説明

画像記録装置

【課題】使用者が操作し易い画像記録装置を提供すること。
【解決手段】画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する処理の一部を行う第1処理ユニットと、前記処理の残りを行う第2処理ユニットと、第1および第2処理ユニットを移動させる移動部と、第1および第2処理ユニットの画像記録処理を制御する第1制御部と、画像記録処理の進行状況を第1制御部から取得し、その進行状況に応じた位置に第1および第2処理ユニットが移動するように移動部を制御する第2制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像記録装置に関し、例えば、コピー機やプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の多くは、直接あるいは設置台を介して床面上に設置された後、その位置をずらすことなく使用されるのが一般的である。また、画像記録装置の、例えば、操作パネル部、給紙カセット部、排紙トレイ部、原稿読取部、トナー補給部などの床面からの高さは一定に固定されている。例えば、操作パネル部の高さは、平均的な身長の使用者が操作し易い高さに基づいて設計され、床面から80〜120cm程度である。
そして、画像記録装置のような機器を設置台や床面に設置する場合には、機器の傾きや高さを微調整するために用いる手動調整装置がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−180471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、画像記録装置は、待機中、あるいは処理中であっても操作パネル部が操作されないときは、一定の高さに固定されている必然性はない。むしろ、離れた場所からでも装置の状態が視認しやすいという点から、処理の状況に応じて装置を上昇させたほうが有利といえる。あるいは、印刷されて排出中のシートが第3者に見られないようにするというセキュリティーの観点からも、印刷処理中には装置を上昇させておくことが好ましい。
【0004】
また、そのような装置を使用する人の中には、背の高い人も低い人もいる。また、その年齢も子供から老人に至るまで多岐に渡る。さらに、使用者は健常者に限らない。例えば、車椅子に乗った使用者にとっては、上記のように設定された高さは、高すぎて操作しづらいものとなる。このように、使用者の種類は多岐に渡り、すべての使用者に高い利便性を提供することは難しい。
【0005】
また、使用者が操作する箇所は操作パネル部だけにとどまらない。給紙カセット部にシートを補給したり、排紙トレイ部に排出されたシートを取り出したりする。あるいは、原稿読取部に原稿をセットしたり、トナー補給部にトナーを補給したりすることもある。専有面積や機構上の制約等から、それら各部を同じ高さに配置するのは困難であり、各部が異なる高さに設けられる。従って、すべての場合について高い利便性を提供することはむずかしい。
【0006】
このような利便性を提供するためには、画像記録装置そのものや、あるいはその構成部分を、その処理状況に応じて移動又は昇降させることが必要であるが、そのように移動又は昇降できるようにしたものは、今までに知られていない。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、操作の内容および/または処理の状況に即して高い利便性を与えることのできる画像記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する処理の一部を行う第1処理ユニットと、前記処理の残りを行う第2処理ユニットと、第1および第2処理ユニットを移動させる移動部と、第1および第2処理ユニットの画像記録処理を制御する第1制御部と、画像記録処理の進行状況を第1制御部から取得し、その進行状況に応じた位置に第1および第2処理ユニットが移動するように移動部を制御する第2制御部とを備える画像記録装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1および第2処理ユニットを処理の進行状況に応じて移動させることができる。