説明

異物検査除去装置及び異物検査除去プログラム

【課題】自動的に異物除去の有無を判断することによるユーザの作業負担の軽減及び判断誤差の排除、基板Wの破損防止並びに作業時間の長期化を防ぐ。
【解決手段】基板表面の付着異物の異物情報を取得する異物情報取得部3と、付着異物を除去する異物除去部4と、基板表面W1の各領域毎に設定された閾値と、異物情報取得部3により得られた各領域毎の異物情報とを比較する比較部54と、比較部54の比較結果に基づいて異物除去部4により前記基板表面W1の異物を除去させる異物除去制御部55と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ上に回路パターンを転写するためのレチクル等の基板表面上に付着した異物を検査して除去する異物検査除去装置及び異物検査除去プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板表面の異物を検査する異物検査装置としては、特許文献1に示すように、基板表面上に検査光を照射する照射光学系と、前記基板表面からの反射散乱光を検出する検出光学系と、当該検出光学系により得られた光強度信号に基づいて基板表面上の異物を有無を判断する情報処理装置と、を備えたものがある。
【0003】
そして従来、この異物検査装置の検査結果により基板表面上に異物があった場合には、一旦異物検査装置内から取り出し、エアガンなどを用いたユーザの手作業により異物を除去している。
【0004】
しかしながら、ユーザの手作業により基板表面に付着した異物を除去する際に、基板を破損してしまう恐れがあり、除去作業には熟練したスキルが必要になる。特に、基板がペリクル付きレチクルの場合には、ペリクルが破損しやすく、手作業による異物除去には細心の注意が必要となる。また、除去するか否かの判断をユーザが行うので、異物除去作業の要否確認が煩雑になるだけでなく、ユーザによって判断誤差があり、除去すべき異物を見落としてしまう可能性もある。
【0005】
一方で、異物検査装置側において、異物の有無を判断して異物を除去するものも考えられているが、基板内の各領域の種類に関わらず画一的に判断するものがある。
【0006】
しかしながら、精密な回路パターンが形成されている領域においては、小さい異物であっても除去する必要がある。一方、粗い回路パターンが形成されている領域又は回路パターンが形成されていない領域においては必ずしも小さい異物まで除去する必要がない。このように、基板表面の各領域毎に、除去すべき異物とそうでない異物とが決まることから、画一的に所定サイズの異物を検出した場合に異物除去を行うと、必ずしも除去する必要のない異物によって除去作業が進行してしまい、作業時間の長期化を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−10544号公報
【特許文献2】特開2006−300705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、自動的に異物除去の有無を判断することによるユーザの作業負担の軽減及び判断誤差の排除並びに作業時間の長期化を防ぐことをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る異物検査除去装置は、以下の(1)〜(4)を具備することを特徴とする。
(1)基板表面に付着した異物の異物情報を取得する異物情報取得部。
(2)前記付着した異物を除去する異物除去部。
(3)前記基板表面の各領域毎に設定された異物除去を行うための条件と、前記異物情報取得部により得られた各領域毎の異物情報とを比較する比較部。
(4)前記比較部の比較結果により前記異物情報が前記条件を満たす場合に、前記異物除去部により前記基板表面の異物を除去させる異物除去制御部。
【0010】
このようなものであれば、基板表面の各領域毎に条件を設けて、当該条件を満たす場合にのみ異物除去を行うというように、基板表面の各領域毎に異物除去を行うか否かを判断するので、不必要な異物除去作業を省略することができる。したがって、異物除去作業を含む基板の洗浄回数を減らすことができ、作業時間の長期化を防ぎ、ランニングコストを削減することができる。また、ユーザに異物の大きさ又は数等の異物情報を判断させることなく自動的に行うので、ユーザ毎の判断誤差を排除することができる。また、ユーザによる除去作業ではなく、機械により除去作業を行うので、ユーザの負担を軽減するとともに、基板の破損などの危険性を低減することができ、除去スキルを不要とすることができる。
【0011】
前記基板が半導体ウエハ上に回路パターンを転写するためのレチクル又はペリクルが装着されたレチクルであり、前記各領域が当該レチクルに形成された異なる回路パターン毎に設定されていることが望ましい。これならば、レチクルに形成された回路パターンのサイズによって許容される付着異物の大きさが異なるところ、上記発明による効果を一層顕著にすることができる。また、ペリクルが装着されたレチクルでは、ユーザによる洗浄によって、特に破損しやすいという問題があるが、装置側に異物除去作業を行わせることにより、ペリクルの破損を防止することができ、ペリクルの交換回数を減らすことができ、ランニングコストを大幅に削減することができる。さらに、回路パターン毎に付着異物が許容されるか否かを判断することにより、洗浄回数を削減することができ、レチクルに形成された回路パターンそのものの延命化に繋がり、これによってレチクルにかかるコストを低減することができる。
