説明

画像形成装置

【課題】装置本体に対してユニットを容易且つ安全に着脱し、ユニットの装置位置がずれてユニットの装置本体への装着が不完全になるのを防止する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、装置本体2と、装置本体2に対してスライドする支持部材38と、支持部材38のスライドに伴って装置本体2に対して着脱されるユニット23と、を備え、支持部材38は、装置本体2の本体側係合部36と係合可能な第1係合部47と、ユニット23のユニット側係合部58と係合可能な第2係合部50と、を備え、ユニット23を支持部材38に載置すると、ユニット側係合部58と第2係合部50が係合してユニット23が支持部材38に固定され、支持部材38を引き出し位置から収納位置までスライドさせると、本体側係合部36と第1係合部47が係合して支持部材38が装置本体2に固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、画像形成部を有する装置本体及びこの装置本体に対して着脱されるユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置においては、画像形成部を有する装置本体に、定着ユニットやドラムユニットや現像ユニット等の各種ユニット(以下、単に「ユニット」と称する。)が着脱可能に取り付けられており、必要に応じて、ユーザーやサービスマン等の作業者が古いユニットを新しいユニットに交換できるようになっている。
【0003】
上記したユニットを装置本体に対して着脱するための構成として、装置本体から引き出された支持部材に沿ってユニットをスライドさせる構成が知られている(特許文献1の「スライド式定着ガイドレール10」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−101978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術においては、ユニットを支持部材に対して固定する機構が設けられていないため、支持部材に沿ってユニットをスライドさせる際にユニットが不安定になる。これに伴って、ユニットの着脱を円滑に行うことが困難になるとともに、ユニットの装置本体への装着位置がずれてユニットの装着が不完全になる虞があった。
【0006】
また、上記した従来技術においては、ユニットを装置本体から取り外す際、設計者が想定する把手部(例えば取っ手)とは異なる部分を作業者が把持した場合でも、ユニットを支持部材から持ち上げることが可能となるため、把手部以外の部分を作業者が把持する可能性が高まる。そして、このように把手部以外の部分を作業者が把持すると、これに伴って、例えば、ユニットに付着したトナーによって作業者の衣服が汚される等の不具合が生じる虞が有った。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、装置本体に対してユニットを容易且つ安全に着脱することを可能とするとともに、ユニットの装置本体への装着時に、ユニットの装置位置がずれてユニットの装着が不完全になるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像形成部を有する装置本体と、該装置本体に支持され、該装置本体への収納位置と該装置本体からの引き出し位置の間で水平方向にスライドする支持部材と、該支持部材に載置され、該支持部材のスライドに伴って前記装置本体に対して着脱されるユニットと、を備えた画像形成装置であって、前記支持部材は、前記装置本体に設けられた本体側係合部と係合可能な第1係合部と、前記ユニットに設けられたユニット側係合部と係合可能な第2係合部と、を備え、前記支持部材が前記引き出し位置にある状態で、前記ユニットを前記支持部材に載置すると、前記ユニット側係合部と前記第2係合部が係合して前記ユニットが前記支持部材に固定され、前記支持部材を前記引き出し位置から前記収納位置までスライドさせると、前記本体側係合部と前記第1係合部が係合して前記支持部材が前記装置本体に固定されることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用することにより、ユニットが支持部材に固定された状態で支持部材をスライドさせながら、装置本体に対してユニットを着脱することができる。これに伴って、ユニットを装置本体に対して容易且つ安全に着脱することが可能となるとともに、ユニットの装置本体への装着位置がずれてユニットの装着が不完全になるのを防止することが可能となる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記ユニットは、該ユニットを持ち上げるための把手部と、該把手部に設けられる操作部と、該操作部の操作に伴って前記第2係合部を押圧し、前記ユニット側係合部と前記第2係合部の係合を解除する押圧部材と、を備えていても良い。
【0011】
このような構成を採用することにより、ユニットを装置本体から取り外す際、作業者が把手部を把持した場合にのみ、ユニット側装着部と第2係合部の係合が解除され、ユニットを支持部材から持ち上げることが可能となる。これに伴って、把手部を把持することを作業者に促すことが可能となり、把手部以外の部分を作業者が把持するのを抑制することが可能となる。そのため、把手部以外の部分に付着したトナーにより作業者の衣服が汚される等の不具合を抑制することが可能となる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記支持部材は、該支持部材のスライド方向に沿って設けられ、前記第1係合部が形成される第1腕部と、該第1腕部の先端部に、前記ユニットの前記支持部材への取り付け方向に沿って設けられ、前記第2係合部が形成される第2腕部と、を有し、前記第1腕部の基端側を支点に回転可能なロック部材と、前記ユニットを前記支持部材に載置した際に、前記ユニット側係合部と前記第2係合部を係合させるように前記ロック部材を付勢し、前記支持部材を前記引き出し位置から前記収納位置までスライドさせた際に、前記本体側係合部と前記第1係合部を係合させるように前記ロック部材を付勢する付勢部材と、を備えていても良い。
