説明

画像復号化装置、画像復号化方法および画像復号化プログラム

【課題】参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することを課題とする。
【解決手段】このシステムは、ストリームを送信する画像符号化装置と、ストリームを復号して復号データを生成する画像復号化装置とが、通信可能に接続されている。そして、画像復号化装置は、フレーム予測に対応したフレーム構造で参照画像を記憶するフレーム構造用メモリと、フィールド予測に対応したフィールド構造で参照画像を記憶するフィールド構造用メモリとを保持する。このような構成において、画像復号化装置は、ストリームを受け付けた場合に、当該ストリームを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像をメモリから読み出して、ストリームと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成された新たな復号データから、複数のメモリそれぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して、複数のメモリそれぞれに格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、符号化されたデータである符号化データを生成する画像符号化装置から符号化データを受け付けて、既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成する画像復号化装置、画像復号化方法および画像復号化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、MPEG-2(Moving Picture Experts Group phase2)、H.264/AVCなどの動画圧縮技術では、動画像の圧縮符号化において高い圧縮率を得るために、フレーム間予測を用いている。このフレーム予測とは、入力フレームと時間的に前後するフレームとは良く似ているという動画像の性質を利用して、前後のフレームから現在のフレームを予測した予測フレームを生成し、入力フレームと予測フレームとの差分を符号化する技術のことである。また、上記したように予測フレームを、フレーム単位ではなくフィールド単位で予測することをフィールド予測と呼ぶ。
【0003】
そして、このようなフレーム予測やフィールド予測では、さらに圧縮効率を高めるために動き補償と呼ばれる技術を用いる。フレーム予測を例にして説明すると、フレーム予測では、前後のフレームから現在のフレームを予測して予測フレームを作成するが、実際には前後のフレームと現在のフレームとは全く同じではなく、フレーム中の物体が動いていたりする。つまり、フレーム間に連続性があることとなる。このフレーム間の連続性を補うための技術が動き補償である。
【0004】
具体的に説明すると、データを符号化して送信する画像符号化装置(エンコーダ)は、フレームを構成する予測単位ごとに差分を算出して動きベクトルを算出する。そして、画像符号化装置は、このようにして算出された動きベクトルデータと、入力フレームと予測フレームとの差分である差分画像データとを符号化してストリーム(データ)を作成し、作成したストリームを画像復号化装置(デコーダ)に送信する。
【0005】
そして、画像復号化装置では、受け付けたストリームを解析して、動きベクトルデータに対応した画像(参照画像と呼ぶ)を予測単位毎にメモリから取得し、この参照画像に差分画像データを加算することで、データを復号する。また、画像復号化装置は、このように復号した復号データを、後に受け付けるストリームから新たに復号データを生成するために必要な参照画像として、メモリに格納する。
【0006】
このように、画像復号化装置が復号データを生成するためには、メモリに格納してある参照画像が重要であり、さらに、復号データの生成には、メモリから参照画像を読み出すアクセス時間が重要に関係している。つまり、アクセス時間が高速であれば、データを高速に復号することができ、アクセス時間が低速であれば、データを復号するのに時間がかかる。
【0007】
この関係性を具体的に例を挙げて説明するために、まず、参照画像を記憶するメモリについて説明する。一般的に、メモリに格納される参照画像は、図12に示したように順次走査に対応するように、第一フィールドと第二フィールドを交互に格納するフレーム構造と、図13に示したような飛び越し走査に対応するように、第一フィールドと第二フィールドとを別領域に格納するフィールド構造とのどちらかの構造で格納される。そして、このような参照画像を記憶するメモリは、通常、アクセス帯域を確保し易いDDR2−SDRAM(Double Data Rate 2−Synchronous Dynamic Random Access Memory)などのデータの高速転送が可能なメモリが利用される。
【0008】
このDDR2−SDRAMは、最小のアクセスが2クロック(4バースト)であり、データバスが32ビットの場合、16バイト単位のアクセスとなる。また、記憶される動画像の1画素は、輝度成分(Y)と色差成分(C)から構成される。つまり、輝度成分と色差成分とをそれぞれ8ビットとし、輝度成分を格納するものとして計算すると、DDR2−SDRAMは、16画素(16バイト)分のデータを単位として蓄積して記憶することとなる。この場合、メモリへのアクセス単位と画素の関係は、例えば、図14に示したように、4ピクセル×4ラインの16ピクセルとなる。なお、ここで例示したアクセス単位は、あくまでも例であり、必ずしも4ピクセル×4ラインである必要はなく、8ピクセル×2ラインであってもよい。
【0009】
次に、上記した輝度成分(1動きベクトルデータ)にのみ着目して、このようなDDR2−SDRAMを備える画像復号化装置が参照画像を読み出すアクセス時間について説明する。なお、以下では、例として、「◆」「●」を含む9ピクセル×9ラインの画像が参照画像として必要な場合について説明する。
【0010】
そこで、画像復号化装置は、このようなDDR2−SDRAMなどのメモリに、参照画像をフレーム構造で格納していた場合に、動き補償の予測形式がフレーム予測であるストリームを受け付けたとすると、例えば、図15に示すように、ストリームからデータを復号するために、実際に必要な画像情報「◆」「●」を含む4×4のアクセス単位を9個(計144画素)読み出す(リードする)必要がある。
【0011】
一方、画像復号化装置は、このようなDDR2−SDRAMなどのメモリに、参照画像をフィールド構造で格納していた場合に、動き補償の予測形式がフレーム予測であるストリームを受け付けたとすると、例えば、図16に示すように、画像復号化装置は、実際に必要な画像情報「◆」「●」を読み出すために、第一フィールドから4×4のアクセス単位を6個(計96画素)と、第二フィールドから4×4のアクセス単位を6個(計96画素)とを読み出す必要がある。
【0012】
また、参照画像をフレーム構造で格納していた場合に、動き補償の予測形式がフィールド予測であるストリームを受け付けたとすると、例えば、図17に示すように、画像復号化装置は、実際に必要な画像情報「◆」を含む4×4のアクセス単位を15個(計240画素)読み出す必要がある。
【0013】
一方、参照画像をフィールド構造で格納していた場合に、動き補償の予測形式がフィールド予測であるストリームを受け付けたとすると、例えば、図18に示すように、画像復号化装置は、実際に必要な画像情報「◆」を読み出すために、第一フィールドから4×4のアクセス単位を0個(計0画素)と、第二フィールドから4×4のアクセス単位を9個(計144画素)とを読み出す必要がある。
【0014】
上記で輝度成分に関して説明した1動きベクトルデータの結果を踏まえ、2動きベクトルデータ(参照画像が2つある場合)における参照に必要な画素数(読み出し画素数)を図19に示す。図19に示すように、メモリに格納されるデータ構造と、受け付けたストリームに使用された予測形式とが異なる場合、読み出す画素数が多くなり、アクセス時間が遅くなる。一方、メモリに格納されるデータ構造と、受け付けたストリームに使用された予測形式とが同じである場合、読み出す画素数が少なくなり、アクセス時間が短くなる。
【0015】
このように、データの復号には、メモリから参照画像を読み出すアクセス時間が重要に関係している。そこで、画像復号化装置において、メモリから参照画像を効率的に読み出すことで、アクセス時間を短縮する様々な技術が開示されている。
【0016】
例えば、特許文献1(特開平8−275181号公報)では、参照画像を分割して複数のメモリに格納した場合でも、メモリをアクセスための時間が増大するのを防止し、読み出し位置によらず一定のアクセス時間で参照画像を参照することができる技術が開示されている。具体的には、参照画像が分割して複数のメモリに格納される場合に、分割点近傍の画像データを、メモリの分割点前後の画像データが格納される2つの領域に二重に書き込む。このようにすることで、分割された参照画像を読み出す場合に、読み出すアドレスを変更することなく、1つのメモリから参照画像を読み出すことができる。
