説明

画像形成装置

【課題】記録媒体の詰まりによる定着装置の破損を抑止する
【解決手段】画像形成装置1は、用紙に対して圧力及び熱を加えながら当該用紙を搬送するニップ部Nを有する定着装置20と、ニップ部Nに対して用紙の搬送方向の下流側に設けられて、ニップ部Nにより搬送されて定着ベルト21に付着した用紙と当該定着ベルト21との間に気体を噴射する分離補助部30と、用紙の搬送経路における紙詰まりを検知する詰まり検知部109と、詰まり検知部109により紙詰まりが検知された場合、分離補助部30を定着装置20から離隔させる制御部101及び位置切替部107と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体(例えば、用紙等)に形成された画像(例えば、トナー画像)を当該記録媒体に定着させる定着装置を備えた画像形成装置がある。定着装置は、例えば、複数のローラに担持されたベルトと、当該ベルトを担持するローラのうち一つと対向するよう設けられたローラとの当接によりニップ部を形成し、ニップ部により用紙を挟み込んで用紙に対して圧力を加える。また、ヒータ等によりベルトに対して熱が加えられ、定着装置は、ニップ部に挟み込まれた用紙に対して圧力と同時に熱を加えることにより、用紙に画像を定着させる。
【0003】
定着装置は、各ローラの回転により、ニップ部に挟まれた用紙に定着処理を施しながら搬送し、用紙を所定の搬送経路へ排出する。ここで、排出される用紙が、ニップ部を形成するベルトの外周面に付着することがある。この場合、用紙は所定の搬送経路へ排出されない(排出不良)。このような排出不良を生じた用紙の画像は、トナー画像が過熱することにより、トナー表面荒れ等の画質不良を生じさせる。また、ベルトに用紙が付着したままでは、定着装置は以後の定着処理を良好に行うことができない。そこで、ベルトから用紙を剥離させるため、ニップ部を通過して排出された用紙とベルトとの間に気体を噴射する噴射装置を備える画像形成装置がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−79411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、噴射装置から噴射された気体に加えられる圧力は、噴射されてから用紙とベルトとの間に入り込むまでの経路において低下する。一方、用紙をベルトから良好に剥離させるためには、用紙とベルトとの間に高い圧力の気体を噴射することが望ましい。よって、噴射された気体の圧力低下を最小限とするため、噴射装置の噴射口(例えば、図10に示すノズル)の先端は、可能な限り定着装置のベルトに近接させることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置においてノズルの先端を定着装置のベルトに近接させた場合、用紙が定着装置を破損させることがあった。
具体的には、ニップ部を通過して排出された用紙が十分にベルトから剥離されなかった場合、用紙の端部がノズルの先端に係止されることがある。この場合、剥離が不十分な用紙は、ベルトの稼動に伴ってノズルの先端とベルトとの間の狭い空間に押し込まれて詰まり(紙詰まり)を生じさせる。このとき、押し込まれて詰まった用紙が、定着装置のベルト等を破損させる。定着装置の破損は、定着装置の交換のための費用の発生や、交換が完了するまで画像形成を行うことができないことによる画像形成装置の生産性の低下等、多大な被害を生じさせる。
【0007】
なお、上記の記載では、ベルトに用紙が付着する場合を例としているが、ローラに用紙が付着する場合についても同様に、ノズルの先端とローラとの間の狭い空間に押し込まれて詰まった記録媒体がローラを破損させる。
【0008】
本発明の課題は、記録媒体の詰まりによる定着装置の破損を抑止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明による画像形成装置は、記録媒体に対して圧力及び熱を加えながら当該記録媒体を搬送するニップ部を有する定着手段と、前記ニップ部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられて、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に気体を噴射する噴射手段と、前記記録媒体の搬送経路における前記記録媒体の詰まりを検知する検知手段と、前記検知手段により前記記録媒体の詰まりが検知された場合、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させる離隔手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記離隔手段は、前記画像形成装置による前記記録媒体への画像形成が行われていない場合、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記噴射手段を所定の移動経路に沿って移動可能に支持する支持部材を備え、前記離隔手段は、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させるよう前記所定の移動経路に沿って移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記支持部材は、前記噴射手段を回動可能に支持し、前記離隔手段は、前記噴射手段を回動させて前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記支持部材は、前記噴射手段を直動可能に支持し、前記離隔手段は、前記噴射手段を直動させて前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、前記噴射手段を、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に気体を噴射する位置で保持する保持手段と、前記検知手段により前記記録媒体の詰まりが検知された場合に、前記保持手段による前記噴射手段の保持を解除させる解除手段と、を備え、前記離隔手段は、前記解除手段により前記保持手段による前記噴射手段の保持が解除された場合に、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、前記噴射手段は、気体の噴流を生じさせる噴流発生手段と、前記ニップ部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられて、前記噴流発生手段により生じた気体の噴流を、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に噴射させるノズルと、を備え、前記離隔手段は、前記ノズルの一部又は全部を前記定着手段から離隔させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記録媒体の詰まりによる定着装置の破損を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成部の主要構成を示す図である。
