画像読取装置
【課題】画像読取装置において原稿の画像欠落を抑制すること。
【解決手段】画像読取装置1は、複数枚の原稿Gを連続して搬送し、搬送経路上に位置した原稿Gを読み取る際に、Rセンサが配置されるRセンサ軸29において、原稿Gの先端より先端拡張幅W1だけ上流側の位置から読み取りを開始し、原稿Gの後端より後端拡張幅W2だけ下流側の位置に原稿の読み取りを終了する。画像読取装置1は、先に搬送される原稿Gの後端と次に搬送される原稿Gの先端との紙間距離Zから先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を決定するので、読取領域Hが重ならないように読取領域Hを決定することができ、原稿Gの画像欠落を抑制することができる。
【解決手段】画像読取装置1は、複数枚の原稿Gを連続して搬送し、搬送経路上に位置した原稿Gを読み取る際に、Rセンサが配置されるRセンサ軸29において、原稿Gの先端より先端拡張幅W1だけ上流側の位置から読み取りを開始し、原稿Gの後端より後端拡張幅W2だけ下流側の位置に原稿の読み取りを終了する。画像読取装置1は、先に搬送される原稿Gの後端と次に搬送される原稿Gの先端との紙間距離Zから先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を決定するので、読取領域Hが重ならないように読取領域Hを決定することができ、原稿Gの画像欠落を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の原稿を連続して搬送しながら読み取る画像読取装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数枚の原稿を連続して搬送しながら読み取る画像読取装置が知られている。このような装置では、搬送中に原稿が傾くことがあり、画像欠落を生じさせることなく傾いた原稿を読み取るためには、搬送方向等に原稿サイズより広い読取領域を決定しておき、当該読取領域において原稿を読み取ることが必要となる。読取領域を決定する際に決定される拡張領域は、一般に原稿サイズに比例する。特許文献1には、原稿サイズ毎に搬送速度やユーザからの入力に基づいて拡張領域を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取装置では、原稿を読み取る以前において当該原稿の原稿サイズが不明な場合がある。この場合、原稿サイズから拡張領域を決定しておくことができない。このような場合、画像欠落を生じさせることなく原稿を読み取るためには、拡張領域として、例えば当該装置において読取可能な最大原稿サイズにおける拡張領域等、比較的広い拡張領域としておく必要がある。しかし、読取領域を決定する拡張領域を比較的広い拡張領域とした場合、連続して搬送される原稿の読取領域がお互いに重なってしまうことがあり、画像欠落が生じることを抑制することができない問題が生じる。
【0005】
本発明は、画像読取装置において原稿の画像欠落を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像読取装置は、搬送経路に沿って複数枚の原稿を連続して搬送する搬送部と、前記搬送経路上に位置し、前記原稿を読み取る読取部と、前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記原稿を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記原稿の先端が前記読取部の読取位置より第1距離上流側の位置に到達した場合に、前記読取部に前記原稿の読み取りを開始させ、前記原稿の後端が前記読取部の読取位置より第2距離下流側の位置に到達した場合に、前記原稿部に前記原稿の読み取りを終了させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記原稿の後端と前記搬送部によって次に搬送される前記原稿の先端との原稿間距離から前記第1距離及び前記第2距離を決定する。
【0007】
また、上記の画像読取装置では、更に、複数枚の原稿を載置する給紙トレイと、駆動ギヤにより駆動され、原稿と接触してその原稿を給送するための給紙ローラと、前記給紙ローラから給送された原稿を前記給紙ローラの給紙速度よりも速い搬送速度で搬送する紙送りローラと、前記駆動ギヤと共に回転するように設けられた駆動伝達部と、前記給紙ローラと共に回転するように設けられ、前記駆動伝達部と係合離脱可能であり、前記給紙ローラによる用紙給送時には前記駆動伝達部により押動されて回転し、前記紙送りローラによる用紙搬送時には前記駆動伝達部より離脱して前記搬送速度で搬送される原稿に連れ回る給紙ローラにより回転し、前記給紙ローラ及び前記紙送りローラにより用紙が搬送されない搬送停止時には回転を停止する伝達受動部と、を備える構成としても良い。
【0008】
また、上記の画像読取装置では、更に、前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離に基づいて前記第1距離と前記第2距離を決定する構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像読取装置では、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離を2等分したものを前記第1距離及び前記第2距離として決定する構成としても良い。
【0010】
また、上記の画像読取装置では、更に、前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍よりも大きい場合、前記基準距離を前記第1距離及び前記第2距離として決定する構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によって開示される画像読取装置では、先に搬送される原稿の後端と次に搬送される原稿の先端との原稿間距離から原稿先端側及び後端側の拡張領域の搬送方向の距離を示す第1距離及び第2距離を決定し、読取領域を決定する。この画像読取装置によれば、原稿間距離に基づいて原稿の読取領域を決定するので、それぞれの原稿の読取領域が重ならないように読取領域を決定することができ、原稿の画像欠落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像読取装置1の概略的な断面図
【図2】給紙ローラ20の概略的な斜視図
【図3】給紙ローラ20の回転動作を説明する図
【図4】原稿サイズL0と紙間距離Zの関係を示すグラフ
【図5】画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図6】読取処理を示すフローチャート
【図7】読取処理を示すフローチャート
【図8】読取処理を示すフローチャート
【図9】傾き補正処理を示すフローチャート
【図10】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図11】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図12】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図13】搬送中の原稿Gを示す図
【図14】搬送中の原稿Gを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
一実施形態を、図1ないし図14を用いて説明する。
【0014】
1.画像読取装置の機械的構成
【0015】
図1は、本実施形態の画像読取装置1の概略的な断面図である。画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4と、を含む。画像読取装置1は、給紙トレイ2に載置された複数の原稿Gを1枚ずつ排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿Gを本体部3に含まれるCIS24を用いて読み取るシートフィードスキャナである。
【0016】
図2に示すように、本体部3には、給紙トレイ2と排紙トレイ4と、分離パッド21と、給紙ローラ20と、給紙トレイ2に載置された原稿を搬送経路22に沿って搬送する搬送ローラ23とを有している。また、この搬送経路22上には、CIS24と、フロントセンサ(以下、Fセンサ)25と、リアセンサ(以下、Rセンサ)26と、を備える。搬送ローラ23は、紙送りローラの一例であり、CIS24は、読取部の一例であり、Rセンサ26は、検知部の一例である。
