説明

画像形成装置

【課題】浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差が生じても、適切に液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を防止する。
【解決手段】搬送手段に沿って光を投受光し、記録媒体の浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出手段と、浮き上がり量検出手段による浮き上がり量が閾値以上となった場合に、搬送手段の搬送速度を下げ又は液滴吐出ヘッドを搬送手段から離間させる制御手段と、温度を検出する温度検出手段と、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と、液滴吐出ヘッドの周囲の温度との温度差に基づき、閾値又は浮き上がり量を補正する補正手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、多数のノズルを配列させた液滴吐出ヘッドを有し、この液滴吐出ヘッドに対して記録媒体を相対的に搬送し、ノズルから記録媒体に向けてインク等の液滴を吐出することにより、記録媒体上に画像(文字を含む)を形成する液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような液体吐出記録方式の画像形成装置は、液滴吐出ヘッドのノズル面が記録媒体に近接して液滴を吐出するため、記録媒体の姿勢によっては、記録媒体がノズルに接触し、記録媒体に汚れが付着したり、逆にノズル面が傷ついたり、あるいは紙粉がノズルに詰まったりして不吐出等の不具合が発生することがある。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1には、搬送手段により搬送される記録媒体の幅方向へ光を投受光し、記録媒体の浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出手段が、予め決めた閾値以上の浮き上がり量を検出した場合には、記録媒体の搬送を停止し、また液滴吐出ヘッドを記録媒体から離間させる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−76872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差が生じて記録媒体の搬送方向の鉛直方向に温度勾配が生じると、浮き上がり量検出手段により投光した光が曲がり、その光を正確に受光できずに(受光量が減衰し)浮き上がり量を実際よりも高く検出してしまう。この場合、検出した浮き上がり量のまま閾値以上か否か判断すると、実際の浮き上がり量が閾値を超えていないのに、記録媒体の搬送を停止したり、または液滴吐出ヘッドを記録媒体から離間させたりする虞がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差が生じても、適切に液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体上に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドよりも前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送手段に沿って光を投受光し、前記記録媒体の浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出手段と、前記浮き上がり量検出手段による前記浮き上がり量が閾値以上となった場合に、前記搬送手段の搬送速度を下げ又は前記液滴吐出ヘッドを前記搬送手段から離間させる制御手段と、温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出した前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度と、前記温度検出手段により検出した前記液滴吐出ヘッドの周囲の温度との温度差に基づき、前記閾値又は前記浮き上がり量を補正する補正手段と、を備える。
【0009】
この構成によれば、浮き上がり量検出手段で検出した前記浮き上がり量が閾値以上となった場合に、制御手段が、搬送手段の搬送速度を下げ又は液滴吐出ヘッドを搬送手段から離間させるので、液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を防止できる。
そして、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差がある場合、つまり記録媒体の搬送方向の鉛直方向に温度勾配が生じている場合、補正手段が、その温度差に基づき、閾値又は浮き上がり量を補正する。すなわち、温度差によって、浮き上がり量検出手段により投光した光が曲がり、その光を正確に受光できずに浮き上がり量を実際よりも高く検出しても、補正手段が検出した浮き上がり量を実際の浮き上がり量に補正し、或いは、閾値を補正する。このため、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差が生じても、適切に液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を防止できる。
また、補正手段が、浮き上がり量ではなく閾値を補正する場合、処理時間が早くなる。すなわち、浮き上がり量検出手段が検出した浮き上がり量を随時補正するのではなく、基準となる閾値を一回補正するだけでよいため、処理を短縮でき、処理時間が早くなる。
なお、前記「搬送速度を下げる」ことには、搬送手段の搬送を停止することも含むものとする。
また、前記「搬送手段に沿って」とは、記録媒体の幅方向にわたって光を投光するだけでなく、記録媒体の搬送方向にわたって光を投光する場合や、斜めに投光する場合も含むものとする。
【0010】
本発明の第2態様に係る画像形成装置では、第1態様において、前記浮き上がり量検出手段は、前記搬送方向と直交する前記記録媒体の幅方向にわたって光を投光する投光手段と、前記投光手段が投光した光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光手段と、を備え、前記補正手段は、前記投光手段と前記受光手段との間の直線距離に基づき、前記閾値又は前記浮き上がり量の補正量を変える。
【0011】
浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との温度差による光軸のずれ量は、投光手段と受光手段との間の直線距離によって異なる(直線距離が長くなれば光軸のずれ量は増大する)。
そして、光軸のずれ量が異なると、受光手段の受光量も異なってくる。第2態様の構成によれば、装置に取り付けられた投光手段から受光手段までの間の直線距離に基づき、閾値又は浮き上がり量の補正量を変えるので、正しく補正できる。
【0012】
本発明の第3態様に係る画像形成装置では、第2態様において、前記補正手段は、前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度T1(℃)と前記液滴吐出ヘッドの周囲の温度T2(℃)との温度差をΔT=|T1−T2|とし、ΔT=0の時の前記閾値をhs(mm)とし、前記投光手段から前記受光手段までの間の基準距離をL0(mm)とし、前記投光手段から前記受光手段までの間の直線距離をL1(mm)とし、1℃の温度差による光軸のずれに起因する補正係数をA(mm/℃)としたとき、前記閾値を、hs=hs+ΔT×A×(L1/L0)で算出した新たな閾値hsに補正する。
【0013】
この構成によれば、予めΔT=0の時の閾値hs(mm)、基準距離L0(mm)、直線距離L1(mm)、温度差による光軸のずれに起因する補正係数A(mm/℃)を固定値として測定しておくことで、随時これらの固定値を用いて、上記関係式に温度差ΔTを代入して閾値を正しく補正できる。
【0014】