【図3】定着装置及び分離補助部の構成の一例を示す図である。
【図4】定着装置及びノズルの各部の大きさ及び位置関係の一例を示す図である。
【図5】分離補助部の回動動作による定着装置からの離隔前後の位置の一例を示す図である。図5(a)は、図4に示す気体噴射時の分離補助部の回動角度の一例を示す図であり、図5(b)は、定着装置から分離補助部を離隔させた回動角度の一例を示す図である。
【図6】第2実施形態の分離補助部の構成の一例を示す図である。
【図7】第3実施形態の分離補助部の構成の一例を示す図である。
【図8】第4実施形態の分離補助部の構成の一例を示す図である。
【図9】第5実施形態の分離補助部の構成の一例を示す図である。
【図10】従来の定着装置及び噴射装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である画像形成装置1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施形態は本発明の一例であり、これに限定されるものではない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による画像形成装置1の概略構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、例えば、図1に示すように、制御部101、記憶部102、操作表示部103、送受信部104、画像処理部105、画像形成部106、位置切替部107、電源回路108及び詰まり検知部109等を備え、各部はバス110により接続されている。
【0020】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部101のCPUは、ROMに記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置1の各部の動作を集中制御する。
【0021】
記憶部102は、例えば、フラッシュメモリ等により構成され、画像形成装置1の各部により用いられる各種のプログラムやデータ等を記憶する。
【0022】
操作表示部103は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置(図示略)を有し、制御部101から出力される表示信号に基づいて表示画面上に各種操作ボタンや装置の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。LCDの表示画面上は、例えば、透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示略)に覆われている。タッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部101に出力する。また、操作表示部103は、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタン(図示略)を備え、ボタン操作による操作信号を制御部101に出力する。
【0023】
送受信部104は、例えば、通信回路(図示略)等を備え、有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等の所定の通信規格により、通信ネットワークIを介して接続された外部の機器との間で情報の通信制御を行う。
具体的には、送受信部104は、外部の機器から通信ネットワークIを介して送信された画像データ等を受信する。
【0024】
なお、通信ネットワークIは、例えば、専用線や既存の一般公衆回線を利用して構築された通信ネットワークIであり、LANやWAN(Wide Area Network)等の様々な回線形態を適用することが可能である。また、通信ネットワークIには、例えば、電話回線網、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線網、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV回線網等の各種通信回線網と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダ等が含まれる。
また、送受信部104は、例えば、所定のインタフェース(例えば、USB:Universal Serial Bus)等による接続を介して外部の機器と画像形成装置1とを接続するものであってもよい。
【0025】
画像処理部105は、画像データ(例えば、送受信部104により受信された画像データ等)に対して所定の色変換処理(例えば、YMCKデータ生成処理)、YMCKデータのγ補正処理、中間調処理等の画像処理を施し、画像処理が施された画像データ(プリントデータ)を画像形成部106に出力する。
【0026】
画像形成部106は、画像処理部105から出力されたプリントデータに基づいて、記録媒体(例えば、用紙等)に画像形成を行う。
本実施形態における画像形成部106は、例えば、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色それぞれを個別の静電ドラムで転写する構成(タンデム方式)である。
【0027】
図2は、画像形成部106の主要構成を示す図である。
図2に示すように、画像形成部106は、カセット11、給紙ローラ12、搬送ローラ13、搬送ベルト14、静電ドラム15Y、15M、15C、15K、プリントユニット16Y、16M、16C、16K、レーザユニット17Y、17M、17C、17K、転写ローラ18Y、18M、18C、18K、定着装置20、排紙ローラ19等を備える。
【0028】
カセット11は、用紙を格納する。
給紙ローラ12は、カセット11に格納されている用紙を一枚ずつ引き出す。
搬送ローラ13は、給紙ローラ12により引き出された用紙を、搬送ベルト14へ搬送する。
【0029】
搬送ベルト14は、静電ドラム15Y,15M,15C,15Kと協働して用紙にトナー画像を転写する。
ここで、トナー画像の転写について、静電ドラム15Yによるイエロー(Y)のトナー画像の転写を一例として説明する。
静電ドラム15Yは、駆動部(図示略)により回転駆動される円筒状の部材であり、帯電ユニット(図示略)によりその円筒の外周面が帯電している。レーザユニット17Yは、静電ドラム15Yの外周面に静電潜像を形成する。具体的には、レーザユニット17Yは、帯電した静電ドラム15Yの外周面に対して、プリントデータに基づいて用紙に形成されるイエローの画像に応じたレーザを照射する。
【0030】
プリントユニット16Yは、静電ドラム15Yの外周面にイエロー(Y)のトナー画像を形成する。
具体的には、プリントユニット16Yは、トナーカートリッジと、現像ユニットとを有する。トナーカートリッジは、イエロー(Y)のトナーを備蓄し、現像ユニットに供給する。現像ユニットは、静電ドラム15Yの外周面に形成された静電潜像に対して、トナーカートリッジのトナーを付着させる現像処理を行う。現像処理により、イエロー(Y)のトナー画像が静電ドラム15Yの外周面に形成される。
