説明

画像形成装置

【課題】光学式の検知手段のトナー等による汚れを簡単に防いで各色の基準画像を正確に検知し、高精度な色レジスト補正や濃度制御により高画質のカラー画像を得ることを可能とした、高耐久性、低コストの画像形成装置にある。
【解決手段】画像形成装置の中間転写ベルト上のレジストマークを検知する光学センサー200は、ステー201に取り付けてベルトに対し所定間隙に保持されている。このステー201にセンサー検知部とベルトとの間に検知穴を有する可動のセンサーカバー202を設け、中間転写ベルトユニットを着脱する装置本体のユニット交換扉206の開閉動作に連動して、リンク205によりカバー202を移動させるようにした。交換扉の開でカバー202がセンサー検知部を覆い、閉でカバー202の検知穴が検知部に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルト等のベルト体を用いたカラー画像形成装置に関し、特にその色ずれ制御等に使用する基準画像の検知手段の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、装置全体の小型化が重要視され、その小型化技術の一つとして、像担持体上の各色のトナー像を中間転写ベルト上に一旦転写し、その後、中間転写ベルト上の複数色のトナー像を記録材に一括転写する方式を採用したカラー画像形成装置が知られている。
【0003】
この中間転写ベルト30は、複数本の回転可能な懸架ローラ、たとえば図11に示すように、ベルトフレーム110に設置した駆動ローラ100、テンションローラ105および二次転写対向ローラ108に懸架して、中間転写ベルトユニット31に構成されている。中間転写ベルト30は、ベルトフレーム110に取り付けた圧縮バネ123でテンションローラ105の軸105aを押圧して、そのテンションローラ105により張力が付与される。また、中間転写ベルト30は、駆動ローラ100により矢印の向きに回転駆動される。中間転写ベルトユニット31は、画像形成装置本体の図示しないユニット交換扉により、矢印a方向に着脱可能となっている。
【0004】
テンションローラ105と駆動ローラ100との間には中間転写ベルト30に沿って、トナー像が形成される複数の像担持体、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)用の4つの感光ドラム26(1色目、4色目用の感光ドラム26Y、26Bkのみ図示)が設置され、ベルト30の内側には感光ドラム26上の各色のトナー像をベルト30に一次転写する複数の転写ローラ102(1色目、4色目用の転写ローラ102Y、102Bkのみ図示)が、感光ドラム26に対向して設置されている。中間転写ベルト30に重ね合わせて転写された4色のトナー像は、二次転写対向ローラ108にベルト30を挟んで対向した二次転写ローラ27により記録材に一括して二次転写される。
【0005】
二次転写後の中間転写ベルト30の表面に残留した転写残りトナーは、クリーニング容器124に取り付けられたブレード120により掻き落とされ、掻き落とされたトナーはオーガー121によって図示しない廃トナーボックスに搬送される。このブレード120の中間転写ベルト30への当接圧を確保するために、ベルト30を挟んだ対向面にはバックアップローラが設置され、本例では、テンションローラ105がバックアップローラを兼ねている。
【0006】
このような4ドラムフルカラー画像形成装置には、特許文献1等に記載の色レジスト補正手段が備えられ、感光ドラム26へのトナー像の形成、そのトナー像の中間転写ベルト30への転写により、ベルト30上に色レジスト検知用の基準画像として各色のトナーによるレジストマーク(トナーマーク)を形成し、図12に示すように、ベルト30の最終色のブラック画像形成部の下流側に設置した光学センサー200でレジストマークを検出して、感光ドラム26への画像の書き出し位置を補正等するなどの、色レジスト補正が行われている。
【0007】
光学センサー200は、図13に示すように、光を発射するLED200bと、その中間転写ベルト30からの反射光を受光するフォトトランジスタ200cとを組み合わせてなっている。通常、中間転写ベルト30の幅方向両端部にベルト移動方向に沿ってレジストマークを2列に形成することから、光学センサー200は、中間転写ベルト30の幅方向両端部の2箇所に設置され、ステー201に固定することにより、ベルト30と所定の間隙を開けてベルト30の上方に保持されている。光学センサー200の下面には透明なカバーガラス200aがついている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2655603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の光学センサー200によるレジストマーク検知では、以下のような問題があった。
【0010】
