説明

画像表示システム、撮像装置、画像表示システムの制御方法、および撮像装置の制御方法

【課題】撮像した画像に含まれる被写体の大きさを簡易に測定できる画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像表示システム1は、被写体を撮像する撮像装置(書画カメラ100)と、撮像された画像情報を入力し、画像情報に基づいた画像を表示する画像表示装置(プロジェクター200)と、を備え、撮像装置は、被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部と、撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出部(支持アーム長検出部115)と、撮像倍率情報を画像表示装置に送信する送信部(制御信号送信部116、USB通信部119)と、を有し、画像表示装置は、撮像倍率情報を受信する受信部(USB通信部230)と、撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像であるスケール画像を生成するスケール画像生成部(制御部220、OSD処理部232)と、画像情報に基づく画像にスケール画像を重畳する重畳部(OSD処理部232)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、撮像装置、画像表示システムの制御方法、および撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレゼンテーション等において、撮像装置(例えば、書画カメラ)と画像表示装置(例えば、プロジェクター)とを接続して、撮像装置によって撮像された画像を画像表示装置によって表示する画像表示システムが知られている。このような画像表示システムを使用する上で、撮像装置で撮像して画像表示装置で表示している画像に含まれる被写体(撮像対象物)の大きさを測定したい場合があった。
【0003】
被写体の大きさを測定するためには、被写体の近傍に定規等の比較対象物を設置して撮像する方法がある。しかし、このような方法では、比較対象物を予め準備する必要があり、手間が掛かるという問題があった。一方、特許文献1には、被写体の定型サイズに合わせた画角情報を記憶し、ユーザーが選択した所望の定型サイズに合わせて、電動レンズのズームおよびフォーカス状態を調整する書画カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−235226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような書画カメラでは、ユーザーが定型サイズを自ら選択するため、被写体の大まかな大きさを推測することは可能であるが、厳密な大きさを測定することは困難であった。そこで、撮像装置で撮像して、画像表示装置で表示している画像に含まれる被写体の大きさを、簡易に測定できる画像表示システムが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る画像表示システムは、被写体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像情報を入力し、前記画像情報に基づいた画像を表示する画像表示装置と、を備えた画像表示システムであって、前記撮像装置は、前記被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部と、前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出部と、前記撮像倍率情報を前記画像表示装置に送信する送信部と、を有し、前記画像表示装置は、前記撮像装置から送信された前記撮像倍率情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像であるスケール画像を生成するスケール画像生成部と、前記画像情報に基づく前記画像に前記スケール画像生成部が生成した前記スケール画像を重畳する重畳部と、を有することを特徴とする。
【0008】
このような画像表示システムによれば、撮像装置と画像表示装置とを備えている。そして、撮像装置は、倍率変更部と倍率検出部と送信部とを有し、画像表示装置は、受信部とスケール画像生成部と重畳部を有している。倍率変更部は、被写体の撮像倍率を変更する。倍率検出部は、撮像倍率を撮像倍率情報として検出する。送信部は、撮像倍率情報を画像表示装置に送信する。受信部は、撮像倍率情報を受信する。スケール画像生成部は、撮像倍率情報に基づいてスケール画像、即ち目盛りの画像を生成する。重畳部は、画像にスケール画像を重畳する。これにより、ユーザーは、画像表示装置が表示するスケール画像が重畳された画像を目視することで、被写体の大きさを測定することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記画像表示装置は、前記撮像倍率情報と前記スケール画像の大きさを表すスケール画像サイズとの対応を記憶したスケールテーブルをさらに有し、前記スケール画像生成部は、前記スケールテーブルから前記撮像倍率情報に対応する前記スケール画像サイズを読み出して、読み出した前記スケール画像サイズに基づいて前記スケール画像を生成することを特徴とする。
【0010】
このような画像表示システムによれば、画像表示装置は、撮像倍率情報とスケール画像サイズとの対応を記憶したスケールテーブルを有している。スケール画像生成部は、スケールテーブルから撮像倍率情報に対応するスケール画像サイズを読み出し、スケール画像を生成する。これにより、スケールテーブルを備えることで、画像表示装置は、スケール画像サイズを簡易に算出することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記画像表示装置は、前記画像を部分的に拡大するための部分拡大手段をさらに有し、前記部分拡大手段によって部分的な拡大が行われると、前記スケール画像生成部は、前記部分的な拡大と同様の拡大率で拡大した前記スケール画像を生成し、前記重畳部は、部分的に拡大された前記画像に拡大した前記スケール画像を重畳することを特徴とする。
【0012】
このような画像表示システムによれば、画像表示装置は、部分拡大手段を有している。部分的な拡大が行われると、スケール画像生成部は拡大したスケール画像を生成し、重畳部は拡大したスケール画像を重畳する。これにより、部分的な拡大がなされた場合でも、スケール画像は拡大率に連動した目盛りの大きさとなり、ユーザーは、被写体の大きさを正しく測定することが可能になる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記スケール画像生成部は、さらに罫線を表す罫線画像を生成し、前記重畳部は、前記スケール画像および前記罫線画像を前記画像に重畳することを特徴とする。
【0014】
このような画像表示システムによれば、スケール画像生成部は、さらに罫線画像を生成する。そして、重畳部は、スケール画像および罫線画像を画像に重畳する。これにより、画像上にスケール画像と罫線画像とが表示されるため、被写体の大きさの測定が容易になる。
【0015】
