説明

画像表示装置及び画像診断装置

【課題】 画像診断に専念できる画像表示装置及び画像診断装置を提供する。
【解決手段】 撮影部6で生成された第1の画像データを画像処理する画像データ処理部71と、第1の画像データ又は画像データ処理部71で画像処理された第2の画像データを表示する第1の表示エリア79及び表示情報を表示する第2の表示エリア80により構成されるモニタ75と、モニタ75に表示するための表示データや診断用データを生成する表示データ生成部73とを備え、表示データ生成部73は、第1の表示エリア79に第1又は第2の画像データを表示すると共に第2の表示エリア80に表示した表示情報をマスク処理して表示するための第1の診断用データの生成、又は第1の表示エリア79に表示した第1又は第2の画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを、第1及び第2の表示エリア79,80に表示するための第2の診断用データの生成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像診断装置に係り、特にX線、MRI、超音波等の撮影によって得られた画像データを表示する画像表示装置及び画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線画像診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置などの画像診断装置においては、これらの画像診断装置の撮影装置から得られた画像データに対して、拡大、縮小、階調などの様々な処理を行い、更には三次元の画像データに処理して表示する画像表示装置を備えている。そして、被検体を撮影して画像表示装置に表示された画像データを読影して画像診断が行われる。
【0003】
X線画像診断装置では、近年ではカテーテルを用いた血管造影検査やIVR(Interventional Radiology)の発展に伴い循環器分野を中心に進歩を遂げている。循環器領域におけるX線画像診断は心血管系をはじめ、全身の動静脈を対象としており、血管内に造影剤を注入した状態で撮影を行い、画像表示装置に表示された血管の画像データを読影して診断が行われ、更に治療が行われる。しかしながら、画像表示装置に表示された画像データの読影等の観察により、観察者の眼が疲れて集中できない問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、画像データが表示される画面の周辺に画面の周辺輝度を検知する周辺輝度測定部と、この周辺輝度測定部で測定された輝度に応じて画像データの輝度を制御する制御回路と、この制御回路からの制御信号に基づいて指定された輝度の画像データを画面に表示する画面表示回路と、画面のピーク輝度を所定の計算式を用いて算出し、制御回路へ送出する演算回路とを設けた画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この画像表示装置では、画面に表示される画像データの輝度を周辺輝度に対して随時自動的に調和させ、常に最適な条件を保つことができるので、観察者の眼の疲れを低減することでできる。
【特許文献1】特開平4−1799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像診断装置の画像表示装置に表示された画像データの周辺には、この画像データの画像処理に関する文字表示されたメニューや小さな絵や記号で彩られたアイコンの操作情報等の表示情報が表示されるため、それらの表示情報が目障りになって診断に集中できない問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、画像診断に専念できるようにした画像表示装置及び画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の本発明の画像表示装置は、画像診断装置から得られた第1の画像データ又はこの第1の画像データを画像データ処理手段により画像処理して生成された第2の画像データを表示する第1の表示エリアと、この第1の表示エリアに表示される前記第1又は第2の画像データを画像処理するための操作情報を含む表示情報を表示する第2の表示エリアとを有する表示手段と、前記第1の表示エリアに前記第1又は第2の画像データを表示すると共に前記第2の表示エリアに表示する前記表示情報を、所定の色又は模様でマスク処理して表示するための第1の診断用データの生成を行う、又は前記第1の表示エリアに表示する前記第1又は第2の画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを表示するための第2の診断用データの生成を行う表示データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の本発明の画像診断装置は、被検体を撮影して第1の画像データを生成する撮影手段と、前記撮影手段により生成された第1の画像データを画像処理して第2の画像データを生成する画像データ処理手段と、前記第1又は第2の画像データを表示する第1の表示エリア、及びこの第1の表示エリアに表示される前記第1又は第2の画像データを画像処理するための操作情報を含む表示情報を表示する第2の表示エリアを有する表示手段と、前記第1の表示エリアに前記第1又は第2の画像データを表示すると共に前記第2の表示エリアに表示する前記表示情報を所定の色又は模様でマスク処理して表示するための第1の診断用データの生成を行う、又は前記第1の表示エリアに表示する前記第1又は第2の画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを表示するための第2の診断用データの生成を行う表示データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮影により得られた画像データ又はこの画像データを画像処理した後の画像データをモニタに表示すると共に画像データの周辺に表示する表示情報のエリアを予め設定した所定の色或いは模様で表示することができる。