画像表示装置
【課題】3次元幾何学位置関係をわかりやすくし、特に血管断面画像と血管投影画像との関係をわかりやすくして表示することのできる画像表示装置及び画像表示方法を提供する。
【解決手段】CTボリュームデータ取得部21で取得されたボリュームデータから複数の断面画像と投影画像が画像作成部27で作成される。これら複数の断面画像及び投影画像はモニタ30に表示される。そして、モニタ30に表示された前記複数の断面画像に於いて、操作部23により特定の点がクリックされると、このクリックに対応してモニタ30に表示されている投影画像上に線が表示される。
【解決手段】CTボリュームデータ取得部21で取得されたボリュームデータから複数の断面画像と投影画像が画像作成部27で作成される。これら複数の断面画像及び投影画像はモニタ30に表示される。そして、モニタ30に表示された前記複数の断面画像に於いて、操作部23により特定の点がクリックされると、このクリックに対応してモニタ30に表示されている投影画像上に線が表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関し、より詳細には、血管内治療、特に完全閉塞の通過のためのワイヤルート計画線の描写の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、血管内治療という治療方法が知られている。この治療方法は、血管内にガイドワイヤ(以下、ワイヤと記載する)やカテーテルといったデバイスを挿入して進め、そのデバイスで患部を治療することにより、開腹治療よりも低侵襲で同等の治療効果が得られることから、近年急速に拡大している治癒法である。この治療の治療計画を練る際には、将来的にはCT画像を用いて行うことが主流となる。
【0003】
CT画像とは、人体の周囲360度に渡るX線投影画像を収集し、これを再構成演算して2次元の断層画像に再構成するCT(Computed Tomography)装置によって撮像、再構成したボリューム(3D)データである。ボリュームデータでは、血管断面画像を観察することができるので、非常に便利である。
【0004】
例えば、血管が完全に詰まってしまう完全閉塞症の治療では、図18に示されるように、術者はCTボリュームデータから血管断面画像1を作成して、この血管断面画像1に於いて血管2の詰まっている部分の硬い部分(石灰化部分等)5や柔らかい部分(ソフトプラーク等)6を観測し、血管2の何れかの側にワイヤを進めていったら良いかを計画している。この図の例では、血管中心線3より左側の繊維化した部分4が、ワイヤを通しやすい部分であることがわかる。公知文献としては、例えば下記非特許文献1がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Morton J.Kern, 「心臓カテーテルハンドブック」医学書院
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した血管断面画像で治療計画を立てた術者が、実際の治療のためにカテーテル室に入ると、カテーテル室のX線撮像システムによりリアルタイムで得られる画像は、血管断面画像ではなく血管投影画像である。このため、術者は、計画時の断面画像と現在見えている投影画像との間の3次元幾何学位置関係の変換を頭の中で行い、計画した血管断面画像から目の前に表示されている血管投影画像に、治療計画を変換する必要がある。
【0007】
しかしながら、こうした頭の中での変換作業は、特に若い術者にとっては苦痛であり、迷ったり間違えたりするリスクがある。
【0008】
したがって、本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、3次元幾何学位置関係をわかりやすくし、特に血管断面画像と血管投影画像との関係をわかりやすくして表示することのできる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る画像表示装置は、ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記複数の断面画像上に複数の点を指定する指定手段と、前記指定された複数の点をつなげることで、ワイヤを通す計画を示す計画線を前記表示手段に表示されている前記投影画像上に表示する制御手段と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、3次元幾何学位置関係をわかりやすくし、特に血管断面画像と血管投影画像との関係をわかりやすくして表示することのできる画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図、(b)は本発明の第4の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、(a)はCT装置の例を示した図、(b)はボリュームデータの例を示した図、(c)は血管断面画像の例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、複数の血管断面画像の例を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於けるワイヤ計画線の曲線の算出について説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図7】投影画像上に表示される2つの線の表示例を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に於いてモニタに表示される画像の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、複数の血管断面画像の例を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に於ける血管投影画像の例を示した図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に於ける3次元幾何学関係を説明するための図である。
【図15】投影線と血管断面画像との関係を示した図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に於いてモニタに表示される画像の例を示した図である。
【図18】完全閉塞症の血管断面画像の例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1(a)に於いて、画像表示装置20は、CTボリュームデータ取得部21と、システム制御部22と、操作部23と、画像記憶部24と、演算部25と、画像作成部27と、表示制御部28と、モニタ30とを有して構成される。
【0015】
前記CTボリュームデータ取得部21は、CT装置10より所望のCTボリュームデータを取得するためのものである。システム制御部22は、この画像表示装置20全体の制御動作を司るものである。操作部23は、血管断面上でワイヤ計画線をクリックするための操作や、画像の選択等を行うためのものでコントロールパネル等により構成される。
