説明

異材接合体の製造方法およびその方法による異材接合体

【課題】熱膨張係数の異なる材質からなる二種の部材を、簡易な方法によってろう付接合して熱伝達効率の高い接合体を形成する方法およびその接合体を用いた静電チャック装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、第1の部材1と、前記第1の部材1と熱膨張係数が異なる第2の部材2との間に、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3の部材3を、金属ろう材5を介して配設してろう付接合することを特徴とする異材接合体の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる材質からなる部材の接合方法、特に、熱膨張係数が大きく異なる材質からなる部材の接合方法およびその方法によって接合した異材接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱膨張係数が異なる材質によって形成された2つの部材(以下、本明細書においては異材部材という。)を接合して、熱伝達効率の高い接合体を形成することが求められる場合がある(以下、異材部材を接合した接合体を異材接合体という。)。例えば、半導体製造工程で使用される静電チャック装置や冷却板等である。
【0003】
例えば、冷却板においては、冷却板に使用する金属が半導体製造工程において金属コンタミの原因となるため、冷却板に耐食性を持たせたい場合や絶縁性を持たせたい場合などには、冷却板表面をアルマイト膜や溶射膜の保護膜で被覆することを行っていた。また、同様の目的で焼結セラミックスの部材(以下、セラミックス部材という。)を接着することも行われていた。
【0004】
しかし、アルマイト膜では、耐食性や絶縁性の面で万全とは言えず、また、溶射膜の保護膜では、パーティクル問題や熱伝導率などの点で、セラミックス部材を接着する方法に比して機能的に劣る。従って、近年は、冷却板に耐食性や絶縁性を持たせたい場合には、冷却板にセラミックス部材を接着する方法が一般的になっている。
【0005】
ところが、冷却板にセラミックス部材を接着する場合には、基材となる金属部材とセラミックス部材との熱膨張係数の差に起因して、高温でのろう付接合(以下、ろう付という。)や、その他の高温での接合が困難であるという問題がある。基材となる金属部材とセラミックス部材とを、熱伝達率の高い金属ろう材でろう付すると、熱伝達率の高い冷却板を形成することができる。しかし、接合後の冷却過程で基材となる金属部材とセラミックス部材との間に生じる熱膨張係数の差に起因して生じる熱歪によって、セラミックス部材に破損が生じる場合が多いのである。また、破損が生じない場合でも、形成された冷却板に反りが生じ、許容値を超える場合は不良となる。特に、大型の製品においては、反りの無い冷却板の形成が困難である。
【0006】
このような破損や反りを回避するために、金属ろう材によるろう付を行わずに、有機接着剤(特に、樹脂系接着剤。)または無機接着剤を用いる方法がある。また、いわゆる低温半田で接着する方法もある。しかし、有機接着剤を用いて接着すると、真空中でのガス放出や耐熱性の点で問題があるため、高温状況下での使用や激しい温度差を生じる使用等の過酷な温度環境で使用される部材の接着には、有機接着剤は使用できない。また、特に樹脂系接着剤は、機密性や熱伝達率に問題がある。また、無機接着剤は、接合強度が低く、剥れ易いという問題がある。更に、いわゆる低温半田は、インジウムやビスマス等を含む半田材を用いて接合するものであるが、インジウムは希少金属で高価であり製品コストの上昇を招き、一方ビスマスは毒性があるため問題がある。また、低温半田による接合は、接合した部材の使用温度環境が半田付け温度以下の低温に限定されるため、高温環境下で使用する部材の場合には、低温半田による接合方法を用いることはできない。
【0007】
以上のような理由から、高い熱伝達率を求められる真空チャック装置や冷却板などに使用する部材は、金属部材とセラミックス部材とを、金属ろう材を用いたろう付等の高温接合することが必要である。そこで、上述した問題を解決するために、特許文献1および特許文献2に示されるように、2つの部材の中間に、複数層(具体的には、3層。)からなる応力緩和層(または、ダンパ層。)を設けることが提案されている。応力緩和層の材質は、熱膨張係数が2つの部材の材質の熱膨張係数の中間である材質である。
【0008】
上述の方法を、図を基に説明する。図4は、特許文献2に示された3層の応力緩和層を有する異材接合体の製造方法を示す概略図である。図4(A)は、接合の過程を示し、図4(B)は、接合後の状態を示す。図4(A)に示すように、この方法においては、セラミック部材(ここでは、セラミックスとして、アルミナあるいは窒化アルミなどから成るセラミックスを使用している。)201と、金属部材(ここでは、金属部材として第1酸化銅1を20〜80%体積含む銅複合材を使用している。)202を、三つの応力緩和層(221、222、223)を介して、金属ろう材205によってろう付する。ここで、応力緩和層(221、222、223)は、それぞれ第1酸化銅を20〜80%体積含む複合材で形成され、熱膨張係数が、セラミック部材201側の応力緩和層223から金属部材202側の応力緩和層221へ、順に大きくなるように設定されている。そして図4(B)に示すように、最終的に3層構造の応力緩和層(221、222、223)を有する接合体が形成されている。応力緩和層(221、222、223)の熱膨張係数が、セラミックス部材201側から逓増するように設定することで、熱歪によるセラミックス部材201の破損や反りを抑制するものである。