[適用例5]本適用例に係る撮像装置は、被写体を撮像し、撮像した画像情報を出力する撮像装置であって、前記被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部と、前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出部と、前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像情報であるスケール画像情報を生成するスケール画像生成部と、撮像した前記画像情報に前記スケール画像生成部が生成した前記スケール画像情報を重畳する重畳部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このような撮像装置によれば、倍率変更部と倍率検出部とスケール画像生成部と重畳部を有している。倍率変更部は、被写体の撮像倍率を変更する。倍率検出部は、撮像倍率を撮像倍率情報として検出する。スケール画像生成部は、撮像倍率情報に基づいてスケール画像情報、即ち目盛りの画像情報を生成する。重畳部は、画像情報にスケール画像情報を重畳する。これにより、撮像装置が出力する画像情報によって、被写体の大きさを測定することが可能になる。
【0017】
[適用例6]本適用例に係る画像表示システムの制御方法は、被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部を有し、前記被写体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像情報を入力し、前記画像情報に基づいた画像を表示する画像表示装置と、を備えた画像表示システムの制御方法であって、前記撮像装置は、前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出ステップと、前記撮像倍率情報を前記画像表示装置に送信する送信ステップと、を有し、前記画像表示装置は、前記撮像装置から送信された前記撮像倍率情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像であるスケール画像を生成するスケール画像生成ステップと、前記画像情報に基づく前記画像に前記スケール画像生成ステップによって生成された前記スケール画像を重畳する重畳ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
このような画像表示システムの制御方法によれば、ユーザーは、画像表示装置が表示するスケール画像が重畳された画像を目視することで、被写体の大きさを測定することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例に係る撮像装置の制御方法は、被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部を有し、前記被写体を撮像して、撮像した画像情報を出力する撮像装置の制御方法であって、前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出ステップと、前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像情報であるスケール画像情報を生成するスケール画像生成ステップと、撮像した前記画像情報に前記スケール画像生成ステップによって生成された前記スケール画像情報を重畳する重畳ステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
このような撮像装置の制御方法によれば、撮像装置が出力する画像情報によって、被写体の大きさを測定することが可能になる。
【0021】
また、上述した画像表示システム、撮像装置、画像表示装置、およびその制御方法が、撮像装置、画像表示装置に備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやHDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、撮像装置、画像表示装置の内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、及び外部記憶装置(USBメモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る画像表示システムに備わる書画カメラ、およびプロジェクターを示す図であり、(a)は、書画カメラの支持アームを伸長して、画像を投写している状態を示す斜視図、(b)は、書画カメラの支持アームを短縮して、画像を投写している状態を示す斜視図。
【図2】投写画像を表す平面図であり、(a)は、書画カメラの支持アームが伸長されている場合の投写画像の平面図、(b)は、書画カメラの支持アームが短縮されている場合の投写画像の平面図。
【図3】書画カメラおよびプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図4】スケールテーブルの説明図。
【図5】電子ズーム機能を説明するための説明図であり、(a)は、電子ズーム拡大が行われる前の投写画像の平面図、(b)は、電子ズーム拡大が行われた状態の投写画像の平面図。
【図6】書画カメラおよびプロジェクターによるスケール画像表示処理を示すフローチャート。
【図7】スケール画像表示処理を行った場合の投写画像を表す平面図であり、(a)は、支持アームが伸長されており、電子ズームの拡大率が1.0倍の場合の投写画像の平面図、(b)は、支持アームが短縮されており、電子ズームの拡大率が1.0倍の場合の投写画像の平面図、(c)は、支持アームが短縮されており、電子ズームの拡大率が2.0倍の場合の投写画像の平面図。
【図8】第2の実施形態に係る書画カメラの概略構成を示すブロック図。
【図9】書画カメラによるスケール画像重畳処理を示すフローチャート。
【図10】罫線画像を重畳しないでスケール画像表示処理を行った場合の投写画像を表す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、画像表示システムについて説明する。第1の実施形態では、画像表示システムの撮像装置を書画カメラとし、画像表示装置を画像信号に基づく画像を外部のスクリーン等に投写するプロジェクターとして説明する。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係る画像表示システムに備わる書画カメラ、およびプロジェクターを示す図であり、図1(a)は、書画カメラの支持アームを伸長して、画像を投写している状態を示す斜視図であり、図1(b)は、書画カメラの支持アームを短縮して、画像を投写している状態を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の画像表示システム1では、書画カメラ100とプロジェクター200とがUSBケーブルCを介して接続されている。
【0026】
書画カメラ100は、箱状の筐体110と、筐体110の端部から上方に延出し、伸縮可能な支持アーム111と、支持アーム111の上端に固定された撮像部112とを備えており、筐体110の上面には、上方(撮像部112側)から見て矩形の載置部としてのステージ110aと、複数の操作キーからなる操作受付部113とが設けられている。ステージ110a上には、原稿等の被写体Mが載置可能となっている。
【0027】
図1(a)に示すように、撮像部112は、ステージ110a方向を撮像することで、被写体Mを撮像することができる。そして、書画カメラ100は、撮像部112が撮像した画像情報に基づいた画像信号をUSBケーブルCを介して外部の装置(本実施形態ではプロジェクター200)に送信する。また、書画カメラ100は、操作受付部113によって入力された操作情報や、支持アーム111の伸長量情報等を制御信号として、プロジェクター200に送信する。
