画像形成装置
【課題】出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる構造を実現する。
【解決手段】CCD8cにより読み込んだ画像データに基づいて、ビデオカウンタ80により出力画像の画素毎の濃度を積算する。CPU8aは、この積算した濃度に基づいて、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率を算出する。そして、算出した画像比率に基づいて、補給装置44により現像剤を補給するタイミングを制御する。
【解決手段】CCD8cにより読み込んだ画像データに基づいて、ビデオカウンタ80により出力画像の画素毎の濃度を積算する。CPU8aは、この積算した濃度に基づいて、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率を算出する。そして、算出した画像比率に基づいて、補給装置44により現像剤を補給するタイミングを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、或は、これらの複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関し、詳しくは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用した電子写真方式、静電記録方式などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式や静電記録方式などの作像原理やプロセス手段で記録材にトナー像を形成し、その記録材上のトナー像を定着手段で定着させて画像形成物を出力する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、トナー像を形成するための現像装置が組み込まれる。この現像装置として、非磁性のトナー及び磁性を有するキャリアにより構成する二成分現像剤を用いる二成分現像方式が知られている。この構造の場合、現像剤補給装置から供給されたトナー(キャリアを含む場合もある)と現像装置の現像剤収容部に充填されているキャリアとを撹拌搬送し、摩擦で帯電したトナーにより、感光ドラムなどの像担持体上に形成された静電潜像を顕在化する。このような二成分現像剤を使用した画像形成装置は、トナーに磁性体を含ませなくてもよいため、色味が良好であるなどの理由から広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置では、画像形成によって消費した分のトナーを補給する必要がある。このために、スキャナなどの画像読取装置やパーソナルコンピュータなどの外部端末から入力された画像データに基づいて、ビデオカウンタなどの画像データ処理手段によりトナーの消費量を算出する。具体的には、画像データに基づいて、デジタル画像信号の画素毎の出力レベルを積算したビデオカウント数を一義的にトナー補給量に換算する。そして、このトナー補給量をトナー補給時間に変換して、補給装置のスクリューなどの現像剤補給搬送部材の駆動時間、回転回数などを決定し、トナーの予測補給を行う{ビデオカウントATR方式(Auto Toner replenishment)}。
【0004】
また、このようなビデオカウントATR方式にパッチ検ATR方式を組み合わせた構造も知られている。このパッチ検ATR方式は、感光ドラムまたは中間転写体上にある階調が異なる複数のパッチ画像を形成し、このパッチ画像の濃度を検知して、トナーの過不足を判断し、必要量のトナーを補充するものである。
【0005】
このようなビデオカウントATR方式とパッチ検ATR方式の組み合わせた場合、まずビデオカウント方式によって、画像信号から1画素毎に濃度レベルがカウントされ、その積算値が算出される。また、通常の画像形成時に非画像域にパッチ画像を形成し、そのパッチ画像の濃度信号を読み取って、パッチ画像の適正値と比較する。そして、パッチ画像が適正値よりも濃い場合はトナーが多い状態のため補給を減らすように、パッチ画像が適正値より薄い場合はトナーが少ないため補給を増やすように、それぞれビデオカウントATR方式で算出された濃度レベルの積算値に補正をかける。そして、濃度レベルの積算値が所定の値まで累積されると現像剤補給搬送部材を所定の時間動作させて、適正な量のトナー補給を行う。
【0006】
しかしながら、近年特に画像形成装置及び現像装置の小型化または画像形成装置の高速化が進み、現像剤の容量が減少したり現像剤の搬送速度が増加する傾向にある。この場合、現像剤を担持して感光ドラム上の静電潜像を現像する現像剤担持体である現像スリーブの現像領域で、トナーが消費されたときのトナー濃度の変動に対して適正なタイミングで適正な量のトナーを補給する必要がある。このようなタイミングや量が適正でなければ、現像装置内部における現像剤のT/D比(現像剤の総量に対するトナーの重量比、トナー濃度比率)にムラが発生し、これによって画像濃度の安定性が損なわれる可能性がある。
【0007】
このような事情に鑑み、現像装置の攪拌部材の駆動速度をビデオカウンタの値によって可変にすることで、現像剤搬送経路中の現像剤濃度のリップルを低減する構造がある(特許文献1参照)。また、画像の潜像書き込みの面積率によって、現像剤の補給量や補給時間などを設定する構造もある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−57950号公報
【特許文献2】特開平8−227213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された構造の場合、画像形成中に現像剤攪拌部材の駆動速度を変えることで、現像剤面の高さなどが変化するために現像スリーブに供給される現像剤量に現像スリーブのスラスト方向でムラが発生する可能性がある。特に、現像装置が小型になるにつれて、この剤面高さムラは大きくなる可能性がある。剤面の高さムラが生じると画像に濃度ムラが生じる可能性がある。
【0010】
また、上述の特許文献2に記載された構造の場合、記録媒体におよそ均一な画像潜像書き込みが行われる場合には有効であると考えられる。但し、出力する画像が、画像比率が高い領域が記録媒体の画像形成領域で所定の位置に偏っている画像パターンである場合、トナーの消費のタイミングと補給のタイミングを合わせることは難しく、画像濃度ムラを発生させる可能性がある。即ち、特許文献2に記載された構造の場合、画像比率の偏りを考慮して現像剤の補給タイミングを設定していない。このため、例えば、画像比率が高く、トナー消費量が多いタイミングで現像剤が補給されるわけではない。したがって、特に、記録媒体が大きい場合、その高い画像比率の潜像書き込み位置が潜像書き出し位置から離れていると、トナーの補給タイミングが合わずに濃度ムラが発生してしまう。
【0011】
例えば、A3用紙の先端及び後端にそれぞれ高濃度の画像パターンがある場合、これらの画像形成に必要なトナー量を画像先端のタイミングで補給すると、トナーの消費量とそのタイミングに対する補給量とそのタイミングが合わない。即ち、画像先端のタイミングでは、消費されるトナーの量に対して補給されるトナーの量が多くなり、画像後端のタイミングでは、消費されるトナーの量に対して補給されるトナーの量が少なくなる。このため、トナー濃度のムラが生じ、画像の濃度ムラが生じる可能性がある。特に、小型の現像装置や高速な画像形成装置の場合、この濃度ムラが顕著に発生してしまう可能性がある。
【0012】
特に、フルカラーの画像形成装置においては、高画質化のために、各色成分画像の最大濃度や、中間調濃度を規定し、画像形成装置の個体差、環境変動に影響されずに、常に一定の濃度画像が得られるように制御する画像濃度制御が重要である。このため、従来のフルカラー画像形成装置においては、画像濃度制御を行うために定期的に濃度検知を行い、静電潜像の露光や現像バイアス等の条件を制御することにより、画像濃度を制御している。
【0013】
しかしながら、このような濃度制御において、現像剤のT/D比が適正値に対して大きく異なっている状態で、最大濃度や中間調濃度の制御を行うための濃度検知を行うと、画像濃度変動が大きくなってしまう。これは、現像剤のT/D比を適正値に戻そうとATRを行っている途中で、画像形成の条件をT/D比の異なる現像剤を基準にして決定してしまうためである。
【0014】
したがって、画像濃度変動をより安定させるためには、T/D比が適正値になっているタイミングで画像濃度制御を行うことが最も好ましい。T/D比が適正値になっているかどうかを確認するためには、基準濃度のパターンであるパッチ画像を形成し、その濃度を検知する構成が考えられる。しかし、この構成では、画像形成装置のダウンタイムが大きく、またトナーの消費量も多くなってしまう。フルカラー画像形成装置においては、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)の各色の確認を行わないといけないため、さらに問題は大きなものとなる。
【0015】
前述のように、現像時のトナー消費とトナー補給とのタイミングが合わないと、このような現像剤のT/D比が適正値に対して大きく異なる状態が生じ、濃度変動が生じ易くなる。
【0016】
本発明は、上述のような事情に鑑み、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像担持体と対向する現像位置にトナー及びキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備え、前記静電潜像を現像する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給する補給装置と、出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、前記補給装置の補給タイミングを制御する制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、補給装置の補給タイミングを制御するため、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【図2】図1の一部を拡大して示す概略構成断面図。
【図3】補給装置及び現像装置を取り出して示す概略構成断面図。
【図4】現像装置の一部を切断して感光ドラムと共に示す概略構成平面図。
【図5】第1の実施形態の現像剤補給制御を説明するためのブロック図。
【図6】ビデオカウンタによるデータ処理について説明するために、出力画像を複数の画素に分割した概略図。
【図7】第1の実施形態の現像剤補給の制御を示すフローチャート。
【図8】(A)は出力画像を複数に分割した図で、(B)は記録材に全面ハーフトーンの画像を形成した図。
【図9】第1の実施形態における現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図10】出力画像の画像パターンの1例を示す図。
【図11】図10の画像パターンにおける現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図12】第1の実施形態に係る効果を説明するための図。
【図13】本発明の第2の実施形態における現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図14】同じく、図4と同様の図。
【図15】第2の実施形態に係る効果を説明するための図。
【図16】本発明の第3の実施形態の現像剤補給の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置について、図1及び図2を用いて説明する。
【0021】
[画像形成装置]
画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色フルカラー画像を、電子写真方式を利用して記録材(記録用紙、プラスチックシート、布等)に形成することができる。このような画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する4つの画像形成ステーションを有するタンデム式である。本実施形態では、各画像形成ステーションの構成は、現像色が異なる以外は実質的に同一であるので、総括的に説明する。
【0022】
画像形成ステーションPは、像担持体としてのドラム状の感光体(感光ドラム)1を有する。感光体1の外周には、帯電手段としての帯電装置2、露光手段としての露光装置(本実施例ではレーザー露光光学系)3、現像手段としての現像装置4、転写手段としての転写装置5、クリーニング手段としてのクリーニング装置7が設けられている。転写装置5は、中間転写体としての中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、複数のローラに掛け回されて、図1の矢印方向に回転(周回移動)する。また、中間転写ベルト51を介して各感光体1に対向する位置には、それぞれ一次転写部材である一次転写ローラ52が配置されている。また、中間転写ベルト51が掛け回されたローラのうち一つに対向する位置に二次転写部材である二次転写ローラ53が設けられている。
