説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で、腰付け機能を備えつつ、用紙のスイッチバック通路の通過時に搬送不良が発生することを抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の用紙排出ユニットは、用紙を外部に排出するための第1通路103と、両面画像形成処理が施される場合に用紙を画像形成ユニットに再送するための第2通路104と、用紙を第1通路103から外部に向けて搬送すると共に、用紙を第2通路104に向けて逆搬送することが可能に構成された用紙搬送部40と、用紙搬送部40が用紙を搬送する際に用紙を波形状に変形させて該用紙に腰を付与する腰付け部材47とを含む。第2通路104の上流側通路部分53は、用紙が該上流側通路部分53を通過する際に用紙の波形を緩和することが可能な程度に用紙の厚さ方向の幅Dが狭く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に画像が形成された用紙を装置外に排出する用紙排出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置は、所定の画像形成処理を行って用紙上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、用紙上のトナー像を加熱定着して該用紙上に定着させる定着ユニットと、加熱定着された用紙を外部に排出する用紙排出ユニットとを含む。
【0003】
加熱定着処理されたトナー像を担持する用紙は、熱によって変形し易く、用紙排出ユニットに搬送される際にカールしてしまう(巻き癖が付いてしまう)ため、用紙排出ユニットは、用紙のカールを矯正する手段として、用紙を排出ローラ等によって排出する際に用紙に腰(またはコルゲーション)を付与する腰付け部材を含む。腰が付与された用紙は、カールが矯正された状態となるので、排紙トレイ上に整然と積載される。
【0004】
用紙に腰を付与することにより、排紙トレイ上に用紙が乱雑に積載されることを防止しているものの、用紙の両面にトナー像を形成する場合、用紙に腰を付与することが他の問題を生じさせる原因になっている。
【0005】
具体的には、用紙排出ユニットは、片面にトナー像が形成された用紙を、所定の通路(いわゆるスイッチバック通路)を通過させて画像形成ユニットに再送するとき、排出ローラによって用紙における排出方向後端部以外の部分を一旦外部に排出した後、用紙を、排出方向後端部からスイッチバック通路に搬送するように構成されているため、腰付け部材によって用紙に腰が付与されてしまう。腰が付与された用紙がスイッチバック通路を通過するとき、特にスイッチバック通路が湾曲した形状を有している湾曲通路の場合、用紙は、腰が付与されている状態で湾曲通路に沿って湾曲しつつ、画像形成ユニットに搬送されるため、搬送不良、例えば異音が発生する。
【0006】
そのような搬送不良の発生を抑制する技術として、例えば特許文献1のものが知られている。特許文献1の用紙排出ユニットでは、腰付け部材として、用紙を外部に排出する排出ローラが用いられており、排出ローラは、ローラ軸上に所定の間隔をあけて配列された複数の第1ローラ体を有する第1ローラと、ローラ軸上に所定の間隔をあけて配列され、第1ローラ体に対向する複数の第2ローラ体を有する第2ローラとからなる。
【0007】
そして、用紙の片面のみにトナー像が形成される場合、第1ローラ体と第2ローラ体とが軸方向に互い違い(つまり、非接触状態)になるように第1ローラと第2ローラとを相対的に軸方向に移動させて、第1ローラと第2ローラとの間にカールした状態の用紙を通過させることで、用紙を外部に排出しつつ、用紙に腰を付与している。
【0008】
一方、用紙の両面にトナー像が形成される場合、第1ローラ体と第2ローラ体とが対向接触するように第1ローラと第2ローラとを軸方向に移動させて、対向接触した第1ローラ体および第2ローラ体間に用紙における排出方向後端部以外の部分を通過させることにより、用紙に腰を付与することなく、用紙をスイッチバック通路に搬送する。そして、用紙は、両面にトナー像が形成および定着された後、用紙排出ユニットにより、外部に排出されつつ、腰が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3463449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献1の技術は、腰付け機能を備えていながら、用紙のスイッチバック通路の通過時に搬送不良が発生することを抑制することが可能である。しかしながら、第1ローラの第1ローラ体と第2ローラの第2ローラ体とを接触状態/非接触状態に切り換える切換手段を必要とするため、その分、構成が複雑化する。