本発明の第4態様に係る画像形成装置では、第3態様において、前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度T1(℃)は、前記搬送手段により複数の前記記録媒体を搬送したときに、前記温度検出手段により検出した温度の平均値とする。
【0015】
この構成によれば、平均値と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との温度差に基づき、閾値等を一回補正すればよいので、閾値等を何回も補正する必要がなくなる。
【0016】
本発明の第5態様に係る画像形成装置では、第1態様〜第4態様の何れか1つの態様において、前記搬送手段は、前記液滴吐出ヘッドに対向して配置された描画ドラムであり、前記描画ドラムの周面に前記記録媒体が巻き付けられ、前記描画ドラムの回転によって前記記録媒体が搬送され、前記温度検出手段は、前記描画ドラムに前記搬送方向上流側で隣接した渡し胴の内部に配置され、前記内部から前記描画ドラムの温度を検出して、前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度とする。
【0017】
この構成によれば、温度検出手段が渡し胴の内部に配置されるため、温度検出手段のためのスペースを余分に設ける必要がない。
【0018】
本発明の第6態様に係る画像形成装置では、第1態様〜第5態様の何れか1つの態様において、前記浮き上がり量検出手段が配置される位置よりも前記搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体を前記搬送手段の媒体保持面に向けて押え付ける媒体押え手段、を備える。
【0019】
この構成によれば、媒体押え手段を通過した記録媒体が浮き上がっても、確実に液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触防止を図ることができる。
【0020】
本発明の第7態様に係る画像形成装置では、第1態様〜第6態様の何れか1つの態様において、前記補正手段は、印刷ジョブ開始毎に1回補正を行う。
【0021】
この構成によれば、随時リアルタイムで補正を行うより正確性は落ちるものの、処理時間が早くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、浮き上がり量検出手段の周囲の温度と液滴吐出ヘッドの周囲の温度との間に温度差が生じても、適切に液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を防止できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置の全体構成を示した概略構成図である。
【図2】図2に、本第1実施形態のインクジェット記録装置の主要部である記録媒体搬送装置の拡大図である。
【図3】図3は、浮き上がり量検出センサの構成を示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示す浮き上がり量検出センサによる浮き上がり量を検出する様子を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図6】図6は、図3に示す浮き上がり量検出センサの側面図の概略拡大図であり、(A)は浮き上がり量検出センサの周囲の温度T1(℃)>インクジェットヘッドの周囲の温度T2(℃)である場合の検査光の様子を示し、(B)は浮き上がり量検出センサの周囲の温度T1(℃)<インクジェットヘッドの周囲の温度T2(℃)である場合の検査光の様子を示している。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における印刷ジョブ開始毎に行うシステム制御部の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】図8(A)は、システム制御部による閾値の補正方法の具体例を示す図である。図8(B)は、システム制御部による浮き上がり量の補正方法の具体例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における印刷ジョブ開始毎に行うシステム制御部の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図10】図10は、第1実施形態の画像形成装置において、描画ドラム上の構成の変形例を示す図である。
【図11】図11は、従来の浮き上がり量と閾値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0025】
−−全体構成−−
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置100の全体構成を示した概略構成図である。
【0026】
インクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体Pの記録面にインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Y(以下、適宜172M、172K、172C、172Y全体を「インクジェットヘッド172」と称す)から複数色のインクを吐出して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの吐出前に記録媒体P上に処理液(インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体P上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
【0027】
すなわち、図1に示すように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122を備えて構成されている。
【0028】
給紙部112は、記録媒体Pを処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体Pが積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体Pが一枚ずつ処理液付与部114に給紙されるようになっている。
【0029】
本第1実施形態のインクジェット記録装置100においては、記録媒体Pとして、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体Pを使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(図示省略)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。
【0030】
処理液付与部114は、記録媒体Pの記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含み、処理液とインクとが接触することによりインクと凝集反応を起こし、インクは色材と溶媒との分離が促進され、インク着弾後の滲みや着弾干渉(合一)あるいは混色が発生せず高品位画像の形成が可能となる。なお、処理液としては、凝集剤の他に必要に応じてさらに他の成分を用いて構成することもできる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば、細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
【0031】
このような処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体Pを保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体Pを挟み込むことによって記録媒体Pの先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体Pを処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
【0032】
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。記録媒体Pは、処理液塗布装置156によって記録面に処理液が塗布される。