【0023】
画像形成時には、まず、帯電装置2によって、回転する感光体1の表面を一様に帯電させる。次いで、帯電した感光体1の表面を、露光装置3により画像情報信号に応じて走査露光することによって、感光体1上に静電潜像を形成する。なお、帯電装置2及び露光装置3により静電潜像形成手段を構成する。また、画像情報信号は、画像形成装置100本体(装置本体)に接続されたスキャナなどの原稿読み取り装置、或は、装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像情報に基づく。
【0024】
感光体1に形成された静電潜像は、現像装置4を用いてトナーによりトナー像として顕像化する。感光体1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト51と感光体1とが当接する1次転写部(一次転写ニップ)N1において、一次転写ローラ52に印加される一次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト51上に転写(一次転写)される。例えば、4色フルカラー画像の形成時には、イエローの画像形成ステーションから順次、各感光体1から中間転写ベルト51上にトナー像が転写され、中間転写ベルト51上に4色のトナー像が重ね合わされた多重トナー像が形成される。
【0025】
一方、記録材収容部としてのカセット9に収容されている記録材が、ピックアップローラ、搬送ローラ及びレジストローラ等の記録材搬送部材によって搬送される。そして、記録材が、中間転写ベルト51と二次転写ローラ53とが当接する二次転写部(ニップ部)N2に、中間転写ベルト51上のトナー像と同期がとられて搬送されてくる。そして、中間転写ベルト51上の多重トナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ53に印加される二次転写バイアスの作用により、記録材S上に転写される。
【0026】
その後、中間転写ベルト51から分離された記録材Sは定着装置6へと搬送される。記録材S上に転写されたトナー像は、定着装置6によって加熱、加圧されることによって溶融混合されると共に、記録材S上に定着される。その後、記録材Sは機外へ排出される。一次転写工程後に感光体1上に残留したトナー等の付着物は、クリーニング装置7によって回収される。これにより、感光体1は、次の画像形成工程に備える。また、二次転写工程後に中間転写ベルト51上に残留したトナー等の付着物は、中間転写体クリーナ56によって除去される。
【0027】
また、現像装置4には、自動トナー補給制御(ATR)のもと、現像剤収容容器10から現像剤補給装置によって消費した分の現像剤(主としてトナーであるが、キャリアが含まれる場合もある)が補給される。現像剤収容容器10は、各色の現像剤が収容されている。図示の例では、現像剤収容容器10と現像装置4との接続部を省略して示している。
【0028】
なお、画像形成装置100は、例えばブラック単色の画像など、所望の単色又は4色のうちいくつかの色用の画像形成ステーションを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することも可能である。
【0029】
[現像装置]
次に、現像装置4について、図3及び図4を参照して更に説明する。現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤を収容する現像容器40を有する。現像容器40の感光体1と対向する部分には、現像剤を担持搬送する現像剤担持体としての円筒状の現像スリーブ41を主走査方向に配置している。現像スリーブ41は非磁性材料で構成され、現像動作時には図3の矢印方向に回転する(副走査方向に移動する)。なお、現像スリーブ41の回転軸と感光体1の回転軸とはほぼ平行である。この現像スリーブ41内には、磁界発生手段としてのマグネットロール(磁石)が固定配置されている。また、現像スリーブ41の表面に近接した位置には、現像スリーブ41に現像剤の薄層を形成するための、現像剤量規制部材としての規制ブレード42が配置されている。
【0030】
また、現像容器40の内部は、隔壁43cによって現像室(現像剤搬送経路)43aと攪拌室(現像剤搬送経路)43bとに区画されている。そして、現像室43aに第1の現像剤搬送部材43dが、攪拌室43bに第2の現像剤搬送部材43eが配置されている。隔壁43cの長手方向両端部(図4中左側及び右側)には、現像室43aと攪拌室43bとの間での現像剤の通過を許す受け渡し部(現像剤搬送経路)43f、43gが設けられている。
【0031】
第1、第2の現像剤搬送部材43d、43eは、いずれもスクリュー状部材(以下、それぞれ「第1のスクリュー」、「第2のスクリュー」という。)である。つまり、本実施例では、第1、第2のスクリュー43d、43eは、それぞれ、磁性体の軸(回転軸)43d−1、43e−1の周りに、搬送部としての螺旋形状の羽根43d−2、43e−2を設けて形成されている。また、第2のスクリュー43eは、羽根43e−2に加えて、軸43e−1からその半径方向に突出し、現像剤の搬送方向に所定の幅を有する攪拌リブ43e−3を有している。リブ43e−3は、軸43e−1の回転に伴って現像剤を攪拌する。
【0032】
第1のスクリュー43dは、現像室43a内の現像剤を攪拌しつつ搬送する。また、第2のスクリュー43eは、自動トナー補給制御(ATR)のもとで、現像剤補給装置44によって補給された現像剤と、既に攪拌室43b内にある現像剤とを攪拌しつつ搬送して、現像剤中のトナー濃度を均一化する。
【0033】
第1、第2のスクリュー43d、43eは、現像スリーブ41の回転軸線方向(現像幅方向)に沿ってほぼ平行に配置されている。そして、第1のスクリュー43dと、第2のスクリュー43eとは、現像スリーブ41の回転軸線方向に沿って互いに逆方向に現像剤を搬送する。こうして、現像剤は、第1、第2のスクリュー43d、43eによって、受け渡し部43f、43gを介して現像容器40内を循環させられる。つまり、第1、第2のスクリュー43d、43eの搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度の低下した現像室43a内の現像剤が、一方の受け渡し部43f(図4の紙面左側)を介して攪拌室43b内へ移動する。また、トナーが補給されて攪拌された攪拌室43b内の現像剤が他方の受け渡し部43g(図4の紙面右側)を介して現像室43aへ移動する。
【0034】
現像装置4の現像室43aは、感光体1に対面した現像領域に相当する位置が開口しており、この現像容器40の開口部に、一部露出するようにして現像スリーブ41が回転可能に配置されている。現像剤は、現像室43aから現像スリーブ41に供給される。現像スリーブ41に供給された現像剤は、マグネットロールの発生する磁界により現像スリーブ41上に所定の量が担持され剤溜まりを形成する。現像スリーブ41上の二成分現像剤は、現像スリーブ41が回転することによって、剤溜まりを通過して規制ブレード42によって層厚が規制されると共に、感光ドラム1と対向する現像領域へと搬送される。現像領域で、現像スリーブ41上の現像剤は穂立ちして磁気穂を形成する。
【0035】
本実施形態では、磁気穂を感光体1に接触させて、現像剤のトナーを感光ドラム1に供給することで、感光ドラム1上の静電像をトナー像として現像する。また、現像効率、即ち、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、通常、現像スリーブ41には電圧印加手段としての現像バイアス電源から、直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。感光ドラム1にトナーを供給した後の現像スリーブ41上の現像剤は、現像スリーブ41が更に回転することによって現像室43aに戻って現像剤循環の内に戻る。
【0036】
また、現像装置4には、現像剤補給装置44を接続している。補給装置44は、現像剤収容容器10に接続されたトナーホッパ44a内に、トナー補給スクリュー44bを配置している。また、トナーホッパ44aは現像容器40の攪拌室43bの上部で、第2のスクリュー43eによるトナー搬送方向上流に連結されている。現像剤収容容器10から補給される現像剤は、トナー補給スクリュー44bの回転により搬送され、この回転に応じた所定量、トナーホッパ44aから攪拌室43bに供給される。そして、上述の現像工程によって消費した分の現像剤を補給することで次の現像工程に備える。
【0037】
また、本実施形態では、現像装置4は装置本体に着脱可能な現像カートリッジとしている。また、感光体1と帯電装置2、及びクリーニング装置7とを一体として、装置本体に着脱可能なドラムカートリッジを構成している。現像カートリッジとドラムカートリッジとは、離間可能に装置本体に設置され、それぞれを別々に取り出しが可能な構成となっている。
【0038】
また、現像装置4には、現像スリーブ41と感光体1との間に所定の距離を設定して固定するためのスペーサ部材が備えられており、所定の当接圧でスペーサ部材を感光体表面に突き当てる。このために、装置本体の現像カートリッジ設置部には、現像カートリッジをドラムカートリッジ方向に加圧する加圧レバーが備えられており、レバーを回転させることで所定の当接圧を加える。現像カートリッジを取り外すためには、加圧レバーを回転させて、現像カートリッジとドラムカートリッジ間にかけられている圧力を解除する。そして、それぞれのカートリッジを装置本体に設けられたガイド部材に沿って引き出して交換する。
【0039】
なお、図4に示す44hは透磁率を検知する透磁率センサである。透磁率センサ44hは、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による見かけの透磁率を検知して電気信号に変換するインダクタンスヘッドを有する。そして、インダクタンスヘッドからの出力信号によって現像容器40内の現像剤中のトナー濃度を検知する。本実施形態の場合、以下に説明する現像剤補給制御に加えて、このように検知したトナー濃度と基準値とを比較することによっても現像剤の補給を行い、現像剤補給制御をより高精度に行えるようにしている。なお、透磁率センサ44hは省略することもできる。
【0040】
[現像剤補給制御]
次に、本実施形態の現像剤補給制御について説明する。このために、まず、画像データ処理手段であるビデオカウンタ80、現像剤の濃度や、階調制御を行うときに使用する検査画像検知手段(以下パッチ検センサ)57について、図2及び図5により説明する。図5に示すように、原稿が画像読取装置であるCCD(Charge Coupled Device)8cによって読み取られると、AMP8iにより信号が増幅され、A/D変換8dに送られる。そして、γ変換8e及びD/A変換8fを経由した入力画像信号と、三角波発生回路8gで発生した三角波とでコンパレータ8hによってPWM信号を生成し、この信号が露光制御回路8jに送られる。この露光制御回路8jでは、スキャナを介して感光体1の帯電表面に静電潜像を形成する。同時にA/D変換された入力画像信号(画像データ)は、その1画素毎にビデオカウンタ80によって濃度が積算される。そして、制御手段であるCPU8aによって、その積算値から画像比率及び現像装置4のスクリュー43d、43eの駆動を、予め用意されたテーブルで変換する。
【0041】
また、パッチ検センサ57は、図2に示すように、中間転写ベルト51に対向した位置で、一次転写部N1に対して下流且つ二次転写部N2上流に配置している。なお、感光体1と現像装置4との対向部よりも感光体1の回転方向下流であって、感光体1と転写装置5との対向部よりも回転方向上流に、感光体1に隣接して配置しても良い。このようなパッチ検センサ57は、LED発光部と受光部からなる。そして、発光部から直接受光した数値と、中間転写ベルト51若しくは感光ドラム1上に、あるタイミングで20mm角程度のハーフトーンを現像したパッチ画像に対し、透明板を介して得られる反射光の数値とにより、所定の演算を行ってトナー濃度を検知する。
【0042】
この際、反射光の方が明るい場合には、トナー濃度が低く、反射光の方が暗い場合にはトナー濃度が高いと検知される。トナー濃度が低いと検知されると、ある一定の濃度になるまでビデオカウント値に対してトナー補給を増大するように補正を行う。一方、トナー濃度が高いと検知されると、ある一定の濃度になるまでビデカウント値に対してトナー補給を低減するように補正を行う。このようにして、現像剤中のトナー濃度を一定に保っている。
【0043】
