説明

画像編集装置及び画像形成システム及び画像編集プログラム

【課題】 中綴じと差込み機能を備えた画像形成装置において、複数枚からなる記録用紙に差込用紙を挿入するときに、差込用紙が挿入された分だけ形成された画像の冊子での位置が記録用紙毎にずれてしまい見栄えが悪くなってしまうばかりか、画像が中綴じ部に隠れたり、小口を断裁する際に記録用紙上に形成された画像を切断してしまう問題があった。
【解決手段】 記録用紙に差込用紙を挿入し、記録用紙と差込用紙とからなる複数枚を重ねて折ることで冊子を形成し、その冊子の小口を断裁するにあたり、記録用紙上に適正な位置で画像を形成することができる画像形成システム及び画像編集装置及び画像編集プログラムの提供を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用紙上に形成される画像の位置を調整することができる画像編集装置及び画像形成システム及び画像編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少量印刷、オンデマンド印刷等の様々な要望に応えるため、電子写真方式等のデジタル印刷装置において、原稿画像が印刷された記録用紙に後処理を行うことができる画像形成装置が提供されている。特に、後処理の中でも、印刷後の記録用紙束の中央位置を綴じ、その綴じ位置を2つ折りに折り曲げて冊子を構成する中綴じ処理を行うことができる画像形成装置も開発されている。この中綴じ処理を行う場合、冊子を構成したときにページ順となるように原稿画像を面付けする技術が提供されている(例えば特許文献1参照。)。また、中綴じ処理を行い、その冊子の小口(中綴じ部と平行な記録用紙端部)を断裁するにあたり、原稿画像通りの画像位置で画像を形成してしまうと、記録用紙の厚みの影響から、記録用紙上に形成される画像の冊子での位置が記録用紙毎に異なってしまう。そこで、記録用紙の厚みを考慮して原稿画像の形成位置を調整することにより、中綴じして小口を断裁した際の冊子の見栄えを良くするという技術も提供されている(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
また、これとは別に差込用紙を挿入する差込み処理を行うことができる画像形成装置も提供されている(例えば特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平2−286363号公報
【特許文献2】特開平7−287428号公報
【特許文献3】特開2004−115237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2においても次に示すような問題が生じる。すなわち、中綴じと差込み機能を備えた画像形成装置において、複数枚からなる記録用紙に差込用紙を挿入(表紙として挿入することも含む)し、記録用紙と差込用紙とを中綴じして、その冊子の小口を断裁するにあたり、差込用紙を考慮して画像の形成位置を調整していないため、差込用紙が挿入された分だけ形成された画像の冊子での位置が記録用紙毎にずれてしまい見栄えが悪くなってしまうばかりか、画像が中綴じ部に隠れたり、小口を断裁する際に記録用紙上に形成された画像を切断してしまう問題があった。例えば、モノクロのデジタル画像形成装置で冊子を構成する場合において、モノクロの印刷物の中にカラーページを挿入する場合や、普通紙にのみ画像を形成することができる画像形成装置で冊子を構成する場合において、普通紙の印刷物の中に厚紙、エンボス加工紙や汎用コート紙等の紙種の用紙を挿入する場合には、別途、異なる出力装置でカラーページや厚紙、エンボス加工紙等に画像を形成した後に、前記カラーページや厚紙、エンボス加工紙等を画像形成装置に収納して冊子を構成する必要があるが、このような場合、上述した問題が生じていた。特に、電子写真方式またはインクジェット方式の画像形成装置では、画像形成に利用できる紙種の制限が多いためこのような課題が顕著に現れる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、記録用紙に差込用紙を挿入し、記録用紙と差込用紙とからなる複数枚を重ねて折ることで冊子を形成し、その冊子の小口を断裁するにあたり、記録用紙上に適正な位置で画像を形成することができる画像形成システム及び画像編集装置及び画像編集プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、複数ページからなる画像データを取得する画像取得手段と、記録用紙を折って冊子を構成するにあたり、前記画像取得手段から取得した画像データの各ページをページ順となるような順番で前記記録用紙に割り当てる面付け手段と、前記記録用紙に関連する情報を取得する記録紙情報取得手段と、