【0012】
また、本発明に係る異物検査除去プログラムは、基板表面に付着した異物の異物情報を取得する異物情報取得部と、前記付着した異物を除去する異物除去部と、を用いて基板表面上に付着した異物を検査して除去する異物検査除去プログラムであって、前記基板表面の各領域毎に設定された異物除去を行うための条件と、前記異物情報取得部により得られた各領域毎の異物情報とを比較する比較部と、前記比較部の比較結果により前記異物情報が前記条件を満たす場合に、前記異物除去部により前記基板表面の異物を除去させる異物除去制御部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、自動的に異物除去の有無を判断することによるユーザの作業負担の軽減及び判断誤差の排除、基板の破損防止並びに作業時間の長期化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る異物検査除去装置の全体構成図である。
【図2】同実施形態の異物情報取得部の構成を示す模式図である。
【図3】同実施形態の異物除去部の構成を示す模式図である。
【図4】同実施形態の情報処理装置の機能構成を示す図である。
【図5】レチクルの各領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る異物検査除去装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<装置構成>
本実施形態に係る異物検査除去装置100は、例えば半導体ウエハ上に回路パターンを転写するためのレチクルに保護膜であるペリクルを装着してなる基板Wの表面W1に付着した異物の検査及び除去を行うものであり、図1に示すように、架台2と、基板表面W1の異物情報を取得する異物情報取得部3と、基板表面W1に付着した異物を除去する異物除去部4と、異物情報取得部3からの出力信号を取得して、基板表面W1の異物情報を算出するとともに、当該異物情報に基づいて異物除去部4を制御する情報処理装置5と、を備えている。そして、この異物検査除去装置は、1つの架台2内に異物情報取得部3及び異物除去部4を収容してミニエンバイロメント構造としている。
【0017】
異物情報取得部3は、基板表面W1上に付着した異物の有無、大きさ及びその位置等の異物情報を取得するための光散乱式のものであり、図2に示すように、移動ステージ6に載せた基板Wの表面W1に検査光を走査しながら照射する光照射部31と、検査光が照射された基板表面からの反射散乱光を検出する光検出部32と、を備えている。
【0018】
移動ステージ6は、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能なものであり、検査中はY方向に一定速度で移動するように、後述する情報処理装置5の異物検査制御部51によって制御される。そして、その上面に基板であるペリクル付きレチクルWなどが水平に載置されるものである。なお、移動ステージ6は、異物除去中においてはX方向及びY方向に一定速度で移動するように、後述する情報処理装置5の異物除去制御部55によって制御される。
【0019】
光照射部31は、移動ステージ6に載置されたレチクルWに検査光を走査しながら照射するものであり、レーザ光を発する光源31aと、レーザ光をX方向にスキャニングする走査ミラ31bと、集光光学系31cとを備え、光源31aからのレーザ光を検査対象物の所定角度斜め上方から、X方向(図2中紙面に垂直な方向)に直線的に往復走査しながら照射するように構成されている。本実施形態では、光源31aとしてHeNeレーザなどのレーザ管を用いている。また、走査ミラ31bは後述する情報処理装置5の異物検査制御部51によって制御されている。
【0020】
光検出部32は、基板表面W1からの反射散乱光を検出するものであり、本実施形態では2つの光検出部32が、検査対象物Wの斜め上方に図示しない保持部材によって配置されており、それぞれ集光レンズ、反射散乱光に対する入射光制限用スリットを有する固定スリット板(いずれも不図示)及び光検出器32a(例えば光電子増倍管)などからなる。また、光検出部32は、信号処理器32bを備えている。
【0021】
異物除去部4は、基板表面W1に付着した異物をガス(空気、不活性ガス、液滴(ミスト)混じりのガス等)を吹き付けることにより除去するものであり、図3に示すように、送風機41からの空気を外部に吐き出す吹出口と、外部からの空気を吸引機43によって吸い込む吸込口とが形成されたノズル42を備えている。ノズル42及び送風機41並びにノズル42及び吸引機43は、それぞれ可撓性を有する配管44により接続され、送風機41及び吸引機43は架台2外に設けられている。また、ノズル42は、移動機構7により基板表面W1に対向して移動可能に設けられている。