(1)通常の画像形成時に中間転写ベルト30上にトナー像40を形成するので、そのトナー像40から微量ではあるがトナーが飛散し、センサー200のカバーガラス200aに付着して、センサーの出力変動(低下)を誘発することがあった。
【0011】
(2)上記の解決策として、中間転写ベルト30上のレジストマーク形成位置と検知位置とを通常の画像形成幅の外側に設定することが試みられているが、ベルト幅が拡張され、装置本体の大型化、コストアップの要因となってしまった。
【0012】
(3)中間転写ベルトユニット31はユーザーが交換可能な構成をとっている。そのためユニット31を装置本体から取り除いた状態では、ユーザーがセンサー200の検出部のガラス200aを不用意に触り汚す可能性があった。
【0013】
以上のような問題は、中間転写ベルト上に濃度制御用の基準画像(濃度パッチ)を形成し、基準画像の濃度を検知して、現像装置へのトナー補給制御等により画像濃度を制御する場合にも同様に発生する。さらには、記録材担持体である搬送ベルトにこれらの基準画像を直接形成して、色レジスト制御や濃度制御を行う場合にも同様に生じる。
【0014】
従って、本発明の目的は、光学式の検知手段のトナー等による汚れを簡単に防いで各色の基準画像を正確に検知し、高精度な色レジスト補正や濃度制御により高画質のカラー画像を得ることを可能とした、高耐久性、低コストの画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像が転写される転写媒体と、前記像担持体から転写媒体に転写された検知用のトナー像を検知する検知手段とを有し、その検知結果に基づき像形成条件を制御する画像形成装置において、
前記検知手段の検知部と前記転写媒体との間に設けられ、検知穴を備える部材を有することを特徴する画像形成装置である。
【0016】
本発明によれば、前記転写媒体を備えるユニットを有し、前記ユニットは画像形成装置本体に設けられる開閉扉が開いたときに形成される空間を通して前記画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記部材は、前記開閉扉の開閉動作に連動して移動する。前記部材は、前記開閉扉が開いたときに前記検知部を覆う位置に移動し、前記開閉扉が閉じられたきに前記検知部を露出させる位置に移動する。前記部材は、前記検知部に付着したトナーを清掃する清掃手段を有する。前記部材は、前記清掃手段で回収したトナーを収容する収容部を有する。前記像担持体は複数色のトナー像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記転写媒体に複数色のトナー像が順次重ねて転写される。前記各像担持体から前記転写媒体に複数色の検知用のトナー像が互いに重なり合わないように転写される。前記検知用のトナー像は、色ずれ制御用のトナー像である。前記検知用のトナー像は、濃度制御用のトナー像である。前記転写媒体上のトナー像は記録材に転写される。
【0017】
また本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像を記録材に転写するために記録材を担持搬送する記録材担持体と、前記像担持体から前記記録材担持体に転写された検知用のトナー像を検知する検知手段とを有し、その検知結果に基づいて像形成条件を制御する画像形成装置において、
前記検知手段の検知部と前記記録材担持体との間に設けられ、検知穴を備える
部材を有することを特徴する画像形成装置である。
【0018】
本発明によれば、前記記録材担持体を備えるユニットを有し、前記ユニットは画像形成装置本体に設けられる開閉扉が開いたときに形成される空間を通して前記画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記部材は、前記開閉扉の開閉動作に連動して移動する。前記部材は、前記開閉扉が開いたときに前記検知部を覆う位置に移動し、前記開閉扉が閉じられたきに前記検知部を露出させる位置に移動する。前記部材は、前記検知部に付着したトナーを清掃する清掃手段を有する。前記部材は、前記清掃手段で回収したトナーを収容する収容部を有する。前記像担持体は複数色のトナー像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材に複数色のトナー像が順次重ねて転写される。前記各像担持体から前記記録材担持体に複数色の検知用のトナー像が互いに重なり合わないように転写される。前記検知用のトナー像は、色ずれ制御用のトナー像である。前記検知用のトナー像は、濃度制御用のトナー像である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、中間転写ベルトや記録材搬送ベルトに形成した画像制御用の基準画像を検知する光学式の検知手段に、その検知部とベルトとの間に検知穴を有する可動の隔壁を設置したので、トナー等による検知部の汚れを簡単に防ぐことができ、各色の基準画像を正確に検知して、高精度な色レジスト補正や濃度制御により、高画質のカラー画像を得ることが可能となる。また画像形成装置本体に着脱自在なベルトユニットの着脱をする装置本体のユニット交換扉の開閉動作に連動させて、隔壁を移動可能とすることにより、隔壁からなる汚れ防止手段を高耐久性、低コストに構成することができる。さらに、隔壁に対し検知部に当接するスクレーパー等の清掃手段を設けることにより、ユニット交換扉の開閉動作によって自動的に検知部の付着トナーを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の中間転写ベルトユニットが装置本体に対しユニット交換扉を通して着脱可能であることを示す断面図である。
