説明

画像形成装置

【課題】用紙の反転搬送路を備えていても簡単な操作にて定着部のジャム処理が行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、装置本体2の上側にて定着部14を覆うように配置され、搬送ガイド面62aにて用紙搬送路11を形成する一方、搬送ガイド面62aの反対側に向き合う反転ガイド面62bにて反転搬送路16を形成する反転ガイド部材62と、装置本体2の上面に対して回動可能に支持され、回動動作によって装置本体2の上面を開閉可能とする上面カバー51と、上面カバー51の開方向への回動動作に連動して、定着部14が反転ガイド部材62から露出するように反転ガイド部材62を揺動させる駆動機構70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、装置上方に位置する定着部のジャム処理機構を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターやその複合機等の画像形成装置では、画像形成部で画像形成処理が施され、画像形成部によってトナー像が転写された用紙を縦方向に向けて形成された用紙搬送路に沿って搬送し、用紙搬送路の上方に配置された定着部で用紙へのトナー像の定着処理を施した後、定着部の上方に設けられた排出部へ用紙を排出するようになっているものがある。このような構成では、通常、側面カバーが画像形成装置の装置本体の側壁に開閉可能に設けられ、用紙搬送路および定着部は側面カバーの直ぐ内側に配設されている。従って、用紙搬送路あるいは定着部で紙詰りが生じたときには、この側面カバーを開放することにより紙詰まりの生じた位置が外部に露出されるため、紙詰りの解消作業を容易に行うことができる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、トナー像の形成された用紙を定着部に向けて縦方向に搬送する用紙搬送路と、装置本体の上部に定着処理後の用紙が排出される排出部と、用紙搬送路及び定着部を覆う開閉自在の側面カバーと、側面カバーの開閉動作に連動して加圧ローラーによる加圧状態と加圧の解除状態とに状態を変化させる状態変化機構と、を備える。側面カバーの閉動作によって、状態変化機構が加圧状態に設定され定着処理が可能となり、側面カバーの開動作によって、状態変化機構が加圧の解除状態に設定され定着部での紙詰りの解消操作を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−122744号公報(特許請求項、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、プリンターやその複合機等の画像形成装置は、両面印刷が可能になってきている。両面印刷を可能とするために、画像形成後さらに定着処理した用紙を排出部に搬送する用紙搬送路とともに、一方の面に画像形成した用紙を反転させて画像形成部へ再搬送する反転搬送路が必要である。反転搬送路は、定着部と排出部との間の用紙搬送路から分岐して再度画像形成部に向う搬送路であり、通常、縦方向に延びる用紙搬送路と側面カバーとの間に形成される。このような構成の画像形成装置において、定着部で紙詰りが生じたとき、ジャム処理のために、側面カバーを開放しても、反転搬送路の奥に定着部が配置されているので、定着部に詰まった用紙を取り除くのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、用紙の反転搬送路を備えていても簡単な操作にて定着部のジャム処理が行える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明の画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する画像形成部と、該画像形成部において記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に溶融定着する定着部と、該定着部によりトナー像が定着された記録媒体を排出する排出部と、記録媒体を前記画像形成部から前記排出部へと搬送するための用紙搬送路と、装置本体の上面及び側面に沿って延設され、一方の面に画像形成がなされた記録媒体を反転させて前記画像形成部へと再搬送するための反転搬送路と、装置本体の上側にて前記定着部を覆うように揺動可能に配置され、搬送ガイド面にて前記用紙搬送路の一部を形成する一方、前記搬送ガイド面の反対側に向き合う反転ガイド面にて前記反転搬送路の一部を形成する反転ガイド部材と、装置本体の上面に対して回動可能に支持され、回動動作によって装置本体の上面を開閉可能とする上面カバーと、該上面カバーの