【0028】
プロジェクター200は、入力される画像信号に基づく画像を形成し、外部の投写面SC(例えば、スクリーン)に投写する。本実施形態では、書画カメラ100から入力される画像信号に基づく画像、即ち撮像部112によって撮像された画像を投写する。また、プロジェクター200は、書画カメラ100からの制御信号を受信可能とし、その制御信号に基づいて、プロジェクター200の画像表示の状態は制御される。
【0029】
図1(a)のように、書画カメラ100の支持アーム111が伸長されている場合には、撮像部112は、ステージ110a上の被写体Mの略全体を撮像することができる。また、図1(b)のように、書画カメラ100の支持アーム111が短縮されている場合には、撮像部112は、ステージ110a上の被写体Mの略中央部分を拡大して撮像することができる。書画カメラ100が撮像した画像は、プロジェクター200からスクリーンSCに投写画像G1,G2として投写される。
【0030】
図2は、投写画像を表す平面図であり、図2(a)は、書画カメラ100の支持アーム111が伸長されている場合の投写画像G1の平面図であり、図2(b)は、書画カメラ100の支持アーム111が短縮されている場合の投写画像G2の平面図である。
図2(a)に示すように、投写画像G1には、被写体Mの略全体が表示されている。また、図2(b)に示すように、投写画像G2には、被写体Mの中央部分が拡大されて表示されている。このように伸縮可能な支持アーム111が、撮像倍率を変更するための倍率変更部に相当する。
【0031】
次に、画像表示システム1の概略構成について説明する。
図3は、書画カメラ100およびプロジェクター200の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、書画カメラ100は、上述した撮像部112、および操作受付部113に加えて、制御部114、支持アーム長検出部115、制御信号送信部116、画像処理部117、画像送信部118、USB通信部119等を備えて構成されている。
【0032】
制御部114は、CPU(Central Processing Unit)、各種データの一時記憶等に用いられるRAM(Random Access Memory)、および、マスクROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備え、コンピューターとして機能するものである。制御部114は、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、書画カメラ100の動作を統括制御する。
【0033】
操作受付部113は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、書画カメラ100に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部113が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための「電源キー」の他、オートフォーカスを行うための「オートフォーカスキー」、プロジェクター200に電子ズームを行わせるための「電子ズーム拡大キー」、「電子ズーム縮小キー」、スケール画像の表示を行わせるための「スケール表示キー」等がある。ユーザーが操作受付部113の各種操作キーを操作すると、操作受付部113は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作情報を制御部114に出力する。
【0034】
撮像部112は、CCD(Charge Coupled Device)センサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子(図示せず)と、被写体Mで反射した光を撮像素子の受光面上に結像させる撮像レンズ(図示せず)とを備えており、ステージ110aの範囲を撮像可能になっている。撮像素子の受光面には、マトリクス状に配列された複数の画素(受光画素)が形成されており、撮像部112は、各画素の受光量に基づく画像情報を所定のフレームレートで生成する。この画像情報は、撮像素子上のすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されており、支持アーム111の内部に配線されているケーブル(図示せず)を介して画像処理部117に順次出力される。
【0035】
支持アーム長検出部115は、エンコーダーやポテンショメーター等で構成され、制御部114の指示に基づいて、撮像倍率情報として支持アーム111の伸長量を検出する。支持アーム111の伸長量とは、支持アーム111の長さであり、本実施形態では、ステージ110aから撮像部112までの距離を表している。また、支持アーム111の伸長量の調整が、手動式ではなく、ボタン操作等に応じてステッピングモーター等の駆動装置で駆動する電動式である場合には、例えば、ステッピングモーターのステップ数に基づいて支持アーム111の伸長量を検出する態様とすることも可能である。なお、支持アーム長検出部115が、倍率検出部に相当する。
【0036】
画像処理部117は、制御部114の指示に基づいて、撮像部112から入力される画像情報をプロジェクター200で利用可能な形式の画像信号に変換し、変換後の画像信号を画像送信部118に出力する。
【0037】
画像送信部118は、制御部114の指示に基づいて、画像処理部117から入力される画像信号の送信制御を行う。制御部114から画像信号の送信を開始するように指示があれば、画像送信部118は画像信号の送信を開始する。また、制御部114から画像信号の送信を停止するように指示があれば、画像送信部118は画像信号の送信を停止する。画像信号は、後述するUSB通信部119を介してプロジェクター200に送信される。
【0038】
制御信号送信部116は、制御部114の指示に基づいて、プロジェクター200の画像投写の状態を制御するための制御信号を送信する。制御信号の種類としては、支持アーム111の伸長量情報を含み、スケール画像の表示を行わせるためのスケール表示要求信号や、電子ズームを行わせるための電子ズーム拡大要求信号、電子ズーム縮小要求信号等がある。制御信号送信部116は、これらの制御信号をUSB通信部119を介してプロジェクター200に送信する。ここで、制御信号送信部116およびUSB通信部119が、送信部に相当する。
【0039】
USB通信部119は、USB規格に準拠した通信手段であり、USBケーブルCを介して外部のプロジェクター200と接続されている。USB通信部119は、画像送信部118から送信された画像信号、および制御信号送信部116から送信された制御信号を、USBデータ伝送によってプロジェクター200に送信する。
【0040】
ここで、USB通信部119は、プロジェクター200に画像信号を送信可能なUSBファンクションと、制御信号を送信可能なUSBファンクションとが実装されている。これにより、USB通信部119は、書画カメラ100とプロジェクター200とを、1つのUSBケーブルCで接続することが可能となる。
【0041】
次に、プロジェクター200の概略構成について説明する。
