説明

画像読み取り装置

【課題】画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定する。
【解決手段】原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、前記イメージセンサによって読み取られる前記原稿を照明する光源と、前記光源の発光量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記原稿の読み取り動作中に、前記光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する、ことを特徴とする。ここで、光源の発光量の制御は、前記イメージセンサを駆動する際に使用される駆動信号に同期してなされる、ことを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り装置に関し、特に、周辺部での光量低下に配慮された画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ装置あるいは単体のスキャナなど各種の画像読み取り装置では、長手方向を主走査方向とする線状の読み取り位置を光源で照明しつつラインセンサ形式のイメージセンサで読み取り、光源とラインセンサもしくは原稿を前記主走査方向と直交する副走査方向移動させることで、原稿面の読み取りを行っている。
【0003】
このような画像読み取り装置の読み取り特性や回路動作を評価・確認するためには、所定のテストチャートを読み取って得られた画像信号を解析する手法や、A-D変換回路後にテストパターンジェネレータを設け、そこから出力されるディジタルデータが信号処理回路を通過した後のデータを解析する手法などが存在している。
【0004】
具体的には、テストチャート読み取り手法では、テストチャートに含まれる主走査方向の線(横線)を読み取ることで、光学系の副走査方向の合焦の具合や、副走査方向の読み取り位置、イメージセンサの受光素子から転送素子へのパラレルシフト時の転送効率などの諸特性を確認することができる。
【0005】
同様にして、テストチャートに含まれる副走査方向の線(縦線)を読み取ることで、光学系の主走査方向の合焦の具合や、主走査方向の読み取り位置、イメージセンサの転送素子でのシリアルシフト時の転送効率、処理回路の周波数特性などの諸特性を確認することができる。
【0006】
さらに同様にして、テストチャートに含まれるグラデーションのパターンを読み取ることで、光量・アナログ電圧・ディジタルデータの変換特性(直線性やダイナミックレンジ)などの諸特性を確認することができる。
【0007】
一方、パターンジェネレータの出力を用いる手法では、デジタル信号処理回路以降の不具合、たとえば、ビット落ちや信号処理タイミングなどを確認することができる。
なお、このような問題に関して、以下の特許文献に各種の提案や改善がなされている。
【特許文献1】特開平5−136916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の特許文献1では、テストチャートの読み取り結果と、該テストチャートに対応して予め保持しておいた画像データとを比較して、各部の特性を確認する手法が示されている。
【0009】
ところで、以上説明してきたように、読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を評価・確認するためには、テストチャートの存在が重要である。このようなテストチャート読み取りを製造工場における検査工程やサービスステーションで行う場合には問題が生じないものの、読み取り装置が設置された現場(フィールド)でテストチャート読み取りを行う際には各種の問題が生じることがある。
【0010】
たとえば、A4サイズのテストチャートを折り曲げたりせずに、汚れを全く付けずに初期状態のままで丁寧に保管し取り扱うことは、実際には面倒で難しいものである。汚れや折り曲げは黒点や黒線などとして読み取られてしまうので、各部の不具合を正しく検知することができなくなってしまう。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能な画像読み取り装置及び光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決する本発明は、以下に記載するようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、前記イメージセンサによって読み取られる前記原稿を照明する光源と、前記光源の発光量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記原稿の読み取り動作中に、前記光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する、ことを特徴とする画像読み取り装置である。
【0013】
(2)請求項2記載の発明は、前記制御手段による前記光源の発光量の制御は、前記イメージセンサを駆動する際に使用される駆動信号に同期してなされる、ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置である。
【0014】
(3)請求項3記載の発明は、前記制御手段は、前記光源の発光量の制御によりテストチャートの像を形成する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置である。