開閉動作に連動して、前記反転ガイド部材を、前記定着部を露出させる位置と、前記定着部を覆う位置とに揺動させる駆動機構と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記駆動機構は、前記反転ガイド部材の揺動中心を構成する第1回転軸と、該第1回転軸から第1の距離だけ離間して前記反転ガイド部材に設けられた第1係合部と、前記上面カバーの回動中心を構成する第2回転軸と、該第2回転軸から第2の距離だけ離間して前記上面カバーに設けられ前記第1係合部に係合可能である第2係合部と、を備え、前記上面カバーの開方向への回動動作に連動して、前記第2係合部が前記第2回転軸を中心として回動することによって、前記第1係合部が持ち上げられ、前記反転ガイド部材が前記第1回転軸を中心として揺動することを特徴としている。
【0009】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記第1係合部は下面が係合面となる凹面状に形成され、前記第2係合部は前記第1係合部の係合面に当接可能である上面を有するフック形状に形成されることを特徴としている。
【0010】
また、第4の発明では、上記の画像形成装置において、前記第1の距離は前記第2の距離より小さく構成されることを特徴としている。
【0011】
また、第5の発明では、上記の画像形成装置において、装置本体の側面に対して回動可能に支持され、回動動作によって装置本体の側面を開閉可能とし、開方向の回動によって前記反転搬送路を装置本体から露出させる側面カバーをさらに備え、前記上面カバーの開方向への回動動作によって、前記上面カバーは、前記側面カバー側が開放されるように構成されるとともに、前記反転ガイド部材は、前記定着部が前記側面カバー側に向けて装置本体から露出するように構成されることを特徴されることを特徴としている。
【0012】
また、第6の発明では、上記の画像形成装置において、前記上面カバーは、装置本体の上面を形成するカバー部材と、前記反転ガイド面に対向して配置される搬送ガイド部材とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、定着部にて紙詰まりが生じた場合、装置本体の上面を覆う上面カバーを開くと、上面カバーの開方向への回動動作に連動して、駆動機構によって反転ガイド部材が揺動し、反転ガイド部材に覆われた定着部が反転ガイド部材から露出する。この状態で、定着部に詰まった記録媒体を取り除くことができる。従って、両面印刷のために反転搬送路を備えていても簡単な操作にて定着部のジャム処理が行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図
【図2】実施形態に係る画像形成装置の定着部の周辺を示す平面図
【図3】実施形態に係る画像形成装置の反転ガイド部材を示す斜視図
【図4】実施形態に係る画像形成装置の上面カバーを示す斜視図
【図5】実施形態に係る上面カバーのカバー部材を示す斜視図
【図6】実施形態に係る上面カバーの搬送ガイド部材を示す斜視図
【図7】実施形態に係る画像形成装置の駆動機構を模式的に示す断面図
【図8】実施形態に係る画像形成装置の上面カバーを開いた状態の定着部の周辺を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の全体構成を示す図である。画像形成装置100の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0017】
画像形成装置100の右側面には、手差しトレー10cが配設されている。手差しトレー10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙が載置可能である。手差しトレー10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0018】
用紙搬送路11は、用紙給紙部10の左方にて装置本体2の上下方向に延設される。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー対12に搬送される。レジストローラー対12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0019】
画像形成装置100の上部には原稿読取装置6が配設され、原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
【0020】