【0013】
このような構成を採用することにより、第1係合部と第2係合部が両方ともロック部材に形成されることになり、第1係合部と第2係合部がそれぞれ別個の部品に形成される場合と比較して、部品点数及び製造コストの削減を図ることが可能となる。また、付勢部材を用いてロック部材を付勢することで、ユニット側係合部と第2係合部の係合状態及び本体側係合部と第1係合部の係合状態を確実に保持することが可能となる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、前記ユニットは、前記画像形成部において転写紙に転写されたトナー像を定着させる定着ユニットであっても良い。
【0015】
定着ユニットは、通常、他のユニットよりも重量が重く、装置本体に対する着脱が難しいため、装置本体への装着が不完全になり易い。従って、本発明の構成を用いて、装置本体に対する着脱の容易化を図ることが望ましい。つまり、本発明は、定着ユニットに対して好適に用いられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、装置本体に対してユニットを容易且つ安全に着脱することを可能とするとともに、ユニットの装置本体への装着時に、ユニットの装置位置がずれてユニットの装着が不完全になるのを防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、右カバーを外したプリンター本体を示す右側からの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、プリンター本体を示す正面側からの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、装置本体から支持部材を引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットを示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、把手部を通過する断面における定着ユニットの断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、持ち上げた定着ユニットを支持部材の上方に保持した状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置する途中の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置した状態を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置した状態で把手部から手を離した状態を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、支持部材を引き出し位置から収納位置までスライドさせる途中の状態を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、支持部材を引き出し位置から収納位置までスライドさせた状態を示す断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体からの取り外し時に、ロックレバーを手前側に引いて倒した状態を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体からの取り外し時に、ロックレバーから手を離した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を用いて画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0019】
カラープリンター1は、装置本体としての箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0020】
プリンター本体2の上部には、像担持体としての中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置され、中間転写ベルト5の下部に沿って4個の画像形成部6がトナーの色ごとに設けられている。
【0021】
各画像形成部6には、感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0022】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部6と対応する4個のトナーコンテナ18が、トナーの色ごとに設けられている。
【0023】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、転写紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部にはユニットとしての定着ユニット23が設けられている。定着ユニット23には、加熱ローラー24と加圧ローラー25の間に定着ニップ26が形成されている。加熱ローラー24は、その一側(図面上左側)に設けられたIH定着ユニット27によって加熱されるように構成されている。定着ユニット23のその他の部分の詳細については後述する。搬送経路20の下流端には排紙口28が設けられている。