その結果、組み立てが煩雑となるだけでなく、部品点数の増加に伴ってコストが増加する。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、簡単な構成で、腰付け機能を備えつつ、用紙のスイッチバック通路の通過時に搬送不良が発生することを抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、所定の画像形成処理を行って用紙上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、前記用紙上の前記トナー像を該用紙上に加熱定着する定着ユニットと、加熱定着処理された前記用紙を外部に排出する用紙排出ユニットとを含む。前記用紙排出ユニットは、加熱定着処理された前記用紙を外部に排出するための第1通路と、前記用紙における前記トナー像が形成されている表面とは反対側の裏面にもトナー像を形成する両面画像形成処理が施される場合に前記用紙を前記画像形成ユニットに再送するための第2通路と、前記用紙を前記第1通路から外部に向けて搬送すると共に、前記用紙における排出方向後端部以外の部分を一旦外部に排出した後、前記用紙を、前記排出方向後端部から前記第2通路に向けて逆搬送することが可能に構成された用紙搬送部と、前記用紙搬送部が前記用紙を搬送する際に前記用紙を波形状に変形させて該用紙に腰を付与する腰付け部材とを含む。前記第2通路の上流側通路部分は、前記用紙が該上流側通路部分を通過する際に前記用紙の波形を緩和することが可能な程度に前記用紙の厚さ方向の幅が狭く設定されている。
【0013】
本発明に係る画像形成装置によれば、腰が付与された用紙が通過する第2通路の上流側部分を、用紙の厚さ方向に狭くするという簡単な構成で用紙の波形状を緩和することが可能である。これにより、用紙が第2通路を通過する際に、第2通路が特に湾曲した通路である場合に発生し得る搬送不良、例えば異音の発生を抑制することが可能である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、前記上流側通路部分は、壁部で仕切られた通路部分であり、前記壁部は、前記用紙の紙面と接触する面が平面に設定され、かつ前記上流側通路部分に沿って延びる平面部分を有し、前記平面部分に対向する位置には、前記上流側通路部分の前記幅を狭くする対向部材が配設されている。
【0015】
この構成によれば、腰が付与された用紙の波形部分を上流側通路部分の平面部分に摺接させながら上流側通路部分を通過させるので、用紙の紙面の略全体にわたって波形を緩和することができる。また、対向部材を採用することにより、上流側通路部分の用紙の厚さ方向における幅を適宜設定することができる。
【0016】
本発明の他の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、前記第1通路、前記第2通路、前記用紙搬送部および前記腰付け部材を収容するハウジングを含み、
前記壁部の前記平面部分は、前記ハウジングの一部分から構成されている。
【0017】
この構成によれば、壁部の平面部分、つまり上流側通路部分の一部を、ハウジングを利用して構成しているので、コスト低減を図ることができる。
【0018】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記平面部分は、前記用紙との間の摺接性を向上させるための表面処理が施されている。
【0019】
この構成によれば、用紙の波形を緩和しつつ、用紙を円滑に搬送することができる。
【0020】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記対向部材は、前記平面部分に向けて付勢されるように設定された弾性シート材を有する。
【0021】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記対向部材は、前記平面部分に対向して配設されたローラ部材を有する。
【0022】
これらの構成によれば、弾性シート材またはローラ部材によって用紙を平面部分に積極的に押し付けることができるので、用紙の波形の緩和が促進される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像形成装置によれば、簡単な構成で、腰付け機能を備えつつ、用紙のスイッチバック通路の通過時に搬送不良が発生することを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。
【図2】用紙排出ユニットを長手方向から見た場合の内部構造を示す図である。
【図3】用紙排出ユニットの外観斜視図である。