前記面付け手段と、前記記録用紙情報取得手段の情報に基づいて、前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像位置設定手段と、差込用紙に関連する情報を取得する差込用紙情報取得手段と、前記差込用紙に関連する情報に基づいて前記画像位置設定手段によって設定されたページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段と、を有することを特徴とする画像編集装置である。
【0007】
また、上記課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、複数ページからなる画像データを取得する画像取得手段と、記録用紙を給紙する記録用紙給紙手段と、
前記記録用紙に対して差込用紙を差し込むために差込用紙を給紙する差込用紙給紙手段と、前記記録用紙と前記差込用紙からなる複数枚を重ねて折ることで冊子を構成する折り手段と、前記折り手段によって構成された冊子の小口を断裁する断裁手段と、記録用紙に関連する情報を取得する記録用紙情報取得手段と、前記差込用紙に関連する情報を取得する差込用紙情報取得手段と、冊子を構成するにあたり、前記画像取得手段から取得した画像データの各ページをページ順となるような順番で前記記録用紙に割り当てる面付け手段と、前記ページ面付け手段と、前記記録用紙情報取得手段による情報に基づいて、前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像位置設定手段と、前記差込用紙情報取得手段による情報に基づいて、前記画像位置設定手段によって設定されたページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段と、前記画像位置再設定手段の設定結果に応じて前記記録用紙にページ画面を形成する画像形成手段と、を有することを特徴とする画像形成システムである。
【0008】
また、上記課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、記録用紙を折って冊子を構成するにあたり、画像データの各ページを順となるような順番で前記記録用紙に割り当て、記録用紙に関連する情報を取得した後、前記割り当て情報と前記記録用紙に関連する情報に基づいて前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像編集プログラムであって、コンピューターを、差込用紙に関連する情報を取得し、前記情報に基づいて前記ページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段として機能させることを特徴とする画像編集プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録用紙と差込用紙とからなる複数枚を重ねて折ることで冊子を形成し、その冊子の小口を本画像形成システム、もしくは、別途汎用の断裁機で断裁する場合に、適正な位置で記録用紙上に画像を形成することができる。これによって、記録用紙上に形成される画像が中綴じ部に隠れたり、形成される画像が断裁されることを防ぐことができ、冊子の見栄えを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明についての実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、本発明を実施するための最良の形態における説明では、本明細書に用いる用語や断定的な記載により発明の技術的範囲が限定されることはない。
【0011】
図1は、本発明の一例である画像形成システムをモデル的に示した概略図である。
【0012】
図示の画像形成システムにおいては、クライアント端末Aと画像編集装置Bと画像形成装置CとはLAN(ローカルエリアネットワーク)で接続されている。クライアント端末Aによって作成された原稿画像データは画像編集装置Bに転送され、画像編集装置Bによって編集される。編集された原稿画像データは画像形成装置Cに転送され、画像形成装置Cによって記録用紙上に原稿画像が出力された後、中綴じ、断裁することで冊子が構成される。
【0013】
