説明

画像形成装置

【課題】現像装置内におけるトナー補給口よりも現像剤搬送方向の下流側におけるトナー濃度ムラを従来よりも抑える。
【解決手段】画像情報を取得する画像情報取得部100と、感光体に静電潜像を光書き込みする光書込ユニット20を画像情報に基づいて制御する光書込制御部102と、感光体上の静電潜像を現像する現像装置と、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置70と、トナー補給装置70の補給スクリュウモータの補給動作パターンを決定して補給スクリュウモータの駆動を制御する補給制御部103と、光書込制御部102とは独立した演算処理により、画像情報取得部100によって取得された画像情報に基づいて出力画素数を算出する総画素数演算部101とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の循環経路に沿って搬送している現像剤を現像剤担持体の移動する表面に担持して潜像の現像に用いた後、現像剤担持体の表面から循環経路に戻す構成の現像手段を用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。図1は、特許文献1に記載の画像形成装置における画像形成ユニットを示す拡大構成図である。同図において、画像形成ユニット900は、現像装置と、感光体920とを備えている。また、現像装置は、トナー及び磁性キャリアを含有する図示しない現像剤をケーシング内で循環搬送するための循環経路や、現像ロール910などを有している。循環経路は、互いに装置短手方向に並ぶように配設された第1剤収容室901と第2剤収容室903とを具備している。循環経路の一部となっている第1剤収容室901内に収容されている現像剤は、第1搬送スクリュウ902の回転駆動により、室内空間の長手方向に沿って図中矢印Aの向きで搬送される。この第1剤収容室901と、これに隣接している第2剤収容室903とは、長手方向の両端部でそれぞれ連通している。第1搬送スクリュウ902の回転駆動に伴って第1剤収容室901内における図中矢印A方向の端部まで搬送された現像剤は、連通部を通過して第2剤収容室903内に進入する。そして、第2剤収容室903内において、第2搬送スクリュウ904の回転駆動によって矢印A方向とは正反対の矢印B方向に搬送される。その後、第2剤収容室903における矢印B方向の端部まで搬送されると、連通部を通って第1剤収容室901内の矢印A方向の最上流部に進入する。このようにして、現像剤は第1剤収容室901及び第2剤収容室903の中で循環搬送される。
【0003】
第2剤収容室903の短手方向の側方には、現像ロール910が配設されている。この現像ロール910は、回転駆動する非磁性パイプからなる現像スリーブと、この現像スリーブの内部に回転不能に収容される図示しないマグネットローラとを具備している。そして、マグネットローラの発する磁力により、第2剤収容室903内の現像剤を回転する現像スリーブの表面に担持して、現像スリーブと感光体920とが対向する現像領域に搬送する。その後、自らの回転に伴い、現像領域の現像剤で感光体920の表面の静電潜像を現像しながら、現像領域の現像剤を第2剤収容室903内に戻す。戻された現像剤は現像に寄与したことでトナー濃度を低下させている。図示しないトナー補給制御部は、画像情報に基づいて算出された総出力画素数に基づいて、その画像が現像される際のトナー消費量を予測し、その結果に応じた時間だけ、図示しないトナー補給手段を駆動する。これにより、第1剤収容室901の現像剤搬送方向の上流側端部付近に設けられたトナー補給口915を通じて、第1現像剤収容室901内のトナーにトナーを補給して現像剤のトナー濃度を回復させている。このようなトナー補給においては、トナー濃度センサによって現像剤のトナー濃度の低下を検知してから低下量に見合ったトナー補給を行う構成よりも迅速にトナー濃度の回復を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像形成装置においては、トナー補給動作の開始タイミングが適正タイミングから遅れてしまうことに起因して、トナー補給直後の現像剤にトナー濃度ムラを発生させてしまうという問題があった。具体的には、図1において、第1剤収容室901や第2剤収容室903に収容されている現像剤のトナー濃度ムラが全くない状態から、感光体920の表面に担持されている静電潜像の現像が行われたとする。すると、ある程度の時間が経過した時点で、第1剤収容室901におけるトナー補給口915の直下領域において、図2に示されるようなトナー濃度の経時変動が発生する。初期段階でトナー濃度が急激に低下した後、中期段階で低下の度合いが緩やかになり、終期段階ではトナー濃度が逆に上昇していく逆正規分布型の特性の変動である。このような変動が生ずるトナー補給口915の直下領域において、図2の変動曲線とは正反対の正規分布型の濃度変動を発生させるようにトナー補給を行ったとする。すると、図3に示されるように、現像によるトナー濃度変動を、トナー補給によるトナー濃度変動で相殺して、トナー補給口915よりも現像剤搬送方向下流側の位置で、トナー濃度ムラのない現像剤を得ることができる。
【0005】