【0016】
画像記憶部24は、前記ワイヤ計画線用に座標及び画像を記憶する記憶手段である。また、演算部25は、3D画像に於ける曲線を演算する等、各種演算を行うためのものである。画像作成部27は、画像記憶部24と共にモニタ30に表示すべく画像を作成する。表示制御部28は、前記画像記憶部24及び画像作成部27で作成された3D画像の断面画像をモニタ17に表示するものである。更に、モニタ30は、表示制御部28を介して出力された3D画像等を画面上に表示するものである。
【0017】
次に、図2のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明する。
【0018】
先ず、ステップS1にて、CT装置10よりCTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから、血管断面画像が作成される。すなわち、図3(a)に示されるCT装置10から、図3(b)に示されるようなボリュームデータ35が得られる。そして、このボリュームデータ35から、システム制御部22によって血管36内の血管中心線37が抽出される。次いで、該血管中心線37に垂直なMPR画像が作成されて、これが図3(c)に示されるような血管断面画像38となる。
【0019】
次に、ステップS2にて、前記ステップS1で得られたCTボリュームデータ35から、投影画像が作成される。この投影画像作成については、一般的なCT画像表示の動作と同様である。
【0020】
ステップS3では、血管断面画像38上で、ワイヤ計画線がクリックされる。ここでは、図4に示されるように、複数の血管断面画像38上で、術者によりワイヤを通していきたい任意の点が順次クリックされる。このクリックされた点を連続してつなげたものがワイヤ計画線であり、この場合、ワイヤ計画線41の場所は、血管36内で、例えば石灰化した部分40を避けた部分に作成される。
【0021】
このワイヤ計画線の作成にあたり、先ず、ある血管断面画像38上でワイヤ計画線とする部分がクリックされる。次いで、ステップS4に於いて、次にクリックする血管断面画像があるか否かが判定される。ここで、まだクリックが終了していない場合は、ステップS5に移行して、最初にクリックされた血管断面画像に隣接する血管断面画像がモニタ30上に表示される。そして、再び前記ステップS3に移行して更なるワイヤ計画線となる部分がクリックされる。このようにして、ステップS4にてクリックが終了するまでステップS3〜S5の処理動作が繰り返されて、隣接する血管断面画像上のワイヤ計画線となる部分がクリックされる。この際、例えば、前の画像がクリックされると、ページが捲られるようにして、隣接する新たな血管断面像が前の画像の手前側に表示されるようになっている。これにより、3次元空間内の線が規定され、投影画像上にワイヤ計画線が線で表示される。
【0022】
つまり、ステップS4にてクリックが終了したならば、ステップS6にて、図5に示されるように、投影画像上に血管中心線37とワイヤ計画線41が表示される。1つの断面画像(例えば、46)上でクリックされた点は、3次元座標を有している。したがって、複数の断面画像(例えば、46、47)上でクリックされれば、3次元座標が連なった3次元空間内での曲線を算出することができる。
【0023】
算出された3次元空間内での曲線は、投影されて、図6(b)に示されるように、投影画像上に描写される。術者は、この投影画像と同一方向透視画像を見ながらワイヤを操作する。血管中心線37とワイヤ計画線41の2つの線が重なるような場合には、3次元位置関係が考慮されて、図7に示されるように、視点から見て手前にある線が上になるように優先されて表示される。
【0024】
尚、クリックされる際の複数の断面画像は、図6(a)に示されるように、重ね合わされた表示に限られず、例えば、同時に複数枚の断面画像がモニタ30に表示されて、その中から選択するようにしても良い。
【0025】
その後、ステップS7にて、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。尚、この血管投影画像はCTの血管投影画像のみならず、例えば、図8に示されるように、CT血管断面画像50aと、CTのvolume rendering(VR)画像やMaximum intensity projection(MIP)やCathView(特定の血管のスライスデータの投影画像)50b、X線造影画像50c、X線透視画像50dが、モニタ30に並べて表示されるようにしても良い。
【0026】
また、ワイヤ計画線となる部分をクリックする際の操作は、操作部23内のマウスやキーボード、或いはタッチパネル等によって行われる。更に、クリックすることによって、次の血管断面画像が自動的に表示されるようにしても良い。
【0027】
前述した実施形態では、血管中心線とワイヤ計画線を血管投影画像上に表示するとしたが、血管中心線に限られずに、ワイヤ計画線を含む少なくとも任意の2点をつなぐ線を表示するものであれば良い。また、これらの血管投影画像上に表示される線は、例えば2本の線が識別可能であれば、カラー表示にしたり、線の太さや線種を換えた表示にする等しても良い。
【0028】
更に、変形例として、前述したステップS4付近にて、クリックを間違えた場合に修正するインターフェースを備えるようにしても良い。
【0029】
また、前述したステップS4付近にて、複数本の計画線の描写を可能とするようにしても良い。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0031】
前述した第1の実施形態では、ワイヤ計画線となる血管断面画像上のクリックは、複数の断面画像について行われるようにしているが、そのために手間がかかるものであった。そこで、本第2の実施形態では、特定の1枚のみの血管断面画像についてクリックして、操作の手間を改善するようにしている。
【0032】
図9は、本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0033】
先ず、ステップS11にて、前述した図2のフローチャートのステップS1と同様にして、CTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから血管断面画像が作成される。次いで、ステップS12にて、前述した図2のフローチャートのステップS2と同様に、前記ステップS11で得られたCTボリュームデータ35から、投影画像が作成される。
【0034】
そして、ステップS13にて、ある血管断面画像38上で、ワイヤ計画線となる部分がクリックされる。例えば、図10に示されるように、モニタに表示されている複数の血管断面画像38a〜38e上で、特定の画像、この場合血管断面画像38cについて、術者によりワイヤを通していきたい任意の点52cがクリックされる。すると、続くステップS14にて、システム制御部22により、このクリックされた点52cと同じ2次元座標が、前後の複数枚の画像、この場合血管断面画像38a、38b、38d、38eについてもクリックされたもの(点52a、52b、52d、52e)とされて、3次元内での直線(ワイヤ計画線)が算出される。
