説明

画像形成装置

【課題】定着装置内で記録シートが詰まった場合であっても、容易にジャム処理を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、各プロセスカートリッジ46内の部材に駆動力を伝達する複数のカートリッジ側入力部材65と、複数のカートリッジ側入力部材65に対して軸方向に進退可能な複数の第1カップリング64と、定着装置44内の部材に駆動力を伝達する定着側入力部材75と、定着側入力部材75に対して軸方向に進退可能な第2カップリング74と、装置本体に形成された開口部を開閉するカバーと各カップリング64,74とを連動させる連動機構(直動カム83等)を備える。連動機構は、カバーを開いたときに各カップリング64,74を退避位置に移動させ、カバーを閉じたときに各カップリング64,74を接続位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロセスカートリッジと定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムを有する複数のプロセスカートリッジと、各感光ドラムとの間で用紙を搬送する搬送ベルトと、用紙上の現像剤像を熱定着させる定着装置と、各プロセスカートリッジを着脱可能に支持する筐体とを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この画像形成装置は、各プロセスカートリッジや定着装置に駆動力を与える駆動ユニットと、筐体の上部に形成された開口を開閉するトップカバーとを備え、トップカバーを開けると、各プロセスカートリッジと駆動ユニットとの連結が切れて、各プロセスカートリッジを筐体から取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−204838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用紙搬送経路において紙詰まりが発生した場合には、その用紙をユーザが取り除く作業(以下、ジャム処理ともいう。)を行う必要がある。前述した技術では、トップカバーを開けると、各プロセスカートリッジと駆動ユニットとの連結が切れるため、感光ドラムと搬送ベルト間で用紙が詰まった場合であっても、各プロセスカートリッジを筐体から取り外してジャム処理を行ったり、一部のプロセスカートリッジを筐体に取り付けたままの状態でも感光ドラムがスムーズに回転することにより用紙を容易に引き抜くことが可能となっている。
【0005】
しかしながら、前述した技術において、定着装置内の加熱ローラと加圧ローラ間で挟持(ニップ)された状態で用紙が詰まった場合には、定着装置と駆動ユニットとが連結されたままの状態であるため、ニップされた用紙を引き抜くことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、定着装置内で用紙(記録シート)が詰まった場合であっても、容易にジャム処理を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、所定の並列方向に並列して配置された複数のプロセスカートリッジと、前記各プロセスカートリッジに回転可能に設けられ、当該各プロセスカートリッジ内の部材に駆動力を伝達する複数のカートリッジ側入力部材と、前記複数のカートリッジ側入力部材に対して軸方向に進退可能に設けられ、当該複数のカートリッジ側入力部材に接続する接続位置と、当該複数のカートリッジ側入力部材から軸方向に離間した退避位置とに移動可能な第1カップリングと、前記複数のプロセスカートリッジによって形成された記録シート上の現像剤像を熱定着する定着装置と、前記定着装置に回転可能に設けられ、当該定着装置内の部材に駆動力を伝達する定着側入力部材と、前記定着側入力部材に対して軸方向に進退可能に設けられ、当該定着側入力部材に接続する接続位置と、当該定着側入力部材から軸方向に離間した退避位置とに移動可能な第2カップリングと、装置本体に形成された開口部を開閉するカバーと、前記カバーと前記第1カップリングおよび前記第2カップリングとを連動させる連動機構と、を備え、前記連動機構は、前記カバーを開いたときに前記第1カップリングおよび前記第2カップリングを前記退避位置に移動させ、前記カバーを閉じたときに前記第1カップリングおよび前記第2カップリングを前記接続位置に移動させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、カバーを開けると、各カートリッジ側入力部材および定着側入力部材と、各第1カップリングおよび第2カップリングとの連結が切られるので、定着装置内で記録シートが詰まった場合でも、ジャム処理が容易になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定着装置内で記録シートが詰まった場合であっても、容易にジャム処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラーレーザプリンタを示す断面図である。