このようにしてトナー濃度変動を相殺するためには、まず、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいて画像の総出力画素数を算出するなどし、この結果に基づいて、現像によって生ずるトナー濃度の変動曲線を予測する。そして、予測した変動曲線を相殺し得る補給動作パターンを決定した後、トナー補給口915の直下領域でトナー濃度の変動が発生し始める図3の時点t0のあたりで、トナー補給動作を開始する必要がある。ところが、従来の画像形成装置では、次に説明する理由により、変動曲線の予測を完了する時点が、図3の時点t0よりも遅いタイミングになっていた。即ち、感光体920に対する静電潜像の光書込を制御する光書込制御部は、外部機器から送られてくる画像情報に基づいて、出力画像領域の画素マトリクスにおける各画素についてそれぞれ、ドットを出力するか否かの情報であるドット情報を順に特定していく。また、このようにしてドット情報を特定するための演算処理(以下、ドット情報特定用演算処理という)とは別に、ドット情報の特定結果をトナー補給制御部に送信する結果送信処理や、各画素についてのドット情報の特定結果に応じて感光体に対する書込光をオンオフするための書込制御用演算処理を実施する。個々の画素についてドット情報を特定しながら特定結果を1つずつ送信することは通信速度の都合上、効率が非常に悪くなることから、結果送信処理では、ある程度の数の画素についてのドット情報をまとめて、自らと、トナー補給制御部との間に介在する通信バッファに送信する。一方、トナー補給動作を制御するトナー補給制御部は、通信バッファ内に蓄えられているデータを全て取り込むと、取り込み信号を光書込制御部に送信する。この取り込み信号を受信した光書込制御部が、ドット情報特定用演算処理や書込制御用演算処理と並行して、まだ送信していないドット情報についての結果送信処理を開始するまでには、どうしてもある程度のタイムラグが必要になる。このタイムラグや、トナー制御補給制御部がデータ取り込みに要する時間などの積み重ねにより、光書込制御部に画像情報が入力されてから、トナー補給制御部が全ての画素についてのドット情報を取得するまでには、比較的長時間を要する。トナー補給制御部は、光書込制御部から送られてくる全ての画素のドット情報を取得するまで、パラメータたる総出力画素数を算出することができない。そして、総出力画素数を算出するまでは、トナー濃度の変動曲線を予測することができない。このため、光書込制御部に対して画像情報が入力されてから、トナー補給制御部がトナー濃度の変動曲線の予測を終えるまでには、ある程度の長時間を要する。すると、トナー補給制御部がトナー濃度の変動曲線の予測を終えるタイミングが例えば図4における時点t1のように、時点t0よりも遅くなってしまうのである。この時点t1では、その変動曲線における時点t0から時点t1までのトナー濃度変動を発生させている現像剤が、図1のトナー補給口915の直下を既に通り過ぎてしまっている。このため、同図に実線で示されるように、トナー補給口915よりも下流側でどうしてもトナー濃度ムラを発生させてしまうのである。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トナー補給口よりも現像剤搬送方向の下流側におけるトナー濃度ムラを従来よりも抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、潜像を担持する潜像担持体と、画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記画像情報に基づいて前記潜像形成手段を制御する潜像形成制御手段と、トナー及びキャリアを含有する現像剤を所定の循環経路に沿って搬送しながら、前記循環経路における現像剤担持体との対向領域である供給領域に存在する現像剤を前記現像剤担持体の移動する表面に担持して前記潜像担持体上の潜像の現像に用いた後、前記供給領域に戻す現像手段と、前記循環経路内における前記供給領域とは異なる領域である非供給領域の所定位置に設けられたトナー補給口を通じて、前記非供給領域内にトナーを補給するトナー補給手段と、前記トナー補給手段の補給動作パターンを決定し、決定した補給動作パターンに基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する補給制御手段とを備える画像形成装置において、前記潜像形成制御手段とは独立した演算処理により、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に基づいて出力画素数を算出する出力画素数算出手段を設け、前記出力画素数算出手段によって算出された出力画素数に基づいて前記補給動作パターンを決定する処理を実施するように、前記補給制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、出力画素数算出手段が、潜像形成制御手段とは独立した演算処理により、画像情報に基づいて、トナー補給手段の補給動作パターンを決定するために必要な出力画素数を算出する。かかる構成では、光書込制御部などの潜像形成制御手段と、トナー補給制御部などの補給制御手段との間でのドット情報のデータ通信を繰り返し実施して、出力画素数の算出に必要な全ての画素についてのドット情報を補給制御手段に提供していた従来の画像形成装置とは異なり、潜像形成制御手段と補給制御手段との間でドット情報のデータ通信を行うことなく、出力画素数算出手段が単独で画像情報に基づく出力画素数を算出する。このため、潜像書込制御部が補給制御手段からデータの取り込み信号を受信してからドット情報の送信を開始するまでのタイムラグや、補給制御手段がバッファ内のドット情報の取り込みに要する時間などが発生しない。よって、出力画素数算出手段が従来の画像形成装置の補給制御手段よりも早いタイミングで出力画素数を算出することが可能である。これにより、補給制御手段が、従来よりも早いタイミングで補給動作パターンを決定してトナー補給手段に対して補給動作を開始させることで、トナー補給口よりも現像剤搬送方向の下流側におけるトナー濃度ムラを従来よりも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】特許文献1に記載の画像形成ユニットを示す概略構成図。
