説明

画像表示装置

【課題】設定画面を見易くすることができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段2と、装置全体を制御する制御手段3とを備えた画像表示装置1であって、制御手段3は、画像情報に基づく画像を形成する入力画像形成部321と、設定画面に係る画像を形成する設定画像形成部322と、形成される設定画面に係る画像の階調と、画像情報に係る画像の階調との差が広がるように、当該画像情報に係る画像の階調を調節する階調調節部314と、調節された画像情報に係る画像に、設定画面に係る画像を重畳した表示画像を形成する画像重畳部323と、表示画像を画像表示手段に表示させる表示手段駆動制御部33とを備える。これによれば、表示画像におけるコントラストの違いから設定画面を見易くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段と、装置全体を制御する制御手段とを備えた画像表示装置に関し、特に、設定画面を形成表示可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力する画像情報に応じて画像を形成表示する画像表示装置が知られている。このような画像表示装置として、プロジェクタや各種ディスプレイ等が知られている。
ところで、画像表示装置には、当該画像表示装置が設置される環境や使用条件に合わせて色合いや明るさ等の画像表示に係る情報等を設定可能に構成された画像表示装置が知られており、当該画像表示装置では、画像情報に係る画像中に設定画面を重畳して表示し、当該設定画面上で、各種設定を変更することができる。しかしながら、画像表示装置に入力する画像情報に応じた画像に設定画面に係る画像を重畳すると、当該画像情報に係る画像と、設定画面の画像との輝度及び階調の差が小さい場合には、設定画面が見づらいという問題が生じていた。このような問題に対し、背景画像(画像情報に係る画像)に応じて、表示するOSD(On Screen Display)画像の輝度を変化させる画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の画像表示装置は、DVカメラ(Digital Video Camera)に用いられ、タッチパネル上に表示されるOSD画像である操作ボタン等のソフトウェアキーは、撮像画像(背景画像)に重畳されて表示される。この際、背景画像の平均輝度値が所定の閾値よりも大きい場合、すなわち、背景画像が明るい場合には、OSDに対応する部分の背景画像の輝度を所定量低下させて表示させる。一方、背景画像の平均輝度値が所定の閾値よりも小さい場合、すなわち、背景画像が暗い場合には、OSDに対応する部分の背景画像の輝度を所定量上げて表示させる。これにより、背景画像に重畳され、当該背景画像が透過して見える操作ボタンの見易さを向上している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−350115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示装置では、OSD画像に対応する部分の輝度値が変化することにより、当該OSD画像である操作ボタンが見づらくなるという問題がある。すなわち、OSD画像を表示中では、使用者は、当該OSD画像を注視していることとなるが、背景画像に合わせてOSD画像の輝度が変化すると、当該OSD画像がちらつくように感じられるため、操作ボタンが見づらくなるという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、設定画面を見易くすることができる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段と、装置全体を制御する制御手段とを備えた画像表示装置であって、前記制御手段は、前記画像情報に基づく画像を形成する入力画像形成部と、設定画面に係る画像を形成する設定画像形成部と、形成される前記設定画面に係る画像の階調と、前記画像情報に係る画像の階調との差が広がるように、当該画像情報に係る画像の階調を調節する階調調節部と、調節された前記画像情報に係る画像に、前記設定画面に係る画像を重畳した表示画像を形成する画像重畳部と、前記表示画像を前記画像表示手段に表示させる表示手段駆動制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような設定画面として、画像の表示状態や画像表示装置の駆動状態の設定を変更するメニュー画面の他、各種警告画面及び確認画面等を挙げることができる。
本発明によれば、階調調整部により、入力する画像情報に係る画像の階調と、当該画像に重畳され、同一の画面上に表示される設定画面に係る画像の階調との差が広がるように、画像情報に係る画像の階調が調節される。そして、階調が調節された画像情報に係る画像に、設定画面に係る画像が画像重畳部により重畳され、各画像が重畳された表示画像が、表示手段駆動制御部による制御下で、画像表示手段により表示される。
これによれば、設定画面に係る画像の階調を変化させずに、当該設定画面に係る画像の階調と画像情報に係る画像の階調との差を大きくすることができる。従って、表示画像におけるコントラストの違いから、設定画面に係る画像を見易く、かつ、目立たせることができる。特に、警告等の画面を表示する際には、当該画面を目立たせることができるので、使用者の注意を喚起することができる。
【0009】
本発明では、前記階調調節部は、前記設定画面に係る画像の階調を中心とする所定範囲外となるように、前記画像情報に係る画像の階調を調節することが好ましい。
本発明によれば、設定画面に係る画像の階調を中心とする範囲を適切に設定することにより、例えば、設定画面に係る画像の階調が高い場合、すなわち、当該画像が明るい場合には、画像情報に係る画像の階調を下げて、当該画像を暗くすることができる。また、設定画面に係る画像の階調が低い場合、すなわち、当該画像が暗い場合には、画像情報に係る画像の階調を上げて、当該画像を明るくすることができる。従って、設定画面に係る画像の階調と、画像情報に係る画像の階調とを確実に広げることができるので、設定画面を確実に見易く、かつ、目立たせることができる。