【0015】
(4)請求項4記載の発明は、前記光源は、ELエレクトロルミネセンス素子もしくは発光ダイオードを備えて構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像読み取り装置である。
【0016】
(5)請求項5記載の発明は、前記光源と前記イメージセンサとは、第一の方向を長手方向として照明と読み取りとを実行するように構成されており、前記光源と前記イメージセンサ、あるいは、前記原稿の少なくとも一方を、前記第一の方向と直交する第二の方向に相対的に移動させて原稿の読み取りを実行する駆動手段を備え、前記制御手段は、光源の発光量を変化させる読み取りの際には、前記第二方向の移動に相当するように光源の発光量を変化させる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像読み取り装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると以下のような効果が得られる。
この発明では、原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、イメージセンサによって読み取られる原稿を照明する光源と、光源の発光量を制御する制御手段と、を備えた画像読み取り装置において、制御手段が、原稿の読み取り動作中に光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する。
【0018】
このような発光量変化により、該発光量変化の制御データ(あるいは発光量変化により生じる予定の画像パターン)と、読み取り結果とを比較することで、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能になる。
【0019】
なお、制御手段による光源の発光量の制御は、イメージセンサを駆動する際に使用される駆動信号に同期してなされることで、このような発光量変化により、該発光量変化の制御データ(あるいは発光量変化により生じる予定の画像パターン)と、読み取り結果とを比較することで、イメージセンサに起因する、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能になる。
【0020】
また、制御手段は、光源の発光量の制御によりテストチャートの像を形成することにより、このような発光量変化により形成されるテストチャートの画像パターンと、該テストチャートの画像パターンの読み取り結果とを比較することで、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能になる。
【0021】
また、光源としては、ELエレクトロルミネセンス素子もしくは発光ダイオードを用いることで、発光位置や発光タイミングの制御が可能になり、発光量変化の制御データ(あるいは発光量変化により生じる予定の画像パターン)と、読み取り結果とを比較することで、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能になる。
【0022】
また、光源とイメージセンサとは、第一の方向(主走査方向)を長手方向として照明と読み取りとを実行するように構成されており、光源とイメージセンサ、あるいは、原稿の少なくとも一方を、第一の方向と直交する第二の方向(副走査方向)に相対的に移動させて原稿の読み取りを実行する駆動手段を備える場合に、テストチャートに含まれる主走査方向の線(横線)を読み取ることで、光学系の副走査方向の合焦の具合や、副走査方向の読み取り位置、イメージセンサの受光素子から転送素子へのパラレルシフト時の転送効率などの諸特性を確認することができる。同様にして、テストチャートに含まれる副走査方向の線(縦線)を読み取ることで、光学系の主走査方向の合焦の具合や、主走査方向の読み取り位置、イメージセンサの転送素子でのシリアルシフト時の転送効率、処理回路の周波数特性などの諸特性を確認することができる。さらに同様にして、テストチャートに含まれるグラデーションのパターンを読み取ることで、光量・アナログ電圧・ディジタルデータの変換特性(直線性やダイナミックレンジ)などの諸特性を確認することができる。
【0023】
すなわち、制御手段は、光源の発光量を変化させる読み取りの際に、第二方向(副走査方向)の読み取りに相当するように光源の発光量を変化させることで、以上の各読み取りと測定とを実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
なお、原稿読み取り部(スキャナ)により原稿の内容を画像情報として読み取って画像データを生成して出力する単体の画像読み取り装置であっても、また、原稿読み取り部(スキャナ)により複写対象物(原稿)の内容を画像情報として読み取って複写する機能を備えた画像形成装置(複写装置)であっても、さらに、原稿読み取り部(スキャナ)により送信対象物(原稿)の内容を画像情報として読み取って通信回線を介して送信する機能を備えた画像送信装置(ファクシミリ装置)であっても、本発明の実施形態を適用することが可能である。
【0025】
なお、この実施形態では、画像読み取り装置においてライン状の読み取り位置を照明する際に光源を用いる各種の画像読み取り装置に適用できるものであり、光源とセンサとを固定して原稿を搬送しつつ読み取るものでも、原稿を固定して光源とセンサとを移動させつつ読み取るものであっても、いずれの形式であっても良い。
【0026】
〈画像読み取り装置の構成〉
