説明

画像生成装置および方法、画像生成プログラム

【課題】1画面内に複数の3次元物体が存在する画像についても2次元画像データに基づいて3D表現を簡易的に行うことができるようにする。
【解決手段】2次元画像記憶部1に記憶されている1以上の2次元画像データの中から、仮想カメラの方向に合った2次元画像データを選択し、選択した2次元画像データに基づいて、3D空間内において仮想カメラから見える画像を生成する画像生成部3を備え、画像生成部3は、3D空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置する仮想モデル配置部11と、画像選択部2により選択された2次元画像データの画像平面を直方体の中に配置する画像配置部12とを備えることにより、直方体の中に配置される画像平面どうしの重なり具合が、直方体の3次元モデルの重なり具合に従うようにして、3次元物体が3D空間上で重なる部分も、2次元画像データによって適切に表現されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置および方法、画像生成プログラムに関し、特に、2次元画像データから3次元的な画像を生成する装置等に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータの平面的な表示画面上で物体を立体的に見せるための技術として、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間内の所与の視点から見える画像を生成する3次元モデリングの技術が用いられてきた。3次元モデリングには、物体を稜線だけで表すワイヤフレームモデル、物体を面の組み合わせで表すサーフェスモデル、面に加えて物体の中身の情報まで扱うソリッドモデルの3種類がある。このような3次元モデリングにより表された画像は、一般に「3D画像」などと呼ばれている。
【0003】
3D画像は、例えば仮想現実(Virtual Reality=VR)の技術に応用されている。このVR技術を用いた画像生成システムでは、キャラクタや乗り物などの表示物をモデル化した立体的な単一の3次元モデル(ポリゴンデータ)をオブジェクト空間内に配置し、ジオメトリ処理(3次元座標演算)を行って、仮想カメラから見える画像を自動生成する。したがって、1つの3次元モデルを用意しておけば、仮想カメラにより様々な方向からこの3次元モデルを見た場合にも、矛盾の無い画像を生成できるようになる。
【0004】
ところが、3D画像は情報量が非常に多く、これを表示するためには複雑で膨大な処理が必要になる。特に、1画面内において複数の3次元モデルを3D表示する場合には、各々の3次元モデル毎にポリゴンデータのジオメトリ処理が必要になって、演算の負荷が非常に重くなってしまうという問題がある。
【0005】
また、3次元モデルのポリゴンデータは2次元データと異なり、簡易に入力する装置がなく、データ取得が困難である。表示しようとする対象物のポリゴンデータは、既存のポリゴンデータを買うか、専門の業者または専門の技術を有する要員に作成を依頼する必要があり、手間とコストがかかるものであった。
【0006】
これに対して、単一の3次元モデルを異なる視点から見た複数の2次元画像データを用意しておき、仮想カメラの方向と3次元モデルの方向との相対角度に合った2次元画像データを選択し、選択した2次元画像データに基づきオブジェクト空間内において仮想カメラから見える画像を生成するようにした技術も存在する(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、ある視点から見た3次元モデルの画像を効率的に生成することができる。
【特許文献1】特開2001−84402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術は、1つの3次元物体についてある視点から見た画像を2次元画像データから生成する方法については言及しているものの、1画面内に複数の3次元物体が存在する場合の生成方法については言及していない。例えば、陳列棚の上に複数種類の商品を並べて載せた状態の画像を表示する場合など、複数の3次元物体を部分的に重ねて表示する場合には、上記特許文献1に記載の従来技術では対応できない。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、1画面内に複数の3次元物体が存在する画像についても2次元画像データに基づいて3D表現を簡易的に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、オブジェクト空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置し、仮想カメラの方向に合った2次元画像データを2次元画像記憶部の中から選択的に読み出す。そして、上述のように配置した1以上の仮想3次元モデルから成る直方体の中に設定した位置に、選択した2次元画像データの画像平面を配置することにより、オブジェクト空間内において仮想カメラから見える画像を生成する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、画像の3D表現を行うのに使用する3次元モデルは簡易的な直方体のポリゴンデータであり、形状が複雑ではないのでそれほど情報量は多くなく、演算の負荷は非常に軽くて済む。そして、この3次元モデルの直方体の中に2次元画像データの画像平面を配置するだけで3D表現が実現されるので、仮想カメラにより様々な方向から見た3次元モデルの画像を効率的に生成することができる。
