説明

疎水性基で官能基化された分岐鎖ポリアミノ酸、及びその応用、特に治療への応用

本発明は、特に、1つ以上の活性成分(AP)のベクター化に有用な、生分解性分岐鎖ポリアミノ酸に基づく新規な物質に関する。本発明はさらに、これらのポリアミノ酸に基づく新規な医薬用、化粧品用、食品用、又は植物衛生用組成物に関する。本発明の目的は、APのベクター化に用いることができ、好ましくは、この場合に要求される全ての特徴、すなわち生体適合性、生分解性、多くの活性成分と容易に会合し、又は溶解する能力、これらの活性成分を生体内で放出する能力、を満足することの可能な新規なポリマー開始物質を提供することである。この目的は、本発明により解決されるが、本発明は、まず第1に、アスパラギン酸単位又はグルタミン酸単位を含み、8〜30個の炭素原子を含む疎水性基を有する分岐鎖状ポリアミノ酸に関連する。この分岐鎖状ポリアミノ酸は両親媒性であり、容易かつ安価に、活性成分のベクター化のための粒子に変換される。これらの粒子は、自ら安定な水性コロイド状懸濁液を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、1つ以上の活性成分(Active Principles:AP)のベクター化(vectorization)に有用な、生分解性ポリアミノ酸に基づく新規な物質に関する。
本発明はさらに、これらのポリアミノ酸に基づく新規な医薬用、化粧品用、食品用、又は植物衛生用組成物に関する。これらの組成物は、APのベクター化を可能にするタイプのものであってよく、好ましくは、エマルジョン、ミセル、粒子、ゲル、インプラント、又はフィルムの形態を取ることができる。
前記APは、有利には、動物又はヒトに対して、経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、大脳内、口腔、又は他の経路で投与することができる生理活性化合物である。
本発明に関連するAPは、より具体的には、タンパク質、糖タンパク、ペプチド、多糖、リポ多糖、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、及び有機分子であるが、これらに制限されない。しかし、それらは、化粧品、又は除草剤、殺虫剤、殺菌剤等の植物衛生用品であってもよい。
【背景技術】
【0002】
活性成分、特に薬理活性成分のベクター化の分野において、多くの場合に:
・それらが作用部位に到達するまで、劣化(加水分解、当該部位への沈着、酵素による消化等)から保護され、
・及び/又は、一定期間に亘って治療レベルを維持できるように放出速度を制御し、
・及び/又は、それらを(保護した状態で)作用部位まで輸送する必要がある。
【0003】
こうした目的のために、数種類のポリマーについて検討がなされ、そのうち幾つかは市販されている。言及できる例としては、ポリ乳酸、ポリ乳酸−グリコール酸、ポリオキシエチレン−オキシプロピレン、ポリアミノ酸、又は多糖等のタイプのポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、塊状インプラント(mass implant)、微粒子、ナノ粒子、ベシクル、ミセル、又はゲル等の製造のための出発物質の構成成分である。これらのポリマーは、上記のシステムの製造に好適である必要があるという事実に加え、生体適合性を有し、無毒であり、非免疫原性であり、安価でなければならず、体内から容易に除去され、及び/又は生分解性でなければならない。最後の点に関しては、生体内での生分解生成物が無毒であることがさらに重要である。
【0004】
会合性ポリマーの開発において他の重要な点は、水溶性である。大量のポリマーを溶解することが可能であれば、所望の放出プロファイルが得られるようにポリマー/活性成分の比を調整することができる。
【0005】
以下、種々の特許公報、特許出願公開公報、又は科学論文を参照して、APのベクター化システムの製造における出発物質として用いられているポリマーに関する従来技術を説明する。
【0006】
米国特許第4,652,441号明細書には、ホルモンLH−RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)を封入したポリ乳酸マイクロカプセルが記載されている。マイクロカプセルは、水/油/水型のエマルジョンを調製することにより製造され、ホルモン、及びホルモンを固定化する物質(ゼラチン)を含む内部水層、油性のポリ乳酸層、及び外部水層(ポリビニルアルコール)を有している。APは、皮下注射後2週間以上の期間に亘って放出され得る。
【0007】
米国特許第6,153,193号明細書には、両親媒性ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ミセルに基づく、アドリアマイシン等の抗癌剤をベクター化するための組成物が記載されている。