【0017】
給紙ローラ20は、給紙トレイ2に載置された原稿Gに当接しており、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された原稿Gを本体部3の内部へと引き込む。分離パッド21は、摩擦力により、複数枚の原稿Gを1枚の原稿Gに分離する。給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gは、これらによって、1枚の原稿Gに分離されて本体部3の内部へと引き込まれる。
【0018】
搬送ローラ23は、図示しないモータにより駆動され、本体部3の内部へと引き込まれた原稿Gを搬送経路22上に搬送する。CIS24は、搬送経路22上に位置し、読取位置P1において搬送経路22内を搬送される原稿Gを読み取る。
【0019】
搬送ローラ23は、搬送経路22上に搬送された原稿Gを排紙トレイ4に送り出す。搬送ローラ23により排紙トレイ4に供給された原稿Gは、排紙トレイ4に積層される。つまり、給紙ローラ20と搬送ローラ23とによって、給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gを搬送経路22上に搬送する搬送部27が形成されている。
【0020】
Fセンサ25は、給紙トレイ2に配置され、給紙トレイ2に原稿Gが載置された場合にオンし、給紙トレイ2に原稿Gが載置されていない場合にオフするように設定されている。Rセンサ25は、搬送経路22上のCIS24よりも上流側の位置P2に配置され、搬送経路22上の位置P2を原稿Gが通過する場合にオンし、位置P2を原稿Gが通過していない場合にオフするように設定されている。また、本体部3には、この他に、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、ユーザからの操作指令等を受け付ける入力部5や、LEDからなり、画像読取装置1の状況を表示する表示部6等が含まれる(図5参照)。
【0021】
2.給紙ローラの機械的構成
図2に、給紙ローラ20の駆動機構を示す。給紙ローラ20は、給紙ローラ軸32に挿通されており、給紙ローラ軸32周りに回転する。給紙ローラ20には、給紙ローラ軸32の1径方向にピン34が止着されている。つまり、ピン34は、給紙ローラ20に固定されており、給紙ローラと一体となって給紙ローラ軸32周りに回転する。ピン34は、伝達受動部の一例である。
【0022】
ピン34に隣接して、駆動ギア35が配置されている。駆動ギア35は、給紙ローラ軸32に挿通されており、給紙ローラ軸32周りに回転する。駆動ギア35は、外周に歯を列設したギア部35Aを有し、ギア部35Aと噛合う図示しない外部ギヤから駆動力が付与されて給紙ローラ軸32周りを図2で矢印37で示す方向に、第1回転速度ω1で回転する。
【0023】
駆動ギア35のピン34に隣接する側面には、凸部36が形成されている。凸部36は、駆動ギア35と一体に形成されており、駆動ギア35と共に給紙ローラ軸32周りに回転する。凸部36は、駆動ギア35を給紙ローラ軸32周りに回転させた場合に、ピン34に当接する位置に配置されている。凸部36は、駆動伝達部の一例である。ピン34と凸部36は、係合離脱可能に構成されている。そのため、給紙ローラ20と駆動ギア35は、ピン34と凸部36が係合した場合、給紙ローラ軸32周りを一体として回転し、ピン34と凸部36が離脱した場合、給紙ローラ軸32周りを各々別々に回転する。
【0024】
3.給紙ローラの回転動作
図3を用いて、給紙ローラ20の回転動作を説明する。図3では、駆動ギア35の図示を省略し、凸部36のみを示す。
図3(A)に示すように、画像読取装置1では、原稿Gの搬送を開始すると、駆動ギア35が第1回転速度ω1で回転し、矢印37で示す凸部36の回転方向に係合するピン34が凸部36に押動されて給紙ローラ20も第1回転速度ω1で回転する。この結果、給紙ローラ20に当接する原稿Gは、給紙速度V1で搬送経路22へと給送される。搬送ローラ23の半径をRとすると、第1回転速度ω1と給紙速度V1は、以下の関係を有する。
V1=R×ω1
【0025】
次に、図3(B)に示すように、給紙ローラ20から給送された原稿Gが搬送ローラ23に到達すると、原稿Gは搬送ローラ23により搬送される。搬送ローラ23は、給紙速度V1よりも早い搬送速度V2で原稿Gを搬送する。これにより、原稿Gに当接する給紙ローラ20が搬送速度V2で回転し、第2回転速度ω2で回転するピン34が、第1回転速度ω1で回転する凸部36から離脱する。原稿Gの搬送により、ピン34と凸部36の間に生じる角度θは、原稿Gの搬送方向D2の長さである原稿サイズL0、及び搬送経路22における給紙ローラ20と搬送ローラ23の間の距離L1を用いて下記のように示される。
V2>V1,V2=R×ω2
θ=(ω2−ω1)×(L0−L1)/V2
【0026】
次に、図3(C)に示すように、搬送ローラ23による搬送により、原稿Gが給紙ローラ20を通過すると、給紙ローラ20は回転を停止する。その一方、駆動ギア35は第1回転速度ω1で回転を継続しており、給紙ローラ20の停止中において駆動ギア35が角度θ回転するまで駆動ギア35は空転を続ける。つまり、角度θは、給紙ローラ20の停止中において駆動ギア35が空転する空転角度ということができる。駆動ギア35が角度θ回転し、駆動ギア35の凸部36が再びピン34と係合すると、図3(A)に戻って次の原稿G’の給送を開始する。次の原稿G’の給送開始時における原稿Gと次の原稿G’の搬送方向D2における原稿Gの紙間距離Zは下記のように示される。
Z=V2×θ/ω1=(ω2−ω1)×(L0−L1)/ω1
【0027】
本実施形態の画像読取装置1では、紙間距離Zが距離(L0−L1)に比例し、原稿サイズL0に基づいて決定される機構が実現されている。図4に、画像読取装置1における原稿サイズL0と紙間距離Zの関係を示す。図4に示すように、画像読取装置1では、原稿サイズL0が55mmの名刺横置きサイズから大きくなるに従って、紙間距離Zが15mmから長くなり、紙間距離が30mmとなると空転角度θが略360°となり、紙間距離Zが一定に保たれる。画像読取装置1では、給紙速度V1と搬送速度V2の速度差、及び原稿サイズL0に基づいて紙間距離Zが決定される構成が実現されており、後述する中央処理装置11は原稿Gを搬送するに先だって、紙間距離Zを決定するために原稿サイズL0を識別しておく必要がない。
【0028】
4.画像読取装置の電気的構成
図5は、画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図5に示すように、画像読取装置1は、画像読取装置1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)11と、ROM12と、RAM13と、デバイス制御部14と、アナログフロントエンド(以下、AFE)15と、駆動回路16、画像処理回路17と、を備え、これらにバス18を介して、Fセンサ25、Rセンサ26などが接続されている。画像処理回路17は、補正部の一例である。
【0029】
ROM12には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU11は、ROM26から読み出したプログラムに従って各部の制御を行う制御部として機能する。デバイス制御部14は、CIS24に接続されており、CPU11からの命令に基づいて読み取りを制御する信号をCIS24に送信する。CIS24は、デバイス制御部14からの信号に基づいて、読取領域H(図10参照)に亘って原稿Gを読み取り、読み取った読取データをAFE15に出力する。
【0030】
AFE17は、CIS24に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、CIS24から出力されるアナログ信号である読取データをデジタル信号である階調データに変換する。読取データ及び階調データは、バス18を介してRAM13に記憶される。画像処理回路17は、RAM13に記憶された階調データに傾き補正処理を行い、補正データを生成する。
【0031】