【0024】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメータ−が初期化され、定着ユニット23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0025】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0026】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された転写紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が転写紙に二次転写される。トナー像を二次転写された転写紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着ユニット23に進入し、定着ニップ26において転写紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙口28から排紙トレイ4の上に排出される。
【0027】
次に、図2〜図6を用いて、プリンター本体2に対して定着ユニット23を着脱するための構成について説明する。以下、便宜上、図2における左奥側(図3における左手前側)を各部材の正面側として説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、右カバーを外したプリンター本体を示す右側からの斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、プリンター本体を示す正面側からの斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、装置本体から支持部材を引き出した状態を示す斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットを示す斜視図である。図6は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、把手部を通過する断面における定着ユニットの断面図である。
【0028】
図2に示されるように、プリンター本体2の右前端隅と右後端隅には、上下方向に延びる支持壁31、32が設けられ、支持壁31と支持壁32の間には、開口部33がプリンター本体2の右側に設けられている。図3に示されるように、開口部33は、プリンター本体2に対して着脱可能な右カバー34によって閉止されている。
【0029】
図4に示されるように、各支持壁31、32(図4では右後端隅の支持壁32のみを表示)の内面(右前端隅の支持壁31については後面、右後端隅の支持壁32については前面)には、左右方向に沿って本体側レール35がそれぞれ固定されている。本体側レール35の断面は、横向きコ字状を成している。本体側レール35の右端部の下方には、突起状の本体側係合部36が設けられている。本体側係合部36の更に下方には、左右方向に沿って段差部37が設けられている。
【0030】
支持壁31と支持壁32の間には、支持部材38が支持されている。支持部材38は、前後方向に延びる底板40と、底板40の前後両端部から上方に延びる両側板41と、を備えている。
【0031】
両側板41の上端部には、左右方向に沿って支持部材側レール42が固定されており、この支持部材側レール42が本体側レール35と係合することで、支持部材38がプリンター本体2に対して左右方向スライド可能となっている。
【0032】
両側板41の右端部には、ロック部材としてのロックレバー43が設けられている。ロックレバー43は、支持部材38のスライド方向(本実施形態では左右方向)に沿って設けられた第1腕部44と、定着ユニット23の支持部材38への取り付け方向(本実施形態では上下方向)に沿って設けられ、第1腕部44の先端部から上方に向かって延びる第2腕部45と、を備えている。
【0033】
第1腕部44の基端側には支点部46が設けられ、この支点部46を中心にロックレバー43が上下方向に回転するように構成されている。第1腕部44の上面の先端部には、凹部状の第1係合部47が形成され、支点部46と第1係合部47の間には、先端側(右側)に向かって僅かに上方に傾斜する傾斜部48が形成されている。第2腕部45の先端部には、突起状の第2係合部50が形成されている。
【0034】
両側板41の右端部には、ロックレバー43の下方にバネ支持部51が設けられている。バネ支持部51とロックレバー43の第1腕部44の間には、付勢部材としての第1コイルスプリング52が介装され、この第1コイルスプリング52によって、ロックレバー43が上方に付勢されている。両側板41の内面には、左下方に向かって傾斜する装着溝53が設けられている。
【0035】
図5に示されるように、定着ユニット23は、加熱ローラー24及び加圧ローラー25(図5では不図示)を回転可能に支持するユニット本体54を備えている。ユニット本体54の前後両端面には、左下方に向かって傾斜する装着部60が、支持部材38の装着溝53と対応する位置に突設されている。ユニット本体54の上面の前後両端部には、定着ユニット23を持ち上げるためのアーチ状の把手部55が設けられている。図6に示されるように、把手部55内には、下面が開口された収納空間56が形成されている。
【0036】