【0008】
Akiyoshiら(J.Controlled Release 1998,54,313−320)は、コレステロールのグラフト基により疎水化され、水中でナノ粒子を形成するプルランについて記載している。これらのナノ粒子は、インスリンと可逆的に錯形成することができ、安定なコロイド状の懸濁液を形成する。
【0009】
米国特許第4,351,337号明細書には、活性成分の放出制御のためのインプラント又は微粒子として用いることができるロイシン及びグルタミン酸塩に基づく両親媒性アミノ酸共重合体が記載されている。活性成分は、ポリマーの分解速度に応じて非常に長期間に亘って放出され得る。
【0010】
米国特許第4,888,398号明細書には、ポリグルタミン酸塩又はポリアスパラギン酸塩、及び適宜ポリロイシンに基づき、アルコキシカルボニルメチル型のペンダント基がポリアミノ酸鎖中にランダムに位置するポリマーが記載されている。メトキシカルボニルメチル基等の側鎖官能基がグラフト化したこれらのポリアミノ酸は、APを含む長期放出型生分解性インプラントとして用いることができる。
【0011】
米国特許第5,904,936号明細書は、ポリロイシン−ポリグルタミン酸塩ブロックポリマーから得られ、安定なコロイド状懸濁液を生成し、生理活性タンパク質を変性させることなく自発的に会合することができるナノ粒子が記載されている。生理活性タンパク質は、生体内で制御された形で放出され得る。
【0012】
米国特許第5,449,513号明細書には、ポリオキシエチレンブロック、及び、例えば、ポリ(L−アスパラギン酸β−ベンジル)等のポリアミノ酸ブロックを有する両親媒性ブロック共重合体が記載されている。これらのポリオキシエチレン−ポリアスパラギン酸ベンジルポリマーは、アドリアマイシン又はインドメタシン等の疎水性の活性分子をカプセル化することができるミセルを形成する。
【0013】
国際公開第99/61512号パンフレットには、疎水性基(ポリリジン又はポリオルニチンに結合したパルミチン酸)及び親水性基(ポリオキシエチレン)で官能基化したポリリジン及びポリオルニチンが記載されている。コレステロールの存在下で、これらのポリマー、例えば、ポリオキシエチレン及びパルミトイル鎖でグラフト化されたポリリジンは、ドキソルビシン又はDNAをカプセル化することができるベシクルを形成する。これらのポリリジンに基づくポリマーは、生理的溶液中でカチオン性を示す。
【0014】
本出願人に付与された米国特許第6,630,171号明細書には、安定なコロイド状懸濁液を生成し、生理活性タンパク質を変性させることなく自発的に会合することができるポリ(グルタミン酸ナトリウム)−ポリ(グルタミン酸メチル、エチル、ヘキサデシル、又はドデシル)ブロック又はランダム共重合体が記載されている。生理活性タンパク質は、長期間に亘って制御された形で放出され得る。これらの、両親媒性の直鎖アミノ酸共重合体は、疎水性のアルキル側鎖により修飾されている。これらのアルキル基は、エステル基を介する共有結合によりポリマー上にグラフト化されている。これらのポリマーは、生理的溶液中でアニオン性を示す。
【0015】
同じ分野において、本出願人は、関連するデザインを有するポリグルタミン酸塩に基づくポリマーについて、いくつかの特許公開公報に記載している。
【0016】
国際公開第03/104303号パンフレットには、α−トコフェロールで官能基化したアニオン性ポリアミノ酸が記載されている。国際公開第04/013206号パンフレットには、疎水性基を有し、これらの基が、2つのアミド基を有するスペーサーを介して、より詳細には、リジン又はオルニチン型のスペーサーを介してポリマーに結合していることを特徴とするアニオン性ポリアミノ酸について記載されている。
【0017】
未公開の特許出願PCT/FR03/03458号明細書には、ロイシン及び/又はイソロイシン及び/又はバリン及び/又はフェニルアラニンに基づく少なくとも1つのオリゴアミノ酸で官能基化されたポリアミノ酸が記載されている。
【0018】
国際公開第87/03891号パンフレットには、少なくとも2つの疎水性基が末端にのみ結合した両親媒性の直鎖、分岐鎖、又は星型のポリマーが記載されている。本特許出願は、全実施例から明らかなように、本質的に、ポリエチレングリコールに基づく中性で親水性のポリマーに関するものである。ここで、このタイプのポリマーは生分解性を有しておらず、そのことは大きな欠点となっている。
【特許文献1】米国特許第4,652,441号明細書
【特許文献2】米国特許第6,153,193号明細書
【特許文献3】米国特許第4,351,337号明細書
【特許文献4】米国特許第4,888,398号明細書
【特許文献5】米国特許第5,904,936号明細書