【0010】
本発明では、前記制御手段は、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあるか否かを判定する階調判定部と、前記階調判定部により、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあると判定されると、前記設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定するレベル判定部とを備え、前記階調調節部は、前記レベル判定部により、前記設定画面に係る画像の階調が前記所定レベルより高いと判定されると、前記所定範囲外の階調となるように、前記画像情報に係る画像の階調を下げることが好ましい。
【0011】
ここで、所定レベルは、例えば、全階調の半分の値とすることができる。
本発明によれば、階調判定部により、画像情報に係る画像の階調が前述の所定範囲内である場合には、設定画面に係る画像の階調と画像情報に係る画像の階調とが近接していると判断し、レベル判定部が、設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定することで、当該設定画面に係る画像が明るい画像であるか暗い画像であるかを判断することができる。そして、レベル判定部により、設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いと判断された場合には、画像情報に係る画像の階調を、前述の所定範囲外の階調となるように下げ、当該画像情報に係る画像を暗くする。
これによれば、設定画面に係る画像の階調が高い場合、すなわち、設定画面に係る画像が明るい場合に、当該設定画面に係る画像が重畳される画像情報に係る画像の階調を下げ、当該画像情報に係る画像を暗くすることができる。従って、各画像のコントラストの違いにより、表示画像における設定画面に係る画像を一層確実に見易く、かつ、目立たせることができる。また、このように、設定画面に係る画像を明るく、画像情報に係る画像を暗くすることにより、当該設定画面を浮き上がるように見せることができる。従って、表示画像の周囲が明るい場合や、暗い場合などの画像表示装置の使用環境に依らずに、表示画像中の設定画面をより一層見易くすることができる。
【0012】
本発明では、前記制御手段は、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあるか否かを判定する階調判定部と、前記階調判定部により、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあると判定されると、前記設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定するレベル判定部とを備え、前記階調調節部は、前記レベル判定部により、前記設定画面に係る画像の階調が前記所定レベルより低いと判定されると、前記所定範囲外の階調となるように、前記画像情報に係る画像の階調を上げることが好ましい。
【0013】
ここで、所定レベルは、前述の場合と同様に、例えば、全階調の半分の値とすることができる。
本発明によれば、階調判定部により、画像情報に係る画像の階調が前述の所定範囲内であると判定された場合には、レベル判定部が、設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定する。そして、レベル判定部により、設定画面に係る画像の階調が所定レベルより低いと判断された場合には、画像情報に係る画像の階調を、前述の所定範囲外の階調となるように上げ、当該画像情報に係る画像を明るくする。
これによれば、前述の場合とは逆に、設定画面に係る画像の階調が低い場合、すなわち、設定画面に係る画像が暗い場合に、当該設定画面に係る画像が重畳される画像情報に係る画像の階調を上げ、当該画像を明るくすることができる。従って、各画像が重畳された表示画像において、当該各画像のコントラストの違いにより、設定画面を一層確実に見易く、かつ、目立たせることができる。
【0014】
本発明では、前記画像表示手段は、光源と、当該光源から射出された光束を変調して画像を形成する光変調装置とを備え、前記制御手段は、前記階調調節部により、前記画像情報に係る画像の階調を下げる際に、前記光源から射出される光束の輝度を低減させる輝度調節部を備えることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、階調調節部により画像情報に係る画像の階調が下げられた場合、すなわち、画像表示手段により表示される表示画像において、設定画面に係る画像が明るく、画像情報に係る画像が暗い場合に、輝度調節部が、光源の輝度を低減させる。これによれば、表示画像における設定画面と当該設定画面以外の領域とのコントラストの違いをより顕著にすることができる。従って、表示画像における設定画面を一層見易く、かつ、目立たせることができる。
【0016】
また、光源の輝度が低下することに伴って、当該光源の消費電力を低減することができる。従って、画像表示装置の省電力化を図ることができる。
さらに、このような光源として、LED(Light Emitting Diode)を備えた光源を採用した場合には、高圧水銀ランプ等の放電光源ランプを採用した場合に比べ、更なる省電力化を図ることができるほか、輝度調節時の応答性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)プロジェクタ1の全体構成
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の構成を示すブロック図である。