図3に示すように、プロジェクター200は、画像投写部210、制御部220、操作受付部221、光源制御部222、USB通信部230、画像処理部231、OSD処理部232等を備えて構成されている。
【0042】
画像投写部210は、光源211、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ212R,212G,212B、投写光学系としての投写レンズ213、ライトバルブ駆動部214等を含んでいる。画像投写部210は、光源211から射出された光を、液晶ライトバルブ212R,212G,212Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ213から投写して投写面SCに表示する。
【0043】
光源211は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ211aと、光源ランプ211aが放射した光を液晶ライトバルブ212R,212G,212B側に反射するリフレクター211bとを含んで構成されている。光源211から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ212R,212G,212Bに入射する。
【0044】
液晶ライトバルブ212R,212G,212Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ212R,212G,212Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部214が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源211から射出された光は、この液晶ライトバルブ212R,212G,212Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像が色光毎に形成される。形成された各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ213から投写される。
【0045】
制御部220は、CPU、各種データの一時記憶等に用いられるRAM、および、マスクROMやフラッシュメモリー、FeRAM等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備え、コンピューターとして機能するものである。制御部220は、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、プロジェクター200の動作を統括制御する。また、制御部220は、不揮発性のメモリーに記憶されるスケールテーブルTを備えている。
【0046】
ここで、スケールテーブルTについて説明する。
図4は、スケールテーブルTの説明図である。図4に示すように、スケールテーブルTは、書画カメラ100の支持アーム111の伸長量とスケール間隔(目盛り間隔)との対応を表すテーブルである。支持アーム111の伸長量とは、書画カメラ100から受信する支持アーム111の伸長量情報であり、単位は「cm」としている。スケール間隔とは、被写体の大きさを測定するためのスケール画像(目盛り画像)の1cmに相当する投写画面上のドット数を表している。本実施形態では、支持アーム111の伸長量が10cmから20cmまで伸縮可能としており、対応したスケール間隔が42dotから20dotまで表示されている。なお、スケールテーブルTのスケール間隔が、スケール画像サイズに相当する。
【0047】
図3に戻り、書画カメラ100からスケール表示要求信号とともに支持アーム111の伸長量情報を受信すると、プロジェクター200の制御部220は、スケールテーブルTから書画カメラ100の支持アーム111の伸長量長に対応したスケール間隔を読み出す。そして、制御部220は、読み出したスケール間隔に基づいて、後述するOSD処理部232にスケール画像の表示を行わせる。
【0048】
操作受付部221は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター200に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部221が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための「電源キー」、各種設定を行うためのメニュー画面の表示・非表示を切り替える「メニューキー」、メニュー画面におけるカーソルの移動等に用いられる「カーソルキー」、各種設定を決定するための「決定キー」等がある。ユーザーが操作受付部221の各種操作キーを操作(押下)すると、操作受付部221は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作情報を制御部220に出力する。なお、操作受付部221として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作情報を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部220に伝達する。
【0049】
光源制御部222は、電源回路(図示せず)で生成された直流電流を交流矩形波電流に変換するインバーター(図示せず)や、光源ランプ211aの電極間の絶縁破壊を行って、光源ランプ211aの始動を促すためのイグナイター(図示せず)等を備えており、制御部220の指示に基づいて光源211の点灯を制御する。具体的には、光源制御部222は、光源211を始動させて所定の電力を供給することにより光源211を点灯させるとともに、電力の供給を停止して光源211を消灯させることができる。また、光源制御部222は、制御部220の指示に基づいて光源211に供給する電力を制御することにより、光源211の輝度(明るさ)を調整することが可能である。
【0050】
USB通信部230は、USB規格に準拠した通信手段であり、USBケーブルCを介して外部の書画カメラ100と接続されている。USB通信部230は、書画カメラ100からUSBデータ伝送によって送信された画像信号および制御信号を受信する。ここで、USB通信部230が、受信部に相当する。
【0051】
ここで、USB通信部230は、書画カメラ100からの画像信号を受信可能なUSBファンクションと、制御信号を受信可能なUSBファンクションとが実装されている。これにより、USB通信部230は、プロジェクター200と書画カメラ100とを、1つのUSBケーブルCで接続することが可能となる。
【0052】
画像処理部231は、USB通信部230が受信した画像信号を、液晶ライトバルブ212R,212G,212Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ212R,212G,212Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部231は、制御部220の指示に基づき、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報をOSD処理部232に出力する。
【0053】
OSD処理部232は、制御部220の指示に基づいて、入力される画像情報上にメニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレー)画像を重畳するための処理を行う。OSD処理部232は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。本実施形態では、OSD処理部232は、スケール画像情報および罫線画像情報を記憶して生成する。