【図4】用紙排出ユニットの外観斜視図であり、用紙排出ユニットによって用紙に腰が付与された状態を示す。
【図5】用紙排出ユニットの上側フレームを下方から見た斜視図である。
【図6】用紙排出ユニットの内部構成を示す斜視図であり、第1分岐ガイド部材に弾性シート材が貼り付けられた状態を示す。
【図7】用紙排出ユニットを長手方向から見た場合の内部構造を示す図であり、第1分岐ガイド部材に弾性シート材が貼り付けられた状態を示す。
【図8】用紙排出ユニットの内部構成を示す斜視図であり、第1分岐ガイド部材にローラ部材が設けられた状態を示す。
【図9】用紙排出ユニットを長手方向から見た場合の内部構造を示す図であり、第1分岐ガイド部材にローラ部材が設けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。画像形成装置として、複写機を示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの他の画像形成装置にも適用可能である。画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、画像形成ユニット12と、定着ユニット13と、用紙貯留ユニット14と、用紙排出ユニット20と、画像読取ユニット16とを含む。
【0027】
画像読取ユニット16は、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、コンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構163とを有する。走査機構163によって読み取られた原稿画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換された後に後述する露光装置123へ向けて出力され、画像形成ユニット12での画像形成処理に供される。
【0028】
画像形成ユニット12は、感光体ドラム121と、感光体ドラム121の周面を均一に帯電させる帯電器122と、画像読取ユニット16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づき、レーザビームにより感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する露光装置123と、静電潜像にトナーを供給して感光体ドラム121の周面にトナー画像を形成する現像装置124とを含む。
【0029】
感光体ドラム121の側方位置(図1では左方位置)には、感光体ドラム121に対向配置された転写ローラ126が配設されており、感光体ドラム121の周面と転写ローラ126の周面との間にニップ部が形成されている。
【0030】
現像装置124は、その側方位置(図1では右方位置)に着脱自在に装着されたトナーコンテナ125からトナーの補給を受ける。トナーコンテナ125は、トナーが消費されると新品と交換される。
【0031】
用紙貯留ユニット14は、挿脱自在の用紙カセット141を有している。用紙カセット141には用紙束P1が貯留されている。画像形成処理が行われるに際し、用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成ユニット12へ送り込まれて用紙Pに画像処理が施される。本実施形態では、用紙カセット141は1段で設けられているが、2段以上設けてもよい。
【0032】
画像形成装置10の側面(図1では左側面)には、支持軸181回りに回動可能に軸支された手差しトレイ18が設けられている。手差しトレイ18に載置された用紙は、繰出しローラ182によって1枚ずつ用紙搬送路101に搬送される。
【0033】
用紙カセット141から送り出された用紙Pは、用紙搬送路101を通り、レジストローラ対102により、感光体ドラム121と転写ローラ126との間のニップ部に搬送される。ニップ部に搬送された用紙Pは、感光体ドラム121の周面上のトナー画像が転写される。トナー画像が転写された用紙Pは、感光体ドラム121から分離されて定着ユニット13へ送り込まれる。
【0034】
感光体ドラム121は、用紙Pにトナー像を転写した後、クリーナー127によって周面が清浄化処理され、新たな画像形成処理のために帯電器122によって再び帯電される。
【0035】
定着ユニット13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を有する定着ローラ131と、定着ローラ131に対向配置された加圧ローラ132とを含む。トナー像が転写された用紙Pは、定着ローラ131と加圧ローラ132との間のニップ部を通過する際に定着ローラ131から熱を得る。これにより、トナー像が用紙P上に加熱定着される。
【0036】