また、画像データ及び表示情報を表示したエリアに、その画像データを拡大して表示することができる。これにより、診断に、より専念することが可能となり、診断の迅速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明によるX線画像診断装置の実施例を、図1乃至図7を参照して説明する。なお、本発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等の画像診断装置にも適用可能である。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示したブロック図である。このX線画像診断装置100は、被検体PにX線を照射して第1の画像データを生成する撮影部6と、撮影部6で生成された第1の画像データを表示するための表示データや診断に用いる診断用データを生成して表示する画像表示部7と、画像表示部7に表示する診断用データを生成するための診断表示モード(表示情報マスクモード、拡大モード、表示情報及び付帯情報マスクモード)の設定、被検体Pの被検体IDや氏名等の被検体情報、撮影時刻、撮影角度、天板位置、静止画像或いは動画像、動画像の場合のフレームレート及び照射時間等の撮影条件の設定、種々のコマンドの入力等を行う操作部8と、撮影部6及び画像表示部7を統括して制御するシステム制御部9とを備えている。
【0014】
撮影部6は、被検体PにX線を照射するX線発生部1と、被検体Pを透過したX線を二次元的に検出してX線投影データを生成するX線検出部2と、X線発生部1及びX線検出部2を支持するCアーム32aと、被検体Pが載置される天板31aと、X線発生部1におけるX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、Cアーム32aの角度及び天板31aの位置を設定する機構部3と、X線検出部2で生成されたX線投影データから第1の画像データの生成や保存を行なう画像データ生成部5とを備えている。
【0015】
X線発生部1は、陰極(フィラメント)から放出された電子を高電圧により加速し、陽極に衝突させてX線を発生するX線管11と、X線管11と被検体Pの間に位置し、X線管11から発して被検体Pに照射するX線の照射範囲を制限するX線絞り器12とを備えている。
【0016】
そして、静止画像の撮影条件(被検体情報、撮影時刻、画像の拡大率、撮影角度、天板位置等)に基づいて高電圧発生部4から供給される高電圧により、1フレームの画像データを生成するための1ショットのX線を発生する。また、動画像の撮影条件(被検体情報、撮影時刻、画像の拡大率、天板位置、複数の撮影角度、フレームレート、照射時間等)に基づいて高電圧発生部4から各撮影角度で照射時間供給される複数パルスの高電圧により、各撮影角度で照射時間にフレームレートを乗じたフレーム数の画像データを生成するためのX線を発生する。
【0017】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出して光に変換するイメージインテンファイア21と、イメージインテンシファイア21からの光を撮影して電気信号に変換するテレビカメラ22と、テレビカメラ22からの電気信号をデジタル信号に変換する図示しないA/D変換器とを備え、デジタル信号に変換された信号をX線投影データとして画像データ生成部5へ出力する。なお、被検体Pを透過したX線を検出して電荷に変換する平面検出器を用いるようにしてもよい。
【0018】
そして、イメージインテンシファイア21は、X線発生部1のX線管11に対して位置を前後に移動可能な移動機構を備え、X線管11とイメージインテンシファイア21間の距離(SID)を調整できるようになっている。また、イメージインテンシファイア21は、被検体Pを透過したX線を入射する図示しないX線受像面を有し、電極電圧を制御して、X線受像面におけるX線の入力視野サイズ(FOV)を調整できるようになっている。
【0019】
機構部3は、被検体Pが載置された天板31aを長手方向、幅方向、及び上下方向への移動を行う天板移動機構31と、X線発生部1及びX線検出部2を支持するCアーム32aを被検体Pの周囲に回動するCアーム回動機構32と、システム制御部9から供給される制御信号に基づいて天板移動機構31及びCアーム回動機構32を制御するCアーム・天板機構制御部33とを備えている。
【0020】
Cアーム・天板機構制御部33は、天板移動機構31に配置した天板31aの移動距離を検出する例えばエンコーダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づいて天板移動機構31を制御する。この制御により、天板移動機構31は、天板31aを移動して所望の位置に設定する。