本実施形態のプロジェクタ1は、入力する画像情報に応じた画像を形成し、当該画像をスクリーンSC等に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、画像表示手段2と、制御手段3と、画像情報入力手段4と、操作手段5とを備えて構成されている。
【0018】
このうち、画像情報入力手段4は、外部機器(図示省略)と有線または無線で接続される各種端子から構成されており、当該各種端子を介して外部機器から入力した画像情報を制御手段3に出力する。
また、操作手段5は、プロジェクタ1の電源のオン/オフを実行させる電源キー、後述する設定画面に含まれる各項目を選択する選択キー、選択された項目を確定させる確定キー、及び、選択項目をキャンセルするキャンセルキー等の各キーを備えて構成されている。そして、操作手段5は、入力されたキーに応じた操作信号を、後述する制御手段3に出力する。
【0019】
(2)画像表示手段2の構成
画像表示手段2は、制御手段3による制御下で、当該制御手段3から入力する画像信号に応じた画像を形成表示する。この画像表示手段2は、光源21と、液晶ライトバルブ22と、投射レンズ23とを備えて構成されている。
光源21は、本実施形態では、複数のLED(Light Emitting Diode)を備えて構成され、当該LEDの点灯は、後述する制御手段3を構成する光源駆動制御部34により制御される。このような光源21から射出された光は、図示しない複数の光学部品を介して、液晶ライトバルブ22の画像形成領域に重畳される。なお、このような光源21は、LD(Laser Diode)等の半導体発光素子で構成することができるほか、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ等の放電光源ランプを用いても構成することができる。
【0020】
液晶ライトバルブ22は、本発明の光変調装置に相当し、後述する制御手段3を構成するライトバルブ駆動制御部33による制御下で、光源21から射出された光束を変調して当該ライトバルブ駆動制御部33に入力する画像信号に応じた画像を形成する。この液晶ライトバルブ22は、詳しい図示を省略したが、液晶パネルと、当該液晶パネルを挟む一対の偏光板とを備えて構成されている。
このうち、液晶パネルは、一対の透明ガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、ライトバルブ駆動制御部33から入力する駆動信号に応じて、画像形成領域内にある液晶の配向状態が制御され、当該液晶パネルの光入射側に位置する偏光板を透過した偏光光束の偏光方向を変調して光学像を形成する。
【0021】
液晶パネルを挟む一対の偏光板は、それぞれ入射した光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。これら偏光板は、例えば、サファイアガラスまたは水晶等の透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。これら偏光板のうち、液晶パネルの光射出側に位置する偏光板は、液晶パネルから射出された光束のうち、入射側の偏光板における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束のみ透過させる。
【0022】
投射レンズ23は、詳しい図示を省略するが、鏡筒内部に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。そして、投射レンズ23は、液晶ライトバルブ22を介して形成された画像光を拡大投射し、当該画像光をスクリーンSC等の画像表示領域上に結像させる。
【0023】
(3)制御手段3の構成
制御手段3は、プロジェクタ1全体の駆動を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等が実装された回路基板として構成されている。この制御手段3は、主制御部31、画像制御部32、ライトバルブ駆動制御部33、光源駆動制御部34及び記憶部35を備えて構成され、これらはバスラインBLで互いに電気的に接続されている。
【0024】
このうち、ライトバルブ駆動制御部33は、本発明の表示手段駆動制御部に相当し、画像制御部32から入力する画像信号に応じた画像を液晶ライトバルブ22に形成させ、画像表示手段2により、当該画像を表示させる。具体的に、ライトバルブ駆動制御部33は、画像制御部32から入力する画像信号に応じて液晶ライトバルブ22の液晶パネルを駆動するための駆動信号を生成し、当該駆動信号を液晶パネルに出力する。
【0025】
光源駆動制御部34は、主制御部31の後述する輝度調節部315から入力する制御信号に応じて、前述の画像表示手段2を構成する光源21の駆動を制御する。具体的に、光源駆動制御部34は、入力する制御信号に応じて、光源21に印加する電圧レベルを制御し、当該光源21から射出される光束の輝度を制御する。また、光源駆動制御部34は、光源21が放電光源ランプで構成されている場合には、当該光源ランプの累積点灯時間を計時する。
【0026】
記憶部35は、プロジェクタ1の駆動に必要なプログラム及びデータを記憶するものであり、駆動データ記憶部351と、動作データ記憶部352とを備えて構成されている。
このうち、駆動データ記憶部351は、ROM(Read Only Memory)により構成され、当該駆動データ記憶部351には、プロジェクタ1の駆動時に読み出される各種プログラムやデータが記憶されている。例えば、このような駆動データ記憶部351には、後述する設定画面の画像データ、状態監視処理Sを実行するためのプログラム、及び、光源21の初期状態の発光輝度等が記憶されている。
動作データ記憶部352は、RAM(Random Access Memory)で構成され、プロジェクタ1の動作時に実行されるプログラム及びデータの一部が記憶されるワークメモリとして利用される。また、この動作データ記憶部352には、後述する設定画面表示処理S2の実行時において、設定された画像の階調及び光源21の発光輝度等が記憶される。