【図2】静電潜像を現像することによってトナー補給口の直下領域で発生するトナー濃度変動の特性を示すグラフ。
【図3】同トナー濃度変動の特性と、これを相殺し得るトナー濃度変動の特性とを示すグラフ。
【図4】同画像形成ユニットで発生していたトナー濃度変動の特性を示すグラフ。
【図5】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図6】同プリンタにおけるYトナー像を生成するための画像形成ユニットを示す概略図。
【図7】同画像形成ユニットの外観を示す斜視図。
【図8】同画像形成ユニットの現像ユニットを示す分解斜構成図。
【図9】同プリンタにおけるY用のトナーボトルを示す斜視図。
【図10】同トナーボトルをボトル部とホルダー部とに分解した状態を示す斜視図。
【図11】同プリンタにおけるトナー補給装置を示す斜視図。
【図12】同トナー補給装置に装着された状態のトナーボトルと、その周囲構成とを示す概略構成図。
【図13】従来の画像形成ユニットで発生していたトナー濃度変動の特性の第2例を示すグラフ。
【図14】本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図5は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す。)用の4つの画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0011】
図6は、Yトナー像を生成するための画像形成ユニット1Yの構成を示す概略図である。また、図7は、画像形成ユニット1Yの外観を示す斜視図である。これらの図において、画像形成ユニット1Yは、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図7に示すように、画像形成ユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。ただし、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
【0012】
感光体ユニット2Yは、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。帯電手段としての帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図2中時計回り方向に回転駆動する感光体3Yの表面を帯電ローラ6Yにより一様帯電させる。具体的には、図6において、反時計回りに回転駆動する帯電ローラ6Yに対して図示しない電源から帯電バイアスを印加し、その帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接又は接触させることで、感光体3Yを一様帯電させる。なお、帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシ等の他の帯電部材を近接又は接触させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体3Yを一様帯電させるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電した感光体3Yの表面は、後述する潜像形成手段としての光書込ユニット20から発せられるレーザー光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0013】
図8は、現像ユニット7Y内を示す分解構成図である。現像手段としての現像ユニット7Yは、図6や図8に示されるように、現像剤搬送手段としての第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容室9Yを有している。また、トナー濃度検出手段としての透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Y、現像剤搬送手段としての第2搬送スクリュウ11Y、現像剤担持体としての現像ロール12Y、現像剤規制部材としてのドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容室14Yも有している。循環経路を形成しているこれら2つの剤収容室内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる二成分現像剤である図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、第1剤収容室9Y内のY現像剤を図6中の手前側(図8中矢印Aの方向)へ搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1搬送スクリュウ8Yの上方に固定されたトナー濃度センサ10Yによって、第1剤収容室9Yにおけるトナー補給口17Yに対向する箇所(以下「補給位置」という。)よりも現像剤循環方向下流側に位置する所定の検出箇所を通過するY現像剤のトナー濃度が検知される。そして、第1搬送スクリュウ8Yにより第1剤収容室9Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口18Yを経て第2剤収容室14Y内に進入する。
【0014】
