説明

画像読取装置

【課題】通常の処理動作では使用しないセンサを別途付加することなく防犯装置として使用することができる画像読取装置を提供すること。
【解決手段】本発明の画像読取装置1は、防犯モードへの移行に伴って走査キャリッジ27が外光監視状態となるように走査キャリッジ27を動作させるアクチュエータと、通常モード時は原稿の画像を読取り、防犯モード時は走査キャリッジ27が前記外光監視状態にあるときに自装置1周辺における所定領域の外光を電気信号として検出するCCDラインセンサ27と、CCDラインセンサ27が検出した電気信号が閾値41を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する制御部2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、詳しくは、原稿の画像を読取る手段を用いて自装置周辺における所定領域の光(以下、「外光」ともいう。)を検出する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空き巣等の侵入犯罪における犯罪者の手口は、年々多様化・巧妙化しており、これらの犯罪者は、住宅に保管されている現金や貴金属はもちろん、企業の重要な書類やデータ等をも狙っている。こういった侵入犯罪に対して、個人・企業を問わず防衛意識が高まっており、さまざまな防犯装置が住宅やオフィス等に導入されている。
【0003】
ユーザが外出中に住宅やオフィス等の異常を検出し、ユーザや警備会社に異常を通知する防犯装置を導入すると、安全で安心ではあるが、装置が大掛かりなものとなるため、相当なコストがかかるという問題がある。かかる事情を考慮して、ファクシミリ送受信に備えて常時電源が投入されているという特性を活用することにより安価に導入することができる画像読取装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の画像読取装置は、ファクシミリ送受信等を行うための構成に加えて、室内の光、温度、振動、音、ドア開閉等を検出するセンサとを備えており、該センサの検出結果に基づいて異常があると判断した場合に、予め登録された所定宛先のファクシミリ装置に異常が発生した日時、発生した異常の内容等を伝えるメッセージの画像データを自動的に送信するものである。所定宛先のファクシミリ装置は、送信されたメッセージの画像データを記録紙に出力し、ユーザは、この記録紙に記録されたメッセージから異常の内容を把握して適切な対応をとることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−57869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の画像読取装置では、室内の光等を検出するためにセンサを別途備える必要があった。すなわち、画像読取装置が通常の処理動作を行う上で使用しないセンサを別途付加しなければならなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、通常の処理動作では使用しないセンサを別途付加することなく防犯装置として使用することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、防犯モードへの移行に伴って可動部材が外光監視状態となるように当該可動部材を動作させる駆動手段と、前記可動部材が前記外光監視状態にあるときに、自装置周辺における所定領域の光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出する検出手段と、該検出手段が検出した電気信号が所定の閾値を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の画像読取装置は、自装置周辺における所定領域の光を集める集光手段と、防犯モードへの移行に伴って可動部材が外光監視位置まで移動するように当該可動部材を移動させる駆動手段と、前記集光手段が集めて前記外光監視位置にある前記可動部材が導いた光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出する検出手段と、該検出手段が検出した電気信号が所定の閾値を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の画像読取装置は、請求項1又は2記載の画像読取装置において、前記検出手段が検出する電気信号の検出感度を調整する検出感度調整手段を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の画像読取装置は、請求項3記載の画像読取装置において、前記検出感度調整手段は、前記検出手段が検出する前記電気信号の検出感度を、検出した前記電気信号のレベルが所定の目標レベルとなるように、所定時間毎に調整することを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の画像読取装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置において、前記検出手段が検出した電気信号のレベル変化量が所定の閾値を超えてから前記レベル変化量の絶対値が前記閾値を超えるまでの間の時間を計測する計測手段を備え、前記判定手段は、前記計測手段が計測した時間が設定時間を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定することを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の画像読取装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置において、前記判定手段が異常有りと判定した場合にその旨を所定の外部通信端末に通知する通知手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の画像読取装置によれば、自装置周辺における所定領域の光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出し、検出した電気信号に基づいて異常の有無を判定するため、通常の処理動作では使用しないセンサを別途付加せずに、自装置周辺における所定領域、例えば、画像読取装置が置かれた位置上方の光等を検出する防犯装置として使用することができる。