定着処理された用紙Pは、定着ユニット13から排出され、用紙排出ユニット20に搬送される。用紙排出ユニット20は第1分岐ガイド部材43を有しており、第1分岐ガイド部材43は、用紙Pが排出される通路を、第1用紙排出通路(第1通路)103と第2用紙排出通路105との間で切り換える。第1分岐ガイド部材43によって第1用紙排出通路103に切り換えられた場合、用紙Pは排紙トレイ151上に排出される。一方、第1分岐ガイド部材43によって第2用紙排出通路105に切り換えられた場合、用紙Pは、第2用紙排出通路105を通って画像形成装置10の側方に配置された図略の後処理装置に搬送される。前記後処理装置に搬送された用紙Pは、ステープル処理等が施される。
【0037】
また、用紙Pの表面(片面)にトナー像を形成した後、用紙Pの裏面にもトナー像を形成する両面画像形成処理の場合には、用紙排出ユニット20は、用紙Pをスイッチバック通路(第2通路)104に案内する。用紙Pは、スイッチバック通路104を介して画像形成ユニット12における感光体ドラム121と転写ローラ126との間のニップ部に搬送され、裏面にもトナー像が転写される。裏面にもトナー像が形成された用紙Pは、定着ユニット13において加熱定着処理される。定着ユニット13から排出された用紙Pは、用紙排出ユニット20の第1分岐ガイド部材43により、第1用紙排出通路103を通って排紙トレイ151上に排出される、または第2用紙排出通路105を通って前記後処理装置に搬送される。
【0038】
以下、用紙排出ユニット20の構成について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は、用紙排出ユニット20を長手方向から見た場合の内部構造を示す図であり、図3は、用紙排出ユニット20の外観斜視図である。
【0039】
用紙排出ユニット20は、上側フレーム21と、上側フレーム21の下方に配設された第1下側フレーム22および第2下側フレーム23とからなるハウジングを含み、上側フレーム21、第1下側フレーム22および第2下側フレーム23によって用紙排出ユニット20の内部空間が画定されている。上側フレーム21、第1下側フレーム22および第2下側フレーム23は、用紙排出ユニット20の長手方向(つまり、排出される用紙Pの幅方向)に延びるフレーム部材である。第1下側フレーム22と第2下側フレーム23とは、前記長手方向に沿って対向している。第2下側フレーム23は、前記長手方向に沿って分割された第1フレーム半体24と第2フレーム半体25とからなる。
【0040】
第1下側フレーム22の下端部26と第1フレーム半体24の下端部27との間には、用紙Pの進入口28が形成されており、定着ユニット13から排出された用紙Pは、進入口28を通って用紙排出ユニット20内に進入する。
【0041】
用紙排出ユニット20の前記内部空間における上側フレーム21と第1下側フレーム22との間には、進入口28から見て図2では右斜め上方に延びる第1用紙排出通路103が画定されている。また、前記内部空間における上側フレーム21と第2下側フレーム23との間には、進入口28から見て図2では左斜め上方に延びる第2用紙排出通路105が画定されている。そして、前記内部空間における進入口28の略上方には、用紙Pを第1用紙排出通路103および第2用紙排出通路105のうちの一方に振り分ける第1分岐ガイド部材43が配設されている。
【0042】
第1用紙排出通路103は、具体的には次にように構成されている。すなわち、第1下側フレーム22は、下端部26から図2では右斜め上方に湾曲しながら延びる湾曲部29を有しており、第1分岐ガイド部材43は、第1下側フレーム22の湾曲部29に対向した状態で湾曲部29に沿って延びる第1湾曲部30を有する。第1下側フレーム22の湾曲部29と第1分岐ガイド部材43の第1湾曲部30との間に形成された空間と、第1用紙排出通路103を通る用紙Pの排出方向から見て第1下側フレーム22の湾曲部29における第1分岐ガイド部材43よりも下流側部分31と上側フレーム21の図2では右端部32との間に形成された空間とにより、第1用紙排出通路103が画定されている。
【0043】
また、第2用紙排出通路105は、具体的には次のように構成されている。すなわち、第1フレーム半体24は、下端部27から図2では左斜め上方に湾曲しながら延びる湾曲部33を有しており、第1分岐ガイド部材43は、第1フレーム半体24の湾曲部33に対向した状態で湾曲部33に沿って延びる第2湾曲部34を有する。第1フレーム半体24の湾曲部33と第1分岐ガイド部材43の第2湾曲部34との間に形成された空間と、第2用紙排出通路105を通る用紙Pの排出方向から見て第1フレーム半体24の湾曲部33における第1分岐ガイド部材43よりも下流側部分35と上側フレーム21の図2では左端部36との間に形成された空間とにより、第2用紙排出通路105が画定されている。