駆動回路16は、搬送部27に接続されており、CPU11からの命令に基づいてパルス信号を搬送部27に送信する。搬送部27は、ステッピングモータ(不図示)を有し、パルス信号の1パルスで、1ステップの回転角度分、回転駆動する。そして、ステッピングモータが1ステップ分駆動すると、搬送ローラ23が駆動し、搬送経路22上を原稿Gが規定距離だけ搬送される。
【0032】
5.読取処理
次に、図6ないし図14を参照して、CIS24を用いて原稿Gを読み取る場合の、CPU11における処理について説明する。
【0033】
図6は、CPU11が所定のプログラムに従って実行する処理のフローチャートを示す。CPU11は、Fセンサ25を用いて給紙トレイ2に原稿Gが載置されたことが確認され、入力部5を介して原稿Gの読取指示が入力されると、処理を開始する。
【0034】
CPU11は、処理を開始すると、駆動回路16を用いて搬送部27にパルス信号を送信し、ステップ数のカウントを開始する。そして、搬送部27が原稿の搬送を開始する(S2)。CPU11は、Rセンサ26を用いて搬送中の原稿Gの位置を検出し(S4:NO)、Rセンサ26がオンした場合(S4:YES)に、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に基準ステップ数Xに対応する距離に設定する(S6)。基準ステップ数Xは、基準距離の一例であり、基準距離を規定距離で除したものということができる。
【0035】
図10に示すように、先端拡張幅W1とは、読取領域Hのうち、原稿Gが読取位置P1に到達するに先だってCIS24が読み取りを行う領域H1の矢印28で示す搬送方向D2の幅を意味する。また、後端拡張幅W2とは、読取領域Hのうち、原稿Gが読取位置P1を通過した後もCIS24が読み取りを行う領域H2の搬送方向D2の幅を意味する。先端拡張幅W1、後端拡張幅W2及び前述の紙間距離Zは、Rセンサ26が原稿Gを検出するRセンサ軸29を基準に設定される。CPU11は、読取領域Hに領域H1、H2を含ませておくことで、図10に示すように、搬送される原稿Gが搬送方向D2に対して傾いた場合でも、画像欠落を生じさせることなく原稿Gを読み取ることができる。
【0036】
また基準ステップ数Xは、CPU11が、画像処理回路17を用いて傾き補正処理を行うのに必要な距離に基づいて決定される。基準ステップ数Xは、画像読取装置1が搬送可能な最大の原稿サイズL0の他、画像読取装置1の搬送許容傾き等によって決定される。
【0037】
CPU11は、搬送経路22上における位置P2から読取位置P1までの距離L2に相当するステップ数から先端拡張幅W1に相当するステップ数を引いて、Rセンサ26がオンしてから原稿Gの読み取りを開始するまでの第1ステップ数を算出する(S8)。CPU11は、Rセンサ26がオンしてから第1ステップ数カウントされるのを待機し(S10:NO)、第1ステップ数カウントされると(S10:YES)、CIS24を用いて原稿Gの読み取りを開始する(S12)。つまり、CPU11は、原稿Gの先端が第1ステップ数に相当する距離だけ読取位置P1よりも上流側の位置に到達した場合に、原稿Gの読み取りを開始する。
【0038】
CPU11は、原稿Gの読み取りを開始すると、原稿Gが位置P2を通過し、Rセンサ26がオフするのを待機する(S14:NO)。CPU11は、Rセンサ26がオフすると(S14:YES)、Rセンサ26がオンしてからRセンサ26がオフするまでの原稿長ステップ数を算出し、RAM13に記憶する(S16)。つまり、原稿長ステップ数は、原稿サイズL0に相当するステップ数である。また、CPU11は、距離L2に相当するステップ数と後端拡張幅W2に相当するステップ数を加えて、Rセンサ26がオフしてから原稿Gの読み取りを終了するまでの第2ステップ数を算出する(S18)。
【0039】
次に、CPU11は、図7に示すように、Rセンサ26がオフしてから第2ステップ数カウントされる(S20)ことと、次の原稿GによってRセンサ26が再びオンする(S22)ことのどちらの事象が先に実現するかを監視する。CPU11は、図13に示すように、Rセンサ26が再びオンする前に第2ステップ数カウントされた場合(S20:YES、S22:NO)、図8に示すように、原稿Gの読み取りを終了する(S38)。つまり、CPU11は、原稿Gの後端が第2ステップ数に相当する距離だけ読取位置P1よりも下流側の位置に到達した場合に、原稿Gの読み取りを終了する。CPU11は、Fセンサ25がオンしているか否かを確認し(S40)、Fセンサ25がオフしている場合(S40:NO)、給紙トレイ2に読み取られずに残っている原稿Gは無いと判断し、原稿Gの搬送を停止する(S42)。CPU11は、得られた階調データに傾き補正処理を行い(S44)、読取処理を終了する。
【0040】
図9に示すように、傾き補正処理では、CPU11は、まず、RAM13に記憶された読取データからエッジデータを生成し、このエッジデータと所定の閾値を用いて、図10に実線で示す原稿Gを読み取った原稿読取領域のエッジ部分を抽出する(S50)。CPU11は、原稿読取領域が搬送方向D2に対して傾いているか否かを検出し(S52)、傾きを検出した場合には、RAM13に記憶された階調データに対して回転補正を行う(S54)。上記のエッジ抽出、傾き検出、回転補正の各処理は、従来用いられている手法を用いることができる。
【0041】
また、CPU11は、Fセンサ25がオンしている場合(S40:YES)、次に搬送される原稿Gに対して処理を実行する。CPU11は、Rセンサ26を用いて次に搬送される原稿Gの位置を検出する(S46:NO)。CPU11は、Rセンサ26がオンした場合に(S46:YES)、S8からの処理を繰り返す。
【0042】
一方、CPU11は、図14に示すように、第2ステップ数がカウントされる前にRセンサ26が再びオンした場合(S20:NO、S22:YES)、原稿Gの紙間距離Zに相当する紙間ステップ数を算出する(S24)。CPU11は、紙間ステップ数を算出する際に、例えば、Rセンサ26が原稿Gによりオンしてから当該原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から、RAM13に記憶された原稿長ステップ数を減じて、当該紙間ステップ数を算出する。
【0043】
CPU11は、紙間ステップ数を基準ステップ数Xの2倍のステップ数である2Xと比較する(S26)。CPU11は、紙間ステップ数が2X以下の場合(S26:YES)、紙間ステップ数を用いて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を再設定する(S28)。具体的には、CPU11は、紙間ステップ数を2等分した半紙間ステップ数を算出し、図12に示すように、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に半紙間ステップ数に対応する距離に設定する。紙間ステップ数が奇数である場合、繰り下げて半紙間ステップ数を求める。CPU11は、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2の再設定に伴い、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を用いて算出される第1ステップ数及び第2ステップ数を再算出する。
【0044】
一方、CPU11は、紙間ステップ数が2Xよりも大きい場合(S26:NO)、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2の設定を維持する(S30)。つまり、CPU11は、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に基準ステップ数Xに対応する距離に設定する。
【0045】
CPU11は、Rセンサ26がオフしてから第2ステップ数カウントされるのを待機し(S32:NO)、第2ステップ数カウントされると(S32:YES)、原稿Gの読み取りを終了する(S34)。CPU11は、得られた階調データに傾き補正処理を行う(S36)とともに、S8に戻り、次に搬送される原稿Gに対して処理を実行する。
【0046】
6.本実施形態の効果