【0009】
以上説明したように、これの方法は熱膨張係数のみに着目してろう付するものであるため、金属部材とセラミックス部材のように、2つの部材の熱膨張係数の差が大きい場合、熱膨張係数の異なる応力緩和層を複数層形成する必要がある。しかも、ろう付する2つの部材の熱膨張係数の差に応じて、複数の応力緩和層のそれぞれの熱膨張係数をコントロールし、複数の応力緩和層の配置位置を制御する必要がある。従って、製造工程が複雑であり、コスト上昇を招いてしまう。
【0010】
そこで、例えば、金属部材とセラミックス部材のように、熱膨張係数の差が大きい2つの部材を簡易にろう付できる、異材接合体の製造方法が求められている。
【特許文献1】特開平11−157953号公報
【特許文献2】特開2001−223261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、熱膨張係数の異なる材質からなる二種の部材を、簡易な方法によってろう付接合して熱伝達効率の高い接合体を形成する方法およびその接合体を用いた冷却板や静電チャック装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第1の部材と、前記第1の部材と熱膨張係数が異なる第2の部材との間に、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3の部材を、金属ろう材を介して配設してろう付接合することを特徴とする異材接合体の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、第1のプレートと、前記前記第1のプレートと熱膨張係数が5×10−6/℃以上異なる第2のプレートと、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配設され、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3のプレートとを有し、前記第1のプレートと第3のプレートおよび前記第3のプレートと前記第2のプレートがそれぞれろう付接合されていることを特徴とする異材プレート接合体が提供される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、真空処理室と、前記真空処理室を真空排気する真空排気装置と、前記真空処理室内に配設され、被処理物を静電吸着する静電チャック部と、前記静電チャック部に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記静電チャック部は、高熱伝導率および高耐食性のいずれか一つ以上を有する上部絶縁層および下部絶縁層、並びに金属電極を有して前記上部絶縁層と前記下部絶縁層との間に配置される電極層を備えた第1のプレートと、冷却または加熱構造を有し、前記前記第1のプレートと熱膨張係数が5×10−6/℃以上異なる第2のプレートと、前記第1のプレートと前記第2のプテートとの間に配設され、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3のプレートとを有し、前記第1のプレートと第3のプレートおよび前記第3のプレートと前記第2のプレートがそれぞれろう付接合されていることを特徴とする静電チャック装置が提供される。
【0015】
前記第1の部材と前記第2の部材との熱膨張係数の差は、5×10−6/℃以上であってもよい。
【0016】
前記第1の部材は、耐摩耗性、高熱伝導性、高熱耐食性および高絶縁性のいずれか一つ以上の性質を有してもよい。
【0017】
前記第1の部材は、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、窒化アルミニウム(AlN)、三酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化イットリウム(Y)、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)および炭素(C)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であってもよい。
【0018】
前記第2の部材は、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバールおよびインコネル(登録商標)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であってもよい。
【0019】
前記第3の部材は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であってもよい。
【0020】
前記金属ろう材は、アルミニウム系ろう材、銀ろう材、銅ろう材およびニッケルろう材のいずれかであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、熱膨張係数の異なる材質からなる二種の部材を、簡易な方法によってろう付接合して熱伝達効率の高い接合体を形成する方法およびその接合体を用いた冷却板や静電チャック装置等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る異材接合体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるわけではない。また、各実施形態において、同様の構成については同じ符号を付し、改めて説明しない場合がある。
【0023】
(第1の実施形態)
[異材接合体の製造方法]