【0017】
【特許文献1】特開平8−275181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記した従来の技術(特許文献1)では、参照画像が分割されて格納された場合に、読み出し効率の悪化を防ぐための技術であり、読み出し効率を改善することはできず、アクセス時間を短縮することができないという課題があった。また、上記では、画像圧縮技術としてフィールド予測とフレーム予測とを別々に用いた場合について説明したが、フィールド予測とフレーム予測とが混在した画像圧縮技術においても同様の課題がある。
【0019】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することが可能である画像復号化装置、画像復号化方法および画像復号化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成する画像復号化装置であって、前記符号化データに用いられうる予測形式のそれぞれに合致した構造で前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成手段と、前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記復号データ生成手段は、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式が、フレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別し、フレーム予測であった場合に、前記参照画像記憶手段からフレーム構造の参照画像を読み出して、前記符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、フィールド予測であった場合に、前記参照画像記憶手段からフィールド構造の参照画像を読み出して、前記符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、前記参照画像格納手段は、前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、フレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納することを特徴とする。
【0022】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記参照画像記憶手段は、一つの記憶部で構成されるものであって、前記参照画像格納手段は、前記予測形式に対応した参照画像をそれぞれ生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段に領域を分けてそれぞれ格納することを特徴とすることを特徴とする。
【0023】
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記参照画像記憶手段は、前記予測形式ごとに参照画像をそれぞれ記憶する複数の記憶部で構成されるものであって、前記参照画像格納手段は、前記予測形式ごとにそれぞれ参照画像を生成して、生成した参照画像を、それぞれの予測形式で参照画像を記憶する参照画像記憶手段にそれぞれ格納することを特徴とする。
【0024】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記参照画像格納手段は、前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、前記複数の参照画像記憶手段それぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して格納する際に、前記参照画像を輝度成分と色差成分とに領域を分けて格納することを特徴とする。
【0025】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記復号データ生成手段は、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式に対応する参照画像を前記複数の参照画像記憶手段から読み出す際に、前記複数の参照画像記憶手段の格納形式に対して、垂直方向に二ライン以上をアクセス単位とすることを特徴とする。
【0026】
また、請求項7に係る発明は、符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成することに適した復号化方法であって、前記符号化データに用いられる予測形式ごとに前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成工程と、前記復号データ生成工程により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納工程と、を含んだことを特徴とする。
【0027】
また、請求項8に係る発明は、符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成することをコンピュータに実行させる復号化プログラムであって、前記符号化データに用いられる予測形式ごとに前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成手順と、前記復号データ生成手順により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1、7、8の発明によれば、符号化データに用いられうる予測形式のそれぞれに合致した構造で参照画像を記憶し、符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を読み出して、符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成された新たな復号データから、予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像をそれぞれ格納するので、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することが可能である。
【0029】
例えば、フレーム予測やフィールド予測などに用いられる様々な予測形式に応じて、あらかじめメモリなどに参照画像を格納しておくことで、どのような予測形式を用いて符号化された符号化データを受け付けた場合でも、読み出す参照画像の状態に関わらず、最もアクセス時間が短く参照画像を読み出すことが可能である。
【0030】
また、参照画像を複数の形式でメモリに書き込むことになる結果、メモリへの書き込みアクセス時間とメモリから参照画像を読み出す読み出しアクセス時間とを考慮した場合、トータルでアクセス時間が短縮されないという懸念がある。ところが、一般的に、メモリへの書き込み量(書き込み回数)に比べて、読み出し量(読み出し回数)の方が圧倒的に多いため、書き込みと読み出しとの両方を考えてもアクセス時間を短縮することが可能である。
【0031】
具体的に例を挙げると、符号化技術(圧縮技術)としてMPEG-2を用いた場合、1マクロブロックあたりで計算すると、メモリに書き込む画素数が16×16の256画素数であるのに対して、メモリから読み出す画素数が17×17×2の578画素数となる。また、符号化技術(圧縮技術)としてH.264/AVCを用いた場合、予測単位を8×8として計算すると、メモリに書き込む画素数が8×8の64画素数であるのに対して、メモリから読み出す画素数が13×13×2の338画素数となる。このように、メモリへ書き込み回数を2倍にしたとしても、メモリからデータを読み出す画素数の方が多いため、書き込みと読み出しとの両方を考えてもアクセス時間を短縮することが可能である。
【0032】
この読み出す画素数の計算を説明する。MPEG-2の場合、動きベクトルが0.5単位であり、その場合、小数点以下の値の補間計算には上下左右の1画素ずつの値を必要とするため、復号してメモリに書き込む画素数が16×16であるとすると、それに対応して読み出す画素数は最大で17×17となる。そして、さらに動きベクトルの数は、最大2つなので、全体として読み出しが必要となるのは、最大で17×17×2=578画素数となる。同様に、H.264/AVCの場合には、動きベクトルが0.25単位であり、その場合小数点以下の値の補間計算には上下左右の3画素ずつの値を必要とするため、復号してメモリに書き込む画素数が8×8であるとすると、それに対応して読み出す画素数は、最大で13×13となる。そして、さらに動きベクトルの数は最大2つなので、全体として読み出しが必要となるのは、最大で13×13×2=338画素数となる。