【0035】
次に、ステップS15では、図11(b)に示されるように、投影画像上に血管中心線37とワイヤ計画線56が表示される。そして、ステップS16では、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。
【0036】
このように、第2の実施形態によっても、血管断面像と血管投影画像との関係をわかりやすく表示することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0038】
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態とは逆に、投影画像上で特定の点を指定すると断面画像上に線が描写される例である。
【0039】
図12は、本発明の第3の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0040】
先ず、ステップS21にて、前述した図2のフローチャートのステップS1と同様にして、CTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから血管断面画像が作成され、次いで、ステップS22にて、前述した図2のフローチャートのステップS2と同様に、前記ステップS21で得られたCTボリュームデータ35から投影画像が作成される。
【0041】
そして、ステップS23にて、図13に示されるように、ある血管投影画像60上で、1点がクリックされる。すると、続くステップS24にて、投影線が算出されて投影線と血管断面画像との交点が算出される。例えば、図14に示されるように、クリックされた点58とX線源45とを結ぶ線を投影線62とする。次いで、この投影線62の算出により、ステップS25に於いて、投影線と血管断面画像との交点が存在するか否かが判定される。ここで、交点が無ければ前記ステップS23に移行し、交点が存在するならば、ステップS26に移行して、図15に示されるように、投影線62が血管断面画像38に投影されて線が描写される。この際、投影線62を断面画像38におろした線64も表示される。
【0042】
その後、ステップS27にて、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。
【0043】
このように、第3の実施形態によっても、血管断面像と血管投影画像との関係をわかりやすく表示することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0045】
前述した第1乃至第3の実施形態は、何れもCTの投影画像と断面画像との関係についてのものである。第1及び第2の実施形態は、CT断層画像上で指定(クリック)し、CT投影画像に線を描く例であり、第3の実施形態は、CT投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られずにX線画像を使用することも可能である。例えば、治療中に急遽、CT画像を参照したいようなケースでは、X線画像を用いることも好ましい。
【0046】
そこで、本第4の実施形態では、CT断層画像上で指定し、X線投影画像に線を描く例、並びに、X線投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例について説明する。
【0047】
図1(b)は、本発明の第4の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
図1(b)に於いて、X線診断治療装置70は、患者(被検体)Kを載置する寝台71と、架台72と、この架台72に支持されて図示P軸を中心に図示矢印R方向に回動可能なCアーム73と、このCアーム73の一方の端部に設けられたX線源74と、Cアーム73の他方の端部に設けられたX線検出器75と、生成された画像を表示するモニタ76と、患者Kの体内に挿入されるカテーテル等の器具の位置を検出するための3D位置検出装置77と、これら各装置を連携制御する制御部20aとを備えて構成される。
【0049】
寝台11は、鉛直方向及び水平方向に移動可能となっており、これにより患者Kは、X線源14とX線検出器15との間に適当に配置される。
【0050】
Cアーム13は、X線源14及びX線検出器15を対向配置させて、これらを保持する構造になっている。X線源14は、図示されないが、患者Kに対しX線を照射するX線管球と、当該X線管球から照射されたX線をコリメートするコリメータとを有している。一方、X線検出器15は、例えばI.I.(イメージ・インテンシファイア)と光学系とによって構成されており、I.I.によって患者Kを透過したX線情報を光学情報に変換し、光学系によってこの光学情報を光学レンズで集光する。尚、I.I.以外の検出装置としてX線平面検出器を用いても良い。
【0051】
制御部20aは、前述したCTボリュームデータ取得部21、システム制御部22、操作部23、画像記憶部24、演算部25、画像作成部27、表示制御部28の他、X線検出器75からの投影画像データを取得する投影画像取得部26と、3D位置検出装置77からの位置情報を基にX線源の投影角度情報を取得するための投影角度情報入力部29と、を有している。
【0052】
このような構成のX線診断治療装置70より投影画像取得部26を介して、X線投影画像が得られる。
【0053】
また、第4の実施形態の前提として、CTデータとX線データの位置合わせは済んでいるものとする。この第4の実施形態の簡易な手法としては、CTボリュームデータの中心とX線撮像システムの支持器回転中心は一致すると仮定するものがある。精度良くする手法としては、両者の投影画像を取得後、画像同士でマッチングをとる方法等が知られている。CTデータとX線データの位置合わせが済んでいれば、その後はCT投影画像を用いる代わりにX線投影画像を用いるだけである。
【0054】
また、CT断層画像上で指定し、X線投影画像に線を描く例としては、前述した第1及び第2の実施形態と同様の処理動作が行われて、CT投影画像上に線を描く代わりに、X線投影画像上に線を描くことが異なるだけである。
【0055】
更に、X線投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例としては、前述した第3の実施形態と同様の処理動作が行われて、CT投影画像上で指定する代わりに、X線投影画像上で指定することが異なっている。
【0056】
このようにして、モニタに表示された例が、図17に示される。この図17では、CT血管断面画像65aと、X線造影画像65bと、X線透視画像65cとが、モニタ30に並べられて表示されている。
【0057】
前述した第1乃至第4の実施形態に於いては、完全閉塞の通過のためのワイヤルートを例にとって述べたが、これに限られるものではない。例えば、プラークの付着方向を確認したい場合に於いても利用可能である。
【0058】