図1は本発明の実施形態の画像読み取り装置の全体構成を示すブロック図である。なお、この図1では、本実施形態の動作説明に必要な部分の周囲を中心に記載してあり、その他の画像読み取り装置として既知の部分(電源回路や放熱回路など)については省略してある。
【0027】
この画像読み取り装置において、11は原稿が載置されるプラテンガラスであり、このプラテンガラス11の下部に光源やイメージセンサが存在する。12は読み取られる原稿であるが、この実施形態では、白紙あるいはプラテンカバーが該当する。
【0028】
この画像読み取り装置において、制御回路101はCPUなどで構成されており、各部を制御する制御手段として動作する。この制御回路101は、光源の発光量を制御する制御手段でもあり、原稿の読み取り動作中に光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する。
【0029】
操作部103はオペレータ(利用者)が画像読み取り装置100に対しての各種指示を入力する操作入力手段である。表示部104は画像読み取り装置100の各種状態やメッセージを表示する表示手段である。
【0030】
メモリ105は各種データを記憶する記憶手段であり、この実施形態では、原稿の読み取り動作中に光源の少なくとも一部について発光量を変化させる際の制御パターン(テストチャート)のデータや制御手順のデータが格納されている。
【0031】
イメージセンサ110は光源190により照明された原稿(この実施形態では白紙12)の読み取り位置からの反射光を光電変換して受光結果に応じた読出信号を得るため、主走査方向を長手方向としたラインセンサによる読取素子である。なお、このラインイメージセンサ110は、CCDやC−MOSなどの各種の素子で構成されたものであり、原稿に接近した状態の密着型であっても良いし、原稿の画像を縮小して結像させる縮小光学系を用いたものであってもよい。
【0032】
ドライバ111はイメージセンサ110を所定のタイミングで駆動して受光結果に応じた読出信号を得させるためのイメージセンサ駆動部である。
アナログフロントエンド部120はイメージセンサ110からのアナログの読出信号を受けて信号処理を実行してディジタルデータとして出力する信号処理手段である。
【0033】
画像処理回路130はシェーディング補正や各種画像処理を実行する画像処理手段であり、この画像処理回路130の出力が画像読み取り装置の出力として外部に出力される。
光源190は主走査方向のライン状の読み取り位置を照明する照明手段として、長方形もしくは長方形で構成された複数のLEDあるいはエレクトロルミネセンス素子を備えて構成されている。
【0034】
駆動電源部191は制御回路101の発光量制御指示(発光量変化指示)に基づいて光源190を所定の発光量となるように発光駆動する駆動電源部である。
〈画像読み取り装置の動作〉
以下、第一の実施形態の画像読み取り装置の動作について、図2のフローチャート、図3以降の各種説明図などを参照して、詳細な動作説明を行う。
【0035】
なお、図2は本実施形態の特徴部分の動作を示したフローチャートであり、画像読み取り装置として一般的で既知の動作(電源オン動作、初期化動作、通常の読み取り動作、電源オフ動作など)については省略してある。
【0036】
まず、工場出荷時あるいはサービスマンによる調整時において、所定のキー入力が操作部170になされると、あるいは、外部のコンピュータ(図示せず)からの指示が与えられると、制御回路101は、画像読み取り装置100を本実施形態の制御モードとして動作させる(図2のスタート)。
【0037】
ここで、制御回路101は、白紙原稿をプラテンガラス11上あるいは図示されないADFにセットするようにとのメッセージを表示部104に表示する。ここで白紙原稿がセットされる(図2中のステップS201)と、以下の処理を続行する。なお、一定時間経過しても白紙原稿がセットされない場合には、原稿押さえ板(プラテンカバー)が白色であれば、該原稿押さえ板を白紙原稿の代用として以下の処理を開始する。
【0038】
そして、制御回路101は、ドライバ111から所定の駆動信号をイメージセンサ110に供給してイメージセンサ110を駆動し、読み取り動作を開始させる(図2中のステップS202)。
【0039】
この際に、制御回路101は、原稿の読み取り動作中に、光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する(図2中のステップS202)。この場合、メモリ105に格納されているテストチャートのパターンデータに従って、発光量を制御する。また、この際に、制御回路101による光源の発光量の制御は、イメージセンサ110を駆動する際に使用されるドライバ111からの駆動信号に同期して実行する。
【0040】
また、ここで、制御回路101は、通常であれば原稿や光学系を副走査方向に移動させることで副走査方向の読み取りを実行するが、この実施形態では、制御回路101は、原稿や光学系を副走査方向に移動させるかわりに、副走査方向の読み取りに相当するように、光源の発光量を変化させて副走査方向のテストチャートを発生させて、読み取りと測定とを実行する。
【0041】
なお、光学系を副走査方向に移動させる形式の画像読み取り装置の場合に、光学系の移動により読み取り部の特性が変化する可能性があるため、実際には、副走査方向のテストチャートの発光量制御と共に、光学系を移動させつつ副走査方向の読み取りを実行することが望ましい。
【0042】