【0033】
また、請求項2の発明によれば、符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式が、フレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別し、フレーム予測であった場合に、フレーム構造の参照画像を読み出して、符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、フィールド予測であった場合に、フィールド構造の参照画像を読み出して、符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成された新たな復号データから、フレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とをそれぞれ格納するので、参照画像を読み出すのに際して、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。
【0034】
例えば、符号化技術(圧縮技術)として一般的に用いられるフレーム予測とフィールド予測とをあらかじめメモリに格納させておくことで、MPEG-2やH.264/AVCなどのように、よく用いられる圧縮技術を用いた符号化データを受け付けた場合に、参照画像を読み出すのに際して、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。
【0035】
また、請求項3の発明によれば、予測形式に対応した参照画像をそれぞれ生成して、当該生成した参照画像を領域を分けてそれぞれ格納するので、1つの記憶部で構成される場合に、記憶部の領域の浪費を防止することが可能である。
【0036】
例えば、予測形式ごとに参照画像を生成しても容量が少ない場合、複数のメモリに格納すると、空き容量が多くなり容量が浪費される。このような場合に、1つのメモリに領域を分けて参照画像を格納することで、記憶部(メモリ)の領域の浪費を防止することが可能である。
【0037】
また、請求項4の発明によれば、予測形式ごとにそれぞれ参照画像を生成して、生成した参照画像を、それぞれの予測形式で参照画像をそれぞれ格納するので、参照画像の書き込み時間を短縮することが可能である。
【0038】
例えば、予測形式がフレーム予測とフィールド予測の2種類存在する場合に、それぞれの予測形式の参照画像を記憶する2つのメモリを用意したとすると、生成されたそれぞれの予測形式ごとの参照画像を、2つのメモリに同時に書き込みを開始することができる結果、1つのメモリに2種類の参照画像を書き込む場合に比べて、参照画像の書き込み時間をより短縮することが可能である。
【0039】
また、請求項5の発明によれば、生成された新たな復号データから、それぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して格納する際に、参照画像を輝度成分と色差成分とに領域を分けて格納するので、必要な成分のみを参照する場合に、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。
【0040】
例えば、復号状況を解析するなどデータを解析すること以外に、輝度成分や色差成分の参照が必要な場合に、輝度成分のみを参照したり、色差成分のみを参照したりするアクセス時間を短縮することが可能である。また、輝度成分と色差成分とで予測形式が違う場合にも対応が可能となる。
【0041】
また、請求項6の発明によれば、符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式に対応する参照画像を読み出す際に、複数の格納形式に対して、垂直方向に2ライン以上をアクセス単位とするので、参照画像を読み出す際のアクセス量を削減することが可能である。
【0042】
具体的に、参照画像を読み出す一般的な例として、図9〜図11を用いてアクセスの単位を16画素、読み出しが必要なサイズを9×9画素として説明する。図9は、垂直方向に4ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図であり、図10は、垂直方向に2ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図であり、図11は、垂直方向に1ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【0043】
図9に示すように、4ピクセル×4ラインの構成で参照画像が記憶される場合、9×9の読み出しに最大(4×4)×9=144画素の読み出しが必要である。また、図10に示すように、8ピクセル×2ラインの構成で参照画像が記憶される場合、9×9の読み出しに最大(8×2)×10=160画素の読み出しが必要である。そして、図11に示すように、16ピクセル×1ラインの構成で参照画像が記憶される場合、9×9の読み出しに最大(16×1)×18=288画素の読み出しが必要である。
【0044】
このように、垂直方向の単位を2ライン以上にすると(図9と図10参照)、垂直方向の単位を1ラインとした場合(図11参照)に比べて、合計のリード量を削減することができる結果、参照画像を読み出す際のアクセス量を削減することが可能である。なお、MPEG-2やH.264/AVCなどの一般的に多く利用される圧縮形式に対しても、同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像復号化装置、画像復号化方法および画像復号化プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、本実施例に係る画像復号化装置の概要および特徴、画像復号化装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0046】
[用語の説明]
まず最初に、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「画像復号化装置(特許請求の範囲に記載の「画像復号化装置」に対応する。)」とは、動画や静止画などのデータである画像データを符号化して符号化データを生成するエンコーダなどの画像符号化装置からインターネットなどのネットワークを介して、当該符号化データであるストリームを受け付け、それを解析して、画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて、画像データである符号化データを復号する装置のことであり、具体的に例を挙げると、デコーダなどがこれに該当する。なお、画像復号化装置は、必ずしもネットワーク経由で符号化データを受け付けする必要はなく、例えば、フレキシブルディスク(FD)、CD、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード、HDDやUSBメモリなどの物理媒体から受け付ける(入力される)ようにしてもよい。
【0047】
ここで、画像符号化装置から符号化データが送信されて、画像復号化装置において復号されるまでの処理の流れを具体的に説明する。画像符号化装置は、フレーム予測やフィールド予測などの予測形式と動画像の動きを表すベクトルデータである動き補償とを用いて、ストリームを生成して画像復号化装置に送信する。そして、画像復号化装置は、受け付けたストリームを解析して、予測形式やベクトルデータを含む解析したデータを生成する。続いて、画像復号化装置は、当該解析したデータから復号データを生成するために必要な参照画像をメモリなどの記憶部から取得し、取得した参照画像と解析したデータとを用いてデータを復号する。
【0048】
また、最近では、符号化して送信する動画像データの解像度を上げたりする画像サイズの拡大化が進んでいることより、画像復号化装置でのストリームからのデータ復号の高速化が必要となっている。つまり、上記した処理のうち、画像復号化装置が参照画像をメモリなどの記憶部から取得し、取得した参照画像と解析したデータとを用いて、データを復号して復号データを生成する処理の高速化が必要である。例えば、テレビ画像の場合、デジタル放送では、アナログ放送の画像サイズに比べて約6倍の解像度になっており、復号化も6倍の性能が必要である。
【0049】
また、本実施例で用いる「ストリーム」とは、画像符号化装置が、現在の画像から様々な予測形式で予測画像を生成し、また、前後の画像から物体がどの方向に、どのくらい動いているかを動きベクトルデータとして算出し、このようにして算出された動きベクトルデータと、入力画像と予測画像との差分からベクトルデータを差し引いた残りの差分画像データとを含む情報を符号化した符号化データのことである。
【0050】
[画像復号化装置の概要および特徴]