【0033】
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体Pは、処理液ドラム154から中間搬送部126(第1渡し胴)を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
【0034】
描画部116は、描画ドラム170、及びインクジェットヘッド172を備えている。
【0035】
描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備え、記録媒体の先端部を保持固定するようになっている。また、描画ドラム170は、外周面に複数の吸引孔を有し、負圧によって記録媒体Pを描画ドラム170の外周面に吸着させる。これにより、用紙浮きによるヘッドとの接触が回避され、用紙ジャムが防止される。また、ヘッドとのクリアランス変動による画像ムラが防止される。
【0036】
このように描画ドラム170に固定された記録媒体Pは、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172からインクが吐出される。
【0037】
インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yは、それぞれ記録媒体Pにおける画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yは、記録媒体Pの搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置されている。
【0038】
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体Pの記録面に向かって各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体P上での色材流れなどが防止され、記録媒体Pの記録面に画像が形成されるようになっている。
【0039】
以上のように構成された描画部116により、記録媒体Pに対してシングルパスで描画を行うことができる。これにより、高速記録及び高速出力が可能であり、生産性を高めることができる。
【0040】
描画部116で画像が形成された記録媒体Pは、描画ドラム170から中間搬送部128(第2渡し胴)を介して、乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
【0041】
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム176と溶媒乾燥装置178とを備えている。
【0042】
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体Pの先端を保持するとともに、ドラム外周表面に吸引孔(図示省略)を有し、負圧により記録媒体Pを乾燥ドラム176に吸着できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、この乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、IRヒータ180と温風ノズル182の組み合わせを複数配置した構成である。温風ノズル182から記録媒体Pに向けて吹き付けられる熱風の温度と風量を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。記録媒体Pは記録面が外側を向くように、乾燥ドラム176の外周面に吸着拘束されて搬送され、この記録面に対して上記IRヒータ180及び温風ノズル182による乾燥処理が行われる。
【0043】
また、乾燥ドラム176は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を有している。これにより記録媒体Pを乾燥ドラム176の周面に密着保持することができる。また、負圧吸引を行うことにより、記録媒体Pを乾燥ドラム176に拘束することができるので、記録媒体Pのカックルを防止することができる。
【0044】
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体Pは、乾燥ドラム176から中間搬送部130(第3渡し胴)を介して定着部120の定着ドラム184に受け渡される。
【0045】
定着部120は、定着ドラム184、押圧ローラ188(平滑化手段)、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体Pの先端を保持できるようになっている。
【0046】
定着ドラム184の回転により、記録媒体Pは記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、押圧ローラ188による平滑化処理が行われてインクの定着が行われる。
【0047】
押圧ローラ188は、インクが乾燥された記録媒体Pを加圧することによって記録媒体Pを平滑化するものである。また、インラインセンサ190は、記録媒体P上のチェックパターンや水分量、表面温度、光沢度等を計測するものであり、例えばCCDラインセンサを好適に用いることができる。
【0048】
定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122には、排紙ユニット192が設置される。定着部120の定着ドラム184から排紙ユニット192までの間に、第4渡し胴194、搬送チェーン196が設けられている。搬送チェーン196は、張架ローラ198に巻き掛けられている。定着ドラム184を通過した記録媒体Pは、第4渡し胴194を介して、搬送チェーン196に送られ、搬送チェーン196から排紙ユニット192へと受け渡される。
【0049】
また、図1には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100は、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体Pの位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【0050】
なお、以上説明した、インクジェット記録装置100の構成のうち、処理液ドラム154と、描画ドラム170と、乾燥ドラム176と、定着ドラム184と、これらの間の各中間搬送部126,128,130等が、本発明の第1実施形態に係る記録媒体搬送装置200を構成する。
【0051】
−−記録媒体搬送装置200の詳細−−
図2に、本第1実施形態のインクジェット記録装置100の主要部である記録媒体搬送装置200を拡大して示し、本第1実施形態に係る記録媒体搬送装置200の特に描画ドラム170付近についてさらに詳しく説明する。
【0052】
図2に示すように、記録媒体搬送装置200では、処理液ドラム154、中間搬送部126(第1渡し胴)、描画ドラム170、中間搬送部128(第2渡し胴)、乾燥ドラム176、中間搬送部130(第3渡し胴)及び定着ドラム184が、並んで配置され、それぞれのドラムにより記録媒体Pが搬送され、搬送されるうちに処理液付与、描画、乾燥、定着(硬化)が順に行われるようになっている。
【0053】
ここで、描画ドラム170上には、インクジェットヘッド172よりも記録媒体Pの搬送方向上流側に、描画ドラム170で搬送される記録媒体Pの皺をとるため記録媒体Pを描画ドラム170の媒体保持面に向けて押え付ける媒体押えローラ202が設けられている。
【0054】
この媒体押えローラ202と、インクジェットヘッド172との間で描画ドラム170の外周面上には、本実施形態に係る特別の構成として、搬送される記録媒体Pの描画ドラム170からの浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出センサ204が設置されている。具体的には、この浮き上がり量検出センサ204は、インクジェットヘッド172(特にインクジェットヘッド172M)との間の距離が、用紙搬送の制動距離よりも長くなるように設定されている。なお、「浮き上がり量」とは、記録媒体Pの浮きだけでなく、記録媒体Pの折れによる盛り上がり、あるいは異物の付着等も含んで総称している。また、「浮き上がり量」としては、浮き上がり量検出センサ204が随時検出した記録媒体Pの各箇所での浮き上がり量の最大値を使用することができる。さらに、「浮き上がり量」は、描画ドラム170から記録媒体Pまでの距離、記録媒体Pから浮き上がり量検出センサ204までの距離、記録媒体Pからインクジェットヘッド172までの距離の何れでもよい。