【0054】
制御部220が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理部232は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部231から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、ライトバルブ駆動部214に出力される。なお、制御部220からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部232は、画像処理部231から入力される画像情報を、そのままライトバルブ駆動部214に出力する。なお、制御部220およびOSD処理部232がスケール画像生成部に相当し、OSD処理部232が重畳部に相当する。
【0055】
ライトバルブ駆動部214が、OSD処理部232から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ212R,212G,212Bを駆動すると、液晶ライトバルブ212R,212G,212Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ213から投写される。
【0056】
ここで、電子ズーム機能について説明する。本実施形態の画像表示システム1、即ち書画カメラ100およびプロジェクター200は、書画カメラ100の操作受付部113に備わる「電子ズーム拡大キー」や「電子ズーム縮小キー」の操作に応じて投写画像を部分的に拡大することが可能な電子ズーム機能を有している。なお、電子ズーム機能が部分拡大手段に相当する。
図5は、電子ズーム機能を説明するための説明図であり、図5(a)は、電子ズーム拡大が行われる前の投写画像の平面図であり、図5(b)は、電子ズーム拡大が行われた状態の投写画像の平面図である。
【0057】
図5(a)、(b)に示すように、電子ズーム機能は、書画カメラ100からの制御信号に基づき、書画カメラ100からプロジェクター200に入力される入力画像Giの一部の範囲(例えば、範囲Gz1)を拡大(部分拡大)して表示するための機能である。本実施形態では、入力画像Giの全体が表示される状態(図5(a)参照)を基準にして、1倍〜4倍の範囲の25段階で拡大率を変更することが可能になっている。制御部220は、電子ズーム機能の設定値(ズーム設定値)として0〜24のいずれかの値を画像処理部231に出力し、画像処理部231は、入力画像Giの一部の範囲が、制御部220から入力されるズーム設定値に応じた拡大率で表示されるように画像情報を補正する。例えば、画像処理部231は、ズーム設定値が0の場合には、拡大率を1.0倍のまま(補正なし)として、入力画像Giの全体を表示する。また、画像処理部231は、ズーム設定値が大きくなるほど拡大率を大きくし、ズーム設定値が最大値(24)の場合には、入力画像Giの一部の範囲を4.0倍に拡大させて表示する。
【0058】
ユーザーは、書画カメラ100の操作受付部113に備わる「電子ズーム拡大キー」および「電子ズーム縮小キー」を操作することによって拡大率を増減することができる。ユーザーにより電子ズーム拡大キーが操作されると、書画カメラ100の制御部114は、制御信号送信部116に指示を出して、電子ズーム拡大要求信号をプロジェクター200に送信させる。
【0059】
プロジェクター200の制御部220は、電子ズーム拡大要求信号を受信すると、それまでのズーム設定値に1を加えた値を新たなズーム設定値として画像処理部231に出力し、拡大率を1段階大きくする。一方、ユーザーにより電子ズーム縮小キーが操作されると、書画カメラ100の制御部114は、制御信号送信部116に指示を出して、電子ズーム縮小要求信号をプロジェクター200に送信させる。プロジェクター200の制御部220は、それまでのズーム設定値から1を減じた値を新たなズーム設定値として画像処理部231に出力し、拡大率を1段階小さくする。なお、制御部220は、ズーム設定値が最小値(0)のときに縮小キーが操作された場合、およびズーム設定値が最大値(24)のときに拡大キーが操作された場合には、ズーム設定値を変更しない。
【0060】
画像処理部231は、制御部220から入力されるズーム設定値に応じた拡大率で入力画像Giの一部範囲が拡大されるよう、これ以降入力される画像情報に対して画素値の補間を行う。
【0061】
画像表示システム1の書画カメラ100およびプロジェクター200は、上記のような電子ズーム機能を有しており、ユーザーは、操作受付部113に備わる電子ズーム拡大キー、電子ズーム縮小キーを操作することによって、入力画像Giの部分拡大時における拡大率を変更することができる。
【0062】
次に、書画カメラ100およびプロジェクター200によるスケール画像表示処理について説明する。
図6は、書画カメラ100およびプロジェクター200によるスケール画像表示処理を示すフローチャートである。書画カメラ100から入力された画像をプロジェクター200が投写している際に、書画カメラ100の操作受付部113に備わるスケール表示キーが押下されると、プロジェクター200は、入力された画像にスケール画像を重畳して投写する。
【0063】
具体的には、書画カメラ100では、操作受付部113に備わるスケール表示キーが押下されると、制御部114は、支持アーム長検出部115に指示を出して、支持アーム111の伸長量を検出させ、検出した伸長量を入力する(ステップS101)。制御部114は、制御信号送信部116に指示を出して、スケール表示要求信号および伸長量情報をUSB通信部119を介してプロジェクター200に送信させる(ステップS102)。そして、書画カメラ100によるスケール画像表示処理を終了する。
【0064】
プロジェクター200では、制御部220が、USB通信部230を介してスケール表示要求信号および伸長量情報を受信する(ステップS201)。制御部220は、スケールテーブルTから、支持アーム111の伸長量情報に対応したスケール間隔(dot)を取得する(ステップS202)。次に、制御部220は、電子ズームの拡大率を取得する(ステップS203)。
【0065】
制御部220は、スケール間隔に電子ズームの拡大率を乗算する(ステップS204)。制御部220は、OSD処理部232に指示を出して、乗算されたスケール間隔、即ち目盛り間隔に応じたスケール画像および罫線画像を生成させる(ステップS205)。そして、制御部220は、OSD処理部232に指示を出して、生成したスケール画像および罫線画像を画像処理部231から入力される画像情報に重畳させる(ステップS206)。なお、電子ズーム機能によって、拡大設定がなされている場合には、画像情報は、画像処理部231によってズーム設定値に応じた拡大率で拡大されている。よって、スケール画像および罫線画像は、このように拡大された画像情報に対して重畳される。そして、プロジェクター200によるスケール画像表示処理を終了する。
【0066】
図7は、スケール画像表示処理を行った場合の投写画像を表す平面図であり、図7(a)は、支持アーム111が伸長されており、電子ズームの拡大率が1.0倍の場合の投写画像の平面図であり、図7(b)は、支持アーム111が短縮されており、電子ズームの拡大率が1.0倍の場合の投写画像の平面図であり、図7(c)は、支持アーム111が短縮されており、電子ズームの拡大率が2.0倍の場合の投写画像の平面図である。