従って、第1および第2処理ユニットの操作時には操作し易い位置に、処理中には処理中であることを表す位置に、操作終了時には記録媒体を取り出し易い位置に、各処理ユニットを移動させることができ、画像記録装置の使用における利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の画像記録装置は、画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する処理の一部を行う第1処理ユニットと、前記処理の残りを行う第2処理ユニットと、第1および第2処理ユニットを移動させる移動部と、第1および第2処理ユニットの画像記録処理を制御する第1制御部と、画像記録処理の進行状況を第1制御部から取得し、その進行状況に応じた位置に第1および第2処理ユニットが移動するように移動部を制御する第2制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明の画像記録装置は、原稿を走査して得た画像データに基づいて記録媒体へ画像を記録する電子写真複写機や、与えられる画像データに基づいて記録媒体へ画像を記録するレーザプリンタやインクジェットプリンタなどを含む。
従って、この発明の各処理ユニットは、例えば、原稿を光学的に走査して画像データを読み取るスキャナ部、画像データに基づいて記録媒体へ画像を記録するプリンタ部、記録媒体を収容し記録媒体をプリンタ部へ供給する給紙カセット部、および記録の終了した記録媒体を処理するフィニッシャ部などのいずれかによって構成される。
【0011】
移動部には、第1および第2処理ユニットを個別に上昇させる昇降機構を好適に用いることができる。そのような昇降機構には、例えば、床面に立設し周面に雄ねじを有する支柱と、支柱の雄ねじに噛み合う雌ねじを有するナットと、ナットを回転させる駆動源を備えるものが好適に用いられる。
第1および第2制御部は、CPU,ROM,RAMからなるマイクロコンピュータによって構成できる。
【0012】
第1処理ユニットは原稿から画像データの読取り処理を行うユニットであり、第2処理ユニットは読取られた画像データに基づいて記録媒体へ画像の記録処理を行うユニットであってもよい。
第1処理ユニットは画像データに基づいて記録媒体へ画像の記録処理を行うユニットであり、第2処理ユニットは記録処理された記録媒体を処理するユニットであってもよい。
第1および第2処理ユニットは互いに連結した状態で画像記録処理を行ってもよい。
移動部は第1および第2処理ユニットを独立して移動させる機構を備えることが好ましい。
【0013】
第1および第2処理ユニットの処理が完了したとき、第2制御部は第1又は第2処理ユニットを所定位置に移動させてもよい。第1および第2処理ユニットの処理が完了する前に、第2制御部は第1又は第2処理ユニットの所定位置への移動を開始させてもよい。
第1又は第2処理ユニットの処理が中断したとき、第2制御部は処理の中断した処理ユニットを所定位置に移動させてもよい。
第1又は第2処理ユニットにおける処理の中断が解除されたとき、第2制御部は中断が解除された処理ユニットを前記所定位置から他の所定位置へ移動させてもよい。
【0014】
以下、図面に示す実施形態1と実施形態2を用いてのこの発明を詳述する。これによってこの発明が限定されるものではない。なお、図面において、共通の構成要素には、同じ参照符号をつけている。
【0015】
実施形態1
図1(a)はこの発明の画像記録装置の実施形態1としての電子写真複写機(コピー機)を示す正面図、図1(b)は同側面図、図2は図1(a)のI−I矢視断面図である。これらの図に示すように、本体1は、スキャナ部1a、プリンタ部1b、および給紙カセット部1cを備える。スキャナ部1aは操作パネル部67を備える。スキャナ部1a、プリンタ部1b、および給紙カセットcは、互いに積み重ねられ、それらの四隅を4本の支柱3が貫通している。各支柱3は下端および上端が固定部材7を介してそれぞれ床面11と天井面13とに固定されている。スキャナ部1a、プリンタ部1bおよび給紙カセット部1cは、それぞれ支柱3に係合する昇降機構2を備え、支柱3に沿って個別に昇降可能である。
【0016】
図3は昇降機構2を示す断面図である。
図3に示すように、支柱3の周面にはネジ山(雄ねじ)が形成されている。支柱3の雄ねじにナット5の雌ねじが噛み合っている。そして、支柱3の雄ねじのねじみぞとナット5の雌ねじのねじみぞとを対向させてできるらせん状のねじみぞ空間にころがり軸受用のボールが一列に挿入され、ナット5の一端から出たボールはナット5の穴を通って再びナット5の他端のねじみぞ空間に戻される機構、いわゆるボールねじ機構が用いられている。