以下、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法について、図を基に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法を示す概略図である。図1(A)は、接合の過程を示し、図1(B)は、接合後の状態を示す。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法においては、熱膨張係数の異なる材質からなる2種の部材として、硬度が高く、熱膨張係数の低い第1の部材1と、第1の部材1と熱膨張係数が大きく異なる第2の部材2を用意した。ここで、2つの部材の熱膨張係数の差は、より好適には5×10−6/℃以上であればよい。即ち、熱膨張係数の差が5×10−6/℃以上の2種の部材を用いると、効果が顕著である。そして、更に、ヤング率が150Gpa以下であり、かつ融点が1500K以下である材質で形成した部材を第3の部材3として用意した。第3の部材3は、上述したように低ヤング率の材質であり、撓み易い材質である。また、第3の部材3は、低融点材であるため、この第3の部材3に蓄えられた内部応力は、熱接合処理時の回復機構によって減少させることができる材質である。なお、図1は一例であり、図1(A)に示した第2の部材2の下側に、同じ様に第3の部材3、第1の部材1を金属ろう材5を配設して接合し、第2の部材2を中心にして、上下対称に第3の部材3および第1の部材1を接合することで、より歪に対して有効な構造とすることもできる。
【0025】
本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法においては、まず、第2の部材2上に、シート状に形成した金属ろう材5を配設する。金属ろう材5は、第1の部材1、第2の部材2および第3の部材3とのろう付性を考慮して選択する。例えば、第1の部材1がセラミックス部材で、第2の部材2がチタニウム合金の部材であり、第3の部材3がアルミニウムの部材であれば、金属ろう材5としては、例えば、アルミニウムを主成分とするろう材を使用する。なお、本実施形態においては、金属ろう材5をシート状に形成したものを使用したが、これに限定される訳ではなく、例えば、ペースト状の金属ろう材5を塗布してもよい。
【0026】
次に金属ろう材5の上に、第3の部材3を配設する。更に、第3の部材3の上に前記シート状の金属ろう材5を配設する。そして、金属ろう材5の上に、第1の部材1を配設する。
【0027】
以上の工程によってそれぞれの部材(1〜3)の間に金属ろう材5が挟み込まれた積層状態に形成された3つの部材(1〜3)を、加熱・冷却して全面ろう付する。加熱温度は、使用する金属ろう材5によって適宜変更し、例えば、アルミニウムを主成分とする金属ろう材5であれば、約570〜590℃程度に加熱する。また、熱接触性や機械的強度を向上させるために、ろう付の際に機械的圧力(約1〜10MPa)を掛けてろう付してもよい。
【0028】
以上説明した方法によって、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体が形成される。本発明の異材接合体は、図1(B)に示すように、ろう付された状態で、3層構造となる。即ち、図1(B)に向かって、上から第1の部材1、第3の部材3、第2の部材2の3層構造である。言い換えれば、熱膨張係数が、5×10−6/℃以上異なる第1の部材1と第2の部材2との間に、ヤング率が150GPa以下かつ融点が1500K以下の低ヤング率かつ低融点の第3の部材3が存在する3層構造となる。熱処理時に、第1の部材1と第2の部材2との熱膨張係数の差によって生じる熱歪は、第3の部材3に対する応力として働く。しかし、第3の部材3が低ヤング率の材質で形成されているため、この応力は第3の部材3の内部応力として吸収されて緩和される。また、第3の部材3は、低融点の材質で形成されているため、前記内部応力は、接合熱処理時の回復機構によって応力が開放されて減少する。従って、第1の部材1と第2の部材2との熱膨張係数の差によって生じる熱歪は、これによって吸収されることになり、異材部材接合材の破損や反りが抑制される。また、上述した本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法によれば、第1の部材1と第2の部材2との間に、所定の範囲のヤング率および融点を有する材質で形成した第3の部材3を介在させてろう付するだけで、異材接合体の破損や反りを抑制することができる。そして、第3の部材3については、ヤング率および融点に留意するだけで、熱膨張率について考慮する必要がない。即ち、上述した特許文献に開示されたように、複数の応力緩和層をそれぞれの熱膨張係数を所定の範囲に設定して形成する作業、およびろう付時に複数の応力緩和層を、それぞれの熱膨張係数に基づいて所定の順番に配置する作業を行う必要がない。即ち、これらの作業を軽減することができる。従って、製造工程の効率を改善することができ、製品コストを抑制することができる。
【0029】
なお、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体を形成する第1の部材1、第2の部材2および第3の部材3の材質、およびそれぞれの材質のヤング率、熱膨張係数および融点を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の、第1の部材1の材質としては、表1に示すように、タングステンカーバード(炭化タングステン_WC)、チタンカーバイド(炭化チタン_TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミナイトライド(窒化アルミニウム_AlN)、アルミナ(三酸化アルミニウム_Al)、シリコンナイトライド(窒化ケイ素_Si)、マグネシア(酸化マグネシウム_MgO)、チタニア(二酸化チタン_TiO)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム_ZrO)、イットリア(三酸化イットリウム_Y)、シリコン(Si)、シリカ(二酸化ケイ素_SiO)、ガラス類および炭素(C)のいずれか一つ若しくはいずれか一つを主成分とする合金若しくは焼結体またはこれらの複合材が用いられる。
