C・・第1の姿勢(第1のポジション)E・・第2の姿勢(第2のポジション)、X・・現像剤担持体と現像剤供給部材とのニップ部の上方の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給して前記静電潜像を現像するための現像剤担持体と前記現像剤担持体に接触して現像剤を供給する現像剤供給部材と前記静電潜像の現像に用いられる現像剤を収容した現像剤収容室とを有する現像手段と、を有し記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記現像手段を、前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とのニップ部の上方にある現像剤が存在する現像可能姿勢にした第1のポジションと、前記第1のポジションにおいて前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とのニップ部の上方の領域の現像剤を落下させた姿勢にした第2のポジションとに変化させる転換手段と、前記現像手段の前記第1のポジションから前記第2のポジションへの転換の途中、若しくは、第2のポジションへの到達後において、前記現像手段に衝撃を与える衝撃付与手段と、前記現像剤供給部材と前記現像剤担持体の間の静電容量を検出する検出手段と、を有し、前記第2のポジションにおいて、衝撃付与手段による衝撃付与後の前記現像手段について前記静電容量を検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像手段の前記第1のポジションから前記第2のポジションへの転換の途中、若しくは、前記第2のポジションへの到達後において、前記現像剤収容室に収容されている現像剤の現像剤面が現像剤供給部材にかからない状態で、前記現像手段に前記衝撃付与手段による衝撃を与えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記衝撃付与手段は、前記現像手段の前記第1のポジションから前記第2のポジションへの転換動作中において、前記現像手段から退避可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記衝撃付与手段は、導電性を有する材質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記衝撃付与手段は、導電性を有する材質であり、前記現像剤担持体と短絡することで、衝撃付与手段と前記現像剤担持体と、前記現像剤供給部材の間の静電容量を検出することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤供給部材が連続気泡体で構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像手段を複数有し、それらの現像手段が、複数の現像手段装着部を有する回転自在な保持体の予め決められた現像手段装着部に装着されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−33866(P2011−33866A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180537(P2009−180537)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】