本発明の実施の形態においては、画像編集装置Bは、画像編集装置Bを構成する各機器をプログラムに従って動作・制御するCPU120、CPU120を機能させるプログラムや後述する画像のずらし量を求める変換テーブル等が格納されているROM121、CPU120により生成される後述する面付けテーブル及びずらし量テーブル等が格納されるRAM122、クライアント端末Aから転送される原稿画像データを蓄積するハードディスク123、画像編集装置Bの動作状態を表示するモニタ124、中綴じや差込みの指示、記録用紙の厚み、差込用紙の種類・厚み・差込位置・差込枚数、印刷部数等を入力するマウス・キーボードからなる入力装置125を備えたコンピューターで構成されているが、その詳細については後述する。
【0014】
まず、図2、図3を用いて画像形成装置Cについて詳述する。
【0015】
画像形成装置Cは、画像読み取り部1、画像処理部2、画像形成部3(本発明における画像形成手段)、操作・表示部4,カセット給紙部5、記録用紙Sを収納した大容量給紙部(LCT)6、定着装置7、排紙部8、自動両面コピー給紙部(ADU)9、記録紙後処理装置(フィニッシャ)FSを備えている。また、画像形成装置Cの上部には、自動原稿送り装置ADFが搭載されている。
【0016】
自動原稿送り装置ADFの原稿台上に載置された原稿dは矢印方向に搬送され画像読み取り部(走査露光装置)1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読み取られ、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
【0017】
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像形成部3に信号を送る。
【0018】
画像形成部3においては、感光体ドラム10を帯電した後、半導体レーザからの出力光が感光体ドラム10を照射し、感光体ドラム10上に潜像を形成する。その後、現像器11により現像処理が行われ、大容量給紙部6から搬送された記録用紙Sに画像が転写される。画像を担持した記録用紙Sは、定着装置7により定着され、排紙部8から記録紙後処理装置FSに送り込まれる。或いは搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に送り込まれた片面画像処理済みの記録用紙Sは再び画像形成部4において、両面画像形成後、排紙部8から記録紙後処理装置FSに送り込まれる。
【0019】
記録紙後処理装置FSには、図示の上段から、差込用紙を収納した差込用紙給紙手段40、スタック手段30、ステープル手段50、折り手段60が、ほぼ垂直方向に縦列配置されている。また、折り手段60近傍には、中綴じされた冊子の小口を断裁する断裁手段90が配置されている。なお、本実施の形態では、記録紙後処理装置FSに断裁手段が備えられているが、冊子を排出後に、別途、汎用の断裁機を用いて冊子を断裁するようにしてもよい。
【0020】
記録紙後処理装置FSの図示右上方には入口搬送部70が配置されている。また、記録紙後処理装置FSの図示左側面には、記録紙を積載する可動排紙皿81と、中綴じ処理済みの記録紙を積載する固定排紙皿82とが配置されている。
【0021】
図3は、記録紙後処理装置FSの概略断面図である。図3に基づいて、記録紙後処理装置FSの動作について詳述する。
【0022】
記録紙後処理装置FSの受け入れ部71は、排紙部8と合致するよう位置と高さを調節して設置されている。
【0023】
排紙部8から排出された画像形成済みの記録用紙Sは、受け入れ部71に導入され、入口部ローラ対72により搬送された後、搬送ローラ対78に挟持されて、第1の切り替えゲートG1に到達する。ソレノイドSD1をオフ状態のまま維持することで、記録用紙Sは切り替えゲートG1の上方の通路21を通過して、搬送ローラ対22に挟持され、通路23を経て、搬送ローラ対(シフトローラ対)24に挟持され、通路25を経て、排出ローラ対26(上ローラ26A、下ローラ26B)により機外の可動排紙皿81上に排出、載置される。27は上ローラ26Aを下ローラに対して圧接、離間可能に揺動させる揺動手段である。
【0024】
この可動排紙皿81には最大約3000枚(A4,B5)の記録紙を収容することが可能である。
【0025】
第1の切り替えゲートG1のソレノイドSD1をオンの状態にすると、切り替えゲートG1は反時計方向に回転し、通路23を閉止して、通路33を開放状態にすることができる。この状態で記録用紙Sは下方の通路31を通過して、下流の搬送ローラ対32により挟持、搬送される。記録用紙Sは、更に下流の搬送ローラ対34(駆動ローラ34A,従動ローラ34B)により挟持されて送り出されて、傾斜配置された中間スタッカ35の上方空間に放出され、中間スタッカ35または中間スタッカ35上に積載された記録用紙Sの上面に接し、滑走上昇したのち、搬送ローラ対34から記録用紙Sの後端が排出されたのちには、記録用紙Sの自重により下降に転じ、中間スタッカ35の傾斜面上を滑落し、ステープル手段50近傍の可動ストッパ部材53が進退して通路52を遮断する。