次に、ビデオカウンタ80を用いた現像剤補給制御について、図6ないし図12も参照しつつ説明する。まず、画像がスキャナによって読み込まれると、画像データに基づく出力画像の画素毎の濃度をビデオカウンタ80により積算する。詳細には、2つの積算値を算出する。積算値の1つ(第1の積算値)は、出力画像の総画素の濃度積算値である。積算値のもう1つ(第2の積算値)は、図6に示すように、原稿先端からの副走査方向(所定方向)の位置における、その垂直方向である主走査方向の画素の濃度の積算値(ΣDn)である。つまり、ΣDnは、副走査方向の画素の位置をx座標、主走査方向の画素の位置をy座標としたとき、原稿先端からx軸方向に1〜i番目のそれぞれの位置における、y軸方向1〜j番の画素の濃度を積算した値である。このようにビデオカウンタ80により積算した2つの積算値は、CPU(制御部)8aに印加されるとともにRAM8bに記憶される。
【0044】
CPU8aは、上述の第1の積算値に基づき、当該出力画像の画像形成で消費されるトナーの総量、及び、補給装置44から補給すべきトナーの総量を供給するのに要するトナー補給スクリュー44bの回転駆動時間を求める。また、CPU8aは、第2の積算値から、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率(濃度積算値の分布、濃度分布)を算出し、算出した画像比率に基づいて、補給装置44によりトナーを補給するタイミングを制御する。即ち、画像比率に応じて重み付けした補給タイミングのシーケンスを作成し、そのシーケンスに基づいてトナー補給スクリュー44bを制御する。
【0045】
トナー補給スクリュー44bの回転駆動時間(回転回数)と、トナーの補給量とは比例関係にある。したがって、トナー補給スクリュー44bを駆動するモータの駆動回路を制御して、上述の積算値から予測したトナー補給量に応じた時間、トナー補給スクリュー44bを駆動すれば良い。このとき、トナー補給はトナー補給スクリュー44bの1回転単位で制御する。即ち、画像濃度積算値がトナー補給スクリュー44bの1回転分のトナー搬送量分積算されることで、初めて補給動作を実行する。このために、トナー補給スクリュー44bの回転回数を検知する回転検知手段44cを設け、回転検知手段44cにより検知した信号をCPU8aに送っている。回転検知手段44cは、例えば、トナー補給スクリュー44bの回転軸にフラグを設け、このフラグの通過をフォトセンサにより検知する構造とする。
【0046】
画像信号を取込み、RAM8bに濃度積算値を記憶すると、CPU8aによって総濃度積算値(第1の積算値)から求めたトナーの総量を供給するために、トナー補給スクリュー44bを何回回転させるかを算出する。このとき、スクリュー(トナー補給スクリュー44b)の回転回数で割り切れなかった分の濃度値は、次の画像形成動作に持ち越して総濃度積算値に加算する。
【0047】
次に、補給タイミングの決定について説明する。まず、出力画像の副走査方向の長さを、スクリューの回転回数に応じた複数の領域に分割する(補給ブロック数を算出する)。例えば、所定の大きさを有する記録材に全面ベタ画像を形成する場合に必要なトナー量を供給するために、スクリューをn回回転させるとする。この場合、記録材の画像形成領域、即ち出力画像を副走査方向にn等分する。なお、ここで言う出力画像とは、記録材の画像形成領域全体の画像で、この画像形成領域内で画像が形成されない部分があれば、それも含むものである。したがって、この出力画像を分割する数は、記録材の大きさ、補給装置44による補給性能(具体的にはスクリュー1回転あたりの現像剤の供給量)により決定される。
【0048】
出力画像を複数の領域に分割したら、各領域に対する濃度積算値を計算(画像比率を算出)し、濃度積算値が多い領域で現像剤が補給されるように補給タイミングを決定する。このとき、濃度積算値が記録材全面でほぼ均等の場合には、副走査方向の位置に対して平均的に各領域に補給タイミングを割り当てる。また、1回の画像形成における濃度積算値がトナー補給スクリュー44bの1回転分の補給量に満たない場合には、複数回の画像形成における副走査方向の位置と総濃度積算値とを算出して、平均的な位置に補給を行う。
【0049】
上述の現像剤補給制御のフローをまとめると、図7に示すようになる。即ち、画像形成が開始されると(S1)、スキャナなどにより画像データを読み込む(S2)。この画像データからビデオカウンタ80により総画素の濃度積算値(第1の積算値)を求め、この濃度積算値からトナーの総補給量を算出すると共に、補給ブロック数を算出する(S3)。なお、補給ブロック数は、上述したように、記録材に全面ベタ画像を形成した場合のスクリューの回転回数に応じて算出する。次に、ビデオカウンタ80に積算した第2の積算値から、出力画像の副走査方向の位置(各領域)における濃度の積算値(画像比率)を算出する(S4)。そして、算出した画像比率に基づいて補給タイミングを決定し(S5)、補給動作を開始する(S6)。この補給動作は、攪拌室43bに補給されたトナーが現像室43aに搬送され、画像形成に使用されるタイミングを考慮して行われる。
【0050】
具体的には、現像スリーブ41に担持された現像剤が感光体1の静電潜像を現像した後に現像室43aに戻されるタイミングで、現像剤が補給されるように補給動作を開始する。言い換えれば、その補給量に対するトナー量が消費された後のタイミングで、消費後の現像剤と補給された現像剤とがほぼ合流するようなタイミングとする。本実施形態では、現像工程によって消費されるトナー量分を予め現像容器に補給しておく点で、制御方式は、フィードフォワード方式であると言える。なお、パッチ検センサ57による補正は、常に行うようにしても良いし、適宜行うようにしても良いし、更には、パッチ検センサ57による補正制御を省略しても良い。
【0051】
[具体例]
次に、本実施形態を適用した具体例について説明する。ビデオカウンタ80に積算された濃度値は、各画素の濃度値を0〜255としてカウントされる。A4サイズの記録用紙の全面に255レベルの濃度(全面ベタ)で画像形成を行った場合、消費するトナーは凡そ0.4gである。ここで、全面ベタの画像形成を行う場合、定着プロセスを終えて出力された用紙に、反射濃度計X−riteで測定した場合に1.4〜1.5の濃度になるように、画像形成プロセスの条件を設定する。
【0052】
また、トナー補給スクリュー44bの1回転あたり約0.08gの補給が可能であるとする。このことから、A4サイズ1枚の画像形成の間に、トナー補給スクリュー44bの5回転分の補給を行うことが可能である。つまり、A4サイズの記録用紙に対して20%の画像比率分の濃度が積算されると、トナー補給スクリュー44bの1回転分となり、補給が開始されることになる。また、このときA4サイズの用紙の場合の出力画像は、図8(A)に示すように、副走査方向に5個の領域に分割される。
【0053】
このような前提の下、A4用紙を用いて図8(B)に示す全面ハーフトーンの画像パターンで画像形成を行う場合、次のような制御を行う。このハーフトーン画像をスキャナで読み込んだとき、全面ベタ画像に対して40%の濃度であるとする。このとき、図9に示すように、A4サイズの副走査方向の長さに対してトナー補給スクリュー44bの5回転分の補給可能時間があるのに対して、2回転分の補給で良い。
【0054】
なお、この図9は、横軸が時間tで、縦軸が濃度又はトナー量である。また、最上段の線図は、A4用紙全面の現像時間(副走査方向の長さに対応)で、下の段の線図に対する基準として示している。2段目は画像濃度プロファイル(副走査方向の濃度積算値)を示し、全面ベタ画像(max)に対して40%の濃度(ハーフトーン)で全面に画像が形成されることを示している。また、3段目は比較例1の、4段目は比較例2の、最下段は本実施形態の、それぞれの補給タイミングで所定のトナー量を補給する場合を示している。
【0055】
まず、比較例1の場合、最初のタイミング(現像が開始される時間)でトナー補給スクリュー44bを連続して2回転させることにより、必要なトナー量を補給している。この場合、トナーが消費される量とそのタイミングがトナーを補給する量とそのタイミングと一致しないため、濃度ムラが生じる可能性がある。即ち、現像が開始されるタイミングでトナーが補給されるため、補給されたトナーが現像スリーブ41に到達したときにはトナーの消費が既に始まっており、トナー補給が間に合わなかった部分に濃度ムラが生じる可能性がある。また、補給トナーがあるタイミングで集中的に現像スリーブに到達するため、それ以外のタイミングで補給トナーが不足し、やはり、濃度ムラが生じる可能性がある。一方、比較例2の場合、補給装置44からの補給位置から現像スリーブ41にトナーが到達するまでの時間ΔT早めて、トナー補給スクリュー44bを回転させている。この場合、現像の開始タイミングに合わせて補給トナーが現像スリーブ41に到達するため、比較例1よりも濃度ムラが生じにくくなると考えられる。但し、最初に集中してトナー補給が行われる点は比較例1と変わらないので、やはり、濃度ムラが生じる可能性がある。
【0056】
これに対して、本実施形態の場合、比較例2のように時間をずらした状態で、更に、補給可能な全時間に対して均等となるタイミングでトナー補給スクリュー44bを回転させている。即ち、A4サイズの現像時間に対してΔTずらした場合の2/5、4/5の時点でそれぞれ補給スクリュー1回転分の補給を行う。この場合、トナー補給タイミングが分散されるため、比較例1、2程、トナーが消費される量とそのタイミングがトナーを補給する量とそのタイミングに対してずれることを抑えられ、濃度ムラを低減できる。なお、トナー補給スクリュー44bの回転タイミングは、例えば、A4サイズの現像時間に対してΔTずらした場合の1/5、3/5の時点でも良い。
【0057】
なお、原稿1枚の濃度積算値が補給スクリュー1回転分の補給量相当である20%の濃度に満たない場合は、N数枚の画像形成の濃度および画像形成時間を積算して、N数枚の中間のタイミングで補給スクリュー1回転分の補給を行う。また、余剰した濃度積算値分においても、同様に予測して中間のタイミングで補給を行う。
【0058】
次に、A3用紙を用いて図10に示す画像パターンで画像形成を行う場合について説明する。このときの画像パターンは、A3全面ベタ画像の画像比率を100%としたとき、全体として30%の画像比率であったとする。上述のようにA4用紙では画像比率20%でスクリュー1回転分であるため、A4用紙の2倍の大きさであるA3用紙ではスクリュー1回転は画像比率10%に相当する。したがって、画像比率30%の補給量はスクリュー3回転分である。
【0059】
ここで、補給タイミングはA3用紙1枚に対して補給可能なスクリュー回転数が10回であることから、出力画像を副走査方向に10分割し、その各領域に対する濃度積算値(画像比率)から補給タイミングを決定する。図10に示す画像パターンの場合、図11に示す画像濃度プロファイルから、濃度積算値の多い領域が3つあることが分かる。なお、図11は、前述の図9と同様の図である。したがって、これら3つの領域に対して補給タイミングを割り当てて、現像剤の補給位置から現像スリーブ41までのタイムラグΔT秒早めたタイミングで補給スクリューを回転させれば良い。
【0060】
上述のような本実施形態によれば、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率に基づいて補給装置44によりトナーを補給するタイミングを制御するため、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる。
【0061】
[実施例1]
次に上述の構成のうち、比較例1と本実施形態(実施例1)とで画像濃度変動の推移を調べた実験について説明する。実験では、図8に示すようにA4用紙サイズに対して40%の画像比率のハーフトーン画像を、図10に示すようにA3用紙サイズに対して30%の画像比率のモザイク画像を、それぞれ比較例1と実施例1とのそれぞれの補給タイミングで画像形成動作を行った。そして、形成された画像の濃度をそれぞれ測定した。それぞれの画像形成枚数は15000枚とした。この結果を図12に示す。図12は、画像形成枚数に対する画像濃度の推移を示している。この図12から明らかなように、実施例1によれば、長期にわたる画像形成動作において、特に高画像比率の画像形成時に、画像濃度変動の幅を小さくすることができることが分かった。この結果、本実施形態によれば、長期にわたる画像形成動作を行っても、高品質及び高画質な画像形成を行うことができることが分かった。
【0062】