【0027】
(3-1)主制御部31の構成
主制御部31は、制御手段3全体の動作を制御し、ひいては、プロジェクタ1全体の動作を制御する。この他、主制御部31は、後述する状態監視処理Sを実行するため、状態判定部311、階調判定部312、レベル判定部313、階調調節部314及び輝度調節部315を備えている。
【0028】
状態判定部311は、プロジェクタ1の動作状態を監視し、異常が生じたか否かを判定する。具体的に、状態判定部311は、光源21を交換するための蓋が開放されている場合、プロジェクタ1の内部温度が高温状態となった場合、及び、光源21の寿命が近づいている場合等に、異常が生じたと判断し、警告画面を表示する後述する設定画面表示処理S2を実行する。また、状態判定部311は、操作手段5から入力する操作信号に基づいて、各種設定を行うメニュー画面を表示する必要があるか否かを判定し、当該メニュー画面を表示する必要があると判断した場合には、設定画面表示処理S2を実行し、当該処理S2において、画像制御部32の設定画像形成部322に制御信号を出力し、当該設定画像形成部322に設定画像を形成させる。なお、以下の説明で、設定画面とは、警告画面及びメニュー画面を含めた画面を示している。
【0029】
階調判定部312は、後述する設定画面表示処理S2において、設定画面を表示する際に、設定画面に係る画像(以下、「設定画像」と略す場合がある)における階調(例えば、平均階調)と、画像情報入力手段4に入力した画像情報に係る画像(以下、「入力画像」と略す場合がある)の階調(例えば、最高階調)とをそれぞれ取得し、当該各階調の差が、所定範囲内にあるか否かを判定する。本実施形態では、階調判定部312は、入力画像の階調が、設定画像の階調を中心とする±50%以内にあるか否かを判定する。
【0030】
ここで、詳しくは後述するが、本実施形態のプロジェクタ1では、設定画像は、入力画像に重畳されて表示される。この際、重畳された表示画像の領域において、入力画像は、設定画像を透過しない。このため、設定画像と入力画像との階調値が、それぞれ近接している場合には、設定画面が見づらくなり、使用者の注意を喚起することが難しくなる。このような問題から、主制御部31及び後述する画像制御部32では、設定画像の階調を固定し、当該設定画像の背景として表示される入力画像の階調を調節することにより、設定画面の見易さを向上している。
なお、階調判定部312は、本実施形態では、入力画像において設定画像が重畳される領域以外の各画素のうち、最も高いグレースケールの階調を有する画素の階調を、入力画像の階調とし、また、設定画像の各画素におけるグレースケールの平均階調を、設定画像の階調としている。
【0031】
レベル判定部313は、階調判定部312により、設定画像の階調と入力画像の階調との差が所定範囲内であると判断された場合に、当該設定画像の階調が、所定レベル以上であるか否かを判定する。具体的に、本実施形態では、所定レベルとして全階調の中央の値である50%が設定されており、レベル判定部313は、表示すべき設定画像の階調が所定レベルである50%より高いか否かを判定する。なお、当該所定レベルは、適宜設定してよい。
【0032】
階調調節部314は、入力画像の階調と設定画像の階調との差が、前述の階調判定部312で判定された範囲外となるように、入力画像の階調を設定する。そして、階調調節部314は、画像制御部32の入力画像形成部321に制御信号を出力して、設定された階調となる入力画像を形成させる。
具体的に、階調調節部314は、レベル判定部313により、設定画像の階調が所定レベルより高いと判断された場合に、画像制御部32により、階調を下げた入力画像を形成させる。例えば、所定範囲が設定画像の階調を中心とする±50%以内であり、所定レベルが全階調の50%の値である設定条件において、設定画像の階調が全階調の70%であり、入力画像の階調が全階調の60%である場合には、入力画像の階調が前述の所定範囲内にあり、かつ、設定画像の階調が所定レベルである50%を越えているので、階調調節部314は、入力画像の階調を前述の所定範囲外にするように、当該階調を設定画像の階調より全階調の50%に相当する階調分低い、全階調の20%に設定し、当該階調を最高階調とする入力画像を形成させる。
【0033】
一方、レベル判定部313により、設定画像の階調が所定レベル以下であると判断された場合に、階調調節部314は、画像制御部32により、階調を上げた入力画像を形成させる。例えば、前述の設定条件において、設定画像の階調が全階調の45%であり、入力画像の階調が全階調の60%である場合には、入力画像の階調が前述の所定範囲内にあり、かつ、設定画像の階調が所定レベルである50%を下回っているので、階調調節部314は、入力画像の階調を前述の所定範囲外にするように、当該階調を設定画像の階調より全階調の50%に相当する階調分高い、全階調の95%に設定し、当該階調を最高階調とする入力画像を形成させる。
なお、前述の所定範囲及び所定レベルは、適宜設定してよい。
【0034】
輝度調節部315は、階調調節部314により入力画像の階調が調節された際に、光源駆動制御部34により、光源21の発光輝度を調節する。
具体的に、輝度調節部315は、階調調節部314が入力画像の階調を下げた場合に、光源21の発光輝度を所定レベル下げる。また、輝度調節部315は、階調調節部314が入力画像の階調を上げた場合で、かつ、光源21の発光輝度が下げられている場合には、当該光源21の発光輝度を、記憶部35の動作データ記憶部352に記憶された通常レベルに上げる。これにより、表示画像中の設定画面の領域と当該設定画面以外の領域とのコントラスト差が顕著となり、当該設定画面を一層認識しやすくすることができる。
【0035】
(3-2)画像制御部32の構成
画像制御部32は、主制御部31による制御下で、画像情報入力手段4から入力する画像情報に応じた画像を形成するほか、必要に応じて前述の各設定画面に係る画像を形成し、当該設定画像を入力画像中に重畳した表示画像を形成して、ライトバルブ駆動制御部33を介して、当該表示画像を画像表示手段2により表示させる。
