説明

画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラム

【課題】画像記録タイミングの遅延する状況が発生しても、わずかな余剰紙の出力で画像記録を継続できる画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13は、両面複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理をそれぞれ行う。後処理機構60は、連続シート50の切断情報を生成する切断情報生成部61を少なくとも有しており、所定の一定間隔で連続シート50の切断を行う。連続シート搬送制御部14は、当該展開処理により保持されている展開画像データのページ数の計数値に基づき、予め特定されている当該展開処理の時間に遅延が生じると判定した場合に、当該切断情報に同期させて、画像記録処理がなされない非記録部分を連続シート50に生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録技術に関し、特に連続シートである記録媒体の両面への画像記録処理の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、例えばインクジェットプリンタがある。インクジェットプリンタは、搬送系により保持搬送される記録媒体に、記録ヘッドの複数のノズルからインク滴を吐出して、高速且つ高画質に画像記録を行う。
【0003】
インクジェットプリンタは、例えばカットシート状の記録媒体(用紙)に画像記録を行うオフィス用途として、幅広く使用されている。また近年では、インクジェットプリンタは、多数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に整列配置したラインヘッドを構成することで、スループットを向上させたものもある。このようなインクジェットプリンタは、ロール紙などといった連続シートである記録媒体(連続紙)に画像記録を行う産業用途としても使用されている。
【0004】
このような、連続シートである記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、記録処理の途中で画像記録データの処理に何らかの問題が発生して画像記録を正しく行えなくなる場合がある。このような場合に画像記録を中断若しくは停止してしまうと、画像記録のスループットを著しく低下させるばかりでなく、既に画像記録済みの記録媒体や、画像記録停止時及び再開時の余剰媒体を廃棄媒体として無駄にすることにもなり、ユーザへの不利益が大きい。
【0005】
このような問題を解決する技術に関し、例えば特許文献1には、前述したような場合でも画像記録を中断させない技術が開示されている。この技術は、画像記録を中断させる代わりに、読み出しが正しく行えなかった画像記録データで画像記録を行うはずであった該当ページについては画像記録を行わずに白紙のまま出力することで、画像記録処理を画像記録データの最後まで継続するというものである。
【特許文献1】国際公開第04/056578号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術には、以下の問題がある。
まず、ロール紙などの記録媒体(連続紙)に対する画像記録に適用すると、この技術は画像記録後の後処理機構との同期を想定していないため、画像記録データの該当ページを白紙にするだけでは、該当ページと後処理機構との間において、例えば画像記録位置とカット位置の不整合を招く可能性がある。また、白紙送出後の画像記録再開位置についても、後処理機構での画像記録位置とカット位置との同期が考慮されていないため、記録処理済みの記録媒体のカットが、画像記録された位置で行われてしまう可能性がある。
【0007】
また、この技術では、画像データの読み出しに異常があった場合に白紙の出力を行うが、この白紙は画像記録済みの媒体と同じ排出先に排出される。このため中綴じ機などの後処理装置が後続して設置されている場合には、ページずれなどが発生して正常な後処理結果が得られない。
【0008】
更に、この技術では、上位装置からの画像データの転送遅延や、画像記録制御処理の処理負荷の増大に起因して発生する画像記録タイミングの遅延については、何ら考慮されていない。
【0009】
そこで本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、画像記録タイミングの遅延する状況が発生しても、わずかな余剰紙の出力で画像記録を継続できる画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドからドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置において、連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で連続シートの切断を行う後処理機構と、画像展開部による展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定し、当該遅延が生じると判定した場合に、画像記録処理がなされない非記録部分を連続シートに生成する連続シート搬送制御部と、を少なくとも備え、連続シート搬送制御部は、非記録部分の連続シートへの生成を、切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて行う、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の態様のひとつである画像記録装置の制御方法は、画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドからドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、画像記録装置は、連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で連続シートの切断を行う後処理機構を少なくとも備えており、制御方法は、画像展開部による展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定することと、遅延が生じると判定した場合に、切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて、画像記録処理がなされない非記録部分を連続シートに生成することと、を含む、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるプログラムは、画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドからドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、画像記録装置は、連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で連続シートの切断を行う後処理機構を少なくとも備えており、プログラムは、画像展開部による展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定する処理と、遅延が生じると判定した場合に、切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて、画像記録処理がなされない非記録部分を連続シートに生成する処理と、を演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像記録タイミングの遅延する状況が発生しても、わずかな余剰紙の出力で画像記録を継続できる画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置を概念的なブロック構成で示している。また、図2は、本実施形態に係る画像記録装置の配置構成を模式的に示したものである。