【0031】
転写ローラ18Yは、静電ドラム15Yの外周面に形成されたイエロー(Y)のトナー画像を用紙へ転写する。
転写ローラ18Yは、搬送ベルト14を挟んで静電ドラム15Yと対向する位置に設けられる。転写ローラ18Yは、搬送ベルト14と静電ドラム15Yとによって用紙が挟まれるタイミングで、用紙をトナー画像と逆の電荷により帯電させる(逆帯電処理)。逆帯電処理により、静電ドラム15Yの外周面に形成されたイエロー(Y)のトナー画像が用紙に転写される(二次転写)。
【0032】
前述の静電ドラム15Yによるイエロー(Y)のトナー画像の転写と同様の仕組みにより、静電ドラム15Mはマゼンタ(M)のトナー画像を転写し、静電ドラム15Cはシアン(C)のトナー画像を転写し、静電ドラム15Kはブラック(K)のトナー画像を転写する。
【0033】
また、搬送ベルト14は、4色のトナー画像が重ねて転写された用紙を、定着装置20へ搬送する。
定着装置20は、用紙に転写されたトナー画像を定着させる。定着装置20の詳細については、後述する。
【0034】
排紙ローラ19は、定着装置20によりトナー画像が定着された用紙を搬送し、排紙トレイ上に排出する。
【0035】
図3は、定着装置20及び分離補助部30の構成の一例を示す図である。
定着装置20は、定着ベルト21及び定着ローラ22を備える。
定着ベルト21及び定着ローラ22は協働により、定着ベルト21の外周面と定着ローラ22の外周面との圧接部(ニップ部N)を形成する。駆動部(図示略)により駆動された定着ベルト21及び定着ローラ22は、ニップ部Nにおいて用紙を挟み込んで加圧、加熱し、当該用紙に定着処理を施す。また、定着ベルト21及び定着ローラ22は、ニップ部Nにおいて用紙に定着処理を施しながら、用紙を所定の方向へ搬送する。
【0036】
以下、定着装置20について詳細に説明する。
定着ベルト21は、複数のローラ(例えば、図3に示すローラ21a、ローラ21b)を囲むように一帯に連続するベルトである。
ローラ21a、ローラ21bは、定着ベルト21の内側に設けられたローラである。ローラ21a、ローラ21bは、外周面を定着ベルト21の内側に当接させるよう設けられ、協働により、定着ベルト21を張架する。
【0037】
定着ローラ22は、定着ベルト21を挟んで、定着ベルト21を張架する複数のローラのうち一つ(例えば、図3に示すローラ21a)と対向する位置に設けられる。定着ローラ22は、ローラ21aと協働して定着ベルト21を挟み込み、定着ベルト21の外周面と定着ローラ22の外周面との圧接部(ニップ部N)を形成する。
【0038】
ローラ21a、ローラ21b及び定着ローラ22は共に、駆動部(図示略)により回転駆動される。ローラ21a、ローラ21bの回転により、定着ベルト21は駆動される。また、定着ローラ22は、ローラ21aの回転方向と逆方向に回転駆動される。駆動された定着ベルト21及び定着ローラ22は協働により、ニップ部Nにおいて用紙を挟み込み、加圧しながら用紙を搬送する。
【0039】
また、複数のローラのうち少なくとも一方(例えば、図3に示すローラ21b)は、加熱部(例えば図3に示す、ローラ21bの内側に設けられた加熱部21c)により加熱される。加熱部21cにより加熱されたローラ21bは、その熱を定着ベルト21へ伝達させる。ローラ21bから熱を伝達されることにより、定着ベルト21は加熱される。加熱された定着ベルト21は、ニップ部Nにおいて挟み込まれた用紙に熱を伝達させることにより、用紙を加熱する。
【0040】
定着ベルト21及び定着ローラ22は、ニップ部Nにおいて用紙に定着処理を施しながら、定着処理が施された用紙を搬送し、当該搬送方向の下流側へ用紙を排出する。以下、「上流側」又は「下流側」と記載するものは、用紙の搬送方向に基づく記載である。
ニップ部Nの下流側には、噴射手段として機能する分離補助部30が設けられる。分離補助部30は、ニップ部Nの下流側において、定着ベルト21に付着した用紙を定着ベルト21から剥離させる。
【0041】
分離補助部30は、図3に示すように、ノズル40及び噴流発生部50を有する。また、分離補助部30は、支持部材60により支持される。
ノズル40は、ニップ部Nに対して用紙の搬送方向の下流側に設けられて、気体(例えば、空気等)の噴流を生じさせる噴流発生手段(例えば、図3に示す噴流発生部50)により生じた気体の噴流を、ニップ部Nにより搬送(排出)されて定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に噴射させる。
【0042】
図4は、定着装置20及びノズル40の各部の大きさ及び位置関係の一例を示す図である。図4に示す数値の単位は、ミリメートル([mm])である。
ノズル40は、ローラ21a、21bに張架された定着ベルト21の外周面の所定位置に対して、下流側から上流側へ向けて気体を噴射する。具体的には、例えば、図4に示すように、ノズル40は、空気を噴射する噴射口となるノズル40の先端が、ニップ部Nの下流側の端部から所定の長さ(例えば、10[mm])だけ下流側に位置する定着ベルト21の所定の位置の外周面に対して所定の間隔(例えば、15[mm])を隔てた位置から、当該所定の位置の外周面へ気体の噴射を導く。また、ノズル40は、ノズル40と定着ベルト21とが最も近接する位置における距離が所定の距離(例えば、1.5[mm])となる位置から、気体の噴射を導く。
【0043】
噴流発生部50は、気体(例えば、空気等)の噴流を生じさせる。
具体的には、噴流発生部50は、例えば、所定の径(例えば、60[mm])の軸流ファンであり、電源回路108からの電力供給に応じて羽根が回転することにより一方から空気を吸引して他方へ噴出する。噴流発生部50の他方即ち空気が噴出される側は、ノズル40の通気経路と連続している。噴流発生部50の他方から噴出された空気は、ノズル40により集約されて噴射される。なお、噴流発生部50とノズル40との継ぎ目には、当該継ぎ目を塞いでからの気体の漏れ(例えば、空気漏れ等)を抑止するための閉塞部材(例えば、スポンジ等)が設けられる。
【0044】
支持部材60は、分離補助部30を回動可能に支持する。
具体的には、支持部材60は、例えば、噴流発生部50とノズル40との継ぎ目の近傍であって、ニップ部Nから排出された用紙の搬送経路から遠い側(例えば、図3〜5に示す上側)においてノズル40を軸支する。
【0045】
図5は、分離補助部30の回動動作による定着装置20からの離隔前後の位置の一例を示す図である。図5(a)は、図4に示す気体噴射時の分離補助部30の回動角度の一例を示す図であり、図5(b)は、定着装置20から分離補助部30を離隔させた回動角度の一例を示す図である。