【0021】
また、Cアーム回動機構32に配置したCアーム32aの回動角度を検出するエンコーダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づいてCアーム回動機構32を制御する。この制御により、Cアーム回動機構32は、Cアーム32aを回動して、X線発生部1及びX線検出部2を所望の撮影角度に設定する。そして、その撮影角度に設定した角度設定信号をシステム制御部9に出力する。
【0022】
更に、システム制御部9からの制御信号に基づいて被検体Pの診断対象部位に対して最適なSIDを設定する。
【0023】
高電圧発生部4は、X線発生部1のX線管11の陰極から発生する熱電子を加速するために陽極と陰極の間に印加する高電圧を供給する高電圧発生器41と、システム制御部9から供給される制御信号に基づいて高電圧発生器41を制御するX線制御器42とを備えている。
【0024】
高電圧発生器41は、X線制御器42からの制御信号に基づいて、静止画像用のX線を発生させるための高電圧をX線管11に供給する。また、Cアーム32aが回動して各撮影角度に設定された後に、動画像用のフレームレートに対応するパルスの高電圧をX線管11に照射時間供給する。X線制御器42は、システム制御部9から供給される静止画像や動画像の撮影条件の情報に基づいて、高電圧発生器41を制御する。
【0025】
画像データ生成部5は、画像データ記憶回路51を有し、X線検出部2よりライン単位で出力されるX線投影データから画像データを生成し、更にシステム制御部9から供給されるその画像データに対応する撮影条件を付帯した第1の画像データを生成した後、その生成した第1の画像データを画像データ記憶回路51に保存すると共に画像表示部7に出力する。
【0026】
画像表示部7は、撮影部6の画像データ生成部5から出力された第1の画像データを画像処理して第2の画像データを生成する画像データ処理部71と、画像データ処理部71で画像処理するためのメニューやアイコンなどの表示情報を作成する表示情報作成部72と、画像データ処理部71で生成された第2の画像データ及び表示情報作成部72で作成された表示情報を処理して診断用データを生成する表示データ生成部73と、表示データ生成部73で生成された診断用データを変換して映像信号を生成する変換回路74と、この映像信号を表示するモニタ75とを備えている。
【0027】
画像データ処理部71は、画像データ生成部5から出力された第1の画像データを表示データ生成部73に出力する。また、操作部8から画像処理の操作が行われると、画像データ生成部5から出力された第1の画像データに対して、拡大、縮小、階調の調整、ネガ像からポジ像への反転又はその逆への反転、コメントの挿入等の画像処理を行って第2の画像データを生成する。そして、その生成した第2の画像データを表示データ生成部73に出力する。
【0028】
更に、診断表示モードの中から拡大モードが予め設定されている場合に操作部8から診断用データを生成するための診断操作や特定操作が行われると、第1の画像データや第2の画像データである表示画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを生成し、生成した第2の画像データを表示データ生成部73に出力する。なお、特定操作に対応する操作の情報は、予め設定された診断用データを生成するために通常最後に行われる画像処理の操作の情報のことである。
【0029】
表示情報作成部72は、画像処理のメニューを表わした文字情報及びこのメニューに対応する彩られたアイコン等の画像処理を行うための操作情報、画像データ処理部71から出力された表示画像データから診断用データを生成するためのアイコンの操作情報などモニタ75の画面に表示する様々な表示情報を作成して表示データ生成部73に出力する。
【0030】
表示データ生成部73は、画像データメモリ領域及び表示情報メモリ領域を有する表示データ記憶回路73aを備え、画像データ処理部71から出力された表示画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存する。また、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した表示画像データ及び表示情報により構成される表示データを生成し、その生成した表示データを変換回路74に出力する。
【0031】
また、操作部8から診断操作が行われると、画像データ処理部71から出力された表示画像データ及び表示情報作成部72から出力された表示情報に基づいて診断用データを生成する。そして、生成した診断用データを変換回路74に出力する。
【0032】
更に、操作部8から特定操作が行われると、画像データ処理部71から出力された第2の画像データ及び表示情報作成部72から出力された表示情報に基づいて診断用データを生成する。そして、その生成した診断用データを変換回路74に出力する。
【0033】
ここで、診断表示モードの中から表示情報マスクモードが予め設定されている場合、画像データ処理部71から出力された表示画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存すると共に、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した表示画像データ及び表示情報の表示情報の部分を、彩りを抑えた例えば黒色や灰色等の所定の色又は網点、斜線、格子等の所定の模様でマスク処理した第1の診断用データを生成する。