【0015】
本実施形態に係る画像記録装置1は、制御部2と、第1の画像記録部20と、第2の画像記録部30と、搬送機構40と、後処理機構60と、を少なくとも備えて構成されている。
【0016】
制御部2は、制御機能及び演算機能を有する演算処理装置における例えばMicro Processor Unit(MPU)と制御プログラムを記憶するRead Only Memory(ROM)やMPUのワークメモリとなるRandom Access Memory(RAM)等とからなる処理回路と、画像記録装置1の制御に関する設定値等を記憶しておく不挿発性メモリを少なくとも有する。
【0017】
制御部2は、第1面画像展開部12と、第2面画像展開部13と、連続シート搬送制御部14と、記憶部15と、を少なくとも備える。なお、制御部2では、記憶部15を例えば不揮発性メモリにより構成する。また、制御部2では、制御プログラムを例えばROMに予め記憶させておく構成とし、この制御プログラムをMPUに読み出させて実行させることにより、第1面画像展開部12、第2面画像展開部13、及び連続シート搬送制御部14として機能するようにする。
【0018】
上位装置3は、本実施形態に係る画像記録装置1の外部機器として、例えばLocal Area Network(LAN)等を介して接続される。この上位装置3は、本実施形態に係る画像記録装置1に画像記録処理を行わせるユーザによって操作されるコンピュータに相当するものであり、本実施形態に係る画像記録装置1に対し、画像記録処理に関する情報としてジョブ情報を通知する。このジョブ情報には、この画像記録処理を行う際の記録対象である記録データ(ここでは、両面複数ページのものとする)と、この画像記録処理を行う総ページ数と、が少なくとも含まれる。画像記録装置1の制御部2は、上位装置3から通知されたジョブ情報を受け取ると、このジョブ情報を画像記録情報として記憶部15に記憶させておく。
【0019】
制御部2は、ジョブ情報を上位装置3から受け取ると、そのジョブ情報から記録データを抽出する。次に、制御部2は、その記録データを、第1面画像の記録用の記録データと第2面画像の記録用の記録データとに分割する。制御部2は、この記録データをそれぞれ第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13へ転送する。
【0020】
第1面画像展開部12は、第1面画像記録のための記録データを受け取ると、この記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して、第1面画像展開部12内の図示しない第1のビットマップメモリ(Bit Map Memory;BMM)に格納して保持する展開処理を行う。更に、第1面画像展開部12は、1ページ分の展開が終了する毎に第1面画像展開済みページカウンタの値を「1」ずつ増加させる処理、及び、1ページ分のドットイメージの第1のBMMへの記憶が終了する毎に第1面BMM保持ページカウンタの値を「1」ずつ増加させる処理も行う。従って、第1面BMM保持ページカウンタの値は、第1面画像展開部12による展開処理により第1のBMMに保持されているドットイメージ(第1面展開画像データ)のページ数を計数した値(第1面計数値)を示している。
【0021】
第1の画像記録部20は、ヘッド駆動部21に記録ヘッド部22を駆動させて、第1面画像展開部12内の第1のBMMから読み出された第1面のドットイメージに基づいたインクの吐出を行わせることで、連続シート50の第1面への記録処理を行う。
【0022】
第2面画像展開部13は、第1面画像展開部12と同様に、第2面画像記録のための記録データを受け取ると、この記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して、第2面画像展開部13内の図示しない第2のBMMに格納して保持する展開処理を行う。更に、第2面画像展開部13は、1ページ分の展開が終了する毎に第2面画像展開済みページカウンタの値を「1」ずつ増加させる処理、及び、1ページ分のドットイメージの第2のBMMへの記憶が終了する毎に第2面BMM保持ページカウンタの値を「1」ずつ増加させる処理も行う。従って、第2面BMM保持ページカウンタの値は、第2面画像展開部13による展開処理により第2のBMMに保持されているドットイメージ(第2面展開画像データ)のページ数を計数した値(第2面計数値)を示している。
【0023】
なお、第1のBMMと第2のBMMとは別個の半導体メモリであってもよく、また、単一の半導体メモリにおける異なる記憶領域を、第1のBMMと第2のBMMとにそれぞれ割り当てる構成としてもよい。
【0024】
第2の画像記録部30は、ヘッド駆動部31に記録ヘッド部32を駆動させて、第2面画像展開部13内の第2のBMMから読み出されたドットイメージに基づいたインクの吐出を行わせることで、連続シート50の第2面(第1面の裏面)への記録処理を行う。
【0025】
なお、第1面画像展開済みページカウンタ、第2面画像展開済みページカウンタ、第1面BMM保持ページカウンタ、及び第2面BMM保持ページカウンタは、いずれも制御部2が備えている。ここで、制御部2は、第2の画像記録部30による連続シート50の第2面への記録処理を終了する毎に、第1面BMM保持ページカウンタの値及び第2面BMM保持ページカウンタの値を、それぞれ「1」ずつ減少させる処理も行う。
【0026】
搬送機構40は、記録媒体である連続シート50を搬送する媒体搬送部であり、搬送情報生成部41と、モータを備えている搬送駆動部42と、を少なくとも備えて構成されている。
【0027】
ここで、搬送機構40による搬送動作と第1の画像記録部20及び第2の画像記録部30による記録動作とについて、図2に基づき説明する。
連続シート供給部43は、連続シート50を回転可能に保持し、第1の連続シート担持体44へ連続シート50を巻き出す巻出し部として配されている。なお、本実施の形態において、連続シート供給部43には、連続シート50として、ロール紙が保持されている。
【0028】