【図3】図2の中間転写ベルトに対する光学センサーの設置を示す断面図である。
【図4】図3の光学センサーに設けたセンサーカバーのユニット交換扉閉時の状態を示す断面図である。
【図5】センサーカバーのユニット交換扉開時の状態を示す断面図である。
【図6】センサーカバーの可動機構を示す平面図である。
【図7】センサーカバーにセンサー検出部の付着トナーを清掃するスクレーパーが設置されているところを示す斜視図である。
【図8】図7のスクレーパーによる清掃動作を示す断面図である。
【図9】スクレーパーによる清掃動作の続きを示す断面図である。
【図10】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す断面図である。
【図11】従来の画像形成装置の中間転写ベルトユニット部分を示す断面図である。
【図12】図11の中間転写ベルトに対する光学センサーの設置を示す断面図である。
【図13】図12の光学センサーの設置部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0022】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す断面図である。本装置は、中間転写体(転写媒体)としての中間転写ベルトを用いた4ドラムフルカラー画像形成装置に構成されている。
【0023】
本画像形成装置は、図1に示すように、複数枚の記録材(紙等の記録用シート)Pを積載収納したカセット20を着脱自在に有し、カセット20内の記録材Pは、給送ローラ21により給送された後、リタードローラ対22により一枚ずつに分離され、ついで搬送ローラ23等を経てレジストローラ対24に搬送される。レジストローラ対24は、記録材Pが搬送された時には回転を停止しており、このレジストローラ対24のニップに記録材Pが突き当てられることにより、記録材Pの斜行が矯正される。
【0024】
4ドラムフルカラー方式の場合、図のごとく、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4つのプロセスカートリッジPY、PM、PC、PBkが、中間転写ベルト30に沿って並列配置されている。
【0025】
中間転写ベルト30は、複数本の回転可能な懸架ローラ、本例では、駆動ローラ100、テンションローラ105および二次転写対向ローラ108に懸架して、中間転写ベルトユニット31に構成され、テンションローラ105により張力が付与され、また駆動ローラ100により矢印の向きに回転駆動される。また、中間転写ベルトユニット31は、図2に示すように、画像形成装置本体のユニット交換扉206により、矢印a方向に着脱可能となっている。
【0026】
上記のプロセスカートリッジに対し、それぞれ光学走査系28(28Y、28M、28C、28Bk)が設けられている。各カートリッジは、像担持体の感光ドラム26(26Y、26M、26C、26Bk)、一次帯電器50、現像器51、ドラムクリーナ53等を含んでいる。各プロセスカートリッジの感光ドラム26に対し、一次帯電器50による帯電、光学走査系28による露光、および現像器51による現像の工程により、画像情報(画像信号)に応じた各色ごとのトナー像が形成され、その各色のトナー像は、感光ドラム26と対向した一次転写ローラ52により、中間転写ベルト30上に重ね合わせて一次転写される。
【0027】
レジストローラ対24で斜行を矯正された記録材Pは、中間転写ベルト30上の画像とタイミングをとってベルト30の二次転写部に送り出され、記録材Pを挟んでベルト30に当接した二次転写ローラ27により、ベルト30上の4色のトナー像が記録材P上へ二次転写される。記録材Pは、ついで定着器25で定着された後、下排出ローラ対29a、上排紙ローラ対29bにより、画像形成装置の本体上面に排出、積載される。
【0028】
中間転写ベルト30の最終色のブラック画像形成部の下流側には、図3に示すように、光学センサー200が設置され、中間転写ベルト30上に形成した色レジスト検知用の基準画像である各色のトナーによるレジストマーク(トナーマーク)40を検出して、感光ドラム26への画像の書き出し位置を補正等するなどの色レジスト補正が行われる。
【0029】