【0055】
また、浮き上がり量検出センサ204の種類としては、描画ドラム170に沿って光を投受光するものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な光学センサを用いることができる。例えば、一方向から光をあてて反対側で受光したり、あるいは向こう側に反射面を配置して反射光を受光したりして、その光の遮られ方により用紙(記録媒体P)の浮きを検出する構成とすることができる。
本第1実施形態では、浮き上がり量検出センサ204が上述した一方向から光をあてて反対側で受光する光学センサである場合について後述する。
【0056】
このような浮き上がり量検出センサ204よりもインクジェットヘッド172側には、温度センサ206が設けられている。温度センサ206は、具体的に、インクジェットヘッド172において記録媒体Pの搬送方向上流側端部に取り付けられており、インクジェットヘッド172の周囲の温度を検出する。
【0057】
次に、各渡し胴126,128,130について説明する。
各渡し胴126,128,130は、それぞれリブ付きのガイド部材127,129,131を備え、回転軸を挟んで180度対向する方向に延びたアームの先端部の保持爪133,135,137が記録媒体Pの先端部を把持して回転軸の回りを回転し、記録媒体Pの後端部はフリーの状態で、それぞれガイド部材(127,129,131)に沿って記録媒体Pを記録面の裏面側が凸になるようにして搬送するように構成されている。
なお、各渡し胴126,128,130は、チェーングリッパを用いて、記録媒体Pを掴んで、裏面側を凸にして搬送するように構成してもよい。
【0058】
このような各渡し胴126,128,130の内部には、搬送中内側を向いている記録媒体Pの記録面(表面)側に熱風を吹き付けて乾燥させる乾燥ユニット210が設けられている。また、本第1実施形態では、特にインクジェットヘッド172よりも記録媒体Pの搬送方向上流側にある中間搬送部126(第1渡し胴)の内部には、乾燥ユニット210の他に、温度センサ212が設けられている。温度センサ212は、具体的に第1渡し胴126の内部で描画ドラム170側に配置されており、上述した浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度(本実施形態では、具体的に描画ドラム170の温度)を検出する。温度センサ212の種類は、特に限定されないが、例えば本実施形態では放射温度計である。
【0059】
−−浮き上がり量検出センサ204の詳細−−
次に、浮き上がり量検出センサ204について詳細に説明する。
図3は、浮き上がり量検出センサ204の構成を示す平面図である。
【0060】
浮き上がり量検出センサ204は、ラインセンサで構成され、投光器300と受光器302の対から構成される。投光器300と受光器302は、描画ドラム170を挟んで左右に配置され、片側(図3の例では左)が投光器、他方が受光器である。なお、投光器300と受光器302の配置関係を入れ換える形態も可能である。投光器300には、LED、レーザなど各種の発光素子を用いることができる。受光器302には、受光量に応じた電気信号を出力する光電変換電子を用いることができる。
【0061】
投光器300から出射される検査光の光軸は、描画ドラム170の軸線方向(ドラム軸線方向)と略平行であり、記録媒体P(用紙)が保持される描画ドラム170の表面近くを検査光の光束が通過する。
【0062】
図3中、符号304、306は、描画ドラム170を回転自在に支持する支持枠体である。投光器300と受光器302は、それぞれ支持枠体520(又は522)に取り付けられている。
【0063】
図4は、図3に示す浮き上がり量検出センサによる浮き上がり量を検出する様子を示す図である。
図4に示すように、記録媒体Pが描画ドラム170から浮き上がることによって、検査光の一部が遮られ、受光器302に入射する光量(受光量)が減少するため、受光器302から得られる信号によって記録媒体Pの浮き上がりを検出することができる。
【0064】
−−制御系の説明−−
図5は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【0065】
インクジェット記録装置100は、通信インターフェース80、システム制御部(システムコントローラ)82、画像メモリ84、モータドライバ86、ヒータドライバ88、プリント制御部90、メンテナンス制御部92、ヘッドドライバ94等を備えている。
【0066】
通信インターフェース80は、ホストコンピュータ96から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース80にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。ホストコンピュータ96から送出された画像データは通信インターフェース80を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦画像メモリ84に記憶される。
【0067】
画像メモリ84は、通信インターフェース80を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システム制御部82を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ84は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0068】
システム制御部82は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システム制御部82は、通信インターフェース80、画像メモリ84、モータドライバ86、ヒータドライバ88等の各部を制御し、ホストコンピュータ96との間やヒータ99を制御する制御信号を生成する。
【0069】
画像メモリ84には、システム制御部82のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ84は、書き換え不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書き換え可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ84は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域として利用するようにしてもよい。
【0070】
また、システム制御部82には、各種制御プログラムを格納したEEPROM85や画像データに対して各種画像処理を施す画像処理部87が接続されている。システム制御部82からの指令に応じて、EEPROM85から制御プログラムが読み出され、実行される。なお、EEPROM85は、後述する閾値や動作パラメータ等の記憶手段と兼用するようにしてもよい。
【0071】
モータドライバ86は、システム制御部82からの指示にしたがってモータ98を駆動するドライバである。図5には、インクジェット記録装置100の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号98で表示している。例えば、図5のモータ98には、図1の中間搬送部126、128や渡し胴152、処理液ドラム154、描画ドラム170、乾燥ドラム176、定着ドラム184などを駆動するモータなどが含まれる。
【0072】
詳しくは後述するが、搬送されている記録媒体Pに用紙浮きや異物の付着が発生して記録媒体Pの浮き上がり量が高くなりそのまま搬送するとインクジェットヘッド172に記録媒体Pが接触してしまう虞がある場合に、システム制御部82はモータドライバ86を介して、記録媒体Pの給紙や搬送を停止する等の制御を行う。
