説明

画像形成装置

【課題】部品精度に起因した複数の像保持体の周速度変動による画像ずれを抑制する。
【解決手段】円筒状の像保持体本体34Aと、像保持体本体34Aを回転可能に支持する回転軸35と、回転軸35の端部35Aに嵌められることで設けられ、回転軸35に装置本体10A側からの回転駆動力を伝達する継手部材110と、回転軸35の周面から互いに反対方向に突出し、像保持体本体34Aに形成された被係合部34Bに係合することで、回転軸35に対する像保持体本体34Aの相対回転を不能にする係合部材114と、回転軸35の軸方向から見て、係合部材114とで成す角度が略90度となるように、継手部材110に形成された貫通孔112Aと回転軸35に形成された貫通孔35Cとに連続して挿入されて固定され、継手部材110を回転軸35に取り付ける取付部材116と、を備えた像保持体34を有する画像形成部30が複数設けられた画像形成装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムにドラム軸を挿入し、その感光体ドラムのドラムフランジとドラム軸とを、そのドラム軸の軸方向と直交する方向へ圧入される圧入ピンによって取り付けるようにした構成は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−91793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、部品精度に起因した複数の像保持体の周速度変動による画像ずれを抑制できる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の画像形成装置は、表面に像が保持される円筒状の像保持体本体と、前記像保持体本体に挿入され、該像保持体本体を回転可能に支持する回転軸と、前記回転軸の端部に嵌められることで設けられ、該回転軸に装置本体側からの回転駆動力を伝達する継手部材と、前記回転軸の周面から互いに反対方向に突出し、前記像保持体本体に形成された被係合部に係合することで、前記回転軸に対する前記像保持体本体の相対回転を不能にする係合部材と、前記回転軸の軸方向から見て、前記係合部材とで成す角度が略90度となるように、前記継手部材に形成された貫通孔と前記回転軸に形成された貫通孔とに連続して挿入されて固定され、前記継手部材を前記回転軸に取り付ける取付部材と、を備えた像保持体を有する画像形成部が、複数設けられていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像形成部が、前記各像保持体の像保持体本体の表面に圧接し、該表面を清掃する清掃部材を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、係合部材と取付部材とで成す角度が、回転軸の軸方向から見て、略90度とされていない構成に比べて、部品精度に起因した複数の像保持体の周速度変動による画像ずれを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、各像保持体の像保持体本体の表面に圧接し、その表面を清掃する清掃部材を有する構成において、特に部品精度に起因した複数の像保持体の周速度変動による画像ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す模式図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成を示す模式図
【図3】本実施形態に係る感光体の一端部側の構成を示す概略斜視図
【図4】本実施形態に係る感光体の回転軸方向から見たときの係合ピンと取付ピンの位置関係を示す模式図
【図5】本実施形態に係る感光体の周速度変動を示すグラフ
【図6】比較例に係る感光体の周速度変動を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を基に詳細に説明する。なお、図1において、矢印UPを画像形成装置10の上方向とし、矢印LEを画像形成装置10の左方向とする。そして、図1で示す紙面垂直方向手前側を画像形成装置10の前側とし、正面とする。また、本実施形態では、記録媒体の一例として記録用紙Pを採用する。
【0011】
図1で示すように、本実施形態に係る画像形成装置10の装置本体10Aの上部には、複数枚の原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する自動原稿搬送装置12と、1枚の原稿Gが載せられるプラテンガラス16と、自動原稿搬送装置12によって搬送された原稿G又はプラテンガラス16に載せられた原稿Gを読み取る原稿読取装置14とが設けられている。そして、この原稿読取装置14には、自動原稿搬送装置12によって搬送された原稿G又はプラテンガラス16に載せられた原稿Gに光を照射する光源18が設けられている。
【0012】