本実施形態の分離補助部30は、画像形成部106による画像形成が行われていて、かつ、記録媒体の詰まり(例えば、紙詰まり等)を生じていない場合、図4及び図5(a)に示す、ニップ部により搬送されて定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に気体を噴射するための所定の回動角度(噴射角度)に保持される。一方、分離補助部30は、記録媒体の詰まりを生じた場合、例えば、図5(b)に示すように、分離補助部30が噴射角度を取る場合よりも、ノズル40の先端側が定着装置20から離隔された回動角度(離隔角度)をとるよう設けられる。分離補助部30の回動角度の切替動作は、位置切替部107の駆動に応じて行われる。
【0046】
位置切替部107は、分離補助部30の回動角度を切り替える。
具体的には、位置切替部107は、例えば、離隔角度をとっている分離補助部30を回動させて噴射角度を取らせる駆動部107aと、分離補助部30を噴射角度で保持する保持部107bと、駆動部107aによる分離補助部30の回動及び保持がない場合に分離補助部30に離隔角度を取らせるよう働く離隔誘導部107cと、を有する。
【0047】
具体的には、駆動部107aは、例えば、電動機やアクチュエータであり、電源回路108からの電力供給に応じて駆動する。駆動部107aは、駆動により、離隔角度をとっている分離補助部30を持ち上げるように回動させてノズル40の先端を定着ベルト21に接近させ、分離補助部30に噴射角度を取らせる。
なお、本実施形態では、分離補助部30が噴射角度であるときのノズル40と定着ベルト21との位置関係よりもノズル40が定着ベルト21へ近づくことを抑止するために分離補助部30を係止する係止部(図示略)が設けられる。分離補助部30は、駆動部107aにより噴射角度を取るよう駆動されることにより、係止部に当接、係止される。
【0048】
保持部107bは、例えば、分離補助部30の第1係合部と係合する位置に設けられた電磁石である。また、係止部のうち少なくとも分離補助部30と当接する部分(当接部)は常磁性を有する金属等により構成される。保持部107bは、電源回路108からの電力供給に応じて磁力を生じさせ、係止部の当接部と互いに引き合うように当接することにより、分離補助部30の回動角度を噴射角度で位置決めする。
【0049】
離隔誘導部107cは、例えば、所定の押圧力又は引張力を有するばねであり、噴射角度に対して分離補助部30のノズル40の先端側を定着装置20から離隔させる方向の力を分離補助部30へ加える。離隔誘導部107cは、駆動部107a及び保持部107bが駆動されていない場合に、分離補助部30のノズル40の先端側を定着装置20から離隔させる。
なお、分離補助部30を回動させる駆動部107aの駆動力及び磁力により係止部に当接して分離補助部30の回動角度を維持する保持部107bの保持力は、離隔誘導部107cによる分離補助部30のノズル40の先端側を定着装置20から離隔させる方向の力に勝る。
【0050】
電源回路108は、噴流発生部50、駆動部107a及び保持部107bに電力を供給する。電源回路108は、例えば、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)により供給電圧を変更可能な電源回路であり、制御部101の制御下で、噴流発生部50、駆動部107a、保持部107bの各々を動作させるための電圧の印加を制御する。
【0051】
詰まり検知部109は、記録媒体(例えば、用紙等)の搬送経路における記録媒体の詰まりを検知する。
具体的には、詰まり検知部109は、例えば、画像形成における用紙の搬送経路を逸脱した所定の位置に用紙が侵入したことを検知するセンサ等を有し、当該センサにより用紙が検知された場合に紙詰まりが生じたことを示す信号(詰まり検知信号)を制御部101へ出力する。詰まり検知部109のセンサは、例えば、分離補助部30と定着ベルト21との間に対する用紙の侵入を検知できるよう設けられる。これによって、用紙が定着ベルト21から剥離されずに分離補助部30と定着ベルト21との間に侵入した場合に検知信号が入力されるので、制御部101は紙詰まりを生じさせうる用紙の侵入を検知することができる。
なお、検知部109のセンサは、一つに限らず、複数設けることができ、その位置は、分離補助部30と定着ベルト21との間に限らない。例えば、画像形成装置1は、画像形成が正常に行われる場合の用紙の搬送経路に沿って設けられた複数のセンサを有し、制御部101により画像形成中の各処理の実施タイミングに応じて用紙が搬送されているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、画像形成中の各処理の実施タイミングに応じた用紙の搬送位置に用紙が存在しないことが検知された場合、制御部101は、紙詰まりが生じたものと判定する。
【0052】
次に、制御部101による分離補助部30の動作に関する各種処理について説明する。制御部101は、電源回路108を制御することにより、駆動部107a、保持部107bの動作を制御して分離補助部30の回動角度を制御する。
【0053】
例えば、画像形成が行われていない状態では、制御部101は、駆動部107a及び保持部107bを動作させない。このため、離隔誘導部107cにより、分離補助部30は離隔角度を取る。
【0054】
ユーザによる入力に基づいて画像形成の開始が指示されると、制御部101は、画像形成装置1の各部を動作させて画像形成を行う。ここで、制御部101は、カセット11から用紙を引き出させると共に、駆動部107a及び保持部107bを動作させて分離補助部30に噴射角度を取らせる。具体的には、例えば、制御部101は、駆動部107aを動作させて分離補助部30に噴射角度を取らせ、さらに保持部107bを動作させて分離補助部30が噴射角度を取る状態を保持させる。ここで、制御部101は、保持部107bの動作により分離補助部30が噴射角度で保持されると、分離補助部30を回動させる前の状態に駆動部107aの動作状態を戻した上で駆動部107aの動作を終了させる。
また、制御部101は、噴流発生部50を動作させ、ノズル40の先端から空気を噴射させる。制御部101は、例えば、カセット11から引き出された最初の用紙がニップ部Nを通過する時点で、ノズル40の先端からの空気の噴射が安定するよう噴流発生部50を動作させる。ノズル40の先端からは、所定の空気流(例えば、40[m/s])が、ニップ部Nにより搬送(排出)されて定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に噴射される。これによって、定着ベルト21から用紙を良好に剥離させることができ、ニップ部Nにより搬送(排出)されて定着ベルト21に付着した用紙が、所定の経過時間(例えば、20[msec])以上の間、定着ベルト21に付着し続けた場合に発生しうる画質の低下を抑止することができる。
【0055】
制御部101は、画像形成が行われている間、保持部107b及び噴流発生部50の動作を維持させる。