【0026】
可動ストッパ部材53は、通路と平行に移動可能に構成されており、記録用紙Sのサイズ(搬送方向の長さ)に応じて所定位置に移動して停止する。
【0027】
36は中間スタッカ35の両側面に移動可能に設けた一対の幅整合部材である。幅整合部材36は記録紙搬送方向と直交する方向に移動可能であり、記録用紙Sが中間スタッカ35上に放出される記録紙受け入れ時には、記録紙幅より広く開放され、中間スタッカ35上を滑落して可動ストッパ部材53に当接して停止するときには、記録用紙Sの幅方向の側縁を軽打して記録紙束の幅揃え(幅整合)を行う。
【0028】
また、差込用紙給紙部40は、給紙トレイ41、可動底板42、押し上げレバー43とから成る差込用紙載置部と、ピックアップローラ44、フィードローラ45、捌きローラ46等から構成されている。
【0029】
この差込用紙給紙部40に装填された差込用紙を差込む場合は、予め指定された差込位置に挿入することができるタイミングで差込用紙の給紙を開始する(本発明における差込用紙給紙手段)。
【0030】
差込用紙給紙部40から給紙された差込用紙は、通路47を通過して、搬送ローラ対74の駆動ローラ74Aと従動ローラ74Bとのニップ位置を通過し、搬送ローラ対78に挟持される。ここで、第1の切り替えゲートG1のソレノイドSD1をオンの状態にすると、切り替えゲートG1は反時計方向に回転し、通路23を閉止して、通路33を開放状態し、差込用紙は搬送ローラ対32、通路33、搬送ローラ対34を経て、中間スタッカ35上に到達する。
【0031】
最終の記録用紙S又は差込用紙が中間スタッカ35上に位置決め載置されると、記録用紙Sと差込用紙の全頁から成る記録紙束にステープラ50による中綴じ処理を行う。この中綴じ処理により、記録紙束の搬送方向の中央部にステープル針が打ち込まれる。
【0032】
中綴じ処理後、可動ストッパ部材53が揺動して、通路52の下流の通路を開放する。中綴じ処理された記録紙束は、搬送ローラ対61に挟持され、斜め下方の搬送ベルト62上をガイド板63に案内されて搬送され、更に、ガイド板64上を滑落して、可動ストッパ部材65に記録紙束の先端部が当接して、所定位置に停止する。可動ストッパ部材65は記録紙サイズの設定又は検知と駆動手段により所定位置に移動可能である。
【0033】
停止状態の記録紙束の搬送方向の中央部、即ち中綴じ位置の斜め下方には、突き出しユニット66が設置されている。中綴じ位置の斜め上方には、折りローラ対部67と、二つ折り記録紙搬送手段68が設置されている。図示の斜め上方に直進して突出した突き出し板661の先端部は、記録紙束の中央部を押し上げ、記録紙束を介して折りローラ対部67のニップ部を押し広げて揺動、離間させる。
【0034】
突き出し板661の先端部が前記ニップ部を通過後、突き出し板661が後退して記録紙束の中央部は、折りローラ対部67により挟圧されて、折り目が形成される。この折り目は、前述の中綴じ処理による記録紙束へのステープル針の打ち込み位置とほぼ一致する。
【0035】
折り目を形成された記録紙束の中央部は、搬送ベルト67A,67Bに挟持されて搬送され、折り目が更にしっかりされ、二つ折り記録紙搬送手段68に送り込まれる。
【0036】
二つ折り記録紙搬送手段68は、記録紙束を挟圧して搬送する下搬送ベルト68Aと上搬送ベルト68Bとから構成され、二つ折り記録紙搬送手段68に送り込まれた記録紙束は、下搬送ベルト68Aと上搬送ベルト68Bとの間に挟持されて搬送される。その後、断裁手段90によって記録紙束の小口が断裁された後、搬送ローラ69に挟持されて機外の固定排紙皿82上に排出される。
【0037】
図4は、本発明の画像形成装置Cの制御を行う制御部の構成例を示す制御ブロック図である。メインCPU(中央処理装置)100には、画像読み取り部1、画像形成装置Cの筐体の上面等に設けられ、画像形成装置Cの動作状態を表示したり各動作の指示をするための操作・表示部4、画像処理部2、画像処理部2やLANからの原稿画像データを蓄積するハードディスク(図示せず)101、RAM105、ROM106、LANを経由して画像編集装置Bから送られてきた複数ページからなる原稿画像データを受信するネットワークインターフェース部102、各給紙部を駆動して記録用紙Sや差込用紙を給紙する給紙部駆動機構103、画像形成部3、定着部7、各搬送ローラや各ソレノイドを駆動する搬送部駆動機構104、スタック手段30、ステープル手段50、折り手段60が接続されている。