更に、前述した第1乃至第4の実施形態では、CTによる心臓血管のボリュームデータを例として説明したが、本発明は心臓に限られることなく、全身のどの血管にも適応することが可能である。また、本発明は血管に限られずに、管腔臓器であればいずれにも適応することが可能である。
【0059】
尚、本発明はCTボリュームデータに限られることなく、X線診断装置で得られたボリュームデータでも適応可能であり、特にX線診断装置のボリュームデータは治療中に作成することができるため、CTボリュームデータより優れていることも多い。
【0060】
更に、本発明は、CTボリュームデータに限られることなく、MRI、PET等、3Dデータであれば何れにも適応が可能である。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0062】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0063】
10…CT装置、20…画像表示装置、21…CTボリュームデータ取得部、22…システム制御部、23…操作部、24…画像記憶部、25…演算部、26…投影画像取得部、27…画像作成部、28…表示制御部、29…投影角度情報入力部、30、76…モニタ、35…ボリュームデータ、36…血管、37…血管中心線、38…血管断面画像、40…石灰化した部分、41…ワイヤ計画線、46、47…断面画像、50a…CT血管断面画像、50b…CTのVR画像、50c…X線造影画像、50d…X線透視画像。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関し、より詳細には、血管内治療、特に完全閉塞の通過のためのワイヤルート計画線の描写の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、血管内治療という治療方法が知られている。この治療方法は、血管内にガイドワイヤ(以下、ワイヤと記載する)やカテーテルといったデバイスを挿入して進め、そのデバイスで患部を治療することにより、開腹治療よりも低侵襲で同等の治療効果が得られることから、近年急速に拡大している治癒法である。この治療の治療計画を練る際には、将来的にはCT画像を用いて行うことが主流となる。
【0003】
CT画像とは、人体の周囲360度に渡るX線投影画像を収集し、これを再構成演算して2次元の断層画像に再構成するCT(Computed Tomography)装置によって撮像、再構成したボリューム(3D)データである。ボリュームデータでは、血管断面画像を観察することができるので、非常に便利である。
【0004】
例えば、血管が完全に詰まってしまう完全閉塞症の治療では、図18に示されるように、術者はCTボリュームデータから血管断面画像1を作成して、この血管断面画像1に於いて血管2の詰まっている部分の硬い部分(石灰化部分等)5や柔らかい部分(ソフトプラーク等)6を観測し、血管2の何れかの側にワイヤを進めていったら良いかを計画している。この図の例では、血管中心線3より左側の繊維化した部分4が、ワイヤを通しやすい部分であることがわかる。公知文献としては、例えば下記非特許文献1がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Morton J.Kern, 「心臓カテーテルハンドブック」医学書院
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した血管断面画像で治療計画を立てた術者が、実際の治療のためにカテーテル室に入ると、カテーテル室のX線撮像システムによりリアルタイムで得られる画像は、血管断面画像ではなく血管投影画像である。このため、術者は、計画時の断面画像と現在見えている投影画像との間の3次元幾何学位置関係の変換を頭の中で行い、計画した血管断面画像から目の前に表示されている血管投影画像に、治療計画を変換する必要がある。
【0007】
しかしながら、こうした頭の中での変換作業は、特に若い術者にとっては苦痛であり、迷ったり間違えたりするリスクがある。
【0008】
したがって、本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、3次元幾何学位置関係をわかりやすくし、特に血管断面画像と血管投影画像との関係をわかりやすくして表示することのできる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る画像表示装置は、ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記複数の断面画像上に複数の点を指定する指定手段と、前記指定された複数の点をつなげることで、ワイヤを通す計画を示す計画線を前記表示手段に表示されている前記投影画像上に表示する制御手段と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、3次元幾何学位置関係をわかりやすくし、特に血管断面画像と血管投影画像との関係をわかりやすくして表示することのできる画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図、(b)は本発明の第4の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、(a)はCT装置の例を示した図、(b)はボリュームデータの例を示した図、(c)は血管断面画像の例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、複数の血管断面画像の例を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於けるワイヤ計画線の曲線の算出について説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図7】投影画像上に表示される2つの線の表示例を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に於いてモニタに表示される画像の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのもので、複数の血管断面画像の例を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に於ける血管投影画像の例を示した図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に於ける3次元幾何学関係を説明するための図である。
【図15】投影線と血管断面画像との関係を示した図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に於いて血管断面画像と投影画像の関係を説明するための図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に於いてモニタに表示される画像の例を示した図である。