この画像制御部32は、入力画像形成部321、設定画像形成部322及び画像重畳部323を備えて構成されている。
【0036】
入力画像形成部321は、画像情報入力手段4から入力した画像情報を処理して、ライトバルブ駆動制御部33で処理される画像信号を生成する。例えば、入力画像形成部321は、入力した画像情報に係る画像の解像度が、液晶ライトバルブ22で形成される画像の解像度と一致しない場合には、当該液晶ライトバルブ22の解像度に合わせる解像度調整を行う。また、入力画像形成部321は、入力した画像情報に対して、コントラスト調整、シャープネス調整等の各画質調整を行う。さらに、入力画像形成部321は、前述の主制御部31を構成する階調調節部314から入力する制御信号に応じて、当該階調調節部314により設定された階調の入力画像を形成する。
【0037】
この入力画像形成部321は、階調調節部314により階調が設定されている場合には、当該階調に応じて、入力画像の各画素の階調を調整する。
具体的に、調整前の入力画像の階調(最高階調)が60%であり、階調調節部314により設定された階調が10%である場合には、形成される入力画像の各画素の階調が、それぞれ10/60倍となるように、各画素の階調を調整した入力画像を形成する。
逆に、調整前の入力画像の階調(最高階調)が60%であり、設定された階調が95%である場合には、形成される入力画像の各画素の階調が、それぞれ95/60倍となるように、各画素の階調を調整した入力画像を形成する。
【0038】
設定画像形成部322は、主制御部31の状態判定部311から入力する制御信号に応じた設定画像を形成する。具体的に、設定画像形成部322は、当該制御信号に応じて、記憶部35の駆動データ記憶部351に記憶された設定画像データを読出し、当該設定画像データに基づく設定画像を形成する。そして、設定画像形成部322は、形成した設定画像を、画像重畳部323に出力する。
【0039】
図2は、画像重畳部323により入力画像に設定画像が重畳された表示画像を示す図である。
画像重畳部323は、設定画像形成部322から設定画像が入力した場合には、図2に示すように、入力画像形成部321により形成された入力画像A2に、当該設定画像A3を重畳させた表示画像A1を形成し、当該表示画像に係る画像信号をライトバルブ駆動制御部33に出力する。ここで、画像重畳部323が形成する表示画像A1は、入力画像A2の一部が設定画像A3によって覆われた画像であり、当該設定画像A3の領域には、入力画像A2が透過しない。
なお、画像重畳部323は、設定画像形成部322から設定画像が入力しない場合、すなわち、設定画像形成部322で設定画像が形成されていない場合には、入力画像形成部321で形成された入力画像に係る画像信号を、ライトバルブ駆動制御部33に出力する。
【0040】
(4)状態監視処理S
次に、制御手段3により実行される状態監視処理Sについて説明する。
図3は、状態監視処理Sの処理過程を示すフローチャートである。
制御手段3は、以下に示す状態監視処理Sを常に実行し、使用者の操作及びプロジェクタ1の駆動状態を監視している。この状態監視処理Sは、プロジェクタ1の電源オン時に読み出される記憶部35の駆動データ記憶部351に記憶された状態監視プログラムに沿って実行される。
【0041】
この状態監視処理Sでは、図3に示すように、まず、制御手段3を構成する主制御部31の状態判定部311が、プロジェクタ1の駆動状態や操作手段5から入力する操作信号に基づいて、前述の設定画面を表示するか否かを判定する(ステップS1)。そして、状態判定部311が、設定画面を表示する必要がないと判断すると、状態監視処理Sは判定処理を一旦終了し、プロジェクタ1の状態監視を続行する。
一方、状態判定部311がプロジェクタ1の駆動状態において異常が生じたと判断した場合、あるいは、操作手段5から設定画面を表示する操作信号が入力された場合には、当該各状態に応じた設定画面を表示する設定画面表示処理S2を実行する。
【0042】
図4は、設定画面表示処理S2の処理過程を示すフローチャートである。
この設定画面表示処理S2では、図4に示すように、まず、主制御部31を構成する階調判定部312が、入力画像の階調及び表示する設定画像の階調をそれぞれ取得する(ステップS201,S202)。
この後、階調判定部312は、入力画像の階調が、設定画像の階調を中心とする前述の所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、階調判定部312が、入力画像の階調が前述の所定範囲内にないと判断した場合には、入力画像の階調と設定画像の階調とが充分に離れ、当該入力画像の階調を変更する必要がないと判断し、制御手段3は、後述するステップS213に移行する。
【0043】
一方、階調判定部312が、入力画像の階調が前述の所定範囲内にあると判定した場合には、制御手段3は、当該入力画像の階調と設定画像の階調とが近接しており、階調調節を行わないと、入力画像に重畳される設定画像が認識しづらいため、入力画像の階調を変更する必要があると判断する。そして、レベル判定部313が、設定画像の階調が所定レベルより大きいか否か、すなわち、設定画像が所定レベルより明るいか否かを判定する(ステップS204)。
【0044】
このステップS204の判定処理において、レベル判定部313が、設定画像の階調が所定レベルより高いと判定した場合には、階調調節部314は、前述の所定範囲外で、かつ、設定画像の階調より低い値に、入力画像の階調を設定する(ステップS205)。また、この際、輝度調節部315が、前述のように、光源21の発光輝度を低減させる(ステップS206)。
【0045】