【0044】
なお、第2用紙排出通路105は、上側フレーム21の左端部36と、画像形成装置10の内部空間を画定し、図2では左端部36の左方に位置する外壁37との間に形成されたユニット外排出通路106に連通されている。ユニット外排出通路106は、用紙Pを前記後処理装置に導く通路である。第2用紙排出通路105とユニット外排出通路106との連通部分には、第2分岐ガイド部材38が配設されている。第2分岐ガイド部材38は、第2用紙排出通路105からの用紙Pをユニット外排出通路106に導くと共に、第1用紙排出通路103を通過した後に、後述するようにスイッチバックさせた用紙Pをスイッチバック通路104に導くものである。
【0045】
第1分岐ガイド部材43は、進入口28に向かって延びる突出部39を有しており、突出部39は図2では左右方向に回動可能に構成されている。突出部39が図2に示すように左方向に回動して第1フレーム半体24の湾曲部33に当接すると、突出部39によって第2用紙排出通路105が塞がれ、第1用紙排出通路103が開放される。一方、突出部39が逆に右方向に回動して第1下側フレーム22の湾曲部29に当接すると、突出部39によって第1用紙排出通路103が塞がれ、第2用紙排出通路105が開放される。これにより、定着ユニット13からの用紙Pは、上述のように、第1用紙排出通路103および第2用紙排出通路105のうちの一方に選択的に通される。
【0046】
第1分岐ガイド部材43によって第1用紙排出通路103に案内された用紙Pは、用紙排出口59から排出トレイ151上に排出される。用紙排出口59は、上側フレーム21の右端部32と第1下側フレーム22の下流側部分31との間に画定された空間であり、この空間は、用紙Pを排出トレイ151上に搬送することが可能に構成された用紙搬送部40が設置可能な形状に設定されている。
【0047】
用紙搬送部40は、図2では上下方向に互いに対向した排出ローラ41および排出コロ42を含む。排出ローラ41は、回転軸(図5)44に軸方向に所定の間隔をあけて複数のローラ体45を配置したものである。排出コロ42は、対応するローラ体45に接触した状態で対向配置されている。本実施形態では、4つのローラ体45および4つの排出コロ42が用いられている。
【0048】
回転軸44は、上側フレーム21の長手方向両端部に回転可能に軸支されており、回転軸44の軸端部44aに接続されたモータMによって回転する。回転軸44の回転に伴い、ローラ体45が回転する。モータMは回転軸44を介してローラ体45を順方向および逆方向の両方向に回転させることができるものである。
【0049】
各排出コロ42は、対応するローラ体45と接触する部位が周方向に延びる溝部46として形成されている。言い換えれば、各排出コロ42は、両端部分が周方向に突出した突出部39分として形成されている。したがって、各排出コロ42に対応するローラ体45は、排出コロ42の突出部39間の溝部46に当接した状態で回転する。排出コロ42はローラ体45の回転に伴って従動回転する。
【0050】
また、隣り合うローラ体45および排出コロ42対間には、用紙Pに腰を付与する第1腰付け片47が配設されている。第1腰付け片47は、排出ローラ41のローラ体45と排出コロ42とが接触する面と略同一の面上に位置するように設定された腰付け面48を有している。
【0051】
また、用紙排出口59におけるローラ体45および第1腰付け片47よりも用紙排出方向下流側には、上側フレーム21の右端部32から垂下された複数の除電ブラシ48が配置されている。除電ブラシ48は、導電性の金属繊維からなり、用紙排出ユニット20の長手方向に互いに所定の間隔をあけて配置されている。
【0052】
また、上側フレーム21の右端部32の端面32aには、除電ブラシ48よりも用紙排出方向下流側に配設された第2腰付け片49が配設されている。第2腰付け片49は、前記長手方向における端面32aの両端のそれぞれに配設されている。各第2腰付け片49は、排出ローラ41のローラ体45と排出コロ42とが接触する面よりも下方に延びるように形状設定されていると共に、上下方向にフラップ可能に構成されている。
【0053】
このように構成された用紙搬送部40は、第1用紙排出通路103を通ってきた用紙Pに腰を付与しつつ、排出トレイ151上に排出する。具体的には、用紙Pは、排出ローラ41のローラ体45と対応する排出コロ42の溝部46との間に挟まれつつ、かつ第1腰付け部材47の腰付け面48に押圧されつつ、排出トレイ151に排出される。また、用紙Pは、排出ローラ41および排出コロ42間を通過した後、第2腰付け部材49に当接して、該第2腰付け部材49を上方に押しのけつつ、排出トレイ151上に排出される。このように排出された用紙Pには、図4に示すように、用紙排出方向に延びる筋50が用紙Pの幅方向に数条並んで形成される。これにより、用紙Pは、用紙幅方向に波形状に変形して、いわゆる腰(またはコルゲーション)が付与された状態となる。