【0022】
移動機構7は、前記ノズル42をノズル42から吹き出されるガスが基板表面W1に対して垂直に当たるように保持するとともに、異物検査された基板Wの種類又は領域(回路パターン等毎に設定される。)に応じて、ノズル42の吹出口と基板表面W1との距離を一定にするものである。より詳細には、移動機構7は、基板Wのサイズ等の規格毎及び/又はペリクルの有無に対応した高さ位置に段階的にノズル42を移動させて、ノズル42の吹出口と基板表面W1との距離を一定になるようにしている。具体的な構成は、基板表面W1に対して垂直(つまりZ方向)に延設されたレール部材71と、当該レール部材71をスライド移動するとともに、ノズル42が固定される固定部材72と、レール部材71に対して固定部材72を移動させるステッピングモータ又はサーボモータ等のアクチュエータを有する駆動部(不図示)とを備えている。そして、駆動部は、後述する情報処理装置5の異物除去制御部55によって制御されている。
【0023】
情報処理装置5は、移動ステージ6及び光照射部31を制御し、光検出部32からの光強度信号を受信して基板表面W1内の異物情報を算出するとともに、これによって得られた異物情報に基づいて移動ステージ6、送風機41及び移動機構7を制御する。その機器構成はCPU、内部メモリ、外部メモリ、入出力インタフェース、AD変換器等からなる汎用又は専用のコンピュータであり、前記内部メモリ又は外部メモリの所定領域に格納してあるプログラムに基づいてCPUやその周辺機器等が作動することにより、図4に示すように、異物検査制御部51、照射位置算出部52、異物算出部53、条件データ格納部D1、比較部54、異物除去制御部55、画面表示部56等として機能する。
【0024】
異物検査制御部51は、移動ステージ6をY方向に一定速度で移動するように制御し、走査ミラ31bの振り角を制御するものであり、それらの制御信号を移動ステージ6及び走査ミラ31bに出力するとともに照射位置算出部52に出力するものである。
【0025】
照射位置算出部52は、異物検査制御部51から取得した制御信号から、移動ステージ6のY方向位置、走査ミラ31bの振り角から基板表面内での光照射位置を算出し、光照射位置のデータである照射位置データを異物算出部53に出力するものである。
【0026】
異物算出部53は、検査光を照射したときの光強度信号及びその照射位置データを受け付け、基板表面W1の異物情報を算出するものである。異物情報としては、基板表面W1上の異物の有無、当該異物の大きさ、位置の他、表面W1全体及び/又は各領域における異物数、異物密度(異物数/面積(各領域の面積又は単位面積)、個数×大きさ/面積(各領域の面積又は単位面積))等である。そして、当該算出結果である異物情報を示す異物情報データを画面表示部56に出力するとともに、比較部54に出力するものである。
【0027】
条件データ格納部D1は、基板表面W1の各領域における異物除去を行うための条件を示す条件データを格納している。本実施形態の条件データ格納部D1は、異物除去を行うための閾値を示す閾値データを格納している。ここで異物除去を行うための閾値とは、図5に示すように、レチクルに形成された回路パターン又はその緻密度(サイズ)によって区画される少なくとも2つ以上の領域毎に設定されており、本実施形態では、当該領域において付着が許容される異物の大きさである。この異物の大きさは、例えば異物の面積、最大長さ等とすることができる。例えば、回路パターンの細かい領域(図5中(a)(d))では、許容される異物の大きさ(閾値)は小さく設定され、回路パターンの粗い領域(図5中(b)(c)(e))では、異物の大きさ(閾値)は大きく設定される。なお、前記領域は、回路パターン等によって装置側で自動的に設定するようにしても良いし、ユーザが任意に設定するようにして良い。また、基板表面W1の各領域及び当該領域毎の閾値は、予めユーザにより設定されて、それらのデータが閾値データ格納部に記憶される。
【0028】
比較部54は、各領域毎に異物情報と閾値とを比較するものであり、異物算出部53から異物情報データを受け付けるとともに、閾値データ格納部D1から閾値データを取得して、異物情報が示す各領域毎の異物の大きさと、当該領域毎に設定された閾値とを比較する。そして、比較部54は、その比較結果を示す比較結果データを異物除去制御部55に出力する。また、画面表示部56が比較結果を表示する場合には、比較結果データを画面表示部56に出力する。
【0029】
異物除去制御部55は、前記比較部54から受信した比較結果に基づいて、送風機41、移動機構7及び移動ステージ6を制御するものである。具体的に異物除去制御部55は、比較結果により、所定領域に付着した異物が、当該所定領域に設定された閾値を超えている場合(閾値よりも大きい場合)には、当該所定領域に付着した異物を除去するために、移動ステージ6を制御して、ノズル42を所定領域に移動させる。
【0030】