【0034】
また、診断表示モードの中から拡大モードが予め設定されている場合、画像データ処理部71から出力された所定の倍率で拡大した第2の画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域及び表示情報メモリ領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した第2の画像データで構成される第2の診断用データを生成する。
【0035】
更に、診断表示モードの中から表示情報及び付帯情報マスクモードが予め設定されている場合、画像データ処理部71から出力された表示画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存すると共に、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した表示画像データ及び表示情報の、表示情報及び表示画像データの付帯情報の部分を所定の色又は模様でマスク処理した第3の診断用データを生成する。
【0036】
変換回路74は、表示データ生成部73から出力された表示データや診断用データをD/A変換し、更にTVフォーマット変換を行なって映像信号を生成した後、モニタ75に出力する。
【0037】
モニタ75は、液晶パネル或いはCRTを備え、変換回路74から出力された映像信号に変換された表示データや診断用データを表示する。また、診断表示モード及び特定操作の対象となる操作情報を設定する診断用データ設定画面を表示する。
【0038】
操作部8は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスや表示パネル、更には、各種スイッチ等を備えている。そして、診断表示モードの設定操作、特定操作の対象となる操作情報の設定操作、撮影条件の設定操作、各種コマンドの入力操作等を行う。
【0039】
システム制御部9は、図示しないCPU及び記憶回路9aを備え、操作部8から供給される様々な設定操作や入力操作による入力情報を一旦記憶回路9aに保存した後、これらの入力情報に基づいてシステム全体の制御を行なう。
【0040】
次に、図2を参照して、画像表示部7のモニタ75に表示される診断用データ設定画面の一例を説明する。図2に示した診断用データ設定画面90は、診断表示モードを設定するための「診断モード」の欄と、特定操作の対象となる操作情報を設定するための「特定操作」の欄と、各欄に対応する診断表示モード及び操作情報を選択するためのダイアログボックス91及び92とにより構成される。
【0041】
「診断モード」の欄では、第1の診断用データを生成するための「表示情報マスクモード」、第2の診断用データを生成するための「拡大モード」、第3の診断用データを生成するための「表示情報及び付帯情報マスクモード」の中から例えば「表示情報マスクモード」を選択する操作が行われると、選択入力された「表示情報マスクモード」がシステム制御部9の記憶回路9aに保存される。また、「診断モード」の欄に対応するダイアログボックス91内に「表示情報マスクモード」が表示される。
【0042】
「特定操作」の欄では、画像処理するための操作情報の中から例えば「階調操作」の操作情報を選択する操作が行われると、選択入力された「階調操作」の情報が記憶回路9aに保存される。また、「特定操作」の欄に対応するダイアログボックス92内に「階調操作」が表示される。
【0043】
以下、図1乃至図7を参照して、X線画像診断装置100の動作の一例を説明する。図3は、X線画像診断装置100の動作を示したフローチャートである。図4は、モニタ75の画面に表示された表示データの一例を示した図である。図5は、モニタ75の画面に表示された第1の診断用データの一例を示した図である。図6は、モニタ75の画面に表示された第2の診断用データの一例を示した図である。図7は、モニタ75の画面に表示された第3の診断用データの一例を示した図である。
【0044】
システム制御部9の記憶回路9aには、操作部8からの操作により、図2の診断用データ設定画面90で選択入力された「表示情報マスクモード」及び「階調操作」の入力情報が保存されている。また、被検体Pの撮影条件の入力情報が保存されている。
【0045】
図3において、操作部8から撮影開始の操作が行われると、X線画像診断装置100は撮影及び表示の動作を開始する(ステップS1)。
【0046】
システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に被検体Pの撮影を指示する。そして、撮影条件に含まれる天板位置や撮影角度の情報を機構部3のCアーム・天板機構制御部33に供給する。Cアーム回動機構32は、Cアーム・天板制御部33の制御信号により、天板31aを移動して天板位置に設定すると共に、Cアーム32aを回動して撮影角度に設定する。
【0047】
システム制御部9は、被検体PにX線を照射させるための制御信号を撮影部6における高電圧発生部4のX線制御器42に出力する。高電圧発生部4の高電圧発生器41は、X線制御器42からX線照射の情報に基づいて、X線照射用の高電圧をX線発生部1に供給する。X線発生部1は、高電圧発生器41から供給される高電圧に応じたX線を被検体Pに照射する。