【0054】
用紙Pは、定着ユニット13において加熱定着処理された際の熱によって変形し易く、進入口28を通って第1用紙排出通路103を搬送される間にカールしてしまい(巻き癖が付いてしまい)、用紙Pがカールした状態で排出トレイ151上に排出されると、排出トレイ151上に乱雑に積載されることになる。しかしながら、上述したように、用紙Pに腰を付与することにより、用紙Pのカールが矯正されるので、用紙Pを排出トレイ151上に整然と積載することが可能である。
【0055】
用紙搬送部40は、上述のように、用紙Pに腰を付与しつつ、排出トレイ151上に排出させることが可能に構成されていると共に、用紙Pの表面にトナー像を形成した後、用紙Pの裏面にもトナー像を形成する両面画像形成処理の場合において、用紙Pをスイッチバック通路104に搬送することが可能に構成されている。以下、用紙搬送部40による用紙Pのスイッチバック通路104への搬送について、図2を再び参照しながら説明する。
【0056】
図2に示すように、第1分岐ガイド部材43の上面51と、上側フレーム21における上面51に対向する部位52との間には、空間53が形成されている。この空間53は、図2では、第1用紙排出通路103の下流側部分、つまり、第1下側フレーム22の湾曲部29における第1分岐ガイド部材43よりも下流側部分31と上側フレーム21の右端部32との間に形成された空間に連通されていると共に、第2用紙排出通路105の下流側部分、つまり、第1フレーム半体24の湾曲部33における第1分岐ガイド部材43よりも下流側部分35と上側フレーム21の左端部36との間に形成された空間に連通されている。なお、第1分岐ガイド部材43の上面51、第1湾曲部30および第2湾曲部34は、用紙排出ユニット20の長手方向に延びている。
【0057】
用紙搬送部40は、用紙Pの裏面にもトナー像が形成される両面画像形成処理が行われる場合、排出ローラ41の回転軸44を順方向に回転させることにより、第1用紙排出通路103を通ってきた用紙Pにおける排出方向後端部を排出ローラ41および排出コロ42間で挟持しつつ、前記排出方向後端部以外の部分を一旦外部に排出する。その後、用紙搬送部40は、回転軸44を逆方向に回転させる。これにより、用紙Pは、第1用紙排出通路103の前記下流側部分、上側フレーム21と第1分岐ガイド部材43との間の空間53、第2用紙排出通路105の前記下流側部分、第2フレーム半体25と画像形成装置10の外壁37との間に形成された空間54の順に逆搬送されて、画像形成ユニット12に再送される。すなわち、スイッチバック通路104は、第1用紙排出通路103の前記下流側部分、空間53、第2用紙排出通路105の前記下流側部分、および空間54を通る通路である。
【0058】
第2用紙排出通路105の下流側部分には、搬送ローラ対が配設されている。搬送ローラ対は、回転軸55に軸方向に所定の間隔をあけて配置された複数のローラ体56を有する搬送ローラ57と、対応するローラ体56に接触状態で対向配置された搬送コロ58とからなる。第2用紙排出通路105またはスイッチバック通路104を通る用紙Pは、搬送ローラ対によって各通路104,105のさらに下流側に搬送される。
【0059】
スイッチバック通路104を経て画像形成ユニット12に再送された用紙Pは、その裏面にもトナー像が形成され、定着ユニット13において加熱定着処理された後、上述のように、用紙排出ユニット20において、用紙搬送部40によって腰が付与されつつ、排紙トレイ151上に排出される。
【0060】
ところで、上記構成のスイッチバック通路104における前記搬送ローラ対よりも下流側の通路部分は、湾曲した形状を有する湾曲通路(つまり空間54)となっているため、腰が付与された状態の用紙Pが湾曲通路54を通過する際、搬送不良、例えば湾曲通路54において異音が発生する。つまり、用紙Pは、用紙搬送方向に延びる波形状の筋50が付与されているため、湾曲通路54に沿って湾曲し難くなっている。そのような用紙Pを無理に湾曲通路54に搬送すると、異音が発生する。
【0061】
そこで、本実施形態に係る用紙排出ユニット20では、用紙Pの搬送不良を抑制するための手段が講じられている。以下、その手段について、図2および図5を参照しながら説明する。
【0062】
本実施形態では、第1分岐ガイド部材43の上面51と、上側フレーム21における上面51に対向する対向部位52との間の空間53がスイッチバック通路104の上流側通路部分となっている。言い換えれば、上流側通路部分53は、第1分岐ガイド部材43の上面51と上側フレーム21の対向部位(壁部)52とによって画定されている。