光学センサー200は、図4に示すように、光を発射するLED200bと、その中間転写ベルト30からの反射光を受光するフォトトランジスタ200cとを組み合わせてなっており、センサー200の下面には透明なカバーガラス200aがついている。光学センサー200は、中間転写ベルト30の幅方向両端部にベルト移動方向に沿って形成した2列のレジストマークに対応するよう、中間転写ベルト30の幅方向両端部の2箇所に設置され、ステー201に固定することにより、ベルト30と所定の間隙を開けてベルト30の上方に保持されている。
【0030】
本発明によれば、ステー201の下面にはステー201の長手方向に移動可能に可動部材としてのセンサーカバー202(保護(遮断)部材)が係止されており、センサーカバー202は中間転写ベルトユニット交換扉206の開閉動作に連動して移動する。即ち、センサーカバーは、光学センサーの検知部と中間転写ベルトとの間を遮る第1の位置と、センサーカバーの検知穴を通して中間転写ベルト上のパッチからの反射光を受光するための第2の位置(検知部の直下に検知穴を位置させる)とに移動可能なように構成される。交換扉206は、単に中間転写ベルトユニット交換時のみ開閉するのではなく、ジャム紙を機外へ取り除くためにも使用される。
【0031】
センサーカバー202の移動機構を説明する。センサーカバー202には、図4〜図6に示すように、ステー201の長穴201bを貫通したフック202aが設けられており、フック202aに引張りバネ203の一端を引掛け、引張りバネ203の他端をステー201側のフック201aに掛けることにより、センサーカバー202を矢印Aの方向に付勢している。センサーカバー202の角部には回転軸202dがあり、この回転軸202dとリンク205の長穴205aが嵌合している。リンク205は中心軸300を中心に回動可能であり、中間転写ベルトユニット交換扉206が閉まった状態で交換扉206の突起部206aとリンク205の受け部205bとが当接する。
【0032】
これにより、リンク205が回動して、センサーカバー202は二点鎖線の位置まで移動される。二点鎖線の位置は図4に示した位置であり、センサーカバー200に設けられた検知穴である開口部202cが光学センサー200の検出部のところに位置し、光学センサー200でレジストマークの検出が可能となる。
【0033】
一方、中間転写ベルトユニット交換扉206が開いた状態では図5の状態になり、光学センサー200の検出部直下は完全にセンサーカバー202で覆われるため、中間転写ベルトユニット交換時に不用意に光学センサー200に触ることを防止できる。またセンサーカバー202の開口部202cはレジストマーク検知可能な範囲で最小開口面積になっているので、カバーガラス200aに付着するトナーの絶対量を軽減する効果がある。
【0034】
本発明によれば、センサーカバー202には清掃機構が設けられている。図7〜9により清掃機構を説明する。
【0035】
図7に示すように、センサーカバー202には開口部202cの近くに付着トナー除去用スクレーパー203が設けられ、その下側にはトナー受け部202bが形成されている。スクレーパー203は、PETフィルム等の弾性をもった材質からなり、図8〜9に示すように、光学式センサー200のカバーガラス200aに所定の角度と圧力で当接され、常にカバーガラス200aに密着状態にある。
【0036】
図8は中間転写ベルトユニット交換扉206が閉じた状態であり、図9は交換扉206が開いた状態である。スクレーパー203は、交換扉206が閉じた状態のとき、カバーガラス200aの一端に当接しており、交換扉206を開いたときのセンサーカバー202の移動により、カバーガラス200aの他端まで摺動して、ガラス200aに付着しているトナーtを掻き落とす。掻き落されたトナーは、スクレーパー203の下部のトナー受け部202bに回収される。
【0037】
以上のように、中間転写ベルトユニット交換扉206を開閉すれば清掃は完了する。この清掃は、光学センサー200の出力低下を検出し、ユーザーに清掃要求のメッセージを出して、ユーザーに交換扉206を開閉させるか、他の動力(ソレノイド、モーター)を利用して自動的に開閉させてもよい。
【0038】
本実施例では、中間転写ベルトユニット交換扉206と連動としたが、他の交換ユニット、たとえばカートリッジ交換扉(図示せず)との論理和で連動させてもよい。また清掃手段として弾性スクレーパーを使用したが、ブラシ等の清掃手段を用いてもよい。
【0039】
また、このセンサーカバーを移動させる移動機構やセンサーの検知部の清掃機構による移動タイミング、清掃タイミングは制御手段としてのCPUにより制御しても良い。なお、上記移動タイミングや清掃タイミングの制御は、上記実施例で説明したようなメカ的な構成である方が、CPUにて制御する場合に比べてより確実に行うことができる。
【0040】
実施例2
図10は、本発明の画像形成装置の他の実施例を示す断面図である。本装置は、記録材担持体上に担持した記録材に各色のトナー像を直接転写する4ドラムフルカラー画像形成装置に構成されている。
【0041】
本画像形成装置は、中間転写ベルトの代わりに記録材担持体である搬送ベルト60を有する点が、実施例1の図1の画像形成装置と大きく異なっているが、その他の基本構成は実施例1と同様である。図10において図1に付した符号と同一の符号は同一の部材を示す。