第2剤収容室14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、Y現像剤を図6中奥側(図8中矢印Aの方向)へ搬送する。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの図3中上方には、現像ロール12Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール12Yは、図3中反時計回り方向に回転駆動する非磁性スリーブからなる現像スリーブ15Y内に固定配置されたマグネットローラ16Yを内包した構成となっている。第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ15Yの表面と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、第2搬送スクリュウ11Yにより第2剤収容室14Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口19Yを経て第1剤収容室9Y内に戻る。このようにして、Y現像剤は現像ユニット内を循環搬送される。
【0015】
先に示した図5において、感光体3Y上に形成されたYトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト41に中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Yの表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Yの表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色用の画像形成ユニット1C,1M,1Kにおいても、同様にして感光体3C,3M,3K上にCトナー像、Mトナー像、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に中間転写される。
【0016】
画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上には、それぞれY用、C用、M用、K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LEDアレイを採用したものを用いてもよい。
【0017】
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これらの給紙カセット内には、それぞれ、記録材である記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a及び第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。また、給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0018】
各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの図中上方には、中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動させる転写ユニット40が配設されている。転写ユニット40は、中間転写ベルト41のほか、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これらのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動する。4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45Kは、このように無端移動する中間転写ベルト41を感光体3Y,3C,3M,3Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の内周面にトナーとは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY用、C用、M用、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、その外周面に感光体3Y,3C,3M,3K上の各色トナー像が重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0019】
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0020】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
【0021】
なお、転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本実施形態のプリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY用、C用、M用の1次転写ローラ45Y,45C,45Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY用、C用、M用の感光体3Y,3C,3Mから離間させる。そして、4つの画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kのうち、K用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY用、C用、M用の画像形成ユニットを無駄に駆動させることによるそれら画像形成ユニットの消耗を回避することができる。
【0022】
2次転写ニップの図中上方には、定着手段としての定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図2中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63の掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