画像形成装置100の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、さらに感光体5の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラー13、及びクリーニング部18を備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部18は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体5の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0021】
感光体5の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0022】
現像部8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー13によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送路11の上方に配設される定着部14へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留するトナーがクリーニング部18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
【0023】
定着部14は、熱源を内蔵する定着ローラー14aと加圧ローラー14bとを有し、トナー像が転写された用紙を定着ローラー14a及び加圧ローラー14bによって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路11において右上方に搬送され排出ローラー対20によって排出部である胴内排紙部17に排出される。
【0024】
定着部14と排出ローラー対20との間の用紙搬送路11から分岐して反転搬送路16が設けられる。反転搬送路16は、用紙の一方の面にトナー像が定着された後、必要に応じて用紙の他方の面にもトナー像を形成するときに用いられるものであり、定着部14の上方から定着部14の周りを覆い、さらに用紙搬送路11と装置本体2の側面2aとの間を下方に延設され、レジストローラー対12の近傍の用紙搬送路11に合流している。
【0025】
両面印刷を行う場合には、一方の面にトナー像が定着された用紙は、胴内排紙部17に排出させる途中において、用紙搬送路11と反転搬送路16との分岐部を用紙の後端が通過したタイミングで排出ローラー対20を逆回転させる。これによって、用紙がスイッチバックされ、用紙の印刷面が表裏逆向きにされた状態で反転搬送路16に送られ、反転搬送路16から再び用紙搬送路11のレジストローラー対12に搬送される。その後、画像形成部3にて用紙の他方の面にもトナー像が転写されると、用紙は定着部14によって定着処理され胴内排紙部17に排出される。
【0026】
定着部14と、その周辺に配置される反転搬送路16とは、図2に示すように構成される。図2は、定着部14の周辺を示す平面図である。尚、図2は、図1の裏面側から見た平面図であり、従って、装置本体2の側面2aが図2の右側に示され、また、胴内排紙部17が図2の左側に示される。
【0027】
定着部14の周辺には、排出ガイド部材61と、排出ローラー対20と、反転ガイド部材62と、上面カバー51と、側面カバー55とが配設される。
【0028】
排出ガイド部材61は、定着部14に対して用紙搬送路11の下流側で、且つ定着ローラー14aに隣接して配置される。排出ガイド部材61には、搬送ガイド面61aが形成される。搬送ガイド面61aは、定着ローラー14aの上方から排出ローラー対20まで円弧状に形成され、定着処理された用紙を定着部14から排出ローラー対20に案内する。
【0029】
排出ローラー対20は、第2支軸20cに固着され上側に配置される排出ローラー20aと、排出ローラー20aの下側に配置され排出ローラー20aに押圧されるコロ20bとを有し、第2支軸20cが回転駆動すると、排出ローラー20aが回転するとともにコロ20bが従動回転し、用紙が胴内排紙部17に排出される。
【0030】
反転ガイド部材62は、加圧ローラー14b外周の上側及び右側面を覆うように配置される。反転ガイド部材62には、搬送ガイド面62aと反転ガイド面62bが形成される。
【0031】
搬送ガイド面62aは、排出ガイド部材61の搬送ガイド面61aに対向して配置され、加圧ローラー14bの上方から排出ローラー対20に向かって分岐部62cまで延びて形成される。従って、搬送ガイド面62aは、排出ガイド部材61の搬送ガイド面61aとともに、定着処理された用紙を定着部14から排出ローラー対20に向けて案内する。
尚、分岐部62cは、用紙搬送路11と反転搬送路16と略交差する位置に設けられる。
【0032】