【図2】第1駆動ユニット、第2駆動ユニットおよび直動カムを示す平面図であり、各カップリングが接続位置に位置する状態を示す図である。
【図3】第1駆動ユニット、第2駆動ユニットおよび直動カムを示す平面図であり、各カップリングが退避位置に位置する状態を示す図である。
【図4】第1駆動ユニットを係合突起が含まれる断面で切った断面図である。
【図5】第1駆動ユニットを図4の断面とは異なる断面で切った断面図(a)と、第1カップリングの先端部を先端から見た図(b)と、凹形状部を開口側から見た図(c)である。
【図6】連動機構を示す側面図であり、フロントカバーを閉じた状態を示す図である。
【図7】連動機構を示す側面図であり、フロントカバーを開けた状態を示す図である。
【図8】直動カムの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、まず、図1により一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分について詳細に説明する。
【0012】
<カラーレーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、カラーレーザプリンタ1は、装置本体2内に記録シートSHを供給する給紙部30と、この給紙部30から給紙された記録シートSH上に画像を形成する画像形成部40と、この画像形成部40により画像が形成された記録シートSHを装置本体2から排出する排紙部50とを備えている。
【0013】
なお、図1に矢印で示す上下、前後の方向は、カラーレーザプリンタ1の前(手前)側に立った者から見た方向である。そのため、図1では、紙面手前側が右、紙面奥側が左となる。以下の説明において、上下、左右、前後の方向は、特に断りのない限り、前述した方向に準じる。
【0014】
装置本体2の前壁には、後述するドロワ45を着脱するための開口部2Aが形成されるとともに、この開口部2Aを開閉するフロントカバー21が、下端に設けられた軸を中心に揺動可能に設けられている。
【0015】
給紙部30は、装置本体2に着脱可能な給紙トレイ31と、給紙トレイ31から記録シートSHを画像形成部40へ搬送する用紙供給機構32とを備えている。
【0016】
画像形成部40は、スキャナ部41と、プロセス部42と、転写部43と、定着装置44とを備えている。
【0017】
スキャナ部41は、図示はしないが、レーザ発光部、ポリゴンミラー、複数のレンズおよび反射鏡を備えている。スキャナ部41では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応したレーザ光を、プロセス部42の各感光ドラム47Aに出射する。
【0018】
プロセス部42は、スキャナ部41と転写部43の間に配置されて装置本体2に着脱可能に装着されるドロワ45を備えている。ドロワ45内には、4つ(複数)のプロセスカートリッジ46が記録シートSHの搬送方向(所定の並列方向)に沿って並列されている。なお、各プロセスカートリッジ46は、ドロワ45に着脱可能に構成されていてもよいし、一体に設けられていてもよい。
【0019】
各プロセスカートリッジ46は、下部に配置されたドラムサブユニット47と、ドラムサブユニット47に着脱可能に連結される現像ユニット48と、現像ユニット48に着脱可能に連結される現像剤カートリッジ49とを備えている。
【0020】
ドラムサブユニット47は、感光ドラム47Aや帯電器(符号省略)などを備えている。感光ドラム47Aは、ドラムサブユニット47に回転可能に支持されている。
【0021】
現像ユニット48は、現像ローラ48Bや供給ローラ48A等を備えている。また、現像剤カートリッジ49内には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の非磁性一成分のトナー(現像剤)が収容されている。
【0022】