一方、ステップS204の判定処理において、レベル判定部313が、設定画像の階調が所定レベル以下であると判定した場合には、階調調節部314は、前述の所定範囲外で、かつ、設定画像の階調より高い値に、入力画像の階調を設定する(ステップS207)。また、この際、輝度調節部315は、既に光源21の発光輝度が下げられている場合には、当該発光輝度を駆動データ記憶部351に記憶された変更前の発光輝度に戻す(ステップS208)。
【0046】
これらステップS206またはS208の後、画像制御部32を構成する入力画像形成部321が、階調調節部314により設定された階調の入力画像を形成し(ステップS209)、また、設定画像形成部322が、状態判定部311から入力する制御信号に応じた設定画像を形成する(ステップS210)。そして、画像重畳部323が、形成された入力画像における所定の位置に、形成された設定画像を重畳した表示画像の画像信号を生成し、生成した画像信号をライトバルブ駆動制御部33に出力する(ステップS211)。この後、ライトバルブ駆動制御部33は、入力した画像信号に基づく表示画像を液晶ライトバルブ22により形成させ、当該表示画像は、投射レンズ23により、スクリーンSC等の画像表示領域上に投影表示される(ステップS212)。
【0047】
ここで、設定画面の表示時に入力画像の階調を調節しない場合と、当該階調を調節した場合のそれぞれの表示画像について説明する。
図5は、設定画像が重畳される前の入力画像の階調を示すグラフである。また、図6は、図5に階調を示した入力画像に、背景が白い設定画像を重畳した表示画像の階調を示すグラフである。さらに、図7は、図6の階調状態にある表示画像を示す図である。なお、図5及び図6においては、所定数の画素を1つの画素群としてまとめ、それぞれの画素群の階調をグラフとして示している。
図5に示す最高階調が100%である入力画像に対して、背景が白く平均階調が95%の設定画像を重畳した表示画像では、図6に示すように、設定画像の階調と入力画像の階調との差が小さい。このような表示画像では、図7に示すように、当該表示画像B1中の設定画面B3が入力画像である他の領域B2に比べて目立たない。このため、使用者にとって設定画面B3が見づらいとともに、当該設定画面B3に使用者の注意を向けさせづらい。
【0048】
図8は、階調調節後の入力画像の階調を示すグラフである。また、図9は、図8に階調を示した入力画像に図6と同じ背景が白い設定画像を重畳した表示画像の階調を示すグラフである。
ここで、図8に示すように、前述の最大階調が100%である入力画像の階調を、表示すべき平均階調が95%の設定画像に合わせて階調を調節し、当該入力画像に前述の平均階調が95%の設定画像を重畳すると、図9に示すように、設定画像の階調と入力画像の階調との差が大きくなる。このような表示画像A1では、図2において示したように、表示画像A1中の設定画面A3が入力画像である他の領域A2に比べて目立つので、設定画面A3を見やすくすることができるとともに、当該設定画面A3に使用者の注意を向けさせることができる。
【0049】
次に、図4に戻り、状態判定部311が、設定画面を非表示にするか否かを判定する(ステップS213)。具体的に、状態判定部311は、プロジェクタ1に生じていた異常が解消した否か、また、使用者の操作により操作手段5から設定画面を閉じる操作信号が入力したか否かを判定する。
ここで、状態判定部311が、まだ設定画面を表示する必要があると判断した場合、すなわち、プロジェクタ1の異常が解消していない、あるいは、設定画面を閉じる操作信号が入力していないと判断した場合には、ステップS201に戻り、制御手段3が当該ステップS201から設定画面表示処理S2を続行する。
一方、状態判定部311が、設定画面を非表示にする必要があると判断した場合、すなわち、プロジェクタ1の異常が解消した、あるいは、設定画面を閉じる操作信号が入力したと判断した場合には、制御手段3は、設定画面非表示処理S3を実行する。
【0050】
図10は、設定画面非表示処理S3の処理過程を示すフローチャートである。
設定画面非表示処理S3では、図10に示すように、まず、制御手段3の主制御部31を構成する状態判定部311が、画像制御部32の設定画像形成部322に制御信号を出力し、当該設定画像形成部322による設定画像形成を停止させる(ステップS301)。これにより、表示画像に設定画像が含まれなくなる。
【0051】
次に、階調調節部314による入力画像の階調調整を停止し、入力画像形成部321が画像情報入力手段4から入力する画像情報に応じた画像を形成する(ステップS302)。すなわち、入力画像形成部321は、調整されていた階調から、画像情報に応じた入力画像の階調に復元する。なお、この際には、入力画像形成部321は、前述の解像度調整、コントラスト調整及びシャープネス調整等の画質調整は実行する。
【0052】
この後、主制御部31の輝度調節部315が、光源21の発光輝度を、記憶部35の駆動データ記憶部351に記憶された通常レベルに設定し、設定画面が表示される前の光源21の発光輝度に戻す(ステップS303)。
以上により、状態監視処理Sが終了するが、当該状態監視処理Sは、前述のように、プロジェクタ1の電源がオンされている状態では、常に実行されており、ステップS1にて、状態判定部311により、設定画面を表示する必要があると判断された場合には、設定画面表示処理S2が実行されることとなる。
【0053】
以上のような本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、警告画面やメニュー画面等の設定画面を入力画像に重畳させて表示する際に、制御手段3を構成する主制御部31の階調調節部314が、入力画像の階調を、当該階調と設定画面に係る画像の階調との差が広がるように調節する。これによれば、設定画面に係る画像の階調が変更されることなく、設定画像が重畳される入力画像の階調が調節されるので、各画像のコントラストの違いを大きくすることができる。従って、設定画面を見易くすることができる。また、これにより、設定画面として警告画面を表示する際には、当該警告画面を目立たせることができる。さらに、この階調の調節時には、設定画面に係る画像の階調は変更されることがないので、設定画面がちらつくことを防ぐことができる。