収納空間56には、操作部としての操作レバー61が、把手部55に沿って設けられている。操作レバー61の下部は、収納空間56から下方に露出している(図5参照)。操作レバー61の基端部(左上端部)には支点部62が設けられ、この支点部62を中心に、操作レバー61が上下方向に回転するように構成されている。操作レバー61の先端部(右下端部)には、断面円形を成す嵌合突起63が設けられている。操作レバー61は、把手部55との間に介装された第2コイルスプリング64によって下方に付勢されている。
【0037】
収納空間56の下方には、収納空間56と連通する空洞部57がユニット本体54内に形成されている。ユニット本体54の右側面には、断面視で横向きのコ字型を成す凹部状のユニット側係合部58が設けられ、このユニット側係合部58を介して、空洞部57が外部空間と連通している。
【0038】
空洞部57には、操作レバー61の下方に接続部材65が昇降可能に支持されている。接続部材65の上端には、横長の長円状を成す嵌合穴66が形成されており、この嵌合穴66に、操作レバー61の嵌合突起63が左右方向スライド可能に嵌合している。接続部材65の下端部には、右下方に向かって傾斜する一方当接面67が形成されている。接続部材65は、ユニット本体54との間に介装された第3コイルスプリング68によって下方に付勢されている。
【0039】
空洞部57には、接続部材65の下方に押圧部材70が設けられている。押圧部材70の下端には支点部71が設けられ、この支点部71を中心に、押圧部材70が左右方向に回転するように構成されている。押圧部材70の上端には、右方に向かって押圧突起72が設けられている。押圧突起72の上面には、右下方に向かって傾斜する他方当接面73が設けられ、この他方当接面73が、接続部材65の一方当接面67と当接している。押圧部材70は、ユニット本体54との間に介装された第4コイルスプリング74によって右方に付勢されている。
【0040】
上記の如く構成されたものにおいて、定着ユニット23の交換時に、定着ユニット23をプリンター本体2に対して着脱する方法について主に図7〜図13を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、持ち上げた定着ユニットを支持部材の上方に保持した状態を示す断面図である。図8は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置する途中の状態を示す断面図である。図9は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置した状態を示す断面図である。図10は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、定着ユニットを支持部材に載置した状態で把手部から手を離した状態を示す断面図である。図11は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、支持部材を引き出し位置から収納位置までスライドさせる途中の状態を示す断面図である。図12は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体への装着時に、支持部材を引き出し位置から収納位置までスライドさせた状態を示す断面図である。図13は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体からの取り外し時に、ロックレバーを手前側に倒した状態を示す断面図である。図14は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着ユニットのプリンター本体からの取り外し時に、ロックレバーから手を離した状態を示す断面図である。なお、図7〜図14においては、図面の簡略化のため、本体側レール35及び支持部材側レール42の記載が省略されている。
【0041】
定着ユニット23をプリンター本体2に装着するには、プリンター本体2の右カバー34が開放され、支持部材38がプリンター本体2から引き出された状態(図4参照)で、定着ユニット23の把手部55を把持して定着ユニット23を持ち上げ、図7に示されるように、定着ユニット23を支持部材38の上方に保持する。この時、上記した把手部55の把持に伴って操作レバー61が牽引され、第2コイルスプリング64の付勢力に抗して操作レバー61が上方に回転する。これに伴って、第3コイルスプリング68の付勢力に抗して接続部材65が上昇する。このように接続部材65が上昇すると、第4コイルスプリング74の付勢力により押圧部材70が右方に回転し、押圧突起72がユニット側係合部58内に進入する。
【0042】
次に、図7の矢印Xに示されるように、定着ユニット23を支持部材38に対して下降させていく。これに伴って、図8に示されるように、ユニット本体54の右下端部がロックレバー43の第2係合部50を右下方に押圧し、第1コイルスプリング52の付勢力に抗して、ロックレバー43が下方に回転する。
【0043】
次に、定着ユニット23を支持部材38に対して更に下降させ、定着ユニット23の装着部60(図5参照)を支持部材38の装着溝53(図4参照)と係合させながら、定着ユニット23を支持部材38に載置する。これに伴って、図9に示されるように、押圧部材70の押圧突起72とロックレバー43の第2係合部50が当接する。
【0044】