反転ガイド面62bは、搬送ガイド面62aの反対側に向き合い、分岐部62cから装置本体2の側面2a側まで延びて設けられる。反転ガイド面62bは、上面カバー51に対し略平行に対向しているが、分岐部62c側の面が下方に緩やかに傾斜し、また、装置本体2の側面2a側の面が下方に向けて円弧状に形成される。従って、用紙の後端が分岐部62cを通過した用紙は、排出ローラー対20が逆回転すると、反転ガイド面62bの分岐部62c側の面によって上面カバー51に対して略平行に案内された後、反転ガイド面62bの側面2a側の面によって円弧状に下方に案内され、図示しない搬送ガイドによって、装置本体2の側面2aと略平行に案内される。さらに、用紙は、反転搬送路16から用紙搬送路11のレジストローラー対12(図1参照)に搬送される。尚、分岐部62c側の面が下方に緩やかに傾斜することで、用紙搬送路11から分岐部62cを通過した用紙が、用紙搬送路11に戻ることなく、滑らかに反転搬送路16に案内される。
【0033】
上面カバー51は、反転ガイド部材62と、一部の排出ガイド部材61の上側に対向して配置され、また、排出ローラー対20の第2支軸20cを中心にして回動可能に支持される。上面カバー51の矢印B方向の回動動作によって、反転ガイド部材62と定着部14とが装置本体2から露出する。上面カバー51は、搬送ガイド部材52とカバー部材53とを有する。
【0034】
搬送ガイド部材52は、反転ガイド部材62の反転ガイド面62b及び排出ガイド部材61の一部の搬送ガイド面61aに対向して設けられ、排出ガイド部材61の搬送ガイド面61aとともに定着処理された用紙を分岐部62cから排出ローラー対20に案内する一方、反転された用紙を反転ガイド面62bとともに反転搬送路16を水平方向に案内する。
【0035】
カバー部材53は装置本体2の上面に対して外装面を形成する。定着部14の上部には、原稿読取装置6が配設されているが、カバー部材53と原稿読取装置6との間には空隙部2bが形成される。上面カバー51を第2支軸20c回りに回動させると、カバー部材53は、この空隙部2b内で開閉可能となる。
【0036】
側面カバー55は、装置本体2の側面2aに対して外装面を形成し、外装面の反対側には、反転搬送路16を形成する搬送ガイド面55aを有する。搬送ガイド面55aは、反転ガイド部材62の反転ガイド面62bの円弧面に対向する面と装置本体2の側面2aに対して平行に延びる面とを有する。また、側面カバー55は、装置本体2の側面2aの下方において回動可能に支持され、回動動作によって装置本体2の側面2aを開閉可能とする。側面カバー55の開方向の回動動作によって、反転搬送路16が装置本体2から露出する。
【0037】
反転ガイド部材62は、図3に示すように揺動可能に支持される。図3は、反転ガイド部材62の構成を示す斜視図である。
【0038】
反転ガイド部材62は一対の第1軸受け62eを有する。一対の第1軸受け62eは、反転ガイド部材62の長手方向の両端部に設けられ、また、分岐部62c側(反転搬送路16の上流側)にて反転ガイド面62bから上側に突出して設けられる。第1軸受け62eは、下側を開放したU字状に形成され、装置本体2に設けた一対の第1支軸2dに夫々揺動可能に支持される。第1軸受け62eと第1支軸2dは、反転ガイド部材62の揺動中心となる第1回転軸を構成し、反転ガイド部材62は第1回転軸を中心にして揺動可能となる。尚、反転ガイド部材62に一対の支軸を設け、装置本体2に一対の軸受け孔を設け、第1回転軸は、反転ガイド部材62の支軸と装置本体2の軸受け孔とで構成するようにしてもよい。
【0039】
さらに、反転ガイド部材62は、第1係合部である一対の凹面62dを有する。一対の凹面62dは、反転ガイド部材62の長手方向の両端部に設けられる。また、凹面62dは、反転搬送路16の搬送路に対して第1軸受け62eから離間した位置(反転搬送路16の下流側の位置)にて反転ガイド面62bの下側に円弧状に窪んで形成される(尚、一対の凹面62dの他方の凹面62dは図3では不可視)。凹面62dは後述する上面カバー51のフック部52aと係合可能であり、上面カバー51が回動すると、凹面62dとフック部52aとの係合によって、反転ガイド部材62は第1回転軸を中心にして揺動することができる。
【0040】
図4〜図6は、第2係合部であるフック部52aを有する上面カバー51の詳しい構成を示す。図4は上面カバー51を下側から見た斜視図であり、図5は上面カバー51のカバー部材53を下側から見た斜視図であり、図6は上面カバー51の搬送ガイド部材52を下側から見た斜視図である。
【0041】
図4に示すように、上面カバー51は、搬送ガイド部材52とカバー部材53とを有する。カバー部材53の内側面に搬送ガイド部材52が取り付けられ、搬送ガイド部材52は、排出ローラー対20の第2支軸20cに回動可能に支持されている。