このように構成されるプロセス部42では、帯電器によって帯電された感光ドラム47Aの表面が、スキャナ部41から出射されるレーザ光によって露光されることで、その露光部分の電位が下がって感光ドラム47A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。さらに、感光ドラム47Aに接触する現像ローラ48Bによってトナーが感光ドラム47A上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム47A上にトナー像が担持される。
【0023】
転写部43は、駆動ローラ43Aと、従動ローラ43Bと、搬送ベルト43Cと、転写ローラ43Dとを備えている。
【0024】
搬送ベルト43Cは、複数の感光ドラム47Aに対向して配置される。この搬送ベルト43Cは、駆動ローラ43Aの回転駆動により、従動ローラ43Bとともに回転駆動される。そして、この搬送ベルト43Cの内側には、各感光ドラム47Aとの間で搬送ベルト43Cを挟み込む転写ローラ43Dが配置されている。転写ローラ43Dには、図示しない高圧基板から転写バイアスが印加される。
【0025】
そして、転写部43では、搬送ベルト43Cによって搬送される記録シートSHが、感光ドラム47Aと転写ローラ43D間に供給されると、感光ドラム47A上のトナー像が記録シートSHに転写される。
【0026】
定着装置44は、加熱ローラ44Aおよび加圧ローラ44Bを備えている。この定着装置44では、加熱ローラ44Aと加圧ローラ44Bとの間で記録シートSHを挟持しつつ送り出すことで、記録シートSH上のトナー像を熱定着させる。
【0027】
排紙部50は、複数の搬送ローラ(符号省略)を有しており、定着装置44から排出された記録シートSHを、上方の排紙トレイ53へ搬送する。
【0028】
<駆動ユニット>
次に、図2〜図5を参照して、プロセスカートリッジ46内の部材(感光ドラム47A等)を駆動するための第1駆動ユニット60と、定着装置44内の部材(加熱ローラ44A等)を駆動するための第2駆動ユニット70について説明する。
【0029】
第1駆動ユニット60は、複数のプロセスカートリッジ46に対応して複数設けられており(1つのみ図示)、主に、駆動源61と、回転駆動体62と、付勢部材の一例としてのコイルバネ63と、第1カップリング64と、カートリッジ側入力部材65とを備えている。
【0030】
駆動源61は、装置本体2に設けられるモータ等の駆動源であり、回転駆動体62に直接または所定数のギヤを介して間接的に駆動力を伝達している。
【0031】
回転駆動体62は、装置本体2に回転可能に設けられており、主に、駆動源61から駆動力61が伝達されるギヤ部62Aと、ギヤ部62Aの中心部から第1カップリング64に向けて突出する円筒状の回転駆動軸62Bとを有している。
【0032】
コイルバネ63は、回転駆動体62と第1カップリング64との間に配設されており、第1カップリング64をカートリッジ側入力部材65側(詳しくは、後述する接続位置)に向けて付勢している。
【0033】
第1カップリング64は、回転駆動体62と回転方向に一体回転可能で、かつカートリッジ側入力部材65に対して回転駆動軸62Bの軸方向に進退可能に構成されている。言い換えると、第1カップリング64は、カートリッジ側入力部材65に接続する接続位置(図2の位置)と、カートリッジ側入力部材65から軸方向に離間した退避位置(図3の位置)とに移動可能となっている。
【0034】
具体的に、第1カップリング64は、回転駆動軸62Bが入り込む筒部64Aと、筒部64Aのカートリッジ側入力部材65側の端部を閉鎖してカートリッジ側入力部材65と対向する壁64Bと、壁64Bからカートリッジ側入力部材65側に突出する先端部64Cとを備えている。
【0035】
筒部64Aの基端側(回転駆動軸62B側)には、径方向内側に向けて突出する係合突起64Dが形成されている。この係合突起64Dは、図4に示すように、筒部64Aにおいて、2箇所に対向するように設けられている。そして、2つの係合突起64Dが、回転駆動軸62Bの先端に径方向外側へ突出するように形成された係合壁B1に軸方向に係合するようになっており、これにより回転駆動軸62Bからの第1カップリング64の脱落が防止されている。
【0036】
また、第1カップリング64の筒部64Aの内周面であって、上記係合突起64Dが設けられていない範囲には、径方向内側に突出するリブA1が軸方向に沿うように形成されている。このリブA1が回転駆動軸62Bの係合壁B1に回転方向で係合することにより、第1カップリング64と回転駆動軸62Bとが一体回転可能となっている。
【0037】