また、異物除去制御部55は、移動機構7を制御して、予め入力された基板Wの種類に応じて、基板表面W1とノズル42の吹出口との距離を、異物除去性能を発揮する所定の距離にする。そして、送風機41により空気をノズル42の吹出口から所定領域に吹き付けることによって付着した異物を除去し、吸引機43によりノズル42の吸引口から除去された異物を吸引する。このとき、異物除去制御部55は、ノズル42を走査させながら空気を基板表面W1に連続的に吹き付ける。また、異物除去制御部55は、送風機41及び吸引機43を制御して、ノズル42の吹出口から吹き出される空気の流量を調整するとともに、ノズル42の吸引口から吸引される空気の流量を調整する。これによって、種々の基板Wに対して、最適な吹出及び吸引を行うことができる。
【0031】
画面表示部56は、異物算出部53からの算出結果データを受信し、算出結果を画面上に表示するものである。また、画面表示部56は、比較部54からの比較結果データを受信し、比較の結果、閾値を超えた異物のみを画面上に表示することもできる。
【0032】
次に本実施形態の異物検査除去装置100の動作について説明する。
まず露光に使用するペリクル付きレチクル(基板W)を異物検査除去装置100の架台2内に収容された移動ステージ6上に載置する。
【0033】
その後、異物検査制御部51により移動ステージ6及び光照射部31を制御することにより、検査光を走査させる。このとき得られた反射散乱光により、異物算出部53が基板表面W1の異物情報を算出する。これによって得られた異物情報データ及び閾値データを比較部54が取得して、異物情報に含まれる異物の大きさと閾値とを各領域毎に比較する。そして、異物除去制御部55が、異物を除去する必要があるか否かを各領域毎に判断する。
【0034】
異物除去制御部55は、比較結果により、異物サイズが閾値よりも大きい場合に、送風機41、移動ステージ6及び移動機構7を制御することによって、閾値を超えた異物が付着した領域に空気を吹き付けることによって、当該異物を除去する。
【0035】
その後、異物除去が確実にできたか否かを判断するために、異物検査制御部51が移動ステージ6及び光照射部31を制御することによって、再度異物検査を行う。
【0036】
なお、異物除去の信頼性を高めるために上記工程を複数回繰り返すことが望ましい。また、繰り返す回数としては、基板Wの種類によって設定可能である。このとき、繰り返す回数を基板Wの種類毎に予め決めておき、その繰り返しデータをメモリに格納しておき、自動的に判断して繰り返すようにしても良い。
【0037】
上記の異物検査除去工程は、ペリクル付きレチクル(基板W)を用いた露光工程終了後、当該基板Wを収納する基板収納ケースに収納する前に行うことが好ましい。これならば、基板表面W1に付着した異物は時間の経過とともに除去しにくくなるところ、露光工程終了直後に異物除去することにより、異物除去を容易に行うことができる。
【0038】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る異物検査除去装置100によれば、基板表面W1の各領域毎に閾値を設けて、当該閾値を超えた場合にのみ異物除去を行うというように、基板表面W1の各領域毎に異物除去を行うか否かを判断するので、不必要な異物除去作業を省略することができる。したがって、異物除去作業を含む基板Wの洗浄回数を減らすことができ、作業時間の長期化を防ぎ、ランニングコストを削減することができる。また、ユーザに異物の大きさを判断させることなく自動的に行うので、ユーザ毎の判断誤差を排除することができる。また、ユーザによる除去作業ではなく、機械により除去作業を行うので、ユーザの負担を軽減するとともに、基板Wの破損などの危険性を低減することができ、除去スキルを不要とすることができる。
【0039】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、表面情報取得部としては、光散乱方式の異物検査装置のほかに、顕微鏡を用いて表面画像を取得するものであってもよい。
【0041】
また、前記実施形態の基板は、ペリクルが装着されたレチクルであったが、レチクル単体であっても良いし、その他、半導体基板、ガラス基板など各種基板の異物検査除去を行うものであっても良い。
【0042】
さらに、前記実施形態では、異物情報取得部及び異物除去部を1つの情報処理装置により制御しているが、異物情報取得部及び異物除去部それぞれに専用の情報処理装置を設け、それら情報処理装置間で信号の送受信を行うようにして良い。
【0043】
その上、前記実施形態の異物除去部の基板に対するXYZ方向の相対移動は、移動ステージ及び移動機構により行っているが、移動機構のみにより行っても良い。この場合、移動機構は、ノズルをX方向、Y方向及びZ方向にそれぞれ移動させるX方向移動機構、Y方向移動機構及びZ方向移動機構を備えるものである。また、上記ノズルの相対移動は、移動ステージのみによって行うことができることは言うまでもない。このとき、ノズルの移動機構は不要とすることができる。
【0044】
加えて、前記実施形態では異物の大きさを閾値としているが、その他、各領域に含まれる異物数、異物密度等の最大値を閾値としても良い。また、異物の大きさ、異物数又は異物密度等の少なくとも2つ以上を組み合わせて閾値としても良い。
【0045】