【0067】
図7(a)、(b)、(c)に示すように、投写画像G3,G4,G5にはそれぞれ、スケール(目盛り)を表すスケール画像S1,S2,S3、および、罫線を表す罫線画像K1,K2,K3が表示されている。本実施形態では、スケール画像S1,S2,S3は、投写画像G3,G4,G5の上側および左側に表示されている。そして、罫線画像K1,K2,K3は、投写画像G3,G4,G5のスケール画像S1,S2,S3の目盛りの1つおきに上下方向および左右方向に格子状の直線として表示されている。なお、罫線画像K1,K2,K3の表示パターンは、このような格子状の表示パターンに限定するものではない。
【0068】
図7(a)に示すように、投写画像G3では、支持アーム111の伸長量が20cmであり、電子ズームの拡大率が1.0倍となっており、このときのスケール間隔は20dotである。図7(b)に示すように、投写画像G4では、支持アーム111の伸長量が10cmであり、電子ズームの拡大率が1.0倍となっており、このときのスケール間隔は42dotである。図7(c)に示すように、投写画像G5では、支持アーム111の伸長量が10cmであり、電子ズームの拡大率が2.0倍となっており、このときのスケール間隔は84dotである。
【0069】
上述したように、画像表示システム1は撮像した画像にスケール画像および罫線画像を重畳することができる。
【0070】
上述した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)画像表示システム1においては、書画カメラ100は、支持アーム111を短縮したり伸長したりすることで被写体Mの撮像倍率を変更することができる。そして、スケール表示キーが押下されると、書画カメラ100は、支持アーム111の伸長量情報をプロジェクター200に送信する。プロジェクター200は、伸長量情報に基づいてスケール画像(S1,S2,S3)を生成して、書画カメラ100から入力された画像に重畳し、投写する。これにより、ユーザーは、被写体Mの近傍に定規等を設置しなくても、投写画像(G3,G4,G5)のスケール画像(S1,S2,S3)を目視することで、被写体Mの大きさを容易に測定することができる。
【0071】
(2)画像表示システム1においては、プロジェクター200は、スケールテーブルTを有している。そして、制御部220は、スケールテーブルTから取得したスケール間隔に基づき、OSD処理部232にスケール画像(S1,S2,S3)を生成させ、画像情報に重畳させる。このように、スケールテーブルTを備えることによって、プロジェクター200は、スケール画像(S1,S2,S3)のスケール間隔を簡易に算出することが可能になり、プロジェクター200の処理負荷を低減することができる。
【0072】
(3)画像表示システム1においては、プロジェクター200は、電子ズームが行われると、拡大率に応じてスケール画像(S1,S2,S3)を拡大する。これにより、スケール画像(S1,S2,S3)は拡大率に連動した目盛りの大きさとなり、被写体Mの大きさを正しく測定することが可能になる。
【0073】
(4)画像表示システム1においては、プロジェクター200は、罫線画像(K1,K2,K3)を生成して、画像情報に重畳し、投写する。これにより、投写画像(G3,G4,G5)上にスケール画像(S1,S2,S3)に加えて罫線画像(K1,K2,K3)が表示されるため、ユーザーは、被写体Mの大きさの測定を容易に行うことができる。
【0074】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、スケール画像を重畳した画像信号を出力する撮像装置の実施形態として、書画カメラについて説明する。なお、書画カメラから出力された画像信号は、プロジェクターに入力され、当該画像信号に基づいた画像が投写される。
【0075】
第2の実施形態に係る書画カメラ300の外観は、第1の実施形態に係る画像表示システム1における書画カメラ100(図1参照)と同様である。よって、説明は省略する。また、第2の実施形態において画像を投写するプロジェクター400は、汎用のプロジェクターとする。
【0076】
次に、書画カメラ300の概略構成について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る書画カメラ300の概略構成を示すブロック図である。
図8に示すように、書画カメラ300は、撮像部112、操作受付部313、制御部314、支持アーム長検出部115、画像処理部317、OSD処理部318、画像送信部118、USB通信部119等を備えて構成されている。
【0077】
書画カメラ300の撮像部112、支持アーム長検出部115、画像送信部118、およびUSB通信部119は、第1の実施形態に係る書画カメラ100と同様な構成であり、同様な符号を付記している。よって、説明は省略する。
【0078】
制御部314は、CPU、各種データの一時記憶等に用いられるRAM、および、マスクROMやフラッシュメモリー、FeRAM等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備え、コンピューターとして機能するものである。制御部314は、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、書画カメラ300の動作を統括制御する。また、制御部314は、不揮発性のメモリーに記憶されるスケールテーブルTを備えている。スケールテーブルTは、第1の実施形態のプロジェクター200の制御部220に備わるスケールテーブルTと同様のテーブルとする。
【0079】
操作受付部313は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、書画カメラ300に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部313が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための「電源キー」の他、オートフォーカスを行うための「オートフォーカスキー」、電子ズームを行うための「電子ズーム拡大キー」、「電子ズーム縮小キー」、スケール画像を重畳するための「スケール表示キー」等がある。ユーザーが操作受付部313の各種操作キーを操作すると、操作受付部313は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作情報を制御部314に出力する。
【0080】
画像処理部317は、制御部314の指示に基づいて、撮像部112から入力される画像情報をプロジェクター400で利用可能な形式の画像情報に変換し、変換後の画像情報をOSD処理部318に出力する。また、書画カメラ300は、操作受付部313に備わる「電子ズーム拡大キー」や「電子ズーム縮小キー」の操作に応じて、撮像された画像を部分的に拡大して出力することが可能な電子ズーム機能を有している。ここで、画像処理部317は、画像の一部の範囲が、制御部314から入力されるズーム設定値に応じた拡大率で出力されるように画像情報を補正する。
【0081】
OSD処理部318は、制御部314の指示に基づいて、画像処理部317から入力された画像情報上にメニュー画像やメッセージ画像等のOSD画像を重畳するための処理を行う。OSD処理部318は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表す画像情報を記憶している。本実施形態では、OSD処理部318は、スケール画像情報および罫線画像情報を記憶して生成する。