また、この原稿読取装置14には、光源18によって照射されて原稿Gから反射された反射光をプラテンガラス16と平行な方向に反射させるフルレートミラー20と、フルレートミラー20によって反射した反射光を下方へ反射させるハーフレートミラー22と、ハーフレートミラー22によって反射した反射光をプラテンガラス16と平行な方向に反射させて折り返すハーフレートミラー24と、ハーフレートミラー24によって折り返された反射光が入射される結像レンズ26と、から構成される光学系が設けられている。
【0013】
また、原稿読取装置14には、結像レンズ26によって結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子28と、光電変換素子28によって変換された電気信号を画像処理する画像処理装置29とが設けられている。そして、光源18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22、ハーフレートミラー24は、プラテンガラス16に沿って移動可能となっている。
【0014】
プラテンガラス16に載せられた原稿Gを読み取る場合には、光源18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22、ハーフレートミラー24を移動させながら、光源18がプラテンガラス16に載せられた原稿Gに光を照射し、原稿Gから反射された反射光が光電変換素子28へ結像されるようになっている。
【0015】
また、自動原稿搬送装置12によって搬送された原稿Gを読み取る場合には、光源18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22、ハーフレートミラー24は、予め決められた位置に停止して、自動原稿搬送装置12によって搬送された原稿Gに光源18が光を照射し、原稿Gから反射された反射光が光電変換素子28へ結像されるようになっている。
【0016】
また、装置本体10Aの下部には、サイズの異なる記録用紙Pがそれぞれ収容される給紙部80、82、84、86が設けられている。各給紙部80、82、84、86には、収容された記録用紙Pを各給紙部80、82、84、86から搬送経路62へ送り出す給紙ロール88が設けられている。
【0017】
そして、給紙ロール88の搬送方向下流側には、記録用紙Pを1枚ずつ搬送する搬送ロール90及び搬送ロール92が設けられている。そして、搬送ロール92の搬送方向下流側には、記録用紙Pを一旦停止させ、予め決められたタイミングで、後述する二次転写位置へ送り出す位置合わせロール94が設けられている。
【0018】
一方、装置本体10Aの上下方向略中央部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成部の一例としての複数(4つ)の画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kが、図示の左側から一定の間隔を隔てて、かつ水平方向に対して予め決められた角度に傾斜した状態で、この順に並べられて設けられている。
【0019】
すなわち、最初に中間転写ベルト32(後述)に転写されるイエロー(Y)のトナー画像を形成する画像形成ユニット30Yが最も高い位置に設けられ、最後に中間転写ベルト32に転写されるブラック(K)のトナー画像を形成する画像形成ユニット30Kが最も低い位置に設けられている。
【0020】
また、画像形成ユニット30Y〜30Kの上側には、回転駆動される駆動ロール48、従動回転する支持ロール50、張力を付与する張力付与ロール54、第1アイドラーロール56、第2アイドラーロール58に巻き掛けられる無端状の中間転写ベルト32が設けられている。そして、中間転写ベルト32が矢印A方向に循環駆動しながら、各色の画像形成ユニット30Y〜30Kで形成されたトナー画像が中間転写ベルト32に一次転写されるようになっている。
【0021】
また、図2で示すように、各色の画像形成ユニット30Y〜30Kには、図示しない駆動手段によって矢印D方向に回転する像保持体の一例としての感光体34と、感光体34の表面を一様に帯電する帯電部材36とが設けられている。更に、各画像形成ユニット30Y〜30Kの下方には、帯電部材36によって一様に帯電された感光体34の表面に、各色に対応した光で露光して静電潜像を形成する露光装置40が、各画像形成ユニット30Y〜30Kに沿うように傾斜して配置されている。
【0022】
露光装置40の筐体122の内部には、各色の感光体34に光を照射して、その表面を露光する光学系120が設けられている。この光学系120には、光を出射する光源(図示省略)と、この光源により出射された光を反射偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー124と、ポリゴンミラー124よって反射された光を透過させるレンズ126と、レンズ126を透過した光を反射させて各感光体34の表面を露光するミラー128とが設けられている。
【0023】