異物除去を行うための条件として閾値を設定し、当該閾値よりも大きい場合に異物除去を行うようにしているが、その他、異物の形状を条件としても良いし、異物の大きさ等の範囲を条件としても良い。異物の形状を条件とする場合には、例えば異物のアスペクト比(長辺/短辺)における所定値を閾値として、当該閾値よりも大きい異物であれば異物除去を行うようにしても良い。このように、アスペクト比に閾値を設けることによって、例えば糸などの除去し易い異物を重点的に除去することができる。
【0046】
さらに加えて、前記実施形態では、異物情報取得部及び異物除去部が基板の一方面(上面)側にのみ設けられ、基板の一方面(上面)のみの異物検査及び異物除去を行うものであったが、異物情報取得部及び異物除去部を基板の両面側双方に設けて、基板の一方面(上面)及び他方面(下面)の両方の異物検査及び異物除去を行うように構成しても良い。
【0047】
また、異物情報取得部が異物情報を取得する領域を設定する取得領域設定部をさらに備え、異物情報取得部が、当該取得領域設定部により設定された領域のみの異物情報を取得し、比較部によって比較するようにしても良い。また、比較部が比較する領域を設定する比較領域設定部をさらに備え、比較部が、当該比較領域設定部により設定された領域のみを比較するようにしても良い。取得領域設定部又は比較領域設定部が設定する領域は、例えば異物が付着しやすい領域又は回路パターンの細かい領域等が考えられる。なお、設定にあたっては、装置側で自動的に設定するようにしても良いし、ユーザが任意に設定するようにしても良い。このように一部の異物検査を行う場合であっても、異物除去は基板表面全体の異物除去を行うようにする。これによって、異物検査の時間を短縮することができる。
【0048】
前記実施形態の異物除去部は、基板表面にガスを吹き付けることによって異物除去を行うものであったが、例えば先端が先鋭化された針を用いて基板表面上に付着した異物を除去するものであっても良い。
【0049】
また、前記実施形態の異物除去制御部は、基板の種類に関わらず、基板表面とノズルの吹出口との距離を一定にするものであったが、基板の種類に応じて、基板表面とノズルの吹出口との距離を可変にするものであっても良い。
【0050】
さらに、前記実施形態では、異物検査除去装置として異物情報取得部及び異物除去部を一体に有するものであったが、異物情報取得部と異物除去部を別々に設け、搬送機構によって異物情報取得部及び異物除去部間で基板を搬送させる等して組み合わせることによって異物検査除去を行うようにしても良い。
【0051】
前記実施形態では、異物除去が確実にできたか否かを判断するために、異物情報取得部によって再度異物検査を行うものであったが、再度異物検査を行わないものであっても良い。
【0052】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100・・・異物検査除去装置
W ・・・基板(ペリクル付きレチクル)
W1 ・・・基板表面
2 ・・・架台
3 ・・・異物情報取得部
4 ・・・異物除去部
5 ・・・情報処理装置
54 ・・・比較部
55 ・・・異物除去制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に付着した異物の異物情報を取得する異物情報取得部と、
前記付着した異物を除去する異物除去部と、
前記基板表面の各領域毎に設定された異物除去を行うための条件と、前記異物情報取得部により得られた各領域毎の異物情報とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果により前記異物情報が前記条件を満たす場合に、前記異物除去部により前記基板表面の異物を除去させる異物除去制御部と、を具備する異物検査除去装置。
【請求項2】
前記基板が半導体ウエハ上に回路パターンを転写するためのレチクル又はペリクルが装着されたレチクルであり、前記各領域が当該レチクルに形成された異なる回路パターン毎に設定されている請求項1記載の異物検査除去装置。
【請求項3】
基板表面に付着した異物の異物情報を取得する異物情報取得部と、前記付着した異物を除去する異物除去部と、を用いて基板表面上に付着した異物を検査して除去する異物検査除去プログラムであって、
前記基板表面の各領域毎に設定された異物除去を行うための条件と、前記異物情報取得部により得られた各領域毎の異物情報とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果により前記異物情報が前記条件を満たす場合に、前記異物除去部により前記基板表面の異物を除去させる異物除去制御部と、としての機能をコンピュータに発揮させる異物検査除去プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−210527(P2010−210527A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58765(P2009−58765)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】