連続シート供給部43には、図示していないが、トルクの伝達に磁性粉体(パウダ)を利用するパウダクラッチが配備されており、連続シート50の搬送方向と逆方向にトルクを加え一定のバックテンションを与える機能を果たしている。
【0029】
搬送機構40は、連続シート供給部43から搬送されてきた連続シート50が導入されると、ガイドローラ47−1を経由した連続シート50を第1の連続シート担持体44で巻回保持した上で第1の画像記録部20の直下へ搬送する。次に、搬送機構40は、第1の画像記録部20による第1面への記録処理が行われた連続シート50を、ガイドローラ47−2、47−3、及び47−4を経由した後に第2の連続シート担持体45で巻回保持し、第2画像記録部30の直下へ搬送する。その後、搬送機構40は、第2の画像記録部30による第2面への記録処理が行われた連続シート50を、ガイドローラ47−5、47−6、47−7、及び47−8を経由した後に、後処理機構60へ送出する。
【0030】
第1の連続シート担持体44は、例えばアルミ製のドラムで構成し、連続シート50を所定の巻き付け角で巻回可能にしている。連続シート50には、第1の連続シート担持体44の搬送方向上流側のテンションと搬送方向下流側のテンションとにより、第1の連続シート担持体44の外周面から垂直抗力が与えられている。従って、連続シート50は、第1の連続シート担持体44と連続シート50との間の摩擦係数によって、第1の連続シート担持体44に保持される。なお、第1の連続シート担持体44は従動ドラムとして構成されており、第2の連続シート担持体45が回動することにより連続シート50を介して回動する。
【0031】
なお、第1の連続シート担持体44の回動軸には、搬送情報生成部41が連結されている。搬送情報生成部41の回動軸が第1の連続シート担持体44の回動に従って回動すると、第1の連続シート担持体44の回動位置に相当する検出パルスを搬送情報生成部41が出力する。この検出パルスは、制御部2等を介して第1の画像記録部20及び第1の画像記録部30に入力される。なお、本実施形態の画像記録装置1における搬送情報生成部41は、ロータリーエンコーダを備えて構成されており、連続シート50の搬送方向の解像度に応じ、1パルス当たりで1ラインの画像記録になるように構成されている。
【0032】
第2の連続シート担持体45も第1の連続シート担持体44と同様の構成であり、連続シート50が所定の巻き付け角で巻回可能に構成されている。連続シート50には、第2の連続シート担持体45の搬送方向上流側のテンションと搬送方向下流側のテンションとにより、第2の連続シート担持体45の外周面から垂直抗力が与えられている。従って、連続シート50は、第2の連続シート担持体45と連続シート50との間の摩擦係数によって、第2の連続シート担持体45に保持される。なお、第2の連続シート担持体45は駆動ドラムとして構成されており、搬送駆動部42の駆動力によって連続シート50を搬送する。
【0033】
次に、後処理機構60について説明する。後処理機構60は、第1面及び第2面への記録処理が済んだ連続シート50を所定の一定間隔で切断し、その後排出する。
後処理機構60は、切断情報生成部61と、切断駆動部62と、排出経路切替部63とを備えている。
【0034】
切断駆動部62は、切断ローラ駆動モータ62aと、切断駆動ローラ62bと、切断従動ローラ62cとを備えて構成されている。
切断駆動ローラ62bは、1周で420mmの周長であり、その周上に2本の刃物(スパイラル状のカッター)が備えられて構成されている。この2本の刃物は210mm間隔で配置されているので、切断駆動ローラ62bを連続シート50の搬送速度に同期させて定速度で回動させることで、連続シート50を長さ210mm毎に切断する。なお、本実施形態に係る画像記録装置1は、連続シート50として297mm幅の連続紙を使用し、A4サイズ(297mm×210mm)に切断して排出するものとして説明する。
【0035】
切断ローラ駆動モータ62aは、例えばサーボモータを用い、制御部2から後処理機構60に対しパルス列信号が与えることで駆動される。なお、切断ローラ駆動モータ62aとして、サーボモータの代わりに、ステッピングモータを用いて構成してもよい。
【0036】
切断情報生成部61は、連続シート50の切断タイミングを示す切断情報を生成するものであり、例えば切断原点センサを用いて構成されている。切断情報生成部61は、切断駆動ローラ62bが有している刃物が連続シート50を切断する位置に配置されており、この刃物により切断駆動ローラ62bが切断したタイミングの検出を行い、検出されたタイミングを、切断情報として制御部2へ通知する。
【0037】
排出経路切替部63は、連続シート搬送制御部14からの指示に基づき、切断駆動ローラ62bにより切断された連続シート50の排出経路を、排出台66への経路と廃棄媒体回収箱67への経路との間で切り替える。排出経路切替部63は、画像記録処理開始前や画像記録処理終了後に発生する不要なシートおよびブランクシート(切断された連続シート50のうち画像記録処理が行われていないもの)を廃棄媒体回収箱67へ導き、切断された連続シート50のうち画像記録処理が行われているものは排出台66へと導く。なお、排出経路切替部63から排出台66への排出経路65と、排出経路切替部63から廃棄媒体回収箱67への廃棄媒体排出経路64とがそれぞれ配設されており、これらにより切断後の連続シート50の排出がスムーズに行われる。
【0038】
次に、連続シート搬送制御部14による制御処理動作について説明する。制御部2のMPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、制御部2が連続シート搬送制御部14として機能する。
【0039】
連続シート搬送制御部14は、まず、搬送機構40を制御して連続シート50の搬送を開始させる。ここで、連続シート搬送制御部14は、この連続シート50の搬送開始のタイミングを、以下のようにして決定する。
【0040】
まず、連続シート搬送制御部14は、第1面画像展開済みページカウンタ、第2面画像展開済みページカウンタ、第1面BMM保持ページカウンタ、及び第2面BMM保持ページカウンタを監視し、下記の2つの条件についての判定を行う。
【0041】
条件1:第1面BMM保持ページカウンタの値(第1面計数値)と第2面BMM保持ページカウンタの値(第2面計数値)との両者が、共に規定値Nを超えたか。
条件2:第1面画像展開済みページカウンタの値と第2面画像展開済みページカウンタの値とが、共に、ジョブ情報に示されている、画像記録処理を行う総ページ数に達したか。
【0042】
ここで、連続シート搬送制御部14は、この2つの条件のうちの少なくともどちらか一方が満たされるまでは、搬送機構40による連続シート50の搬送を開始させないようにする。そして、連続シート搬送制御部14は、この2つの条件のうちの少なくともどちらか一方が満たされたと判断したタイミングで、当該搬送を開始させる。
【0043】
その後、搬送機構40による連続シート50の搬送速度が所定の値で安定したことが、搬送情報生成部41から制御部2に送られてくる検出パルスの間隔に基づき認識されると、画像記録処理の開始指示が制御部2により発せられる。