【0015】
請求項2の画像読取装置によれば、自装置周辺の所定領域の光を集めて、可動部材により導かれた前記光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出し、検出した電気信号に基づいて異常の有無を判定するため、通常の処理動作では使用しないセンサを別途付加せずに、自装置周辺における所定領域、例えば、画像読取装置周辺に置かれた金庫周辺を照らす光等を監視する防犯装置として使用することができる。
【0016】
請求項3の画像読取装置によれば、請求項1又は2記載の画像読取装置の効果に加えて、検出する電気信号の検出感度を調整するため、周囲の明るさに対応して異常の有無を判定できる。
【0017】
請求項4の画像読取装置によれば、請求項3記載の画像読取装置の効果に加えて、検出した電気信号のレベルが所定の目標レベルとなるように、所定時間毎に検出する電気信号の検出感度を調整するため、周囲の明るさが変化してもそれに応じて常に精度よく異常の有無を判定できる。
【0018】
請求項5の画像読取装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置の効果に加えて、検出した電気信号のレベル変化量が所定の閾値を超えてから前記レベル変化量の絶対値が前記閾値を超えるまでの間の時間を計測し、計測した時間が設定時間を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定するため、瞬間的な光の変化を異常有りと判定するような誤判定を防止でき、的確に異常の有無を判定できる。
【0019】
請求項6の画像読取装置によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置の効果に加えて、異常有りと判定した場合にその旨を所定の外部通信端末に通知するため、外部通信端末を所持するユーザは、画像読取装置周辺の所定領域における異常発生を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る画像読取装置について図面に基づき説明する。この画像読取装置1は、外部の装置との間で原稿の画像データをファクシミリ送受信する機能、電子メールを送信する機能及び外部通信端末からのコマンドを受付けて該コマンドに対応する処理を実行する機能を備えた装置である。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置1の構成例を示した説明図である。この画像読取装置1は、図示するように、制御部(MPU:Microprocessing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、集光部4、読取部5、RAM(Random Access Memory)6、コーデック(CODEC:Coder and Decoder)7、画像メモリ8、集音部9、通信部10、LAN I/F(Local Area Network Interface)11、操作部12、表示部13、及び記録部14を備えており、集光部4を除く各部は、バス15によって通信可能に接続されている。また、画像読取装置1と外部通信端末16は、PSTN(Public Switched Telephone Network)17を介して通信可能である。
【0022】
画像読取装置1には、設定モードとして通常モードと防犯モードがあり、通常モード時は、ファクシミリ送受信機能やコピー機能を実行し、防犯モード時は、自装置1周辺における所定領域の光を監視し異常の有無を判定する防犯機能を実行する。
【0023】
制御部2は、ROM3に格納された制御プログラムに従って、画像読取装置1を構成する各部を制御する。ROM3は、制御部2によって画像読取装置1の各部が制御されるための制御プログラムを格納しており、このROM3の制御プログラムは、書き換え可能である。
【0024】
図2は、画像読取装置1の集光部4及び読取部5の概略構成を示した断面図である。読取部5は、図示するように、中空状のフラットベッド読取部(FBS:Flat Bed Scanner)18及び該フラットベッド読取部18上に自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)19を備えている。また、フラットベッド読取部18は、図示するように、自動原稿搬送装置19を載置した位置よりも外側に突出した光導入部20を設けている。なお、本実施形態では、光導入部20は、図2において、自動原稿搬送装置19に対して左側に設けてあるが、自動原稿搬送装置19に対して右側に設けてもよい。
【0025】
集光部4は、図3(a)に示すように、監視ミラー21、集光レンズ22、及び白色板23を備えており、フラットベッド読取部18の外側から監視ミラー21、集光レンズ22、白色板23の順に前記光導入部20上に取り付けられている。また、光導入部20には、白色板23の下方に該白色板23が反射した光をフラットベッド読取部18内に導き入れるための開口部24が設けられている。
【0026】
監視ミラー21は、鉛直軸回りに回転させることによって監視する領域を変更できるように水平角度調整可能に取付けられ、自装置1周辺における所定領域の光を反射して集光レンズ22に導くものである。例えば、図4に示すように、あるオフィス内に置かれた金庫25周辺を監視するためにユーザが予めこの監視ミラー21の水平角度を調整しておくことにより、前記金庫25周辺を侵入犯罪者が懐中電灯26等で照らした光を監視ミラー21で反射して集光レンズ22に導くことができる。集光レンズ22は、監視ミラー21が反射した光を集めて白色板23に導くものである。この集光レンズ22は、透過率を調整可能なレンズであり、入力光の強さや色を最適な状態に調整できる。なお、このような集光レンズ22を用いる代わりに、レンズにフィルタを重ねることにより、入力光を最適な強さや色に調整してもよい。