【0017】
ナット5は支持部材4にスラスト軸受6とラジアル軸受8とによって回転可能に支持される。ナット4の下端にはウォームホイール14が一体的に形成され、ウォームホイール14に噛み合うウォーム12が設けられ、ウォーム12は昇降駆動モータ9に接続されている。ウォーム12が昇降駆動モータ9により回転されると、ナット5の回転により支持部材4が支柱3に対して相対移動する。従って、昇降機構2を備えるスキャナ1a、プリンタ部1bおよび給紙カセット部1cは、昇降駆動モータ9の駆動により支柱に沿って昇降することができる。
【0018】
図4、図5、図6は、それぞれスキャナ部1a、プリンタ部1b、給紙カセット部1cの構成と機能を示す説明図である。
図4に示すスキャナ部1aにおいて、走査光学系16は、光源ランプ24と、画像読取り手段としてCCD読取りユニット18を備え、原稿台(プラテンガラス)19上に置かれた原稿の画像を走査光学系16で走査し、CCD読取りユニット18で読取りを行う。CCD読取りユニット18は、結像レンズやCCDイメージセンサなどを備える。
【0019】
原稿搬送装置17は、原稿トレイ30上に積層状態で載置された原稿を1枚ずつ取り込んでゆき、取り込んだ原稿を原稿台19の先端部分へ搬送した後、原稿排紙トレイ36へ排出する。原稿が搬送される過程で、走査光学系16のCCD読取りユニット18によって原稿下面側の画像が読み取られる。同時に、原稿搬送路の上面側に設けられた密着型イメージセンサ35によって原稿上面側の画像が読み取られる。
【0020】
また、原稿搬送装置17は、原稿台19の奥側に設けられたヒンジ(図示せず)を回動支点として、手前の部分が上昇し、原稿台19の上面を開放できるようになっている。原稿搬送装置17が搬送できない原稿、例えば、本のような原稿を読み取る場合には、操作者が原稿搬送装置17を上昇させて原稿を原稿台19上にセットすると、走査光学系16は、原稿台19の下を移動しながら原稿を走査して原稿画像を読み取るようになっている。
【0021】
図5に示すプリンタ部1bは、画像を形成するための記録媒体であるシート(用紙)の搬送系、レーザー書き込みユニット46、および画像を形成するための電子写真プロセス部37を備えている。電子写真プロセス部37は、その表面に静電潜像を形成するための感光体ドラム48を有する。レーザー書き込みユニット46は、画像データに応じてレーザー光を出射する半導体レーザー光源、レーザー光を偏向するポリゴンミラー46b、偏向されたレーザー光が感光体ドラム48の表面を等角速度で走査するようにレーザーの光路を補正するfθレンズ46cなどを有している。
【0022】
電子写真プロセス部37は、感光体ドラム48の周囲に帯電器45、現像器47、トナー容器47a、転写器44、シート剥離器43、クリーニング器42、除電器41が配置されてなる。帯電器45は、感光体ドラム48の表面を一様に帯電させる。その後、レーザー書き込みユニット46によって感光体ドラム48の表面にレーザー光が照射され、これによって原稿画像に対応する静電潜像が形成される。現像器47は、形成された静電潜像に対応して感光体ドラム48の表面にトナーを付着させる。これによって、感光体ドラム48の表面に原稿に対応するトナー像が形成される。トナー容器47aは、現像器47にトナーを供給する。
【0023】
プリンタ部1bにおけるシート搬送系は、シート搬送部40、定着器49、再供給ユニット55を有する。給紙カセット部1c(図6)からシート搬入口54を介してシート搬送部40へ一枚ずつシートが送り込まれる。シート搬送部40は、送り込まれたシートを転写器44が配置される転写位置へ搬送する。転写位置で、感光体ドラム48の表面に形成されたトナー像がシートに転写される。定着器49は、転写されたトナー像をシートに定着させる。定着されたシートは排紙ローラ57を介して排紙トレイ63へ排出される。
【0024】
なお、再供給ユニット55は、シートの表裏両面に画像を転写するために、再給紙搬送路56を介してシートを転写位置へ再供給するためのものである。また、後述の実施形態2では、定着されたシートは排出トレイ63へ排出されず、シート搬出口59から搬出される。なお、プリンタ部1bの正面には、保守用ドア39(図1(a)参照)が設けられ、使用者は保守用ドア39を開けて、トナー容器47aへのトナー補給やその他の保守点検を行うことができるようになっている。