【0038】
次に、原稿画像データの面付け、編集処理について説明する。この例では、12ページからなるA4サイズ片面の原稿画像を、A3サイズの普通紙の両面に割り当てて中綴じすることとする。
【0039】
クライアント端末Aで作成された原稿画像データは、図5(a)に示すように順次1ページ目から転送され、画像編集装置Bのハードディスク123に格納される。入力装置125から中綴じ指示を受けると、ハードディスク123に格納された原稿画像データは、図5(b)に示すように、冊子を構成するにあたりページ順となるようにROM121に格納されたプログラムに基づいて並べ替えられ(本発明におけるページ面付け手段)、図6に示す面付けテーブルとしてRAM122に格納される。更に、オペレータによって入力装置125を介して入力された記録用紙Sの秤量(重さ)や種類や厚みから、予めROM121に格納されている図7に示すような変換テーブルに基づき各シートNoの画像のずらし量が計算され(本発明の画像形成位置設定手段)、この画像のずらし量は、図9に示すようなずらし量テーブルとしてRAM122に格納される。
【0040】
なお、上記画像のずらし量とは、予め基準となる画像の形成位置を設定しておき(図8(a)参照)、この基準となる画像の形成位置のずらし量を0としたときのずれ量Sを意味しており(図8(b)参照)、冊子の中心のページにいくに従って原稿画像の形成位置を徐々に用紙中心に近づくように内側にずらす、すなわち、冊子外側のページに対して冊子中心側のページに形成される画像の位置をシフトするためのものである。例えば、冊子を構成したときに一番外側となる用紙に折り目から20mmの位置に画像が形成されるように設定されている場合は、この20mmを基準として変換テーブルに基づいて画像の形成位置が算出される。また、冊子を構成したときに一番内側の1枚目は折り目から5mm、2枚目は折り目から5.1mmというように、折り目からの距離を用いて画像の形成位置を算出するようにしても良い。この画像の形成位置のシフトは、コピーのページ数が多いときや用紙が厚いときに、綴じ代付近の画像が隠れないようにするために、また、冊子として仕上がったときに形成される画像の形成位置を用紙毎に同じにして、見栄えをよくするために行われる。
【0041】
そして、画像形成装置Bでプリント指示が行われると、ずらし量テーブルに基づいて画像を形成するように画像形成装置Cに指示するとともに、面付けテーブルに従って原稿画像データを画像形成装置Cの制御部に順次送信する。画像形成装置Cに送信された原稿画像データは、ずらし量テーブルに基づいて画像の形成位置がシフトされ、上述した手順通りに記録用紙S上に形成される。そして、最終の記録用紙Sが中間スタッカ35に積載されると中綴じ処理が行われ、断裁手段90によって小口が断裁された後、機外の固定排紙皿82上に排出され、図10に示すような冊子が構成される。
【0042】
一方、入力装置125から中綴じ指示とともに差込用紙を挿入する差込指示を受けると、図9のずらし量テーブルは再設定される。例えば、図5(b)の冊子を構成したときの外側の位置、2枚目と3枚目の間の位置に、差込用紙給紙部40からの差込用紙Kと差込用紙Tをそれぞれ挿入した場合の一例を図11に示す。ここで、差込用紙の坪量(重さ)・種類・差込位置等の指示は、オペレータによって入力装置125を介して入力される。なお、差込用紙の差込位置の指定は、例えば図5(b)に示すように、冊子を形成するにあたりページ順に並べた原稿画像データの状態をモニタ124に表示し、オペレータが入力装置125のマウスやキーボードを用いて差込む位置を指定するようにすればよい。また、記録用紙S、差込用紙の坪量や種類については、公知の方法を用いて自動的に検出するようにしても良い。また、本実施の形態では、差込用紙給紙部40に差込用紙Kと差込用紙Tが交互に収納されているが、差込用紙給紙部を新たに別に設けて、差込用紙をそれぞれ別々に収納していても良い。
【0043】
差込用紙Kはアート紙、差込用紙Tは上質紙とすると、ずらし量テーブルは図12のように再設定される(本発明の画像位置再設定手段)。このずらし量テーブルもRAM122に記憶される。そして、再設定されたずらし量テーブルに基づいて画像を形成するように画像形成装置Cに指示するとともに、面付けテーブルに従って原稿画像データを画像形成装置Cの制御部に順次送信する。画像形成装置Cに送信された原稿画像データは、変更されたずらし量テーブルに基づいて画像の形成位置がシフトされ、上述した手順通りに記録用紙S上に形成される。そして、最終の記録用紙Sが積載されると中綴じ処理が行われ、断裁手段90によって小口が断裁された後、機外の固定排紙皿82上に排出され、図13に示すような冊子が形成される。