【0044】
また、連続シート搬送制御部14は、前述した連続シート50の搬送制御と並行して、シート情報の生成を行う。シート情報のデータ構造を図3に示す。
図3に示すように、シート情報16aは、画像データが格納される領域と画像記録データ最終シートフラグが格納される領域とを少なくとも有している。ここで、画像データの格納領域には、第1面画像展開部12内の第1のBMM及び第2面画像展開部内の第2のBMMで保持されている表裏一対のドットイメージデータを1ページずつ読み出したものが格納される。また、画像記録データ最終シートフラグの格納領域には、画像データの格納領域に格納されているドットイメージデータが、上位装置3から受け取ったジョブ情報に基づき行われる画像記録処理における最終の処理対象である場合に、所定のフラグがセットされる。
【0045】
連続シート搬送制御部14は、生成したシート情報16aを画像記録待ち状態のシート情報キュー16に格納して保持させる。なお、画像記録待ち状態のシート情報キュー16は、記憶部15内の所定の記憶領域に予め確保しておく。
【0046】
また、連続シート搬送制御部14は、切断情報生成部61が検出した、後処理機構60による連続シート50の切断情報を受け取ると、この切断情報に同期させる、連続シート50の後続部分に対する画像記録のタイミングを決定する切断部同期情報51を生成して記憶部15内の所定の記憶領域に格納する。
【0047】
連続シート搬送制御部14は、画像記録処理の開始指示を受け取ると、以上の動作に並行して、搬送制御情報生成処理と搬送制御処理とを開始する。これらの処理について、図4を参照しながら説明する。
【0048】
図4に示すように、搬送制御情報生成処理(SUB1)17は、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に保持されているシート情報16aを読み出すと共に切断部同期情報51を参照し、これらの情報から搬送制御情報53を生成して記憶部15内の所定の記憶領域に書き込む処理である。また、搬送制御処理(SUB2)18は、この搬送制御情報53の記憶部15からの読み出しを行い、読み出された搬送制御情報53に指定されているタイミングで、画像記録処理を第1の画像記録部20及び第2の画像記録部30に行わせる処理である。
【0049】
搬送制御情報生成処理(SUB1)17について更に説明する。
この処理が開始されると、連続シート搬送制御部14は、まず、搬送制御処理(SUB2)18による搬送制御が可能であるか否かを判定する処理を行う。ここで、搬送制御が可能であるとは、搬送制御処理(SUB2)18が、第1の画像記録部20若しくは第2の画像記録部30に対する画像記録処理のための制御処理を行っていない状態を意味する。
【0050】
連続シート搬送制御部14は、この判定処理において、搬送制御が可能であると判定した場合には、画像記録待ち状態のシート情報キュー16の残量を監視する処理を行う。そして、連続シート搬送制御部14は、この監視結果に基づき、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に一定数以上のシート情報16aがあることと、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に画像記録データの最終シートについてのシート情報16aがあることと、の2つの条件のうち少なくともどちらか一方が成立するか否かを判定する処理とを行う。
【0051】
連続シート搬送制御部14は、この判定処理において、前述した2つの判定条件のうち少なくともどちらか一方が成立すると判定した場合には、画像記録待ち状態のシート情報キュー16から先入れ先出し(First In First Out:FIFO)順にシート情報16aを読み出す処理を行い、読み出したシート情報16aと、切断部同期情報51の参照結果とに基づき、搬送制御情報53を生成して記憶部15内の所定の記憶領域に書き込む処理を行う。
【0052】
なお、図4に示されている搬送制御情報53は、シート情報16a毎にひとつずつ生成される搬送制御情報53aをまとめて表現したものである。この搬送制御情報53aのデータ構造を図5に示す。
【0053】
図5に示されているように、搬送制御情報53aは、1シート分の画像記録処理において行われる各制御処理に必要な制御情報と、各制御処理の実行タイミングとが格納されている。
【0054】
図5において、画像データの格納領域には、シート情報16aにおける画像データの格納領域に格納されていた表裏一対のドットイメージデータがそのまま複写されて格納される。また、排出先設定の格納領域には、排出経路切替部63に対する切替制御情報として、排出台66への経路の選択を示す情報が格納される。更に、画像記録データ最終シートフラグの格納領域には、シート情報16aにおける画像記録データ最終シートフラグの格納領域に、前述した所定のフラグがセットされていた場合にのみ、同一のフラグがセットされる。
【0055】
また、図5において、インク吐出、排出経路切替部作動、及び、画像記録媒体排出の各格納領域には、制御部2によりカウントされる、搬送情報生成部41による検出パルスのカウント値が示される。これらは、それぞれ、画像データの格納領域に格納されているドットイメージデータについての画像記録処理を行う際の記録ヘッド部22及び32におけるインク吐出開始タイミング、当該画像記録処理後のシート(切断後の連続シート50)の排出経路の切り替えタイミング(排出経路切替部63の切り替え制御タイミング)、及び、当該画像記録処理後のシートの排出台66への排出タイミングを表している。
【0056】
更に、連続シート搬送制御部14は、搬送制御情報生成処理(SUB1)17の実行により、切断情報生成部61により生成された切断情報が制御部2へ通知される度に、切断部同期情報51を、連続シート50における後続するシートの画像記録開始タイミングを表すカウント値に更新する処理を行う。この更新処理によって、連続シート50における後続するシートの画像記録タイミングの、切断情報生成部61により生成された切断情報に対する同期が保持される。なお、切断部同期情報51は、下記の式に従って更新される。
【0057】
Nt=Ct+Lenc
なお、上記の式において、Ntは、更新後の切断部同期情報51、すなわち、直近に画像記録を終えたシートに続く次のシートの画像記録タイミングを示すカウント値である。また、Ctは、更新直前の切断部同期情報51、すなわち、直近に画像記録を終えたシートの画像記録タイミングを示すカウント値であり、Lencは、シート1枚分の連続シート50の搬送距離に相当する、搬送情報生成部41による検出パルスのカウント値である。なお、このLencは、カット長設定値52として、記憶部15内の所定領域に予め設定される。
【0058】
次に、搬送制御情報生成処理(SUB2)18について更に説明する。