【0027】
白色板23は、集光レンズ22によって集められた光を反射して前記開口部24からフラットベッド読取部18内に導くものである。この白色板23は、光を反射する面が白色で、例えば、所謂、塩ビ板のような、光を拡散光として反射する材質で構成されている。光導入部20の自動原稿搬送装置19を載置した位置からの突出寸法、開口部24の幅及び位置は、通常モード時(原稿読取時)に光が開口部24からフラットベッド読取部18内に入ることによって原稿の読取りに支障が生じないよう適宜設定されている。また、監視ミラー21、集光レンズ22、白色板23の大きさや相互間の距離等は、監視ミラー21で反射され集光レンズ22によって集められた光を白色板23で反射して開口部24からフラットベッド読取部18内に導くのに適した設定とされている。上記のように、集光部4は、自装置1周辺における所定領域の光を集める集光手段として機能する。
【0028】
なお、監視ミラー21は、本実施形態では水平角度のみ調整可能としており、監視ミラー21の設置高さにおける外光監視を行っているが、監視ミラー21を垂直方向にも角度調整可能で、且つ、位置も調整可能とし、集光レンズ22及び白色板23の角度や位置も調整可能とすることで、監視ミラー21の設置高さに限定されず、画像読取装置1が設置された室内のあらゆる高さの領域の光を監視できるようにしてもよい。
【0029】
また、本実施形態における集光部4では、監視ミラー21を鉛直軸回りに回転させることによって監視する領域を変更できるが、集光レンズ22を鉛直軸回りに回転させることによって、図3(b)に示すように、監視ミラー21を設けることなく、集光レンズ22及び白色板23で自装置1周辺における所定領域の光を集めるようにしてもよい。その場合、集光レンズ22のピントが合う位置の軌跡と白色板23との位置関係は、図5(a)及び(b)に示すように、集光レンズ22のピントが合う位置の軌跡が白色板23と接する場合(図5(a))と、集光レンズ22のピントが合う位置の軌跡が白色板23と2点で交わる場合(図5(b))とでは、前者の場合の集光レンズ22のピントが合う位置と白色板23との位置とのずれ量の最大値Laよりも、後者の場合の集光レンズ22のピントが合う位置と白色板23との位置とのずれ量の最大値Lbの方が小さくなる(La>Lb)。したがって、集光レンズ22のピントが合う位置の軌跡と白色板23との位置関係は、集光レンズ22のピントが合う位置の軌跡が白色板23と2点で交わる場合の方が、監視する領域の全領域において精度の高い監視を行うことができ、好ましい。
【0030】
読取部5は、そのフラットベッド読取部18内に、アクチュエータ(不図示)、図2に示すように、走査キャリッジ27、結像レンズ28、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ29、図1に示すように、AFE(Analog Front End)回路30、A/D変換(Analog to Digital Conversion)回路31、及びシェーディング補正回路32を備えている。
【0031】
アクチュエータは、電動モータ等によって走査キャリッジ27を、原稿の副走査方向(図2の左右方向)に移動させるものである。走査キャリッジ27は、原稿を読取るために走査する可動部材であって、第1走査キャリッジ33及び第2走査キャリッジ34からなる。第1走査キャリッジ33は、光源35及びミラー36を、第2走査キャリッジ34は、2つのミラー37を備えており、それぞれ副走査方向へアクチュエータにより移動可能に構成されている。この走査キャリッジ27は、通常モード時は原稿読取領域内にあり、フラットベッド読取部18の透明な原稿載置板38上に載置された原稿を読取る場合は、読取方向(図2の右方向)へ移動する第1走査キャリッジ33の光源35で原稿に光を照射し、その反射光をミラー36で反射し、その反射光を第1走査キャリッジ33より遅れて読取方向へ移動する第2走査キャリッジ34のミラー37で反射して結像レンズ28に導く。また、自動原稿搬送装置19の原稿トレイ39に載置された原稿を読取る場合は、読取位置P1下に位置し、原稿が搬送されて読取位置P1を通過する際に原稿に光源35で光を照射し、その反射光をミラー36で反射し、その反射光を第2走査キャリッジ34のミラー37で反射して結像レンズ28に導く。
【0032】
一方、走査キャリッジ27は、防犯モード時においては、図2に示すように、防犯モードへの移行に伴って光導入部20の開口部24下方の外光監視位置までアクチュエータにより移動され、集光部4で集められ開口部24から入射する光を第1走査キャリッジ33のミラー36で反射し、その反射光を第2走査キャリッジ34のミラー37で反射して結像レンズ28に導く。したがって、走査キャリッジ27(可動部材)が外光監視状態となるとは、走査キャリッジ27が前記外光監視位置まで移動することであり、アクチュエータは、防犯モードへの移行に伴って走査キャリッジ27が外光監視位置まで移動するように走査キャリッジ27を移動させる駆動手段として機能する。なお、通常モード時に原稿を読取る際、走査キャリッジ27が読取方向に移動しても、常に原稿読取位置から結像レンズ28までの光軸の長さは一定に維持される。一方、防犯モード時に走査キャリッジ27が外光監視位置に移動すると、白色板23から結像レンズ28までの光軸の長さは、通常モード時に一定に維持される光軸の長さより長くなり、若干ピントがぼけることが考えられるが、ピントが多少ぼけても光の異常の検出には問題ない。
【0033】
結像レンズ28は、通常モード時は、走査キャリッジ27によって導かれた原稿の画像の反射光をCCDラインセンサ29上に結像するものである。一方、防犯モード時は、走査キャリッジ27によって導かれた光をCCDラインセンサ29上に結像するものである。
【0034】