次に、図1と図2を用いて、実施例1に係る画像復号化装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る画像復号化装置を含むシステムの全体構成を示すシステム構成図であり、図2は、読み出される参照画像の領域の例を示す図である。
【0051】
図1に示すように、このシステムは、画像データを符号化してストリームを送信する画像符号化装置と、受け付けたストリームを復号して復号データ(元の画像データ)を生成する画像復号化装置とが、インターネットなどのネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。また、画像復号化装置は、復号した復号データを格納する復号データ用メモリを保持する。
【0052】
このような構成において、このシステムにおける画像復号化装置は、上記したように、符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から符号化データを受け付けて、既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成することを概要とするものであり、特に、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することが可能である点に主たる特徴がある。
【0053】
この主たる特徴を具体的に説明すると、画像復号化装置は、符号化データ(ストリーム)に用いられうる予測形式のそれぞれに合致した構造で参照画像を記憶する複数のメモリを保持する。具体的に例を挙げると、画像復号化装置は、符号化データに用いられるフレーム予測に対応したフレーム構造で参照画像を記憶するフレーム構造用メモリと、符号化データに用いられるフィールド予測に対応したフィールド構造で参照画像を記憶するフィールド構造用メモリとを保持する。
【0054】
このような状態において、画像符号化装置は、フレーム予測で作成されたストリームを画像復号化装置に送信し(図1の(1)参照)、画像復号化装置は、受け付けたストリームを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像をメモリから読み出して、ストリームと参照画像とから符号化される前の元の動画像データである新たな復号データを生成する(図1の(2)〜(4)参照)。
【0055】
具体的に例を挙げて説明すると、ストリームを受け付けた画像復号化装置は、当該ストリームを解析して得られる予測形式、動き補償や差分画像データなどの含むデータから、当該ストリームの作成に用いられた予測形式がフレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別する。そして、画像復号化装置は、受け付けたストリームに用いられた予測形式がフレーム予測であると判断すると、図2の(1)に示すように(実際に必要な画像情報「◆」「●」)、当該ストリームを復号して復号データを生成するのに必要な参照画像をフレーム構造用メモリから取得する。
【0056】
続いて、参照画像を取得した画像復号化装置は、当該ストリームから得られた動き補償や差分画像データなどを含むデータを、取得した参照画像に加算することで復号データを生成する。なお、ここで、受け付けたストリームにいずれの予測形式も用いられていない場合や参照画像を必要としないストリームを受け付けた場合など、画像復号化装置は、参照画像を取得することなく当該ストリームを復号して新たな復号データを生成し、生成した新たな復号データを復号データ用メモリに格納する。
【0057】
そして、画像復号化装置は、生成された新たな復号データから、複数のメモリそれぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して、当該参照画像を複数のメモリそれぞれに格納する(図1の(5)と(6)参照)。
【0058】
上記した例で具体的に説明すると、画像復号化装置は、生成された新たな復号データから、フレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したフレーム構造の参照画像をフレーム構造で参照画像を記憶するフレーム構造用メモリに格納し、生成したフィールド構造の参照画像をフィールド構造用のメモリに格納する。
【0059】
その後、画像符号化装置からストリームを受け付けた画像復号化装置は、上記で説明したように、当該ストリームを解析(復号)して得られる予測形式、動き補償や差分画像データなどの含むデータから、当該ストリームの作成に用いられた予測形式がフレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別する(図1の(7)と(8)参照)。
【0060】
そして、画像復号化装置は、受け付けたストリームに用いられた予測形式がフィールド予測であると判断すると、図2の(2)に示すように(実際に必要な画像情報「◆」「●」)、当該ストリームを復号して復号データを生成するのに必要な参照画像をフィールド構造用メモリから取得し(図1の(9)参照)、当該ストリームから得られた動き補償や差分画像データなどを含むデータを、取得した参照画像に加算することで復号データを生成する(図1の(10)参照)。
【0061】
続いて、画像復号化装置は、生成された新たな復号データから、フレーム構造で参照画像を記憶するフレーム構造用メモリに対してフレーム構造の参照画像を生成して格納し、フィールド構造で参照画像を記憶するフィールド構造用メモリに対してフィールド構造の参照画像を生成して格納する(図1の(11)と(12)参照)。
【0062】
このように、このシステムにおける画像復号化装置は、フレーム予測やフィールド予測などに用いられる様々な予測形式に応じて、あらかじめメモリなどに参照画像を格納しておくことで、どのような予測形式を用いて符号化されたストリームを受け付けた場合でも、読み出す参照画像の状態に関わらず、最もアクセス時間が短く参照画像を読み出すことができる結果、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することが可能である。
【0063】
[画像復号化装置の構成]
次に、図3を用いて、図1に示した画像復号化装置の構成を説明する。図3は、実施例1に係る画像復号化装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、この画像復号化装置10は、通信制御I/F部11と、記憶部12と、制御部20とから構成される。
【0064】
通信制御I/F部11は、画像復号化装置10に接続される画像符号化装置などとの間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する。具体的には、通信制御I/F部11は、予測形式による動き補償を用いて画像データを符号化したストリームを画像符号化装置から受け付け、後述する制御部20の復号データ生成部21に出力する。
【0065】
記憶部12は、制御部20による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、復号データ用メモリ13と、フレーム構造用メモリ14と、フィールド構造用メモリ15とを備える。
【0066】
復号データ用メモリ13は、後述する制御部20の復号データ生成部21により復号された復号データを記憶する。具体的には、復号データ用メモリ13は、制御部20の復号データ生成部21によって、画像符号化装置から送信されたストリームを復号して得られた元の動画像データである復号データを記憶する。
【0067】
フレーム構造用メモリ14は、フレーム構造で参照画像を記憶する。具体的に例を挙げれば、図4に示すように、フレーム構造用メモリ14は、順次走査に対応するように、各フレームにおける第一フィールドと第二フィールドを交互に格納する。なお、図4は、フレーム構造用メモリに格納される情報の例を示す図である。
【0068】
フィールド構造用メモリ15は、フィールド構造で参照画像を記憶する。具体的に例を挙げれば、図5に示すように、フィールド構造用メモリ15は、飛び越し走査に対応するように、各フレームにおける第一フィールドと第二フィールドとを別領域に格納する。なお、図5は、フィールド構造用メモリに格納される情報の例を示す図である。また、フレーム構造用メモリ14と、フィールド構造用メモリ15とは、それぞれ特許請求の範囲に記載の「複数の参照画像記憶手段」に対応する。
【0069】
制御部20は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、復号データ生成部21と、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23と、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24と、選択回路25と、参照画像格納部30と、データバッファ31と、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32と、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33と、選択回路34とを備え、これらによって種々の処理を実行する。