この状態で、定着ユニット23の把手部55から手を離すと、これに伴って操作レバー61の牽引が解除され、図10に示されるように、第2コイルスプリング64の付勢力により操作レバー61が下方に回転する。同時に、第3コイルスプリング68の付勢力により接続部材65が下降し、接続部材65の一方当接面67が押圧部材70の他方当接面73を下方に押圧する。これに伴って、第4コイルスプリング74の付勢力に抗して押圧部材70が左方に回転し、押圧突起72がユニット側係合部58から後退する。このように押圧突起72がユニット側係合部58から後退すると、第1コイルスプリング52の付勢力によりロックレバー43が上方に回転し、第2係合部50がユニット側係合部58に係合する。これにより、定着ユニット23が支持部材38に対して固定される。
【0045】
次に、図10の矢印Yに示されるように、プリンター本体2からの引き出し位置にある支持部材38を、プリンター本体2への収納位置側(本実施形態では左側)に押し込む。これに伴って、支持部材38及び定着ユニット23が左方に向かって一体にスライドしていく。支持部材38が所定の位置までスライドすると、図11に示されるように、プリンター本体2の本体側係合部36によってロックレバー43の傾斜部48が下方に押圧される。これに伴って、第1コイルスプリング52の付勢力に抗してロックレバー43が下方に回転する。
【0046】
そして、支持部材38が収納位置側へと更に押圧され、支持部材38がプリンター本体2への収納位置までスライドすると、図12に示されるように、本体側係合部36と傾斜部48の係合が解除され、第1コイルスプリング52の付勢力によりロックレバー43が上方に回転して、本体側係合部36と第1係合部47が係合する。これにより、支持部材38がプリンター本体2に固定され、定着ユニット23のプリンター本体2への装着が完了する。
【0047】
一方で、プリンター本体2に装着された定着ユニット23をプリンター本体2から取り外すには、右カバー34が開放された状態で、図13に示されるように、ロックレバー43を手前側に引いて倒す。これにより、第1コイルスプリング52の付勢力に抗してロックレバー43が下方に回転し、本体側係合部36と第1係合部47の係合が解除されて、支持部材38のプリンター本体2への固定が解除される(支持部材38がスライド可能となる)。この状態で、支持部材38を引き出し位置側へ引っ張ると、支持部材38と定着ユニット23が右方に向かって一体にスライドする。
【0048】
そして、一定の位置まで支持部材38を引き出したら、ロックレバー43から手を離す。これに伴って、図14に示されるように、第1コイルスプリング52の付勢力により、ロックレバー43が上方に回転し、第2係合部50とユニット側係合部58が再び係合する。そして、支持部材38を更に引き出し位置側へと引っ張り、図10に示されるように、支持部材38を引き出し位置までスライドさせる。
【0049】
この状態で、定着ユニット23の把手部55を把持すると、これに伴って操作レバー61が牽引され、図9に示されるように、第2コイルスプリング64の付勢力に抗して操作レバー61が上方に回転するとともに、第3コイルスプリング68の付勢力に抗して接続部材65が上昇する。このように接続部材65が上昇すると、第4コイルスプリング74の付勢力で押圧部材70が右方に回転する。これに伴って、押圧部材70の押圧突起72がユニット側係合部58に進入し、ロックレバー43の第2係合部50を押圧する。この押圧により、第1コイルスプリング52の付勢力に抗してロックレバー43が下方に回転し、ユニット側係合部58と第2係合部50の係合が解除される。これにより、定着ユニット23の支持部材38に対する固定が解除され、定着ユニット23の支持部材38からの持ち上げが可能となる。この状態で、図7に示されるように、定着ユニット23を支持部材38から持ち上げることで、定着ユニット23のプリンター本体2からの取り外しが完了する。
【0050】
本実施形態では前述の如く、定着ユニット23が支持部材38に固定された状態で支持部材38をスライドさせながら、プリンター本体2に対して定着ユニット23を着脱している。そのため、定着ユニット23をプリンター本体2に対して容易且つ安全に着脱することが可能となるとともに、定着ユニット23のプリンター本体2への装着位置がずれて定着ユニット23の装着が不完全になるのを防止することが可能となる。
【0051】
また、押圧部材70と接続される操作レバー61を把手部55に設けている。このような構成を採用することにより、定着ユニット23をプリンター本体2から取り外す際、把手部55を作業者が把持した場合にのみ、ユニット側係合部58と第2係合部50の係合が解除され、定着ユニット23を支持部材38から持ち上げることが可能となる。これに伴って、把手部55を把持することを作業者に促すことが可能となり、把手部55以外の部分を作業者が把持するのを抑制することが可能となる。そのため、把手部55以外の部分に付着したトナーにより作業者の衣服が汚される等の不具合を抑制することが可能となる。
【0052】
また、第1係合部47と第2係合部50を両方ともロックレバー43に形成しているため、第1係合部47と第2係合部50をそれぞれ別個の部品に形成する場合と比較して、部品点数及び製造コストの削減を図ることが可能となる。また、第1コイルスプリング52を用いてロックレバー43を付勢することで、ユニット側係合部58と第2係合部50の係合状態及び本体側係合部36と第1係合部47の係合状態を確実に保持することが可能となる。
【0053】
また、定着ユニット23は、通常、他のユニットよりも重量が重いため、プリンター本体2に対する着脱が難しく、装着が不完全になり易い。この点、本発明を用いて定着ユニット23のプリンター本体2への装着を行えば、前述の如く装着の容易化を図ることが可能となるため、定着ユニット23のような重量の重いユニットでも、容易にプリンター本体2に対して着脱することが可能となる。このように、本発明は、定着ユニット23に対して好適に用いられる。