【0048】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成し、生成したX線投影データを画像データ生成部5へ出力する。画像データ生成部5は、X線検出部2から出力されたX線投影データから画像データを生成する。次いで、システム制御部9から供給されるその画像データに対応する撮影条件を付帯して第1の画像データを生成し、生成した第1の画像データを画像データ記憶回路51に保存すると共に画像表示部7に出力する(ステップS2)。
【0049】
画像表示部7の画像データ処理部71は、画像データ生成部5から出力された第1の画像データを表示データ生成部73に出力する。表示情報作成部72は、画像データ生成部5から出力された第1の画像データに対応する表示情報を作成して表示データ生成部73に出力する。表示データ生成部73は、画像データ処理部71から出力された第1の画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存すると共に、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報メモリ領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した第1の画像データ及び表示情報により構成される表示データを生成して表示データを変換回路74に出力する。
【0050】
変換回路74は、表示データ生成部73から出力された表示データをD/A変換し、更にTVフォーマット変換を行なって映像信号を生成した後、モニタ75に出力する。モニタ75は、変換回路74から出力された映像信号に変換された表示データを表示する(ステップS3)。
【0051】
図4は、モニタ75の画面に表示された表示データの一例を示した図である。この画面76は、表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に対応する第1の表示エリア79、及び第1の表示エリア79の周辺に配置された表示データ記憶回路73aの表示情報メモリ領域に対応する第2の表示エリア80により構成される表示エリア77を備えている。
【0052】
表示エリア77には、表示データ生成部73で生成された表示データ78が表示されている。第1の表示エリア79には、表示データ78の第1の画像データ81が表示され、第2の表示エリア80には表示データ78の様々なアイコン72aや「ファイル」、「編集」、「観察」、「ウインドウ」、「画像操作」等の表示情報が表示されている。
【0053】
第1の表示エリア79は、第1aの表示エリア79a及びこの第1aの右側に配置される第1bの表示エリア79bにより構成される。そして、第1aの表示エリア79aには第1の画像データ81の画像データ81aが表示され、第1bの表示エリア79bには画像データ81aの付帯情報81bが表示されている。
【0054】
次に、操作部8のマウスを用いて第2の表示エリア80に表示された例えば階調操作用のアイコン72aをクリックして特定操作である階調操作が行われると、画像データ処理部71は、第1の表示エリア79に表示された第1の画像データ81を階調して第2の画像データを生成し、生成した第2の画像データを表示データ生成部73に出力する(図3のステップS4)。
【0055】
表示情報作成部72は、表示情報を作成して表示データ生成部73に出力する。表示データ生成部73は、画像データ処理部71から出力された第2の画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存すると共に、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報メモリ領域に保存する。更に、表示データ記憶回路73aに保存した第2の画像データ及び表示情報の表示情報の部分を例えば黒色でマスク処理した第1の診断用データを生成し、生成した第1の診断用データを変換回路74に出力する。
【0056】
変換回路74は、表示データ生成部73から出力された第1の診断用データをD/A変換し、更にTVフォーマット変換を行なって映像信号を生成した後、モニタ75に出力する。モニタ75は、変換回路74から出力された第1の診断用データを表示する(図3のステップS5)。
【0057】
図5は、モニタ75の画面に表示された第1の診断用データの一例を示した図である。この画面76aの表示エリア77には、表示データ生成部73で生成された第1の診断用データ78aが表示されている。
【0058】
第1の表示エリア79には、第1の診断用データ78aの第2の画像データ82が表示され、第2の表示エリア80は表示データ生成部73のマスク処理により黒色表示されている。
【0059】
第1の表示エリア79の第1aの表示エリア79aには第2の画像データ82の画像データ82aが表示され、第1bの表示エリア79bには画像データ82aの付帯情報81bが表示されている。
【0060】
なお、ステップS4で階調操作の代わりに図4の画面76の第2の表示エリア80に表示された診断用データを生成するためのアイコン72aをクリックする診断操作を操作部8から行うと、同様にして画面76aが表示される。
【0061】
このように、第1の表示エリア79に第2の画像データ82を表示すると共に、表示情報が表示された第2の表示エリア80に彩りを抑えた所定の色又は模様データを表示することができる。
【0062】