【0073】
ヒータドライバ88は、システム制御部82からの指示にしたがって、ヒータ99を駆動するドライバである。図5には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号99で表示している。例えば、図5に示すヒータ99には、図1に示す処理液付与部114のヒータや乾燥部118のハロゲンヒータなどが含まれる。
【0074】
なお、システム制御部82には、この他にメンテナンス制御部92が接続されている。メンテナンス制御部92は、システム制御部82からの指示にしたがって、キャップ及びクリーニングブレードを含むメンテナンスユニット(図示省略)を駆動するメンテナンス駆動部93を制御するものである。
【0075】
プリント制御部90は、システム制御部82の制御に従い、画像メモリ84内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、印字に先立ち、処理液付与ドライバ95を制御して、処理液塗布装置156から記録媒体Pに対して処理液を付与するとともに、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ94に供給する制御部である。プリント制御部90において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ94を介してインクジェットヘッド172の吐出液滴量(吐出量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0076】
インライン検出部91は、インラインセンサ190から得られる情報に基づいて、吐出異常ノズルを判断する不吐出検出を行うものである。
【0077】
インライン検出部91が不吐出検出を行う場合には、吐出異常ノズルを判断するとともに、画像補正によって当該吐出異常ノズルの補正が可能である場合には、画像補正を実行するように、システム制御部82を介して各部へ制御信号を送出する。また、画像補正によって対応できない場合には、当該吐出異常ノズルに対して予備吐出や吸引等の回復動作を行うようにシステム制御部82を介して各部へ制御信号を送出する。
【0078】
また、システム制御部82には、他にも、本実施形態に係る温度検出部20と浮き上がり量検出部30及びヘッド高さ制御部40が接続されている。
【0079】
温度検出部20は、上述した温度センサ206、212を含む温度センサ群で構成されている。
浮き上がり量検出部30は、上述した浮き上がり量検出センサ204とその制御プログラム等で構成されている。
【0080】
ヘッド高さ制御部40は、インクジェットヘッド172の、描画ドラム170上を搬送される記録媒体P表面に対する相対的な位置(高さ)を制御するものである。詳しくは後述するが、例えば、搬送されて来る記録媒体Pに用紙浮きが発生して、記録媒体Pがインクジェットヘッド172に接触しそうな場合には、インクジェットヘッド172の描画ドラム170に対する高さを高くして接触を回避するように制御するものである。なお、インクジェットヘッド172の高さを変更する具体的な構成は、特に限定されるものではなく、例えばピニオン・ラック等の歯車を用いた機械的機構を適用することができる。
【0081】
−−作用−−
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置100のシステム制御部82は、印刷ジョブが開始され、記録媒体Pが描画ドラム170で搬送されるときに、記録媒体Pの浮き上がり量を浮き上がり量検出部30の浮き上がり量検出センサ204から検出する。そして、検出した浮き上がり量が例えばEEPROM85に格納している閾値以上か否か判断し、閾値以上であると判断した場合には、モータドライバ86を介して記録媒体Pの搬送速度を低くし(搬送停止を含む)、またヘッド高さ制御部40を制御してインクジェットヘッド172を記録媒体Pから離間させる。
【0082】
図6は、図3に示す浮き上がり量検出センサ204の側面図の概略拡大図であり、(A)は浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)>インクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)である場合の検査光400の様子を示し、(B)は浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)<インクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)である場合の検査光400の様子を示している。図11は、従来の浮き上がり量と閾値との関係を示す図である。
【0083】
ここで、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との温度差が生じて記録媒体Pの搬送方向の鉛直方向に温度勾配が生じると、図6(A)及び(B)に示すように、浮き上がり量検出センサ204(投光器300)により投光した検査光400が曲がり(光軸がずれ)、受光器302の受光量が減少して、図11に示すように、その光を正確な浮き上がり量h0として受光できずにh0よりも高い浮き上がり量h1を検出してしまう。なお、図中の光軸のずれは、理解を容易とするために、実際のずれよりも大きく記載している。
そして、図11に示すように、実際の浮き上がり量h0よりも高い浮き上がり量h1で且つ閾値hsが固定のまま浮き上がり量h1が閾値hs以上か否か判断すると、実際の浮き上がり量が閾値を超えていないのに、記録媒体Pの搬送を停止したり、またインクジェットヘッド172を記録媒体Pから離間させたりする虞がある。
【0084】
そこで、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置100では、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度と、インクジェットヘッド172の周囲の温度との温度差に基づき、閾値hsを補正する補正手段としてのシステム制御部82を備えている。
具体的に、以下、図7のフローチャートに沿って、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるシステム制御部82の制御を説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における印刷ジョブ開始毎に行うシステム制御部82の動作シーケンスを示すフローチャートである。なお、以下の括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0085】
−−システム制御部82の一部フロー−−
(S100)温度検出部20の温度センサ212から検出した浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)を取得する。また、同時に、温度検出部20の温度センサ206から検出したインクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)を取得する。
【0086】
(S102)浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度と、インクジェットヘッド172の周囲の温度との温度差に基づき、閾値hsを補正する。より具体的には、温度差の他、投光器300と前記受光器302との間の直線距離に基づき補正する。
【0087】
図8(A)は、システム制御部82による閾値hsの補正方法の具体例を示す図である。
図8(A)に示すように、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)との温度差をΔT(℃)=|T1−T2|とし、ΔT=0の時の閾値をhs(mm)とし、図6に示すように、投光器300から受光器302までの間の基準距離をL0(mm)とし、投光器300から受光器302までの間の実際の直線距離をL1(mm)とし、予め測定した1℃の温度差による光軸のずれに起因する補正係数をA(mm/℃)としたとき、閾値を、hs=hs+ΔT×A×(L1/L0)で算出した新たな閾値hsに変更(補正)する。