【0023】
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140℃に維持される。2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が記録紙Pに定着する。
【0024】
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0025】
転写ユニット40の上方には、Yトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーをそれぞれ収容する4つのトナー収容器であるトナーボトル72Y,72C,72M,72Kが配設されている。トナーボトル72Y,72C,72M,72K内の各色トナーは、トナー補給装置70により、それぞれ、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの現像ユニット7Y,7C,7M,7Kに適宜供給される。トナーボトル72Y,72C,72M,72Kは、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0026】
先に図8に示したように、トナー濃度センサ10Yは、非供給領域としての第1剤収容室9Y内において、供給領域としての第2剤収容室14Yに進入する直前の現像剤のトナー濃度を検知する。また、トナー補給口17Yは、第2剤収容室14Yから第1剤収容室9Y内に進入した直後の現像剤に対してトナーを補給する位置に設けられている。つまり、第1剤収容室9Y内において、トナー濃度センサ10Yは、トナー補給口17Yよりも下流側の位置で現像剤のトナー濃度を検知する。
【0027】
図9は、Y用のトナーボトル72Yを示す斜視図である。同図において、Y用のトナーボトル72Yは、粉体としての図示しないYトナーを収容する粉体収容部たるボトル状のボトル部73Yと、粉体排出部たる円筒状のホルダー部74Yとを備えている。ホルダー部74Yは、図10に示されるように、ボトル状のボトル部73Yの頭部に係合して、ボトル部73Yを回転自在に保持する。ボトル部73Yの内周面には、容器の外側から内側に向けて突出するスクリュウ状の螺旋突起がボトル軸線方向に延在するように形成されている。
【0028】
図11は、本プリンタにおけるトナー補給装置を示す斜視図である。同図において、トナー補給手段としてのトナー補給装置は、4つのトナーボトル72K,Y,C,Mを載置するボトル載置台95、それぞれのボトル部を個別に回転駆動するボトル駆動部96などを備えている。ボトル載置台95上にセットされたトナーボトル72K,Y,C,Mは、それぞれホルダー部をボトル駆動部96に係合させている。図中矢印X1で示すように、ボトル駆動部96に係合しているトナーボトル72Mをボトル載置台95上でボトル駆動部96から遠ざける方向にスライド移動させると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96から外れる。このようにして、トナー補給装置からトナーボトル72Mを取り外すことができる。また、トナーボトル72Mが装着されていない状態のトナー補給装置において、図中矢印X2で示すように、ボトル載置台95上でトナーボトル72Mをボトル駆動部96に近づける方向にスライド移動させると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96に係合する。このようにして、トナー補給装置にトナーボトル72Mを装着することができる。他色用のトナーボトル72K,Y,Cについても、同様の操作を行うことでトナー補給装置に脱着することができる。
【0029】
トナーボトル72Y,C,M,Kのボトル部73K,Y,C,Mの頭部外周面には、それぞれ図示しないギヤ部が形成されているが、このギヤ部はホルダー部74K,Y,C,Mに覆い隠されている。但し、ホルダー部74K,Y,C,Mの周面の一部には、ギヤ部を部分的に露出させるための図示しない切り欠きが形成されおり、ギヤ部はこの切り欠きから自らの一部を露出させている。トナーボトル72K,Y,C,Mのホルダー部74K,Y,C,Mがボトル駆動部96に係合すると、ボトル駆動部96に設けられた図示しないK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが、前述の切り欠きを介してボトル部73K,Y,C,Mのギヤ部に噛み合う。そして、ボトル駆動部96のK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが図示しない駆動系によって回転駆動することで、ボトル部73K,Y,C,Mがホルダー部74K,Y,C,M上で回転駆動される。
【0030】
先に示した図10において、ボトル部73Yがこのようにしてホルダー部74Y上で回転せしめられると、ボトル部73Y内のYトナーが上述のスクリュウ状の螺旋突起に沿ってボトル底側からボトル頭部側に向けて移動する。そして、粉体を収容する収容体たるボトル部73Yの先端に設けられた図示しないボトル開口を通って、円筒状のホルダー部74Y内に流入する。
【0031】