図3のステップS6の後に、図5の画面76aに表示された第1の診断用データ78aが被検体Pの診断に有用なデータであると判断されたときに、撮影終了の操作を行う。操作部8から撮影終了の操作が行われると、システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に撮影及び表示の停止を指示する。そして、X線画像診断装置100は、動作を終了する(図3のステップS6)。
【0063】
撮影終了後、操作部8から第1の診断用データ78aを表示させる操作を行うと、表示データ生成部73は、表示データ記憶回路73aから第1の診断用データ78aを読み出して変換回路74を介してモニタ75に表示する。被検体Pの担当医は、モニタ75に表示された第1の診断用データ78aを読影して被検体Pの診断を行う。
【0064】
なお、図2の診断用データ設定画面90で診断表示モードの中から「拡大モード」を選択入力した後、ステップS1乃至S3を実行し、更にステップS4において操作部8から階調操作が行われると、画像データ処理部71は第1の画像データ81を階調した後、所定の倍率で第1の画像データ81を拡大した第2の画像データを生成し、生成した第2の画像データを表示データ生成部73に出力する。
【0065】
表示データ生成部73は、画像データ処理部71から出力される第2の画像データを表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域及び表示情報メモリ領域に保存する。そして、表示データ記憶回路73aに保存した第2の画像データにより構成される第2の診断用データを生成し、生成した第2の診断用データを変換回路74を介してモニタ75に表示する。
【0066】
図6は、モニタ75の画面に表示される第2の診断用データの一例を示した図である。この画面76bの表示エリア77には、表示データ生成部73で生成された第2の診断用データ78bが表示される。この表示エリア77は、第3の表示エリア83及び第4の表示エリア84により構成される。
【0067】
そして、第3の表示エリア83には、図5の画面76aに表示された画像データ82aが所定の倍率で拡大された第2の診断用データ78bの画像データ82bが表示され、第4の表示エリア84には画像データ82bの付帯情報81bが表示される。更に、操作部8から付帯情報消去操作が行われると、第4の表示エリア84は彩りを抑えた所定の色又は模様が表示される。
【0068】
このように、第1の画像データ81及び表示情報が表示された表示エリア77に画像データ82b及び付帯情報81bを表示することができる。更に、付帯情報81bが表示された第4の表示エリア84に所定の色又は模様を表示することができる。
【0069】
次に、図2の診断用データ設定画面90で診断表示モードの中から「表示情報及び付帯情報マスクモード」を選択入力した後、ステップS1乃至S4を実行すると、ステップS5において、表示情報作成部72は、表示情報を生成して表示データ生成部73に出力する。表示データ生成部73は、画像データ処理部71から出力された第2の画像データ82を表示データ記憶回路73aの画像データメモリ領域に保存すると共に、表示情報作成部72から出力された表示情報を表示データ記憶回路73aの表示情報メモリ領域に保存する。更に、表示データ記憶回路73aに保存した第2の画像データ82及び表示情報の内の表示情報及び付帯情報81bの部分を例えば黒色でマスク処理した第3の診断用データを生成し、生成した第3の診断用データを変換回路74を介してモニタ75に表示する。
【0070】
図7は、モニタ75の画面に表示される第3の診断用データの一例を示した図である。この画面76cの表示エリア77には、表示データ生成部73で生成された第3の診断用データ78cが表示される。また、第1aの表示エリア79aには、第3の診断用データ78cの画像データとして図5の画面76aに表示された画像データ82aが表示され、第2及び第1bの表示エリア80,79bは、表示データ生成部73のマスク処理により黒色表示される。
【0071】
このように、第1aの表示エリア79aに画像データ82aを表示すると共に、表示情報及び付帯情報81bが表示された第2及び第1bの表示エリア80,79bに所定の色又は模様データを表示することができる。
【0072】
以上述べた本発明の実施例によれば、操作部8からの診断操作により、撮影部6で生成された第1の画像データ又は画像データ処理部71で画像処理された第2の画像データをモニタ75の第1の表示エリア79に表示すると共に、表示情報が表示された第2の表示エリア80に予め設定された彩りを抑えた所定の色又は模様を表示することができる。
【0073】
また、操作部8からの特定操作により、第2の画像データを第1の表示エリア79に表示すると共に第2の表示エリア80を所定の色又は模様を表示することができる。
【0074】
更に、第1又は第2の画像データ、及び表示情報が表示された表示エリア77に拡大画像データ及び付帯情報を表示することができる。また、付帯情報が表示された第4の表示エリア84に所定の色又は模様を表示することができる。
【0075】
更にまた、第1aの表示エリア79aに第1又は第2の画像データの画像データを表示すると共に、表示情報及び第1又は第2の画像データの付帯情報が表示された第2及び第1bの表示エリア80,79bに予め設定された所定の色又は模様データを表示することができる。