【図18】完全閉塞症の血管断面画像の例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1(a)に於いて、画像表示装置20は、CTボリュームデータ取得部21と、システム制御部22と、操作部23と、画像記憶部24と、演算部25と、画像作成部27と、表示制御部28と、モニタ30とを有して構成される。
【0015】
前記CTボリュームデータ取得部21は、CT装置10より所望のCTボリュームデータを取得するためのものである。システム制御部22は、この画像表示装置20全体の制御動作を司るものである。操作部23は、血管断面上でワイヤ計画線をクリックするための操作や、画像の選択等を行うためのものでコントロールパネル等により構成される。
【0016】
画像記憶部24は、前記ワイヤ計画線用に座標及び画像を記憶する記憶手段である。また、演算部25は、3D画像に於ける曲線を演算する等、各種演算を行うためのものである。画像作成部27は、画像記憶部24と共にモニタ30に表示すべく画像を作成する。表示制御部28は、前記画像記憶部24及び画像作成部27で作成された3D画像の断面画像をモニタ17に表示するものである。更に、モニタ30は、表示制御部28を介して出力された3D画像等を画面上に表示するものである。
【0017】
次に、図2のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明する。
【0018】
先ず、ステップS1にて、CT装置10よりCTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから、血管断面画像が作成される。すなわち、図3(a)に示されるCT装置10から、図3(b)に示されるようなボリュームデータ35が得られる。そして、このボリュームデータ35から、システム制御部22によって血管36内の血管中心線37が抽出される。次いで、該血管中心線37に垂直なMPR画像が作成されて、これが図3(c)に示されるような血管断面画像38となる。
【0019】
次に、ステップS2にて、前記ステップS1で得られたCTボリュームデータ35から、投影画像が作成される。この投影画像作成については、一般的なCT画像表示の動作と同様である。
【0020】
ステップS3では、血管断面画像38上で、ワイヤ計画線がクリックされる。ここでは、図4に示されるように、複数の血管断面画像38上で、術者によりワイヤを通していきたい任意の点が順次クリックされる。このクリックされた点を連続してつなげたものがワイヤ計画線であり、この場合、ワイヤ計画線41の場所は、血管36内で、例えば石灰化した部分40を避けた部分に作成される。
【0021】
このワイヤ計画線の作成にあたり、先ず、ある血管断面画像38上でワイヤ計画線とする部分がクリックされる。次いで、ステップS4に於いて、次にクリックする血管断面画像があるか否かが判定される。ここで、まだクリックが終了していない場合は、ステップS5に移行して、最初にクリックされた血管断面画像に隣接する血管断面画像がモニタ30上に表示される。そして、再び前記ステップS3に移行して更なるワイヤ計画線となる部分がクリックされる。このようにして、ステップS4にてクリックが終了するまでステップS3〜S5の処理動作が繰り返されて、隣接する血管断面画像上のワイヤ計画線となる部分がクリックされる。この際、例えば、前の画像がクリックされると、ページが捲られるようにして、隣接する新たな血管断面像が前の画像の手前側に表示されるようになっている。これにより、3次元空間内の線が規定され、投影画像上にワイヤ計画線が線で表示される。
【0022】
つまり、ステップS4にてクリックが終了したならば、ステップS6にて、図5に示されるように、投影画像上に血管中心線37とワイヤ計画線41が表示される。1つの断面画像(例えば、46)上でクリックされた点は、3次元座標を有している。したがって、複数の断面画像(例えば、46、47)上でクリックされれば、3次元座標が連なった3次元空間内での曲線を算出することができる。
【0023】
算出された3次元空間内での曲線は、投影されて、図6(b)に示されるように、投影画像上に描写される。術者は、この投影画像と同一方向透視画像を見ながらワイヤを操作する。血管中心線37とワイヤ計画線41の2つの線が重なるような場合には、3次元位置関係が考慮されて、図7に示されるように、視点から見て手前にある線が上になるように優先されて表示される。
【0024】
尚、クリックされる際の複数の断面画像は、図6(a)に示されるように、重ね合わされた表示に限られず、例えば、同時に複数枚の断面画像がモニタ30に表示されて、その中から選択するようにしても良い。
【0025】
その後、ステップS7にて、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。尚、この血管投影画像はCTの血管投影画像のみならず、例えば、図8に示されるように、CT血管断面画像50aと、CTのvolume rendering(VR)画像やMaximum intensity projection(MIP)やCathView(特定の血管のスライスデータの投影画像)50b、X線造影画像50c、X線透視画像50dが、モニタ30に並べて表示されるようにしても良い。
【0026】
また、ワイヤ計画線となる部分をクリックする際の操作は、操作部23内のマウスやキーボード、或いはタッチパネル等によって行われる。更に、クリックすることによって、次の血管断面画像が自動的に表示されるようにしても良い。
【0027】
前述した実施形態では、血管中心線とワイヤ計画線を血管投影画像上に表示するとしたが、血管中心線に限られずに、ワイヤ計画線を含む少なくとも任意の2点をつなぐ線を表示するものであれば良い。また、これらの血管投影画像上に表示される線は、例えば2本の線が識別可能であれば、カラー表示にしたり、線の太さや線種を換えた表示にする等しても良い。
【0028】
更に、変形例として、前述したステップS4付近にて、クリックを間違えた場合に修正するインターフェースを備えるようにしても良い。
【0029】
また、前述したステップS4付近にて、複数本の計画線の描写を可能とするようにしても良い。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0031】
前述した第1の実施形態では、ワイヤ計画線となる血管断面画像上のクリックは、複数の断面画像について行われるようにしているが、そのために手間がかかるものであった。そこで、本第2の実施形態では、特定の1枚のみの血管断面画像についてクリックして、操作の手間を改善するようにしている。
【0032】
図9は、本発明の第2の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0033】
先ず、ステップS11にて、前述した図2のフローチャートのステップS1と同様にして、CTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから血管断面画像が作成される。次いで、ステップS12にて、前述した図2のフローチャートのステップS2と同様に、前記ステップS11で得られたCTボリュームデータ35から、投影画像が作成される。