筒部64Aの外周面には、径方向外側に延出する環状フランジ64Fが形成されており、この環状フランジ64Fがコイルバネ63でカートリッジ側入力部材65側に付勢されている。そして、この環状フランジ64Fは、図2および図3に示すように、後述する直動カム83によって、コイルバネ63の付勢力に抗して回転駆動体62側に押されるようになっている。
【0038】
これにより、直動カム83の移動に応じて第1カップリング64が接続位置または退避位置に移動するので、カートリッジ側入力部材65に対する第1カップリング64の接続・切り離しが可能となっている。
【0039】
図5(a)〜(c)に示すように、先端部64Cは、カートリッジ側入力部材65の端面に形成される凹形状部65A内に入り込んで当該凹形状部65Aに回転方向に対して係合可能な形状となっており、この先端部64Cが凹形状部65Aに係合することで、第1カップリング64とカートリッジ側入力部材65とが一体回転可能となっている。具体的に、先端部64Cは、第1カップリング64の回転軸を中心とした円柱状に形成される中心部64Hと、中心部64H(回転軸)を挟んで互いに反対方向の径方向外側に延設される2つの伝達側係合部64Jとを備えている。そして、各伝達側係合部64Jは、凹形状部65A(詳しくは入力側係合部65C)と回転方向で係合するようになっている。
【0040】
カートリッジ側入力部材65は、装置本体2からの駆動力を受ける凹形状部65Aを端面に有する略円柱状の部材であり、この凹形状部65Aが左右方向外側(第1カップリング64側)に露出するようにプロセスカートリッジ46に回転可能に設けられている。凹形状部65Aは、有底筒状に形成されており、主に、円筒状の外壁部65Bと、外壁部65Bから内側に向かって突出する2つの入力側係合部65Cとで形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、カートリッジ側入力部材65は、その一部にギヤ歯部を有し、このギヤ歯部は、プロセスカートリッジ46内の部材、例えば感光ドラム47Aや現像ローラ48Bなどの駆動ギヤに直接または間接的に係合して駆動力を伝達している。
【0041】
各入力側係合部65Cは、カートリッジ側入力部材65の回転軸を挟んで対向するように設けられており、それぞれ第1カップリング64の先端部64Cの各伝達側係合部64Jと回転方向で係合するようになっている。なお、先端部64Cは、2つの伝達側係合部64Jを有するものだけでなく、回転軸を中心とした非円形とし、凹形状部65Aもそれと回転方向に対して係合可能な形状であればよい。
【0042】
図2に示すように、第2駆動ユニット70は、第1駆動ユニット60と略同様の構造であり、定着装置44に対応して1つだけ設けられている。具体的に、第2駆動ユニット70は、駆動源61と、回転駆動体72と、付勢部材の一例としてのコイルバネ73と、第2カップリング74と、定着側入力部材75とを備えている。
【0043】
定着側入力部材75は、前述したカートリッジ側入力部材65の凹形状部65Aと同様の凹形状部(図示略)を有する略円柱状の部材であり、この凹形状部が左右方向外側(第2カップリング74側)に露出するように定着装置44のフレーム44Cに回転可能に設けられている。また、定着側入力部材75は、その一部にギヤ歯部を有し、このギヤ歯部は、定着装置44内の部材(加熱ローラ44Aまたは加圧ローラ44B)を駆動するための駆動ギヤに直接または間接的に係合して駆動力を伝達している。
【0044】
第2カップリング74は、定着側入力部材75に対して軸方向に進退可能に設けられ、当該定着側入力部材75に接続する接続位置(図2の位置)と、当該定着側入力部材75から軸方向に離間した退避位置(図3の位置)とに移動可能となっている。そして、第2カップリング74と複数の第1カップリング64は、前後方向(並列方向)に沿って並ぶように配置されている(図6参照)。
【0045】
なお、回転駆動体72、コイルバネ73、第2カップリング74および定着側入力部材75の詳細構造は、第1駆動ユニット60の各部材の詳細構造(例えば、回転駆動体62の回転駆動軸62Bや第1カップリング64の係合突起64Dなど)と同様であるため、対応した符号を付す(二桁目の数字を6から7に置き換える)、もしくは、図示を省略して、その説明は省略することとする。
【0046】
<連動機構>
次に、図6および図7を参照して、前述した第1カップリング64および前記第2カップリング74をフロントカバー21に連動させる連動機構80について説明する。
【0047】
連動機構80は、装置本体2に回動可能に設けられるV字状の回動アーム81と、回動アーム81の一端とフロントカバー21とを連結する連結アーム82と、回動アーム81の他端に連結される直動カム83とを備えている。