【特許文献6】米国特許第5,449,513号明細書
【特許文献7】国際公開第99/61512号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6,630,171号明細書
【特許文献9】国際公開第03/104303号パンフレット
【特許文献10】国際公開第04/013206号パンフレット
【特許文献11】国際公開第87/03891号パンフレット
【非特許文献1】J.Controlled Release 1998,54,313−320
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このように、従来技術において、医薬活性成分のベクター化について開発及び提案された非常に多くの技術的解決策があるが、全ての要求に応えることは困難であり、未だ満足できる状況にはない。より具体的には、活性成分をベクター化するための粒子を製造するのに用いられる生分解性材料に対する、満足されていない要求を特定することは可能であり、そのような材料は、活性成分と可逆的に会合するのに好適なベクター化ナノ粒子又は微粒子の安定な水系懸濁液を形成することができる必要があり、所望の改善点の1つが、できるだけ高いポリマー/活性成分比を有していることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題に鑑み、本発明の主な目的の1つは、下記の特許公報又は特許出願公報、米国特許第6,630,171号明細書、国際公開第03/104303号パンフレット、国際公開第04/013206号パンフレット、及びPCT/FR03/03458号明細書(未公開)に記載されたものに対して、特に、治療用のタンパク質等の活性成分の製剤化という点において改善された、動物体内の生理的pH(例えば、7.4程度)でアニオン性の新規な両親媒性分岐鎖ポリアミノ酸を提供することである。
【0021】
本発明の他の主な目的は、これらのポリマーがAPのベクター化に用いることができ、仕様書中の全ての仕様、すなわち、具体的には下記の仕様を最適に満たす点にある。
○下記の能力:
■水系コロイド性懸濁液を容易かつ安価に形成し、
■多くの活性成分と容易に会合し、
■これらの活性成分を生体内で放出する
○生体適合性
○生分解性
○加水分解に対する安定性
【0022】
本目的及び他の目的は本発明により達成される。本発明はまず第1に、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位を含み、それらのいくつかは、1つ以上の疎水性基(GH)(互いに同一であっても異なっていてもよい)を有するポリアミノ酸であって、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位を含み、かつ、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位を含む1つ以上のポリアミノ酸分岐鎖B(互いに同一であっても異なっていてもよい)を有する少なくとも1本の主鎖(Cp)を有することを特徴とするポリアミノ酸に関する。
【0023】
本発明の分岐鎖ポリアミノ酸の特に好ましい特徴の1つによれば、疎水性グラフト基は、
→(I)主鎖Cpのみ、
→(II)主鎖Cp及び分岐鎖B、
→(III)あるいは、分岐鎖Bのみ、
に結合している。
【0024】
分岐構造全体にランダムに分布した互いに同一あるいは異なるGHが結合した両親媒性分岐鎖ポリアミノ酸を開発したのは、本出願人である。
【0025】
上記のポリアミノ酸は、ホモポリマー(ポリ[Glu]又はポリ[Asp])であってもよく、共重合体(ポリ[Glu]−ポリ[Asp])であってもよい。
【0026】
本発明の分岐鎖ポリアミノ酸の好ましい3つのファミリー(I)、(II)、及び(III)は、下記の概略構造式を用いて表すことができる。

【0027】
3つのファミリー(I)、(II)、及び(III)の構造においては、疎水性基がグラフト化する位置が異なっている。
・構造(I)においては、グラフト基は、分子鎖Cp(分子骨格)上にのみランダムに位置しており、
・構造(II)においては、グラフト基は、分子鎖Cp(分子骨格)上、及び分岐鎖B上にランダムに位置しており、
・構造(III)においては、グラフト基は、分岐鎖B上にのみランダムに位置している。
【0028】
好ましいファミリー(I)、(II)、及び(III)を得るための、賢明かつ有利な方法により、特定の生分解性分岐鎖ポリアミノ酸(好ましくはホモポリアミノ酸)(例えば、ポリ[Asp]又はポリ[Glu])を疎水性基GHと結合させるというアイディアは、本出願人によるものである。
【0029】
これらの新規な両親媒性分岐鎖ポリマーは、特にタンパク質のベクター化に適していることが実証されている。
【0030】