【0025】
図6に示す給紙カセット部1cは、給紙カセット51、52、53を備える。給紙カセット51、52、53のいずれか1つが選択され、選択された給紙カセットからシートが1枚ずつ送出される。送出されたシートは給紙搬送路50を介してシート搬出口58からプリンタ部1b(図5)のシート搬入口54へ搬出される。なお、給紙カセット51、52、53は、それぞれ手前に引き出されてシートを補給できるようになっている。
【0026】
図7は操作パネル部67の正面図である。操作パネル部67は図1(a)および図2に示すようにスキャナ部1aの正面に取り付けられている。操作パネル部67は、設定印刷枚数、トナー切れ、用紙切れ、ジャム発生などのメッセージを表示する液晶表示部69、スタートキー70a、印刷枚数を設定するテンキー70bおよび設定枚数をリセットするリセットキー70cを備える。
図8は、実施形態1の電子写真複写機全体を制御する制御回路図である。同図に示すように、この制御回路は本体1、つまりスキャナ部1aとプリンタ部1bと給紙カセット部1cとを駆動制御する本体制御回路81と、昇降駆動モータ9を駆動制御する昇降制御回路83とを備える。
【0027】
本体制御回路81は、マイクロコンピュータ81a、ROM81b、RAM81c、マイクロコンピュータ81aへの入力回路部81dおよび出力回路部81eを備える。本体制御回路81は、操作パネル部67の操作キー(スタートキー70a、テンキー70b、リセットキー70c)、CCD読取りユニット18、原稿載置センサ92、原稿トレイセンサ30a、原稿排出トレイセンサ36a、原稿通過センサ93、シート通過センサ94、排紙トレイセンサ95、トナー補給センサ47b、保守用ドアセンサ98、シート補給センサ96から出力を受けて、操作パネル部67の液晶表示部69へ出力すると共に、スキャナ部1a、プリンタ部1b、給紙カセット部1cを駆動するドライバ回路85aへ出力するようになっている。
【0028】
CCD読取りユニット18により読取られた画像データは、RAM81cへ一旦格納されプリンタ部1bへ出力される。
原稿載置センサ92は、スキャナ部1a(図4)に設けられ、原稿搬送装置17が開放されて原稿台19上に原稿が載置されたか否かを検知する。
原稿トレイセンサ30aは、原稿トレイ30(図4)に設けられ、原稿トレイ30に原稿が載置されているか否かを検知する。
【0029】
原稿排出トレイセンサ36aは、原稿排出トレイ36(図4)に設けられ、原稿排紙トレイ36上に排出された原稿があるか否かを検知する。
原稿通過センサ93は、スキャナ部1a(図4)に設けられ、搬送中の原稿の詰まり(ジャム)を検知する。
シート通過センサ94は、プリンタ部1b(図5)に設けられ、搬送中のシートの詰まり(ジャム)を検知する。
排紙トレイセンサ95は、排紙トレイ63(図5)に設けられ、排紙トレイ63上にシートがあるか否かを検知する。
【0030】
トナー補給センサ47bは、トナー容器47a(図5)に設けられ、トナー容器47aに収容されたトナーがなくなった時に、トナー切れを検知する。
保守用ドアセンサ98は、保守用ドア39(図1)の開閉を検知する。
シート補給センサ96は、給紙カセット部1c(図6)に設けられ、給紙カセット51〜53内のシートの有無を検知する。
【0031】
一方、図8に示す昇降制御回路83は、マイクロコンピュータ83a、ROM83b、RAM81c、マイクロコンピュータ83aへの入力回路部83dおよび出力回路部83eを備える。昇降制御回路83は、昇降ホームポジションセンサ10の出力を受けると共に、本体1(スキャナ部1aとプリンタ部1bと給紙カセット部1c)の処理の進行状況を本体制御回路81から取得し、昇降駆動モータ9を駆動するドライバ回路85bへ出力するようになっている。ここで、昇降ホームポジションセンサ10は、図1に示すように給紙カセット部1cの底部から下方へ突出するように設けられている。
【0032】
昇降ホームポジションセンサ10は、給紙カセット部1cが床面11に到達する前に床面11への近接を検知して信号を出力する。昇降制御回路83は、この信号を昇降の基準位置(最下点)を把握するために用いる。また、昇降駆動モータ9にステッピングモータを用いれば、昇降制御回路83は、基準位置からのステップ数でスキャナ1aとプリンタ1bとの昇降位置を常に把握して制御することができる。あるいは、昇降駆動モータ9にエンコーダ付きのモータを用いることによって、昇降制御回路83は、基準位置からのエンコーダパルス数で本体1の昇降位置を常に把握して制御することができる。