この場合において、図3のように、主走査方向に光源190からの光量が一定であり、副走査方向に光源190からの光量変化を生じさせる横線パターンを、制御回路101の指示により光源190が発生させることが可能である。この図3の場合、副走査方向とは、実際には副走査方向読み取りの際の時刻に相当する。
【0043】
図3(a)は副走査方向の白線部分のみ光源190を発光させ、他の部分では非発光とさせ、白横線のテストチャートを発生させることに相当する。
図3(b)は副走査方向の黒線部分で光源190を非発光させ、他の部分では発光させ、黒横線のテストチャートを発生させることに相当する。
【0044】
図3(c)は副走査方向の白線部分の光源190を発光と、黒線部分の光源190の非発光とを、交互に繰り返させて、白黒横縞のテストチャートを発生させることに相当する。
【0045】
図3(d)は主走査方向全黒(非発光)から主走査方向全白(発光)にわたり、光源190の発光を副走査方向(時刻)に徐々に変化させて、階調あるいはグラデーションのテストチャートを発生させることに相当する。
【0046】
ここで、図4(a)上段はイメージセンサ110の主走査同期信号であり、イメージセンサ110では、この1主走査期間で得られた受光信号を受光素子部から転送素子部へのパラレルシフトする。そして、図4(a)下段のようにして、イメージセンサ110の主走査期間で光源駆動信号を発生させる。ここで、光源190の全発光素子を均一に、図4(a)のように発光駆動することで、全面白(全発光)の状態になる。
【0047】
また、図4(b)下段のようにして、イメージセンサ110の主走査期間で光源駆動信号を発生させつつ、非発光(消灯)の期間を一部だけ設けることで、図3(b)のような黒横線のテストチャートを発生させることが可能になる。なお、この場合に、非発光の期間は、一主走査期間であってもよいし、連続した幾つかの主走査期間であってもよい。
【0048】
また、図4(c)下段のようにして、イメージセンサ110の主走査期間で光源駆動信号を発生させず、発光(点灯)の期間を一部だけ設けることで、図3(a)のような白横線のテストチャートを発生させることが可能になる。なお、この場合に、発光の期間は、一主走査期間であってもよいし、連続した幾つかの主走査期間であってもよい。
【0049】
また、図4(d)下段のようにして、イメージセンサ110の主走査期間で、発光(点灯)の期間と非発光(消灯)の期間とを交互に設けることで、図3(c)のような横縞線のテストチャートを発生させることが可能になる。なお、この場合に、発光と非発光との期間は、一主走査期間の繰り返しであってもよいし、連続した幾つかの主走査期間の繰り返しであってもよい。また、発光と非発光とは、同じ主走査期間数でなくともよい。
【0050】
また、図5(a)(b)のようにして、主走査期間毎に点灯させつつ、図5(c)のように光源190への印加電圧(あるいは供給電流)を徐々に変更することで、図3(d)のように主走査方向全黒(非発光)から主走査方向全白(発光)にわたり、光源190の発光を副走査方向(時刻)に徐々に変化させて、階調あるいはグラデーションのテストチャートを発生させることが可能になる。
【0051】
また、この場合において、図6のように、主走査方向に光源190からの光量が変化し、副走査方向に光源190からの光量一定の縦線パターンを、制御回路101の指示により光源190が発生させることが可能である。この図6の場合、副走査方向とは、実際には副走査方向読み取りの際の時刻に相当する。この場合、主走査方向において光量を変化させることが可能なように、光源190が複数素子のLEDや複数領域のEL素子で構成されていることが望ましい。そして、同一の主走査期間内に、光源190を構成する各発光素子で、発光と非発光とを割り当てればよい。
【0052】
図6(a)は主走査方向中央部分を黒(非発光)、それ以外の主走査方向ほぼ全体を白(発光)、のように主走査方向で光源190の光量を変化させ、黒横線のテストチャートを発生させることに相当する。
【0053】
図6(b)は主走査方向の中央部分を白(発光)、それ以外の主走査方向ほぼ全体を黒(非発光)、のように主走査方向で光源190の光量を変化させ、白横線のテストチャートを発生させることに相当する。
【0054】
なお、ここに示したテストチャートは一例であり、他の各種パターンを用いることができる。
そして、制御回路101は、以上のいずれかのパターンを発生させるように光量を変化させた状態での読み取り結果を画像処理回路130から得て、メモリ105に記憶させる(図2中のステップS205)。
【0055】
そして、メモリ105に記憶させた読み取り結果と、発生させたパターンの制御データ(あるいは発光量変化により生じる予定の画像パターン)とを、制御回路101比較照合する(図2中のステップS205)。
【0056】
ここで、必要に応じて複数のパターンを発生させて読み取ったり、あるいは、パターン発生や読み取りに不具合があれば再実行する(図2中のステップS206でNO、S202〜)。
【0057】
必要なパターン発生と読み取りとを実行した後に(図2中のステップS206でYES)、白紙原稿を排出して一連の処理を終了する(図2中のステップS207)。この際、測定結果を必要に応じて表示部104に表示したり、また、測定結果のデータを外部に出力する。
【0058】
ここで、図3のようなテストチャートに含まれる主走査方向の線(横線)を読み取ることで、光学系の副走査方向の合焦の具合や、副走査方向の読み取り位置、イメージセンサの受光素子から転送素子へのパラレルシフト時の転送効率などの諸特性を確認することができる。