CCDラインセンサ29は、通常モード時は、前記結像レンズ28によって結像された原稿の画像の反射光を主走査ライン毎に読取って画像データとして出力する。一方、防犯モード時は、前記結像レンズ28によって結像された光を所定周期で検出し、検出した光に対応する電気信号、具体的には、主走査ライン毎に検出してアナログ検出信号として出力する。したがって、CCDラインセンサ29は、通常モード時は原稿の画像を読取る読取手段として機能し、防犯モード時は集光部4が集めて外光監視位置にある走査キャリッジ27が導いた光を電気信号として検出する検出手段として機能する。また、このCCDラインセンサ29は、上記のように、防犯モード時は、所定周期で光を検出するが、所定の時間分(複数回分)の検出値を蓄積し、その平均値を用いて異常の有無の判定をするのが、安定した異常判定をする上で好ましい。ただし、1ライン(1回)検出する毎に異常判定することもできる。なお、CCDラインセンサ29は、モノクロセンサ又はカラーセンサを問わないが、防犯モード時にフラットベッド読取部18内に導かれる光が警告灯等に用いられる赤色光である場合は、モノクロセンサよりもカラーセンサの方が赤色光を検出しやすく好適である。
【0035】
集光部4の集光レンズ22及び読取部5の結像レンズ28の縮小光学系は、入射する光を縮小してCCDラインセンサ29上に結像するが、図6に示すように、防犯モード時は、CCDラインセンサ29の一部の幅(有効幅R)のみを用いて光を検出するようにすると、白色板23上では、CCDラインセンサ29上の有効幅Rに対応する光の検出幅はSとなり、集光レンズ22等の大型化を防止することができる。また、これにより、上記したように、集光レンズ22の回転等により、より広い領域を監視することができる。その際、集光レンズ22の回転等に伴ってCCDラインセンサ29上の有効幅Rの位置が左右に移動し、また、白色板23上の有効幅Sの位置も左右に移動することになる。
【0036】
AFE回路30は、図示しないが、アナログアンプを備えており、制御部2は、前記CCDラインセンサ29が検出するアナログ検出信号のレベルが所定の目標レベルとなるように、このAFE回路30に対するゲイン設定値を所定時間毎に調整する。AFE回路30は、アナログアンプの増幅率を前記ゲイン設定値に応じた増幅率としてアナログ検出信号のレベルのゲイン調整を行い、アナログ検出信号をA/D変換に適したレベルとする。ただし、AFE回路30で調整可能なゲインの範囲は、通常制限があり、その制限範囲内でゲイン調整を行う。なお、AFE回路30は、通常モード時のゲイン設定値に対応するアナログアンプと、防犯モード時のゲイン設定値に対応するアナログアンプとの、それぞれ異なるゲイン設定値に対応する2種類のアナログアンプを備えてもよい。
【0037】
上記のように、制御部2は、CCDラインセンサ29が検出するアナログ検出信号のレベルが所定の目標レベルとなるように、AFE回路30に対するゲイン設定値を所定時間毎に調整することにより、所定時間毎に検出感度を調整する検出感度調整手段として機能する。具体的に画像読取装置1の周囲が次第に明るくなる時間帯を例にして説明すると、図7に示すように、まず、アナログ検出信号のレベルが目標レベルとなるようにゲイン調整を行い、収束すればゲイン調整を終了する(期間P)。ゲイン調整終了後、周囲が次第に明るくなるのに伴い緩やかにアナログ検出信号のレベルが変化し、所定時間t(例えば数分)経過後再びゲイン調整を開始する(期間Q)。異常な明るさの光がCCDラインセンサ29に導かれると、ゲイン調整を行っている期間Pにおいても、ゲイン調整を行っていない期間Qにおいても、通常の光が導かれているときよりアナログ検出信号のレベル変化量が大きく検出される。
【0038】
自然現象による単位時間当たりの光のレベル変化の度合い(変化量)は、緩やか(微小時間での変化量小)であり、異常発生時の単位時間当たりの光のレベル変化の度合い(変化量)と比較すると小さい。本発明は、この光のレベル変化量に基づいて異常の有無の判定を行うものであり、上記のように検出感度を所定時間毎に調整しながら光のレベル変化量を検出することによって、周囲の明るさが変化してもそれに応じて常に精度よく異常の有無を判定することができる。なお、本実施形態では、ゲイン調整を行い増幅率を増減することによって検出感度を調整しているが、CCDラインセンサ29における光の蓄光時間を増減することによって検出感度を調整してもよい。
【0039】
A/D変換回路31は、通常モード時はAFE回路30でゲイン調整された原稿の画像データをデジタルの原稿の画像データに、防犯モード時は同様にAFE回路30でゲイン調整されたアナログ検出信号をデジタル検出信号に変換するA/D変換を行う。シェーディング補正回路32は、通常モード時はA/D変換されたデジタルの原稿の画像データに対してシェーディング補正を施して所定の出力先に出力し、防犯モード時は同様にデジタル検出信号に対してシェーディング補正を施して所定の出力先に出力する。
【0040】
なお、読取部5は、自装置1周辺における所定領域の光を検出することができれば、自動原稿搬送装置19を備えずフラットベッド読取部18のみを備えたものでもよいし、フラットベッド読取部18を備えず自動原稿搬送装置19のみを備えたものでもよい。読取部5が自動原稿搬送装置19のみを備えたものである場合は、原稿読取位置は固定となり、モータやシリンダ等の駆動手段で可動部材である開閉カバーを開けて光が原稿読取位置にある読取ガラスから入射するようにして光を監視する。この場合、自装置1周辺における所定領域の光を検出することができれば、特に集光部4を設けなくてもよい。
【0041】
また、集光部4の白色板23を拡散板ではなくミラーとし、走査キャリッジ27を所定範囲で副走査方向に周期的に移動させることにより、監視する領域を周期的に変更するようにしてもよい。また、CCDラインセンサ29の検出対象は、特定位置の特定色の光、例えば、画像読取装置1が設置された室内の出入口付近に警告灯が備えられている場合に、前記出入口が開いて不審者の侵入が検出されると点灯する前記警告灯の赤色光等に限定することも可能である。この場合、予めその光を取り込み、そのときのCCDラインセンサ29の出力値を記憶し、それを異常判定に用いるようにすればよい。
