説明

画像形成装置

【課題】ベルトユニットの筺体に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
カラープリンタ1では、フロントカバー5を備える本体ケーシング2と、把持部75を備え、本体ケーシング2に引き出し可能に装着されるベルトユニット40とを備える。そして、ベルトユニット40に対して把持部75を、収容位置から把持位置を経て引出許容位置まで回動可能に設け、フロントカバー5の閉鎖位置から開放位置への移動に伴なって、把持部75が、収容位置から把持位置に移動するように構成する。そして、ユーザに、把持部75を把持させて、ベルトユニット40を本体ケーシング2から引き出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、装置本体と、装置本体内に設けられる複数の感光体ドラムと、各感光体ドラムと対向配置される転写ベルトユニットとを備える中間転写型画像形成装置が知られている。転写ベルトユニットは、前後方向に間隔を隔てて並列配置される駆動ローラおよび従動ローラと、駆動ローラおよび従動ローラに張架される中間転写ベルトとを備えている。
【0003】
このような中間転写型画像形成装置としては、例えば、転写ベルトユニットが、駆動ローラの左右両端部に設けられ、左右方向に突出する駆動ローラ軸受と、各駆動ローラ軸受の奥側に設けられる把持部とを備え、装置本体に着脱自在に装着される画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、そのような画像形成装置において、転写ベルトユニットのメンテナンス(例えば、交換)のために、転写ベルトユニットを装置本体から離脱させる場合、ユーザは、まず、各駆動ローラ軸受を把持して、各把持部が露出するまで転写ベルトユニットを手前側に引き出した後、各駆動ローラ軸受から各把持部に持ち替えて、転写ベルトユニットを装置本体から離脱させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−204250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に記載の画像形成装置において、ユーザが転写ベルトユニットを装置本体から離脱させるには、上記したように、まず、各駆動ローラ軸受が把持される。
【0007】
しかし、各駆動ローラ軸受は、本来、駆動ローラの左右両端部を支持するものであって、ユーザに把持させることを目的に設けられたものではない。そのため、ユーザが転写ベルトユニットを装置本体から引き出すときに、転写ベルトユニットのいずれの部分を操作(把持)すればよいのかが不明確となる場合がある。
【0008】
また、ユーザが、転写ベルトユニットを装置本体から離脱させるには、転写ベルトユニットの引き出し作業中に、把持する部分を各駆動ローラ軸受から各把持部に持ち替える必要がある。そのため、転写ベルトユニットの装置本体に対する離脱作業(引き出し作業)が煩雑となる。
【0009】
その結果、このような画像形成装置では、ベルトユニットのメンテナンス性が低下するという不具合がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ベルトユニットの筺体に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記した目的を達成するために、本発明は、開口部が形成される筐体と、前記筐体に収容される複数の感光体と、前記筐体に引き出し可能に装着され、前記筐体に装着された状態において、前記複数の感光体と接触する無端ベルト、前記無端ベルトを支持するフレーム、および、前記フレームに設けられる把持部を備えるベルトユニットと、前記筐体に設けられ、前記開口部を開放する開放位置と、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能な開閉部材と、を備えている。
【0012】
前記把持部は、前記開閉部材が前記閉鎖位置に位置する状態において、前記開閉部材に被覆され、前記筐体内に収容される収容位置と、前記開閉部材が前記開放位置に位置する状態において、前記開閉部材から露出され、把持が可能な把持位置と、前記開閉部材が前記開放位置に位置する状態において、前記ベルトユニットの前記筐体からの引き出しを許容する引出許容位置とに移動可能であり、前記開閉部材の前記閉鎖位置から前記開放位置への移動に伴なって、前記把持部が前記収容位置から前記把持位置に移動する。
【0013】
このような構成によれば、把持部が、開閉部材の閉鎖位置から開放位置への移動に伴なって、収容位置から把持位置に移動するので、ベルトユニットを筐体から引き出すときに、把持部を把持すればよいことが明確となる。
【0014】
そして、ユーザが、把持部を把持して把持位置から引出許容位置に移動させると、ベルトユニットの筐体からの引き出しが許容され、ベルトユニットの筐体からの離脱が可能となる。
【0015】
つまり、ユーザは、筐体からのベルトユニットの離脱作業(引き出し作業)において、その離脱作業当初から作業完了時まで、把持部を把持していればよく、把持部から他の部分に持ち替える必要がない。
【0016】
そのため、ベルトユニットの筺体に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる。
(2)また、前記把持部は、一端部を支点として、前記フレームに回動可能に設けられていてもよい。この場合、前記収容位置における前記把持部の他端部が、前記把持位置における前記把持部の他端部よりも、前記ベルトユニットの引出方向上流側に位置し、前記把持位置における前記把持部の他端部が、前記引出許容位置における前記把持部の他端部よりも、前記引出方向上流側に位置している。
【0017】
このような構成によれば、収容位置における把持部は、開閉部材に被覆され、筐体内に収容され、また、その他端部が、把持位置および引出許容位置における把持部の他端部よりも、ベルトユニットの引出方向上流側に位置する。そのため、ベルトユニットに把持部を設けることができながら、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0018】
また、把持位置における把持部の他端部は、収容位置における把持部の他端部よりも、ベルトユニットの引出方向下流側に位置する。そのため、ユーザは、引出方向下流側から把持位置における把持部を容易に把持できる。
【0019】