【0034】
そして、ステップS13にて、ある血管断面画像38上で、ワイヤ計画線となる部分がクリックされる。例えば、図10に示されるように、モニタに表示されている複数の血管断面画像38a〜38e上で、特定の画像、この場合血管断面画像38cについて、術者によりワイヤを通していきたい任意の点52cがクリックされる。すると、続くステップS14にて、システム制御部22により、このクリックされた点52cと同じ2次元座標が、前後の複数枚の画像、この場合血管断面画像38a、38b、38d、38eについてもクリックされたもの(点52a、52b、52d、52e)とされて、3次元内での直線(ワイヤ計画線)が算出される。
【0035】
次に、ステップS15では、図11(b)に示されるように、投影画像上に血管中心線37とワイヤ計画線56が表示される。そして、ステップS16では、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。
【0036】
このように、第2の実施形態によっても、血管断面像と血管投影画像との関係をわかりやすく表示することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0038】
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態とは逆に、投影画像上で特定の点を指定すると断面画像上に線が描写される例である。
【0039】
図12は、本発明の第3の実施形態に於ける画像表示装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0040】
先ず、ステップS21にて、前述した図2のフローチャートのステップS1と同様にして、CTボリュームデータ取得部21によって取得されたCTボリュームデータから血管断面画像が作成され、次いで、ステップS22にて、前述した図2のフローチャートのステップS2と同様に、前記ステップS21で得られたCTボリュームデータ35から投影画像が作成される。
【0041】
そして、ステップS23にて、図13に示されるように、ある血管投影画像60上で、1点がクリックされる。すると、続くステップS24にて、投影線が算出されて投影線と血管断面画像との交点が算出される。例えば、図14に示されるように、クリックされた点58とX線源45とを結ぶ線を投影線62とする。次いで、この投影線62の算出により、ステップS25に於いて、投影線と血管断面画像との交点が存在するか否かが判定される。ここで、交点が無ければ前記ステップS23に移行し、交点が存在するならば、ステップS26に移行して、図15に示されるように、投影線62が血管断面画像38に投影されて線が描写される。この際、投影線62を断面画像38におろした線64も表示される。
【0042】
その後、ステップS27にて、血管断面画像と血管投影画像がモニタ30に並べて表示される。
【0043】
このように、第3の実施形態によっても、血管断面像と血管投影画像との関係をわかりやすく表示することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0045】
前述した第1乃至第3の実施形態は、何れもCTの投影画像と断面画像との関係についてのものである。第1及び第2の実施形態は、CT断層画像上で指定(クリック)し、CT投影画像に線を描く例であり、第3の実施形態は、CT投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られずにX線画像を使用することも可能である。例えば、治療中に急遽、CT画像を参照したいようなケースでは、X線画像を用いることも好ましい。
【0046】
そこで、本第4の実施形態では、CT断層画像上で指定し、X線投影画像に線を描く例、並びに、X線投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例について説明する。
【0047】
図1(b)は、本発明の第4の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
図1(b)に於いて、X線診断治療装置70は、患者(被検体)Kを載置する寝台71と、架台72と、この架台72に支持されて図示P軸を中心に図示矢印R方向に回動可能なCアーム73と、このCアーム73の一方の端部に設けられたX線源74と、Cアーム73の他方の端部に設けられたX線検出器75と、生成された画像を表示するモニタ76と、患者Kの体内に挿入されるカテーテル等の器具の位置を検出するための3D位置検出装置77と、これら各装置を連携制御する制御部20aとを備えて構成される。
【0049】
寝台11は、鉛直方向及び水平方向に移動可能となっており、これにより患者Kは、X線源14とX線検出器15との間に適当に配置される。
【0050】
Cアーム13は、X線源14及びX線検出器15を対向配置させて、これらを保持する構造になっている。X線源14は、図示されないが、患者Kに対しX線を照射するX線管球と、当該X線管球から照射されたX線をコリメートするコリメータとを有している。一方、X線検出器15は、例えばI.I.(イメージ・インテンシファイア)と光学系とによって構成されており、I.I.によって患者Kを透過したX線情報を光学情報に変換し、光学系によってこの光学情報を光学レンズで集光する。尚、I.I.以外の検出装置としてX線平面検出器を用いても良い。
【0051】
制御部20aは、前述したCTボリュームデータ取得部21、システム制御部22、操作部23、画像記憶部24、演算部25、画像作成部27、表示制御部28の他、X線検出器75からの投影画像データを取得する投影画像取得部26と、3D位置検出装置77からの位置情報を基にX線源の投影角度情報を取得するための投影角度情報入力部29と、を有している。
【0052】
このような構成のX線診断治療装置70より投影画像取得部26を介して、X線投影画像が得られる。
【0053】
また、第4の実施形態の前提として、CTデータとX線データの位置合わせは済んでいるものとする。この第4の実施形態の簡易な手法としては、CTボリュームデータの中心とX線撮像システムの支持器回転中心は一致すると仮定するものがある。精度良くする手法としては、両者の投影画像を取得後、画像同士でマッチングをとる方法等が知られている。CTデータとX線データの位置合わせが済んでいれば、その後はCT投影画像を用いる代わりにX線投影画像を用いるだけである。
【0054】
また、CT断層画像上で指定し、X線投影画像に線を描く例としては、前述した第1及び第2の実施形態と同様の処理動作が行われて、CT投影画像上に線を描く代わりに、X線投影画像上に線を描くことが異なるだけである。
【0055】
更に、X線投影画像上で指定し、CT断層画像に線を描く例としては、前述した第3の実施形態と同様の処理動作が行われて、CT投影画像上で指定する代わりに、X線投影画像上で指定することが異なっている。
【0056】
このようにして、モニタに表示された例が、図17に示される。この図17では、CT血管断面画像65aと、X線造影画像65bと、X線透視画像65cとが、モニタ30に並べられて表示されている。