【0032】
また、第1の部材1は、形成された異材接合体の使用目的に応じて、例えば、耐摩耗性、高熱伝導率や高耐食性を持たせてもよい。また、例えば、第1の部材1に高絶縁性を持たせ、内部に電極を配設して静電チャック(Electro_Static_Chuck)機能を持たせたESC機能体のような、いわゆる機能体であってもよい。
【0033】
本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の、第2の部材2の材質としては、表1に示すように、ステンレス合金(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバールおよびインコネル(登録商標)のいずれか一つ若しくはいずれか一つを主成分とする合金またはこれらの複合材が用いられる。但し、第2の部材2の材質は、第1の部材1と熱膨張係数が大きく異なる材質となるように選択すると、本発明の効果が発揮され、好適には、第1の部材1と第2の部材2との熱膨張係数の差が、5×10−6/℃以上であるように、第1の部材1の材質に対応して第2の部材2の材質を選択するとよい。このように大きな熱膨張係数の差がある材質からなる2つの部材をろう付する際に、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法の効果が顕著になるためである。
【0034】
本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の、第3の部材3の材質としては、好適には、表1に示すように、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)のいずれか一つ若しくはいずれか一つを主成分とする合金またはこれらの複合材が用いられる。但し、第3の部材3は、これに限定されるわけではなく、例えばポリマーや樹脂等であってもよい。ヤング率が150GPa以下の低ヤング率であって、かつ融点が1500K以下の低融点の材質であれば、第3の部材3として用いることができる。前記の低ヤング率かつ低融点である材質からなる部材を挟んでろう付することが、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法の特徴だからである。なお、第3の部材3と第2の部材2とは、異なる材質となるように選択する。従って、第2の部材2として例えばアルミニウム(Al)を選択した場合、第3の部材3としては、アルミニウム以外を選択する。
【0035】
また、第3の部材3に、例えば、バキューム機能やガス系統の機能を持たせることもできる。本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法によって製造された異材接合体は、上述したとおり、例えば、半導体製造工程で使用される静電チャック装置や冷却板に使用される場合がある。静電チャック装置の場合、真空中または所定のガス雰囲気下で使用されることが多い。従って、この第3の部材3に、バキューム機能またはガス系統の機能を持たせてもよい。
【0036】
上述した第1の部材1乃至第3の部材3の厚さ等については特に制約はなく、目的に合わせて適宜選択することができるが、第3の部材3については、厚さが厚いほど応力緩和の効果が大きく、接合体の反りを軽減することができる。また、ろう付に使用する金属ろう材5の材質も、第1の部材1乃至第3の部材3の材質を考慮して、例えば、アルミニウムろう材、銅ろう材等を適宜選択することができる。また、ろう付時の加熱温度は、選択された金属ろう材5に応じて、適宜変更される。
【0037】
[効果]
以上説明した、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法およびこの製造方法によって製造された異材接合体の効果について説明する。まず、製造方法の効果について説明する。本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法は、上述したように、熱膨張係数が大きく異なる異材部材の間に、低ヤング率かつ低融点である第3の部材を挟んで、金属ろう材によってろう付するものである。即ち、この第3の部材を挟んでろう付することのみによって、簡易に異材接合体の破損や反りを抑制し、効率的に異材接合体を製造することができる。これは、2つの異材部材の熱膨張係数の差によって生じる熱歪を、低ヤング率の第3の部材の内部応力として吸収し、吸収した内部応力を低融点の第3の部材の接合熱処理時の回復機構によって開放して減少させることができるからである。従って、複数の応力緩和層を形成し、かつ、複数の応力緩和層の配置順を制御等する複雑な製造工程を用いる必要がない。よって、本発明に係る製造方法によれば、効率的に、低コストで異材接合体を製造することができる。なお、本効果は、異材部材間の熱膨張係数の差が、5×10−6/℃以上であると、一層顕著に発揮される。
【0038】