画像形成中に詰まり検知部109から詰まり検知信号が出力された場合、制御部101は、保持部107b及び噴流発生部50の動作を停止させる。これによって、分離補助部30は、噴射角度で保持される保持力を喪失するので、離隔誘導部107cにより、ノズル40の先端側を定着装置20から離隔させるように回動する。つまり、制御部101は、画像形成時において分離補助部30に噴射角度を取らせ、紙詰まりが生じた場合に分離補助部30を定着装置20から離隔させて離隔角度を取らせるよう、駆動部107a及び保持部107bの動作を制御する。即ち、制御部101及び位置切替部107は、協働により、詰まり検知部109により用紙の詰まり(紙詰まり)が検知された場合、分離補助部30を定着装置20から離隔させる離隔手段として機能する。
【0056】
紙詰まりが生じた後、紙詰まりが解消されて画像形成が再開された場合、制御部101は、再び駆動部107a及び保持部107bを動作させて分離補助部30に噴射角度を取らせ、噴流発生部50を動作させる。
画像形成が終了すると、制御部101は、保持部107bの動作を終了させる。これによって、離隔誘導部107cにより、分離補助部30は離隔角度を取る。
つまり、離隔誘導部107cは、画像形成装置1による用紙への画像形成が行われていない場合、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。
【0057】
以上、本実施形態の画像形成装置1によれば、詰まり検知部109により用紙の搬送経路における詰まり(紙詰まり)が検知された場合、制御部101及び位置切替部107は協働により、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。
これによって、紙詰まりが生じた場合に、分離補助部30を定着装置20から離隔させることができるので、紙詰まりが生じた際の分離補助部30と定着装置20との間隔を、分離補助部30が定着装置20の定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に気体(例えば、空気等)を噴射する際の分離補助部30と定着装置20との間隔に比して大きくすることができる。このため、従来、定着ベルト剥離が不十分な用紙が、ベルトの稼動に伴ってノズルの先端とベルトとの間の狭い空間に押し込まれて詰まりを生じさせ、押し込まれて詰まった用紙が、定着装置のベルト等を破損させていた問題について、本実施形態では、紙詰まりが生じた際の分離補助部30と定着装置20との間隔を大きくすることにより、分離補助部30と定着装置20との間における紙詰まりを良好に抑止する。また、仮に分離補助部30と定着装置20との間に用紙が詰まったとしても、分離補助部30と定着装置20との間隔が大きいので、詰まった用紙の存在可能な空間が大きく、これによって用紙が行き場を失って大きな押圧力を受けて圧縮されることを良好に抑止することができる。このため、本実施形態の画像形成装置1では、詰まって行き場を失った用紙が定着装置20側に押圧力を加えて定着装置20のベルト等を破損させるようなことがない。つまり、本実施形態の画像形成装置1は、紙詰まりが生じた場合に、分離補助部30を定着装置20から離隔させるので、詰まった用紙が定着装置のベルト等を破損させることを良好に抑止することができる。
また、分離補助部30と定着装置20との間に用紙が詰まった場合に、分離補助部30が定着装置20から離隔されるので、分離補助部30と定着装置20との間隔が大きく設けられることにより、ユーザは詰まった用紙の排除等の作業を容易に行うことができる。
また、分離補助部30が定着装置20の定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に空気を噴射するときの分離補助部30と定着装置20との間隔を小さく設けても、紙詰まりが生じた場合に、分離補助部30を定着装置20から離隔させることにより定着装置20の破損を良好に抑止することができるので、分離補助部30が定着装置20の定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に空気を噴射するときの分離補助部30と定着装置20との間隔をより小さくすることができ、用紙の剥離のための空気の噴射をより好条件で行うことができる。
【0058】
また、画像形成装置1による用紙への画像形成が行われていない場合、制御部101及び位置切替部107は協働により、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。
これによって、画像形成装置1による用紙への画像形成が行われていないときの分離補助部30と定着装置20との間隔を、分離補助部30が定着装置20の定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に空気を噴射する際の分離補助部30と定着装置20との間隔に比して大きくすることができる。よって、分離補助部30や定着装置20又はこれらの構成の一部の部品交換作業時に、当該部品交換作業を行うための作業スペースをより大きく設けることができるので、画像形成装置1の整備者はより容易に当該部品交換作業を行うことができる。
【0059】
また、画像形成装置1は、分離補助部30を所定の移動経路に沿って移動可能に支持する支持部材(例えば、支持部材60)を備える。そして、制御部101及び位置切替部107は協働により、分離補助部30を定着装置20から離隔させるよう所定の移動経路に沿って移動させる。
これによって、分離補助部30が定着装置20から離隔する場合の移動経路が所定の移動経路に定められるので、分離補助部30の周囲において、当該所定の移動経路に沿って分離補助部30が移動可能な状態(例えば、移動スペース等)を確保することで、分離補助部30を定着装置20から良好に離隔させることができる。
【0060】
また、支持部材60は、分離補助部30を回動可能に支持する。そして、制御部101及び位置切替部107は協働により、分離補助部30を回動させ、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。
これによって、分離補助部30を定着装置20から離隔させるにあたり、空気の噴射時において分離補助部30と定着装置20との間隔が十分に確保されている部分に回動軸を設け、空気の噴射時に分離補助部30が最も定着装置20に近接する部分(例えば、ノズル40の先端側等)を大きく回動させるようにすることができ、分離補助部30の最小限の移動により分離補助部30と定着装置20とを十分に離隔させることができる。また、これによって、分離補助部30を定着装置20から離隔させるための空間も小さく済む。
【0061】
また、画像形成装置1は、ニップ部Nにより搬送されて定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に気体を噴射する位置で分離補助部30を保持する保持部107bと、詰まり検知部109により紙詰まりが検知された場合に、保持部107bによる分離補助部30の保持を解除させる制御部101と、を備える。そして、離隔誘導部107cが、保持部107bによる分離補助部30の保持が解除された場合に、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。