【0054】
また、入力画像の階調を調節する際には、設定画像の階調を中心とする所定範囲(本実施形態では、±50%の範囲)外の階調となるように、階調調節部314が、入力画像の階調を調節する。これによれば、設定画像の階調と入力画像の階調との差が小さい場合に、入力画像の階調を確実に設定画像の階調から遠ざけ、当該各画像のコントラストの違いを確実に大きくすることができる。従って、入力画像に重畳される設定画像を、一層確実に見易くすることができる。
【0055】
また、設定画面を表示する際には、主制御部31の階調判定部312が、表示する設定画像の階調を中心とする前述の所定範囲内に、入力画像の階調があるか否かを判定する。そして、当該所定範囲内に入力画像の階調がないと判定した場合には、各画像の階調の差が充分に開いていると判断して、階調調節を行わずに、画像制御部32の入力画像形成部321及び設定画像形成部322のそれぞれにより形成された入力画像及び設定画像を、画像重畳部323により重畳して表示画像を形成し、ライトバルブ駆動制御部33による制御下で、画像表示手段2により表示させる。
これによれば、表示する設定画像の階調と入力画像の階調との差が充分に開いている場合には、階調調節部314による入力画像の階調調節を省略することができる。従って、設定画面表示に係る処理を簡略化することができる。
【0056】
一方、階調判定部312により、入力画像の階調が前述の所定範囲内にあると判定された場合には、主制御部31のレベル判定部313が、設定画像の階調が所定レベル(本実施形態では、50%の階調値)より大きいか否かを判定する。このレベル判定部313による判定は、設定画像が明るい画像であるか暗い画像であるかを判定するものであり、当該設定画像の階調が所定レベルより大きいと判定された場合、すなわち、設定画像が明るい画像であると判定された場合には、前述の所定範囲外となるように下げた階調を、階調調節部314が入力画像の階調として設定する。そして、当該設定された階調の画像となるように、入力画像形成部321が入力画像を形成する。
【0057】
これによれば、設定画像が明るい場合には、暗い入力画像を形成することができるので、各画像のコントラストの違いをより確実に生じさせることができる。従って、入力画像と設定画像とが重畳された表示画像において、設定画面を一層確実に見易くすることができる。また、入力画像の略中央に設定画像が重畳される場合には、設定画像の周囲に暗い画像が位置することとなるので、プロジェクタ1の投影環境、すなわち、表示画像の表示環境に依らずに、コントラストの違いから、設定画面を一層見易くすることができる。
【0058】
他方、階調判定部312により、入力画像の階調が前述の所定範囲内にあると判定され、レベル判定部313により、設定画像の階調が前述の所定レベル以下であると判定された場合には、階調調節部314が、前述の所定範囲外となるように上げた階調を入力画像の階調として設定する。そして、入力画像形成部321が、当該設定された階調の画像となるように入力画像を形成する。これによれば、表示する設定画像が暗い場合に、当該設定画像が重畳される入力画像を確実に明るくすることができる。従って、前述の場合と同様に、入力画像と設定画像とのコントラストの違いを確実に生じさせることができるので、各画像が重畳された表示画像において、設定画面をより確実に見易くすることができる。
【0059】
また、階調調節部314により、入力画像の階調を下げる設定がされた場合には、主制御部31の輝度調節部315が、光源21の輝度を低減させる。これによれば、設定画像と入力画像とのコントラストの違いをより顕著にすることができる。従って、表示画像中の設定画面を一層見易くすることができる。さらに、光源21の発光輝度が低下することに伴って、当該光源21の消費電力が低下することとなり、プロジェクタ1の省電力化を図ることができる。加えて、光源21はLEDを備えて構成されているので、輝度調節時の応答性を高めることができるほか、放電光源ランプを採用した場合に比べ、一層の省電力化を図ることができる。
【0060】
(5)実施形態の変形
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、設定画像の階調の±50%の範囲内に入力画像の階調がある場合に、階調調節部314が、入力画像の階調を当該範囲外に出すように、設定画像の階調の±50%とした値を入力画像の階調とするように調節したが、本発明はこれに限らない。例えば、当該範囲内に入力画像の階調がある場合に、当該入力画像の最高階調を所定レベルに合わせるようにしてもよい。このような場合、入力画像の他の階調は圧縮してもよく、当該所定レベル分を減算した値としてもよい。
【0061】
前記実施形態では、入力画像の画素の最高階調を当該入力画像の階調としたが、本発明はこれに限らない。例えば、入力画像の階調として、当該入力画像の各画素の平均階調としてもよい。
また、前記実施形態では、設定画像及び入力画像の階調をグレースケールの階調としたが、本発明はこれに限らず、R(赤)、G(緑)、B(青)の所定の色の階調としてもよく、また、これらの平均階調としてもよい。
【0062】
前記実施形態では、設定画像が重畳された表示画像の表示中に、常に入力画像の階調を調節するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、一度設定された入力画像の階調は、表示画像の表示中は変更しないようにしてもよい。同様に、一度設定された光源21の輝度は、当該表示画像の表示中は変更しないようにしてもよい。
また、前記実施形態では、入力画像の階調の調節に合わせて光源21の輝度を調節しているが、本発明はこれに限らず、入力画像の階調の調節のみ行い、光源21の輝度の調節は行わない構成としてもよい。
【0063】