【0042】
RAM6は、制御部2の主メモリ、ワークエリア等として機能するものであり、モード情報40、閾値41、設定時間42、通信先情報43、及びログ44を格納している。モード情報40は、画像読取装置1の現在の設定モードが通常モードと防犯モードのどちらであるかを示す情報である。閾値41は、ユーザによって操作部12から予め設定される固定値、又は、異常検出時以外の光の所定時間毎の変化の度合い(周囲の明るさの変化の度合い)に応じて更新される値である。後者の場合、周囲の明るさの変化に応じて更新するのは、周囲が明るい場合にはアナログ検出信号のレベル変化量は小さく検出され、周囲が暗い場合にはアナログ検出信号のレベル変化量は小さく検出されるためであり、閾値41も所定時間毎に周囲の明るさの変化に応じて更新される方がより精度よく異常の有無の判定ができる。制御部2は、読取部5から出力されたデジタル検出信号のレベル変化量がこの閾値41を超えた場合、そのデジタル検出信号のレベル変化量が閾値41を超えてから前記デジタル検出信号のレベル変化量の絶対値が閾値41を超えるまでの間の時間(以下、「継続時間」という。)を計測する計測手段として機能する。
【0043】
以下、周囲が次第に明るくなる時間帯に異常な光を一定時間検出した場合の継続時間の計測方法について説明する。制御部2は、CCDラインセンサ29が検出したシェーディング補正後のデジタル検出信号のレベル変化量が時間の経過に伴う自然な光のレベル変化量を大きく上回ったと判断した場合、すなわち、図8に例示するようにデジタル検出信号のレベル変化量(時刻T0から時刻T1までの間における検出信号の増加量)が閾値41を超えたと判断した場合、時間の計測を開始する。そして、制御部2は、異常な光を検出している一定時間後、デジタル検出信号のレベル変化量(時刻T2から時刻T3までの間における検出信号の減少量)の絶対値が閾値41を超えたと判断した場合、時間、すなわち、継続時間の計測を終了する。このように、制御部2は、シェーディング補正後のデジタル検出信号の変化量(単位時間当りのレベルの増減量)が光の自然なレベル変化量を大きく上回ってから元の自然なレベル変化量の状態に戻ったと判断するまでの時間(ここでは、時刻T1から時刻T3までの時間)を継続時間として計測する。なお、本実施形態では、デジタル検出信号のレベル変化量が閾値41を超えてから前記デジタル検出信号のレベル変化量の絶対値が閾値41を超えるまでの間の時間を継続時間としたが、デジタル検出信号のレベルが所定のレベルである閾値を超えている間の時間を継続時間としてもよい。
【0044】
設定時間42は、制御部2が異常の有無を判定する基準となる時間であり、制御部2は、前記継続時間がこの設定時間42を超えた場合に異常有りと判定する。この設定時間42は、ユーザによって操作部12から予め設定されている。上記のように、制御部2は、CCDラインセンサ29が検出したデジタル検出信号のレベル変化量(電気信号)が閾値41を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する判定手段として機能する。通信先情報43は、継続時間が設定時間42を超えて制御部2が異常有りと判定した場合にその旨、すなわち、異常発生を通知する外部通信端末16の電話番号であり、ユーザによって予め登録されている。ログ44は、読取部5から出力されたデジタル検出信号のレベル変化量が閾値41を超えた時刻、継続時間、外部通信端末16に異常発生を通知した時刻、外部通信端末16から受け付けたコマンドに基づいて実行した処理の内容等を記録した情報である。
【0045】
コーデック7は、通常モード時に読取部5から出力された原稿の画像データをMH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、MMR(Modified Modified READ)、JBIG(Joint Bi-level Image Group)方式等により符号化(エンコード)・復号(デコード)する。画像メモリ8は、コーデック7において符号化された原稿の画像データ等を格納する。
【0046】
集音部9は、音を集めるものであり、具体的には、マイク等を具備して構成されている。なお、画像読取装置1にハンドセットが設けてある場合は、そのハンドセットに内蔵されているマイクの感度を通常より上げて集音部9として用いてもよい。
【0047】
通信部10は、モデム45及びNCU(Network Control Unit)46を備えている。モデム45は、例えばITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行うものである。NCU46は、電話回線を制御して電話をかけたり、切ったりする回線網制御装置であり、PSTN17に接続されている。この通信部10は、通常モード時は、外部装置との間で原稿の画像データをファクシミリ送受信するものである。一方、防犯モード時は、前記継続時間が設定時間42を超えて、制御部2が異常有りと判定した場合に予め通信先情報43に登録された電話番号の外部通信端末16に接続して異常発生を通知するためのものである。したがって、通信部10を介して外部通信端末16に異常発生を通知する制御部2は、制御部2が異常有りと判定した場合にその旨を所定の外部通信端末16に通知する通知手段として機能する。
【0048】
また、通信部10は、外部通信端末16に異常発生を通知した場合に外部通信端末16から返送されるコマンドを受け付ける。このコマンドは、画像読取装置1に対して防犯モードを解除して通常モードに変更させたり、警備会社等へ通報させたり、又は、後述する表示部13のスピーカ(不図示)から警告音を鳴動させたりするためのものである。これらの複数のコマンドそれぞれに対応する処理は、画像読取装置1と外部通信端末16との間で予め設定されている。更に、通信部10は、外部通信端末16からモード情報40を変更するモード変更コマンドを受け付ける。