これによって、定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に気体を噴射するときの分離補助部30の位置決めを保持部107bにより行うことができるので、分離補助部30を定着装置20から離隔させた後に、改めて画像形成を行う場合に、分離補助部30を定着ベルト21に付着した用紙と定着ベルト21との間に気体を噴射するときの位置へ容易に設けることができる。また、詰まり検知部109による紙詰まりの検知と、保持部107bによる分離補助部30の保持の解除とが連動しているので、紙詰まりが生じた場合に、離隔誘導部107cは、良好に分離補助部30を定着装置20から離隔させることができる。
【0062】
また、詰まり検知部109として、画像形成が正常に行われる場合の用紙の搬送経路に沿って設けられた複数のセンサを設け、制御部101により画像形成中の各処理の実施タイミングに応じて用紙が搬送されているか否かを判定するようにした場合、画像形成中の各処理の実施タイミングに応じた用紙の搬送位置に用紙が存在しないことが検知された場合、制御部101は、紙詰まりが生じたものと判定し、分離補助部30を定着装置20から離隔させる。これによって、定着装置20以外の構成を含め、用紙の搬送経路に関る画像形成装置1のいずれかの構成で紙詰まりを生じた場合であって、当該紙詰まりの解消のために定着装置20に用紙を通過させなければならない場合においても、分離補助部30が定着装置20から離隔されているので、紙詰まりの解消のために定着装置20に用紙を通過させるときにおける分離補助部30と定着装置20との間に紙詰まりを良好に抑止することができる。よって、紙詰まりの解消のための排紙に伴い、定着装置20に用紙を通過させる場合における分離補助部30と定着装置20との間に対する紙詰まりを良好に抑止することができる。
また、離隔誘導部107cは、分離補助部30を離隔させるのに継続的な消費(例えば、電力の使用等)を伴わないので、画像形成を行わない場合における分離補助部30の定着装置20に対する離隔を極めて低コストで行うことができ、経済的であると共に、環境保全の観点からも優れている。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の位置切替部107は、保持部107bに代えて、保持具61及び保持具支持部62を有する。
【0064】
保持具61は、分離補助部30に設けられた所定の係合部(例えば、図7に示すノズル40に設けられた係合部41)と係合する部材である。また、保持具61は、所定位置に設けられた回動軸(例えば、図7に示す回動軸61a)を中心に回動可能に設けられる。
【0065】
保持具支持部62は、保持具61の回動角度を変更させる。具体的には、保持具支持部62は、例えば、プランジャを電磁力により直動動作させるアクチュエータであり、図7に示すように、プランジャの先端部により保持具61を下方から支持するよう設けられる。
【0066】
第2実施形態の制御部101は、第1実施形態の保持部107bの動作制御に代えて、保持具支持部62の動作を制御する。
例えば、画像形成に伴い、駆動部107aの動作により分離補助部30が噴射角度を取った後、制御部101は、保持具支持部62を動作させてプランジャを突出させる。保持具支持部62は、動作によりプランジャを突出させることにより、保持具61を下方から押し上げると共に押し上げ後の位置で支持する。これによって、保持具61と係合する分離補助部30は、噴射角度で保持される。
一方、紙詰まりが生じた場合や画像形成が終了した場合、制御部101は、保持具支持部62を動作させてプランジャを収納させる。保持具支持部62は、動作によりプランジャを収納させることにより、保持具61の押し上げ及び保持を解除する。これによって、分離補助部30は、噴射角度で保持される保持力を喪失するので、離隔誘導部107cにより、ノズル40の先端側を定着装置20から離隔させるように回動する。
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0067】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図7を参照して説明する。第1、第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1実施形態において分離補助部30を回動可能に支持する支持部材60に代えて、第3実施形態の分離補助部30は、分離補助部30を直動可能に支持するガイドレール部材70、70を有する。
ガイドレール部材70、70は、分離補助部30を所定の方向に沿って直動可能に支持する。ここで、所定の方向は、例えば、図7に示すように、ローラ21a及びローラ21bの間に位置する定着ベルト21の平面状の部分に対して直交する方向であるが、一例であり、これに限られるものではない。ガイドレール部材70、70により決定される分離補助部30の直動方向は、定着装置20に対して分離補助部30の近接と離隔とを切替可能な方向であればよい。
【0068】
第3実施形態の駆動部107aは、分離補助部30を定着ベルト21に対して近接させるよう動作する。具体的には、駆動部107aは、例えば、図4に示す位置関係と同様の位置となるように、分離補助部30をガイドレール部材70、70に沿って移動させる。
また、第3実施形態の保持部107bは、駆動部107aにより移動した分離補助部30を、図4に示す位置関係と同様の位置で保持する。
また、第3実施形態の離隔誘導部107cは、図4に示す分離補助部30と定着装置20との位置関係を取る分離補助部30の位置に対して、ガイドレール部材70、70に沿って分離補助部30を定着装置20から離隔させる方向の力を分離補助部30へ加える。
【0069】
以下、第3実施形態における制御部101による分離補助部30の動作に関する各種処理について、第1実施形態との相違点について説明する。
例えば、画像形成が行われていない状態では、制御部101は、駆動部107a及び保持部107bを動作させない。このため、離隔誘導部107cにより、分離補助部30は、図4に示す分離補助部30と定着装置20との位置関係を取る分離補助部30の位置に対して定着装置20から離隔した位置をとる。
【0070】
ユーザによる入力に基づいて画像形成の開始が指示されると、制御部101は、駆動部107aを動作させて、分離補助部30を、分離補助部30を図4に示す位置関係と同様の位置まで、ガイドレール部材70、70に沿って移動させる。その後、制御部101は、さらに保持部107bを動作させて、分離補助部30の位置を保持させる。
【0071】
画像形成中に詰まり検知部109から詰まり検知信号が出力された場合、制御部101は、保持部107b及び噴流発生部50の動作を停止させる。これによって、分離補助部30は、位置を保持するための保持力を喪失するので、離隔誘導部107cにより、図4に示す分離補助部30と定着装置20との位置関係を取る分離補助部30の位置に対して、ガイドレール部材70、70に沿って定着装置20から離隔するように移動する。