【0044】
この場合の処理順序としては、まず始めに、上述した手順によって差込用紙Kが給紙され、中間スタッカ35上に載置される。その後、大容量給紙部(LCT)6から2枚の記録用紙Sが給紙され、RAM122に格納された面付けテーブルと変更されたずらし量テーブルに基づいて、ページ画像L、A、B、K、J、C、D、Iが画像形成部3によって記録用紙S上に順次形成され、差込用紙Kの上に載置される。続いて差込用紙給紙部40から差込用紙Tが給紙され、中間スタッカ35上に載置される。最後に1枚の記録用紙Sが給紙されて、RAM122に格納された面付けテーブルと変更されたずらし量テーブルに基づいて、ページ画像H、E、F、Gが順次形成され、中間スタッカ35上に載置される。そして、上述した手順により、中間スタッカ35に載置した記録紙束は、ステープル50、折り手段60を通過して、断裁手段90によって小口が断裁された後、機外の固定排紙皿82上に排出される。
【0045】
なお、差込用紙の枚数、差込位置は上述したものに限られず、例えば、2枚目と3枚目の間に差込用紙を3枚挿入したり、各記録用紙の間の位置に、それぞれ1枚ずつ差込用紙を挿入しても良いことは当然である。
【0046】
次に、図14を用いて、本発明を実施するためのCPU120の制御フローの説明をする。まず、画像編集装置Bのハードディスク123に原稿画像データが格納された状態で、オペレータによって入力装置125を用いて中綴じ指示がなされると、図14の動作フローがスタートする(ステップ1、以下ステップをSという。)。CPU120は中綴じ指示を取得すると(本発明における折り指示取得手段)、冊子を構成するにあたりページ順となるようにハードディスク123に格納された原稿画像データを並び替え、並び替えた情報を面付けテーブルとしてRAM122に記憶する(S2)。オペレータから入力装置125を用いて記録用紙Sの厚みが入力されると、取得した記録用紙Sの厚み(本発明における記録用紙情報取得手段)に基づいて原稿画像の画像のずらし量を設定し、設定された画像のずらし量をずらし量テーブルとしてRAM122に記憶する(S3)。ここで、オペレータから入力装置125を用いて差込指示が行われると(S4でYES)、差込用紙の厚み及び冊子を構成するにあたりページ順となるように面付けされた原稿画像に対して差込用紙を挿入する差込位置の入力が行われる(S5)。CPU120は差込用紙の厚み及び差込位置を取得し(本発明における差込用紙情報取得手段)、取得した情報に基づいて画像のずらし量テーブルを再度設定しなおし、再設定されたずらし量テーブルをRAM122に記憶する(S6)。そして、ずらし量テーブルに基づいて画像を形成するように指示するとともに、原稿画像データを画像形成装置Cに転送し、指定された差込位置に差込用紙を供給するように指示し(S7)、フローのエンドとなる(S8)。画像形成装置Cでは、記録用紙Sを所定枚数給紙してずらし量テーブルに基づいて画像形成部3で原稿画像を形成する。また、指定された差込位置に差込用紙を挿入できるタイミングで差込用紙の給紙を行う。全ての記録用紙S及び差込用紙が中間スタッカ35に積載されると、ステープル手段50及び折り手段60によって中綴じが行われ、形成された冊子の小口を断裁して機外に排出する。
【0047】
オペレータから差込指示が行われなかった場合(S4でNO)は、ずらし量テーブルに基づいて画像形成するように指示するとともに、原稿画像データを画像形成装置Cに転送して(S7)、フローのエンドとなる(S8)。画像形成装置Cでは、記録用紙Sを所定枚数給紙し、ずらし量テーブルに基づいて画像形成部3で原稿画像を形成する。画像が形成された後、全ての記録用紙Sがスタッカ35に積載されると、ステープル手段50及び折り手段60によって中綴じが行われ、形成された冊子の小口を断裁して機外に排出する。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は以上に示された発明の具体的態様に限定されるものではない。例えば、中綴じ処理、差込処理の指示や差込用紙の厚さ、差込用紙の枚数、原稿画像等の入力は、画像編集装置Bに備えられた入力装置125から入力するのではなく、画像形成装置Cの操作・表示部4から入力するようにしても良い。その際、面付けテーブルやずらし量テーブルは、画像形成装置Cに備えられたCPU100を用いて画像ずらし量を設定するようにし、設定されたずらし量テーブルをRAM105に記憶するようにすれば、画像編集装置Bを必要とせず画像の形成位置を設定することができる。