また、引出許容位置における把持部の他端部は、把持位置における把持部の他端部よりも、ベルトユニットの引出方向下流側に位置する。そのため、ユーザは、引出許容位置における把持部を、引出方向下流側に向けて引き出しやすい。その結果、ベルトユニットを筐体から円滑に引き出すことができる。
【0020】
つまり、把持部に対する引出方向下流側からのアクセスが容易となる。
【0021】
従って、画像形成装置の小型化を図ることができながら、把持部に対する引出方向下流側からのアクセスの容易化を図ることができる。
(3)また、前記ベルトユニットは、前記筐体内において、前記筐体に位置決めされている位置決め位置と、前記筐体内において、前記無端ベルトが前記複数の感光体から離間する離間位置と、前記筐体から引き出される引出位置とに移動可能であってもよい。この場合、前記把持部の前記把持位置から前記引出許容位置への移動に連動して、前記ベルトユニットが前記位置決め位置から前記離間位置に移動する。
【0022】
このような構成によれば、把持部の把持位置から引出許容位置への移動に連動して、ベルトユニットが位置決め位置から離間位置に移動するので、ベルトユニットが筐体から引き出されるときには、無端ベルトと複数の感光体とが離間している。そのため、ベルトユニットを筐体から引き出すときに、複数の感光体が無端ベルトと摺擦することを防止でき、複数の感光体が損傷することを防止できる。
(4)また、前記ベルトユニットは、前記筐体に装着された状態において、前記ベルトユニットの引出方向上流端部を支点として、前記位置決め位置と前記離間位置との間を回動可能であってもよい。
【0023】
このような構成によれば、簡易な構成でありながら、ベルトユニットを位置決め位置と離間位置との間を移動可能に構成することができる。
(5)また、前記ベルトユニットは、前記筐体に装着された状態において、前記位置決め位置と前記離間位置との間を、前記ベルトユニットの引出方向に対して、平行に移動可能であってもよい。
【0024】
このような構成によれば、ベルトユニットが離間位置にある状態において、無端ベルトと複数の感光体とを確実に離間できる。
(6)また、前記ベルトユニットは、前記把持部を前記収容位置から前記把持位置に向かって付勢する付勢部材を備えていてもよい。この場合、前記開閉部材は、前記閉鎖位置において、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記把持部を前記収容位置に保持している。
【0025】
このような構成によれば、開閉部材を閉鎖位置から開放位置へ移動させると、付勢部材の付勢力により、把持部が収容位置から把持位置に移動する。
【0026】
そのため、ユーザは、把持位置における把持部を容易に把持することができ、ベルトユニットの筺体に対する引き出し作業のさらなる円滑化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像形成装置では、ベルトユニットの筺体に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのカラープリンタを示す側断面図である。
【図2】(a)は、図1に示すベルトユニットを右上側から見た斜視図、(b)は、(a)に示すベルトユニット(被覆部材を取り外した状態)を右上側から見た斜視図である。
【図3】(a)は、図1に示すベルトユニットを右下側から見た斜視図、(b)は、(a)に示すベルトユニット(被覆部材を取り外した状態)を右下側から見た斜視図である。
【図4】図1に示すベルトユニットの把持部と連動ユニットとの連動動作を説明するための説明図であって、(a)は、把持部が収容位置にある状態、(b)は、把持部が把持位置にある状態、(c)は、把持部が引出許容位置にある状態を示す。
【図5】(a)は、本発明のカラープリンタの第2実施形態における、ベルトユニットを右上側から見た斜視図、(b)は、(a)に示すベルトユニット(被覆部材を取り外した状態)を右上側から見た斜視図である。
【図6】図5に示すベルトユニットの把持部の移動動作を説明するための説明図であって、(a)は、把持部が収容位置にある状態、(b)は、把持部が把持位置にある状態、(c)は、把持部が引出許容位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1.カラープリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、横置きタイプの中間転写型カラープリンタである。
【0030】
また、カラープリンタ1は、筐体の一例としての本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に収容される用紙Pを給紙するための給紙部3、および、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、側面視略矩形状のボックス形状に形成されており、その一方側壁には、開口部7が形成されている。また、本体ケーシング2の一方側壁には、開閉部材の一例としてのフロントカバー5が設けられている。
【0031】
フロントカバー5は、側面視略L字状に形成され、その下端部に設けられたヒンジ部8を支点として、開口部7を開放する開放位置(図1点線参照)と、開口部7を閉鎖する閉鎖位置とに揺動(移動)可能に設けられている。
【0032】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着され、用紙Pを積層状に収容する給紙トレイ6を備えている。
【0033】
給紙トレイ6内の用紙Pは、ピックアップローラ10の回転により、給紙ローラ11と給紙パッド12との間に送られ、給紙ローラ11の回転により1枚ずつ捌かれる。その後、捌かれた用紙Pは、給紙ローラ11の回転により、給紙ローラ11と各ピンチローラ13との間を順次通過するように、上側の両レジストローラ14間に向けて給紙され、レジストローラ14の回転により、所定のタイミングで、画像形成部4(中間転写ベルト43(後述)と二次転写ローラ37(後述)との間)に供給される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、給紙部3の上側に配置されており、プロセスユニット15、転写ユニット17および定着ユニット18を備えている。
(3−1)プロセスユニット
プロセスユニット15は、給紙トレイ6の上側において、本体ケーシング2内に装着されるプロセス装着位置と、本体ケーシング2から引き出されるプロセス引出位置とに、前後方向に沿って移動可能に設けられている。
【0034】
プロセスユニット15は、プロセスフレーム20と、プロセスフレーム20に着脱可能に保持されるプロセスカートリッジ19と、プロセスフレーム20に支持されるLEDユニット21とを備えている。