前記実施形態では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ22を備えたプロジェクタ1を例示したが、反射型の液晶ライトバルブを採用してもよい。また、光源21から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成可能な光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶層以外の光変調装置を用いたプロジェクタにも、本発明を適用することも可能である。
【0064】
前記実施形態では、画像表示装置として、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタを例示したが、本発明はこれに限らず、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
また、プロジェクタに限らず、液晶、有機EL(ElectroLuminescence)、プラズマ、CRT(Cathode-Ray Tube)等の各種ディスプレイにも本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、設定画面を形成表示する画像表示装置に利用でき、詳しくは、当該設定画面を、入力する画像情報に係る画像に重畳させて表示させる画像表示装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における入力画像に設定画像が重畳された表示画像を示す図。
【図3】前記実施形態における状態監視処理の処理過程を示すフローチャート。
【図4】前記実施形態における設定画面表示処理の処理過程を示すフローチャート。
【図5】前記実施形態における設定画像が重畳される前の入力画像の階調を示すグラフ。
【図6】前記実施形態における入力画像に設定画像を重畳した表示画像の階調を示すグラフ。
【図7】前記実施形態における階調調節前の表示画像を示す図。
【図8】前記実施形態における階調調節後の入力画像の階調を示すグラフ。
【図9】前記実施形態における階調調節後の入力画像に設定画像を重畳した表示画像の階調を示すグラフ。
【図10】前記実施形態における設定画面非表示処理の処理過程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0067】
1…プロジェクタ(画像表示装置)、2…画像表示手段、3…制御手段、21…光源、22…液晶ライトバルブ(光変調装置)、33…ライトバルブ駆動制御部(表示手段駆動制御部)、312…階調判定部、313…レベル判定部、314…階調調節部、315…輝度調節部、321…入力画像形成部、322…設定画像形成部、323…画像重畳部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段と、装置全体を制御する制御手段とを備えた画像表示装置であって、
前記制御手段は、
前記画像情報に基づく画像を形成する入力画像形成部と、
設定画面に係る画像を形成する設定画像形成部と、
形成される前記設定画面に係る画像の階調と、前記画像情報に係る画像の階調との差が広がるように、当該画像情報に係る画像の階調を調節する階調調節部と、
調節された前記画像情報に係る画像に、前記設定画面に係る画像を重畳した表示画像を形成する画像重畳部と、
前記表示画像を前記画像表示手段に表示させる表示手段駆動制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記階調調節部は、
前記設定画面に係る画像の階調を中心とする所定範囲外となるように、前記画像情報に係る画像の階調を調節することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置において、
前記制御手段は、
前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあるか否かを判定する階調判定部と、
前記階調判定部により、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあると判定されると、前記設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定するレベル判定部とを備え、
前記階調調節部は、
前記レベル判定部により、前記設定画面に係る画像の階調が前記所定レベルより高いと判定されると、前記所定範囲外の階調となるように、前記画像情報に係る画像の階調を下げることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像表示装置において、
前記制御手段は、
前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあるか否かを判定する階調判定部と、
前記階調判定部により、前記画像情報に係る画像の階調が前記所定範囲内にあると判定されると、前記設定画面に係る画像の階調が所定レベルより高いか否かを判定するレベル判定部とを備え、
前記階調調節部は、
前記レベル判定部により、前記設定画面に係る画像の階調が前記所定レベルより低いと判定されると、前記所定範囲外の階調となるように、前記画像情報に係る画像の階調を上げることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記画像表示手段は、
光源と、当該光源から射出された光束を変調して画像を形成する光変調装置とを備え、
前記制御手段は、
前記階調調節部により、前記画像情報に係る画像の階調を下げる際に、前記光源から射出される光束の輝度を低減させる輝度調節部を備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−83653(P2008−83653A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266789(P2006−266789)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】