【0042】
図5に示すように、カバー部材53は、外観の仕上げが良好である樹脂にて、外縁に立ち上り部を備えて矩形状に形成される。カバー部材53は、外装面に対して反対側の内側面53bに複数の嵌め込み突起53aが形成される。複数の嵌め込み突起53aは、搬送ガイド部材52をカバー部材53に取り付けるためのものであり、幅方向の外側を鉤型にして互いに対向して長手方向に並べて配置され、幅方向に弾性変形可能である。
【0043】
図6に示すように、搬送ガイド部材52は、耐熱性を有する樹脂にて、カバー部材53の内側面53b(図5参照)に収まるように矩形状に形成される。上面カバー51は、定着部14に近傍に配設されるために、定着部14の熱に起因して上面カバー51の外装面が熱変形する可能性がある。しかし、上面カバー51をカバー部材53と搬送ガイド部材52とに分離して、カバー部材53と定着部14との間に耐熱性を有する樹脂からなる搬送ガイド部材52を介在させることで、カバー部材53が定着部14の熱の影響を直接受けなくなり、上面カバー51は外観性能を損なうことがない。
【0044】
また、搬送ガイド部材52は、上面係合部であるフック部52aと、カバー部材53の嵌め込み突起53aに係合する嵌め込み孔52bと、第2軸受け52cと、搬送ガイド面52dと、を有する。
【0045】
嵌め込み孔52bは、カバー部材53の一対の嵌め込み突起53aに係合可能であるように長手方向に複数個形成される。搬送ガイド部材52をカバー部材53の内側面53bに対面させてカバー部材53に収めると、カバー部材53の嵌め込み突起53aが弾性変形して搬送ガイド部材52の嵌め込み孔52bに係合し、搬送ガイド部材52はカバー部材53に取り付けられる。
【0046】
搬送ガイド面52dは、フィン形状のリブが長手方向に複数個並べて形成され、排出ガイド部材61の搬送ガイド面61a(図2参照)、及び反転ガイド部材62の反転ガイド面62b(図2参照)に対向して配置される。搬送ガイド面52dが排出ガイド部材61の搬送ガイド面61aに対向配置されることで、定着処理された用紙を案内し、また、搬送ガイド面52dが反転ガイド面62bに対向配置されることで、反転された用紙を案内する。
【0047】
第2軸受け52cは、搬送ガイド部材52の長手方向の両端部に一対設けられ、また、反転搬送路16の上流側に設けられる。第2軸受け52cは、下側を開放したU字状に形成され、排出ローラー対20の第2支軸20c(図4参照)に夫々回転可能に支持される。第2軸受け52cと第2支軸20cは、搬送ガイド部材52(上面カバー51)の回動中心となる第2回転軸を構成し、上面カバー51は第2回転軸を中心に回動可能となる。
【0048】
フック部52aは、搬送ガイド部材52の長手方向の両端部に一対設けられ、また、反転搬送路16の下流側に設けられる。フック部52aは、長手方向の内側を鉤型に形成され、反転ガイド部材62(図3参照)の凹面62dに係合可能である。具体的にはフック部52aの鉤型部の上面が反転ガイド部材62の凹面62dに当接可能である。搬送ガイド部材52(上面カバー51)が回動すると、フック部52aと凹面62dとの係合によって、反転ガイド部材62は、搬送ガイド部材52の回動に連動して揺動する。
【0049】
図7は、上面カバー51の回動動作にともない反転ガイド部材62を揺動させる駆動機構を模式的に示す図である。
【0050】
駆動機構70は、第1支軸2dと第1軸受け62eからなる第1回転軸71と、第2支軸20cと第2軸受け52cからなる第2回転軸72と、反転ガイド部材62に形成された凹面62d(第1係合部)と、上面カバー51に設けられたフック部52a(第2係合部)と、を有する。
【0051】
第1回転軸71は反転ガイド部材62の揺動中心を構成し、第2回転軸72は上面カバー51の回動中心を構成する。
【0052】
上面カバー51のフック部52aは、その上面にて反転ガイド部材62の凹面62dに係合している。上面カバー51が矢印B方向(上面カバー51の開方向)に回動すると、フック部52aが第2回転軸72の回りで矢印B方向に回動する。フック部52aの回動によって、フック部52aに当接する凹面62dが持ち上げられ、反転ガイド部材62は第1回転軸71の回りで矢印B方向に揺動する。
【0053】
ここで、第1回転軸71から凹面62dまでの距離を第1の距離X1とし、また、第2回転軸72からフック部52aまでの距離を第2の距離X2とする。第1の距離X1は第2の距離X2より小さく構成されている。この構成よれば、第1回転軸71は、第2回転軸72に対して反転搬送路16の下流側に配置されていることになる。尚、第1の距離X1は、フック部52aに当接する凹面62dの位置と第1回転軸71との距離である。