【0035】
プロセスフレーム20は、前後方向に長手の有底略矩形枠形状に形成されている。
【0036】
プロセスカートリッジ19は、各色に対応して4つ設けられ、プロセスフレーム20に保持された状態において、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0037】
また、各プロセスカートリッジ19は、感光体の一例としての感光ドラム22、スコロトロン型帯電器23および現像ユニット24を備えている。
【0038】
感光ドラム22は、左右方向に長手の円筒形状に形成されており、左右方向に沿って設けられている。
【0039】
スコロトロン型帯電器23は、対応する感光ドラム22の後下側に、感光ドラム22と間隔を隔てて対向配置され、対応する感光ドラム22の表面を帯電している。
【0040】
各現像ユニット24は、対応する感光ドラム22の前下側において、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されており、現像ローラ25を備えている。
【0041】
現像ローラ25は、現像ユニット24の上端において、上側(後上側)から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム22に対して下側から接触されている。
【0042】
なお、現像ユニット24は、現像ローラ25にトナーを供給する供給ローラ26、現像ローラ25に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード27を備えている。また、各現像ユニット24は、供給ローラ26の下側において、各色に対応するトナーを収容するトナー収容部39を備えている。
【0043】
LEDユニット21は、対応する現像ユニット24の後側において、対応する感光ドラム22に下方から対向するように設けられている。LEDユニット21は、所定の画像データに基づいて、対応する感光ドラム22の表面を露光する。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット17は、ベルトユニット40と二次転写ローラ37とを備えている。
【0044】
ベルトユニット40は、プロセスユニット15の上側において、本体ケーシング2に引き出し可能に装着され、本体ケーシング2に装着された状態において、各感光ドラム22に上側から対向するように、前後方向に沿って配置されている。
【0045】
ベルトユニット40は、駆動ローラ41、従動ローラ42、無端ベルトの一例としての中間転写ベルト43、および、4つの一次転写ローラ44を備えている。
【0046】
駆動ローラ41および従動ローラ42は、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0047】
中間転写ベルト43は、その下側部分が各感光ドラム22に接触されるように、駆動ローラ41および従動ローラ42の周りに掛け渡されている。また、中間転写ベルト43は、駆動ローラ41の駆動により、各感光ドラム22と接触する下側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0048】
各一次転写ローラ44は、各感光ドラム22と、それぞれ中間転写ベルト43の下側部分を挟んで対向するように、設けられている。
【0049】
二次転写ローラ37は、ベルトユニット40の駆動ローラ41と、中間転写ベルト43を挟んで対向するように、ベルトユニット40の後方に設けられている。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット18は、二次転写ローラ37の上側に配置され、加熱ローラ30、および、加熱ローラ30に対向する加圧ローラ31を備えている。
(3−5)画像形成動作
(3−5−1)現像動作
現像ユニット24内のトナーは、供給ローラ26に供給され、さらに、現像ローラ25に供給される。
【0050】
現像ローラ25に供給されたトナーは、現像ローラ25の回転に伴って、層厚規制ブレード27によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ25の表面に担持される。また、現像ローラ25に供給されたトナーは、層厚規制ブレード27と現像ローラ25との間で正極性に摩擦帯電される。
【0051】
一方、感光ドラム22の表面は、感光ドラム22の回転に伴って、スコロトロン型帯電器23により一様に正帯電された後、LEDユニット21により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム22の表面に形成される。
【0052】
感光ドラム22がさらに回転すると、現像ローラ25の表面に担持され、かつ、正電荷に帯電されているトナーが、感光ドラム22の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム22の静電潜像は可視像化され、感光ドラム22の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−5−2)転写・定着動作
感光ドラム22の表面に反転現像により担持されたトナー像は、前側から後側へ移動される中間転写ベルト43の下側部分に順次、一次転写される。これにより、中間転写ベルト43にカラー画像が形成される。
【0053】
中間転写ベルト43に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト43が二次転写ローラ37との対向位置を通過する間に、給紙部3から供給される用紙Pに、二次転写される。
【0054】
そして、用紙Pに転写されたカラー画像は、定着ユニット18において、用紙Pが加熱ローラ30と加圧ローラ31との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
定着ユニット18においてトナー像を定着された用紙Pは、各排紙ローラ32によって、本体ケーシング2の上面に形成される排紙トレイ33上に排紙される。
2.ベルトユニットの詳細
(2−1)ベルトフレーム
ベルトユニット40は、図2(b)に示すように、フレームの一例としてのベルトフレーム46を備えている。
【0055】
ベルトフレーム46は、左右1対の側壁47と、上壁48とを備えている。
【0056】
両側壁47は、前後方向に延びる側面視略矩形状に形成され、図3(b)に示すように、その前側部分に、回動軸挿通穴70および従動ローラ支持穴50が形成され、その後側部分に、駆動ローラ支持穴49が形成されている。