【0070】
復号データ生成部21は、通信制御I/F部11により受け付けられたストリームを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像をメモリから読み出して、ストリームと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成した復号データを復号データ用メモリ13に格納するとともに、当該復号データを後述する参照画像格納部30に出力する。
【0071】
具体的に説明すると、復号データ生成部21は、通信制御I/F部11により受け付けられたストリームを復号するのに参照画像を必要とするか否かを判別する。そして、復号データ生成部21は、いずれの予測形式も用いられておらず、参照画像を必要としないと判別すると、参照画像を取得することなく当該ストリームを復号して新たな復号データを生成し、生成した新たな復号データを復号データ用メモリ13に格納するとともに、当該復号データを後述する参照画像格納部30に出力する。
【0072】
一方、いずれかの予測形式が用いられており、参照画像が必要であると判別すると復号データ生成部21は、ストリームを解析して符号化に用いられた予測形式が、フレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別する。
【0073】
そして、フレーム予測と判断した場合に、復号データ生成部21は、複数のメモリのうちフレーム構造で参照画像を記憶するフレーム構造用メモリ14から、当該ストリームに対応した参照画像を読み出すために、後述する読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23に対して、読み出す参照画像のアドレスを算出するように指示する。そして、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23により作成されたアドレスが選択回路25により選択され、復号データ生成部21は、当該アドレスを用いて当該ストリームに対応した参照画像をフレーム構造用メモリ14から読み出す。このようにして参照画像を読み出した復号データ生成部21は、受け付けたストリームと読み出した参照画像とから新たな復号データを生成して、生成した復号データを復号データ用メモリ13に格納するとともに、当該復号データを後述する参照画像格納部30に出力する。
【0074】
一方、ストリームを解析して符号化に用いられた予測形式が、フィールド予測であると判断した場合に、復号データ生成部21は、複数のメモリのうちフィールド構造で参照画像を記憶するフィールド構造用メモリ15から、当該ストリームに対応した参照画像を読み出すために、後述する読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24に対して、読み出す参照画像のアドレスを算出するように指示する。そして、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24により作成されたアドレスが選択回路25により選択され、復号データ生成部21は、当該アドレスを用いて当該ストリームに対応した参照画像をフィールド構造用メモリ15から読み出す。このようにして参照画像を読み出した復号データ生成部21は、受け付けたストリームと読み出した参照画像とから新たな復号データを生成して、生成した復号データを復号データ用メモリ13に格納するとともに、当該復号データを後述する参照画像格納部30に出力する。
【0075】
読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23は、フレーム構造用メモリ14に記憶されている参照画像を読み出すためのアドレスを算出する。上記した例で具体的に説明すると、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23は、復号データ生成部21から読み出す参照画像のアドレスを算出するように指示されると、必要となる参照画像とアクセス単位とを考慮して、読み出し開始アドレスを算出し、算出したアドレスを後述する選択回路25に出力する。
【0076】
読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24は、フィールド構造用メモリ15に記憶されている参照画像を読み出すためのアドレスを算出する。上記した例で具体的に説明すると、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24は、復号データ生成部21から読み出す参照画像のアドレスを算出するように指示されると、必要となる参照画像とアクセス単位とを考慮して、読み出し開始アドレスを算出し、算出したアドレスを後述する選択回路25に出力する。
【0077】
選択回路25は、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23により作成されたアドレス、または読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24により作成されたアドレスから、記憶部12へ出力するアドレスを選択する。上記した例で具体的に説明すると、選択回路25は、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23からアドレスが入力されると、フレーム構造用メモリ14に当該アドレスを出力して、復号データ生成部21はフレーム構造の参照画像を読み出す。
【0078】
また、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24からアドレスが入力されると、選択回路25は、フィールド構造用メモリ15に当該アドレスを出力して、復号データ生成部21は、フィールド構造の参照画像を読み出す。なお、上記した復号データ生成部21と、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23と、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24と、選択回路25は、特許請求の範囲に記載の「復号データ生成手段」に対応する。
【0079】
参照画像格納部30は、復号データ生成部21により生成された新たな復号データから、複数のメモリそれぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して、当該参照画像を複数のメモリそれぞれに格納する。上記した例で具体的に説明すると、生成された新たな復号データが復号データ生成部21から入力された参照画像格納部30は、当該復号データからフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したそれぞれの参照画像を後述するデータバッファ31に格納するとともに、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32と書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33とに、書き込みを開始するアドレスを算出するように指示する。
【0080】
そして、選択回路34は、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32により作成されたアドレスがフレーム構造用メモリ14に、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33により作成されたアドレスがフィールド構造用メモリ15に出力されるように選択する。
【0081】
参照画像格納部30は、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32により作成されたアドレスを用いて、生成したフレーム構造の参照画像をデータバッファ31から読み出してフレーム構造用メモリ14に格納するとともに、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33により作成されたアドレスを用いて、生成したフィールド構造の参照画像をデータバッファ31から読み出してフィールド構造用メモリ15に格納する。
【0082】
データバッファ31は、参照画像格納部30により生成された参照画像を一時的に記憶する。上記した例で具体的に説明すると、データバッファ31は、生成されたフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像が参照画像格納部30から入力されると、次に参照画像格納部30によりフレーム構造用メモリ14とフィールド構造用メモリ15とに出力されるまでの間、入力された参照画像を一時的に記憶する。