【0059】
同様にして、図6のようなテストチャートに含まれる副走査方向の線(縦線)を読み取ることで、光学系の主走査方向の合焦の具合や、主走査方向の読み取り位置、イメージセンサの転送素子でのシリアルシフト時の転送効率、処理回路の周波数特性などの諸特性を確認することができる。
【0060】
さらに同様にして、テストチャートに含まれるグラデーションのパターンを読み取ることで、光量・アナログ電圧・ディジタルデータの変換特性(直線性やダイナミックレンジ)などの諸特性を確認することができる。
【0061】
以上のようにして制御回路101が、原稿の読み取り動作中に光源190の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御し、この制御により発生する発光量変化により、該発光量変化の制御データ(あるいは発光量変化により生じる予定の画像パターン)と、読み取り結果とを比較することで、実物のテストチャートを用いることなく、画像読み取り装置の読み取り特性や各種回路動作を正確に能率良く測定することが可能になる。
【0062】
また、以上の動作は白紙原稿あるいは白紙に準じた原稿を用いることが望ましいが、白紙原稿が無い場合にはプラテンカバーなどを用いることも可能であり、更に簡易に実行することが可能である。
〈その他の実施形態〉
以上の実施形態の説明では、縦または横の直線を用いたテストチャートを発光制御により生成し、読み取る場合であったが、テストチャートは以上のものに限定されるものではない。
【0063】
また、カラーの画像読み取り装置の場合には、光源をR,G,B別々に発光可能とし、読み取り結果を色別に比較することで、各色のバランスや、色毎の各種特性を測定することも可能である。
【0064】
また、実施形態に具体的に示した画像読み取り装置以外の各種読み取り装置や、各種の露光装置、各種の発光装置などに本実施形態を適用して良好な結果を得ることも可能である。また、露光や発光に関しては、可視光線以外の各種波長の光や電磁波(赤外線・紫外線など)に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態の画像読み取り装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像読み取り装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の画像読み取り装置で発光量制御で生成されるテストチャートの一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の画像読み取り装置の動作を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の実施形態の画像読み取り装置の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施形態の画像読み取り装置で発光量制御で生成されるテストチャートの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
100 画像読み取り装置
101 制御回路
103 操作部
104 表示部
105 メモリ
110 イメージセンサ
111 ドライバ(センサ駆動部)
120 アナログフロントエンド部
130 画像処理回路
190 光源
191 駆動電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、
前記イメージセンサによって読み取られる前記原稿を照明する光源と、
前記光源の発光量を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記原稿の読み取り動作中に、前記光源の少なくとも一部について発光量を変化させるように制御する、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記制御手段による前記光源の発光量の制御は、前記イメージセンサを駆動する際に使用される駆動信号に同期してなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記光源の発光量の制御によりテストチャートの像を形成する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記光源は、ELエレクトロルミネセンス素子もしくは発光ダイオードを備えて構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記光源と前記イメージセンサとは、第一の方向を長手方向として照明と読み取りとを実行するように構成されており、
前記光源と前記イメージセンサ、あるいは、前記原稿の少なくとも一方を、前記第一の方向と直交する第二の方向に相対的に移動させて原稿の読み取りを実行する駆動手段を備え、
前記制御手段は、光源の発光量を変化させる読み取りの際には、前記第二方向の移動に相当するように光源の発光量を変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−34667(P2010−34667A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192233(P2008−192233)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】