【0049】
LAN I/F11は、LAN(Local Area Network)47と画像読取装置1とを通信可能に接続するインターフェースである。LAN47には、クライアントPC48が設置されており、クライアントPC48から画像読取装置1のRAM6に格納されている通信先情報43等を変更したり、ログ44を確認することも可能である。また、LAN47には、メールサーバ49、ルータ50も設置されており、制御部2は、通信部10からの異常発生を通知する処理の代わりにメールサーバ49及びルータ50を介して外部通信端末16に異常発生を通知する電子メールを送信することが可能であり、また、ルータ50を介して外部通信端末16からのコマンドを受信することも可能である。更に、画像読取装置1は、LAN I/F11を介してピアツーピアによってネットワーク上の所定のPCと通信することも可能である。
【0050】
操作部12は、画像読取装置1の設定モードの変更や各種設定・登録を行うためのカーソルキー等、コピーやファクシミリ送信の指示等を入力する各種操作キーを具備しており、表示部13と連動している。ユーザによる各種の入力操作は、この操作部12において行われる。ユーザは、通常、操作部12から入力して設定モードを変更するが、設定モードの変更を時刻で設定することもできる。例えば、防犯モード中の画像読取装置1が設置された室内に人が入室する時刻が午前8時前後である場合、画像読取装置1の防犯モードの解除(防犯モードから通常モードへの変更)時刻を午前7時45分と設定しておくことができ、そうすることによって前記室内に人が午前8時前後に入室する際に異常有りと判定されることがない。逆に、通常モードから防犯モードへの変更も時刻で設定することができ、どちらか一方のみを設定しておくこともできる。なお、防犯モード中に原稿読取処理の開始指示(コピーやファクシミリ送信の指示等)が入力されても、外光監視は中止されず、暗証番号入力等の特別な操作を行わない限り、防犯モード解除時刻に達するまで外光監視状態は継続される。
【0051】
表示部13は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、LEDランプ、スピーカ等からなり、画像読取装置1の現在のモード等が表示されたり、警告音がスピーカから鳴動される。また、ユーザは、この表示部13でログ44を確認することができる。なお、表示部13の液晶表示装置をタッチパネル式のものとして、操作部12の代わりに表示部13から画像読取装置1の各種設定・登録を行うようにしてもよい。記録部14は、通常モード時にファクシミリ受信した原稿の画像データの画像等を用紙に記録するものである。この記録部14における記録方式としては、例えば、電子写真方式やインクジェット記録方式等の各種の記録方式を用いることができる。
【0052】
以上のように構成された画像読取装置1において、防犯モードに設定された場合の画像読取装置1の各部の処理動作について、図9及び図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この画像読取装置1の各部の処理動作は、ROM3に格納されている制御プログラムに基づいて制御部2が発行する制御命令に従って行われる。
【0053】
まず、画像読取装置1が通常モードから防犯モードに設定されると、防犯モードへの移行に伴って、アクチュエータが走査キャリッジ27を外光監視位置まで移動させる。そして、読取部5は、集光部4により集められ走査キャリッジ27により導かれた自装置1周辺における所定領域の光を電気信号として検出する(S1)。なお、防犯モードに設定された時点ですぐに光の検出を開始すると、防犯モードに設定される際の室内の照明やユーザが出入口を開けて室外に出る際に廊下から入る光等によって、異常は無いにもかかわらず防犯機能が作動するため、防犯モードに設定されてから所定時間を経過した後、例えば5分後に光の検出を開始する等適宜設定されている。
【0054】
集光部4により集められ走査キャリッジ27により導かれた自装置1周辺における所定領域の光を読取部5のCCDラインセンサ29がアナログ検出信号(電気信号)として検出し、該アナログ検出信号は、ゲイン調整、A/D変換、及びシェーディング補正を施されてデジタル検出信号として読取部5から出力される。制御部2は、このようにして検出した光のデジタル検出信号(電気信号)のレベル変化量が閾値41を超えたか否かを判断する(S2)。デジタル検出信号のレベル変化量が閾値41を超えたと判断した場合(S2:YES)、デジタル検出信号のレベル変化量が閾値41を超えてから前記レベル変化量の絶対値が閾値41を超えるまでの間の時間、すなわち、継続時間を計測する(S3)。そして、計測した継続時間がRAM6に格納された設定時間42を超えたか否かを判断する(S4)。継続時間が設定時間42を超えなかったと判断した場合(S4:NO)、異常無しと判定して(S5)、継続時間をリセットし(S17)、処理を終了する。一方、継続時間が設定時間42を超えたと判断した場合は(S4:YES)、異常有りと判定し(S6)、集音部9は、周囲の音を集音する(S7)。この集音部9が集音した音は、後の処理で外部に送信されるため、集音部9による集音は、一定時間継続して行われる。なお、この集音時間は変更可能である。
【0055】
次いで、制御部2は、RAM6の通信先情報43に登録された電話番号の外部通信端末16に通信部10を介して発呼する(S8)。そして発呼後に、外部通信端末16との回線が接続されたか否かを判断し(S9)、外部通信端末16との回線が接続された場合(S9:YES)、外部通信端末16に異常発生を通知する(S10)。具体的には、「○時○分に異常が発生しました。」等の音声メッセージを送信する。一方、外部通信端末16との回線が接続されなかった場合は(S9:NO)、再度外部通信端末16に発呼する(S8)。制御部2は、S9で異常発生を通知した後、前記集音部9が一定時間集音した音を外部通信端末16に送信する(S11)。このようにして、音を送信することにより、外部通信端末16を所持しているユーザは、異常発生時の状況を音から把握することができる。