【0083】
書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32は、フレーム構造用メモリ14に復号データを格納するためのアドレスを算出する。上記した例で具体的に説明すると、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32は、参照画像格納部30により生成されたフレーム構造の参照画像を格納するためのアドレスを計算するように指示されると、書き込み開始アドレスを算出し、算出したアドレスを後述する選択回路34に出力する。
【0084】
書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33は、フィールド構造用メモリ15に復号データを格納するためのアドレスを算出する。上記した例で具体的に説明すると、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33は、参照画像格納部30により生成されたフィールド構造の参照画像を格納するためのアドレスを計算するように指示されると、書き込み開始アドレスを算出し、算出したアドレスを後述する選択回路34に出力する。
【0085】
選択回路34は、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32により作成されたアドレスと書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33により作成されたアドレスから、記憶部12へ出力するアドレスを選択する。上記した例で具体的に説明すると、参照画像をフレーム構造用メモリ14に書き込む場合には、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32により作成されたアドレスを選択し、フレーム構造用メモリ14に出力する。
【0086】
また、参照画像をフィールド構造用メモリ15に書き込む場合には、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33により作成されたアドレスを選択し、フィールド構造用メモリ15に出力する。なお、上記した参照画像格納部30と、データバッファ31と、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32と、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33と、選択回路34は、特許請求の範囲に記載の「参照画像格納手段」に対応する。
【0087】
[画像復号化装置による復号化処理]
次に、図6と図7を用いて、画像復号化装置による処理を説明する。図6は、実施例1に係る画像復号化装置における復号化処理の流れを示すフローチャートであり、図7は、実施例1に係る画像復号化装置における参照画像格納処理の流れを示すフローチャートである。
【0088】
(復号化処理)
まず、図6を用いて、実施例1に係る画像復号化装置における復号化処理の流れを説明する。図6に示すように、画像符号化装置からストリームを受け付けると(ステップS601肯定)、画像復号化装置10の復号データ生成部21は、当該ストリームを解析して、復号するのに参照画像が必要であるか否かを判別する(ステップS602)。
【0089】
そして、当該ストリームを復号するのに参照画像が必要であると判別すると(ステップS602肯定)、画像復号化装置10の復号データ生成部21は、当該ストリームに用いられた予測形式がフレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別する(ステップS603)。
【0090】
続いて、当該ストリームに用いられた予測形式がフレーム予測であった場合(ステップS604肯定)、復号データ生成部21は、読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)23に参照画像を読み出すアドレスを算出するように指示し、算出されたアドレスを用いて、フレーム構造用メモリ14から当該ストリームに対応する参照画像を取得し(ステップS605)、復号データ生成部21は、受け付けたストリームと読み出した参照画像とから新たな復号データを生成する(ステップS607)。
【0091】
一方、当該ストリームに用いられた予測形式がフレーム予測でない場合(ステップS604否定)、復号データ生成部21は、読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)24に参照画像を読み出すアドレスを算出するように指示し、算出されたアドレスを用いて、フィールド構造用メモリ15から当該ストリームに対応する参照画像を取得し(ステップS606)、復号データ生成部21は、受け付けたストリームと読み出した参照画像とから新たな復号データを生成する(ステップS607)。
【0092】
ステップS602に戻り、当該ストリームを復号するのに参照画像が必要でない場合(ステップS602否定)、画像復号化装置10の復号データ生成部21は、参照画像を用いることなく当該ストリームを復号する(ステップS607)。
【0093】
(参照画像格納処理)
次に、図7を用いて、実施例1に係る画像復号化装置における参照画像格納処理の流れを説明する。図7に示すように、生成された新たな復号データを復号データ生成部21から受け付けると(ステップS701肯定)、参照画像格納部30は、当該復号データからフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、それぞれ生成した参照画像をデータバッファ31に格納する(ステップS702とステップS703)。
【0094】
すると、参照画像格納部30は、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32と書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33とに書き込み開始アドレスの算出を指示し、書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)32により算出されたアドレスを用いて、生成したフレーム構造の参照画像をフレーム構造用メモリ14に書き込み(ステップS704)、同様に、書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)33により算出されたアドレスを用いて、生成したフィールド構造の参照画像をフィールド構造用メモリ15に書き込む(ステップS705)。
【0095】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、ストリームに用いられうる予測形式のそれぞれに合致した構造で参照画像を記憶し、ストリームを受け付けた場合に、当該ストリームを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像をメモリから読み出して、ストリームと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成された新たな復号データから、複数のメモリそれぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して、当該参照画像を複数のメモリそれぞれに格納するので、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することが可能である。
【0096】
例えば、フレーム予測やフィールド予測などに用いられる様々な予測形式に応じて、あらかじめメモリなどに参照画像を格納しておくことで、どのような予測形式を用いて符号化された符号化データを受け付けた場合でも、読み出す参照画像の状態に関わらず、最もアクセス時間が短く参照画像を読み出すことが可能である。また、それぞれの参照画像を別々のメモリに書き込むことで、書き込みのオーバーヘッドを削除することが可能である。
【0097】
また、参照画像を複数のメモリに書き込むことになる結果、メモリへの書き込みアクセス時間とメモリから参照画像を読み出す読み出しアクセス時間とを考慮した場合、トータルでアクセス時間が短縮されないという懸念があるが、一般的に、メモリへの書き込み量(書き込み回数)に比べて、読み出し量(読み出し回数)の方が圧倒的に多いため、書き込みと読み出しとの両方を考えてもアクセス時間を短縮することが可能である。
【0098】