【0033】
このような構成における動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。
図1に示す位置にある本体1の電源が投入されると、プリンタ部1bのウォームアップなどの初期化動作が行われる(ステップS1)。初期化動作が完了すると、図10に示すように操作パネル部67を有するスキャナ部1aが操作エリアΔHへ移動する(ステップS2)。ここで、操作エリアとは使用者が最も操作し易い高さ領域であり、床面11から高さH〜(H+ΔH)の間の領域である。ここで、例えば、H=100cm、ΔH=30cmに設定される。
【0034】
次に、スキャナ部1aに原稿がセットされ(ステップS3)、操作パネル67のテンキー70bで印刷枚数が設定され(ステップS4)、スタートキー70aがONされると(ステップS5)、スキャナ部1aにおいて読取り処理が実行される(ステップS6)。そして、原稿が除去されると(ステップS7)、印刷が開始される(ステップS8)。用紙切れ、トナー切れ、紙詰まりを生じることなく印刷が行われ(ステップS9〜S11)、設定枚数だけの印刷が完了すると(ステップS12)、プリンタ部1bの上部が図11に示すように操作エリアΔHへ移動する(ステップS13)。プリンタ1bの排紙トレイ63から印刷されたシートが取り出されると(ステップS14)、ルーチンはステップS2へ戻り、スキャナ部1aが再び図10に示す操作エリアΔHへ戻り、次の原稿セットを待つ(ステップS3)。
【0035】
ところで、ステップS9において用紙切れが発生すると、印刷は中断され、図12に示すように、給紙カセット部1cが操作エリアΔHに移動する(ステップS15)。給紙カセット部1cへのシートの補給が完了すると(ステップS16)、ルーチンはステップS8へ戻り、印刷が再開される。
また、ステップS10においてトナー切れが発生すると、印刷は中断され、プリンタ部1bが移動して図13に示すように保守用ドア39が操作エリアΔHへ移動する(ステップS17)。保守用ドア39を介してのトナー補給が完了すると(ステップS18)、ルーチンはステップS8へ戻る。
また、ステップS11において紙詰まりが発生すると、印刷は中断され、紙詰まり箇所が図14に示すように操作エリアΔHへ移動する(ステップS19)。紙詰まりが除去されると(ステップS20)、ルーチンはステップS8へ戻る。
このようにして、昇降制御回路83は、画像記録処理の進行状況を本体制御回路81から取得し、その進行状況に応じて使用者の操作が容易になる位置に、スキャナ部1a、プリンタ部1b、給紙カセット部1cを移動させる。
【0036】
図15は実施形態1の動作の変形例を示す図9対応図である。図15では図9のステップS12とS13の代わりにステップS21〜S23が挿入されている。従って、図15では、印刷が完了する(ステップS23)前に、つまり印刷枚数が残りN枚になると(ステップS21)、プリンタ部1bが操作エリアΔHへ移動を開始する(ステップS22)ことを示している。その他の動作は図9と同等である。
図16および図17は実施形態1の構造上の変形例を示す図2対応図である。図16は支柱3が3本の場合を、図17を支柱が2本の場合をそれぞれ示している。
【0037】
実施形態2
図18(a)はこの発明の画像記録装置の実施形態2としての印刷装置(プリンタ)を示す正面図、図18(a)は同側面図である。これらの図に示すように本体100は、フィニッシャ(後処理)部1d、プリンタ部1b、および給紙カセット部1cを備える。つまり、実施形態2は、実施形態1のスキャナ部1aをフィニッシャ部1dと置換したものである。但し、操作パネル67はプリンタ部1bに設けられている。
従って、実施形態1と同様に、フィニッシャ部1d、プリンタ部1b、および給紙カセット1cは互いに積み重ねられ、それらの四隅を4本の支柱3が貫通している。各支柱3は下端および上端が固定部材7を介してそれぞれ床面11と天井面13とに固定されている。
フィニッシャ部1d、プリンタ部1bおよび給紙カセット部1cは、それぞれ支柱3に係合する昇降機構2を備え、支柱3に沿って個別に昇降可能である。昇降機構2は実施形態1のもの(図3)と同等である。
【0038】