また、各色の画像形成ユニット30Y〜30Kにおいて、帯電部材36に対して感光体34の回転方向下流側には、感光体34の表面に形成された静電潜像を各色のトナーで現像して可視化させる現像装置の一例としての現像器42が設けられている。そして、画像形成ユニット30Yの左方側には、画像形成ユニット30等に電力を供給する電源部41が設けられている。
【0024】
また、中間転写ベルト32を挟んで感光体34の反対側には、感光体34の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト32に転写するための一次転写ロール46が設けられている。そして、各色の画像形成ユニット30Y〜30Kには、感光体34から中間転写ベルト32に転写されずに感光体34の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置44が、一次転写ロール46に対して感光体34の回転方向下流側に設けられている。
【0025】
このクリーニング装置44は、図4で示すように、清掃部材の一例としてのクリーニングブレード45を有している。クリーニングブレード45は、ゴム等の弾性体で構成されており、各感光体34の感光体本体34Aの表面に、予め決められた圧力及び角度で圧接されている(感光体本体34Aの表面がクリーニングブレード45によって押圧されている)。
【0026】
なお、中間転写ベルト32の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像器42に、各色のトナーを供給するトナーカートリッジ38Y、38M、38C、38Kが設けられている。そして、ブラック(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ38Kは使用頻度が高いため、他のトナーカートリッジと比較して大きくされている。
【0027】
また、中間転写ベルト32の表面を清掃するクリーニング装置52が、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール48の反対側に設けられている。そして、中間転写ベルト32を挟んで支持ロール50の反対側には、中間転写ベルト32上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写するための二次転写ロール60が配置されている。つまり、二次転写ロール60と支持ロール50との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。
【0028】
また、二次転写ロール60の上方(記録用紙Pの搬送方向下流側)には、二次転写位置において記録用紙Pに転写されたトナー画像を、その記録用紙Pに定着させる定着装置64が設けられている。そして、定着装置64よりも記録用紙Pの搬送方向下流側には、トナー画像が定着された記録用紙Pを搬送する搬送ロール66が設けられ、搬送ロール66の搬送方向下流側には、記録用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート68が設けられている。
【0029】
切替ゲート68の搬送方向下流側には、一方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内される記録用紙Pを、第1排出部69に排出させる第1排出ロール70が設けられている。そして、切替ゲート68の搬送方向下流には、他方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内されて搬送ロール73により搬送される記録用紙Pを、第2排出部72に排出させる第2排出ロール74と、第3排出部76に排出させる第3排出ロール78とが設けられている。
【0030】
更に、記録用紙Pの両面に画像を形成する際に、記録用紙Pを反転させて搬送する両面用搬送ユニット100が二次転写位置の右方側に設けられている。そして、両面用搬送ユニット100には、搬送ロール73を逆転させることで搬送される記録用紙Pが送り込まれる反転経路104が設けられている。また、反転経路104に沿って複数個の搬送ロール102が設けられ、これら搬送ロール102によって搬送される記録用紙Pは表裏が反転された状態で、位置合わせロール94に再度搬送されるようになっている。
【0031】
また、両面用搬送ユニット100の右方側には、折り畳み式の手差給紙部106が設けられている。そして、開放された折り畳み式の手差給紙部106から給紙される記録用紙Pを搬送する給紙ロール108及び搬送ロール96、98が、反転経路104の下方側に設けられており、搬送ロール96、98で搬送された記録用紙Pは、位置合わせロール94に搬送されるようになっている。
【0032】
以上のような構成の画像形成装置10において、次に感光体34の構成について、詳細に説明する。図3で示すように、この感光体34は、表面(周面)に静電潜像が形成される円筒状の感光体本体(感光体ドラム)34Aと、感光体本体34Aの軸心部(中空部)に挿入され、感光体本体34Aを回転可能に支持する回転軸(ドラム軸)35と、を備えている。
【0033】