【0042】
搬送ベルト60は、図10に示すように、図示しないベルトフレームに設置した駆動ローラ100、テンションローラ105および吸着対向ローラ102に懸架して、搬送ベルトユニット104に構成されている。搬送ベルト60は、駆動ローラ100により矢印の向きに回転駆動される。また搬送ベルトユニット104は、画像形成装置本体の搬送ベルトユニット交換扉206により、矢印a方向に着脱可能となっている。
【0043】
搬送ベルト60のテンションローラ105と駆動ローラ100との間にプロセスカートリッジPY、PM、PC、PBkが並設され、各カートリッジの感光ドラム26(26Y、26M、26C、26Bk)に対し、一次帯電器50による帯電、光学走査系28(28Y、28M、28C、28Bk)による露光、および現像器51による現像の工程により、画像情報(画像信号)に応じた各色ごとのトナー像が形成される。
【0044】
一方、カセット20から記録材Pが給送ローラ21等により搬送され、レジストローラ対24により斜行を矯正した後、感光ドラム26上の画像とタイミングをとって搬送ベルト60の吸着部に供給される。吸着部には吸着ローラ64が設置されており、吸着対向ローラ105を対向極として吸着ローラ64に印加した吸着バイアスにより、記録材Pが搬送ベルト60上に静電吸着される。
【0045】
各感光ドラム26上の各色のトナー像は、搬送ベルト60上に担持して搬送された記録材P上に、転写ローラ52により重ね合わせて転写される。記録材Pは、ついで定着器25で定着された後、画像形成装置の本体上面に排出、積載される。
【0046】
本実施例でも、搬送ベルト60の最終色のブラック画像形成部の下流側には光学センサー200が設置され、搬送ベルト60上に直接転写することにより形成した各色のトナーによる基準画像(レジストマーク、濃度パッチ)を検出して、画像の制御(色レジスト補正、濃度制御)を行っている。
【0047】
実施例1と同様、光学センサー200を保持したステーの下面に移動可能にセンサーカバー202を係止し、このセンサーカバー202を搬送ベルトユニット交換扉206の開閉動作に連動して移動可能とし、搬送ベルトユニット104の交換時にカバー202で光学センサー200の検知部を覆うようにしている。従って、光学センサー200の検知部のトナー汚れが防止される。
【0048】
また実施例1と同様、センサーカバー202の開口部の近くに、付着トナー除去用スクレーパーを設けて、光学センサー200のカバーガラスに所定の角度と圧力で当接させている。従って、交換扉206の開閉動作によるセンサーカバー202の移動により、スクレーパーをカバーガラスに摺動させて、カバーガラスに付着しているトナーを掻き落とすことができ、検知部を清掃することができる。掻き落されたトナーは、スクレーパーの下部に設けたトナー受け部に回収される。
【0049】
また、本実施例では、搬送ベルトにパッチを形成しこれを光学センサーにより検知する例について説明したがこれに限らない。例えば、搬送ベルトに担持された転写媒体としての記録材にパッチを形成し、これを光学センサーにより検知する構成であっても、本実施例と同様な効果を得ることができる。この場合、最終的に画像が形成される記録材上のトナー像の濃度や各色トナー像の色ずれ状態を検知する構成とされるので、搬送ベルト上のパッチを検知する構成に比べて、より確実に濃度制御、色ずれ制御を行うことができる。
【0050】
以上の実施例では、センサーカバー202が移動することにより光学センサー200の検出部を覆ったり露出させたりする構成について説明してきたがこれに限らない。例えば、センサーカバー(検知穴)202を固定配置し、光学センサー200(検出部)自体をセンサーカバー202の検知穴に対して移動可能な構成としても上記実施例と同様な効果を得ることができる。この場合、光学センサー200(検出部)を移動させる機構は上記実施例で説明したセンサーカバー202の移動機構と同様な構成で実現することができる。なお、光学センサーによるパッチの検出精度という点を考慮すると、光学センサー200を移動可能にしセンサーカバーを固定配置する構成よりも、光学センサー200を固定配置しセンサーカバーを移動可能にする構成の方がより好ましい。
【符号の説明】
【0051】
26M〜26Bk 感光ドラム
30 中間転写ベルト
31 中間転写ベルトユニット
200 光学センサー
200a カバーガラス
201 ステー
202 センサーカバー
202c 検知穴
205 リンク
206 ベルトユニット交換扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像が転写される転写媒体と、前記像担持体から転写媒体に転写された検知用のトナー像を検知する検知手段とを有し、その検知結果に基づき像形成条件を制御する画像形成装置において、
前記検知手段の検知部と前記転写媒体との間に設けられ、検知穴を備える部材を有することを特徴する画像形成装置。