この処理が開始されると、連続シート搬送制御部14は、まず、搬送制御情報生成処理(SUB1)17により生成された搬送制御情報53aを記憶部15から読み出すと共に、搬送機構40内の搬送情報生成部41からの検出パルスにより制御部2で生成される情報(検出パルスのカウント値)を監視する処理を行う。
【0059】
ここで、連続シート搬送制御部14は、搬送情報生成部41での検出パルスのカウント値が、読み出した搬送制御情報53aに示されている画像記録(インク吐出)、排出経路切替部作動、画像記録媒体排出の各制御処理の実行タイミングを示すカウント値に一致したときに、各制御処理を実行する処理を行う。ここで、実行する制御処理が排出経路切替部の作動処理である場合には、連続シート搬送制御部14は、その搬送制御情報53aにおける排出先設定の格納領域に示されている情報に基づき、排出経路切替部63を排出台66への経路に切り替える制御処理を行う。
【0060】
1つの搬送制御情報53aについて以上の搬送制御情報生成処理(SUB2)18を完了すると、連続シート搬送制御部14は、次の搬送制御情報53aについての新たな搬送制御が可能な状態になる。
【0061】
第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13による展開処理に遅延が発生しない正常時には、連続シート搬送制御部14が以上の処理を繰り返し行うことにより、連続シート50には、図6に模式的に示すように、各ページの画像がページ順に連続して記録され、その後にページ毎にカット長さLに切断されて排出台66に排出される。
【0062】
連続シート搬送制御部14は、搬送制御情報生成処理(SUB1)17及び搬送制御情報生成処理(SUB2)18を実行すると、以上のような正常時の処理を行う一方で、上位装置3からの画像記録データ転送遅延や画像記録装置1内の負荷増大による処理遅延などで、連続シート50への連続した画像記録を行えなくなることが予測された異常時の場合には、以下の処理を行う。
【0063】
すなわち、搬送制御情報生成処理(SUB1)17を実行中の連続シート搬送制御部14は、搬送制御処理(SUB2)18が搬送制御可能な状態である場合、画像記録待ち状態のシート情報キュー16の残量が所定の閾値よりも不足しているか否か(但し、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に、画像記録データ最終シートフラグがセットされているシート情報16aが含まれている場合を除く)を判定する処理を行う。この処理は、以下のようにして行われる。
【0064】
すなわち、連続シート搬送制御部14は、まず、画像記録待ち状態のシート情報キュー16に保持されている、第1面の画像記録用のシート情報16aの数(第1面のドットイメージのページ数の計数値)と、第2面の画像記録用のシート情報16aの数(第2面のドットイメージのページ数の計数値)と計数してその計数値の和を算出する処理、つまり、第1面画像展開部12による展開処理により得られた第1面展開画像データのページ数の計数値と、第2面画像展開部13による展開処理により保持されている第2面展開画像データのページ数を計数した計数値との和を算出する処理を行う。この算出結果が、画像記録待ち状態のシート情報キュー16の残量である。
【0065】
次に、連続シート搬送制御部14は、この残量と、所定の閾値との大小比較処理を行う。ここで、この閾値は、例えば、第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13について、予め実験により特定されている、展開処理のために要する展開処理時間で、画像記録装置1が通常の画像記録を行うことのできるページ数に設定される。
【0066】
ここで、連続シート搬送制御部14は、大小比較処理の結果として、画像記録待ち状態のシート情報キュー16の残量が所定の閾値よりも不足している場合には、連続シート搬送制御部14は、第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13による展開処理の時間に遅延が生じると判定し、搬送制御情報53aの記憶部15からの読み出しを行わず、その代わりに、図7に示すような、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bを生成して、記憶部15内の所定の記憶領域に書き込む処理を行う。
【0067】
図7に示したブランクシート生成用の搬送制御情報53bにおいて、ブランク画像データの格納領域には、記録ヘッド部22及び32がインク吐出を行うことがないようなデータ(例えばヌルデータ)を、念のため格納しておくようにする。また、排出先設定の格納領域には、排出経路切替部63に対する切替制御情報として、廃棄媒体回収箱67への経路の選択を示す情報が格納される。なお、画像記録データ最終シートフラグの格納領域は、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bでは使用しない。
【0068】
また、図7において、排出経路切替部作動、及び画像記録媒体排出の各格納領域には、制御部2によりカウントされる、搬送情報生成部41による検出パルスのカウント値が示される。これらは、それぞれ、ブランクシート(切断後の連続シート50)の排出経路の切替タイミング(排出経路切替部63の切替制御タイミング)、及び、ブランクシートの廃棄媒体回収箱67への排出タイミングを表している。なお、インク吐出が行われないので、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bには、インク吐出開始タイミングの格納領域は存在しない。
【0069】
なお、連続シート搬送制御部14は、搬送制御情報生成処理(SUB1)17の実行により、正常時の処理と同様に、切断情報生成部61により生成された切断情報が制御部2へ通知される度に、切断部同期情報51を、連続シート50における後続するシートの画像記録開始タイミングを表すカウント値に更新する処理を行う。この更新処理によって、連続シート50における後続するシートの画像記録タイミングの、切断情報生成部61により生成された切断情報に対する同期が保持される。
【0070】
また、この異常時の場合には、搬送制御処理(SUB2)18を実行中の連続シート搬送制御部14は、以下の処理を行う。
すなわち、連続シート搬送制御部14は、搬送制御情報生成処理(SUB1)17により生成された、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bを記憶部15から読み出すと共に、搬送機構40内の搬送情報生成部41からの検出パルスにより制御部2で生成される情報(検出パルスのカウント値)を監視する処理を行う。
【0071】
ここで、連続シート搬送制御部14は、搬送情報生成部41での検出パルスのカウント値が、読み出した搬送制御情報53bに示されている排出経路切替部作動及び画像記録媒体排出の各制御処理の実行タイミングを示すカウント値に一致したときに、各制御処理を実行する処理を行う。ここで、搬送制御情報53bには画像記録(インク吐出)の実行タイミングに関する情報が格納されていないので、連続シート50への画像記録は行われない。なお、実行する制御処理が排出経路切替部の作動処理である場合には、連続シート搬送制御部14は、その搬送制御情報53bにおける排出先設定の格納領域に示されている情報に基づき、排出経路切替部63を廃棄媒体回収箱67への経路に切り替える制御処理を行う。