【0057】
回動軸挿通穴70は、両側壁47の前端部において、両側壁47を左右方向に貫通する側面視略円形状に形成されている。
【0058】
従動ローラ支持穴50は、回動軸挿通穴70の後下側において、両側壁47を左右方向に貫通する側面視略円形状に形成されている。
【0059】
駆動ローラ支持穴49は、従動ローラ支持穴50と前後方向に間隔を隔てて対向するように、両側壁47の後端部に形成され、両側壁47を左右方向に貫通する側面視略円形状に形成されている。
【0060】
また、両側壁47には、その左右方向外側面に、前側ばね固定部56および後側ばね固定部57が設けられ、その左右方向内側面に、4つの一次転写ローラ支持部68が設けられ、その下側面に、被位置決め部66が設けられている。
【0061】
前側ばね固定部56は、両側壁47の前端縁から左右方向外方に向かって突出する略平板形状に形成されている。また、前側ばね固定部56の後面における下側部分には、付勢部材の一例としての前側ばね部材61(図4参照)が固定されている。
【0062】
前側ばね部材61は、圧縮ばねからなり、前後方向に沿うように配置され、カム80(後述)を後方に向かって付勢するように設けられている。
【0063】
後側ばね固定部57は、駆動ローラ支持穴49の前側において、両側壁47の左右方向外側面から左右方向外方に向かって突出する略角柱状に形成され、前側ばね固定部56と前後方向に間隔を隔てて対向するように設けられている。
【0064】
後側ばね固定部57の左右方向長さは、前側ばね固定部56の左右方向長さと略同じ長さである。
【0065】
また、後側ばね固定部57の前面における上下方向中央部分には、後側ばね部材60が固定されている。
【0066】
後側ばね部材60は、圧縮ばねからなり、前後方向に沿うように配置され、直動カム58(後述)を前方に向かって付勢するように設けられている。
【0067】
4つの一次転写ローラ支持部68は、駆動ローラ支持穴49と従動ローラ支持穴50との間において、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0068】
一次転写ローラ支持部68は、両側壁47の左右方向内側面から左右方向内方に突出する底面視略矩形状に形成されている。
【0069】
被位置決め部66は、両側壁47の下側面における前端部および後端部にそれぞれ設けられ、その下側面から下方に突出する側面視略矩形状に形成されている。
【0070】
上壁48は、略平板形状に形成され、両側壁47の前側部分における上端部間に架設されている。
【0071】
上壁48には、その前側部分に把持部挿通溝67が形成されている。
【0072】
把持部挿通溝67は、把持部75(後述)の基端部76(後述)に対応して2つ形成され、上壁48の前端縁から後方に向かって窪む平面視略U字形状に形成されている。
【0073】
そして、ベルトフレーム46の両側壁47間において、駆動ローラ41と、従動ローラ42と、4つの一次転写ローラ44と、中間転写ベルト43とが支持されている。
【0074】
駆動ローラ41は、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、その左右両端部が、各駆動ローラ支持穴49に回転可能に支持されている。
【0075】
従動ローラ42は、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、その左右両端部が、各従動ローラ支持穴50に回転可能に支持されている。
【0076】
各一次転写ローラ44は、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、その左右両端部が対応する一次転写ローラ支持部68に支持されている。
【0077】
そして、駆動ローラ41および従動ローラ42の周りには、上記したように、中間転写ベルト43が掛け渡されている。つまり、中間転写ベルト43は、駆動ローラ41および従動ローラ42を介して、両側壁47に支持されている。
【0078】
また、ベルトフレーム46には、把持部材45と、連動ユニット72とが設けられている。
(2−2)把持部材
把持部材45は、図2(b)に示すように、左右方向に延びる回動軸78と、回動軸78に固定される把持部75およびカム80とを備えている。
【0079】
回動軸78は、その左右両端部が、各回動軸挿通穴70に回転可能に支持されることにより、両側壁47に対して回動可能に設けられている。また、回動軸78の左右両端部は、各回動軸挿通穴70から左右方向外側に突出している。
【0080】
把持部75は、基端部76側が開放され、基端部76に対して反対側端部(連結側端部77)が閉鎖される略U字形状に形成されている。
【0081】
把持部75は、各基端部76が、回動軸78の左右方向中央部分を跨ぐように、回動軸78に固定されている。
【0082】
把持部75は、回動軸78の軸線方向に投影したときに、回動軸78から径方向外方に延び、その後、回動軸78の周方向に沿うように屈曲されている。
【0083】
カム80は、両側壁47の前端部であって、前側ばね固定部56の後側において、両側壁47の外側面に配置されている。カム80は、上下方向に延びる略楕円板形状に形成され、その上下方向長さは、把持部75が収容位置(後述)にある状態において、規制部89(後述)と接触しない長さに形成されている(図4(a)参照)。カム80の厚みは、前側ばね固定部56および後側ばね固定部57の左右方向長さと略同じ長さに形成されている。
【0084】
また、カム80は、その左右方向内側面における上側部分が、回動軸78の左右両端面に固定されている。
【0085】
詳しくは、カム80は、カム80と把持部75とが、回動軸78の軸線方向に投影したときに、略L字状に配置されるように、回動軸78の左右両端面に固定されている(図4(a)参照)。
【0086】
そして、カム80は、その前面における下側部分が、前側ばね部材61により後方に向かって付勢されている。
【0087】
そのため、カム80は、常には、回動軸78を支点として、右面視反時計方向に僅かに回動され、下方に向かうに従って後方に傾斜するように配置されている。これに伴なって、把持部75は、常には、各基端部76が各把持部挿通溝67に入り込み、後方に向かうに従って上方に傾斜する把持位置(図4(b)参照)に位置される。
【0088】
なお、後述するが、把持部75は、図4(a)〜図4(c)に示すように、回動軸78を支点として、両側壁47に対して、前後方向に沿うように傾倒される収容位置(後述)から、把持位置(後述)を経て、上下方向に沿うように起立される引出許容位置(後述)まで、回動可能に設けられている。