具体的に例を挙げると、符号化技術(圧縮技術)としてMPEG-2を用いた場合、1マクロブロックあたりで計算すると、メモリに書き込む画素数が16×16の256画素数であるのに対して、メモリから読み出す画素数が17×17×2の578画素数となる。また、符号化技術(圧縮技術)としてH.264/AVCを用いた場合、予測単位を8×8として計算すると、メモリに書き込む画素数が8×8の64画素数であるのに対して、メモリから読み出す画素数が13×13×2の338画素数となる。このように、メモリへ書き込み回数を2倍にしたとしても、メモリからデータを読み出す画素数の方が多いため、書き込みと読み出しとの両方を考えてもアクセス時間を短縮することが可能である。
【0099】
また、実施例1によれば、ストリームを受け付けた場合に、当該ストリームを解析して符号化に用いられた予測形式が、フレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別し、フレーム予測であった場合に、フレーム構造用メモリ14からフレーム構造の参照画像を読み出して、ストリームと参照画像とから新たな復号データを生成し、フィールド予測であった場合に、フィールド構造用メモリ15からフィールド構造の参照画像を読み出して、ストリームと参照画像とから新たな復号データを生成し、生成された新たな復号データから、フレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とをフレーム構造用メモリ14とフィールド構造用メモリ15とのそれぞれに格納するので、参照画像を読み出すのに際して、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。
【0100】
例えば、符号化技術(圧縮技術)として一般的に用いられるフレーム予測とフィールド予測とをあらかじめメモリに格納させておくことで、MPEG-2やH.264/AVCなどのように、よく用いられる圧縮技術を用いた符号化データを受け付けた場合に、参照画像を読み出すのに際して、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。また、それぞれの参照画像を別々のメモリに書き込むことで、書き込みのオーバーヘッドを削除することが可能である。
【0101】
また、実施例1によれば、図8に示すように、フレーム構造かまたはフィールド構造のメモリのどちらかしか備えていない場合、メモリと異なる形式のストリームを受け付けると、無駄に多くの画素数を読み出すこととなる。例えば、メモリの構造がフレーム構造であった場合に、フレーム予測で生成されたストリームを受け付けると、画像復号化装置は、288画素を読み出せばよいが、フレーム予測ではなくフィールド予測で生成されたストリームを受け付けたとすると、画像復号化装置は、480画素を読み出すこととなる。そこで、上記した実施例で説明したように、フレーム構造およびフィールド構造のメモリをそれぞれ備えている場合、画像復号化装置は、常に最小の画素数を選択して読み出すことが可能である。なお、図8は、読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【0102】
また、実施例1によれば、予測形式ごとにそれぞれ参照画像を生成して、生成した参照画像を、それぞれの予測形式で参照画像をそれぞれ格納するので、参照画像の書き込み時間を短縮することが可能である。
【0103】
例えば、予測形式がフレーム予測とフィールド予測の2種類存在する場合に、それぞれの予測形式の参照画像を記憶する2つのメモリを用意したとすると、生成されたそれぞれの予測形式ごとの参照画像を、2つのメモリに同時に書き込みを開始することができる結果、1つのメモリに2種類の参照画像を書き込む場合に比べて、参照画像の書き込み時間をより短縮することが可能である。
【0104】
また、実施例1によれば、参照画像の書き込みはマクロブロックで行われるため、書き込むべき画素数と実際に書き込む画素数が一致しているが、参照画像の読み出しは必ずしもマクロブロック単位ではないので、読み出すべき画素数と実際に読み出す画素数とは必ずしも一致しないため、あらかじめメモリなどに参照画像を格納しておくことで、どのような予測形式を用いて符号化された符号化データを受け付けた場合でも、読み出す画素数を最小限にすることができる結果、アクセス時間を短縮することが可能である。
【0105】
例えば、符号化技術がH.264/AVCの場合、4ピクセル×4ラインの画像(計16画素)を復号するために9ピクセル×9ラインの参照画像を読み出す必要がある。図9〜図16では、9ピクセル×9ラインの参照画像を読み出す場合について説明しているが、4ピクセル× 4ラインを単位として読み出しが行われるため、実際の画素数である81画素で読み出されるわけではなく、最大で240画素、最小で144画素が読み出されることとなる。そのため、参照画像として2度以上メモリに書き込みを行った場合でも、書き込み画素数は162画素以上となり、最小で読み出す画素数よりも多くなる。つまり、あらかじめメモリなどに参照画像を格納しておくことで、どのような予測形式を用いて符号化された符号化データを受け付けた場合でも、読み出す画素数を最小限にすることができる結果、アクセス時間を短縮することが可能である。
【実施例2】
【0106】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)格納領域、(2)アクセス単位、(3)メモリの数、(4)システム構成等、(5)プログラム、にそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0107】
(1)格納領域
例えば、実施例1では、生成された参照画像をフレーム構造用メモリとフィールド構造用メモリにそれぞれ格納する場合に、当該参照画像の輝度成分と色差成分とを同じ格納領域に格納する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、輝度成分と色差成分とに領域を分けて格納するようにしてもよい。このようにすることで、必要な成分のみを参照する場合に、さらにアクセス時間を短縮することが可能である。
【0108】
例えば、復号状況を解析するなどデータを解析すること以外に、輝度成分や色差成分の参照が必要な場合に、輝度成分のみを参照したり、色差成分のみを参照したりするアクセス時間を短縮することが可能である。また、輝度成分と色差成分とで予測形式が違う場合にも対応が可能となる。
【0109】
(2)アクセス単位
また、実施例1では、参照画像を読み出すアクセス単位を特に指定することなく読み出す場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フレーム構造用メモリおよびフィールド構造用メモリそれぞれの格納形式に対して、垂直方向に2ライン以上をアクセス単位とするようにしてもよい。このようにすることで、参照画像を読み出す際のアクセス量を削減することが可能である。
【0110】
(3)メモリの数
また、実施例1では、参照画像を記憶するメモリが2つある場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メモリの数に制限は設けていない。例えば、実施例1で説明したように、フレーム構造とフィールド構造の2種類の参照画像を格納する場合であっても、1つのメモリに格納するようにしてもよい。
【0111】
このようにすることで、メモリ領域の浪費を防止することが可能である。例えば、予測形式ごとに参照画像を生成しても容量が少ない場合、複数のメモリに格納すると、空き容量が多くなり容量が浪費される。このような場合に、1つのメモリに領域を分けて参照画像を格納することで、メモリ領域の浪費を防止することが可能である。
【0112】
(4)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部(例えば、ストリーム解析処理やアドレス算出処理など)または一部を手動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図2、図4、図5、図9〜図18など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0113】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、復号データ生成部と参照画像格納部を統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0114】
(5)プログラム