【0057】
前述した第1乃至第4の実施形態に於いては、完全閉塞の通過のためのワイヤルートを例にとって述べたが、これに限られるものではない。例えば、プラークの付着方向を確認したい場合に於いても利用可能である。
【0058】
更に、前述した第1乃至第4の実施形態では、CTによる心臓血管のボリュームデータを例として説明したが、本発明は心臓に限られることなく、全身のどの血管にも適応することが可能である。また、本発明は血管に限られずに、管腔臓器であればいずれにも適応することが可能である。
【0059】
尚、本発明はCTボリュームデータに限られることなく、X線診断装置で得られたボリュームデータでも適応可能であり、特にX線診断装置のボリュームデータは治療中に作成することができるため、CTボリュームデータより優れていることも多い。
【0060】
更に、本発明は、CTボリュームデータに限られることなく、MRI、PET等、3Dデータであれば何れにも適応が可能である。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0062】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0063】
10…CT装置、20…画像表示装置、21…CTボリュームデータ取得部、22…システム制御部、23…操作部、24…画像記憶部、25…演算部、26…投影画像取得部、27…画像作成部、28…表示制御部、29…投影角度情報入力部、30、76…モニタ、35…ボリュームデータ、36…血管、37…血管中心線、38…血管断面画像、40…石灰化した部分、41…ワイヤ計画線、46、47…断面画像、50a…CT血管断面画像、50b…CTのVR画像、50c…X線造影画像、50d…X線透視画像。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている投影画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記投影画像上に少なくとも任意の2本の線を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記投影画像上に少なくとも計画線を表示することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、視点から見て手前側に存在する線を、前記表示手段に表示される前記投影画像上で他の線よりも上側に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記指定手段で前記表示手段に表示されている複数の断面画像のうち特定画像を指定すると、次の断面画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記投影画像上の線を異なる色で表示することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記投影画像上の特定の点を指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている断面画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも任意の2つの点を表示することを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも投影線を表示することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記断面画像上の点を異なる色で表示することを特徴とする請求項8若しくは9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されているX線投影画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上に少なくとも任意の2本の線を表示することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上に少なくとも計画線を表示することを特徴とする請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記制御手段は、視点から見て手前側に存在する線を、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上で他の線よりも上側に表示することを特徴とする請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記指定手段で前記表示手段に表示されている複数の断面画像のうち特定画像を指定すると、次の断面画像を表示させることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記X線投影画像上の線を異なる色で表示することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項17】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及びX線投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記X線投影画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている断面画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも任意の2つの点を表示することを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも投影線を表示することを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記断面画像上の点を異なる色で表示することを特徴とする請求項18若しくは19に記載の画像表示装置。
【請求項21】
ボリュームデータを取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで取得されたボリュームデータから投影画像を作成する第3のステップと、
前記複数の断面画像をモニタに表示する第4のステップと、
前記モニタに表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する第5のステップと、
前記第5のステップで指定された特定の点に対応して前記モニタに前記投影画像を表示すると共に該投影画像上に線を表示する第6のステップと、
を具備することを特徴とする画像表示方法。
【請求項22】
ボリュームデータを取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで取得されたボリュームデータから投影画像を作成する第3のステップと、
前記複数の断面画像をモニタに表示する第4のステップと、
前記モニタに表示された前記投影画像上の特定の点を指定する第5のステップと、