【0076】
これにより、目障りな表示情報、更には付帯情報がモニタ75の画面から取り除かれ、診断に専念することが可能となり、診断を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係るモニタに表示される診断用データ設定画面の一例を示す図。
【図3】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係るモニタの画面に表示される表示データの一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係るモニタの画面に表示される第1の診断用データの一例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係るモニタの画面に表示される第2の診断用データの一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係るモニタの画面に表示される第3の診断用データの一例を示す図。
【符号の説明】
【0078】
P 被検体
1 X線発生部
2 X線検出部
3 機構部
4 高電圧発生部
5 画像データ生成部
6 撮影部
7 画像表示部
8 操作部
9 システム制御部
9a 記憶回路
11 X線管
12 X線絞り器
21 イメージインテンシファイア
22 テレビカメラ
31 天板移動機構
31a 天板
32 Cアーム回動機構
32a Cアーム
33 Cアーム・天板機構制御部
41 高電圧発生器
42 X線制御器
51 画像データ記憶回路
71 画像データ処理部
72 表示情報作成部
73 表示データ生成部
73a 表示データ記憶回路
74 変換回路
75 モニタ
100 X線画像診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置から得られた第1の画像データ又はこの第1の画像データを画像データ処理手段により画像処理して生成された第2の画像データを表示する第1の表示エリアと、この第1の表示エリアに表示される前記第1又は第2の画像データを画像処理するための操作情報を含む表示情報を表示する第2の表示エリアとを有する表示手段と、
前記第1の表示エリアに前記第1又は第2の画像データを表示すると共に前記第2の表示エリアに表示する前記表示情報を、所定の色又は模様でマスク処理して表示するための第1の診断用データの生成を行う、又は前記第1の表示エリアに表示する前記第1又は第2の画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを表示するための第2の診断用データの生成を行う表示データ生成手段とを
備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記画像データ処理手段による画像処理の操作情報を設定する特定操作設定手段を有し、
前記表示データ生成手段は、前記特定操作設定手段により設定された操作情報に基づいて、前記第1又は第2の診断用データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1又は第2の診断用データを生成するための診断表示モード設定手段を有し、
前記表示データ生成手段は、前記診断表示モード設定手段により設定された診断表示モードの情報に基づいて、前記第1又は第2の診断用データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第1の表示エリアは、前記第1又は第2の画像データの付帯情報を表示する付帯情報表示エリア、及び前記第1又は第2の画像データの付帯情報を除く画像データを表示する画像データ表示エリアを有し、
前記表示データ生成手段は、前記画像データ表示エリアに前記画像データを表示すると共に、前記第2の表示エリア及び前記付帯情報表示エリアに表示した前記表示情報及び付帯情報を前記所定の色又は模様でマスク処理して表示するための第2の診断用データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
被検体を撮影して第1の画像データを生成する撮影手段と、
前記撮影手段により生成された第1の画像データを画像処理して第2の画像データを生成する画像データ処理手段と、
前記第1又は第2の画像データを表示する第1の表示エリア、及びこの第1の表示エリアに表示される前記第1又は第2の画像データを画像処理するための操作情報を含む表示情報を表示する第2の表示エリアを有する表示手段と、
前記第1の表示エリアに前記第1又は第2の画像データを表示すると共に前記第2の表示エリアに表示する前記表示情報を所定の色又は模様でマスク処理して表示するための第1の診断用データの生成を行う、又は前記第1の表示エリアに表示する前記第1又は第2の画像データを所定の倍率で拡大した第2の画像データを表示するための第2の診断用データの生成を行う表示データ生成手段とを
備えたことを特徴とする画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−73086(P2008−73086A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252571(P2006−252571)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】