なお、本実施形態では、フィードフォワード方式を例に説明したが、以下のようなフィードバック方式でも、本発明が適用可能である。即ち、フィードバック方式とは、実際に消費された後に、消費されたトナー分だけトナー補給する方式である。この場合、現像位置でトナー消費された領域が補給位置に到達したときに、消費されたトナー分を補給する方式となる。本発明を適用した場合にフィードフォワード方式と異なる点は、既に現像された出力画像の副走査方向の画像情報に基づいて、補給タイミングを制御する点が異なる。また、本実施形態では、画像比率を画素毎の濃度を積算することにより算出しているが、このような積算値を求めなくても、データとして画像比率が分かるものがあれば、それを利用して現像剤の補給タイミングを制御することもできる。例えば、画像比率が高い領域を座標などで把握できれば、その画像比率が高い領域に対応したタイミングで現像剤が補給されるようにする。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、図13ないし図15を用いて説明する。本実施形態では、出力画像の副走査方向の位置に対する画像比率だけではなく、主走査方向の位置に対する画像比率を加味し、現像剤の補給タイミングを決定する。即ち、CPU8a(図5参照)は、出力画像の副走査方向及び主走査方向の位置に対応した画像比率を算出し、主走査方向下流に向かう程、その画像比率に対する現像剤の補給タイミングを早めるようにしている。即ち、主走査方向下流での現像剤の補給タイミングを、主走査方向上流での現像剤の補給タイミングよりも早める。例えば、前述の図8(A)に示したような、出力画像を副走査方向に5つに分割した場合で、副走査方向1番目と2番目の領域について説明する。この場合、2番目の領域の主走査方向下流の画像比率の値は1番目の領域の画像比率に積算され、1番目の領域の主走査方向上流の画像比率の値は2番目の領域の画像比率に積算される。このため、主走査方向下流の画像比率に対する現像剤の補給量が補給タイミングが1段階早い領域に反映され、主走査方向上流の画像比率に対する現像剤の補給量が補給タイミングが1段階遅い領域に反映される。そして、結果として、主走査方向下流での現像剤の補給タイミングが主走査方向上流での現像剤の補給タイミングよりも早まる。
【0064】
本実施形態では、このために、出力画像の副走査方向の長さを、スクリューの回転回数に応じた複数の領域に分割する(補給ブロック数を算出する)際に、図13(A)に示すように、出力画像を主走査方向に対して傾斜した領域に分割している。即ち、主走査方向下流の画像比率に対する現像剤の補給が、主走査方向上流の画像比率に対する現像剤の補給よりも早い段階の補給タイミングに反映されるようにしている。そして、各領域の濃度積算値(画像比率)を算出し、補給タイミングを決定している。
【0065】
本実施形態の場合、フィードフォワードとフィードバックとの何れの場合も、分割領域の副走査方向に対する傾きαは、感光体1の回転速度と現像室43a内での現像剤の搬送速度(スクリュー43dの回転速度)との関係から導き出した。要するに、出力画像を、現像室43a内(現像装置内)の現像剤搬送速度(主走査方向速度)と、感光体回転速度(副走査方向速度)との比で決まる傾きαで分割する。
【0066】
即ち、スクリュー43dの回転速度/感光体1の回転速度=αとしたとき、このαが分割領域の傾きθとなり、感光体1の回転方向(像担持体表面の移動方向)に対して傾きαとなる方向(所定方向)に関する濃度分布を見て、補給タイミングを決定する。
【0067】
現像装置内の現像剤の搬送速度は、次のように求めることができる。即ち、図4に示すような形で、高速度ビデオカメラによって現像容器上方から現像剤中に異なる色のトナーを補給し、現像室43a内でトナーが搬送されている様子を動画撮影する。そして、画像解析によって補給トナーの色成分が最も濃い位置を特定することで求めることができる。例えば、シアン色の現像剤が充填されている現像剤を用意し、イエローのトナーを図4の受渡し部43gの位置の現像剤上に0.5g程度置く。その後、高速度ビデオカメラによって上方から現像剤が搬送される様子を撮影する。そして、撮影した動画から、イエロートナーの最も濃いポイントが搬送される搬送速度[mm/sec]を算出する。
【0068】
消費された現像剤を過不足なく補給するようにするには、分割領域の角度θ=arctanαとすることが理想である。但し、θ=arctanα±16°の範囲にすれば、分割角度θがarctanαからずれてくることによる色味変動ΔEを3以下に抑えることができる。以下これについて説明する。
【0069】
上述のようにθを±16°の範囲にすることで、色味変動ΔEを抑えることができるのは、αで決定した分割領域の面積に対するずれ量を20%以下にすることができるためである。θが+方向にずれると、図13(A)の破線が時計まわりに回転し、−方向にずれると反時計まわりに回転し、分割領域がarctanαで決定した領域に対してずれる。そうすると、各領域に割り当てられた消費量と補給トナー量がずれるため、色味変動が大きくなってしまう。θの範囲を±20°±25°で分割した場合、それぞれ最大28%、39%ずつ理想的な分割に対して前後の分割領域の消費量を反映してしまう。この場合、副走査方向の幅40mmのベタ帯が均等に2本形成される画像等を形成し、各領域における画像濃度を分光濃度計X−riteを用いて測定し、色味変動を求めるとΔE>4.5〜5.5(測定濃度差Δ0.1〜0.2目安)となった。また、目視でも濃度ムラが確認された。
【0070】
一方、±16°(面積ずれは19%)にすることで、画像濃度の変動はΔE約2.8〜3.0と、目視での濃度ムラ確認が難しいレベルまで変動を抑制可能となった。また、ずれ量をθ±17〜20にすると面積のずれ量が23〜29%と大きくなり、ΔE=3.2〜3.6と認識可能な色味変動が確認されるレベルになった。さらに理想的な分割角度θの中心値を用いると、ΔE=2.4となりより安定した色味を得ることができた。
【0071】
以上より、θ=arctanα±16°の範囲にすることによって色味変動を抑えることができる。
【0072】
なお、図14のΔT1は、フィードフォワード方式では、補給装置44からの補給位置から現像スリーブ41にトナーが到達するまでの時間である。また、フィードバック方式では、ΔT1は、現像スリーブ41で現像後の現像終了剤が、補給位置44へ到達するまでの時間となる。
【0073】
これは、図14に示すように、現像室43aの上流に存在する現像剤が下流に移動するまでにΔT2の時間がかかるためである。即ち、現像室43aの上流で現像剤が現像スリーブ41に搬送されるタイミングに対し、現像室43aの下流で現像剤が現像スリーブ41に搬送されるタイミングは、ΔT2の遅れがある。現像室43a内での現像剤の搬送方向は主走査方向に対応する。したがって、図13(B)に示すように、出力画像を主走査方向と平行に分割した場合、出力画像の分割領域のうちの同じ領域内であっても、トナーの消費タイミングに対して補給タイミングがずれてしまう。このために本実施形態の場合には、主走査方向下流に向かう程現像剤の補給タイミングを早め、主走査方向に関するトナーの消費タイミングと補給タイミングとのずれを解消している。
【0074】
より、具体的に説明する。まず、主走査方向に関し、現像室43aの上流で取り込まれた現像終了剤と下流で取り込まれた現像終了剤にΔT2の時間の遅れが発生する。このため、図13(B)に示すように、画像の現像室43aの下流(主走査方向下流)に近い方で消費された現像終了剤が、上流よりも先にトナー補給位置に到達する。副走査方向の次の領域の現像終了剤と混ざり合うことが繰り返し行われ、補給位置には複数の副走査方向領域の現像終了剤が混ざって到達する。
【0075】
例えば、図13(B)のように、出力画像を主走査方向と平行に分割した場合の、最初に補給位置に到達する領域(図の一番上の領域)の主走査方向上流の現像終了剤は、2番目に到達する領域(図の上から2番目の領域)の主走査方向下流の現像終了剤と混ざる。即ち、最初の領域の主走査方向上流の現像終了剤が搬送されている間に、2番目の領域の現像終了剤が混ざる。同様に、最後に補給位置に到達する領域(図の一番下の領域)の主走査方向下流の現像終了剤は、最後から2番目に到達する領域(図の下から2番目の領域)の主走査方向上流の現像終了剤と混ざる。このため、図13(B)のように出力画像を分割して現像剤の補給制御を行う場合、画像形成時のトナー消費のタイミングに対して最適な補給のタイミングが、ずれてしまうおそれがある。
【0076】
そこで、図13(A)に示すように、補給タイミングを合わせるために、出力画像を副走査方向に対して所定の角度だけ傾斜した領域に分割し、各領域で濃度を積算して補給タイミングを決定する。これにより、補給位置に近い側(主走査方向下流)で現像剤が消費された領域を早いタイミングで補給に反映させることができ、現像剤の消費タイミングと補給タイミングとをより近づけられ、濃度ムラをより低減できる。その他の構造及び作用は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0077】
[実施例2]
次に上述の構成で(実施例2)で画像濃度変動の推移を調べた実験について説明する。実験では、A3用紙後端部にA4用紙サイズに対して25%の画像比率の帯画像を通紙して画像形成動作を30000枚行った。そして、形成された画像の濃度をそれぞれ測定した。この結果を図15に示す。図15は、画像形成枚数に対する画像濃度の推移を示している。また、比較例1と実施例1は、前述の第1の実施形態の実施例で説明した比較例1と実施例1とで示した構成で、同様に画像形成を行った場合の結果である。この図15から明らかなように、実施例2によれば、長期にわたる画像形成動作において、特に高画像比率の画像形成時に、実施例1よりも更に画像濃度変動の幅を小さくすることができることが分かった。この結果、本実施形態によれば、長期にわたる画像形成動作を行っても、高品質及び高画質な画像形成を行うことができることが分かった。
【0078】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、図16を用いて説明する。上述の各実施形態においては、原稿先端からの副走査方向の位置に対する画像比率を算出することでより高精度な補給制御を行う構成について示した。しかし、原稿をスキャンして、補給量及び補給タイミングを予測してから作像開始するために、ファーストコピーまでに時間を要してしまう。そこで、本実施形態では、画像のスキャンと濃度の積算をほぼ同時に行うことで、画像データの処理時間を短縮し、画像形成装置の最初の画像形成動作までの時間を短縮する構成としている。
【0079】
詳細には、図16に示すように、画像形成が開始されると(S21)、画像データをスキャン開始する(S22)と同時に、一番先頭の副走査方向画素i=1(図6参照)から主走査方向画素を積算(S23)する。そして、その積算値を副走査方向に順次加算していく(S24)。もし前回のジョブの濃度積算値があれば、最初に濃度積算値に加算する(S25)。副走査方向の濃度積算値を加算した後、補給スクリュー1回転分の補給に応じた濃度積算値に達しているか否かを判断する(S26)。もし達していない場合は次の副走査方向の画素に移動して(S27)、主走査方向濃度積算値ΣDnを加算する(S24)。達している場合は補給スクリューを1回転させて補給動作を行う(S28)。このとき、副走査方向画素i=N番目(画像データの最後)になった場合(S29)、スキャンを終了する(S30)。一方、画像データが最後でなければ、濃度積算値から補給1回転分の積算値を引き(S31)、S25に戻る。
【0080】
本実施形態によれば、画像データのスキャン開始と同時に画像処理を開始するため、画像処理時間及び補給制御時間を画像スキャン時間に吸収することができ、ファーストコピーまでに要する時間の短縮を図れる。具体的には、実施例1の構成で画像形成を行った場合、画像データのスキャン開始から作像動作開始までに要する時間はA3用紙サイズで4.00[sec],画像処理時間が1.5[sec],補給量及びタイミングの制御処理時間が0.5[sec]を要した。これに対して、本実施形態の構成によれば、ファーストコピーまでに要する時間を約2.0[sec]短縮することができた。尚、本実施例も、トナー補給位置から現像位置にトナーが搬送される時間分を考慮して補給するタイミングにタイムラグを設けている。
【0081】
以上より、本実施形態の構成を用いることにより、画像濃度に応じた補給を行うことにより画像比率が大きい画像を形成した場合に安定した補給を行い濃度ムラのない安定した高品質な画像を提供することができる。且つ、ダウンタイムの少ない画像形成装置を提供することができる。その他の構造及び作用は、前述の第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・像担持体(感光体)、4・・・現像装置、8a・・・制御手段(CPU)、44・・・補給装置、80・・・画像データ処理手段(ビデオカウンタ)、100・・・画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、或は、これらの複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関し、詳しくは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用した電子写真方式、静電記録方式などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式や静電記録方式などの作像原理やプロセス手段で記録材にトナー像を形成し、その記録材上のトナー像を定着手段で定着させて画像形成物を出力する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、トナー像を形成するための現像装置が組み込まれる。この現像装置として、非磁性のトナー及び磁性を有するキャリアにより構成する二成分現像剤を用いる二成分現像方式が知られている。この構造の場合、現像剤補給装置から供給されたトナー(キャリアを含む場合もある)と現像装置の現像剤収容部に充填されているキャリアとを撹拌搬送し、摩擦で帯電したトナーにより、感光ドラムなどの像担持体上に形成された静電潜像を顕在化する。このような二成分現像剤を使用した画像形成装置は、トナーに磁性体を含ませなくてもよいため、色味が良好であるなどの理由から広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置では、画像形成によって消費した分のトナーを補給する必要がある。このために、スキャナなどの画像読取装置やパーソナルコンピュータなどの外部端末から入力された画像データに基づいて、ビデオカウンタなどの画像データ処理手段によりトナーの消費量を算出する。具体的には、画像データに基づいて、デジタル画像信号の画素毎の出力レベルを積算したビデオカウント数を一義的にトナー補給量に換算する。そして、このトナー補給量をトナー補給時間に変換して、補給装置のスクリューなどの現像剤補給搬送部材の駆動時間、回転回数などを決定し、トナーの予測補給を行う{ビデオカウントATR方式(Auto Toner replenishment)}。