【0072】
紙詰まりが生じた後、紙詰まりが解消されて画像形成が再開された場合、制御部101は、再び駆動部107a及び保持部107bを動作させて、分離補助部30に、図4に示す位置関係と同様の位置を取らせる。
画像形成が終了すると、制御部101は、保持部107bの動作を終了させる。これによって、分離補助部30は、離隔誘導部107cにより、定着装置20から離隔するように移動する。
【0073】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、分離補助部30が直動可能に支持されるので、回動動作による分離補助部30の定着装置20による離隔よりも、より大きく分離補助部30を定着装置20から離隔させることができる。
【0074】
また、分離補助部30の全部を定着装置20から離隔させることができるので、分離補助部30や定着装置20又はこれらの構成の一部の部品交換作業時に、当該部品交換作業を行うための作業スペースをより大きく設けることができ、画像形成装置1の整備者はより容易に当該部品交換作業を行うことができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図8を参照して説明する。第1〜第3実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第3実施形態において分離補助部30を直動可能に支持するガイドレール部材70、70に代えて、第4実施形態の分離補助部30は、噴流発生部50に対してノズル40を直動可能に支持するガイドレール部材70A、70Aを有する。
ガイドレール部材70A、70Aは、ノズル40を噴流発生部50とノズル40との継ぎ目に沿った方向に沿って直動可能に支持する。ここで、ガイドレール部材70A、70Aにより決定される直動の方向は、一例であり、これに限られるものではなく、定着装置20に対してノズル40の近接と離隔とを切替可能な方向であればよい。
【0076】
第4実施形態の駆動部107aは、ノズル40を定着ベルト21に対して近接させるよう動作する。具体的には、駆動部107aは、例えば、図4に示す位置関係と同様の位置となるように、ノズル40をガイドレール部材70A、70Aに沿って移動させる。
また、第4実施形態の保持部107bは、駆動部107aにより移動したノズル40を、図4に示す位置関係と同様の位置で保持する。
また、第4実施形態の離隔誘導部107cは、図4に示すノズル40と定着装置20との位置関係を取るノズル40の位置に対して、ガイドレール部材70A、70Aに沿ってノズル40を定着装置20から離隔させる方向の力をノズル40へ加える。
第4実施形態の制御部101による制御内容は、位置切替部107により移動する対象が分離補助部30に代わりノズル40となる点を除いて、第3実施形態と同様である。
【0077】
以上、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、ノズル40が直動可能に支持されるので、分離補助部30の全部を定着装置20から離隔させる場合に比して、離隔させる構成の重量が軽くなり、より迅速に離隔を完了させることができる。つまり、紙詰まりの際の分離補助部30と定着装置20との間隔の拡大をより迅速に行うことができるので、分離補助部30と定着装置20との間に詰まった紙が定着装置20を破損させることをより良好に抑止することができる。
また、離隔させる構成の重量が軽いので、離隔させるための構成(例えば、離隔誘導部107c等の部品)に求められる力が小さくなる。このため、離隔させるための構成の小型化が容易となり、省スペースで低コストな構成とすることができる。
【0078】
また、第4実施形態のように、ノズル40と噴流発生部50とを分離可能な構成とすることにより、ノズル40の交換時に噴流発生部50まで取り外す必要がなくなり、ノズル40の部品交換の効率化を実現することができる。また、ノズル40を交換すれば足りる場合に噴流発生部50を使いまわすことができるので、交換コスト低減を実現することができる。
【0079】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、図9を参照して説明する。第1〜第4実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第5実施形態のノズル40は、先端部45がノズル40の他の部分に対して回動可能に設けられる。そして、先端部45は、回動動作により、例えば図4に示すようなノズル40と定着装置20との位置関係を取るノズル40の先端位置と、当該先端位置に対して定着装置20から離隔する位置との位置変更が可能に設けられる。
なお、ノズル40の先端部45と他の部分との継ぎ目には、当該継ぎ目を塞いでからの気体の漏れ(例えば、空気漏れ等)を抑止するための閉塞部材(例えば、スポンジ等)が設けられる。
【0080】
第1実施形態の位置切替部107が分離補助部30の回動角度を切り替えていたのに代えて、第5実施形態の位置切替部107は、先端部45の回動角度を切り替える。回動角度を切り替える対象の違いを除いて、位置切替部107の各構成の機能及び動作ならびに制御部101による分離補助部30の動作に関する各種処理は、第1実施形態と同様である。
【0081】
以上、第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、ノズル40の一部分(例えば、先端部45)が回動可能に設けられるので、ノズル40の全部を定着装置20から離隔させる場合に比して、離隔させる構成の重量が軽くなり、より迅速に離隔を完了させることができる。つまり、紙詰まりの際の分離補助部30と定着装置20との間隔の拡大をより迅速に行うことができるので、分離補助部30と定着装置20との間に詰まった紙が定着装置20を破損させることをより良好に抑止することができる。
また、離隔させる構成の重量がより軽いので、離隔させるための構成(例えば、離隔誘導部107c等の部品)に求められる力がより小さくなる。このため、離隔させるための構成のさらなる小型化が容易となり、より省スペースでより低コストな構成とすることができる。
【0082】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0083】
例えば、上記の各実施形態では、分離補助部30あるいはノズル40の一部又は全部を回動又は直動させて定着装置20から離隔させているが、これらの離隔方法は一例であり、これに限らない。例えば、ノズル40の一部又は全部を離隔させると共に、分離補助部30を離隔させるようにしてもよい。具体的には、例えば、ノズル40の一部又は全部を回動動作させて定着装置20から離隔させると共に、さらに、分離補助部30を定着装置20から離隔させるよう直動させる方法等が挙げられる。これによって、空気の噴射時に分離補助部30が最も定着装置20に近接する部分(例えば、ノズル40の先端側等)をより迅速に離隔させることと、分離補助部30を定着装置20から離隔させることで、分離補助部30と定着装置20との間隔を十分に確保することとを両立することができる。