【0088】
ここで、光軸のずれに起因する補正係数A(mm/℃)は、例えば後述する実施例により25×10−3(mm/℃)に予め設定することができる。また、投光器300から受光器302までの基準距離L0(mm)は、例えば後述する実施例により860(mm)に予め設定することができる。また、実際の直線距離L1も、機種によって予め把握できる。ΔT=0の時の閾値も、予め設定している閾値の初期値をhs(mm)として用いることができる。したがって、温度T1とT2のみ得られれば、上記計算式を求めることができる。また、上記A、L0、L1、hsは、固定値として例えばEEPROM85に予め格納されており、不図示の操作手段の指示やホストコンピュータ96の指示によって、適宜変更が可能である。
なお、また、検査光400の曲がりは実際には図6中に示すように曲線状となるが、以上の算出式では、実際の検査光400を直線状の検査光400Aに近似している。
【0089】
(S104)印刷ジョブにて指定された印刷枚数分、ステップS104〜ステップS116までの処理を繰り返す。
【0090】
(S106)給紙部112を制御し、給紙トレイ150から記録媒体Pを処理液付与部114に給紙し、記録媒体Pの搬送を開始する。
【0091】
(S108)処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体Pが、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡されて、描画ドラム170上の媒体押えローラ202を通過すると、浮き上がり量検出センサ部30の浮き上がり量検出センサ204によって、記録媒体Pの浮き上がり量h1が検出される。そして、この浮き上がり量h1を、システム制御部82が取得する。
【0092】
(S110)取得した浮き上がり量h1が、上記で補正した閾値hs以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS114に進み、否定判定した場合にはステップS112に進む。
【0093】
(S112)ヘッドドライバ94を介して、インクジェットヘッド172を制御し、搬送される記録媒体Pの記録面にインクを吐出し、画像を形成する。
【0094】
(S114)インクジェットヘッド172と対向する位置に記録媒体Pが搬送される前までに、インクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触防止制御を行う。具体的には、システム制御部82は、モータドライバ86を介して、記録媒体Pの給紙や搬送を停止する等、記録媒体Pの搬送速度を下げる。又は、ヘッド高さ制御部40を介して、インクジェットヘッド172の描画ドラム170に対する高さを高くするようにしてもよい。
【0095】
−−効果−−
以上、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置100によれば、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2との間に温度差がある場合、つまり記録媒体Pの搬送方向の鉛直方向に温度勾配が生じている場合、補正手段としてのシステム制御部82が、その温度差に基づき、閾値hsをhsに補正する。すなわち、温度差によって、浮き上がり量検出センサ204により投光した検査光400が曲がり、その検査光400を正確に受光できずに浮き上がり量を実際の浮き上がり量h0よりも高い浮き上がり量h1で検出しても、システム制御部82が高く検出した浮き上がり量h1に合わせて閾値hsを新たな閾値hsに補正する。このため、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との間に温度差が生じても、適切にインクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触を防止できる。
【0096】
また、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2との温度差による光軸のずれ量は、投光器300と受光器302との間の直線距離によって異なる(直線距離が長くなれば光軸のずれ量は増大する)。
そして、光軸のずれ量が異なると、受光器302の検査光400の受光量も異なってくる。本発明の第1実施形態では、投光器302から受光器302までの間の直線距離に基づき、閾値又は浮き上がり量の補正量を変えるので、正しく補正できる。
【0097】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0098】
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置は、システム制御部82の制御の他は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成内容及び制御内容と同一である。
【0099】
具体的に、以下、図9のフローチャートに沿って、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置におけるシステム制御部82の制御を説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における印刷ジョブ開始毎に行うシステム制御部82の動作シーケンスを示すフローチャートである。なお、以下の括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0100】
−−システム制御部82の一部フロー−−
(S200)印刷ジョブにて指定された印刷枚数分、ステップS200〜ステップS216までの処理を繰り返す。
【0101】
(S202)給紙部112を制御し、給紙トレイ150から記録媒体Pを処理液付与部114に給紙し、記録媒体Pの搬送を開始する。
【0102】
(S204)処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体Pが、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡されて、描画ドラム170上の媒体押えローラ202を通過すると、浮き上がり量検出センサ部30の浮き上がり量検出センサ204によって、記録媒体Pの浮き上がり量h1が検出される。そして、この浮き上がり量h1を、システム制御部82が取得する。
【0103】
(S206)温度検出部20の温度センサ212から検出した浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)を取得する。また、同時に、温度検出部20の温度センサ206から検出したインクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)を取得する。
【0104】
(S208)浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度と、インクジェットヘッド172の周囲の温度との温度差に基づき、取得した浮き上がり量h1を補正する。より具体的には、温度差の他、投光器300と前記受光器302との間の直線距離に基づき補正する。
【0105】
図8(B)は、システム制御部82による浮き上がり量h1の補正方法の具体例を示す図である。
図8(B)に示すように、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1(℃)とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2(℃)との温度差をΔT(℃)=|T1−T2|とし、図6に示すように、投光器300から受光器302までの間の基準距離をL0(mm)とし、投光器300から受光器302までの間の実際の直線距離をL1(mm)とし、予め測定した1℃の温度差による光軸のずれに起因する補正係数をA(mm/℃)としたとき、取得した浮き上がり量を、h2=h1−ΔT×A×(L1/L0)で算出した新たな浮き上がり量h2に変更(補正する)。ここで、光軸のずれに起因する補正係数A(mm/℃)は、例えば後述する実施例により25×10−3(mm/℃)に予め設定することができる。また、投光器300から受光器302までの基準距離L0(mm)は、例えば後述する実施例により860(mm)に予め設定することができる。また、実際の直線距離L1も、機種によって予め把握できる。したがって、温度T1とT2のみ得られれば、上記計算式を求めることができる。