【0072】
1つの搬送制御情報53bについて以上の搬送制御情報生成処理(SUB2)18を完了すると、連続シート搬送制御部14は、次の搬送制御情報53a若しくは53bについての新たな搬送制御が可能な状態になる。
【0073】
第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13による展開処理に所定の展開処理時間を越えるような遅延が発生した異常時には、連続シート搬送制御部14が以上の処理を繰り返し行うことにより、連続シート50には、図8の(a)に模式的に示すように、各ページの画像がページ順に連続して記録される間に、画像記録処理が行われない非記録部分(ブランクシート)が生成される。
【0074】
そして、その後に連続シート50がページ毎に切断されると、図8の(b)に模式的に示すように、画像記録がされたシート50aは排出台66に排出され、画像記録が行われなかったブランクシートであるシート50bは廃棄媒体回収箱67で回収される。
【0075】
なお、こうして連続シート50に生成される非記録部分の連続シート50の搬送方向の長さは、図8の(b)に模式的に示したように、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bが連続する数に応じ、後処理機構60による連続シート50の切断間隔に相当する連続シート50の搬送距離(すなわち、図8の(b)におけるカット長)の整数倍となる。また、ブランクシートが連続して一定数生成された場合には、何らかの画像記録データの処理に不正があるとみなし、連続シート搬送制御部14が、例えば不図示の表示部にエラー表示を行う等して、異常の発生をユーザに報知する報知処理を行うようにしてもよい。
【0076】
次に図9について説明する。図9は、制御部2によって行われる搬送制御情報生成処理(SUB1)17における、搬送制御情報53の生成処理をフローチャートで示している。
【0077】
この図9に示した処理は、前述したように、制御部2のROMに予め記憶させておいた制御プログラムを制御部2のMPUが読み出して実行することにより実現される。
画像記録が開始されると、制御部2は、まず、ステップS1において、搬送制御処理(SUB2)18による搬送制御が可能な状態であるか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部2は、搬送制御が可能な状態であると判定した場合(判定結果がYes)、ステップS2に処理を進める。一方、制御部2は、搬送制御が可能な状態ではないと判定した場合(判定結果がNo)、搬送制御が可能な状態と判定されるまで(判定結果がYesとなるのまで)ステップS1の処理を繰り返す。
【0078】
次に、制御部2は、ステップS2において、記憶部15における画像記録待ち状態のシート情報キュー16に、所定の閾値以上のシート情報16aが残存しているか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部2は、所定の閾値以上のシート情報16aが残存していると判定した場合(判定結果がYes)、ステップS3に処理を進める。一方、制御部2は、所定の閾値未満しかシート情報16aが残存していないと判定した場合(判定結果がNo)、ステップS6に処理を進める。
【0079】
次に、制御部2は、ステップS3において、画像記録待ち状態のシート情報キュー16から先入れ先出し(FIFO)順にシート情報16aを読み出す処理を行う。
次に、制御部2は、ステップS4において、記憶部15に記憶されている切断部同期情報51を参照し、ステップS3の処理により読み出したシート情報16aと、この切断部同期情報51の参照結果とに基づき、インク吐出開始タイミング、排出経路切替部63の切替制御タイミング、及び画像記録処理後のシートの排出台66への排出タイミングを含む搬送制御情報53aを、前述したようにして生成する処理を行う。
【0080】
次に、制御部2は、ステップS5において、生成された搬送制御情報53aを記憶部15内の所定の記憶領域に書き込む処理を行う。その後、制御部2は、ステップ8において最終シートかどうかの判断をし、最終シートでない場合はステップS1へと処理を戻して前述した処理を繰り返す。最終シートの場合はここで停止する。
【0081】
一方、制御部2は、前述したステップS2の判定処理において、所定の閾値未満しかシート情報16aが残存していないと判定した場合(判定結果がNo)には、ステップS6において、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に、画像記録データ最終シートフラグがセットされているシート情報16aが含まれているか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部2は、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に、当該フラグがセットされているシート情報16aが含まれていると判定したとき(判定結果がYesのとき)には、前述したステップS3へと処理を戻して、画像記録用の搬送制御情報53aを生成するための処理を行う。一方、制御部2は、画像記録待ち状態のシート情報キュー16内に、当該フラグがセットされているシート情報16aが含まれていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、ステップS7に処理を進める。
【0082】
次に、制御部2は、ステップS7において、記憶部15に記憶されている切断部同期情報51を参照し、この参照結果に基づき、排出経路切替部63の切替制御タイミング及び画像記録処理後のシートの廃棄媒体回収箱67への排出タイミングを含む、ブランクシート生成用の搬送制御情報53bを、前述したようにして生成する処理を行う。その後、制御部2は、ステップS5へと処理を戻して、生成された搬送制御情報53bを記憶部15の記憶部15内の所定の記憶領域に書き込む処理を行う。この処理により書き込まれた搬送制御情報53bに従った制御処理を、搬送制御処理(SUB)18を実行する連続シート搬送制御部14が行うことによって、後処理機構60がブランクシートの生成後に制御されて、後処理機構60が切断したブランクシートの排出経路の、排出台66への排出経路65から廃棄媒体排出経路64への切替が行われる。
【0083】
その後、制御部2は、ステップS1へと処理を戻して前述した処理を繰り返す。従って、この後に実行されるステップS2及びステップS6の処理によって、第1面画像展開部12及び第2面画像展開部13による展開処理についての遅延が解消したと判定された場合には、ステップS3及びステップS4の処理が実行される。その結果、切断情報生成部61が生成した切断情報に同期させて記録ヘッド部22及び32を制御して行われる画像記録処理が再開される。