そして、この感光体34は、回転軸35の直径よりも長く形成され、回転軸35の軸方向と直交する方向に形成された貫通孔35Bに圧入(挿入されて固定)されることにより、その回転軸35の周面から互いに反対方向に突出するように取り付けられる係合部材の一例としての係合ピン114を有している。
【0034】
この係合ピン114は、感光体本体34Aに形成された被係合部の一例としてのスリット部(溝部)34Bに軸方向から嵌合し、周方向に係合するようになっている。これにより、回転軸35に対する感光体本体34Aの相対回転が不能となる構成である。つまり、回転軸35の回転に伴い、感光体本体34Aが回転する構成である。
【0035】
また、回転軸35の一端部35Aには、その回転軸35に装置本体10A側からの回転駆動力を伝達するための継手部材の一例としてのカップリング部材110が、その筒部112を外方側から嵌めて、後述する取付部材の一例としての取付ピン116によって取り付けられることで設けられている。
【0036】
すなわち、このカップリング部材110は、その筒部112に軸方向と直交する方向に形成された貫通孔112Aと、回転軸35に軸方向と直交する方向に形成された貫通孔35Cとに、回転軸35の直径よりも長く形成された取付ピン116が連続して圧入(挿入されて固定)されることで、回転軸35に取り付けられるようになっている。
【0037】
そして、図4で示すように、回転軸35の軸方向から見て、係合ピン114と取付ピン116とで成す角度θが略90度(θ≒90°)とされている。つまり、回転軸35に設けられる貫通孔35B、35Cは、その回転軸35の軸方向から見て、互いに略90度ずれるようにして形成されている。
【0038】
以上のような構成の感光体34において、次にその作用について説明する。まず、画像処理装置29又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが露光装置40に順次出力される。そして、露光装置40から画像データに応じて出射された光は、対応する感光体34(感光体本体34A)の表面を露光し、その表面に静電潜像を形成する。
【0039】
感光体34の表面に形成された静電潜像は、現像器42Y、42M、42C、42Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として現像される。そして、感光体34の表面に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、各色の画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kの上方に傾斜して配置されている中間転写ベルト32上に、一次転写ロール46によって多重に転写される。
【0040】
このとき、感光体34は、回転軸35の軸方向から見て、係合ピン114と取付ピン116とで成す角度θが略90度(θ≒90°)とされている。したがって、スリット部34Bと係合ピン114との間の周方向における隙間による感光体本体34Aと回転軸35とのがたつき、及び貫通孔35C、112Aと取付ピン116との間の周方向における隙間によるカップリング部材110と回転軸35とのがたつきが同時に発生することがない。
【0041】
すなわち、感光体本体34Aの表面には、クリーニングブレード45が予め決められた圧力及び角度で圧接されている(クリーニングブレード45が感光体本体34Aの表面を押圧している)。したがって、感光体本体34Aのスリット部34Bと係合ピン114との間のがたつきにより、感光体34には周速度変動(回転むら)が起きやすい。
【0042】
また、カップリング部材110には、装置本体10Aに設けられた図示しない駆動源から、回転駆動力が伝達される。そのため、筒部112の貫通孔112A及び回転軸35の貫通孔35Cと取付ピン116との間のがたつきにより、感光体34には周速度変動(回転むら)が起きやすい。
【0043】
しかしながら、係合ピン114及び取付ピン116は、互いにその位相が略90度ずれているので、係合ピン114及び取付ピン116における各部において、色ずれ(画像ずれ)に影響するがたつきが同時に起きることがない。したがって、部品精度(感光体本体34Aと回転軸35との組付精度、及びカップリング部材110と回転軸35との組付精度)に起因した各感光体34の周速度変動による色ずれが抑制される。
【0044】
以下、図5、図6で示すグラフを基に更に詳細に説明する。図6には比較例が示されている。この比較例で示す感光体34は、図示を省略するが、回転軸35の軸方向から見て、係合ピン114と取付ピン116とで成す角度θが0度とされている。つまり、係合ピン114と取付ピン116は、共に同じ方向側から平行に圧入されている。
【0045】
この場合、図6(A)で示すように、感光体本体34Aと回転軸35とのがたつきのピークと、カップリング部材110と回転軸35とのがたつきのピークとが重なっている。すなわち、感光体本体34Aと回転軸35とのがたつきと、カップリング部材110と回転軸35とのがたつきが同時に発生している。
【0046】