図12は、図示しないトナー補給装置に装着された状態のトナーボトルと、その周囲構成とを示す概略構成図である。同図において、トナーボトルは、ホルダー部74Yの箇所で破断した横断面が示されている。上述したように、このホルダー部74Yには、ホルダー部74Yよりも図中奥側に存在している図示しないボトル部が回転駆動することで、ボトル部内のYトナーが送り込まれてくる。トナーボトルのホルダー部74Yは、トナー補給装置のホッパ部76Yに係合している。このホッパ部76Yは、図紙面に直交する方向に扁平な形状に構成され、同図においては、中間転写ベルト41の手前側に位置している。ホルダー部74Yの底に形成されているトナー排出口75Yと、トナー補給装置のホッパ部76Yに形成されているトナー受入口とは、互いに連通している。トナーボトルのボトル部からホルダー部74Yに送り込まれたYトナーは、自重によってホッパ部76Y内に落とし込まれる。ホッパ部内では、回転可能な回転軸部材77Yに固定された可撓性に富んだ押圧フィルム78Yが回転軸部材77Yとともに回転する。ホッパ部76Yの内壁には、ホッパ部内におけるトナーの有無を検知する圧電素子からなるトナー検知センサ82が固定されている。PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等からなる押圧フィルム78Yは、その回転に伴ってYトナーをトナー検知センサ82の検知面に向けて押圧する。これにより、トナー検知センサ82がホッパ部76Y内のトナーを良好に検知することが可能になる。トナーボトルのボトル部の回転駆動制御は、このトナー検知センサ82がYトナーを良好に検知するようになるように行われる。よって、ボトル部内にトナーが十分に存在している限り、ボトル部からホルダー部74Yを介してホッパ部76Y内に十分量のYトナーが落とし込まれて、ホッパ部76Y内は十分量のトナーで満たされる。この状態から、ボトル部を頻繁に回転させているにもかかわらず、トナー検知センサ82によってYトナーが検知され難くなる状態に変化すると、図示しない制御部は、ボトル部内のYトナーが残り僅かであるとみなして、「トナーニアエンド」の警報をユーザーに報知する。
【0032】
ホッパ部76Yの下部には、横搬送管79Yが接続されており、ホッパ部76Y内のYトナーは、自重によってテーパーを滑り落ちでこの横搬送管79Y内に落とし込まれる。横搬送管79Y内には、トナー補給スクリュウ80Yが配設されており、その回転駆動に伴って、Yトナーを横搬送管79Yの長手方向に沿って横搬送する。
【0033】
横搬送管79Yの長手方向の一端部には、落下案内管81Yが鉛直方向に延在する姿勢で接続されている。この落下案内管81Yの下端は、現像ユニット7Yの第1剤収容室9Yのトナー補給口17Yに接続されている。横搬送管79Y内のトナー補給スクリュウ80Yが回転すると、横搬送管79Yの長手方向の一端部まで搬送されたYトナーが、落下案内管81Yとトナー補給口17Yとを通じて現像ユニット7Yの第1剤収容室9Y内に落下する。これにより、第1剤収容室9Y内にYトナーが補給される。他色(C,M,K)においても、同様にしてトナーが補給される。
【0034】
各色において、それぞれトナー補給スクリュウの駆動によるトナー補給動作は、後に詳述される補給制御部によって制御される。補給制御部は、各色についてそれぞれ画像情報に基づいて求められる出力頁毎の総出力画素数を取得し、その結果に基づいて、トナー補給口の直下領域で生ずる現像に起因するトナー濃度変動(以下、現像起因トナー濃度変動という)を相殺し得るトナー補給動作パターンを決定する。トナー補給動作パターンは、複数の単位補給動作をそれぞれどのようなタイミングで行うのかを示すものである。具体的には、本プリンタでは、予想される現像起因トナー濃度変動の波形にかかわらず、トナー補給スクリュウを一定の駆動速度で駆動し、且つ、補給動作1回(動作開始から動作停止まで)あたりにおける動作時間を一定にする。このような常に同じ駆動速度且つ同じ動作時間での補給動作が、単位補給動作である。本プリンタにおいては、かかる単位補給動作の単位時間あたりの実施頻度を調整することで、現像起因トナー濃度変動を相殺し得るトナー濃度変動を発生させる。よって、トナー補給動作パターンは、複数の単位補給動作をそれぞれどのようなタイミングで実施するのかを示すものになる。
【0035】
なお、1回の補給動作(動作開始から動作停止まで)において、動作時間やトナー補給スクリュウの駆動速度を調整することで各時点におけるトナー補給量を変化させて、現像起因トナー濃度変動を相殺し得るトナー濃度変動を発生させるようにしてもよい。この場合、トナー補給動作パターンは、補給動作の開始タイミング、開始タイミングからの駆動速度の変化パターン、補給動作の停止タイミングなどを示すものになる。
【0036】
先に示した図8において、トナー濃度センサ10Yが現像起因トナー濃度変動を検知する前に、補給制御部が総出力画素数に基づいて補給動作パターンを決定してトナー補給を開始することで、現像によって低下した現像剤のトナー濃度を迅速に回復させることができる。但し、総出力画素数に基づく補給動作パターンは、あくまでも予想される現像起因トナー濃度変動に対処するものであり、実際の現像起因トナー濃度変動が予測と全く同じになるとは限らない。予想とは異なった現像起因トナー濃度変動が発生すると、トナー濃度を目標濃度から大きくずらしてしまうおそれがある。そこで、補給制御部は、トナー補給口17Yの直下でトナーを補給された現像剤のトナー濃度をトナー濃度センサ10Yによって検知し、その結果が目標濃度から大きくずれている場合には、その後のトナー補給量をそのずれに応じて加減する。これにより、現像起因トナー濃度変動の予測値と実際とが異なることによるトナー濃度のずれの発生を抑えることができる。
【0037】