【0084】
また、上記の各実施形態では、定着ベルト21に用紙が付着する場合を例としているが、これに限られるものではない。例えば、定着ベルト21に代えて加熱ローラを用いた定着装置や、定着ローラ22に代えて設けられたニップ部Nを形成するベルト部材を張架する構成を用いた定着装置及びこれらの組み合わせ等についても、加熱ローラに付着した用紙を剥離させる構成として本発明を適用することができる。また、ベルトを張架するローラは3本以上であってもよい。
【0085】
また、位置切替部107による位置切替対象、即ち、分離補助部30及びノズル40の一部又は全部、の位置決め及び位置切替の具体的内容は一例であり、これに限られるものではない。例えば、電動機やアクチュエータにより位置切替対象を定着装置20から離隔させ、ばね等による付勢により、例えば図4に示すようなノズル40と定着装置20との位置関係へ位置切替対象を位置させるようにしてもよい。また、電動機やアクチュエータ等、任意に動作を制御可能な構成のみで位置切替対象の位置決め及び位置切替を行うようにしてもよい。
【0086】
また、図4に示すノズル40と定着装置20との位置関係や、各ローラの径は一例であり、これに限られるものでなく、画像形成装置に求められる機能、性能等に応じて適宜変更することができる。
【0087】
また、上記の各実施形態における噴流発生部50は軸流ファンであるが、これは噴流発生手段の一例であり、これに限られるものではない。例えば、シロッコファン等の他の種類のファンを噴流発生手段として用いてもよいし、気体を圧縮して噴出する圧縮機を噴流発生手段として用いてもよい。また、分離補助部30に複数のノズルを設けて、各ノズルの噴流発生手段を個別に設けてもよい。
また、上記の各実施形態では、噴流発生部50とノズル40とを直接繋げているが、噴流発生手段を別の箇所や画像形成装置の外部に設け、ダクト等を介して定着装置に付着した記録媒体(例えば、用紙等)と当該定着装置との間に気体を噴射するようにしてもよい。
【0088】
また、上記の実施形態における画像形成は、4色のトナー画像を用紙に転写するカラープリント処理であるが、カラープリント処理は画像形成の一例であり、これに限られるものではない。例えば、画像形成装置1は、1色(例えば、ブラック(K))のみのトナー画像を用紙に転写するモノクロプリント処理を実行することとしてもよい。
また、用紙に対する画像形成の工程を説明したが、画像形成装置1は、用紙以外の記録媒体に対しても、用紙に対する画像形成と同様の仕組みによる画像形成を行うことができる。
【0089】
また、画像形成部106は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色それぞれを個別の静電ドラムで転写する構成(タンデム方式)としたが、当該構成は一例であり、これに限られるものではない。例えば、1つの静電ドラムで転写する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
20 定着装置
21 定着ベルト
22 定着ローラ
30 分離補助部
40 ノズル
50 噴流発生部
60 支持部材
107 位置切替部
107a 駆動部
107b 保持部
107c 離隔誘導部
109 詰まり検知部
N ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して圧力及び熱を加えながら当該記録媒体を搬送するニップ部を有する定着手段と、
前記ニップ部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられて、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に気体を噴射する噴射手段と、
前記記録媒体の搬送経路における前記記録媒体の詰まりを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記記録媒体の詰まりが検知された場合、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させる離隔手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記離隔手段は、前記画像形成装置による前記記録媒体への画像形成が行われていない場合、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記噴射手段を所定の移動経路に沿って移動可能に支持する支持部材を備え、
前記離隔手段は、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させるよう前記所定の移動経路に沿って移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記噴射手段を回動可能に支持し、
前記離隔手段は、前記噴射手段を回動させて前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記噴射手段を直動可能に支持し、
前記離隔手段は、前記噴射手段を直動させて前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記噴射手段を、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に気体を噴射する位置で保持する保持手段と、
前記検知手段により前記記録媒体の詰まりが検知された場合に、前記保持手段による前記噴射手段の保持を解除させる解除手段と、を備え、
前記離隔手段は、前記解除手段により前記保持手段による前記噴射手段の保持が解除された場合に、前記噴射手段を前記定着手段から離隔させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記噴射手段は、
気体の噴流を生じさせる噴流発生手段と、
前記ニップ部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられて、前記噴流発生手段により生じた気体の噴流を、前記ニップ部により搬送されて前記定着手段に付着した記録媒体と当該定着手段との間に噴射させるノズルと、を備え、
前記離隔手段は、前記ノズルの一部又は全部を前記定着手段から離隔させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−168483(P2012−168483A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31567(P2011−31567)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】