【0082】
制御部314が、OSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部318は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、出力画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部317から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、画像送信部118に出力される。なお、制御部314からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部318は、画像処理部317から入力される画像を、そのまま画像送信部118に出力する。ここで、制御部314およびOSD処理部318がスケール画像生成部に相当し、OSD処理部318が重畳部に相当する。
【0083】
次に、書画カメラ300によるスケール画像重畳処理について説明する。
図9は、書画カメラ300によるスケール画像重畳処理を示すフローチャートである。書画カメラ300が画像信号をプロジェクター400に出力している際に、書画カメラ300の操作受付部313に備わるスケール表示キーが押下されると、書画カメラ300は、スケール画像が重畳された画像信号を出力する。
【0084】
具体的には、書画カメラ300では、操作受付部313に備わるスケール表示キーが押下されると、制御部314は、支持アーム長検出部115に指示を出して、支持アーム111の伸長量を検出させ、検出した伸長量を入力する(ステップS301)。制御部314は、スケールテーブルTから、支持アーム111の伸長量に対応したスケール間隔を取得する(ステップS302)。次に、制御部314は、電子ズームの拡大率を取得する(ステップS303)。
【0085】
制御部314は、スケール間隔に電子ズームの拡大率を乗算する(ステップS304)。制御部314は、OSD処理部318に指示を出して、乗算されたスケール間隔、即ち目盛り間隔に応じたスケール画像および罫線画像を生成させる(ステップS305)。そして、制御部314は、OSD処理部318に指示を出して、生成したスケール画像および罫線画像を画像処理部317から入力される画像情報に重畳させる(ステップS306)。なお、電子ズーム機能によって、拡大設定がなされている場合には、撮像された画像は、画像処理部317によってズーム設定値に応じた拡大率で拡大されている。よって、スケール画像および罫線画像は、このように拡大された画像情報に対して重畳される。そして、書画カメラ300によるスケール画像重畳処理を終了する。
【0086】
書画カメラ300によってスケール画像重畳処理が行われた場合に、プロジェクター400が投写する投写画像は、図7の投写画像(G3,G4,G5)と同様になる。よって、説明は省略する。
【0087】
上述したように、書画カメラ300は撮像した画像にスケール画像および罫線画像を重畳することができる。
【0088】
上述した第2の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)書画カメラ300は、支持アーム111を短縮したり伸長したりすることで被写体Mの撮像倍率を変更することができる。そして、スケール表示キーが押下されると、書画カメラ300は、撮像倍率に基づいてスケール画像(S1,S2,S3)を生成して、画像情報に重畳し、当該画像情報に基づいた画像信号をプロジェクター400に出力する。これにより、ユーザーは、プロジェクター400から投写される投写画像(G3,G4,G5)のスケール画像(S1,S2,S3)を目視することで、被写体Mの大きさを容易に測定することができる。
【0089】
(2)書画カメラ300は、スケールテーブルTを有している。そして、制御部314は、スケールテーブルTから取得したスケール間隔に基づき、OSD処理部318にスケール画像(S1,S2,S3)を生成させ、画像情報に重畳させる。このように、スケールテーブルTを備えることによって、書画カメラ300は、スケール画像(S1,S2,S3)のスケール間隔を簡易に算出することが可能になり、書画カメラ300の処理負荷を低減することができる。
【0090】
(3)書画カメラ300は、電子ズームが行われると、拡大率に応じてスケール画像を拡大する。これにより、スケール画像(S1,S2,S3)は拡大率に連動した目盛りの大きさとなり、被写体Mの大きさを正しく測定することが可能になる。
【0091】
(4)書画カメラ300は、罫線画像(K1,K2,K3)を生成して、画像情報に重畳し、当該画像情報に基づいた画像信号をプロジェクター400に出力する。これにより、投写画像(G3,G4,G5)上にスケール画像(S1,S2,S3)に加えて罫線画像(K1,K2,K3)が表示されるため、ユーザーは、被写体Mの大きさの測定を容易に行うことができる。
【0092】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0093】
(変形例1)上記実施形態では、画像情報に罫線画像(K1,K2,K3)を重畳するものとしたが、罫線画像(K1,K2,K3)を重畳しないものとしてもよい。
図10は、罫線画像K1を重畳しないでスケール画像表示処理を行った場合の投写画像を表す平面図である。図10では、投写画像G6は、支持アーム111が20cmに伸長されており、電子ズームの拡大率が1.0倍の場合の投写画像を表しており、スケール画像S1が表示されている。
【0094】
(変形例2)上記実施形態では、スケール間隔は1cmを表しているものとしたが、これには限定しない。例えば、2cm単位としてもよい。また、投写画面にスケール間隔を数値として表示してもよい。例えば、スケール間隔が1cmの場合には、投写画面の上方右側に「スケール間隔=1cm」等のように表示してもよい。こうすれば、ユーザーは、スケール目盛りの間隔を容易に認識することができる。
【0095】
(変形例3)上記実施形態では、スケール間隔の単位は固定としていたが、スケール間隔の単位を可変としてもよい。例えば、画像を拡大投写する場合には、スケール間隔を細かくしてもよい。具体的には、1cmであったスケール間隔を、拡大率2倍にした場合には、0.5cmとしてもよい。こうすれば、画像を拡大した際に、被写体Mの大きさをより細かく測定することができる。なお、この場合には、投写画面にスケール間隔を数値として表示することが好ましい。
【0096】
(変形例4)上記実施形態では、書画カメラ100(300)は、支持アーム111を伸縮することによって、被写体Mの撮像倍率を変更していたが、書画カメラ100(300)は、撮像部112に光学ズーム機能(図示せず)を備えるものとしてもよい。そして、光学ズーム機能を用いて撮像倍率を変更して、撮像倍率情報としてもよい。この場合は、光学ズーム機能が倍率変更部に相当する。
【0097】
(変形例5)上記実施形態では、書画カメラ100(300)は、ステージ110aを備えるものとしたが、ステージを備えない書画カメラとしてもよい。
【0098】
(変形例6)上記実施形態では、プロジェクター200または書画カメラ300にスケールテーブルTを備えるものとしたが、スケールテーブルTの代わりに支持アーム111の伸長量とスケール間隔との関係を表す関数を備え、当該関数を用いて支持アーム111の伸長量からスケール間隔を算出してもよい。