なお、本実施例で説明した通信制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上のように、本発明に係る画像復号化装置、画像復号化方法および画像復号化プログラムは、符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から符号化データを受け付けて、既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成するに有用であり、特に、参照画像を読み出すのに際して、アクセス時間を短縮することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例1に係る画像復号化装置を含むシステムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】読み出される参照画像の領域の例を示す図である。
【図3】実施例1に係る画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図4】フレーム構造用メモリに格納される情報の例を示す図である。
【図5】フィールド構造用メモリに格納される情報の例を示す図である。
【図6】実施例1に係る画像復号化装置における復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係る画像復号化装置における参照画像格納処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【図9】垂直方向に4ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【図10】垂直方向に2ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【図11】垂直方向に1ラインをアクセス単位とした場合に読み出しに必要な画素数の例を示す図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【図13】従来技術を説明するための図である。
【図14】従来技術を説明するための図である。
【図15】従来技術を説明するための図である。
【図16】従来技術を説明するための図である。
【図17】従来技術を説明するための図である。
【図18】従来技術を説明するための図である。
【図19】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0117】
10 画像復号化装置
11 通信制御I/F部
12 記憶部
13 復号データ用メモリ
14 フレーム構造用メモリ
15 フィールド構造用メモリ
20 制御部
21 復号データ生成部
22 アドレス生成部(復号データ用)
23 読み出しアドレス作成部(フレーム構造用)
24 読み出しアドレス作成部(フィールド構造用)
25 選択回路
30 参照画像格納部
31 データバッファ
32 書き込みアドレス作成部(フレーム構造用)
33 書き込みアドレス作成部(フィールド構造用)
34 選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、前記画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成する画像復号化装置であって、
前記符号化データに用いられうる予測形式のそれぞれに合致した構造で前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、
前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成手段と、
前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納手段と、
を備えたことを特徴とする画像復号化装置。
【請求項2】
前記復号データ生成手段は、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式が、フレーム予測であるかフィールド予測であるかを判別し、フレーム予測であった場合に、前記参照画像記憶手段からフレーム構造の参照画像を読み出して、前記符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、フィールド予測であった場合に、前記参照画像記憶手段からフィールド構造の参照画像を読み出して、前記符号化データと参照画像とから新たな復号データを生成し、
前記参照画像格納手段は、前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、フレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを生成し、生成したフレーム構造の参照画像とフィールド構造の参照画像とを前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納することを特徴とする請求項1に記載の画像復号化装置。
【請求項3】
前記参照画像記憶手段は、一つの記憶部で構成されるものであって、
前記参照画像格納手段は、前記予測形式に対応した参照画像をそれぞれ生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段に領域を分けてそれぞれ格納することを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像復号化装置。
【請求項4】
前記参照画像記憶手段は、前記予測形式ごとに参照画像をそれぞれ記憶する複数の記憶部で構成されるものであって、
前記参照画像格納手段は、前記予測形式ごとにそれぞれ参照画像を生成して、生成した参照画像を、それぞれの予測形式で参照画像を記憶する参照画像記憶手段にそれぞれ格納することを特徴とする請求項1または2に記載の画像復号化装置。
【請求項5】
前記参照画像格納手段は、前記復号データ生成手段により生成された新たな復号データから、前記複数の参照画像記憶手段それぞれの予測形式ごとに応じた参照画像を生成して格納する際に、前記参照画像を輝度成分と色差成分とに領域を分けて格納することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像復号化装置。
【請求項6】
前記復号データ生成手段は、前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式に対応する参照画像を前記複数の参照画像記憶手段から読み出す際に、前記複数の参照画像記憶手段の格納形式に対して、垂直方向に二ライン以上をアクセス単位とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像復号化装置。
【請求項7】
符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、前記画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成することに適した画像復号化方法であって、
前記符号化データに用いられる予測形式ごとに前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、
前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成工程と、
前記復号データ生成工程により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納工程と、
を含んだことを特徴とする画像復号化方法。
【請求項8】
符号化された画像データである符号化データを生成する画像符号化装置から前記符号化データを受け付けて、前記画像データに既に復号された復号データである参照画像と当該符号化データとを用いて新たな復号データを生成することをコンピュータに実行させる画像復号化プログラムであって、
前記符号化データに用いられる予測形式ごとに前記参照画像を記憶する参照画像記憶手段と、
前記符号化データを受け付けた場合に、当該符号化データを解析して符号化に用いられた予測形式を判別し、判別した予測形式で格納される参照画像を前記参照画像記憶手段から読み出して、前記符号化データと前記参照画像とから新たな復号データを生成する復号データ生成手順と、
前記復号データ生成手順により生成された新たな復号データから、前記予測形式それぞれに対応した参照画像を生成して、当該生成した参照画像を前記参照画像記憶手段にそれぞれ格納する参照画像格納手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像復号化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−294978(P2008−294978A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140914(P2007−140914)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(500489509)アイベックステクノロジー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】