次に、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法によって製造された、異材接合体の効果について説明する。第1に、本発明の第1の実施形態に係る製造方法によって製造された異材接合体は、熱伝導率および機密性に優れる。上述したように本異材接合体は、金属ろう材5を用いてろう付によって接合される。従って、金属で接合されるため、樹脂系接着剤を用いて接着する場合に比して熱伝達率に優れる。また、樹脂系接着剤を用いて接着する場合に比して機密性に優れる。
【0039】
第2に、本発明に係る異材接合体は、使用温度枠が広がる。即ち、本異材接合体の接合に用いる金属ろう材は、樹脂系接着剤や低温半田に比して融点が高い。従って、本異材接合体は、高温環境下での使用が可能となる。
【0040】
第3に、本発明に係る異材接合体は、低コストかつ安全性に優れる。本発明に使用する第3の部材3は、銅やアルミニウム等の一般的な金属であり、またろう付に用いる金属ろう材5も、アルミニウム系ろう材や銅系ろう材の一般的なものである。従って、低温半田に用いられるインジウム等の希少金属でないため、低コストである。また、これらの金属は、低温半田に用いられるビスマスのような毒性が問題となることはない。従って、本発明に係る異材接合体は、低コストかつ安全性に優れる。
【0041】
第4に、本発明に係る異材接合体は、簡易にバキューム機能やガス系統の機能を持たせることができる。異材を樹脂系接着剤で接着する場合、および低温半田で接合する場合、かかる機能を持たせることはできない。これらの方法による場合は、形成した異材接合体に別個に上記の機能を有する層を形成する必要がある。しかし、本発明に係る異材接合体は、第3の部材3として、低ヤング率かつ低融点であって、更にバキューム機能やガス系統の機能を有す部材を選択するだけで、形成した異材接合体にバキューム機能やガス系統の機能を持たせることができる。
【0042】
(実施例1)
上述した、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法を、冷却板またはヒータ等の異材プレート接合体に適用した実施例について、以下に説明する。以下においては、例として冷却板に適用した例を説明するが、本実施例は冷却板に限定されるものではなく、上述したようにヒータ等の他のプレートであってもよい。図2を基に説明する。図2は、本発明の実施例1に係る異材プレート接合体の製造方法およびその方法によって製造した異材プレート接合体を示す概略断面図であり、図2(A)は、実施例1に係る異材プレート接合体の製造方法を示す概略断面図であり、図2(B)は、前記方法によって製造された異材プレート接合体の概略断面図である。
【0043】
本実施例1に係る異材プレート接合体である冷却板10は、第1のプレート11と、第1のプレート11と熱膨張係数が大きく異なる(好適には、5×10−6/℃以上の差を有する。)材質で形成された第2のプレート12との間に、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である材質で形成された第3のプレート13を、金属ろう材15を介してろう付することによって形成する。
【0044】
ここで、第2のプレート12は、凹所が形成された第2のプレート第1部材12aと、第2のプレート第1部材12aと同一の材質で形成された第2のプレート第2部材12bとを、凹所を覆うようにろう付等によって接合して形成される。従って、第2のプレート12は、内部に断面形状が略矩形の複数の孔を有する部材となる。本実施例1においては、この複数の孔に冷却用の不活性ガスや液状の冷媒を流すことで冷却板として使用する。従って、本実施例1においては、この孔は溝であり、冷却溝21となる。但し、これに限定されず、例えば、前記溝に電熱体を配設して加熱溝としてもよい。
【0045】
本実施例1においては、第2のプレート12の材質としてチタン(Ti。熱膨張係数8.9×10−6/℃。)を用いた。上述した第2のプレート第1部材12aと第2のプレート第2部材12bをチタンで形成し、ろう付して冷却孔21を有する第2のプレート(冷却板基材)12を形成した。また、第1のプレート11は、炭化ケイ素(SiC。熱膨張係数4×10−6/℃。)のセラミックスプレートを使用した。更に、第3のプレート13の材質として、アルミニウム(Al。ヤング率76GPa、融点933K。)を用い、アルミニウムプレートを形成して使用した。金属ろう材15としては、アルミニウム系金属ろう材を使用した。第1のプレート11と第2のプレート12との熱膨張係数の差は、本実施例1においては、5.9×10−6/℃である。
【0046】
予め冷却孔21を形成した第2のプレート(冷却板基材)12上に、シート状に形成したアルミニウム系金属ろう材15を配設し、更に金属ろう材15の上に、第3のプレート13を配設する。そして、第3のプレート13の上に更にシート状の金属ろう材15を配設し、最後に金属ろう材15の上に第1のプレート11を配設する。以上のように積層した部材を、加熱炉において、約570〜590℃程度に加熱して金属ろう材15を溶融し、更に冷却してろう付する。ろう付の際に、機械的圧力を掛けてもよい。以上のような工程によって図2(B)に示す、異材プレート接合体(冷却板)10が形成される。図2(B)に示すように、本実施例12に係る異材プレート接合体(冷却板)10は、第2のプレート(冷却板基材)12内部に冷却孔21を有し、該冷却板基材12上に、アルミニウムプレート13、セラミックスプレート11が積層された3層構造の冷却板10となる。即ち、中間に低ヤング率かつ低融点のアルミニウムプレート13を有する3層構造の冷却板10となる。
【0047】