【0099】
(変形例7)上記実施形態では、撮像装置として書画カメラ100(300)を例にして説明しているが、撮像装置は書画カメラに限定するものではない。例えば、スキャナー等に適用することも可能である。
【0100】
(変形例8)上記第1の実施形態では、画像表示システム1の画像表示装置としてプロジェクター200を例にして説明しているが、画像表示装置はプロジェクターに限定するものではない。例えば、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクター、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等に適用することも可能である。
【0101】
(変形例9)上記実施形態では、光源211は、放電型の光源ランプ211aによって構成されているが、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザー等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0102】
(変形例10)上記実施形態では、プロジェクター200は、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ212R,212G,212Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0103】
1…画像表示システム、100…書画カメラ、110…筐体、110a…ステージ、111…支持アーム、112…撮像部、113…操作受付部、114…制御部、115…支持アーム長検出部、116…制御信号送信部、117…画像処理部、118…画像送信部、119…USB通信部、200…プロジェクター、210…画像投写部、211…光源、211a…光源ランプ、211b…リフレクター、212R,212G,212B…液晶ライトバルブ、213…投写レンズ、214…ライトバルブ駆動部、220…制御部、221…操作受付部、222…光源制御部、230…USB通信部、231…画像処理部、232…OSD処理部、300…書画カメラ、313…操作受付部、314…制御部、318…OSD処理部、400…プロジェクター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像情報を入力し、前記画像情報に基づいた画像を表示する画像表示装置と、を備えた画像表示システムであって、
前記撮像装置は、
前記被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部と、
前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出部と、
前記撮像倍率情報を前記画像表示装置に送信する送信部と、
を有し、
前記画像表示装置は、
前記撮像装置から送信された前記撮像倍率情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像であるスケール画像を生成するスケール画像生成部と、
前記画像情報に基づく前記画像に前記スケール画像生成部が生成した前記スケール画像を重畳する重畳部と、
を有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示システムであって、
前記画像表示装置は、
前記撮像倍率情報と前記スケール画像の大きさを表すスケール画像サイズとの対応を記憶したスケールテーブルをさらに有し、
前記スケール画像生成部は、前記スケールテーブルから前記撮像倍率情報に対応する前記スケール画像サイズを読み出して、読み出した前記スケール画像サイズに基づいて前記スケール画像を生成することを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示システムであって、
前記画像表示装置は、
前記画像を部分的に拡大するための部分拡大手段をさらに有し、
前記部分拡大手段によって部分的な拡大が行われると、前記スケール画像生成部は、前記部分的な拡大と同様の拡大率で拡大した前記スケール画像を生成し、前記重畳部は、部分的に拡大された前記画像に拡大した前記スケール画像を重畳することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像表示システムであって、
前記スケール画像生成部は、さらに罫線を表す罫線画像を生成し、
前記重畳部は、前記スケール画像および前記罫線画像を前記画像に重畳することを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
被写体を撮像し、撮像した画像情報を出力する撮像装置であって、
前記被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部と、
前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出部と、
前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像情報であるスケール画像情報を生成するスケール画像生成部と、
撮像した前記画像情報に前記スケール画像生成部が生成した前記スケール画像情報を重畳する重畳部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部を有し、前記被写体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像情報を入力し、前記画像情報に基づいた画像を表示する画像表示装置と、を備えた画像表示システムの制御方法であって、
前記撮像装置は、
前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出ステップと、
前記撮像倍率情報を前記画像表示装置に送信する送信ステップと、
を有し、
前記画像表示装置は、
前記撮像装置から送信された前記撮像倍率情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像であるスケール画像を生成するスケール画像生成ステップと、
前記画像情報に基づく前記画像に前記スケール画像生成ステップによって生成された前記スケール画像を重畳する重畳ステップと、
を有することを特徴とする画像表示システムの制御方法。
【請求項7】
被写体の撮像倍率を変更するための倍率変更部を有し、前記被写体を撮像して、撮像した画像情報を出力する撮像装置の制御方法であって、
前記倍率変更部によって変更された前記撮像倍率を撮像倍率情報として検出する倍率検出ステップと、
前記撮像倍率情報に基づいてスケールを表す画像情報であるスケール画像情報を生成するスケール画像生成ステップと、
撮像した前記画像情報に前記スケール画像生成ステップによって生成された前記スケール画像情報を重畳する重畳ステップと、
を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−70031(P2012−70031A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210512(P2010−210512)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】