【0011】
また、本発明によれば、1以上の直方体の中に配置される画像平面どうしの重なり具合は、直方体の3次元モデルの重なり具合に従う。つまり、ある2つの直方体が重なるときに、その中にある2次元画像平面も同じように重なり、どちらの2次元画像が手前にくるかが決まる。これにより、3次元物体をオブジェクト空間上で積んだり配置したりすると当然に重なる部分も、2次元画像データによって適切に表現されるようになる。
【0012】
したがって、1画面内に複数の3次元物体が存在する画像についても2次元画像データに基づいて3D表現を簡易的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による画像生成装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の画像生成装置は、その機能構成として、2次元画像記憶部1、画像選択部2および画像生成部3を備えている。また、画像生成部3は、仮想モデル配置部11、画像配置部12、3次元モデル処理部13および画像出力部14を備えている。
【0014】
図2は、本実施形態の画像生成装置で生成する画像(3D画像そのものではないが、あたかも3D画像のように見せた3D表現画像)の例を示す図である。この図2に示す3D表現画像は、陳列テーブルの上に複数種類の野菜(本発明の3次元物体に相当)を並べて載せた状態の棚割りを示す画像である。この図2に示す画像は3D画像のように見えるが、実際は陳列テーブルのみが3D画像(ポリゴンデータに基づく画像)であり、野菜の部分は2D画像である。すなわち、詳しくは以下に説明するが、3Dのオブジェクト空間上にできるだけ自然に2D画像を配置することで、簡易的な3D表現を行っているものである。
【0015】
図1において、2次元画像記憶部1は、単一の3次元物体を異なる視点から見た1以上の2次元画像データを記憶する。ここでは、オブジェクト空間上に表示したい3次元物体の対象物について1以上の2次元画像データを用意する。表示したい対象物が複数ある場合は、それぞれ毎に1以上の2次元画像データを用意する。1つの対象物に対して用意する2次元画像データの枚数は、対象物の形状により異なり、1枚〜40枚程度となる。図3は、40枚の2次元画像データを用意する場合の視点の例を示す図である。空欄部分は、その上下(又は左右)の間の視点から見た2次元画像データ、つまり斜めの位置の2次元画像データになる。なお、図3に示す表の右端列は左端列につながっている。
【0016】
例えば、対象物がパイナップルの場合は、図4に示すように正面、真上、斜め上の3枚の2次元画像データのみを利用している。その根拠は、パイナップルはその形状上、正面、側面、後部のいずれから見ても、特に形状に変化は無い。そのため、図3に示す表の横列はすべて同じ画像で良いと判断できる。つまり、正面・右側面・左側面・後部・これらの間の画像がすべて同じでも良いということである。そして、パイナップルが陳列テーブルに置かれる都合上、下部の画像は必要ない。そのため、斜め下・下部の行はすべて省略できる。
【0017】
1つの対象物について用意すべき2次元画像データの数が、最も少ない1枚で済む場合もある。それは、対象物がどこから見ても大きな違いが無いものの場合である。例えば、ボールのようなものであれば、正面から見た2次元画像データを1枚用意すれば良い。このように2次元画像データの枚数を大幅に減らせることも、本実施形態によるアルゴリズムのポイントの1つである。
【0018】
2次元画像記憶部1は、各対象物の2次元画像データと共に、その対象物の現実の大きさを表す情報も記憶する。大きさ情報は、対象物の高さ・幅・奥行きの3つの値から成る。この大きさ情報は、後述する直方体の仮想3次元モデル(ポリゴンデータ)を生成する際に利用される。
【0019】
画像選択部2は、図示しないマウス等の操作部をユーザが操作することによって入力される仮想カメラの方向(対象物を見る視点)を表す情報に基づいて、2次元画像記憶部1に記憶されている1以上の2次元画像データの中から、仮想カメラの方向に合った2次元画像データを選択して読み出す。図2のように3種類の野菜を表示する場合、画像選択部2は、当該3種類の野菜のそれぞれについて、仮想カメラの方向に合った2次元画像データを選択して読み出す。この選択方法の詳細は後述する。
【0020】
画像生成部3は、画像選択部2により選択された野菜の2次元画像データと、画像生成部3自身が生成する陳列テーブルの3次元画像データとに基づいて、オブジェクト空間内において仮想カメラから見える画像、すなわち、図1のように陳列テーブルの上に複数種類の野菜が載置された3D表現画像を生成する。ここで、陳列テーブルの3次元画像データは、3次元モデル処理部13が生成する。この3次元画像データは、通常の3D表示アルゴリズム(ジオメトリ処理等)を用いて生成されるため、360度どの方向から見た画像も生成することができる。
【0021】