なお、第1のプレート11の材質は、炭化ケイ素に限定されず、上述した表1の第1のプレートの材質中から適宜選択される。第1のプレート11の材質に、高熱伝達係数を有する材質や、高耐食性を有する材質、更には、高絶縁性を有する材質を用いることが可能である。また、第1のプレート11に、静電チャック機能(ESC機能)を持たせてもよい。第1のプレート11は、異材プレート接合体10の使用目的に合わせて、適宜選択することができる。
【0048】
また、第2のプレート12の材質も、形成された異材プレート接合体10の使用目的に合わせて、前記表1の第2のプレートの材質中から適宜選択される。但し、第1のプレート11と第2のプレート12との熱膨張係数の差が大きく異なるように、第2のプレート12の材質を選択するとよい。好適には、2つのプレートの熱膨張係数の差が5×10−6/℃以上であれば、本発明の効果がより顕著に発揮できる。
【0049】
また、第3のプレート13の材質も、アルミニウムには限定されず、上記表1の第3のプレートに示した材質中から、適宜選択される。また、上記表1柱の材質に限定されるわけではなく、例えばポリマーや樹脂等であってもよい。上記表1の第3のプレートに示した材質は、いずれもヤング率が150GPa以下であり、かつ融点が1500K以下の材質である。従って、第1のプレート11と第2のプレート12との間に、かかる材質から形成された第3のプレート13を挟んで金属ろう材15でろう付することで、第1のプレート11と第2のプレート12との熱膨張係数の差に起因する熱歪を、減少することができる。即ち、熱歪を、低ヤング率の第3のプレート13の内部応力として吸収し、吸収した内部応力を低融点の第3のプレート13の接合熱処理時の回復機構によって開放して減少させることができるからである。
【0050】
以上説明した構造を有する、本実施例1に係る異材プレート接合体(冷却板)10は、第1に、金属ろう材15を用いてろう付されるため、熱伝導率および機密性に優れる。従って、例えば、冷却板やヒータ等の部材として好適である。
【0051】
第2に、本実施例1に係る異材プレート接合体(冷却板)10は、使用温度枠が広い。樹脂系接着剤や低温半田に比して融点の高い金属ろう材でろう付するためである。この点でも、冷却板やヒータ等の部材として好適である。
【0052】
第3に、本実施例1に係る異材プレート接合体(冷却板)10は、低コストかつ安全性に優れる。第3のプレート13として、一般的な金属であるアルミニウムや銅を用い、一般的なろう付によって接合するためである。また、金属ろう材15も一般的なろう材であり、毒性を有するビスマス等を含まないため、低コストかつ安全性に優れる。
【0053】
第4に、本実施例1に係る異材プレート接合体(冷却板)10は、簡易にバキューム機能やガス系統の機能を持たせることができる。即ち、第3のプレート13の材質を、低ヤング率かつ低融点で、更にバキューム機能やガス系統の機能を有する材質で形成することで、かかる機能を実現できるためである。
【0054】
(実施例2)
本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法の、別の実施例について、図を基に説明する。本実施例2は、本発明に係る異材接合体を静電チャック装置に用いて実施例である。図3は、本発明の実施例2に係る静電チャック装置100の概略断面図である。本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法及びその方法によって製造された異材接合体は、静電チャック装置100の製造に用いることができる。
【0055】
図3に示すように、本実施例2に係る静電チャック装置100は、真空処理室102、真空処理室102外部に設けられた電源供給手段106および真空排気装置110を有し、真空処理室102と真空排気装置110は、ガス供給口112およびガス排気口114で接続される。かかる構成は、一般的な静電チャック装置と同様である。
【0056】
真空処理室102内部に、静電チャック部120が配設され、静電チャック部120は、真空処理室102外部に設けられた電源供給手段106と電源線108によって接続される。電源供給手段106からの電源の供給を受けて、静電チャック部120は吸着力を発生し、被吸着物を吸着する。
【0057】
静電チャック部120は、ESC機能(静電チャック機能)を有する第1のプレート11、冷却孔または加熱孔21を有する基材である第2のプレート12および第3のプレート13から構成される。図3には図示していないが、第1のプレート11は内部に電極を有し、前記電極が2つの絶縁層によって挟み込まれ、各電極に電源供給手段106の電源が供給され、吸着力を発生する。
【0058】
ここで、第1のプレート11、第3のプレート13および第2のプレート12は、本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法によって、ろう付されて形成される。本実施例2においては、第1のプレート11として、ESC機能を有するアルミナ(Al。熱膨張係数7.5×10−6/℃。)のセラミックスプレートを使用した。また、第2のプレート12として、予め内部に冷却孔または加熱工21が形成された、チタン(Ti。熱膨張係数8.9×10−6/℃。)からなるチタンプレートを使用した。更に第3のプレート13として、アルミニウム(Al。ヤング率76GPa、融点933K。)からなるアルミニウムプレートを使用した。
【0059】
第2のプレート12上に、シート状に形成したアルミニウム系金属ろう材15を配設し、更にその上に第3のプレート13を配設する。そして、更にシート状の金属ろう材15を配設して、その上に第1のプレート11を配設する。これを、加熱炉を用いて、約570〜590℃で加熱して金属ろう材15を溶融し、更に冷却して静電チャック部120を形成した。その上で、静電チャック部120を真空処理室102内に配設し、予め第1のプレート11内部に配設した複数の電極に、電力線108を介して電源供給手段106を接続した。更に、ガス供給口112およびガス排出口114を介して、真空処理室102に真空排気装置110を接続することで、本実施例2に係る静電チャック装置100を形成した。