(2−3)連動ユニット
連動ユニット72は、図2(b)に示すように、直動カム58と、離間部材59と、被覆部材84(図2(a)参照)とを備えている。
【0089】
直動カム58は、前後方向に長手の略平板形状に形成されており、その前端部における上下両方の角が面取りされている。直動カム58の厚みは、カム80および離間部材59の厚みと略同じ厚みに形成されている。
【0090】
また、直動カム58には、2つの切欠部63が形成されている。各切欠部63は、直動カム58の下端縁から上方に向かって窪む側面視略コ字状に形成されており、前後方向に間隔を隔てて配置されている。また、各切欠部63の前面は、後方に向かうに従って上方に向かうように傾斜している。
【0091】
そして、直動カム58は、カム80と後側ばね部材60との間に配置されている。
【0092】
詳しくは、直動カム58は、その前端部がカム80の後面における上側部分と接触し、その後端部が後側ばね部材60の前端部と接触するように配置されている。つまり、直動カム58は、後側ばね部材60により前方に向かって付勢されている。
【0093】
離間部材59は、上方に向かって開放される側面視略U字状に形成され、その各開放側端部(上端部)には、嵌合部64がそれぞれ一体形成されている。
【0094】
各嵌合部64は、側面視略台形状に形成され、詳しくは、嵌合部64の前面が、後方に向かうに従って上方に傾斜するように形成され、嵌合部64の後面が、後方に向かうに従って下方に傾斜するように形成されている。
【0095】
また、各嵌合部64は、左右方向に延びる略平板形状に形成されており、その左右方向外側部分が、離間部材59よりも左右方向外方に突出している。各嵌合部64の突出部分における下面には、ばね65が固定されている。ばね65は、圧縮ばねからなり、上下方向に沿うように配置されている。
【0096】
そして、離間部材59は、その各嵌合部64が、直動カム58の各切欠部63に対応するように、直動カム58の下側に配置されている。詳しくは、離間部材59は、常には、図4(b)に示すように、各嵌合部64の前面が、各切欠部63の前面と一致するように配置されている。
【0097】
被覆部材84は、図2(a)および図3(a)に示すように、本体部85と、上側鍔部52および下側鍔部53とを備えている。
【0098】
本体部85は、前後方向に長手の略平板形状に形成されており、その上下方向長さが、側壁47の上下方向長さと略同じ長さに形成されている。
【0099】
本体部85には、各嵌合部64と対応する部分に、嵌合穴51が形成されている。
【0100】
嵌合穴51は、側面視略矩形状に形成され、本体部85を左右方向に貫通するように形成されている。
【0101】
上側鍔部52および下側鍔部53は、本体部85の上端縁および下端縁から左右方向内方に突出する略平板形状に形成されており、その左右方向長さが、カム80、直動カム58および離間部材59の左右方向長さと略同じ長さに形成されている。
【0102】
下側鍔部53には、図3(a)に示すように、カム露出溝54と、離間部材挿通溝55とが形成されている。
【0103】
カム露出溝54は、下側鍔部53の前端部において、下側鍔部53の左右方向内側縁から左右方向外方に窪む底面視略コ字状に形成されている。
【0104】
離間部材挿通溝55は、カム露出溝54の後側において、下側鍔部53の左右方向内側縁から左右方向外方に窪む底面視略コ字状に形成されている。
【0105】
また、離間部材挿通溝55の前後方向長さは、離間部材59の前後方向長さよりも長く形成されている。
【0106】
そして、被覆部材84は、各嵌合部64およびばね65が、各嵌合穴51に挿通されるように、各側壁47の左右方向外側に装着されている。
【0107】
これにより、ばね65が嵌合部64の下面と嵌合穴51の上面との間に挟持され、ばね65の付勢力により、離間部材59が嵌合部64を介して上方に付勢されている。また、離間部材59の下端部は、離間部材挿通溝55から、両側壁47よりも下方に突出している。
【0108】
また、直動カム58および離間部材59は、各側壁47の左右方向外側面と、被覆部材84の本体部85の左右方向内側面との間に挟まれている。
3.本体ケーシングの詳細
本体ケーシング2には、図4(a)および図4(b)に示すように、ベルトユニット40が位置決め位置(後述)にある状態において、各被位置決め部66に対応する部分に、4つの位置決め面87が設けられ、離間部材59の下側面に対応する部分に、離間面88が設けられている。
【0109】
各位置決め面87は、前後方向に沿って延びる略平面状に形成されている。各位置決め面87のうち、前側の2つの位置決め面87には、規制部89が形成されている。
【0110】
規制部89は、ベルトユニット40が位置決め位置(後述)にある状態において、被位置決め部66の前面と対向するように、位置決め面87から上方に突出して形成されている。
【0111】
離間面88は、前後方向に沿って延びる略平面状に形成されている。
4.ベルトユニットの本体ケーシングに対する着脱
把持部75は、図4(a)に示すように、ベルトユニット40が本体ケーシング2内に装着され、かつ、フロントカバー5が閉鎖位置に位置する状態において、収容位置に位置される。
【0112】
収容位置において把持部75は、図1に示すように、フロントカバー5が上側から被覆されることにより、前後方向に沿うように傾倒され、本体ケーシング2内に収容されている。このとき、カム80は、その長手方向が上下方向に沿うように配置される。
【0113】
すなわち、前側ばね部材61は、カム80および回動軸78を介して、把持部75を収容位置から把持位置に向かって付勢しているが、フロントカバー5は、閉鎖位置において、前側ばね部材61の付勢力に抗して、把持部75を収容位置に保持している。
【0114】
また、被位置決め部66は、その下面が対応する位置決め面87に上側から接触しており、前側の被位置決め部66は、その前面が規制部89の後面と接触している。
【0115】
これにより、ベルトユニット40は、本体ケーシング2内において、本体ケーシング2に対する下方および前方への移動が規制され、本体ケーシング2に対して位置決めされている(位置決め位置)。
【0116】
また、離間部材59の下側面と、離間面88とは上下方向に対向接触されている。
【0117】
そして、本体ケーシング2に装着されたベルトユニット40を、本体ケーシング2から引き出す(着脱する)には、まず、フロントカバー5を閉鎖位置から開放位置(図1点線参照)へ移動させて、開口部7を開放する。これにより、把持部75は、フロントカバー5による被覆が解除され、フロントカバー5から露出される。