また、クライアント端末Aから原稿画像データを入力するのではなく、画像形成装置Cに備えられた自動原稿送り装置ADFで原稿を搬送して画像読み取り部1で読み取り、そのデータを原稿画像データとすることもできる。また、面付けテーブルや画像ずらし量等を設定するプログラムは、予め、ROM121に格納しておいたが、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM、光磁気ディスク等のコンピューターが読み取り可能な記録媒体に記憶しておき、RAM122に展開して用いるようにしても良いことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一例である画像形成システムをモデル的に示した概略図である。
【図2】画像形成装置をモデル的に示した概略図である。
【図3】記録紙後処理装置FSの断面図である。
【図4】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図5】(a)原稿画像データを一枚ずつ転送する場合の概略図であり、(b)原稿画像データを記録用紙に面付けした場合の一例である。
【図6】面付けテーブルの一例である。
【図7】画像ずらし量を設定するための変換テーブルの一例である。
【図8】記録用紙上に面付けされた画像の形成位置のシフトを表した概念図である。
【図9】ずらし量テーブルの一例である。
【図10】被記録体からなる冊子の模式図である。
【図11】記録用紙に差込用紙を挿入した場合の概念図である。
【図12】差込用紙の挿入によって変更されたずらし量テーブルの一例である。
【図13】被記録体と差込用紙からなる冊子の模式図である。
【図14】本発明の動作フローを示す概略動作フローである。
【符号の説明】
【0050】
B 画像編集装置
C 画像形成装置
ADF 自動原稿送り装置
FS 記録紙後処理装置
1 画像読み取り部
2 画像処理部
3 画像形成部
4 操作・表示部
5 カセット給紙部
6 大容量給紙部(LCD)
30 スタック手段
40 差込用紙給紙部
50 ステープル手段
60 折り手段
67 折りローラ対部
100 CPU
102 操作・表示制御部
105 RAM
106 ROM
109 画像形成制御部
112 中綴じ制御部
120 CPU
121 ROM
122 RAM
123 ハードディスク
124 モニタ
125 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページからなる画像データを取得する画像取得手段と、
記録用紙を折って冊子を構成するにあたり、前記画像取得手段から取得した画像データの各ページをページ順となるような順番で前記記録用紙に割り当てる面付け手段と、
前記記録用紙に関連する情報を取得する記録紙情報取得手段と、
前記面付け手段と、前記記録用紙情報取得手段の情報に基づいて、前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像位置設定手段と、
差込用紙に関連する情報を取得する差込用紙情報取得手段と、
前記差込用紙に関連する情報に基づいて前記画像位置設定手段によって設定されたページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段と、
を有することを特徴とする画像編集装置。
【請求項2】
予め、前記面付け手段による情報に応じた記録用紙の折り位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記折り位置からの距離を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項3】
予め、記録紙に割り当てられるページ画像の基準位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記ページ画像の基準位置からの画像ずらし量を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項4】
前記記録用紙に関連する情報は、記録用紙の厚み情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像編集装置。
【請求項5】
前記差込用紙に関連する情報は、差込用紙の厚み情報及び記録用紙に差込用紙を差し込む差込位置情報のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像編集装置。
【請求項6】
複数ページからなる画像データを取得する画像取得手段と、
記録用紙を給紙する記録用紙給紙手段と、