【0054】
本実施形態では、定着ユニット23をユニットとする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、プリンター本体2に対して着脱される他のユニット(例えば、ドラムユニットや現像ユニット)をユニットとしても良い。
【0055】
本実施形態では、本体側係合部36を突起状とし、第1係合部47を凹部状としたが、他の異なる実施形態では、本体側係合部36を凹部状とし、第1係合部47を突起状としても良い。本実施形態では、ユニット側係合部58を凹部状とし、第2係合部50を突起状としたが、他の異なる実施形態では、ユニット側係合部58を突起状とし、第2係合部50を凹部状としても良い。
【0056】
本実施形態では、定着ユニット23のプリンター本体2への着脱方法の一例を示したが、定着ユニット23のプリンター本体2への着脱方法はこれには限定されない。例えば、本実施形態では、定着ユニット23のプリンター本体2への着脱に際して、支持部材38を押圧したり引っ張ったりすることで、支持部材38と定着ユニット23を一体的にスライドさせる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、定着ユニット23を押圧したり引っ張ったりすることで、支持部材38と定着ユニット23を一体的にスライドさせても良い。
【0057】
本実施形態では、操作部として操作レバー61を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば、押しボタン等を操作部として用いても良い。
【0058】
本実施形態では、加熱ローラー24の加熱手段としてIH定着ユニット27を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハロゲンヒーター等の他の加熱手段を用いて加熱ローラー24を加熱しても良い。また、本実施形態では、加熱ローラー24と加圧ローラー25を用いて定着ニップ26を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複数のローラー間に巻き掛けられるベルト状の部材を用いて定着ニップ26を形成しても良い。
【0059】
本実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 カラープリンター(画像形成装置)
2 プリンター本体(装置本体)
6 画像形成部
23 定着ユニット(ユニット)
36 本体側係合部
38 支持部材
43 ロックレバー(ロック部材)
44 第1腕部
45 第2腕部
47 第1係合部
50 第2係合部
52 第1コイルスプリング(付勢部材)
55 把手部
58 ユニット側係合部
61 操作レバー(操作部)
70 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を有する装置本体と、該装置本体に支持され、該装置本体への収納位置と該装置本体からの引き出し位置の間で水平方向にスライドする支持部材と、該支持部材に載置され、該支持部材のスライドに伴って前記装置本体に対して着脱されるユニットと、を備えた画像形成装置であって、
前記支持部材は、
前記装置本体に設けられた本体側係合部と係合可能な第1係合部と、
前記ユニットに設けられたユニット側係合部と係合可能な第2係合部と、を備え、
前記支持部材が前記引き出し位置にある状態で、前記ユニットを前記支持部材に載置すると、前記ユニット側係合部と前記第2係合部が係合して前記ユニットが前記支持部材に固定され、
前記支持部材を前記引き出し位置から前記収納位置までスライドさせると、前記本体側係合部と前記第1係合部が係合して前記支持部材が前記装置本体に固定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットは、
該ユニットを持ち上げるための把手部と、
該把手部に設けられる操作部と、
該操作部の操作に伴って前記第2係合部を押圧し、前記ユニット側係合部と前記第2係合部の係合を解除する押圧部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部材は、
該支持部材のスライド方向に沿って設けられ、前記第1係合部が形成される第1腕部と、該第1腕部の先端部に、前記ユニットの前記支持部材への取り付け方向に沿って設けられ、前記第2係合部が形成される第2腕部と、を有し、前記第1腕部の基端側を支点に回転可能なロック部材と、
前記ユニットを前記支持部材に載置した際に、前記ユニット側係合部と前記第2係合部を係合させるように前記ロック部材を付勢し、前記支持部材を前記引き出し位置から前記収納位置までスライドさせた際に、前記本体側係合部と前記第1係合部を係合させるように前記ロック部材を付勢する付勢部材と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユニットは、前記画像形成部において転写紙に転写されたトナー像を定着させる定着ユニットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−25214(P2013−25214A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161746(P2011−161746)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】