仮想モデル配置部11は、オブジェクト空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置する。すなわち、2次元画像データを3Dのオブジェクト空間上に配置するには、2次元画像データにはない「奥行き」の概念を考慮することが必要になる。この概念を補完するために、2次元画像データをオブジェクト空間上に配置する前に、配置したい箇所に、直方体の仮想的な3次元モデル(ポリゴンデータ)を配置していく。1つの直方体の大きさは、2次元画像記憶部1に記憶されている対象物の大きさ情報を利用して決定する。
【0022】
図5は、複数の直方体(仮想3次元モデル)をオブジェクト空間上に配置した状態の例を示す図である。この仮想3次元モデルの配置処理も、通常の3D表示アルゴリズム(ジオメトリ処理等)を用いて行う。なお、配置した直方体は最終的には表示せず、計算上使用するだけである。
【0023】
画像配置部12は、仮想モデル配置部11により図5のように配置された1以上の仮想3次元モデルから成る直方体の中に、画像選択部2により選択された2次元画像データの画像平面を配置する。その際に画像配置部12は、直方体の中心点を画像平面の中心点が通るような位置に、画像選択部2により選択された2次元画像データの画像平面を配置する。また、画像配置部12は、仮想カメラの方向に対して画像平面が垂直となるように、直方体の中での配置角度を調整して2次元画像データの画像平面を配置する。
【0024】
画像出力部14は、3次元モデル処理部13により生成された陳列テーブルの3次元画像データと、画像配置部12により配置された野菜の2次元画像データとがオブジェクト空間上で合成された3D表現画像を出力する。
【0025】
図6は、直方体の内部に2次元画像データの画像平面を配置した状態の例を示す図である。図6において、21は3次元モデルの直方体、22は2次元画像データの画像平面を示す。点Pは直方体21の中心点であり、この点Pを必ず画像平面22が通るような位置に2次元画像データの画像平面22が配置される。本実施形態では、直方体21の中心点Pが画像平面22の中心となるように配置する。直方体21の中で画像平面22の角度を変える際も同様に、画像平面22の中心が直方体21の中心点Pを通るようにする。画像平面22の角度は、仮想カメラの方向に対して常に垂直となるようにする。つまり、常に画像平面22を正面から見ることになる。
【0026】
ここで、直方体21の中に配置する画像平面22の位置(座標)の算出方法を図7に基づいて説明する。図7に示すように、2次元画像データが作る画像平面22の幅、高さをそれぞれw,hとする。また、当該画像平面22の中心座標を(a,b,c)とする。この中心座標は、図6に示した直方体の中心点Pの座標と同じであり、通常の3D表示アルゴリズム等を用いて容易に求めることができる。
【0027】
また、基準となる方向と画像平面22との角度(仮想カメラの方向)は、以下の通りとする。
X−Y平面上の角度(Z軸を固定した際の回転角度):0°
Y−Z平面上の角度(X軸を固定した際の回転角度):0°
Z−X平面上の角度(Y軸を固定した際の回転角度):90°
【0028】
この場合、仮想カメラの方向が基準方向にあるときに2次元画像データが作る画像平面22の四隅の点A,B,C,Dの座標はそれぞれ、以下のようになる。
点A:(a−w/2,b+h/2,c)
点B:(a+w/2,b+h/2,c)
点C:(a−w/2,b−h/2,c)
点D:(a+w/2,b−h/2,c)
【0029】
以下、仮想カメラの方向が基準方向から変化したときに、移動後の仮想カメラの方向に対して垂直となるように配置角度が調整された画像平面の四隅の点A’,B’,C’,D’の座標を求める。移動後の仮想カメラの方向が以下のように表されるとき、一般的な3次元の回転行列の式から、次の(式1)のような回転行列が得られる。
X−Y平面上の角度:xy°
Y−Z平面上の角度:yz°
Z−X平面上の角度:zx°
【0030】
【数1】

【0031】
この(式1)に示す回転行列から、移動後の仮想カメラの方向に対して垂直な画像平面の四隅の点A’,B’,C’,D’の座標は、以下の(式2)により求めることができる。なお、(式2)において、(x,y,z)は点A,B,C,Dの座標、(x’,y’,z’)は点A’,B’,C’,D’の座標を示す。
【0032】
【数2】

【0033】
次に、上述した画像選択部2による2次元画像データの選択方法について詳しく説明する。画像選択部2は、3次元モデルの直方体を見る角度、すなわち仮想カメラの方向により、選択する2次元画像データを切り替える。仮想カメラの方向は、図8(a)に示すように、X−Y座標軸の角度θ1と、X−Z座標軸の角度θ2との2つの角度で表現する。
【0034】
図8(b)に示す表は、2つの角度θ1,θ2に応じて2次元画像データをどのように選択するかを示したものである。例えば、2つの角度θ1,θ2がそれぞれθ1=60°〜90°、θ2=330°〜30°の値をとる範囲内に仮想カメラがある場合、画像選択部2は、対象物を上部(真上)から見た2次元画像データを選択する。また、θ1=300°〜30°、θ2=330°〜30°の値をとる範囲内に仮想カメラがある場合、画像選択部2は、対象物を正面から見た2次元画像データを選択する。
【0035】
図8(b)の表に示す40枚すべての2次元画像データがある場合は問題ないが、足りない場合は「正面」側に1つ近い画像を使用する。つまり、左側面の2次元画像データが無い場合、その画像を表示することができないので、1つ右のセル(θ1=300°〜30°、θ2=300°〜330°)の2次元画像データを選択する。それも無い場合は、正面の2次元画像データを選択する。