【0118】
そうすると、図4(b)に示すように、把持部75が、フロントカバー5の閉鎖位置から開放位置へ移動に伴なって、収容位置から把持位置に移動される。
【0119】
詳しくは、把持部75のフロントカバー5による被覆が解除されると、カム80の前面における下側部分が、前側ばね部材61により後方に向かって付勢されることにより、カム80が、回動軸78を支点として、右側面視反時計方向に回動される。
【0120】
これにより、把持部75が、収容位置から、右側面視反時計方向に回動され、上記した把持位置に位置される。把持位置における把持部75の連結側端部77は、収容位置における把持部75の連結側端部77よりも、前側に位置している。
【0121】
なお、把持部75が把持位置にある状態では、ベルトユニット40は位置決め位置に位置されており、また、被位置決め部66の前面は、規制部89の後面との接触している。
【0122】
次いで、ベルトユニット40を本体ケーシング2から引き出すには、図4(c)に示すように、ユーザが、把持位置における把持部75を把持して、把持部75を、回動軸78(図2(a)参照)を支点として、右側面視反時計方向(前側)に回動させ、引出許容位置に位置させる。
【0123】
引出許容位置における把持部75は、上下方向に沿うように起立されている。つまり、引出許容位置における把持部75の連結側端部77は、把持位置における把持部75の連結側端部77よりも、前側に位置している。
【0124】
また、把持部75が把持位置から引出許容位置に回動されると、それに伴ない、カム80が、回動軸78を支点として、さらに右側面視反時計方向に回動され、その長手方向が前後方向に沿うように配置される。
【0125】
そうすると、直動カム58は、その前端部が、カム80の後端部に押圧されて、後側ばね部材60の付勢力に抗して、後方に移動される。
【0126】
このとき、離間部材59の下端部が離間面88と接触しているので、直動カム58は、後方に移動されるとともに、各嵌合部64の前面の傾斜に沿って上方に移動された後、直動カム58における各切欠部63の前側部分が、各嵌合部64(離間部材59)に支持される。
【0127】
これにより、直動カム58を介して、ベルトユニット40が、位置決め位置から、上方に平行移動され、離間位置に位置される。
【0128】
ベルトユニット40が離間位置に位置されると、中間転写ベルト43も上方に平行移動されるので、中間転写ベルト43と各感光ドラム22とが離間される。
【0129】
また、各被位置決め部66が上方に移動されることにより、各被位置決め部66の前面と規制部89の後面との接触が解消され、ベルトユニット40の本体ケーシング2からの引き出しが許容される。
【0130】
すなわち、把持部75の把持位置から引出許容位置への移動に連動して、ベルトユニット40が、位置決め位置から離間位置に移動される。
【0131】
その後、ユーザが、把持部75を前方に引き出すと、ベルトユニット40は、離間位置から本体ケーシング2外に引き出される(引出位置)。
【0132】
そして、引出位置におけるベルトユニット40は、さらに把持部75を前方に引き出さすことにより、本体ケーシング2から離脱される。
【0133】
なお、ベルトユニット40を本体ケーシング2内に装着するには、上記した引き出し動作と逆の手順に操作する。
4.作用効果
(1)このカラープリンタ1によれば、図4(a)および図4(b)に示すように、ベルトユニット40の把持部75は、フロントカバー5の閉鎖位置から開放位置への移動に伴なって、収容位置から把持位置に移動される。
【0134】
そのため、ベルトユニット40を本体ケーシング2から引き出すときに、把持部75を把持すればよいことが明確となる。
【0135】
そして、ユーザが、把持部75を把持して把持位置から引出許容位置に移動させると、ベルトユニット40が上方に移動され、ベルトユニット40の被位置決め部66の前面と、本体ケーシング2の規制部89の後面との接触が解除される。
【0136】
これにより、ベルトユニット40の本体ケーシング2からの引き出しおよび離脱が許容される。
【0137】
つまり、ユーザは、本体ケーシング2からのベルトユニット40の離脱作業(引き出し作業)において、その離脱作業当初から作業完了時まで、把持部75を把持していればよく、把持部75から他の部分に持ち替える必要がない。
【0138】
そのため、ベルトユニット40の本体ケーシング2に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニット40のメンテナンス性の向上を図ることができる。
(2)また、把持部75は、回動軸78を支点として、両側壁47に回動可能に設けられている。そして、収容位置における把持部75の連結側端部77が、把持位置における把持部75の連結側端部77よりも、後方に位置し、把持位置における把持部75の連結側端部77が、引出許容位置における把持部75の連結側端部77よりも、後方に位置している。
【0139】
そのため、収容位置における把持部75は、フロントカバー5に被覆され、本体ケーシング2内に収容され、その連結側端部77が、把持位置および引出許容位置における把持部75の連結側端部77よりも、後方に位置する。その結果、ベルトユニット40に把持部75を設けることができながら、カラープリンタ1の小型化を図ることができる。
【0140】
また、把持位置における把持部75の連結側端部77は、収容位置における把持部75の連結側端部77よりも、前方に位置する。そのため、ユーザは、前側から把持位置における把持部75を容易に把持できる。
【0141】
また、引出許容位置における把持部75の連結側端部77は、把持位置における把持部75の連結側端部77よりも、前方に位置する。そのため、ユーザは、引出許容位置における把持部75を、前方に向けて引き出しやすい。その結果、ベルトユニット40を本体ケーシング2から円滑に引き出すことができる。
【0142】
つまり、把持部75に対する前側からのアクセスが容易となる。
【0143】
従って、カラープリンタ1の小型化を図ることができながら、把持部75に対する前側からのアクセスの容易化を図ることができる。
(3)また、ベルトユニット40は、本体ケーシング2内において、本体ケーシング2に位置決めされている位置決め位置と、本体ケーシング2内において、中間転写ベルト43が各感光ドラム22から離間する離間位置と、本体ケーシング2から引き出される引出位置とに移動可能である。
【0144】