【0048】
回動アーム81は、フロントカバー21が閉じた状態において、回動中心から上斜め前側に延びる第1アーム部81Aと、回動中心から下斜め前側に延びる第2アーム部81Bとを有している。そして、第1アーム部81Aの先端部が連結アーム82の一端に回動可能に連結されるとともに、第2アーム部81Bの先端部が直動カム83の前端部に回動可能に連結されている。
【0049】
連結アーム82は、長尺状の部材であり、一端が第1アーム部81Aの先端部に回動可能に連結されるとともに、他端がフロントカバー21に回動可能に連結されている。これにより、フロントカバー21を開けると、連結アーム82を介して回動アーム81の第1アーム部81Aが前方に引っ張られて、回動アーム81が図示反時計回りに回動することで、回動アーム81の第2アーム部81Bによって直動カム83が後方に押されるようになっている。また、フロントカバー21を閉めると、連結アーム82を介して回動アーム81の第1アーム部81Aが後方に押されて、回動アーム81が図示時計回りに回動することで、回動アーム81の第2アーム部81Bによって直動カム83が前方に引っ張られるようになっている。
【0050】
直動カム83は、最も前方に位置する第1カップリング64から第2カップリング74まで延びる長尺状の部材であり、装置本体2に前後方向に移動可能に支持されている。具体的には、直動カム83は、前後方向に延びる板状部83Aと、複数の第1カップリング64の筒部64Aおよび第2カップリング74の筒部74Aが挿通される複数の長孔部83Bとを有している。
【0051】
各長孔部83Bの前側の縁には、図2に示すように、前方(フロントカバー21の開放時における直動カム83の移動方向とは反対側)に向かうにつれて左右方向外側(軸方向外側)に突出するように傾斜する複数の傾斜部83Cが設けられている。そして、各傾斜部83Cは、各カップリング64,74の環状フランジ64F,74Fに左右方向内側から係合可能となっている。
【0052】
これにより、フロントカバー21を開けると、この開動作に連動して直動カム83が後方に移動することで、各傾斜部83Cが各カップリング64,74を各コイルバネ63,73の付勢力に抗して接続位置から退避位置まで押すようになっている。また、フロントカバー21を閉じると、この閉動作に連動して直動カム83が前方に移動することで、各傾斜部83Cによる押圧が解除され、各コイルバネ63,73の付勢力によって各カップリング64,74が退避位置から接続位置に移動するようになっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
フロントカバー21を開けると、各入力部材65,75と各カップリング64,74との連結が切られるので、定着装置44内で記録シートSHが詰まった場合であっても、加熱ローラ44A(または加圧ローラ44B)をスムーズに回転させることができ、容易にジャム処理を行うことができる。
【0054】
各カップリング64,74を前後方向に並列させ、前後方向に延びる直動カム83で各カップリング64,74を軸方向に作動させるように構成したので、例えば第1カップリングと第2カップリングとが同じ方向に並ばない構造などに比べ、構造を簡易化することができる。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
前記実施形態では、各カップリング64,74を各コイルバネ63,73で付勢するように構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図8に示すようにコイルバネは設けなくてもよい。具体的に、この図8の構造では、直動カム93が、前記実施形態の傾斜部83Cと同様の第1傾斜部93Cを有する他、この第1傾斜部93Cに前後方向で対向する第2傾斜部93Dを有している。
【0057】
第2傾斜部93Dは、後方に向かうにつれて左右方向内側に突出するように傾斜しており、各カップリング64,74の環状フランジ64F,74Fに左右方向外側から係合可能となっている。この構造によれば、フロントカバー21を開けて直動カム93が後方に移動すると、各第1傾斜部93Cが各カップリング64,74を接続位置から退避位置まで押すようになっている。
【0058】
また、フロントカバー21を閉じて直動カム93が前方に移動すると、各第2傾斜部93Dが各カップリング64,74を退避位置から接続位置まで押すようになっている。そのため、この構造(連動機構)によっても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