【0063】
上側フレーム21の対向部位52は、図5に示すように、上流側通路部分53に沿って延びる平面部分として形成されている。平面部分52は、上面51に対向する平面52aを有する。平面部分52は、用紙Pの裏面(トナー像がまだ形成されていない面)と接触する部分であり、第1分岐ガイド部材43の上面51は、用紙Pのトナー像が形成された表面に接触する面である。第1分岐ガイド部材43の上部には、図8に示すように、用紙排出ユニット20の長手方向に所定の間隔をあけて複数のリブ60が形成されている。上面51は、本実施形態では、複数のリブ60の各上面から構成されている。なお、複数のリブ60の上面同士を連結して平面部分を形成してもよい。
【0064】
そして、上流側通路部分53は、用紙Pが上流側通路部分53を通過する際に用紙Pの波形状の筋50を緩和することが可能な程度に用紙Pの厚さ方向の幅Dが狭く設定されている。つまり、平面部分52と上面51との間の隙間Dは、筋50を有し、波形状に変形した状態の用紙Pを平坦状に矯正する狭窄空間を形成している。幅(隙間)Dは、上側フレーム21および第1分岐ガイド部材43間の相対的な位置を適宜設定することで容易に設定可能である。
【0065】
第1分岐ガイド部材43は、上面51から第1下側フレーム22の湾曲部29に向かって図2では右斜め下方に延びる傾斜面62を有している。また、スイッチバック通路104から見て上側フレーム21における平面部分52よりも上流側部分63は、図2では右斜め上方に延びる傾斜部となっている。したがって、第1分岐ガイド部材43の傾斜面62と上側フレーム21の傾斜部63との間の空間は、上流側通路部分53に向かうにつれて狭くなっている。これにより、波形状の筋50が付与された用紙Pであっても、上流側通路部分53に用紙Pを円滑に案内される。
【0066】
また、上流側通路部分53と用紙Pとの間の摺動性を向上させるために、平面部分52に表面処理を施してもよい。表面処理は、例えばフッ素樹脂等を平面部分52にコーティングすることで行われる。
【0067】
上述のように設定された幅(隙間)Dを有する上流側通路部分53を用紙Pが通過する際、用紙Pは、平面部分52と上面51との間に挟まれた状態となり、表面が平面部分52に摺接すると共に、裏面が上面51に摺接する。このように用紙Pが上流側通路部分53に対して摺接状態となることにより、用紙Pの波形状の筋50が用紙Pの厚さ方向に強制的に押圧される。これにより、用紙Pの波形状の筋50が緩和される。その結果、用紙Pが湾曲通路54を通過しても、用紙Pの搬送不良、例えば異音の発生が抑制される。このように、本実施形態に係る用紙排出ユニット20は、スイッチバック通路104の上流側通路部分53を用紙の厚さ方向に狭くするという簡単な構成で用紙Pの搬送不良を抑制するものである。
【0068】
また、用紙Pを、平面に設定された部分(平面部分52)に摺接させながら上流側通路部分53を通過させるので、用紙の紙面の略全体にわたって波形を緩和することができる。さらに、上流側通路部分53の一部である平面部分52は、ハウジングの一部を構成する上側フレーム21を利用して形成されているので、コスト低減を図ることができる。
【0069】
本実施形態に係る用紙排出ユニット20では、用紙Pの腰をより緩和するための手段が採用されている。図6および図7には、その手段の一例である弾性シート材65を示している。弾性シート材65は、用紙排出ユニット20の長手方向に延びるシート材であって、その基端部66が第1分岐ガイド部材43の傾斜面62に貼り付けられている。弾性シート材65は、その先端部67が平面部分52に当接した状態となるような弾性を有する。
【0070】
用紙Pは、上流側通路部分53を通過するとき、弾性シート材65の先端部67と平面部分52との間に進入し、先端部67によって平面部分52に付勢されて、裏面が平面部分52に摺接する。これにより、用紙Pの腰が一層緩和される。
【0071】
図8および図9は、前記手段の他の例であるローラ部材70を示している。ローラ部材70は、用紙排出ユニット20の長手方向(用紙Pの幅方向)に延びるローラ部材であって、図8および図9の例では2つのローラ部材70が用いられている。各ローラ部材70は、第1分岐ガイド部材43の上面51における用紙Pの排出方向から見た下流側端部71、つまり、複数のリブ60のうちの所定のリブ60の下流側端部71間に回転可能に配設されている。一方のローラ部材70と他方のローラ部材70は、前記長手方向に同軸に配設されている。各ローラ部材70の周面は、平面部分52と接触している。ローラ部材70は、用紙Pがローラ部材70と平面部分52との間に進入することで従動回転する。