【0054】
上記実施形態によれば、上面カバー51を矢印B方向に所定の角度だけ回動させて、上面カバー51を開くと、上面カバー51の開方向への回動動作に連動して、反転ガイド部材62が矢印B方向に所定の角度よりも大きく揺動する。従って、反転ガイド部材62に覆われた定着部14(図2参照)が、反転ガイド部材62から広く露出することになり、定着部14のジャム処理が行い易くなる。また、本実施形態のように、定着部14の上側に原稿読取装置6等の別部材が配設され、上面カバー51と原稿読取装置6との空隙が小さくて、上面カバー51を大きく回動させて開くことができない場合にも適用することができる。この場合には画像形成装置が小型になる。
【0055】
尚、上記実施形態では、第1の距離X1を第2の距離X2より小さく構成したが、上面カバー51を大きい角度で開けることが可能である等、定着部14の周辺の部材の配置、構成により、適宜、第1の距離X1が第2の距離X2に対して同等以上であるように構成してもよい。
【0056】
図8は、上面カバー51を開いた状態の定着部14の周辺を示す平面図である。定着ローラー14aと加圧ローラー14bとの間に用紙が詰まり、用紙を定着部14から取り除く場合、まず、側面カバー55を装置本体2に対して開く。側面カバー55を開くと、反転ガイド部材62が装置本体2から露出する。次に、上面カバー51を装置本体2に対して開く。上面カバー51を開く、即ち、上面カバー51が第2支軸20cを中心に回動すると、上面カバー51の回動動作に連動して、反転ガイド部材62が上面カバー51と同じ方向に第1支軸2dを中心に揺動する。反転ガイド部材62の揺動によって、定着部14が反転ガイド部材62から露出する。この状態で、定着部14に詰まった用紙を簡単に取り除くことができる。
【0057】
また、上記実施形態によれば、上面カバー51の開方向への回動動作によって、上面カバー51は、側面カバー55側が開放されるように構成されるとともに、反転ガイド部材62は、定着部14が側面カバー55側に向けて装置本体2から露出するように構成される。側面カバー55の開閉及び上面カバー51の開閉の操作と、定着部14からの用紙の除去が常に側面カバー55から行われるために、ジャム処理を行い易い。
【0058】
また、上記実施形態によれば、駆動機構70は、第1回転軸71と、第2回転軸72と、反転ガイド部材62に形成された凹面62dと、上面カバー51に設けられたフック部52aと有する簡単な構成からなるが、上面カバー51の回動動作に連動して、反転ガイド部材62に覆われた定着部14を露出させることがきる。
【0059】
尚、上記実施形態では、側面カバー55の搬送ガイド面55aが反転ガイド部材62の反転ガイド面62bとともに反転搬送路16を形成する構成を示したが、本発明はこれに限らず、側面カバー55の搬送ガイド面55aの替わりに、搬送ガイド部材52の搬送ガイド面52dが反転搬送路16の下流側にさらに延設するようにして、延設した搬送ガイド面52dが反転ガイド部材62の反転ガイド面62bに対向するように構成してもよい。この構成において、定着部14のジャム処理を行う場合、側面カバー55を開けることなく、上面カバー51を開けるだけで、上面カバー51の回動動作に連動して、反転ガイド部材62に覆われた定着部14を露出させることがきる。
【0060】
また、上記実施形態では、定着部14の上側に原稿読取装置6が配設される画像形成装置100に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、定着部14の上側には、原稿読取装置6が配設されておらずに上面カバー51が配設されるプリンター等の画像形成装置に適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、上面カバー51はカバー部材53と搬送ガイド部材52とで構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、上面カバー51を一つの部材にて構成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、上面カバー51にフック部52aを設け、反転ガイド部材62に凹面62dを形成する構成を示したが、本発明はこれに限らず、上面カバー51には凹面を設けて、反転ガイド部材62には凸部を形成し、反転ガイド部材62の凸部の下側が上面カバー51の凹面に当接する構成であってもよい。この場合、上面カバー51の回動動作によって、上面カバー51の凹面が反転ガイド部材62の凸部を持ち上げ、反転ガイド部材62が揺動することになり、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、装置上方に位置する定着部のジャム処理機構を有する画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