【0084】
以上までの処理が搬送制御情報53の生成処理である。
以上のように、本実施形態に係る画像記録装置1によれば、画像データの転送の遅延や、画像記録制御処理の遅延などにより、画像記録タイミングが画像記録中に遅延する場合が発生しても、連続シート50である記録媒体の搬送を停止させず、最小限の余剰紙出力だけで画像記録を継続することができる。
【0085】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る画像記録装置を概念的なブロック構成で示した図である。
【図2】本実施形態に係る画像記録装置の配置構成を模式的に示した図である。
【図3】シート情報のデータ構造を示す図である。
【図4】連続シート搬送制御部で行われる処理を説明する図である。
【図5】画像記録用の搬送制御情報のデータ構造を示す図である。
【図6】正常時における連続シートへの画像記録結果を模式的に示した図である。
【図7】ブランクシート生成用の搬送制御情報のデータ構造を示す図である。
【図8】異常時における連続シートへの画像記録結果と連続シートの切断後の排出結果とを模式的に示した図である。
【図9】搬送制御情報の生成処理をフローチャートで示した図である。
【符号の説明】
【0087】
1 画像記録装置
2 制御部
3 上位装置
12 第1面画像展開部
13 第2面画像展開部
14 連続シート搬送制御部
15 記憶部
16 画像記録待ち状態のシート情報キュー
16a シート情報
17 搬送制御情報生成処理(SUB1)
18 搬送制御処理(SUB2)
20 第1の画像記録部
21、31 ヘッド駆動部
22、32 記録ヘッド部
30 第2の画像記録部
40 搬送機構
41 搬送情報生成部
42 搬送駆動部
43 連続シート供給部
44 第1の連続シート担持体
45 第2の連続シート担持体
47−1乃至47−8 ガイドローラ
50 連続シート
50a 画像記録がされたシート
50b ブランクシート
51 切断部同期情報
52 カット長設定値
53 搬送制御情報
53a 画像記録用の搬送制御情報
53b ブランクシート生成用の搬送制御情報
60 後処理機構
61 切断情報生成部
62 切断駆動部
62a 切断ローラ駆動モータ
62b 切断駆動ローラ
62c 切断従動ローラ
63 排出経路切替部
64 廃棄媒体排出経路
65 排出台への排出経路
66 排出台
67 廃棄媒体回収箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドから前記ドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置において、
前記連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で前記連続シートの切断を行う後処理機構と、
前記画像展開部による前記展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定し、当該遅延が生じると判定した場合に、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに生成する連続シート搬送制御部と、を少なくとも備え、
前記連続シート搬送制御部は、前記非記録部分の前記連続シートへの生成を、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて行う、ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記連続シート搬送制御部は、前記連続シートに生成する前記非記録部分の前記連続シートの搬送方向の長さを、前記後処理機構による前記連続シートの前記非記録部分ではない部分の切断間隔に相当する前記連続シートの搬送距離の整数倍とする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記連続シート搬送制御部は、前記遅延が解消したか否かを前記非記録部分の生成後に判定し、当該遅延が解消したと判定した場合に、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて前記記録ヘッドを制御して前記画像記録処理を再開させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記後処理機構は前記連続シートの切断後に当該シートの排出先を切り替える排出経路切り替え部をさらに備え、
前記連続シート搬送制御部は、前記非記録部分を前記連続シートに生成したときに前記排出経路切り替え部を制御して、当該後処理機構が切断した前記非記録部分の排出経路を、当該後処理機構が切断した前記非記録部分を含まない前記連続シートの排出経路とは別の経路に切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記画像展開部は、前記画像記録処理の記録対象である両面複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して片面毎に保持する展開処理を行う第1面画像展開部及び第2面画像展開部を備え、
前記画像記録処理は、搬送される前記連続シートの両面に対して行われ、
前記連続シート搬送制御部は、前記第1面画像展開部による前記展開処理により保持されている第1面展開画像データのページ数を計数した第1面計数値と、前記第2面画像展開部による前記展開処理により保持されている第2面展開画像データのページ数を計数した第2面計数値とに基づき、当該第1面画像展開部及び当該第2面画像展開部の各々について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定し、当該遅延が生じると判定した場合に、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに前記第1面と前記第2面とのページ配置の関係を維持しながら生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記連続シート搬送制御部を少なくとも備える制御部を更に備え、
前記制御部は、演算処理装置と、制御プログラムを予め記憶している記憶部とを少なくとも備えて構成されており、前記演算処理装置に前記制御プログラムを実行させることにより前記連続シート搬送制御部として機能する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドから前記ドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、
前記画像記録装置は、前記連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で前記連続シートの切断を行う後処理機構を少なくとも備えており、
前記制御方法は、
前記画像展開部による前記展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定することと、