(1)画像読取装置1では、搬送部27のクラッチ機構33によって、原稿サイズL0に基づいて紙間距離Zが決定される。そのため、CPU11は原稿Gを搬送する前において原稿サイズL0を識別することなく、原稿G同士が重なり合うことを抑制することができる。その一方、CPU11は、原稿Gを搬送する前において原稿サイズL0に基づいて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定することができない。そのため、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2は、例えば、画像読取装置1が搬送可能な最大の原稿サイズL0においても原稿Gの傾きにより画像欠落が生じないように、比較的広く設定されることがある。図10に示すように、原稿サイズL0が比較的大きい場合、紙間距離Zは先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を加えた長さよりも広くなる。そのため、原稿Gと次の原稿Gを連続して読み取った場合でも、それらの読取領域Hが重なることがなく、読取領域Hが重なりによる画像欠落が生じることがない。
【0047】
その一方、図11に示すように、原稿サイズL0が比較的小さい場合、紙間距離Zが先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を加えた長さよりも狭くなる。そのため、原稿Gと次の原稿Gを連続して読み取った場合に、それらの読取領域Hが重なる(図11斜線部参照)。読取領域Hが重なると、次の原稿Gの読取領域Hがその重複部分だけ削られ、次の原稿Gを読み取る際に、画像欠落が生じることとなる。
【0048】
画像読取装置1では、先に搬送される原稿Gの後端と次に搬送される原稿Gの先端との紙間距離Zから先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定し、読取領域Hを決定する。この画像読取装置1によれば、紙間距離Zに基づいて原稿Gの読取領域Hを決定するので、それぞれの原稿Gの読取領域Hが重ならないように読取領域Hを決定することができ、原稿Gの画像欠落を抑制することができる。
【0049】
(2)画像読取装置1では、紙間距離Zが基準ステップ数Xに相当する距離の2倍以下であり、連続して搬送される原稿Gの読取領域Hが重なる虞がある場合に、紙間距離Zに基づいて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定するので、読取領域Hが重なることを防止することができる。具体的には、図12に示すように、紙間距離Zを2等分し、この2等分したものを先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2とする。そのため、原稿Gの先端方向の飛び出しや、原稿後端方向の飛び出しが当該紙間距離Zの半分以下である場合に、先に搬送される原稿Gと、次に搬送される原稿Gのいずれにも画像欠落が生じることを抑制することができる。
【0050】
(3)画像読取装置1では、紙間距離Zが基準ステップ数Xに相当する距離の2倍よりも大きく、連続して搬送される原稿Gの読取領域Hが重なる虞がない場合に、この基準ステップ数Xに対応する距離を先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2として決定することで、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を別途決定しておく必要がない。
【0051】
(4)画像読取装置1では、搬送部27が原稿Gをステップ搬送している。原稿Gを搬送する場合、例えば、搬送速度を予め設定しておき、原稿Gを搬送する搬送時間を計時することによっても原稿Gの搬送を監視することができる。しかし、搬送部27では、原稿Gの搬送に用いるモータが、温度上昇等により停止してしまうことがある。この場合、原稿Gの搬送時間に基づいて原稿Gの所定位置への到達を検知していると、モータの停止により実際には原稿Gが搬送されていないにも関わらず、搬送時間の経過により原稿Gの読み取りが開始されてしまい、原稿Gを正しく読み取ることができない。この画像読取装置1では、搬送時間ではなく実際に原稿Gが搬送された距離を示すステップ数に基づいて原稿Gの所定位置への到達を検出するので、原稿Gを正確に読み取ることができる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、画像の形成を行うプリンタ機能を、コピー機能、ファクシミリ機能等の少なくとも1つの機能をスキャナ機能と共に有する複合機であっても良い。
【0053】
(2)上記実施形態では、画像読取装置1が1つのASIC10を有し、制御部として機能するCPU11によって読取処理を実行する例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、複数のCPU、ASICなどによって読取処理を実行を実行してもよい。また、上記実施形態では、CPU11とは別にCPU11からの命令により傾き補正処理を実行する画像処理回路17を有する例を用いて説明を行ったが、CPU11自身によって傾き補正処理が行われても良い。
【0054】
(3)上記実施形態では、紙間ステップ数を算出する際に、Rセンサ26が原稿Gによりオンしてから当該原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から、RAM13に記憶された原稿長ステップ数を減じる例を用いて説明を行ったが、Rセンサ26が原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から紙間ステップ数を算出しても良い。この場合には、必ずしもRセンサ26がオンしてからRセンサ26がオフするまでの原稿長ステップ数を算出しておく必要がない。
【符号の説明】
【0055】
1:画像読取装置、2:給紙トレイ、14:デバイス制御部、15:AFE、16:駆動回路、17:画像処理回路、20:給紙ローラ、22:搬送経路、23:搬送ローラ、26:Rセンサ、27:搬送部、29:Rセンサ軸、32:給紙ローラ軸、33:クラッチ機構、34ピン、35:駆動ギア、36:凸部、H:読取領域、L0:原稿サイズ、P1:読取位置、W1:先端拡張幅、W2:後端拡張幅、X:基準ステップ数、Z:紙間距離、θ:空転範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の原稿を連続して搬送しながら読み取る画像読取装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数枚の原稿を連続して搬送しながら読み取る画像読取装置が知られている。このような装置では、搬送中に原稿が傾くことがあり、画像欠落を生じさせることなく傾いた原稿を読み取るためには、搬送方向等に原稿サイズより広い読取領域を決定しておき、当該読取領域において原稿を読み取ることが必要となる。読取領域を決定する際に決定される拡張領域は、一般に原稿サイズに比例する。特許文献1には、原稿サイズ毎に搬送速度やユーザからの入力に基づいて拡張領域を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取装置では、原稿を読み取る以前において当該原稿の原稿サイズが不明な場合がある。この場合、原稿サイズから拡張領域を決定しておくことができない。このような場合、画像欠落を生じさせることなく原稿を読み取るためには、拡張領域として、例えば当該装置において読取可能な最大原稿サイズにおける拡張領域等、比較的広い拡張領域としておく必要がある。しかし、読取領域を決定する拡張領域を比較的広い拡張領域とした場合、連続して搬送される原稿の読取領域がお互いに重なってしまうことがあり、画像欠落が生じることを抑制することができない問題が生じる。
【0005】
本発明は、画像読取装置において原稿の画像欠落を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像読取装置は、搬送経路に沿って複数枚の原稿を連続して搬送する搬送部と、前記搬送経路上に位置し、前記原稿を読み取る読取部と、前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記原稿を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記原稿の先端が前記読取部の読取位置より第1距離上流側の位置に到達した場合に、前記読取部に前記原稿の読み取りを開始させ、前記原稿の後端が前記読取部の読取位置より第2距離下流側の位置に到達した場合に、前記原稿部に前記原稿の読み取りを終了させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記原稿の後端と前記搬送部によって次に搬送される前記原稿の先端との原稿間距離から前記第1距離及び前記第2距離を決定する。