先に図4に示したように、従来の画像形成装置では、各出力頁についてそれぞれ、所定のパラメータとしての総出力画素数を補給制御部に取得させる時点t1が、トナー濃度変動を発生させ始める時点t0よりも大幅に遅れてしまうため、トナー補給口よりも下流側でトナー濃度ムラを引き起こしていた。図4では、時点t0からトナー補給を開始する場合に現像起因トナー濃度変動を相殺し得る曲線(現像起因トナー濃度変動の曲線と振幅や波長が同じで且つ逆位相である曲線)を採用している。このようなトナー補給に代えて、既にトナー補給口の直下領域を通り過ぎてしまった現像剤のトナー濃度の不足分を、補給開始初期に一気に投入してもよい。このようにすることで、実際のトナー濃度変動を図4に示されるものよりも小さくすることが可能である。しかしながら、このようにしたとしても、例えば、図13に示されるように、サインカーブ状に波打つトナー濃度変動(トナー濃度ムラ)がどうしても残ってしまう。
【0038】
かかるトナー濃度ムラは、現像剤の搬送距離が長くなるにつれて、徐々に小さくなっていくが、トナー濃度センサ(例えば図8の10Y)の位置では、まだかなりのトナー濃度ムラが残っている。図13に示されるようなトナー濃度ムラがトナー補給口の直後で発生してしまうと、トナー濃度センサによるトナー濃度の検知結果に基づくトナー補給量の加減を精度良く行うことが困難になる。これにより、トナー濃度を精度良く均一にすることが非常に困難になってしまう。
【0039】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図14は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、補給制御部103は、図示しないCPU、RAM、ROM等を有しており、各色の補給スクリュウモータ(71Y,C,M,K)の駆動を制御することで、各色トナーの補給動作を制御する。
【0040】
本プリンタは、図示しない外部のパーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて画像を形成するものである。外部から送られてくる画像データについては、画像情報取得部100によって取得する。この画像情報取得部100は、パーソナルコンピュータ等の外部機器に直接接続されるプリンタポート100a、図示しないLAN HUBを介して外部機器に接続されるLANポート100b、LANポート100bを介した複数の外部機器との通信を制御するプリントサーバー回路100c」、画像データを一時記憶するデータバッファ100d等を有している。画像情報取得部100は、外部機器から送られてきた画像データをデータバッファ100dに一時記憶しながら、後述する総画素数演算部101に順次送信していく。
【0041】
総画素数演算部101は、画像情報取得部100から送られてくる画像情報を、演算部101aでのデータ処理によってデータ一時記憶部101bに一時記憶するとともに、光書込制御部102に送信する。そして、データ一時記憶部101bに一時記憶した画像データに基づいて、所定のパラメータとしての1頁あたりの総出力画素数を、Y,C,M,Kの各色毎に個別に算出する。そして、頁毎に、Y,C,M,Kの総出力画素数のデータを補給制御部103に送信する。
【0042】
従来の画像形成装置において、補給制御部は、光書込制御部102から順次送られてくる出力画素データに基づいて、各頁における各色の総出力画素数を算出し、その結果に基づいて各色のトナー補給動作を制御する処理を実施するようになっていた。しかしながら、かかる構成では、各頁についてそれぞれ、光書込処理が完了するまで、総出力画素数が確定しないので、光書込処理が完了するのを待って総出力画素数を確定し、その結果に基づいて、トナー補給動作パターンを決定する処理を、補給制御部が実施していた。そして、このような処理では、図4等を用いて説明したように、トナー補給動作パターンを決定した時点で、現像起因トナー濃度変動がトナー補給口の位置で既に発生してしまっていた。
【0043】
一方、本プリンタにおいては、画像情報取得部100によって取得された画像データに基づいて、各頁における各色の総出力画素数のデータを算出するための専用の総画素数演算部101を設けている。この総画素数演算部101は、光書込制御部102とは異なり、光書込ユニット20の駆動を制御するための演算処理を実施しないので、画像データを受け取ってから総出力画素数を算出するまでに要する時間が、光書込制御部102よりも遙かに短くなる。これにより、補給動作パターン決定手段としての補給制御部103は、従来よりも早いタイミングでトナー補給動作パターンを決定して、各色の補給スクリュウモータの駆動を開始する。より詳しくは、各色についてそれぞれ、現像起因トナー濃度変動がトナー補給口の直下領域で発生し始める段階で、補給スクリュウモータの駆動を開始して、トナー補給を行う。よって、トナー補給口よりも下流側におけるトナー濃度ムラを従来よりも抑えることができる。
【0044】
光書込制御部102は、パラメータ算出手段たる総画素数演算部101から送られてくる画像データに基づいて、光書込ユニット20の駆動を制御することで、Y,C,M,K用の感光体(3Y,C,M,K)に対する潜像の光書込をそれぞれ行わせる。また、各頁における各色の光書込開始タイミングの基準となる基準タイミングデータを、補給制御部103に送信する。補給制御部103は、各色についてそれぞれ、光書込制御部102から送られてくる基準タイミングデータに基づいて、トナー補給口の直下領域で現像起因トナー濃度変動が発生し始めるタイミングを把握することで、トナー補給動作の適切な開始タイミングを把握する。
【0045】
これまで、所定のパラメータとして、各色についてそれぞれ、頁毎の総出力画素数を算出する処理を実施ように、パラメータ算出手段としての総画素数演算部101を構成した例について説明してきたが、次のように総画素数演算部101を構成してもよい。即ち、各色についてそれぞれ、所定の行数毎における総出力画素数を算出する処理を実施するようにしてもよい。