【0056】
制御部2は、一定時間集音した音を送信した後、コマンド入力を促す旨の音声メッセージを通信部10から送信する(S12)。具体的には、コマンドに対応する番号を報知し、希望する番号を押下することを促す旨の音声メッセージを送信する。例えば、「警備会社に通報するときは、1を、スピーカから警告音を鳴動させるときは、2を、防犯モードを解除する場合は、3を押してください。」等の音声メッセージを送信する。
【0057】
そして、制御部2は、ユーザの番号キーの押下により外部通信端末16から返送される信号に基づいて、コマンドの入力があったか否かを判断する(S13)。コマンドの入力がなかったと判断した場合(S13:NO)、すなわち、コマンドの入力がなく所定時間が経過した場合、後述するS15以降の処理を行う。一方、コマンドの入力があったと判断した場合は(S13:YES)、そのコマンドに応じた処理を行う(S14)。例えば、前記の例の場合において外部通信端末16で「1」が入力されたと判断した場合、「1」に対応するコマンド、すなわち、警備会社に異常発生を通報するための所定の処理を行う。コマンドに応じた処理の終了後、処理が終了した旨を伝える音声メッセージを外部通信端末16に送信する。このようにして、コマンドに基づいて処理を実行した後、その処理が終了したことを外部通信端末16に通知する。次いで、制御部2は、外部通信端末16との回線が切断されたか否かを判断する(S15)。回線が切断されたと判断した場合(S15:YES)、ログ44をRAM6に記憶する(S16)。そして、計測した継続時間をリセットし(S17)、処理を終了する。
【0058】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態に係る画像読取装置1によれば、通常の処理動作では使用しないセンサを別途付加することなく、画像読取装置1周辺の所定領域、例えば、画像読取装置1周辺に置かれた金庫25周辺を照らす光等を監視することができ、周囲の明るさが変化してもそれに応じて常に精度よく異常の有無を判定できる防犯装置として使用することができる。そして、瞬間的な光の変化を異常有りと判定するような誤判定を防止でき、的確に異常の有無を判定できる。更に、外部通信端末16を所持するユーザは、画像読取装置1周辺の所定領域における異常発生を知ることができ、ユーザは、外出中であっても、外部通信端末16から画像読取装置1に対して命令して異常に対する対応、例えば、警備会社に通報させること等ができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本実施形態において、S7で集音部9によって周囲の音を集音し、S11でその音を外部通信端末16に送信しているが、必要に応じてこれらの処理を除いてもよい。ただし、ユーザが異常発生時の状況をより明確に把握できるようにするためには、本実施形態のようにS7及びS11の処理を行う方が好適である。また、S8で外部通信端末16に電話回線を接続して異常発生を通知する処理を行う代わりに、通信先情報43に外部通信端末16のメールアドレスを格納して、LAN I/F11からメールサーバ49及びルータ50を介して外部通信端末16に電子メールを送信して異常発生を通知してもよい。その場合、その電子メールによる異常発生の通知に対して、ルータ50を介して外部通信端末16からコマンドを受信し、その受信したコマンドに応じた処理を行うようにすればよい。また、S6で異常ありと判定した場合、すぐに表示部13のスピーカから警告音を鳴動させてもよい。
【0060】
次に、画像読取装置1において、外部通信端末16からモード変更コマンドを受け付けてモード情報40を変更する場合の各部の処理動作について、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0061】
まず、制御部2は、外部から発呼があったか否かを判断する(S21)。発呼があったと判断した場合(S21:YES)、相手先の電話番号が通信先情報43の電話番号と一致したか否かを判断する(S22)。相手先の電話番号が通信先情報43の電話番号と一致しなかったと判断した場合(S22:NO)、すなわち、外部通信端末16以外からの着信であった場合は、ファクシミリ受信等の他の処理を行う。一方、相手先の電話番号が通信先情報43の電話番号と一致したと判断した場合は(S22:YES)、相手先である外部通信端末16との回線を接続する(S23)。
【0062】
次いで、制御部2は、予めユーザによってRAM6に登録された暗証番号の入力を促す旨の音声メッセージを通信部10から送信し(S24)、外部通信端末16から返送される信号に基づいて、暗証番号が入力されたか否かを判断する(S25)。暗証番号が入力されなかったと判断した場合(S25:NO)、すなわち、所定時間を経過しても暗証番号の入力がなされなかった場合は、再度暗証番号の入力を促す旨の音声メッセージを送信し(S24)、以降の処理を行う。一方、暗証番号が入力されたと判断した場合は(S25:YES)、その暗証番号が正しいか否かを判断する(S26)。入力された暗証番号が正しくないと判断した場合(S26:NO)、すなわち、間違った暗証番号が入力された場合、回線を切断し(S30)、処理を終了する。一方、入力された暗証番号が正しいと判断した場合は(S26:YES)、モード情報40に格納されている現在の設定モードが通常モードと防犯モードのどちらであるかを通知し、モード変更コマンドの入力を促す旨の音声メッセージを送信する(S27)。例えば、「現在は通常モードです。モード変更を希望される場合は、1を押してください。希望されない場合は、3を押してください。」等の音声メッセージを送信する。
【0063】