【0007】
また、上記の画像読取装置では、更に、複数枚の原稿を載置する給紙トレイと、駆動ギヤにより駆動され、原稿と接触してその原稿を給送するための給紙ローラと、前記給紙ローラから給送された原稿を前記給紙ローラの給紙速度よりも速い搬送速度で搬送する紙送りローラと、前記駆動ギヤと共に回転するように設けられた駆動伝達部と、前記給紙ローラと共に回転するように設けられ、前記駆動伝達部と係合離脱可能であり、前記給紙ローラによる用紙給送時には前記駆動伝達部により押動されて回転し、前記紙送りローラによる用紙搬送時には前記駆動伝達部より離脱して前記搬送速度で搬送される原稿に連れ回る給紙ローラにより回転し、前記給紙ローラ及び前記紙送りローラにより用紙が搬送されない搬送停止時には回転を停止する伝達受動部と、を備える構成としても良い。
【0008】
また、上記の画像読取装置では、更に、前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離に基づいて前記第1距離と前記第2距離を決定する構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像読取装置では、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離を2等分したものを前記第1距離及び前記第2距離として決定する構成としても良い。
【0010】
また、上記の画像読取装置では、更に、前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、前記制御部は、前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍よりも大きい場合、前記基準距離を前記第1距離及び前記第2距離として決定する構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によって開示される画像読取装置では、先に搬送される原稿の後端と次に搬送される原稿の先端との原稿間距離から原稿先端側及び後端側の拡張領域の搬送方向の距離を示す第1距離及び第2距離を決定し、読取領域を決定する。この画像読取装置によれば、原稿間距離に基づいて原稿の読取領域を決定するので、それぞれの原稿の読取領域が重ならないように読取領域を決定することができ、原稿の画像欠落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像読取装置1の概略的な断面図
【図2】給紙ローラ20の概略的な斜視図
【図3】給紙ローラ20の回転動作を説明する図
【図4】原稿サイズL0と紙間距離Zの関係を示すグラフ
【図5】画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図6】読取処理を示すフローチャート
【図7】読取処理を示すフローチャート
【図8】読取処理を示すフローチャート
【図9】傾き補正処理を示すフローチャート
【図10】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図11】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図12】原稿Gと読取領域Hの関係を示す図
【図13】搬送中の原稿Gを示す図
【図14】搬送中の原稿Gを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
一実施形態を、図1ないし図14を用いて説明する。
【0014】
1.画像読取装置の機械的構成
【0015】
図1は、本実施形態の画像読取装置1の概略的な断面図である。画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4と、を含む。画像読取装置1は、給紙トレイ2に載置された複数の原稿Gを1枚ずつ排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿Gを本体部3に含まれるCIS24を用いて読み取るシートフィードスキャナである。
【0016】
図2に示すように、本体部3には、給紙トレイ2と排紙トレイ4と、分離パッド21と、給紙ローラ20と、給紙トレイ2に載置された原稿を搬送経路22に沿って搬送する搬送ローラ23とを有している。また、この搬送経路22上には、CIS24と、フロントセンサ(以下、Fセンサ)25と、リアセンサ(以下、Rセンサ)26と、を備える。搬送ローラ23は、紙送りローラの一例であり、CIS24は、読取部の一例であり、Rセンサ26は、検知部の一例である。
【0017】
給紙ローラ20は、給紙トレイ2に載置された原稿Gに当接しており、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された原稿Gを本体部3の内部へと引き込む。分離パッド21は、摩擦力により、複数枚の原稿Gを1枚の原稿Gに分離する。給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gは、これらによって、1枚の原稿Gに分離されて本体部3の内部へと引き込まれる。
【0018】
搬送ローラ23は、図示しないモータにより駆動され、本体部3の内部へと引き込まれた原稿Gを搬送経路22上に搬送する。CIS24は、搬送経路22上に位置し、読取位置P1において搬送経路22内を搬送される原稿Gを読み取る。
【0019】
搬送ローラ23は、搬送経路22上に搬送された原稿Gを排紙トレイ4に送り出す。搬送ローラ23により排紙トレイ4に供給された原稿Gは、排紙トレイ4に積層される。つまり、給紙ローラ20と搬送ローラ23とによって、給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gを搬送経路22上に搬送する搬送部27が形成されている。
【0020】
Fセンサ25は、給紙トレイ2に配置され、給紙トレイ2に原稿Gが載置された場合にオンし、給紙トレイ2に原稿Gが載置されていない場合にオフするように設定されている。Rセンサ25は、搬送経路22上のCIS24よりも上流側の位置P2に配置され、搬送経路22上の位置P2を原稿Gが通過する場合にオンし、位置P2を原稿Gが通過していない場合にオフするように設定されている。また、本体部3には、この他に、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、ユーザからの操作指令等を受け付ける入力部5や、LEDからなり、画像読取装置1の状況を表示する表示部6等が含まれる(図5参照)。
【0021】
2.給紙ローラの機械的構成
図2に、給紙ローラ20の駆動機構を示す。給紙ローラ20は、給紙ローラ軸32に挿通されており、給紙ローラ軸32周りに回転する。給紙ローラ20には、給紙ローラ軸32の1径方向にピン34が止着されている。つまり、ピン34は、給紙ローラ20に固定されており、給紙ローラと一体となって給紙ローラ軸32周りに回転する。ピン34は、伝達受動部の一例である。
【0022】
ピン34に隣接して、駆動ギア35が配置されている。駆動ギア35は、給紙ローラ軸32に挿通されており、給紙ローラ軸32周りに回転する。駆動ギア35は、外周に歯を列設したギア部35Aを有し、ギア部35Aと噛合う図示しない外部ギヤから駆動力が付与されて給紙ローラ軸32周りを図2で矢印37で示す方向に、第1回転速度ω1で回転する。
【0023】
駆動ギア35のピン34に隣接する側面には、凸部36が形成されている。凸部36は、駆動ギア35と一体に形成されており、駆動ギア35と共に給紙ローラ軸32周りに回転する。凸部36は、駆動ギア35を給紙ローラ軸32周りに回転させた場合に、ピン34に当接する位置に配置されている。凸部36は、駆動伝達部の一例である。ピン34と凸部36は、係合離脱可能に構成されている。そのため、給紙ローラ20と駆動ギア35は、ピン34と凸部36が係合した場合、給紙ローラ軸32周りを一体として回転し、ピン34と凸部36が離脱した場合、給紙ローラ軸32周りを各々別々に回転する。
【0024】
3.給紙ローラの回転動作