そして、把持部75の把持位置から引出許容位置への移動に連動して、ベルトユニット40が位置決め位置から離間位置に移動する。
【0145】
そのため、ベルトユニット40が本体ケーシング2から引き出されるときには、中間転写ベルト43と各感光ドラム22とが離間している。その結果、ベルトユニット40を本体ケーシング2から引き出すときに、各感光ドラム22が中間転写ベルト43と摺擦することを防止でき、各感光ドラム22が損傷することを防止できる。
(4)また、ベルトユニット40は、本体ケーシング2に装着された状態において、位置決め位置と離間位置との間を、上方に向かって平行に移動可能である。
【0146】
そのため、ベルトユニット40が離間位置にある状態において、中間転写ベルト43と各感光ドラム22とを確実に離間できる。
(5)また、ベルトユニット40は、把持部材45と、前側ばね部材61とを備えている。
【0147】
把持部材45は、回動軸78と、回動軸78に固定される把持部75およびカム80を備えている。
【0148】
そして、前側ばね部材61は、カム80の前面の下側部分を後方に向かって付勢している。これにより、把持部75は、常には、把持位置に位置されている。また、フロントカバー5は、閉鎖位置において、把持部75を上側から被覆することにより、前側ばね部材61の付勢力に抗して、把持部75を収容位置に保持している。
【0149】
そのため、フロントカバー5を閉鎖位置から開放位置へ移動させると、前側ばね部材61の付勢力により、カム80が右側面視時計方向に回動され、その回動に伴なって、把持部75が収容位置から把持位置に移動する。
【0150】
その結果、ユーザは、把持位置における把持部75を容易に把持することができ、ベルトユニット40の本体ケーシング2に対する引き出し作業のさらなる円滑化を図ることができる。
5.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0151】
図5(a)は、本発明のカラープリンタの第2実施形態における、ベルトユニットを右上側から見た斜視図、図5(b)は、図5(a)に示すベルトユニット(被覆部材を取り外した状態)を右上側から見た斜視図である。
【0152】
図6は、図5に示すベルトユニットの把持部の移動動作を説明するための説明図であって、図6(a)は、把持部が収容位置にある状態、図6(b)は、把持部が把持位置にある状態、図6(c)は、把持部が引出許容位置にある状態を示す。
【0153】
図5および図6において、図1〜図4に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
(1)カム
本発明の第2実施形態では、把持部材45のカム80は、図6(c)に示すように、その長手方向長さが、把持部75が引出許容位置(後述)にある状態において、規制部89(後述)と接触する長さに形成されている。
【0154】
また、カム80は、図5(b)に示すように、カム80の長手方向と把持部75の基端部76から連結側端部77に向かう方向とが一致するように、回動軸78の左右両端面に固定されている。
【0155】
そして、カム80は、図6(b)に示すように、常には、その上面が、ばね部材91(後述)の下側部分により下方に向かって付勢されている。
【0156】
そのため、カム80は、図5(b)に示すように、常には、回動軸78を支点として、右面視反時計方向に僅かに回動され、前方に向かうに従って下方に傾斜するように配置されている。これに伴なって、把持部75は、各基端部76が各把持部挿通溝67に入り込み、後方に向かうに従って上方に傾斜する把持位置に位置している。
(2)被覆部材
被覆部材84には、図6(a)〜図6(c)に示すように、付勢部材の一例としてのばね部材91が設けられている。
【0157】
ばね部材91は、板ばねからなり、前方に向かって開放される側面視略V字状に形成されている。ばね部材91は、上側鍔部52の前端部における下面に設けられており、被覆部材84が両側板47の外側に装着された状態において、ばね部材91の下側部分が、常には、カム80の上面と接触するように、配置されている。
(3)ベルトユニットの本体ケーシングに対する着脱
ベルトユニット40は、第1実施形態において上記したように、本体ケーシング2に引き出し可能に装着されている。
【0158】
把持部75は、図6(a)に示すように、ベルトユニット40が本体ケーシング2内に装着され、フロントカバー5が閉鎖位置に位置する状態において、収容位置に位置される。
【0159】
収容位置において把持部75は、フロントカバー5が上側から被覆されることにより、前後方向に沿うように傾倒され、本体ケーシング2内に収容されている。このとき、カム80は、その長手方向が前後方向に沿うように配置される。
【0160】
すなわち、ばね部材91は、カム80および回動軸78を介して、把持部75を収容位置から把持位置に向かって付勢しているが、フロントカバー5は、閉鎖位置において、ばね部材91の付勢力に抗して、把持部75を収容位置に保持している。
【0161】
このとき、ベルトユニット40は、本体ケーシング2内において、本体ケーシング2に対する下方および前方への移動が規制される位置決め位置に位置されている。
【0162】
そして、本体ケーシング2に装着されたベルトユニット40を、本体ケーシング2から引き出す(着脱する)には、まず、フロントカバー5を閉鎖位置から開放位置(図1点線参照)へ移動させて、開口部7を開放する。
【0163】
そうすると、図6(b)に示すように、把持部75が、フロントカバー5の閉鎖位置から開放位置へ移動に伴なって、収容位置から把持位置に移動される。
【0164】
詳しくは、把持部75のフロントカバー5による被覆が解除されると、カム80の上面が、ばね部材91により下方に向かって付勢されることにより、カム80が、回動軸78を支点として、右側面視反時計方向に回動される。
【0165】
これにより、把持部75が、収容位置から、右側面視反時計方向に回動され、上記した把持位置に位置される。
【0166】
なお、把持部75が把持位置にある状態では、ベルトユニット40は位置決め位置に位置されている。
【0167】
次いで、ベルトユニット40を本体ケーシング2から引き出すには、図6(c)に示すように、ユーザが、把持位置における把持部75を把持して、把持部75を、回動軸78(図5(a)参照)を支点として、右側面視反時計方向(前側)に回動させ、引出許容位置に位置させる。
【0168】
引出許容位置における把持部75は、上下方向に沿うように起立されている。
【0169】