図19はフィニッシャ部1dの構成と機能を示す説明図である。
図19に示すように、フィニッシャ部1dは底部にシート搬入口62を備える。プリンタ部1b(図18)で印刷されたシートは、シート搬入口62を介してフィニッシャ部1dへ搬入され、後処理部60によって後処理が施され、排紙トレイ65a又は排紙トレイ65bに排出される。ここで、後処理とは、シートをオフセットさせて積重ねたり、ステープルしたり、パンチする処理である。
プリンタ部1bと給紙カセット部1cの構成と機能については、実施形態1(図5、図6)と同等であるので、説明を省略する。
【0039】
図20は、実施形態2の印刷装置全体を制御する制御回路図である。同図に示すように、この制御回路は、本体100、つまり、フィニッシャ部1dとプリンタ部1bと給紙カセット部1cとを駆動制御する本体制御回路82と、昇降駆動モータ9を駆動制御する昇降制御回路83とを備える。
本体制御回路82は、マイクロコンピュータ81a、ROM81b、RAM81c、マイクロコンピュータ81aへの入力回路部81dと出力回路部81eおよびネットワークインターフェース部81fを備える。本体制御回路82は、操作パネル部67の操作キー(スタートキー70a、テンキー70b、リセットキー70c)、シート通過センサ94、排紙トレイセンサ99、トナー補給センサ47b、保守用ドアセンサ98、およびシート補給センサ96から出力を受けて、操作パネル部67の液晶表示部69へ出力すると共に、フィニッシャ部1d、プリンタ部1b、給紙カセット部1cを駆動するドライバ回路85cへ出力するようになっている。
【0040】
また、本体制御回路82は、ネットワークインターフェース部81fを備え、これを介して印刷すべき画像データを外部から受入れ、RAM81cに一旦格納し、プリンタ部1bへ出力するようになっている。なお、画像データを受入れた場合には、画像データ受領というメッセージが液晶表示部69に表示される。
ここで、排紙トレイセンサ99は、排紙トレイ65a、65b(図19)に設けられ、排紙トレイ65a、65bにシートがあるか否かを検知する。その他のセンサは、実施形態1のものと設置場所および検知機能が同等である。
また、図20に示す操作パネル部67および昇降制御回路83も、実施形態1のものと同等である。
【0041】
このような構成における動作を図21に示すフローチャートを用いて説明する。
図18に示す位置にある本体100の電源が投入されると、プリンタ部1bのウォームアップなどの初期化動作が行われる(ステップS101)。初期化動作が完了すると、図22に示すように操作パネル部67を有するプリンタ部1bが操作エリアΔHへ移動する(ステップS102)。ここで、操作エリアとは実施形態1と同様に使用者が最も操作し易い高さ領域であり、床面11から高さH〜(H+ΔH)の間の領域である。例えば、H=100cm、ΔH=30cmに設定される。
次に、操作パネル67の液晶表示部69に、印刷データ、つまり印刷すべき画像データの受領が表示されていると(ステップS103)、操作パネル部67のテンキー70bで印刷枚数が設定される(ステップS104)。次に、スタートキー70aがONされると(ステップS105)、本体100は、図23に示すように高さHmの最高位置へ移動する(ステップS106)。ここで、例えば、Hm=150cmに設定される。
【0042】
本体100が最高位置に達すると、印刷が開始される(ステップS107)。これによって、印刷内容が第三者に知られないように印刷することができる。用紙切れ、トナー切れ、紙詰まりを生じることなく印刷が行われ(ステップS108〜S110)、印刷されたシートがフィニッシャ部1dの排紙トレイ65a又は65b(図19)へ排出されると(ステップS111)、フィニッシャ部1dが図24に示すように操作エリアΔHへ移動する(ステップS112)。この移動により、使用者は印刷の完了を知ることができる。印刷されたシートが取り出されると(ステップS113)、ルーチンはステップS102へ戻り、プリンタ部1bが操作エリアΔHへ移動し、次の印刷に備える(ステップS103)。
【0043】
ところで、ステップS108において用紙切れが発生すると、印刷は中断され、図25に示すように、給紙カセット部1cが操作エリアΔHに移動する(ステップS114)。シートの補給が完了すると(ステップS115)、ルーチンはステップS106へ戻り、本体100が最高位置へ移動して印刷が再開される(ステップS107)。