【0106】
(S210)補正した浮き上がり量h2が、予め決めた固定値である閾値hs以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS214に進み、否定判定した場合にはステップS212に進む。
【0107】
(S212)ヘッドドライバ94を介して、インクジェットヘッド172を制御し、搬送される記録媒体Pの記録面にインクを吐出し、画像を形成する。
【0108】
(S214)インクジェットヘッド172と対向する位置に記録媒体Pが搬送される前までに、インクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触防止制御を行う。具体的には、システム制御部82は、モータドライバ86を介して、記録媒体Pの給紙や搬送を停止する等、記録媒体Pの搬送速度を下げる。又は、ヘッド高さ制御部40を介して、インクジェットヘッド172の描画ドラム170に対する高さを高くするようにしてもよい。
【0109】
−−効果−−
以上、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置100によれば、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2との間に温度差がある場合、つまり記録媒体Pの搬送方向の鉛直方向に温度勾配が生じている場合、補正手段としてのシステム制御部82が、その温度差に基づき、浮き上がり量検出センサ204により検出し取得した浮き上がり量h1をh0に補正する。すなわち、温度差によって、浮き上がり量検出センサ204により投光した検査光400が曲がり、その検査光400を正確に受光できずに浮き上がり量を実際の浮き上がり量h0よりも高い浮き上がり量h1で検出しても、システム制御部82が高く検出した浮き上がり量h1を、実際の浮き上がり量h0と同一又は低いh2に補正する。このため、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との間に温度差が生じても、適切にインクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触を防止できる。
【0110】
ここで、インクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触防止を図るために、第1実施形態では閾値を補正し、第2実施形態では浮き上がり量を補正しているが、第1実施形態のように、浮き上がり量ではなく閾値を補正する方が、処理時間が早くなる。すなわち、図9に示すように、浮き上がり量検出センサ204が検出した浮き上がり量h1を随時補正するのではなく、図7に示すように、基準となる閾値hsを一回補正するだけでよいため、処理を短縮でき、処理時間が早くなる。
【0111】
(変形例)
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わせて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
【0112】
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、投光器300から受光器302までの間の直線距離L1に基づき、閾値又は浮き上がり量を補正する場合を説明したが、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との温度差にのみ基づいて、閾値又は浮き上がり量を補正するようにしてもよい。この場合の補正式は、例えば、hs=hs+ΔT×Aや、h2=h1−ΔT×Aとなる。
【0113】
また、第1実施形態の図7では、閾値は、ジョブ開始毎に一回補正することになるが、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との間に温度差があれば、リアルタイムに補正するようにしてもよい。
【0114】
また、インクジェットヘッド172の周囲の温度は、温度センサ206により検出する場合を説明したが、インクジェットヘッド172の周囲の温度は、予め決められた固定値であってもよい。同様に、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度も固定値であってもよく、インクジェットヘッド172の周囲の温度と浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度のいずれか1つのみは固定値でもよい。
【0115】
また、温度センサ212は、第1渡し胴126の内部で描画ドラム170側に配置される場合を説明したが、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度を検出できる配置であれば、他の配置であってもよい。例えば、描画ドラム170上で、媒体押えローラ202よりも記録媒体Pの搬送方向上流側や、媒体押えローラ202と浮き上がり量検出センサ204との間に配置されていてもよい。同様に、温度センサ206は、インクジェットヘッド172において記録媒体Pの搬送方向上流側端部に取り付けられている場合を説明したが、インクジェットヘッド172付近の温度を検出できる配置であれば、他の配置であってもよい。例えば、記録媒体Pの搬送方向下流側端部に取り付けられていてもよい。ただし、搬送方向上流側端部で測定する方が、正確に浮き上がり量又は閾値を補正できる観点から好ましい。
【0116】
また、上記補正するときに用いる、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1は、描画ドラム170により複数の記録媒体Pを搬送したときに、温度センサ212により検出した温度の平均値(例えば移動平均値)としてもよい。これにより、平均値のT1とインクジェットヘッド172の周囲の温度T2との温度差に基づき、閾値等を例えば一回だけ補正すれば、閾値等を何回も補正しなくても、インクジェットヘッド172と記録媒体Pとの接触を防止できる。
【0117】
ここで、図10は、第1実施形態の画像形成装置において、描画ドラム170上の構成の変形例を示す図である。
【0118】
図10に示すように、浮き上がり量検出センサ204は、調整機構500に取り付けられていてもよい。この調整機構500は、ドラム軸線方向(X軸方向)、ドラム接線方向(Y軸方向)、ドラム法線方向(Z軸方向)の各位置と、それぞれの軸周りの回転角度を調整することができる機構を備える。
また、第1実施形態では媒体押え手段として、媒体押えローラ202を用いたが、これに代えて、又はこれと併用して、記録媒体Pにエアを吹き付けて、描画ドラム170の外周面に記録媒体Pを密着させてもよい。図10には、媒体押え手段として、エア発生部502Aと噴射ノズル502Bを有するエア吹き付け装置502を備えた構成を示した。本例のエア発生部502Aは、描画ドラム170のドラム軸線方向に沿って複数のファン(気流発生手段)が配列されて構成される。噴射ノズル502Bから記録媒体Pの全幅領域に対して気流が吹き付けられ、そのエアの力によって記録媒体Pが描画ドラム170面に押し付けられる。
【0119】
また、補正手段としてのシステム制御部82は、上述した式hs=hs+ΔT×A×(L1/L0)やh2=h1−ΔT×A×(L1/L0)を用いて閾値や浮き上がり量を変更したが、浮き上がり量検出センサ204は、実際には電圧値を検出しているため、上記式を用いるためには、その電圧値を、浮き上がり量を示す距離(mm)に換算する必要がある。しかし、本発明では、検出した電圧値をそのまま補正してもよし、電圧値の変化を検出している場合には、電圧値の変化をそのまま補正してもよい。さらに、電流値を補正してもよいし、電流値の変化を補正してもよい。