2 装置本体
2a 側面
2b 空隙部
2d 第1支軸(第1回転軸)
3 画像形成部
5 感光体(像担持体)
11 用紙搬送路
14 定着部
14a 定着ローラー
14b 加圧ローラー
16 反転搬送路
17 胴内排紙部(排出部)
20 排出ローラー対
20a 排出ローラー
20b コロ
20c 第2支軸(第2回転軸)
51 上面カバー
52 搬送ガイド部材
52a フック部(第2係合部)
52b 嵌め込み孔
52c 第2軸受け(第2回転軸)
52d 搬送ガイド面
53 カバー部材
53a 嵌め込み突起
53b 内側面
55 側面カバー
55a 搬送ガイド面
61 排出ガイド部材
61a 搬送ガイド面
62 反転ガイド部材
62a 搬送ガイド面
62b 反転ガイド面
62c 分岐部
62d 凹面(第1係合部)
62e 第1軸受け(第1回転軸)
70 駆動機構
71 第1回転軸
72 第2回転軸
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する画像形成部と、
該画像形成部において記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に溶融定着する定着部と、
該定着部によりトナー像が定着された記録媒体を排出する排出部と、
記録媒体を前記画像形成部から前記排出部へと搬送するための用紙搬送路と、
装置本体の上面及び側面に沿って延設され、一方の面に画像形成がなされた記録媒体を反転させて前記画像形成部へと再搬送するための反転搬送路と、
装置本体の上側にて前記定着部を覆うように揺動可能に配置され、搬送ガイド面にて前記用紙搬送路の一部を形成する一方、前記搬送ガイド面の反対側に向き合う反転ガイド面にて前記反転搬送路の一部を形成する反転ガイド部材と、
装置本体の上面に対して回動可能に支持され、回動動作によって装置本体の上面を開閉可能とする上面カバーと、
該上面カバーの開閉動作に連動して、前記反転ガイド部材を、前記定着部を露出させる位置と、前記定着部を覆う位置とに揺動させる駆動機構と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記反転ガイド部材の揺動中心を構成する第1回転軸と、該第1回転軸から第1の距離だけ離間して前記反転ガイド部材に設けられた第1係合部と、前記上面カバーの回動中心を構成する第2回転軸と、該第2回転軸から第2の距離だけ離間して前記上面カバーに設けられ前記第1係合部に係合可能である第2係合部と、を備え、
前記上面カバーの開方向への回動動作に連動して、前記第2係合部が前記第2回転軸を中心として回動することによって、前記第1係合部が持ち上げられ、前記反転ガイド部材が前記第1回転軸を中心として揺動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1係合部は下面が係合面となる凹面状に形成され、前記第2係合部は前記第1係合部の係合面に当接可能である上面を有するフック形状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の距離は前記第2の距離より小さく構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体の側面に対して回動可能に支持され、回動動作によって装置本体の側面を開閉可能とし、開方向の回動によって前記反転搬送路を装置本体から露出させる側面カバーをさらに備え、
前記上面カバーの開方向への回動動作によって、前記上面カバーは、前記側面カバー側が開放されるように構成されるとともに、前記反転ガイド部材は、前記定着部が前記側面カバー側に向けて装置本体から露出するように構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記上面カバーは、装置本体の上面を形成するカバー部材と、前記反転ガイド面に対向して配置される搬送ガイド部材とを有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−225963(P2012−225963A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90593(P2011−90593)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】