【0060】
なお、上述した第1のプレート11、第3のプレート13および第2のプレート12の材質は一例であり、これに限定されるものではない。第1のプレート11の材質は、上述した表1の第1のプレートの材質中から適宜選択される。静電チャック100に適した高絶縁性を有し、更に高熱伝達率や高耐食性を有する材質が用いられる。また、第2のプレート12の材質も、前記表1の第2のプレートの材質中から適宜選択される。但し、第1のプレート11と第2のプレート12との熱膨張係数の差が大きく異なるように、より好適には熱膨張係数の差が5×10−6/℃以上であるように選択すれば、本発明の効果がより顕著に発揮できる。更に、第3のプレート13の材質も、上記表1の第3のプレートに示した材質中から適宜選択されるが、例えば、ポリマーや樹脂等表1中に記載されていないものであってもよい。第3のプレート13として、ヤング率が150GPa以下かつ融点が1500K以下の材質のプレートを用いれば、本発明による第1のプレート11と第2のプレート12との熱膨張係数が大きく異なることに起因する熱歪を減少する効果を奏することができる。
【0061】
以上に説明した製造方法によって製造された、本実施例2に係る静電チャック装置100は、金属ろう材15を用いてろう付された静電チャック部120を有する。従って、熱伝導率および機密性に優れる静電チャック装置100が提供される。
【0062】
また、本実施例2に係る静電チャック装置100は、樹脂系接着剤や低温半田に比して融点の高い金属ろう材でろう付するため、使用温度範囲が広い。
【0063】
更に、本実施例2に係る静電チャック装置100は、2つのプレートの熱膨張係数が大きく異なることに起因する熱歪を、一般的なアルミニウム等の材質で形成した第3のプレート13によって減少させる。この第3のプレート13は、一般的な金属で形成され、一般的で毒性のない金属ろう材でろう付される。従って、低コストかつ安全性に優れる静電チャック装置100が提供される。
【0064】
更にまた、本実施例2に係る静電チャック装置100は、第3のプレート13の材質を、低ヤング率かつ低融点で、更にバキューム機能やガス系統の機能を有する材質で形成することで、簡易に、バキューム機能やガス系統の機能を有する静電チャック装置100とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る異材接合体の製造方法を示す概略図であり、図1(A)は接合の過程を示し、図1(B)は接合後の状態を示す。
【図2】本発明の実施例1に係る異材プレート接合体の製造方法および該方法によって製造した異材プレート接合体を示す概略断面図であり、図2(A)は実施例1に係る異材プレート接合体の製造方法を示す概略断面図であり、図2(B)は前記方法によって製造された異材プレーと接合体の概略断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係る静電チャック装置100の概略断面図である。
【図4】特許文献2に示された3層の応力緩和層を有する異材接合体の製造方法を示す概略図であり、図4(A)は接合の過程を示し、図4(B)は接合後の状態を示す。
【符号の説明】
【0066】
1:第1の部材
2:第2の部材
3:第3の部材
5:金属ろう材
10:冷却板
11:第1のプレート(セラミックスプレート)
12:第2のプレート(冷却板基材)
13:第3のプレート(アルミニウムプレート)
15:アルミニウム系金属ろう材
21:冷却または加熱孔
100:静電チャック装置
102:真空処理室
106:電圧供給手段(電源)
108:電源線
110:真空排気装置
112:ガス供給口
114:ガス排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、前記第1の部材と熱膨張係数が異なる第2の部材との間に、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3の部材を、金属ろう材を介して配設してろう付接合することを特徴とする異材接合体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の部材と前記第2の部材との熱膨張係数の差は、5×10−6/℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項3】
前記第1の部材は、耐摩耗性、高熱伝導性、高耐食性および高絶縁性のいずれか一つ以上の性質を有することを特徴とする請求項2に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項4】
前記第1の部材は、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、窒化アルミニウム(AlN)、三酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化イットリウム(Y)、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)および炭素(C)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項5】