【0004】
また、このようなビデオカウントATR方式にパッチ検ATR方式を組み合わせた構造も知られている。このパッチ検ATR方式は、感光ドラムまたは中間転写体上にある階調が異なる複数のパッチ画像を形成し、このパッチ画像の濃度を検知して、トナーの過不足を判断し、必要量のトナーを補充するものである。
【0005】
このようなビデオカウントATR方式とパッチ検ATR方式の組み合わせた場合、まずビデオカウント方式によって、画像信号から1画素毎に濃度レベルがカウントされ、その積算値が算出される。また、通常の画像形成時に非画像域にパッチ画像を形成し、そのパッチ画像の濃度信号を読み取って、パッチ画像の適正値と比較する。そして、パッチ画像が適正値よりも濃い場合はトナーが多い状態のため補給を減らすように、パッチ画像が適正値より薄い場合はトナーが少ないため補給を増やすように、それぞれビデオカウントATR方式で算出された濃度レベルの積算値に補正をかける。そして、濃度レベルの積算値が所定の値まで累積されると現像剤補給搬送部材を所定の時間動作させて、適正な量のトナー補給を行う。
【0006】
しかしながら、近年特に画像形成装置及び現像装置の小型化または画像形成装置の高速化が進み、現像剤の容量が減少したり現像剤の搬送速度が増加する傾向にある。この場合、現像剤を担持して感光ドラム上の静電潜像を現像する現像剤担持体である現像スリーブの現像領域で、トナーが消費されたときのトナー濃度の変動に対して適正なタイミングで適正な量のトナーを補給する必要がある。このようなタイミングや量が適正でなければ、現像装置内部における現像剤のT/D比(現像剤の総量に対するトナーの重量比、トナー濃度比率)にムラが発生し、これによって画像濃度の安定性が損なわれる可能性がある。
【0007】
このような事情に鑑み、現像装置の攪拌部材の駆動速度をビデオカウンタの値によって可変にすることで、現像剤搬送経路中の現像剤濃度のリップルを低減する構造がある(特許文献1参照)。また、画像の潜像書き込みの面積率によって、現像剤の補給量や補給時間などを設定する構造もある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−57950号公報
【特許文献2】特開平8−227213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された構造の場合、画像形成中に現像剤攪拌部材の駆動速度を変えることで、現像剤面の高さなどが変化するために現像スリーブに供給される現像剤量に現像スリーブのスラスト方向でムラが発生する可能性がある。特に、現像装置が小型になるにつれて、この剤面高さムラは大きくなる可能性がある。剤面の高さムラが生じると画像に濃度ムラが生じる可能性がある。
【0010】
また、上述の特許文献2に記載された構造の場合、記録媒体におよそ均一な画像潜像書き込みが行われる場合には有効であると考えられる。但し、出力する画像が、画像比率が高い領域が記録媒体の画像形成領域で所定の位置に偏っている画像パターンである場合、トナーの消費のタイミングと補給のタイミングを合わせることは難しく、画像濃度ムラを発生させる可能性がある。即ち、特許文献2に記載された構造の場合、画像比率の偏りを考慮して現像剤の補給タイミングを設定していない。このため、例えば、画像比率が高く、トナー消費量が多いタイミングで現像剤が補給されるわけではない。したがって、特に、記録媒体が大きい場合、その高い画像比率の潜像書き込み位置が潜像書き出し位置から離れていると、トナーの補給タイミングが合わずに濃度ムラが発生してしまう。
【0011】
例えば、A3用紙の先端及び後端にそれぞれ高濃度の画像パターンがある場合、これらの画像形成に必要なトナー量を画像先端のタイミングで補給すると、トナーの消費量とそのタイミングに対する補給量とそのタイミングが合わない。即ち、画像先端のタイミングでは、消費されるトナーの量に対して補給されるトナーの量が多くなり、画像後端のタイミングでは、消費されるトナーの量に対して補給されるトナーの量が少なくなる。このため、トナー濃度のムラが生じ、画像の濃度ムラが生じる可能性がある。特に、小型の現像装置や高速な画像形成装置の場合、この濃度ムラが顕著に発生してしまう可能性がある。
【0012】
特に、フルカラーの画像形成装置においては、高画質化のために、各色成分画像の最大濃度や、中間調濃度を規定し、画像形成装置の個体差、環境変動に影響されずに、常に一定の濃度画像が得られるように制御する画像濃度制御が重要である。このため、従来のフルカラー画像形成装置においては、画像濃度制御を行うために定期的に濃度検知を行い、静電潜像の露光や現像バイアス等の条件を制御することにより、画像濃度を制御している。
【0013】
しかしながら、このような濃度制御において、現像剤のT/D比が適正値に対して大きく異なっている状態で、最大濃度や中間調濃度の制御を行うための濃度検知を行うと、画像濃度変動が大きくなってしまう。これは、現像剤のT/D比を適正値に戻そうとATRを行っている途中で、画像形成の条件をT/D比の異なる現像剤を基準にして決定してしまうためである。
【0014】
したがって、画像濃度変動をより安定させるためには、T/D比が適正値になっているタイミングで画像濃度制御を行うことが最も好ましい。T/D比が適正値になっているかどうかを確認するためには、基準濃度のパターンであるパッチ画像を形成し、その濃度を検知する構成が考えられる。しかし、この構成では、画像形成装置のダウンタイムが大きく、またトナーの消費量も多くなってしまう。フルカラー画像形成装置においては、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)の各色の確認を行わないといけないため、さらに問題は大きなものとなる。
【0015】
前述のように、現像時のトナー消費とトナー補給とのタイミングが合わないと、このような現像剤のT/D比が適正値に対して大きく異なる状態が生じ、濃度変動が生じ易くなる。
【0016】
本発明は、上述のような事情に鑑み、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像担持体と対向する現像位置にトナー及びキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備え、前記静電潜像を現像する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給する補給装置と、出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、前記補給装置の補給タイミングを制御する制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、補給装置の補給タイミングを制御するため、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【図2】図1の一部を拡大して示す概略構成断面図。
【図3】補給装置及び現像装置を取り出して示す概略構成断面図。
【図4】現像装置の一部を切断して感光ドラムと共に示す概略構成平面図。
【図5】第1の実施形態の現像剤補給制御を説明するためのブロック図。
【図6】ビデオカウンタによるデータ処理について説明するために、出力画像を複数の画素に分割した概略図。
【図7】第1の実施形態の現像剤補給の制御を示すフローチャート。
【図8】(A)は出力画像を複数に分割した図で、(B)は記録材に全面ハーフトーンの画像を形成した図。
【図9】第1の実施形態における現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図10】出力画像の画像パターンの1例を示す図。
【図11】図10の画像パターンにおける現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図12】第1の実施形態に係る効果を説明するための図。
【図13】本発明の第2の実施形態における現像剤の補給タイミングを説明するための図。
【図14】同じく、図4と同様の図。
【図15】第2の実施形態に係る効果を説明するための図。
【図16】本発明の第3の実施形態の現像剤補給の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置について、図1及び図2を用いて説明する。
【0021】
[画像形成装置]
画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色フルカラー画像を、電子写真方式を利用して記録材(記録用紙、プラスチックシート、布等)に形成することができる。このような画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する4つの画像形成ステーションを有するタンデム式である。本実施形態では、各画像形成ステーションの構成は、現像色が異なる以外は実質的に同一であるので、総括的に説明する。
【0022】
画像形成ステーションPは、像担持体としてのドラム状の感光体(感光ドラム)1を有する。感光体1の外周には、帯電手段としての帯電装置2、露光手段としての露光装置(本実施例ではレーザー露光光学系)3、現像手段としての現像装置4、転写手段としての転写装置5、クリーニング手段としてのクリーニング装置7が設けられている。転写装置5は、中間転写体としての中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、複数のローラに掛け回されて、図1の矢印方向に回転(周回移動)する。また、中間転写ベルト51を介して各感光体1に対向する位置には、それぞれ一次転写部材である一次転写ローラ52が配置されている。また、中間転写ベルト51が掛け回されたローラのうち一つに対向する位置に二次転写部材である二次転写ローラ53が設けられている。
【0023】
画像形成時には、まず、帯電装置2によって、回転する感光体1の表面を一様に帯電させる。次いで、帯電した感光体1の表面を、露光装置3により画像情報信号に応じて走査露光することによって、感光体1上に静電潜像を形成する。なお、帯電装置2及び露光装置3により静電潜像形成手段を構成する。また、画像情報信号は、画像形成装置100本体(装置本体)に接続されたスキャナなどの原稿読み取り装置、或は、装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像情報に基づく。
【0024】
感光体1に形成された静電潜像は、現像装置4を用いてトナーによりトナー像として顕像化する。感光体1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト51と感光体1とが当接する1次転写部(一次転写ニップ)N1において、一次転写ローラ52に印加される一次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト51上に転写(一次転写)される。例えば、4色フルカラー画像の形成時には、イエローの画像形成ステーションから順次、各感光体1から中間転写ベルト51上にトナー像が転写され、中間転写ベルト51上に4色のトナー像が重ね合わされた多重トナー像が形成される。
【0025】
一方、記録材収容部としてのカセット9に収容されている記録材が、ピックアップローラ、搬送ローラ及びレジストローラ等の記録材搬送部材によって搬送される。そして、記録材が、中間転写ベルト51と二次転写ローラ53とが当接する二次転写部(ニップ部)N2に、中間転写ベルト51上のトナー像と同期がとられて搬送されてくる。そして、中間転写ベルト51上の多重トナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ53に印加される二次転写バイアスの作用により、記録材S上に転写される。