これは、図6(B)で示すように、係合ピン114のスリット部34Bに対する挿入(係合)を、回転軸35を180度回転させて入れ替えても同様であり、図6(B)で示すものが、図6(A)で示すものよりも、がたつきが大きい。そして、各感光体34において、図6(A)で示すものと図6(B)で示すものとを区別して組み付けることは、通常では困難であり、1つの画像形成装置10において、両方が混在するのが一般的である。したがって、各感光体34の周速度変動による色ずれが大きくなる(目立つ)おそれがある。
【0047】
これに対し、本実施形態に係る感光体34では、図5(A)で示すように、感光体本体34Aと回転軸35とのがたつきのピークと、カップリング部材110と回転軸35とのがたつきのピークとが重なっていない(互いの半値幅以内でずれている)。つまり、本実施形態に係る感光体34では、感光体本体34Aと回転軸35とのがたつき、及びカップリング部材110と回転軸35とのがたつきが同時に発生していない。
【0048】
これは、図5(B)で示すように、係合ピン114のスリット部34Bに対する挿入(係合)を、回転軸35を180度回転させて入れ替えても同様である。しかも、本実施形態に係る感光体34では、図5(A)で示すものと図5(B)で示すものとの間で、周速度変動の量に(図6で示したものに比べて)差がない。したがって、各感光体34において(1つの画像形成装置10において)、図5(A)で示すものと図5(B)で示すものとが混在されていても、図6で示すものよりも、各感光体34の周速度変動による色ずれが抑制される。
【0049】
なお、係合ピン114は、予め回転軸35に圧入によって取り付けられ、その状態でスリット部34Bに挿入されるため、感光体34の組立性及び分解してリサイクルする際のリサイクル性が向上される。また、感光体34は、回転軸35に形成する貫通孔35B、35Cを、その軸方向から見て、互いに略90度ずらすだけでよいため、複雑な部品形状及び部品構造とならない。したがって、感光体34を低コストで構成することが可能となる。また、これにより、感光体34付近を省スペースで構成することが可能となるため、画像形成ユニット30において、消耗部品の交換作業が安全に行える。
【0050】
以上、本実施形態に係る画像形成装置10について、図面に示す実施例を基に説明したが、本実施形態に係る画像形成装置10は、図示の実施例に限定されるものではない。例えば、係合ピン114は、貫通孔35Bに圧入されて取り付けられる構成に限定されるものではなく、回転軸35の周面に、互いに反対方向に突出するように、それぞれ溶接等によって取り付けられる構成にしてもよい。また、本実施形態に係る像保持体は、図示の感光体34に限定されるものではなく、例えば図示しない転写ドラム等の場合も同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 画像形成装置
10A 装置本体
30 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
34 感光体(像保持体の一例)
34A 感光体本体(像保持体本体の一例)
34B スリット部(被係合部の一例)
35 回転軸
35A 一端部
35B 貫通孔
35C 貫通孔
45 クリーニングブレード(清掃部材の一例)
110 カップリング部材(継手部材の一例)
112 筒部
112A 貫通孔
114 係合ピン(係合部材の一例)
116 取付ピン(取付部材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に像が保持される円筒状の像保持体本体と、
前記像保持体本体に挿入され、該像保持体本体を回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の端部に嵌められることで設けられ、該回転軸に装置本体側からの回転駆動力を伝達する継手部材と、
前記回転軸の周面から互いに反対方向に突出し、前記像保持体本体に形成された被係合部に係合することで、前記回転軸に対する前記像保持体本体の相対回転を不能にする係合部材と、
前記回転軸の軸方向から見て、前記係合部材とで成す角度が略90度となるように、前記継手部材に形成された貫通孔と前記回転軸に形成された貫通孔とに連続して挿入されて固定され、前記継手部材を前記回転軸に取り付ける取付部材と、
を備えた像保持体を有する画像形成部が、複数設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部が、前記各像保持体の像保持体本体の表面に圧接し、該表面を清掃する清掃部材を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8504(P2012−8504A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146976(P2010−146976)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】