前記第2の部材は、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバールおよびインコネル(登録商標)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であることを特徴とする請求項4に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項6】
前記第3の部材は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成された部材であることを特徴とする請求項5に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項7】
前記金属ろう材は、アルミニウム系ろう材、銀ろう材、銅ろう材およびニッケルろう材のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の異材接合体の製造方法。
【請求項8】
第1のプレートと、
前記前記第1のプレートと熱膨張係数が5×10−6/℃以上異なる第2のプレートと、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配設され、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3のプレートとを有し、
前記第1のプレートと第3のプレートおよび前記第3のプレートと前記第2のプレートがそれぞれろう付接合されていることを特徴とする異材プレート接合体。
【請求項9】
前記第1のプレートは、耐摩耗性、高熱伝導性、高耐食性および高絶縁性のいずれか一つ以上の性質を有することを特徴とする請求項8に記載の異材プレート接合体。
【請求項10】
前記第1のプレートは、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、窒化アルミニウム(AlN)、三酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化イットリウム(Y)、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)および炭素(C)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異材プレート接合体。
【請求項11】
前記第2のプレートは、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバールおよびインコネル(登録商標)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであることを特徴とする請求項10に記載の異材プレート接合体。
【請求項12】
前記第3のプレートは、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであることを特徴とする請求項11に記載の異材プレート接合体。
【請求項13】
真空処理室と、
前記真空処理室を真空排気する真空排気装置と、
前記真空処理室内に配設され、被処理物を静電吸着する静電チャック部と、
前記静電チャック部に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記静電チャック部は、
高熱伝導率および高耐食性のいずれか一つ以上を有する上部絶縁層および下部絶縁層、並びに金属電極を有して前記上部絶縁層と前記下部絶縁層との間に配置される電極層を備えた第1のプレートと、
冷却または加熱構造を有し、前記前記第1のプレートと熱膨張係数が5×10−6/℃以上異なる第2のプレートと、
前記第1のプレートと前記第2のプテートとの間に配設され、ヤング率が150GPa以下でありかつ融点が1500K以下である第3のプレートとを有し、
前記第1のプレートと第3のプレートおよび前記第3のプレートと前記第2のプレートがそれぞれろう付接合されていることを特徴とする静電チャック装置。
【請求項14】
前記第1のプレートは、窒化アルミニウム(AlN)、三酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化イットリウム(Y)、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)および炭素(C)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであり、
前記第2のプレートは、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバールおよびインコネル(登録商標)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであり、
前記第3のプレートは、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)のいずれか一つまたはこれらの複合体によって形成されたプレートであることを特徴とする請求項13に記載の静電チャック装置。
【請求項15】
前記第3のプレートは、バキューム機能またはガス吸収機能の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項14に記載の静電チャック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−52015(P2010−52015A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220109(P2008−220109)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】