【0026】
その後、中間転写ベルト51から分離された記録材Sは定着装置6へと搬送される。記録材S上に転写されたトナー像は、定着装置6によって加熱、加圧されることによって溶融混合されると共に、記録材S上に定着される。その後、記録材Sは機外へ排出される。一次転写工程後に感光体1上に残留したトナー等の付着物は、クリーニング装置7によって回収される。これにより、感光体1は、次の画像形成工程に備える。また、二次転写工程後に中間転写ベルト51上に残留したトナー等の付着物は、中間転写体クリーナ56によって除去される。
【0027】
また、現像装置4には、自動トナー補給制御(ATR)のもと、現像剤収容容器10から現像剤補給装置によって消費した分の現像剤(主としてトナーであるが、キャリアが含まれる場合もある)が補給される。現像剤収容容器10は、各色の現像剤が収容されている。図示の例では、現像剤収容容器10と現像装置4との接続部を省略して示している。
【0028】
なお、画像形成装置100は、例えばブラック単色の画像など、所望の単色又は4色のうちいくつかの色用の画像形成ステーションを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することも可能である。
【0029】
[現像装置]
次に、現像装置4について、図3及び図4を参照して更に説明する。現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤を収容する現像容器40を有する。現像容器40の感光体1と対向する部分には、現像剤を担持搬送する現像剤担持体としての円筒状の現像スリーブ41を主走査方向に配置している。現像スリーブ41は非磁性材料で構成され、現像動作時には図3の矢印方向に回転する(副走査方向に移動する)。なお、現像スリーブ41の回転軸と感光体1の回転軸とはほぼ平行である。この現像スリーブ41内には、磁界発生手段としてのマグネットロール(磁石)が固定配置されている。また、現像スリーブ41の表面に近接した位置には、現像スリーブ41に現像剤の薄層を形成するための、現像剤量規制部材としての規制ブレード42が配置されている。
【0030】
また、現像容器40の内部は、隔壁43cによって現像室(現像剤搬送経路)43aと攪拌室(現像剤搬送経路)43bとに区画されている。そして、現像室43aに第1の現像剤搬送部材43dが、攪拌室43bに第2の現像剤搬送部材43eが配置されている。隔壁43cの長手方向両端部(図4中左側及び右側)には、現像室43aと攪拌室43bとの間での現像剤の通過を許す受け渡し部(現像剤搬送経路)43f、43gが設けられている。
【0031】
第1、第2の現像剤搬送部材43d、43eは、いずれもスクリュー状部材(以下、それぞれ「第1のスクリュー」、「第2のスクリュー」という。)である。つまり、本実施例では、第1、第2のスクリュー43d、43eは、それぞれ、磁性体の軸(回転軸)43d−1、43e−1の周りに、搬送部としての螺旋形状の羽根43d−2、43e−2を設けて形成されている。また、第2のスクリュー43eは、羽根43e−2に加えて、軸43e−1からその半径方向に突出し、現像剤の搬送方向に所定の幅を有する攪拌リブ43e−3を有している。リブ43e−3は、軸43e−1の回転に伴って現像剤を攪拌する。
【0032】
第1のスクリュー43dは、現像室43a内の現像剤を攪拌しつつ搬送する。また、第2のスクリュー43eは、自動トナー補給制御(ATR)のもとで、現像剤補給装置44によって補給された現像剤と、既に攪拌室43b内にある現像剤とを攪拌しつつ搬送して、現像剤中のトナー濃度を均一化する。
【0033】
第1、第2のスクリュー43d、43eは、現像スリーブ41の回転軸線方向(現像幅方向)に沿ってほぼ平行に配置されている。そして、第1のスクリュー43dと、第2のスクリュー43eとは、現像スリーブ41の回転軸線方向に沿って互いに逆方向に現像剤を搬送する。こうして、現像剤は、第1、第2のスクリュー43d、43eによって、受け渡し部43f、43gを介して現像容器40内を循環させられる。つまり、第1、第2のスクリュー43d、43eの搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度の低下した現像室43a内の現像剤が、一方の受け渡し部43f(図4の紙面左側)を介して攪拌室43b内へ移動する。また、トナーが補給されて攪拌された攪拌室43b内の現像剤が他方の受け渡し部43g(図4の紙面右側)を介して現像室43aへ移動する。
【0034】
現像装置4の現像室43aは、感光体1に対面した現像領域に相当する位置が開口しており、この現像容器40の開口部に、一部露出するようにして現像スリーブ41が回転可能に配置されている。現像剤は、現像室43aから現像スリーブ41に供給される。現像スリーブ41に供給された現像剤は、マグネットロールの発生する磁界により現像スリーブ41上に所定の量が担持され剤溜まりを形成する。現像スリーブ41上の二成分現像剤は、現像スリーブ41が回転することによって、剤溜まりを通過して規制ブレード42によって層厚が規制されると共に、感光ドラム1と対向する現像領域へと搬送される。現像領域で、現像スリーブ41上の現像剤は穂立ちして磁気穂を形成する。
【0035】
本実施形態では、磁気穂を感光体1に接触させて、現像剤のトナーを感光ドラム1に供給することで、感光ドラム1上の静電像をトナー像として現像する。また、現像効率、即ち、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、通常、現像スリーブ41には電圧印加手段としての現像バイアス電源から、直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。感光ドラム1にトナーを供給した後の現像スリーブ41上の現像剤は、現像スリーブ41が更に回転することによって現像室43aに戻って現像剤循環の内に戻る。
【0036】
また、現像装置4には、現像剤補給装置44を接続している。補給装置44は、現像剤収容容器10に接続されたトナーホッパ44a内に、トナー補給スクリュー44bを配置している。また、トナーホッパ44aは現像容器40の攪拌室43bの上部で、第2のスクリュー43eによるトナー搬送方向上流に連結されている。現像剤収容容器10から補給される現像剤は、トナー補給スクリュー44bの回転により搬送され、この回転に応じた所定量、トナーホッパ44aから攪拌室43bに供給される。そして、上述の現像工程によって消費した分の現像剤を補給することで次の現像工程に備える。
【0037】
また、本実施形態では、現像装置4は装置本体に着脱可能な現像カートリッジとしている。また、感光体1と帯電装置2、及びクリーニング装置7とを一体として、装置本体に着脱可能なドラムカートリッジを構成している。現像カートリッジとドラムカートリッジとは、離間可能に装置本体に設置され、それぞれを別々に取り出しが可能な構成となっている。
【0038】
また、現像装置4には、現像スリーブ41と感光体1との間に所定の距離を設定して固定するためのスペーサ部材が備えられており、所定の当接圧でスペーサ部材を感光体表面に突き当てる。このために、装置本体の現像カートリッジ設置部には、現像カートリッジをドラムカートリッジ方向に加圧する加圧レバーが備えられており、レバーを回転させることで所定の当接圧を加える。現像カートリッジを取り外すためには、加圧レバーを回転させて、現像カートリッジとドラムカートリッジ間にかけられている圧力を解除する。そして、それぞれのカートリッジを装置本体に設けられたガイド部材に沿って引き出して交換する。
【0039】
なお、図4に示す44hは透磁率を検知する透磁率センサである。透磁率センサ44hは、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による見かけの透磁率を検知して電気信号に変換するインダクタンスヘッドを有する。そして、インダクタンスヘッドからの出力信号によって現像容器40内の現像剤中のトナー濃度を検知する。本実施形態の場合、以下に説明する現像剤補給制御に加えて、このように検知したトナー濃度と基準値とを比較することによっても現像剤の補給を行い、現像剤補給制御をより高精度に行えるようにしている。なお、透磁率センサ44hは省略することもできる。
【0040】
[現像剤補給制御]
次に、本実施形態の現像剤補給制御について説明する。このために、まず、画像データ処理手段であるビデオカウンタ80、現像剤の濃度や、階調制御を行うときに使用する検査画像検知手段(以下パッチ検センサ)57について、図2及び図5により説明する。図5に示すように、原稿が画像読取装置であるCCD(Charge Coupled Device)8cによって読み取られると、AMP8iにより信号が増幅され、A/D変換8dに送られる。そして、γ変換8e及びD/A変換8fを経由した入力画像信号と、三角波発生回路8gで発生した三角波とでコンパレータ8hによってPWM信号を生成し、この信号が露光制御回路8jに送られる。この露光制御回路8jでは、スキャナを介して感光体1の帯電表面に静電潜像を形成する。同時にA/D変換された入力画像信号(画像データ)は、その1画素毎にビデオカウンタ80によって濃度が積算される。そして、制御手段であるCPU8aによって、その積算値から画像比率及び現像装置4のスクリュー43d、43eの駆動を、予め用意されたテーブルで変換する。
【0041】
また、パッチ検センサ57は、図2に示すように、中間転写ベルト51に対向した位置で、一次転写部N1に対して下流且つ二次転写部N2上流に配置している。なお、感光体1と現像装置4との対向部よりも感光体1の回転方向下流であって、感光体1と転写装置5との対向部よりも回転方向上流に、感光体1に隣接して配置しても良い。このようなパッチ検センサ57は、LED発光部と受光部からなる。そして、発光部から直接受光した数値と、中間転写ベルト51若しくは感光ドラム1上に、あるタイミングで20mm角程度のハーフトーンを現像したパッチ画像に対し、透明板を介して得られる反射光の数値とにより、所定の演算を行ってトナー濃度を検知する。
【0042】
この際、反射光の方が明るい場合には、トナー濃度が低く、反射光の方が暗い場合にはトナー濃度が高いと検知される。トナー濃度が低いと検知されると、ある一定の濃度になるまでビデオカウント値に対してトナー補給を増大するように補正を行う。一方、トナー濃度が高いと検知されると、ある一定の濃度になるまでビデカウント値に対してトナー補給を低減するように補正を行う。このようにして、現像剤中のトナー濃度を一定に保っている。
【0043】
次に、ビデオカウンタ80を用いた現像剤補給制御について、図6ないし図12も参照しつつ説明する。まず、画像がスキャナによって読み込まれると、画像データに基づく出力画像の画素毎の濃度をビデオカウンタ80により積算する。詳細には、2つの積算値を算出する。積算値の1つ(第1の積算値)は、出力画像の総画素の濃度積算値である。積算値のもう1つ(第2の積算値)は、図6に示すように、原稿先端からの副走査方向(所定方向)の位置における、その垂直方向である主走査方向の画素の濃度の積算値(ΣDn)である。つまり、ΣDnは、副走査方向の画素の位置をx座標、主走査方向の画素の位置をy座標としたとき、原稿先端からx軸方向に1〜i番目のそれぞれの位置における、y軸方向1〜j番の画素の濃度を積算した値である。このようにビデオカウンタ80により積算した2つの積算値は、CPU(制御部)8aに印加されるとともにRAM8bに記憶される。
【0044】
CPU8aは、上述の第1の積算値に基づき、当該出力画像の画像形成で消費されるトナーの総量、及び、補給装置44から補給すべきトナーの総量を供給するのに要するトナー補給スクリュー44bの回転駆動時間を求める。また、CPU8aは、第2の積算値から、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率(濃度積算値の分布、濃度分布)を算出し、算出した画像比率に基づいて、補給装置44によりトナーを補給するタイミングを制御する。即ち、画像比率に応じて重み付けした補給タイミングのシーケンスを作成し、そのシーケンスに基づいてトナー補給スクリュー44bを制御する。
【0045】
トナー補給スクリュー44bの回転駆動時間(回転回数)と、トナーの補給量とは比例関係にある。したがって、トナー補給スクリュー44bを駆動するモータの駆動回路を制御して、上述の積算値から予測したトナー補給量に応じた時間、トナー補給スクリュー44bを駆動すれば良い。このとき、トナー補給はトナー補給スクリュー44bの1回転単位で制御する。即ち、画像濃度積算値がトナー補給スクリュー44bの1回転分のトナー搬送量分積算されることで、初めて補給動作を実行する。このために、トナー補給スクリュー44bの回転回数を検知する回転検知手段44cを設け、回転検知手段44cにより検知した信号をCPU8aに送っている。回転検知手段44cは、例えば、トナー補給スクリュー44bの回転軸にフラグを設け、このフラグの通過をフォトセンサにより検知する構造とする。