【0072】
用紙Pは、上流側通路部分53を通過するとき、ローラ部材70の周面と平面部分52との間に挟まれるので、裏面が平面部分52に摺接しつつ、表面がローラ部材70の周面に摺接する。これにより、用紙Pの腰が一層緩和される。
【0073】
このように、図6〜図9に示す弾性シート材65およびローラ部材70は、用紙Pを平面部分52に積極的に押し付けることで、用紙の腰の緩和を促進するものである。
【0074】
以上説明した本実施形態では、用紙Pのトナー像が形成された表面を第1分岐ガイド部材43の上面51に摺接させ、用紙Pの裏面を平面部分52に摺接させる構成について説明したが、これに限定されず、用紙Pのトナー像が形成された表面を平面部分52に摺接させ、用紙Pの裏面を第1分岐ガイド部材43の上面51に摺接させてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 画像形成装置
12 画像形成ユニット
13 定着ユニット
20 用紙排出ユニット
21 上側フレーム
22 第1下側フレーム
23 第2下側フレーム
24 第1フレーム半体
25 第2フレーム半体
28 進入口
40 用紙搬送部
41 排出ローラ
42 排出コロ
43 第1分岐ガイド部材
44 回転軸
47 第1腰付け部材
50 筋
51 上面
52 平面部分
53 上流側通路部分
65 弾性シート材
70 ローラ部材
103 第1用紙排出通路(第1通路)
104 スイッチバック通路(第2通路)
105 第2用紙排出通路
151 排紙トレイ
D 幅(隙間)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像形成処理を行って用紙上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、
前記用紙上の前記トナー像を該用紙上に加熱定着する定着ユニットと、
加熱定着処理された前記用紙を外部に排出する用紙排出ユニットと、
を備え、
前記用紙排出ユニットは、
加熱定着処理された前記用紙を外部に排出するための第1通路と、
前記用紙における前記トナー像が形成されている表面とは反対側の裏面にもトナー像を形成する両面画像形成処理が施される場合に前記用紙を前記画像形成ユニットに再送するための第2通路と、
前記用紙を前記第1通路から外部に向けて搬送すると共に、前記用紙における排出方向後端部以外の部分を一旦外部に排出した後、前記用紙を、前記排出方向後端部から前記第2通路に向けて逆搬送することが可能に構成された用紙搬送部と、
前記用紙搬送部が前記用紙を搬送する際に前記用紙を波形状に変形させて該用紙に腰を付与する腰付け部材と、
を含み、
前記第2通路の上流側通路部分は、前記用紙が該上流側通路部分を通過する際に前記用紙の波形を緩和することが可能な程度に前記用紙の厚さ方向の幅が狭く設定されている画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記上流側通路部分は、壁部で仕切られた通路部分であり、
前記壁部は、前記用紙の紙面と接触する面が平面に設定され、かつ前記上流側通路部分に沿って延びる平面部分を有し、
前記平面部分に対向する位置には、前記上流側通路部分の前記幅を狭くする対向部材が配設されている画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、さらに、前記第1通路、前記第2通路、前記用紙搬送部および前記腰付け部材を収容するハウジングを備え、
前記壁部の前記平面部分は、前記ハウジングの一部分から構成されている画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置において、前記平面部分は、前記用紙との間の摺接性を向上させるための表面処理が施されている画像形成装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記対向部材は、前記平面部分に向けて付勢されるように設定された弾性シート材を有する画像形成装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記対向部材は、前記平面部分に対向して配設されたローラ部材を有する画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−68451(P2011−68451A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220287(P2009−220287)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】