前記実施形態では、フロントカバー21と各カップリング64,74を連動させたが、本発明はこれに限定されず、例えばリアカバーと各カップリングを連動させてもよい。
【0060】
前記実施形態では、連動機構として直動カム83を有する機構を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回転カムやリンク機構などを利用して連動機構を構成してもよい。
【0061】
前記実施形態では、付勢部材としてコイルバネ63,73を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば板バネ、線バネ、トーションバネなどであってもよい。
【0062】
前記実施形態では、回転駆動軸62B,72Bに、カップリング64,74の筒部64A,74Aを嵌め込む構造としたが、本発明はこれに限定されず、回転駆動軸と筒部を逆に形成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、カラーレーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機等に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 カラーレーザプリンタ
2 装置本体
2A 開口部
21 フロントカバー
44 定着装置
46 プロセスカートリッジ
63 コイルバネ
64 第1カップリング
65 カートリッジ側入力部材
73 コイルバネ
74 第2カップリング
75 定着側入力部材
80 連動機構
81 回動アーム
82 連結アーム
83 直動カム
83C 傾斜部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の並列方向に並列して配置された複数のプロセスカートリッジと、
前記各プロセスカートリッジに回転可能に設けられ、当該各プロセスカートリッジ内の部材に駆動力を伝達する複数のカートリッジ側入力部材と、
前記複数のカートリッジ側入力部材に対して軸方向に進退可能に設けられ、当該複数のカートリッジ側入力部材に接続する接続位置と、当該複数のカートリッジ側入力部材から軸方向に離間した退避位置とに移動可能な複数の第1カップリングと、
前記複数のプロセスカートリッジによって形成された記録シート上の現像剤像を熱定着する定着装置と、
前記定着装置に回転可能に設けられ、当該定着装置内の部材に駆動力を伝達する定着側入力部材と、
前記定着側入力部材に対して軸方向に進退可能に設けられ、当該定着側入力部材に接続する接続位置と、当該定着側入力部材から軸方向に離間した退避位置とに移動可能な第2カップリングと、
装置本体に形成された開口部を開閉するカバーと、
前記カバーと前記第1カップリングおよび前記第2カップリングとを連動させる連動機構と、を備え、
前記連動機構は、
前記カバーを開いたときに前記第1カップリングおよび前記第2カップリングを前記退避位置に移動させ、前記カバーを閉じたときに前記第1カップリングおよび前記第2カップリングを前記接続位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の第1カップリングと前記第2カップリングは、前記並列方向に沿って並ぶように配置され、
前記連動機構は、前記カバーの開閉に連動して前記並列方向に移動可能で、かつ、前記複数の第1カップリングと前記第2カップリングと係合して当該複数の第1カップリングと当該第2カップリングを軸方向に作動させる直動カムを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の第1カップリングと前記第2カップリングを前記接続位置に向けて付勢する付勢部材を備え、
前記直動カムには、前記カバーの開放時における直動カムの移動方向とは反対側に向かうにつれて前記軸方向外側に突出するように傾斜する複数の傾斜部が設けられ、
前記カバーを開放する際に、前記傾斜部が、前記付勢部材の付勢力に抗して前記複数の第1カップリングと前記第2カップリングを前記接続位置から前記退避位置まで押すように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−177840(P2012−177840A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41597(P2011−41597)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】