【0046】
画像信号を取込み、RAM8bに濃度積算値を記憶すると、CPU8aによって総濃度積算値(第1の積算値)から求めたトナーの総量を供給するために、トナー補給スクリュー44bを何回回転させるかを算出する。このとき、スクリュー(トナー補給スクリュー44b)の回転回数で割り切れなかった分の濃度値は、次の画像形成動作に持ち越して総濃度積算値に加算する。
【0047】
次に、補給タイミングの決定について説明する。まず、出力画像の副走査方向の長さを、スクリューの回転回数に応じた複数の領域に分割する(補給ブロック数を算出する)。例えば、所定の大きさを有する記録材に全面ベタ画像を形成する場合に必要なトナー量を供給するために、スクリューをn回回転させるとする。この場合、記録材の画像形成領域、即ち出力画像を副走査方向にn等分する。なお、ここで言う出力画像とは、記録材の画像形成領域全体の画像で、この画像形成領域内で画像が形成されない部分があれば、それも含むものである。したがって、この出力画像を分割する数は、記録材の大きさ、補給装置44による補給性能(具体的にはスクリュー1回転あたりの現像剤の供給量)により決定される。
【0048】
出力画像を複数の領域に分割したら、各領域に対する濃度積算値を計算(画像比率を算出)し、濃度積算値が多い領域で現像剤が補給されるように補給タイミングを決定する。このとき、濃度積算値が記録材全面でほぼ均等の場合には、副走査方向の位置に対して平均的に各領域に補給タイミングを割り当てる。また、1回の画像形成における濃度積算値がトナー補給スクリュー44bの1回転分の補給量に満たない場合には、複数回の画像形成における副走査方向の位置と総濃度積算値とを算出して、平均的な位置に補給を行う。
【0049】
上述の現像剤補給制御のフローをまとめると、図7に示すようになる。即ち、画像形成が開始されると(S1)、スキャナなどにより画像データを読み込む(S2)。この画像データからビデオカウンタ80により総画素の濃度積算値(第1の積算値)を求め、この濃度積算値からトナーの総補給量を算出すると共に、補給ブロック数を算出する(S3)。なお、補給ブロック数は、上述したように、記録材に全面ベタ画像を形成した場合のスクリューの回転回数に応じて算出する。次に、ビデオカウンタ80に積算した第2の積算値から、出力画像の副走査方向の位置(各領域)における濃度の積算値(画像比率)を算出する(S4)。そして、算出した画像比率に基づいて補給タイミングを決定し(S5)、補給動作を開始する(S6)。この補給動作は、攪拌室43bに補給されたトナーが現像室43aに搬送され、画像形成に使用されるタイミングを考慮して行われる。
【0050】
具体的には、現像スリーブ41に担持された現像剤が感光体1の静電潜像を現像した後に現像室43aに戻されるタイミングで、現像剤が補給されるように補給動作を開始する。言い換えれば、その補給量に対するトナー量が消費された後のタイミングで、消費後の現像剤と補給された現像剤とがほぼ合流するようなタイミングとする。本実施形態では、現像工程によって消費されるトナー量分を予め現像容器に補給しておく点で、制御方式は、フィードフォワード方式であると言える。なお、パッチ検センサ57による補正は、常に行うようにしても良いし、適宜行うようにしても良いし、更には、パッチ検センサ57による補正制御を省略しても良い。
【0051】
[具体例]
次に、本実施形態を適用した具体例について説明する。ビデオカウンタ80に積算された濃度値は、各画素の濃度値を0〜255としてカウントされる。A4サイズの記録用紙の全面に255レベルの濃度(全面ベタ)で画像形成を行った場合、消費するトナーは凡そ0.4gである。ここで、全面ベタの画像形成を行う場合、定着プロセスを終えて出力された用紙に、反射濃度計X−riteで測定した場合に1.4〜1.5の濃度になるように、画像形成プロセスの条件を設定する。
【0052】
また、トナー補給スクリュー44bの1回転あたり約0.08gの補給が可能であるとする。このことから、A4サイズ1枚の画像形成の間に、トナー補給スクリュー44bの5回転分の補給を行うことが可能である。つまり、A4サイズの記録用紙に対して20%の画像比率分の濃度が積算されると、トナー補給スクリュー44bの1回転分となり、補給が開始されることになる。また、このときA4サイズの用紙の場合の出力画像は、図8(A)に示すように、副走査方向に5個の領域に分割される。
【0053】
このような前提の下、A4用紙を用いて図8(B)に示す全面ハーフトーンの画像パターンで画像形成を行う場合、次のような制御を行う。このハーフトーン画像をスキャナで読み込んだとき、全面ベタ画像に対して40%の濃度であるとする。このとき、図9に示すように、A4サイズの副走査方向の長さに対してトナー補給スクリュー44bの5回転分の補給可能時間があるのに対して、2回転分の補給で良い。
【0054】
なお、この図9は、横軸が時間tで、縦軸が濃度又はトナー量である。また、最上段の線図は、A4用紙全面の現像時間(副走査方向の長さに対応)で、下の段の線図に対する基準として示している。2段目は画像濃度プロファイル(副走査方向の濃度積算値)を示し、全面ベタ画像(max)に対して40%の濃度(ハーフトーン)で全面に画像が形成されることを示している。また、3段目は比較例1の、4段目は比較例2の、最下段は本実施形態の、それぞれの補給タイミングで所定のトナー量を補給する場合を示している。
【0055】
まず、比較例1の場合、最初のタイミング(現像が開始される時間)でトナー補給スクリュー44bを連続して2回転させることにより、必要なトナー量を補給している。この場合、トナーが消費される量とそのタイミングがトナーを補給する量とそのタイミングと一致しないため、濃度ムラが生じる可能性がある。即ち、現像が開始されるタイミングでトナーが補給されるため、補給されたトナーが現像スリーブ41に到達したときにはトナーの消費が既に始まっており、トナー補給が間に合わなかった部分に濃度ムラが生じる可能性がある。また、補給トナーがあるタイミングで集中的に現像スリーブに到達するため、それ以外のタイミングで補給トナーが不足し、やはり、濃度ムラが生じる可能性がある。一方、比較例2の場合、補給装置44からの補給位置から現像スリーブ41にトナーが到達するまでの時間ΔT早めて、トナー補給スクリュー44bを回転させている。この場合、現像の開始タイミングに合わせて補給トナーが現像スリーブ41に到達するため、比較例1よりも濃度ムラが生じにくくなると考えられる。但し、最初に集中してトナー補給が行われる点は比較例1と変わらないので、やはり、濃度ムラが生じる可能性がある。
【0056】
これに対して、本実施形態の場合、比較例2のように時間をずらした状態で、更に、補給可能な全時間に対して均等となるタイミングでトナー補給スクリュー44bを回転させている。即ち、A4サイズの現像時間に対してΔTずらした場合の2/5、4/5の時点でそれぞれ補給スクリュー1回転分の補給を行う。この場合、トナー補給タイミングが分散されるため、比較例1、2程、トナーが消費される量とそのタイミングがトナーを補給する量とそのタイミングに対してずれることを抑えられ、濃度ムラを低減できる。なお、トナー補給スクリュー44bの回転タイミングは、例えば、A4サイズの現像時間に対してΔTずらした場合の1/5、3/5の時点でも良い。
【0057】
なお、原稿1枚の濃度積算値が補給スクリュー1回転分の補給量相当である20%の濃度に満たない場合は、N数枚の画像形成の濃度および画像形成時間を積算して、N数枚の中間のタイミングで補給スクリュー1回転分の補給を行う。また、余剰した濃度積算値分においても、同様に予測して中間のタイミングで補給を行う。
【0058】
次に、A3用紙を用いて図10に示す画像パターンで画像形成を行う場合について説明する。このときの画像パターンは、A3全面ベタ画像の画像比率を100%としたとき、全体として30%の画像比率であったとする。上述のようにA4用紙では画像比率20%でスクリュー1回転分であるため、A4用紙の2倍の大きさであるA3用紙ではスクリュー1回転は画像比率10%に相当する。したがって、画像比率30%の補給量はスクリュー3回転分である。
【0059】
ここで、補給タイミングはA3用紙1枚に対して補給可能なスクリュー回転数が10回であることから、出力画像を副走査方向に10分割し、その各領域に対する濃度積算値(画像比率)から補給タイミングを決定する。図10に示す画像パターンの場合、図11に示す画像濃度プロファイルから、濃度積算値の多い領域が3つあることが分かる。なお、図11は、前述の図9と同様の図である。したがって、これら3つの領域に対して補給タイミングを割り当てて、現像剤の補給位置から現像スリーブ41までのタイムラグΔT秒早めたタイミングで補給スクリューを回転させれば良い。
【0060】
上述のような本実施形態によれば、出力画像の副走査方向の位置に対応した画像比率に基づいて補給装置44によりトナーを補給するタイミングを制御するため、出力画像の画像比率に拘らず画像濃度ムラを低減できる。
【0061】
[実施例1]
次に上述の構成のうち、比較例1と本実施形態(実施例1)とで画像濃度変動の推移を調べた実験について説明する。実験では、図8に示すようにA4用紙サイズに対して40%の画像比率のハーフトーン画像を、図10に示すようにA3用紙サイズに対して30%の画像比率のモザイク画像を、それぞれ比較例1と実施例1とのそれぞれの補給タイミングで画像形成動作を行った。そして、形成された画像の濃度をそれぞれ測定した。それぞれの画像形成枚数は15000枚とした。この結果を図12に示す。図12は、画像形成枚数に対する画像濃度の推移を示している。この図12から明らかなように、実施例1によれば、長期にわたる画像形成動作において、特に高画像比率の画像形成時に、画像濃度変動の幅を小さくすることができることが分かった。この結果、本実施形態によれば、長期にわたる画像形成動作を行っても、高品質及び高画質な画像形成を行うことができることが分かった。
【0062】
なお、本実施形態では、フィードフォワード方式を例に説明したが、以下のようなフィードバック方式でも、本発明が適用可能である。即ち、フィードバック方式とは、実際に消費された後に、消費されたトナー分だけトナー補給する方式である。この場合、現像位置でトナー消費された領域が補給位置に到達したときに、消費されたトナー分を補給する方式となる。本発明を適用した場合にフィードフォワード方式と異なる点は、既に現像された出力画像の副走査方向の画像情報に基づいて、補給タイミングを制御する点が異なる。また、本実施形態では、画像比率を画素毎の濃度を積算することにより算出しているが、このような積算値を求めなくても、データとして画像比率が分かるものがあれば、それを利用して現像剤の補給タイミングを制御することもできる。例えば、画像比率が高い領域を座標などで把握できれば、その画像比率が高い領域に対応したタイミングで現像剤が補給されるようにする。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、図13ないし図15を用いて説明する。本実施形態では、出力画像の副走査方向の位置に対する画像比率だけではなく、主走査方向の位置に対する画像比率を加味し、現像剤の補給タイミングを決定する。即ち、CPU8a(図5参照)は、出力画像の副走査方向及び主走査方向の位置に対応した画像比率を算出し、主走査方向下流に向かう程、その画像比率に対する現像剤の補給タイミングを早めるようにしている。即ち、主走査方向下流での現像剤の補給タイミングを、主走査方向上流での現像剤の補給タイミングよりも早める。例えば、前述の図8(A)に示したような、出力画像を副走査方向に5つに分割した場合で、副走査方向1番目と2番目の領域について説明する。この場合、2番目の領域の主走査方向下流の画像比率の値は1番目の領域の画像比率に積算され、1番目の領域の主走査方向上流の画像比率の値は2番目の領域の画像比率に積算される。このため、主走査方向下流の画像比率に対する現像剤の補給量が補給タイミングが1段階早い領域に反映され、主走査方向上流の画像比率に対する現像剤の補給量が補給タイミングが1段階遅い領域に反映される。そして、結果として、主走査方向下流での現像剤の補給タイミングが主走査方向上流での現像剤の補給タイミングよりも早まる。
【0064】
本実施形態では、このために、出力画像の副走査方向の長さを、スクリューの回転回数に応じた複数の領域に分割する(補給ブロック数を算出する)際に、図13(A)に示すように、出力画像を主走査方向に対して傾斜した領域に分割している。即ち、主走査方向下流の画像比率に対する現像剤の補給が、主走査方向上流の画像比率に対する現像剤の補給よりも早い段階の補給タイミングに反映されるようにしている。そして、各領域の濃度積算値(画像比率)を算出し、補給タイミングを決定している。
【0065】