また、把持部75が把持位置から引出許容位置に回動されると、それに伴ない、カム80が、回動軸78を支点として、さらに右側面視反時計方向に回動され、その長手方向が上下方向に沿うように配置される。
【0170】
そうすると、カム80の下端部が、カム露出溝54を介して下方に突出し、規制部89の上面と接触することにより、ベルトユニット40の前端部が上方に位置するように、カム80に支持される。
【0171】
詳しくは、カム80がベルトユニット40の前側部分を支持することにより、ベルトユニット40が、後側の被位置決め部66を支点として、右側面視略反時計方向に回動される。
【0172】
これにより、ベルトユニット40は、前方に向かうに従って上方に傾斜するように配置され、位置決め位置から離間位置に位置される。
【0173】
ベルトユニット40が離間位置に位置されると、中間転写ベルト43も前方に向かうに従って上方に傾斜するように配置されるので、中間転写ベルト43と各感光ドラム22とが離間される。
【0174】
また、ベルトユニット40の前側部分が上方に移動されることにより、前側の被位置決め部66の前面と規制部89の後面との接触が解消され、ベルトユニット40の本体ケーシング2からの引き出しが許容される。
【0175】
その後、ユーザが、把持部75を前方に引き出すと、ベルトユニット40は、離間位置から本体ケーシング2外に引き出される(引出位置)。
【0176】
そして、引出位置におけるベルトユニット40は、さらに把持部75を前方に引き出さすことにより、本体ケーシング2から離脱される。
【0177】
なお、ベルトユニット40を本体ケーシング2内に装着するには、上記した引き出し動作と逆の手順に操作する。
(4)作用効果
上記した本発明の第1実施形態では、ベルトユニット40が、両側板47の外側に直動カム58および離間部材59(図4参照)を備えたが、本発明の第2実施形態では、ベルトユニット40は、直動カム58および離間部材59を備えていない。
【0178】
つまり、本発明の第2実施形態では、部品点数の低減を図ることができながら、後側の被位置決め部66を支点として、ベルトユニット40を位置決め位置と離間位置との間を回動可能である。
【0179】
そのため、製造コストの低減を図ることができながら、ベルトユニット40の本体ケーシング2に対する引き出し作業の円滑化を図ることができ、ベルトユニット40のメンテナンス性の向上を図ることができる。
(5)変形例
また、上記した第1実施形態および第2実施形態では、図4および図6に示すように、各位置決め面87および離間面88が本体ケーシング2に設けられたが、これに限定されず、各位置決め面87および離間面88は、プロセスフレーム20(図1参照)に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0180】
1 カラープリンタ
2 本体ケーシング
5 フロントカバー
7 開口部
22 感光ドラム
40 ベルトユニット
43 中間転写ベルト
46 ベルトフレーム
61 前側ばね部材
75 把持部
91 ばね部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成される筐体と、
前記筐体に収容される複数の感光体と、
前記筐体に引き出し可能に装着され、前記筐体に装着された状態において、前記複数の感光体と接触する無端ベルト、前記無端ベルトを支持するフレーム、および、前記フレームに設けられる把持部を備えるベルトユニットと、
前記筐体に設けられ、前記開口部を開放する開放位置と、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能な開閉部材と、を備え、
前記把持部は、
前記開閉部材が前記閉鎖位置に位置する状態において、前記開閉部材に被覆され、前記筐体内に収容される収容位置と、
前記開閉部材が前記開放位置に位置する状態において、前記開閉部材から露出され、把持が可能な把持位置と、
前記開閉部材が前記開放位置に位置する状態において、前記ベルトユニットの前記筐体からの引き出しを許容する引出許容位置とに移動可能であり、
前記開閉部材の前記閉鎖位置から前記開放位置への移動に伴なって、前記把持部が前記収容位置から前記把持位置に移動することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記把持部は、一端部を支点として、前記フレームに回動可能に設けられており、
前記収容位置における前記把持部の他端部が、前記把持位置における前記把持部の他端部よりも、前記ベルトユニットの引出方向上流側に位置し、前記把持位置における前記把持部の他端部が、前記引出許容位置における前記把持部の他端部よりも、前記引出方向上流側に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルトユニットは、
前記筐体内において、前記筐体に位置決めされている位置決め位置と、
前記筐体内において、前記無端ベルトが前記複数の感光体から離間する離間位置と、
前記筐体から引き出される引出位置とに移動可能であり、
前記把持部の前記把持位置から前記引出許容位置への移動に連動して、前記ベルトユニットが前記位置決め位置から前記離間位置に移動することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルトユニットは、前記筐体に装着された状態において、前記ベルトユニットの引出方向上流端部を支点として、前記位置決め位置と前記離間位置との間を回動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトユニットは、前記筐体に装着された状態において、前記位置決め位置と前記離間位置との間を、前記ベルトユニットの引出方向に対して、平行に移動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルトユニットは、前記把持部を前記収容位置から前記把持位置に向かって付勢する付勢部材を備え、
前記開閉部材は、前記閉鎖位置において、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記把持部を前記収容位置に保持していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73088(P2013−73088A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212986(P2011−212986)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】