【0036】
なお、正面、真上、斜め上の3枚の2次元画像データが用意されたパイナップルの場合、X−Z座標軸の角度θ2は、2次元画像データを選択する際に無関係のパラメータである。この場合、画像選択部2は、X−Y座標軸の角度θ1のみに基づいて、正面、真上、斜め上の何れかの2次元画像データを選択する。
【0037】
例えば、X−Y座標軸の角度θ1がθ1=60°〜90°の値をとる範囲内に仮想カメラがあるときは、画像選択部2は、対象物を真上から見た2次元画像データを選択する。画像配置部12は、選択された2次元画像データを、仮想モデル配置部11により配置された3次元モデルの直方体の中に配置する。
【0038】
この状態で、図示しない操作部をユーザが操作して仮想カメラの方向を下方に動かしていったとする。このとき、仮想カメラの方向の移動に伴って、陳列テーブルおよび直方体の3次元モデルがジオメトリ処理等により視点変換される。一方、X−Y座標軸の角度θ1がθ1=60°〜90°の範囲内にある間は、真上の2次元画像データが選択され続ける。その間、仮想カメラの方向の移動に伴い、移動した方向に対して2次元画像データの画像平面が常に垂直となるように、直方体の中で画像平面の配置角度が徐々に変化していく。これにより、仮想カメラの方向を動かしても、選択中である2次元画像データの画像平面が常に正面から見える状態となっている。そして、仮想カメラの移動によって角度θ1がθ1=30°〜60°の範囲に移ると、画像選択部2は、斜め上の2次元画像データを選択するように切り替える。
【0039】
次に、以上のように構成した本実施形態による画像生成装置の動作、すなわち本実施形態による画像生成方法を説明する。図9は、本実施形態による画像生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【0040】
図9において、まず3次元モデル処理部13は、陳列テーブルの3次元画像データを生成する(ステップS1)。次に、仮想モデル配置部11は、ステップS1で生成したオブジェクト空間内の陳列テーブルの上に並べるように、1以上の直方体の仮想3次元モデルを配置する(ステップS2)。ここでは、図2のような3D表現画像を生成するために、3種類の大きさの直方体を設定し、それぞれを複数ずつ陳列テーブルの適切な位置に並べて配置する。
【0041】
そして、画像配置部12は、仮想カメラの方向を表す情報に基づいて、仮想カメラの方向に合った野菜の2次元画像データを選択して2次元画像記憶部1から読み出す(ステップS3)。ここでは、3種類の直方体に配置するために必要な3種類の野菜の2次元画像データをそれぞれ選択する。また、画像配置部12は、ステップS2で配置した直方体の中に、仮想カメラの方向に応じて角度を調整した位置にて、ステップS3で選択した2次元画像データの画像平面を配置することにより、図2のような3D表現画像を生成する(ステップS4)。
【0042】
以上に説明した本実施形態による画像生成の手法は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、本実施形態の画像生成装置は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0043】
したがって、コンピュータが上記実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。
【0044】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、オブジェクト空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置し、仮想カメラの方向に合った2次元画像データを2次元画像記憶部1の中から選択的に読み出す。そして、上述のように配置した1以上の仮想3次元モデルから成る直方体の中に、選択した2次元画像データの画像平面を配置することにより、オブジェクト空間内において仮想カメラから見える3D表現画像を生成するようにしている。
【0045】
このように構成した本実施形態の画像生成装置では、画像の3D表現を行うのに使用する3次元モデルは簡易的な直方体のポリゴンデータであり、形状が複雑ではないのでそれほど情報量は多くなく、演算の負荷は非常に軽くて済む。そして、この3次元モデルの直方体の中に2次元画像データの画像平面を配置するだけで3D表現が実現されるので、仮想カメラにより様々な方向から見た3次元モデルの画像を効率的に生成することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、1以上の直方体の中に配置される画像平面どうしの重なり具合は、直方体の3次元モデルの重なり具合に従う。つまり、ある2つの直方体が重なるときに、その中にある2次元画像平面も同じように重なり、どちらの2次元画像が手前にくるかが決まる。これにより、3次元物体をオブジェクト空間上で積んだり配置したりすると当然に重なる部分も、2次元画像データによって適切に表現されるようになる。
【0047】
以上のことから、1画面内に複数の3次元物体が存在する画像についても2次元画像データに基づいて3D表現を簡易的に行うことができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、図2のように陳列テーブルの上に複数種類の商品を並べて配置する棚割りの画像を生成する例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0049】