本実施形態の場合、フィードフォワードとフィードバックとの何れの場合も、分割領域の副走査方向に対する傾きαは、感光体1の回転速度と現像室43a内での現像剤の搬送速度(スクリュー43dの回転速度)との関係から導き出した。要するに、出力画像を、現像室43a内(現像装置内)の現像剤搬送速度(主走査方向速度)と、感光体回転速度(副走査方向速度)との比で決まる傾きαで分割する。
【0066】
即ち、スクリュー43dの回転速度/感光体1の回転速度=αとしたとき、このαが分割領域の傾きθとなり、感光体1の回転方向(像担持体表面の移動方向)に対して傾きαとなる方向(所定方向)に関する濃度分布を見て、補給タイミングを決定する。
【0067】
現像装置内の現像剤の搬送速度は、次のように求めることができる。即ち、図4に示すような形で、高速度ビデオカメラによって現像容器上方から現像剤中に異なる色のトナーを補給し、現像室43a内でトナーが搬送されている様子を動画撮影する。そして、画像解析によって補給トナーの色成分が最も濃い位置を特定することで求めることができる。例えば、シアン色の現像剤が充填されている現像剤を用意し、イエローのトナーを図4の受渡し部43gの位置の現像剤上に0.5g程度置く。その後、高速度ビデオカメラによって上方から現像剤が搬送される様子を撮影する。そして、撮影した動画から、イエロートナーの最も濃いポイントが搬送される搬送速度[mm/sec]を算出する。
【0068】
消費された現像剤を過不足なく補給するようにするには、分割領域の角度θ=arctanαとすることが理想である。但し、θ=arctanα±16°の範囲にすれば、分割角度θがarctanαからずれてくることによる色味変動ΔEを3以下に抑えることができる。以下これについて説明する。
【0069】
上述のようにθを±16°の範囲にすることで、色味変動ΔEを抑えることができるのは、αで決定した分割領域の面積に対するずれ量を20%以下にすることができるためである。θが+方向にずれると、図13(A)の破線が時計まわりに回転し、−方向にずれると反時計まわりに回転し、分割領域がarctanαで決定した領域に対してずれる。そうすると、各領域に割り当てられた消費量と補給トナー量がずれるため、色味変動が大きくなってしまう。θの範囲を±20°±25°で分割した場合、それぞれ最大28%、39%ずつ理想的な分割に対して前後の分割領域の消費量を反映してしまう。この場合、副走査方向の幅40mmのベタ帯が均等に2本形成される画像等を形成し、各領域における画像濃度を分光濃度計X−riteを用いて測定し、色味変動を求めるとΔE>4.5〜5.5(測定濃度差Δ0.1〜0.2目安)となった。また、目視でも濃度ムラが確認された。
【0070】
一方、±16°(面積ずれは19%)にすることで、画像濃度の変動はΔE約2.8〜3.0と、目視での濃度ムラ確認が難しいレベルまで変動を抑制可能となった。また、ずれ量をθ±17〜20にすると面積のずれ量が23〜29%と大きくなり、ΔE=3.2〜3.6と認識可能な色味変動が確認されるレベルになった。さらに理想的な分割角度θの中心値を用いると、ΔE=2.4となりより安定した色味を得ることができた。
【0071】
以上より、θ=arctanα±16°の範囲にすることによって色味変動を抑えることができる。
【0072】
なお、図14のΔT1は、フィードフォワード方式では、補給装置44からの補給位置から現像スリーブ41にトナーが到達するまでの時間である。また、フィードバック方式では、ΔT1は、現像スリーブ41で現像後の現像終了剤が、補給位置44へ到達するまでの時間となる。
【0073】
これは、図14に示すように、現像室43aの上流に存在する現像剤が下流に移動するまでにΔT2の時間がかかるためである。即ち、現像室43aの上流で現像剤が現像スリーブ41に搬送されるタイミングに対し、現像室43aの下流で現像剤が現像スリーブ41に搬送されるタイミングは、ΔT2の遅れがある。現像室43a内での現像剤の搬送方向は主走査方向に対応する。したがって、図13(B)に示すように、出力画像を主走査方向と平行に分割した場合、出力画像の分割領域のうちの同じ領域内であっても、トナーの消費タイミングに対して補給タイミングがずれてしまう。このために本実施形態の場合には、主走査方向下流に向かう程現像剤の補給タイミングを早め、主走査方向に関するトナーの消費タイミングと補給タイミングとのずれを解消している。
【0074】
より、具体的に説明する。まず、主走査方向に関し、現像室43aの上流で取り込まれた現像終了剤と下流で取り込まれた現像終了剤にΔT2の時間の遅れが発生する。このため、図13(B)に示すように、画像の現像室43aの下流(主走査方向下流)に近い方で消費された現像終了剤が、上流よりも先にトナー補給位置に到達する。副走査方向の次の領域の現像終了剤と混ざり合うことが繰り返し行われ、補給位置には複数の副走査方向領域の現像終了剤が混ざって到達する。
【0075】
例えば、図13(B)のように、出力画像を主走査方向と平行に分割した場合の、最初に補給位置に到達する領域(図の一番上の領域)の主走査方向上流の現像終了剤は、2番目に到達する領域(図の上から2番目の領域)の主走査方向下流の現像終了剤と混ざる。即ち、最初の領域の主走査方向上流の現像終了剤が搬送されている間に、2番目の領域の現像終了剤が混ざる。同様に、最後に補給位置に到達する領域(図の一番下の領域)の主走査方向下流の現像終了剤は、最後から2番目に到達する領域(図の下から2番目の領域)の主走査方向上流の現像終了剤と混ざる。このため、図13(B)のように出力画像を分割して現像剤の補給制御を行う場合、画像形成時のトナー消費のタイミングに対して最適な補給のタイミングが、ずれてしまうおそれがある。
【0076】
そこで、図13(A)に示すように、補給タイミングを合わせるために、出力画像を副走査方向に対して所定の角度だけ傾斜した領域に分割し、各領域で濃度を積算して補給タイミングを決定する。これにより、補給位置に近い側(主走査方向下流)で現像剤が消費された領域を早いタイミングで補給に反映させることができ、現像剤の消費タイミングと補給タイミングとをより近づけられ、濃度ムラをより低減できる。その他の構造及び作用は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0077】
[実施例2]
次に上述の構成で(実施例2)で画像濃度変動の推移を調べた実験について説明する。実験では、A3用紙後端部にA4用紙サイズに対して25%の画像比率の帯画像を通紙して画像形成動作を30000枚行った。そして、形成された画像の濃度をそれぞれ測定した。この結果を図15に示す。図15は、画像形成枚数に対する画像濃度の推移を示している。また、比較例1と実施例1は、前述の第1の実施形態の実施例で説明した比較例1と実施例1とで示した構成で、同様に画像形成を行った場合の結果である。この図15から明らかなように、実施例2によれば、長期にわたる画像形成動作において、特に高画像比率の画像形成時に、実施例1よりも更に画像濃度変動の幅を小さくすることができることが分かった。この結果、本実施形態によれば、長期にわたる画像形成動作を行っても、高品質及び高画質な画像形成を行うことができることが分かった。
【0078】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、図16を用いて説明する。上述の各実施形態においては、原稿先端からの副走査方向の位置に対する画像比率を算出することでより高精度な補給制御を行う構成について示した。しかし、原稿をスキャンして、補給量及び補給タイミングを予測してから作像開始するために、ファーストコピーまでに時間を要してしまう。そこで、本実施形態では、画像のスキャンと濃度の積算をほぼ同時に行うことで、画像データの処理時間を短縮し、画像形成装置の最初の画像形成動作までの時間を短縮する構成としている。
【0079】
詳細には、図16に示すように、画像形成が開始されると(S21)、画像データをスキャン開始する(S22)と同時に、一番先頭の副走査方向画素i=1(図6参照)から主走査方向画素を積算(S23)する。そして、その積算値を副走査方向に順次加算していく(S24)。もし前回のジョブの濃度積算値があれば、最初に濃度積算値に加算する(S25)。副走査方向の濃度積算値を加算した後、補給スクリュー1回転分の補給に応じた濃度積算値に達しているか否かを判断する(S26)。もし達していない場合は次の副走査方向の画素に移動して(S27)、主走査方向濃度積算値ΣDnを加算する(S24)。達している場合は補給スクリューを1回転させて補給動作を行う(S28)。このとき、副走査方向画素i=N番目(画像データの最後)になった場合(S29)、スキャンを終了する(S30)。一方、画像データが最後でなければ、濃度積算値から補給1回転分の積算値を引き(S31)、S25に戻る。
【0080】
本実施形態によれば、画像データのスキャン開始と同時に画像処理を開始するため、画像処理時間及び補給制御時間を画像スキャン時間に吸収することができ、ファーストコピーまでに要する時間の短縮を図れる。具体的には、実施例1の構成で画像形成を行った場合、画像データのスキャン開始から作像動作開始までに要する時間はA3用紙サイズで4.00[sec],画像処理時間が1.5[sec],補給量及びタイミングの制御処理時間が0.5[sec]を要した。これに対して、本実施形態の構成によれば、ファーストコピーまでに要する時間を約2.0[sec]短縮することができた。尚、本実施例も、トナー補給位置から現像位置にトナーが搬送される時間分を考慮して補給するタイミングにタイムラグを設けている。
【0081】
以上より、本実施形態の構成を用いることにより、画像濃度に応じた補給を行うことにより画像比率が大きい画像を形成した場合に安定した補給を行い濃度ムラのない安定した高品質な画像を提供することができる。且つ、ダウンタイムの少ない画像形成装置を提供することができる。その他の構造及び作用は、前述の第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・像担持体(感光体)、4・・・現像装置、8a・・・制御手段(CPU)、44・・・補給装置、80・・・画像データ処理手段(ビデオカウンタ)、100・・・画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記像担持体と対向する現像位置にトナー及びキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備え、前記静電潜像を現像する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給する補給装置と、
出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、前記補給装置の補給タイミングを制御する制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、出力画像の所定方向に関する画像濃度が高い領域の方が、低い領域よりも前記現像剤担持体に対向する位置へ供給されるトナー量が多くなるように、前記補給装置の補給タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(現像装置内の現像剤の搬送速度)/(前記像担持体の回転速度)=αとしたとき、前記所定方向は、前記像担持体表面の移動方向に対して傾きαとなる方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記像担持体と対向する現像位置にトナー及びキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体を備え、前記静電潜像を現像する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給する補給装置と、
出力画像の所定方向に関する濃度分布に基づいて、前記補給装置の補給タイミングを制御する制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、出力画像の所定方向に関する画像濃度が高い領域の方が、低い領域よりも前記現像剤担持体に対向する位置へ供給されるトナー量が多くなるように、前記補給装置の補給タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(現像装置内の現像剤の搬送速度)/(前記像担持体の回転速度)=αとしたとき、前記所定方向は、前記像担持体表面の移動方向に対して傾きαとなる方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−128317(P2012−128317A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281476(P2010−281476)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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