図3を用いて、給紙ローラ20の回転動作を説明する。図3では、駆動ギア35の図示を省略し、凸部36のみを示す。
図3(A)に示すように、画像読取装置1では、原稿Gの搬送を開始すると、駆動ギア35が第1回転速度ω1で回転し、矢印37で示す凸部36の回転方向に係合するピン34が凸部36に押動されて給紙ローラ20も第1回転速度ω1で回転する。この結果、給紙ローラ20に当接する原稿Gは、給紙速度V1で搬送経路22へと給送される。搬送ローラ23の半径をRとすると、第1回転速度ω1と給紙速度V1は、以下の関係を有する。
V1=R×ω1
【0025】
次に、図3(B)に示すように、給紙ローラ20から給送された原稿Gが搬送ローラ23に到達すると、原稿Gは搬送ローラ23により搬送される。搬送ローラ23は、給紙速度V1よりも早い搬送速度V2で原稿Gを搬送する。これにより、原稿Gに当接する給紙ローラ20が搬送速度V2で回転し、第2回転速度ω2で回転するピン34が、第1回転速度ω1で回転する凸部36から離脱する。原稿Gの搬送により、ピン34と凸部36の間に生じる角度θは、原稿Gの搬送方向D2の長さである原稿サイズL0、及び搬送経路22における給紙ローラ20と搬送ローラ23の間の距離L1を用いて下記のように示される。
V2>V1,V2=R×ω2
θ=(ω2−ω1)×(L0−L1)/V2
【0026】
次に、図3(C)に示すように、搬送ローラ23による搬送により、原稿Gが給紙ローラ20を通過すると、給紙ローラ20は回転を停止する。その一方、駆動ギア35は第1回転速度ω1で回転を継続しており、給紙ローラ20の停止中において駆動ギア35が角度θ回転するまで駆動ギア35は空転を続ける。つまり、角度θは、給紙ローラ20の停止中において駆動ギア35が空転する空転角度ということができる。駆動ギア35が角度θ回転し、駆動ギア35の凸部36が再びピン34と係合すると、図3(A)に戻って次の原稿G’の給送を開始する。次の原稿G’の給送開始時における原稿Gと次の原稿G’の搬送方向D2における原稿Gの紙間距離Zは下記のように示される。
Z=V2×θ/ω1=(ω2−ω1)×(L0−L1)/ω1
【0027】
本実施形態の画像読取装置1では、紙間距離Zが距離(L0−L1)に比例し、原稿サイズL0に基づいて決定される機構が実現されている。図4に、画像読取装置1における原稿サイズL0と紙間距離Zの関係を示す。図4に示すように、画像読取装置1では、原稿サイズL0が55mmの名刺横置きサイズから大きくなるに従って、紙間距離Zが15mmから長くなり、紙間距離が30mmとなると空転角度θが略360°となり、紙間距離Zが一定に保たれる。画像読取装置1では、給紙速度V1と搬送速度V2の速度差、及び原稿サイズL0に基づいて紙間距離Zが決定される構成が実現されており、後述する中央処理装置11は原稿Gを搬送するに先だって、紙間距離Zを決定するために原稿サイズL0を識別しておく必要がない。
【0028】
4.画像読取装置の電気的構成
図5は、画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図5に示すように、画像読取装置1は、画像読取装置1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)11と、ROM12と、RAM13と、デバイス制御部14と、アナログフロントエンド(以下、AFE)15と、駆動回路16、画像処理回路17と、を備え、これらにバス18を介して、Fセンサ25、Rセンサ26などが接続されている。画像処理回路17は、補正部の一例である。
【0029】
ROM12には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU11は、ROM26から読み出したプログラムに従って各部の制御を行う制御部として機能する。デバイス制御部14は、CIS24に接続されており、CPU11からの命令に基づいて読み取りを制御する信号をCIS24に送信する。CIS24は、デバイス制御部14からの信号に基づいて、読取領域H(図10参照)に亘って原稿Gを読み取り、読み取った読取データをAFE15に出力する。
【0030】
AFE17は、CIS24に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、CIS24から出力されるアナログ信号である読取データをデジタル信号である階調データに変換する。読取データ及び階調データは、バス18を介してRAM13に記憶される。画像処理回路17は、RAM13に記憶された階調データに傾き補正処理を行い、補正データを生成する。
【0031】
駆動回路16は、搬送部27に接続されており、CPU11からの命令に基づいてパルス信号を搬送部27に送信する。搬送部27は、ステッピングモータ(不図示)を有し、パルス信号の1パルスで、1ステップの回転角度分、回転駆動する。そして、ステッピングモータが1ステップ分駆動すると、搬送ローラ23が駆動し、搬送経路22上を原稿Gが規定距離だけ搬送される。
【0032】
5.読取処理
次に、図6ないし図14を参照して、CIS24を用いて原稿Gを読み取る場合の、CPU11における処理について説明する。
【0033】
図6は、CPU11が所定のプログラムに従って実行する処理のフローチャートを示す。CPU11は、Fセンサ25を用いて給紙トレイ2に原稿Gが載置されたことが確認され、入力部5を介して原稿Gの読取指示が入力されると、処理を開始する。
【0034】
CPU11は、処理を開始すると、駆動回路16を用いて搬送部27にパルス信号を送信し、ステップ数のカウントを開始する。そして、搬送部27が原稿の搬送を開始する(S2)。CPU11は、Rセンサ26を用いて搬送中の原稿Gの位置を検出し(S4:NO)、Rセンサ26がオンした場合(S4:YES)に、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に基準ステップ数Xに対応する距離に設定する(S6)。基準ステップ数Xは、基準距離の一例であり、基準距離を規定距離で除したものということができる。
【0035】
図10に示すように、先端拡張幅W1とは、読取領域Hのうち、原稿Gが読取位置P1に到達するに先だってCIS24が読み取りを行う領域H1の矢印28で示す搬送方向D2の幅を意味する。また、後端拡張幅W2とは、読取領域Hのうち、原稿Gが読取位置P1を通過した後もCIS24が読み取りを行う領域H2の搬送方向D2の幅を意味する。先端拡張幅W1、後端拡張幅W2及び前述の紙間距離Zは、Rセンサ26が原稿Gを検出するRセンサ軸29を基準に設定される。CPU11は、読取領域Hに領域H1、H2を含ませておくことで、図10に示すように、搬送される原稿Gが搬送方向D2に対して傾いた場合でも、画像欠落を生じさせることなく原稿Gを読み取ることができる。
【0036】
また基準ステップ数Xは、CPU11が、画像処理回路17を用いて傾き補正処理を行うのに必要な距離に基づいて決定される。基準ステップ数Xは、画像読取装置1が搬送可能な最大の原稿サイズL0の他、画像読取装置1の搬送許容傾き等によって決定される。
【0037】
CPU11は、搬送経路22上における位置P2から読取位置P1までの距離L2に相当するステップ数から先端拡張幅W1に相当するステップ数を引いて、Rセンサ26がオンしてから原稿Gの読み取りを開始するまでの第1ステップ数を算出する(S8)。CPU11は、Rセンサ26がオンしてから第1ステップ数カウントされるのを待機し(S10:NO)、第1ステップ数カウントされると(S10:YES)、CIS24を用いて原稿Gの読み取りを開始する(S12)。つまり、CPU11は、原稿Gの先端が第1ステップ数に相当する距離だけ読取位置P1よりも上流側の位置に到達した場合に、原稿Gの読み取りを開始する。
【0038】
CPU11は、原稿Gの読み取りを開始すると、原稿Gが位置P2を通過し、Rセンサ26がオフするのを待機する(S14:NO)。CPU11は、Rセンサ26がオフすると(S14:YES)、Rセンサ26がオンしてからRセンサ26がオフするまでの原稿長ステップ数を算出し、RAM13に記憶する(S16)。つまり、原稿長ステップ数は、原稿サイズL0に相当するステップ数である。また、CPU11は、距離L2に相当するステップ数と後端拡張幅W2に相当するステップ数を加えて、Rセンサ26がオフしてから原稿Gの読み取りを終了するまでの第2ステップ数を算出する(S18)。