【0120】
他にも、上記実施形態では、記録媒体Pとして、枚葉紙(カット紙)を用いたが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。また、記録媒体Pの浮き上がりを防止するために、給紙トレイ150は外面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。また、処理液塗布装置156はローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0121】
また、図1では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
【0122】
また、インクジェットヘッド172がCMYKの標準色(4色)の構成である場合を説明したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定されない。
【0123】
また、上記実施形態では画像形成装置としてインクを用いたインクジェット方式のインクジェット記録装置100を一例に挙げたが、吐出される液は画像記録・文字印刷用などのインクに限定されず、記録媒体に染み込む溶媒あるいは分散媒を使用している液体であれば種々の吐出液(液滴)に応用することができる。
【0124】
また、インクジェット記録装置100の搬送方式は、圧胴搬送方式の場合を説明したが、ベルト搬送方式であってもよい。
【0125】
また、システム制御部82は、本発明の補正手段と制御手段を兼ねる場合を説明したが、補正手段と制御手段とはプログラム上別個に構成されていてもよい。
【実施例】
【0126】
以下に実験例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0127】
上述のような構成を備えた画像形成装置のうち、所定の機種を用いて、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度とインクジェットヘッド172の周囲の温度との間の温度差と、閾値に達するときの浮き上がり量との関係を求めた。
【0128】
具体的には、描画ドラム170上に50umのテープを重ねて貼っていき、システム制御部82に閾値(電圧値で350mV)以上と判断した高さ(浮き上がり量に相当、以下、「検知高さ」という)を、温度差別に測定した。なお、この測定では、浮き上がり量検出センサ204の周囲の温度T1は、描画ドラム170の温度とし、この描画ドラム170の温度を徐々に上げて測定している。
【0129】
表1は、温度差別に測定した検知高さの測定結果である。
【0130】
【表1】

【0131】
表1に示す結果から、温度差が増加するにつれて、検知高さは減少していることが分かる。これは、上述したように温度差により光軸がずれたためと考えられる。そして、1℃の温度差増加で、光軸のずれに起因する検知高さの減少は、2.5×10−3(mm/℃)であることが分かった。したがって、本実施例では補正係数Aを2.5×10−3(mm/℃)とすることが好ましい。また、投光器300から受光器302までの間の直線距離(前述した投光器300から受光器302までの間の基準距離L0に相当)は、ドラム幅と同一とみなして、860mmであった。
【0132】
なお、実施例で求めたAとL0の値は一例であり、他の機種で求めると異なる場合もある。
【符号の説明】
【0133】
20 温度検出部(温度検出手段)
30 浮き上がり量検出部(浮き上がり量検出手段)
82 システム制御部(補正手段、制御手段)
100 インクジェット記録装置(画像形成装置)
128 第1渡し胴(渡し胴)
170 描画ドラム
172 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)
202 媒体押えローラ(媒体押え手段)
204 浮き上がり量検出センサ(浮き上がり量検出手段)
206 温度センサ
212 温度センサ
400 検査光(光)
502 エア吹き付け装置(媒体押え手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体上に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドよりも前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送手段に沿って光を投受光し、前記記録媒体の浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出手段と、
前記浮き上がり量検出手段による前記浮き上がり量が閾値以上となった場合に、前記搬送手段の搬送速度を下げ又は前記液滴吐出ヘッドを前記搬送手段から離間させる制御手段と、
温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出した前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度と、前記温度検出手段により検出した前記液滴吐出ヘッドの周囲の温度との温度差に基づき、前記閾値又は前記浮き上がり量を補正する補正手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記浮き上がり量検出手段は、
前記搬送方向と直交する前記記録媒体の幅方向にわたって光を投光する投光手段と、
前記投光手段が投光した光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記投光手段から前記受光手段までの間の直線距離に基づき、前記閾値又は前記浮き上がり量の補正量を変える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度T1(℃)と前記液滴吐出ヘッドの周囲の温度T2(℃)との温度差をΔT=|T1−T2|とし、ΔT=0の時の前記閾値をhs(mm)とし、前記投光手段から前記受光手段までの間の基準距離をL0(mm)とし、前記投光手段から前記受光手段までの間の直線距離をL1(mm)とし、1℃の温度差による光軸のずれに起因する補正係数をA(mm/℃)としたとき、
前記閾値を、hs=hs+ΔT×A×(L1/L0)で算出した新たな閾値hsに補正する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度T1(℃)は、前記搬送手段により複数の前記記録媒体を搬送したときに、前記温度検出手段により検出した温度の平均値とする、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記液滴吐出ヘッドに対向して配置された描画ドラムであり、前記描画ドラムの周面に前記記録媒体が巻き付けられ、前記描画ドラムの回転によって前記記録媒体が搬送され、
前記温度検出手段は、前記描画ドラムに前記搬送方向上流側で隣接した渡し胴の内部に配置され、前記内部から前記描画ドラムの温度を検出して、前記浮き上がり量検出手段の周囲の温度とする、
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記浮き上がり量検出手段が配置される位置よりも前記搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体を前記搬送手段の媒体保持面に向けて押え付ける媒体押え手段、
を備える請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正手段は、印刷ジョブ開始毎に1回補正を行う、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−187919(P2012−187919A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29959(P2012−29959)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】