前記記録用紙に対して差込用紙を差し込むために差込用紙を給紙する差込用紙給紙手段と、
前記記録用紙と前記差込用紙からなる複数枚を重ねて折ることで冊子を構成する折り手段と、
前記折り手段によって構成された冊子の小口を断裁する断裁手段と、
記録用紙に関連する情報を取得する記録用紙情報取得手段と、
前記差込用紙に関連する情報を取得する差込用紙情報取得手段と、
冊子を構成するにあたり、前記画像取得手段から取得した画像データの各ページをページ順となるような順番で前記記録用紙に割り当てる面付け手段と、
ページ面付け手段と、前記記録用紙情報取得手段による情報に基づいて、前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像位置設定手段と、
前記差込用紙情報取得手段による情報に基づいて、前記画像位置設定手段によって設定されたページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段と、
前記画像位置再設定手段の設定結果に応じて前記記録用紙にページ画面を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
予め、前記面付け手段による情報に応じた折り位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記折り位置からの距離を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
予め、記録用紙に割り当てられるページ画像の基準位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記ページ画像の基準位置からの画像ずらし量を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記記録用紙に関連する情報は、記録用紙の厚み情報であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記記録用紙に関連する情報は、記録用紙の厚み情報及び記録用紙に差込用紙を差し込む差込位置情報のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記画像形成手段が電子写真方式またはインクジェット方式であることを特徴とする請求項6乃至10の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項12】
記録用紙を折って冊子を構成するにあたり、画像データの各ページを順となるような順番で前記記録用紙に割り当て、記録用紙に関連する情報を取得した後、割り当て情報と前記記録用紙に関連する情報に基づいて前記記録用紙に割り当てられたページ画像の位置を設定する画像編集プログラムであって、
コンピューターを、
差込用紙に関連する情報を取得し、前記情報に基づいて前記ページ画像の位置を再設定する画像位置再設定手段
として機能させることを特徴とする画像編集プログラム。
【請求項13】
予め、前記割り当て情報に応じた記録用紙の折り位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記折り位置からの距離を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項12に記載の画像編集プログラム。
【請求項14】
予め、記録用紙に割り当てられるページ画像の基準位置を設定しておき、前記画像位置再設定手段は、前記ページ画像の基準位置からの画像ずらし量を算出することにより前記ページ画像の位置を再設定することを特徴とする請求項12に記載の画像編集プログラム。
【請求項15】
前記記録用紙に関連する情報は、記録用紙の厚み情報であることを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の画像編集プログラム。
【請求項16】
前記差込用紙に関連する情報は、差込用紙の厚み情報及び記録用紙に差込用紙を差し込む差込位置情報のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の画像編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−251962(P2006−251962A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65056(P2005−65056)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】