【0039】
次に、CPU11は、図7に示すように、Rセンサ26がオフしてから第2ステップ数カウントされる(S20)ことと、次の原稿GによってRセンサ26が再びオンする(S22)ことのどちらの事象が先に実現するかを監視する。CPU11は、図13に示すように、Rセンサ26が再びオンする前に第2ステップ数カウントされた場合(S20:YES、S22:NO)、図8に示すように、原稿Gの読み取りを終了する(S38)。つまり、CPU11は、原稿Gの後端が第2ステップ数に相当する距離だけ読取位置P1よりも下流側の位置に到達した場合に、原稿Gの読み取りを終了する。CPU11は、Fセンサ25がオンしているか否かを確認し(S40)、Fセンサ25がオフしている場合(S40:NO)、給紙トレイ2に読み取られずに残っている原稿Gは無いと判断し、原稿Gの搬送を停止する(S42)。CPU11は、得られた階調データに傾き補正処理を行い(S44)、読取処理を終了する。
【0040】
図9に示すように、傾き補正処理では、CPU11は、まず、RAM13に記憶された読取データからエッジデータを生成し、このエッジデータと所定の閾値を用いて、図10に実線で示す原稿Gを読み取った原稿読取領域のエッジ部分を抽出する(S50)。CPU11は、原稿読取領域が搬送方向D2に対して傾いているか否かを検出し(S52)、傾きを検出した場合には、RAM13に記憶された階調データに対して回転補正を行う(S54)。上記のエッジ抽出、傾き検出、回転補正の各処理は、従来用いられている手法を用いることができる。
【0041】
また、CPU11は、Fセンサ25がオンしている場合(S40:YES)、次に搬送される原稿Gに対して処理を実行する。CPU11は、Rセンサ26を用いて次に搬送される原稿Gの位置を検出する(S46:NO)。CPU11は、Rセンサ26がオンした場合に(S46:YES)、S8からの処理を繰り返す。
【0042】
一方、CPU11は、図14に示すように、第2ステップ数がカウントされる前にRセンサ26が再びオンした場合(S20:NO、S22:YES)、原稿Gの紙間距離Zに相当する紙間ステップ数を算出する(S24)。CPU11は、紙間ステップ数を算出する際に、例えば、Rセンサ26が原稿Gによりオンしてから当該原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から、RAM13に記憶された原稿長ステップ数を減じて、当該紙間ステップ数を算出する。
【0043】
CPU11は、紙間ステップ数を基準ステップ数Xの2倍のステップ数である2Xと比較する(S26)。CPU11は、紙間ステップ数が2X以下の場合(S26:YES)、紙間ステップ数を用いて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を再設定する(S28)。具体的には、CPU11は、紙間ステップ数を2等分した半紙間ステップ数を算出し、図12に示すように、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に半紙間ステップ数に対応する距離に設定する。紙間ステップ数が奇数である場合、繰り下げて半紙間ステップ数を求める。CPU11は、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2の再設定に伴い、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を用いて算出される第1ステップ数及び第2ステップ数を再算出する。
【0044】
一方、CPU11は、紙間ステップ数が2Xよりも大きい場合(S26:NO)、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2の設定を維持する(S30)。つまり、CPU11は、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を共に基準ステップ数Xに対応する距離に設定する。
【0045】
CPU11は、Rセンサ26がオフしてから第2ステップ数カウントされるのを待機し(S32:NO)、第2ステップ数カウントされると(S32:YES)、原稿Gの読み取りを終了する(S34)。CPU11は、得られた階調データに傾き補正処理を行う(S36)とともに、S8に戻り、次に搬送される原稿Gに対して処理を実行する。
【0046】
6.本実施形態の効果
(1)画像読取装置1では、搬送部27のクラッチ機構33によって、原稿サイズL0に基づいて紙間距離Zが決定される。そのため、CPU11は原稿Gを搬送する前において原稿サイズL0を識別することなく、原稿G同士が重なり合うことを抑制することができる。その一方、CPU11は、原稿Gを搬送する前において原稿サイズL0に基づいて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定することができない。そのため、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2は、例えば、画像読取装置1が搬送可能な最大の原稿サイズL0においても原稿Gの傾きにより画像欠落が生じないように、比較的広く設定されることがある。図10に示すように、原稿サイズL0が比較的大きい場合、紙間距離Zは先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を加えた長さよりも広くなる。そのため、原稿Gと次の原稿Gを連続して読み取った場合でも、それらの読取領域Hが重なることがなく、読取領域Hが重なりによる画像欠落が生じることがない。
【0047】
その一方、図11に示すように、原稿サイズL0が比較的小さい場合、紙間距離Zが先端拡張幅W1と後端拡張幅W2を加えた長さよりも狭くなる。そのため、原稿Gと次の原稿Gを連続して読み取った場合に、それらの読取領域Hが重なる(図11斜線部参照)。読取領域Hが重なると、次の原稿Gの読取領域Hがその重複部分だけ削られ、次の原稿Gを読み取る際に、画像欠落が生じることとなる。
【0048】
画像読取装置1では、先に搬送される原稿Gの後端と次に搬送される原稿Gの先端との紙間距離Zから先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定し、読取領域Hを決定する。この画像読取装置1によれば、紙間距離Zに基づいて原稿Gの読取領域Hを決定するので、それぞれの原稿Gの読取領域Hが重ならないように読取領域Hを決定することができ、原稿Gの画像欠落を抑制することができる。
【0049】
(2)画像読取装置1では、紙間距離Zが基準ステップ数Xに相当する距離の2倍以下であり、連続して搬送される原稿Gの読取領域Hが重なる虞がある場合に、紙間距離Zに基づいて先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を決定するので、読取領域Hが重なることを防止することができる。具体的には、図12に示すように、紙間距離Zを2等分し、この2等分したものを先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2とする。そのため、原稿Gの先端方向の飛び出しや、原稿後端方向の飛び出しが当該紙間距離Zの半分以下である場合に、先に搬送される原稿Gと、次に搬送される原稿Gのいずれにも画像欠落が生じることを抑制することができる。
【0050】
(3)画像読取装置1では、紙間距離Zが基準ステップ数Xに相当する距離の2倍よりも大きく、連続して搬送される原稿Gの読取領域Hが重なる虞がない場合に、この基準ステップ数Xに対応する距離を先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2として決定することで、先端拡張幅W1及び後端拡張幅W2を別途決定しておく必要がない。
【0051】