そして、制御部2は、外部通信端末16からユーザのキー操作により外部通信端末16から返送された信号に基づいて、モード情報40のモード変更コマンドの入力があったか否かを判断する(S28)。モード変更コマンドの入力があったと判断した場合(S28:YES)、モード情報40を現在の設定モードからもう一方の設定モードへ変更する(S29)。すなわち、画像読取装置1が現在通常モードである場合には、防犯モードへ変更し、逆に現在防犯モードである場合には、通常モードへ変更する。モード情報40の変更が完了したら、モード情報40の変更が完了した旨を音声メッセージで外部通信端末16に送信してもよい。モード情報40の変更後、回線を切断して(S30)、処理を終了する。一方、モード変更コマンドの入力がなかったと判断した場合(S28:NO)、すなわち、所定時間を経過してもモード変更コマンドの入力がなかったり、モード変更を希望しないコマンドの入力があった場合は、回線を切断し(S30)、処理を終了する。なお、S23で回線を接続した以降の処理の途中で回線が切断された場合は、その時点で処理を終了する。
【0064】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態に係る画像読取装置1によれば、ユーザは、画像読取装置1が設置された室内にいなくても、画像読取装置1のモード情報40を通常モードから防犯モードへ、又は、防犯モードから通常モードへと変更することができる。そのため、例えば、外出後に画像読取装置1を防犯モードにし忘れたことに気づいた場合でも外出先から通常モードから防犯モードに変更することができ、また、急に外出先から画像読取装置1が設置された室内に戻る必要が生じた場合にも、ユーザが室内に戻ったことで画像読取装置1が異常有りと判定しないように防犯モードを解除することができ、防犯装置として大変有用である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、個人住宅やオフィス等に設置されるファクシミリ装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示した説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の防犯モード時における集光部及び読取部の概略構成を示した断面図である。
【図3】集光部の構成例を示した説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設置されたオフィスの一例を示した平面図である。
【図5】集光レンズのピントが合う位置の軌跡と白色板との位置関係を示す平面の模式図である。
【図6】防犯モード時に縮小光学系により縮小される光検出に用いられるCCDラインセンサの幅を示す平面の模式図である。
【図7】周囲が次第に明るくなる時間帯における自動感度調整機能についての説明図である。
【図8】周囲が次第に明るくなる時間帯に異常な光を一定時間検出した場合における継続時間についての説明図である。
【図9】防犯モードに設定された場合に、画像読取装置において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【図10】防犯モードに設定された場合に、画像読取装置において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【図11】外部通信端末からモード変更コマンドを受け付けてモード情報を変更する場合に、画像読取装置において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 画像読取装置
2 制御部
4 集光部
5 読取部
6 RAM
10 通信部
16 外部通信端末
27 走査キャリッジ
29 CCDラインセンサ
30 AFE回路
41 閾値
42 設定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯モードへの移行に伴って可動部材が外光監視状態となるように当該可動部材を動作させる駆動手段と、
前記可動部材が前記外光監視状態にあるときに、自装置周辺における所定領域の光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出する検出手段と、
該検出手段が検出した電気信号が所定の閾値を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
自装置周辺における所定領域の光を集める集光手段と、
防犯モードへの移行に伴って可動部材が外光監視位置まで移動するように当該可動部材を移動させる駆動手段と、
前記集光手段が集めて前記外光監視位置にある前記可動部材が導いた光を原稿の画像を読取る読取手段によって電気信号として検出する検出手段と、
該検出手段が検出した電気信号が所定の閾値を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記検出手段が検出する電気信号の検出感度を調整する検出感度調整手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記検出感度調整手段は、前記検出手段が検出する前記電気信号の検出感度を、検出した前記電気信号のレベルが所定の目標レベルとなるように、所定時間毎に調整することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記検出手段が検出した電気信号のレベル変化量が所定の閾値を超えてから前記レベル変化量の絶対値が前記閾値を超えるまでの間の時間を計測する計測手段を備え、
前記判定手段は、前記計測手段が計測した時間が設定時間を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記判定手段が異常有りと判定した場合にその旨を所定の外部通信端末に通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−13673(P2006−13673A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184775(P2004−184775)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】