前記第5のステップで指定された特定の点に対応して前記モニタに前記断面画像を表示すると共に該断面画像上に線を表示する第6のステップと、
を具備することを特徴とする画像表示方法。
【請求項1】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている投影画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記投影画像上に少なくとも任意の2本の線を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記投影画像上に少なくとも計画線を表示することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、視点から見て手前側に存在する線を、前記表示手段に表示される前記投影画像上で他の線よりも上側に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記指定手段で前記表示手段に表示されている複数の断面画像のうち特定画像を指定すると、次の断面画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記投影画像上の線を異なる色で表示することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記投影画像上の特定の点を指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている断面画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも任意の2つの点を表示することを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも投影線を表示することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記断面画像上の点を異なる色で表示することを特徴とする請求項8若しくは9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及び投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されているX線投影画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上に少なくとも任意の2本の線を表示することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上に少なくとも計画線を表示することを特徴とする請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記制御手段は、視点から見て手前側に存在する線を、前記表示手段に表示される前記X線投影画像上で他の線よりも上側に表示することを特徴とする請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記指定手段で前記表示手段に表示されている複数の断面画像のうち特定画像を指定すると、次の断面画像を表示させることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記X線投影画像上の線を異なる色で表示することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項17】
ボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータ取得手段で取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する断面画像作成手段と、
X線投影データからX線投影画像を作成する投影画像作成手段と、
前記複数の断面画像及びX線投影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段上に表示された前記X線投影画像上の特定の点を指定する指定手段と、 前記指定手段で指定された特定の点に対応して前記表示手段上に表示されている断面画像上に線を表示する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも任意の2つの点を表示することを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記表示手段に表示される前記断面画像上に少なくとも投影線を表示することを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記断面画像上の点を異なる色で表示することを特徴とする請求項18若しくは19に記載の画像表示装置。
【請求項21】
ボリュームデータを取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで取得されたボリュームデータから投影画像を作成する第3のステップと、
前記複数の断面画像をモニタに表示する第4のステップと、
前記モニタに表示された前記複数の断面画像上の特定の点を指定する第5のステップと、
前記第5のステップで指定された特定の点に対応して前記モニタに前記投影画像を表示すると共に該投影画像上に線を表示する第6のステップと、
を具備することを特徴とする画像表示方法。
【請求項22】
ボリュームデータを取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得されたボリュームデータから複数の断面画像を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで取得されたボリュームデータから投影画像を作成する第3のステップと、
前記複数の断面画像をモニタに表示する第4のステップと、
前記モニタに表示された前記投影画像上の特定の点を指定する第5のステップと、
前記第5のステップで指定された特定の点に対応して前記モニタに前記断面画像を表示すると共に該断面画像上に線を表示する第6のステップと、
を具備することを特徴とする画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−228533(P2012−228533A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154126(P2012−154126)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2007−256339(P2007−256339)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2007−256339(P2007−256339)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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