(4)画像読取装置1では、搬送部27が原稿Gをステップ搬送している。原稿Gを搬送する場合、例えば、搬送速度を予め設定しておき、原稿Gを搬送する搬送時間を計時することによっても原稿Gの搬送を監視することができる。しかし、搬送部27では、原稿Gの搬送に用いるモータが、温度上昇等により停止してしまうことがある。この場合、原稿Gの搬送時間に基づいて原稿Gの所定位置への到達を検知していると、モータの停止により実際には原稿Gが搬送されていないにも関わらず、搬送時間の経過により原稿Gの読み取りが開始されてしまい、原稿Gを正しく読み取ることができない。この画像読取装置1では、搬送時間ではなく実際に原稿Gが搬送された距離を示すステップ数に基づいて原稿Gの所定位置への到達を検出するので、原稿Gを正確に読み取ることができる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、画像の形成を行うプリンタ機能を、コピー機能、ファクシミリ機能等の少なくとも1つの機能をスキャナ機能と共に有する複合機であっても良い。
【0053】
(2)上記実施形態では、画像読取装置1が1つのASIC10を有し、制御部として機能するCPU11によって読取処理を実行する例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、複数のCPU、ASICなどによって読取処理を実行を実行してもよい。また、上記実施形態では、CPU11とは別にCPU11からの命令により傾き補正処理を実行する画像処理回路17を有する例を用いて説明を行ったが、CPU11自身によって傾き補正処理が行われても良い。
【0054】
(3)上記実施形態では、紙間ステップ数を算出する際に、Rセンサ26が原稿Gによりオンしてから当該原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から、RAM13に記憶された原稿長ステップ数を減じる例を用いて説明を行ったが、Rセンサ26が原稿Gの通過によりオフとなり、さらに次の原稿Gによりオンするまでのステップ数から紙間ステップ数を算出しても良い。この場合には、必ずしもRセンサ26がオンしてからRセンサ26がオフするまでの原稿長ステップ数を算出しておく必要がない。
【符号の説明】
【0055】
1:画像読取装置、2:給紙トレイ、14:デバイス制御部、15:AFE、16:駆動回路、17:画像処理回路、20:給紙ローラ、22:搬送経路、23:搬送ローラ、26:Rセンサ、27:搬送部、29:Rセンサ軸、32:給紙ローラ軸、33:クラッチ機構、34ピン、35:駆動ギア、36:凸部、H:読取領域、L0:原稿サイズ、P1:読取位置、W1:先端拡張幅、W2:後端拡張幅、X:基準ステップ数、Z:紙間距離、θ:空転範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って複数枚の原稿を連続して搬送する搬送部と、
前記搬送経路上に位置し、前記原稿を読み取る読取部と、
前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記原稿を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記原稿の先端が前記読取部の読取位置より第1距離上流側の位置に到達した場合に、前記読取部に前記原稿の読み取りを開始させ、前記原稿の後端が前記読取部の読取位置より第2距離下流側の位置に到達した場合に、前記原稿部に前記原稿の読み取りを終了させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記原稿の後端と前記搬送部によって次に搬送される前記原稿の先端との原稿間距離から前記第1距離及び前記第2距離を決定する画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
更に、
複数枚の原稿を載置する給紙トレイと、
駆動ギヤにより駆動され、原稿と接触してその原稿を給送するための給紙ローラと、
前記給紙ローラから給送された原稿を前記給紙ローラの給紙速度よりも速い搬送速度で搬送する紙送りローラと、
前記駆動ギヤと共に回転するように設けられた駆動伝達部と、
前記給紙ローラと共に回転するように設けられ、前記駆動伝達部と係合離脱可能であり、前記給紙ローラによる用紙給送時には前記駆動伝達部により押動されて回転し、前記紙送りローラによる用紙搬送時には前記駆動伝達部より離脱して前記搬送速度で搬送される原稿に連れ回る給紙ローラにより回転し、前記給紙ローラ及び前記紙送りローラにより用紙が搬送されない搬送停止時には回転を停止する伝達受動部と、
を備える画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置であって、
更に、
前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離に基づいて前記第1距離と前記第2距離を決定する画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離を2等分したものを前記第1距離及び前記第2距離として決定する画像読取装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置であって、
更に、
前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍よりも大きい場合、前記基準距離を前記第1距離及び前記第2距離として決定する画像読取装置。
【請求項1】
搬送経路に沿って複数枚の原稿を連続して搬送する搬送部と、
前記搬送経路上に位置し、前記原稿を読み取る読取部と、
前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記原稿を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記原稿の先端が前記読取部の読取位置より第1距離上流側の位置に到達した場合に、前記読取部に前記原稿の読み取りを開始させ、前記原稿の後端が前記読取部の読取位置より第2距離下流側の位置に到達した場合に、前記原稿部に前記原稿の読み取りを終了させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記原稿の後端と前記搬送部によって次に搬送される前記原稿の先端との原稿間距離から前記第1距離及び前記第2距離を決定する画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
更に、
複数枚の原稿を載置する給紙トレイと、
駆動ギヤにより駆動され、原稿と接触してその原稿を給送するための給紙ローラと、
前記給紙ローラから給送された原稿を前記給紙ローラの給紙速度よりも速い搬送速度で搬送する紙送りローラと、
前記駆動ギヤと共に回転するように設けられた駆動伝達部と、
前記給紙ローラと共に回転するように設けられ、前記駆動伝達部と係合離脱可能であり、前記給紙ローラによる用紙給送時には前記駆動伝達部により押動されて回転し、前記紙送りローラによる用紙搬送時には前記駆動伝達部より離脱して前記搬送速度で搬送される原稿に連れ回る給紙ローラにより回転し、前記給紙ローラ及び前記紙送りローラにより用紙が搬送されない搬送停止時には回転を停止する伝達受動部と、
を備える画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置であって、
更に、
前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離に基づいて前記第1距離と前記第2距離を決定する画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記基準距離の2倍以下の場合、前記原稿間距離を2等分したものを前記第1距離及び前記第2距離として決定する画像読取装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置であって、
更に、
前記読取部が読み取った読取データに対して傾き補正を行う補正部を備え、
前記制御部は、
前記原稿間距離が、前記補正部が傾き補正を行うのに必要な基準距離の2倍よりも大きい場合、前記基準距離を前記第1距離及び前記第2距離として決定する画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−77953(P2013−77953A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216254(P2011−216254)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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