【0046】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aにおいては、潜像を担持する感光体等の潜像担持体と、画像情報を取得する画像情報取得部100等の画像情報取得手段と、潜像担持体に潜像を形成する光書込ユニット20等の潜像形成手段と、前記画像情報に基づいて前記潜像形成手段を制御する光書込制御部102等の潜像形成制御手段と、トナー及びキャリアを含有する現像剤を所定の循環経路に沿って搬送しながら、前記循環経路における現像剤担持体との対向領域である第2剤収容室14Y等の供給領域に存在する現像剤を前記現像剤担持体の移動する表面に担持して前記潜像担持体上の潜像の現像に用いた後、前記供給領域に戻す現像ユニット7Y等の現像手段と、前記循環経路内における前記供給領域とは異なる領域である第1剤収容室9Y等の非供給領域の所定位置に設けられたトナー補給口を通じて、前記非供給領域内にトナーを補給するトナー補給装置70等のトナー補給手段と、前記トナー補給手段の補給動作パターンを決定し、決定した補給動作パターンに基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する補給制御部103等の補給制御手段とを備える画像形成装置において、前記潜像形成制御手段とは独立した演算処理により、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に基づいて出力画素数を算出する総画素数演算部101等の出力画素数算出手段を設け、前記出力画素数算出手段によって算出された出力画素数に基づいて前記補給動作パターンを決定する処理を実施するように、前記補給制御手段を構成する。かかる構成では、既に説明したように、出力画素数算出手段が、従来よりも早いタイミングで補給動作パターンを決定してトナー補給手段に対して補給動作を開始させることで、トナー補給口よりも現像剤搬送方向の下流側におけるトナー濃度ムラを従来よりも抑えることができる。
【0047】
[態様B]
態様Bにおいては、トナー補給動作パターンに従ってトナー補給装置70等のトナー補給手段の駆動を制御する補給制御手段(例えば補給制御部103)に対して、光書込開始タイミング等の潜像形成開始タイミング、又はこれを反映した基準タイミング、を示すタイミング信号(例えば基準タイミングデータ)を出力する処理を実施するように、光書込制御部102等の潜像形成制御手段を構成する。かかる構成においては、補給制御手段に対して、タイミング信号に基づいてトナー補給口の直下領域で現像起因トナー濃度変動が発生し始めるタイミングを把握させることで、トナー補給動作の適切な開始タイミングを特定させることができる。
【符号の説明】
【0048】
3Y,C,M,K:感光体(潜像担持体)
7Y:現像ユニット(現像手段)
9Y:第1剤収容室(循環経路の一部、非供給領域)
14Y:第2剤収容室(循環経路の一部、供給領域)
17Y:トナー補給口
20:光書込ユニット(潜像形成手段)
70:トナー補給装置(トナー補給手段)
100:画像情報取得部(画像情報取得手段)
101:総画素数演算部(パラメータ算出手段)
102:光書込制御部(潜像形成制御手段)
103:補給制御部(補給動作パターン決定手段、補給制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開平9−160364号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、
画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記画像情報に基づいて前記潜像形成手段を制御する潜像形成制御手段と、
トナー及びキャリアを含有する現像剤を所定の循環経路に沿って搬送しながら、前記循環経路における現像剤担持体との対向領域である供給領域に存在する現像剤を前記現像剤担持体の移動する表面に担持して前記潜像担持体上の潜像の現像に用いた後、前記供給領域に戻す現像手段と、
前記循環経路内における前記供給領域とは異なる領域である非供給領域の所定位置に設けられたトナー補給口を通じて、前記非供給領域内にトナーを補給するトナー補給手段と、
前記トナー補給手段の補給動作パターンを決定し、決定した補給動作パターンに基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する補給制御手段とを備える画像形成装置において、
前記潜像形成制御手段とは独立した演算処理により、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に基づいて出力画素数を算出する出力画素数算出手段を設け、前記出力画素数算出手段によって算出された出力画素数に基づいて前記補給動作パターンを決定する処理を実施するように、前記補給制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記補給動作パターンに従って前記補給制御手段に対して、潜像形成開始タイミング、又はこれを反映した基準タイミング、を示すタイミング信号を出力する処理を実施するように、前記潜像形成制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−11639(P2013−11639A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142530(P2011−142530)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】