また、ステップS109においてトナー切れが発生すると、印刷は中断され、図26に示すようにプリンタ部1bが移動して保守用ドア39が操作エリアΔHへ移動する(ステップS116)。トナーの補給が完了すると(ステップS117)、ルーチンはステップS106へ戻る。
また、ステップS110において紙詰まりが発生すると、印刷は中断され、紙詰まり箇所が図27に示すように操作エリアΔHへ移動する(ステップS118)。紙詰まりが除去されると、ルーチンはステップS106へ戻る。
【0044】
このようにして、昇降制御回路83は、画像記録処理の進行状況を本体制御回路81から取得し、その進行状況に応じてフィニッシャ部1d、プリンタ部1b、給紙カセット部1cを移動させるので、使用者の操作が容易になると共に、印刷中に印刷物の内容を第三者に知られないようにすることができる。
【0045】
図28は実施形態2の動作の変形例を示す図21対応図である。図28では図21のステップS106とS107の順序が逆転すると共に、ステップS111とS112の代わりにステップS201〜S203が挿入されている。つまり、図28では、ステップS105でスタートキーがONされると、印刷が開始された後に(ステップS106)、プリンタ部1bが最高位置へ移動する(ステップS107)。そして、印刷が完了する(ステップS203)前に、つまり印刷枚数が残りN枚になると(ステップS201)、フィニッシャ部1dが操作エリアΔHへ移動を開始する(ステップS202)ようになっている。その他の動作は図21と同等である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施形態1の正面図と側面図である。
【図2】図1のI−I矢視断面図である。
【図3】この発明の実施形態1の要部詳細断面図である。
【図4】この発明の実施形態1の要部構成説明図である。
【図5】この発明の実施形態1の要部構成説明図である。
【図6】この発明の実施形態1の要部構成説明図である。
【図7】この発明の実施形態1の要部上面図である。
【図8】この発明の実施形態1の制御回路図である。
【図9】この発明の実施形態1の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施形態1の変位状況を示す説明図である。
【図11】この発明の実施形態1の変位状況を示す説明図である。
【図12】この発明の実施形態1の変位状況を示す説明図である。
【図13】この発明の実施形態1の変位状況を示す説明図である。
【図14】この発明の実施形態1の変位状況を示す説明図である。
【図15】この発明の実施形態1の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施形態1の変形例を示す図2対応図である。
【図17】この発明の実施形態1の他の変形例を示す図2対応図である。
【図18】この発明の実施形態2の正面図と側面図である。
【図19】この発明の実施形態2の要部構成説明図である。
【図20】この発明の実施形態2の制御回路図である。
【図21】この発明の実施形態2の動作を示すフローチャートである。
【図22】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図23】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図24】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図25】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図26】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図27】この発明の実施形態2の変位状況を示す説明図である。
【図28】この発明の実施形態2の動作の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1,100 本体
1a スキャナ部
1b プリンタ部
1c 給紙カセット部
1d フィニッシャ部
2 昇降機構
3 支柱
4 支持部材
5 ナット
6 スラスト軸受
7 固定部材
8 ラジアル軸受
9 昇降駆動モータ
10 昇降ホームポジションセンサ
11 床面
12 ウォーム
13 天井面
14 ウォームホイール