前記遅延が生じると判定した場合に、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに生成することと、を含む、ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記連続シートに生成する前記非記録部分の前記連続シートの搬送方向の長さを、前記後処理機構による前記連続シートの切断間隔に相当する前記連続シートの前記非記録部分ではない部分の搬送距離の整数倍とする、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記遅延が解消したか否かを前記非記録部分の生成後に判定することと、
前記遅延が解消したと判定した場合に、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて前記記録ヘッドを制御して前記画像記録処理を再開させることと、を更に含む、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項10】
前記後処理機構は前記連続シートの切断後に当該シートの排出先を切り替える排出経路切り替え部をさらに備え、
前記非記録部分を前記連続シートに生成したときに前記排出経路切り替え部を制御して、当該後処理機構が切断した前記非記録部分の排出経路を、当該後処理機構が切断した前記非記録部分を含まない前記連続シートの排出経路とは別の経路に切り替えることを更に含む、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項11】
前記画像展開部は、前記画像記録処理の記録対象である両面複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して片面毎に保持する展開処理を行う第1面画像展開部及び第2面画像展開部を備え、
前記画像記録処理は、搬送される前記連続シートの両面に対して行われ、
前記制御方法は、
前記第1面画像展開部による前記展開処理により保持されている第1面展開画像データのページ数を計数した第1面計数値と、前記第2面画像展開部による前記展開処理により保持されている第2面展開画像データのページ数を計数した第2面計数値とに基づき、当該第1面画像展開部及び当該第2面画像展開部の各々について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定することと、
前記遅延が生じると判定した場合に、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに前記第1面と前記第2面とのページ配置の関係を維持しながら生成することと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項12】
画像記録処理の記録対象である複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して保持する展開処理を行う画像展開部を有し、搬送される記録媒体である連続シートに対し記録ヘッドから前記ドットイメージに基づきインクを吐出して画像記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記画像記録装置は、前記連続シートの切断タイミングを示す切断情報を生成する切断情報生成部を少なくとも有しており、所定の一定間隔で前記連続シートの切断を行う後処理機構を少なくとも備えており、
前記プログラムは、
前記画像展開部による前記展開処理により保持されている展開画像データのページ数を計数した計数値に基づき、当該画像展開部について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定する処理と、
前記遅延が生じると判定した場合に、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに生成する処理と、を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記非記録部分を前記連続シートに生成する処理では、前記非記録部分の前記連続シートの搬送方向の長さを、前記後処理機構による前記連続シートの切断間隔に相当する前記連続シートの前記非記録部分ではない部分の搬送距離の整数倍とする、ことを特徴とする請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記遅延が解消したか否かを前記非記録部分の生成後に判定する処理と、
前記遅延が解消したと判定した場合に、前記切断情報生成部が生成した切断情報に同期させて前記記録ヘッドを制御して前記画像記録処理を再開させる処理と、を更に前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項12に記載の画像記録装置のプログラム。
【請求項15】
前記後処理機構は前記連続シートの切断後に当該シートの排出先を切り替える排出経路切り替え部をさらに備え、
前記非記録部分を前記連続シートに生成したときに前記排出経路切り替え部を制御して、当該後処理機構が切断した前記非記録部分の排出経路を、当該後処理機構が切断した前記非記録部分を含まない前記連続シートの排出経路とは別の経路に切り替える処理を更に前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項12に記載のプログラム。
【請求項16】
前記画像展開部は、前記画像記録処理の記録対象である両面複数ページの記録データを1ページ毎のドットイメージに展開して片面毎に保持する展開処理を行う第1面画像展開部及び第2面画像展開部を備え、
前記画像記録処理は、搬送される前記連続シートの両面に対して行われ、
前記プログラムは、
前記第1面画像展開部による前記展開処理により保持されている第1面展開画像データのページ数を計数した第1面計数値と、前記第2面画像展開部による前記展開処理により保持されている第2面展開画像データのページ数を計数した第2面計数値とに基づき、当該第1面画像展開部及び当該第2面画像展開部の各々について予め特定されている前記展開処理のために要する展開処理時間に遅延が生じるか否かを判定する処理と、
前記遅延が生じると判定した場合に、前記画像記録処理がなされない非記録部分を前記連続シートに前記第1面と前記第2面とのページ配置の関係を維持しながら生成する処理と、を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項12に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−269229(P2009−269229A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119604(P2008−119604)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】