また、上記実施形態では、陳列テーブルについてはポリゴンデータに基づき通常の3D画像を生成する例について説明したが、これも2次元画像データから2D画像を生成するようにしても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、1つの対象物について様々な視点から見た画像として用意する2次元画像データを最大で40枚としたが、これより多くても良い。用意する2次元画像データの数を多くすれば、いろんな角度から見た対象物をよりリアルに表現することができる。ただし、この場合は2次元画像記憶部1に記憶するデータ量が多くなるので、2次元画像データの数をあまり多くし過ぎるのは好ましくない。
【0051】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態による画像生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像生成装置で生成する3D表現画像の例を示す図である。
【図3】40枚の2次元画像データを用意する場合の視点の例を示す図である。
【図4】各視点の2次元画像データの例を示す図である。
【図5】複数の直方体(仮想3次元モデル)をオブジェクト空間上に配置した状態の例を示す図である。
【図6】直方体の内部に2次元画像データの画像平面を配置した状態の例を示す図である。
【図7】直方体の中に配置する画像平面の位置(座標)の算出方法を説明するための図である。
【図8】2次元画像データの選択方法を説明するための図である。
【図9】本実施形態による画像生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 2次元画像記憶部
2 画像選択部
3 画像生成部
11 仮想モデル配置部
12 画像配置部
13 3次元モデル処理部
14 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の3次元物体を異なる視点から見た1以上の2次元画像データを記憶する2次元画像記憶部と、
仮想カメラの方向を表す情報に基づいて、上記2次元画像記憶部に記憶されている1以上の2次元画像データの中から、上記仮想カメラの方向に合った2次元画像データを選択して読み出す画像選択部と、
上記画像選択部により選択された2次元画像データに基づいて、オブジェクト空間内において上記仮想カメラから見える画像を生成する画像生成部とを備え、
上記画像生成部は、上記オブジェクト空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置する仮想モデル配置部と、
上記仮想モデル配置部により配置された1以上の仮想3次元モデルから成る直方体の中に設定した位置に、上記画像選択部により選択された2次元画像データの画像平面を配置する画像配置部とを備えることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
上記画像配置部は、上記直方体の中心点を上記画像平面の中心点が通るような位置に、上記画像選択部により選択された2次元画像データの画像平面を配置することを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
上記画像配置部は、上記仮想カメラの方向に対して上記画像平面が垂直となるように、上記直方体の中での配置角度を調整して上記画像平面を配置することを特徴とする請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
オブジェクト空間内に直方体の仮想的な3次元モデルを配置する第1のステップと、
仮想カメラの方向を表す情報に基づいて、単一の3次元物体を異なる視点から見た1以上の2次元画像データを記憶した2次元画像記憶部の中から、上記仮想カメラの方向に合った2次元画像データを選択して読み出す第2のステップと、
上記第1のステップで配置された1以上の仮想3次元モデルから成る直方体の中に設定した位置に、上記第2のステップで選択された2次元画像データの画像平面を配置することにより、上記オブジェクト空間内において上記仮想カメラから見える画像を生成する第3のステップとを有することを特徴とする画像生成方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるための画像生成プログラム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像生成方法の処理手順をコンピュータに実行させるための画像生成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−117113(P2008−117113A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298763(P2006−298763)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(504183045)フレッシュリミックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】