16 走査光学系
17 原稿搬送装置
18 CCD読取りユニット
19 原稿台
24 光源ランプ
30 原稿トレイ
30a 原稿トレイセンサ
35 密着型イメージセンサ
36 原稿排出トレイ
36a 原稿排出トレイセンサ
37 電子写真プロセス部
39 保守用ドア
40 シート搬送部
41 除電器
42 クリーニング器
43 シート剥離器
44 転写器
45 帯電器
46 レーザー書き込みユニット
46b ポリゴンミラー
46c fθレンズ
47 現像器
47a トナー容器
47b トナー補給センサ
48 感光体ドラム
49 定着器
50 給紙搬送路
51,52,53 給紙カセット
54 シート搬入口
55 再供給ユニット
56 再給紙搬送路
57 排紙ローラ
58 シート搬出口
60 後処理部
62 シート搬入口
63 排紙トレイ
65a,65b 排紙トレイ
67 操作パネル部
69 液晶表示部
70a スタートキー
70b テンキー
70c リセットキー
81,82 本体制御回路
81a,83a マイクロコンピュータ
81b,83b ROM
81c,83c RAM
81d,83d 入力回路部
81e,83e 出力回路部
81f ネットワークインターフェース
83 昇降制御回路
85a,85b,85c ドライバ回路
92 原稿載置センサ
93 原稿通過センサ
94 シート通過センサ
95,99 排紙トレイセンサ
96 シート補給センサ
98 保守用ドアセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する処理の一部を行う第1処理ユニットと、前記処理の残りを行う第2処理ユニットと、第1および第2処理ユニットを移動させる移動部と、第1および第2処理ユニットの画像記録処理を制御する第1制御部と、画像記録処理の進行状況を第1制御部から取得し、その進行状況に応じた位置に第1および第2処理ユニットが移動するように移動部を制御する第2制御部とを備える画像記録装置。
【請求項2】
第1処理ユニットは原稿から画像データの読取り処理を行うユニットであり、第2処理ユニットは読取られた画像データに基づいて記録媒体へ画像の記録処理を行うユニットである請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
第1処理ユニットは画像データに基づいて記録媒体へ画像の記録処理を行うユニットであり、第2処理ユニットは記録処理された記録媒体を処理するユニットである請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
第1および第2処理ユニットは互いに連結した状態で画像記録処理を行う請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項5】
移動部は第1および第2処理ユニットを独立して移動させる機構を備える請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項6】
第1および第2処理ユニットの処理が完了したとき、第2制御部は第1又は第2処理ユニットを所定位置に移動させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項7】
第1および第2処理ユニットの処理が完了する前に、第2制御部は第1又は第2処理ユニットの所定位置への移動を開始させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項8】
第1又は第2処理ユニットの処理が中断したとき、第2制御部は処理の中断した処理ユニットを所定位置に移動させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項9】
第1又は第2処理ユニットにおける処理の中断が解除されたとき、第2制御部は中断が解除された処理ユニットを前記所定位置から他の所定位置へ移動させる請求項8記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−102440(P2008−102440A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286613(P2006−286613)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】