【請求項2】
前記転写媒体を備えるユニットを有し、前記ユニットは画像形成装置本体に設けられる開閉扉が開いたときに形成される空間を通して前記画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記部材は、前記開閉扉の開閉動作に連動して移動することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記部材は、前記開閉扉が開いたときに前記検知部を覆う位置に移動し、前記開閉扉が閉じられたきに前記検知部を露出させる位置に移動することを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項4】
前記部材は、前記検知部に付着したトナーを清掃する清掃手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記部材は、前記清掃手段で回収したトナーを収容する収容部を有することを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は複数色のトナー像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記転写媒体に複数色のトナー像が順次重ねて転写されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記各像担持体から前記転写媒体に複数色の検知用のトナー像が互いに重なり合わないように転写されることを特徴とする請求項6の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知用のトナー像は、色ずれ制御用のトナー像であることを特徴とする請求項7の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知用のトナー像は、濃度制御用のトナー像であることを特徴とする請求項7の画像形成装置。
【請求項10】
前記転写媒体上のトナー像は記録材に転写されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像を記録材に転写するために記録材を担持搬送する記録材担持体と、前記像担持体から前記記録材担持体に転写された検知用のトナー像を検知する検知手段とを有し、その検知結果に基づいて像形成条件を制御する画像形成装置において、
前記検知手段の検知部と前記記録材担持体との間に設けられ、検知穴を備える部材を有することを特徴する画像形成装置。
【請求項12】
前記記録材担持体を備えるユニットを有し、前記ユニットは画像形成装置本体に設けられる開閉扉が開いたときに形成される空間を通して前記画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記部材は、前記開閉扉の開閉動作に連動して移動することを特徴とする請求項11の画像形成装置。
【請求項13】
前記部材は、前記開閉扉が開いたときに前記検知部を覆う位置に移動し、前記開閉扉が閉じられたきに前記検知部を露出させる位置に移動することを特徴とする請求項12の画像形成装置。
【請求項14】
前記部材は、前記検知部に付着したトナーを清掃する清掃手段を有することを特徴とする請求項11〜13のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記部材は、前記清掃手段で回収したトナーを収容する収容部を有することを特徴とする請求項14の画像形成装置。
【請求項16】
前記像担持体は複数色のトナー像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材に複数色のトナー像が順次重ねて転写されることを特徴とする請求項11〜15のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記各像担持体から前記記録材担持体に複数色の検知用のトナー像が互いに重なり合わないように転写されることを特徴とする請求項16の画像形成装置。
【請求項18】
前記検知用のトナー像は、色ずれ制御用のトナー像であることを特徴とする請求項17の画像形成装置。
【請求項19】
前記検知用のトナー像は、濃度制御用のトナー像であることを特徴とする請求項17の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−137773(P2012−137773A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33886(P2012−33886)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2010−290710(P2010−290710)の分割
【原出願日】平成12年10月30日(2000.10.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】