本発明において定義されているように:
・「ポリアミノ酸(polyamino acid)」という用語は、一方では、1種類の「アミノ酸」単位(例えば、Glu(グルタミン酸若しくはグルタミン酸塩)単位又はAsp(アスパラギン酸若しくはアスパラギン酸塩)単位)を有するPAA、又はアミノ酸共重合体(Glu及びAspアミノ酸単位を、ランダム、傾斜、又はブロック型の集積度で含む)を包含し、他方では、2〜20個の「アミノ酸」単位を含むオリゴアミノ酸、及び20個を上回る「アミノ酸」単位を含むポリアミノ酸を包含し、
・「アミノ酸単位(amino acid unit)」という用語は、置換基が何であるかに関わりなく、それらが上記アミノ酸の性質を改変しない限り、あるアミノ酸の骨格を形成する単量体、又は非単量体の単位に関連する。
【0031】
これらのポリマーは、流動性、会合、及び/又は、1つ以上の活性成分のカプセル化に関して、類似の化合物と比べて驚くべき性質を有している。
さらに、それらのポリアミノ酸は、酵素の存在下で容易に分解し、無毒な異化生成物/代謝生成物(アミノ酸)を生じる。
【0032】
本発明及び本明細書の全体を通して定義されているように、1つ以上の活性成分とホモポリアミノ酸との関係を定性的に表すために用いられる「会合(association)」又は「会合する(associate)」という用語は、具体的には、(1つ又は複数の)活性成分が、例えば、イオン結合及び/又は疎水性相互作用等の弱い結合により、(1つ又は複数の)ホモポリアミノ酸と結合し、及び/又はホモポリアミノ酸によりカプセル化されていることを表す。
【0033】
有利には、少なくとも1つの疎水性基GHは、少なくとも1つのスペーサーを有する疎水性グラフト基に含まれ、そのため、疎水性基GHは、ポリアミノ酸の分子鎖(ポリアミノ酸の主鎖(分子骨格)等)に結合することができる。このスペーサーには、例えば、少なくとも1つの直接共有結合、及び/又は少なくとも1つのアミド結合基、及び/又は少なくとも1つのエステル結合基が含まれていてもよい。例えば、スペーサーは、ポリアミノ酸の構成成分であるモノマー単位に由来する他の「アミノ酸」単位、アミノアルコール誘導体、ジアミン誘導体、ジオール誘導体、及びヒドロキシ酸誘導体を含む群に属するタイプのものであってもよい。
【0034】
ポリアミノ酸鎖上へのGHのグラフト化は、ポリアミノ酸鎖に結合することができるGHの前駆体を用いることにより行ってもよい。
【0035】
実際に、制限されることなく、GHの前駆体は、アルコール及びアミンを含む群から選択され、これらの化合物は、当業者により容易に官能基化され得る。GHのグラフト化については、本発明のポリアミノ酸を得るための方法の説明において、以下詳細に説明される。
1つの好ましい特徴によると、疎水性グラフト基の疎水性基GHは、8〜30個の炭素原子を有する。
【0036】
これらの疎水性基GHは、下記の群:
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖又は分岐鎖状のC8〜C30アルキル基、
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよいC8〜C30アルキルアリール基又はアリールアルキル基、
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよいC8〜C30(多)環式基、
から有利にかつ思慮深く選択される。
【0037】
本発明の1つの好ましい特徴によると、少なくとも1つの疎水性グラフト基、好ましくは該グラフト基の疎水性基GHは、少なくとも1つの負電荷、及び/又は少なくとも1つの負電荷を生じることができる1つ以上の互いに同一又は異なるイオン性基を有する。
【0038】
有利には、GHによって疎水性基の全て又は一部にアニオン性又はアニオン化可能な特性が付与される。要するに、疎水性グラフト基の疎水性基GHは、少なくとも1つの負電荷、及び/又は少なくとも1つの負電荷を生じることができる少なくとも1つのイオン性基を有する。
【0039】
好ましくは、少なくとも1つの負電荷を生じることができるGHのイオン性基は、カルボキシル/カルボン酸基、スルホニル/スルホン酸基、硫酸/硫酸塩基、及びリン酸/リン酸塩基を含む群より選択される。
【0040】
それらの基がイオン化基又はイオン性基でない場合、疎水性基GHは、例えば、オクタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オレイルアルコール、トコフェロール、コレステロール、及びリトコール酸を含む群より選択される基から誘導されるものであってもよい。
【0041】
好ましくは、本発明の(ホモ)ポリアミノ酸は、α−L−グルタミン酸塩及び/又はα−L−グルタミン酸単位、あるいはα−L−アスパラギン酸塩及び/又はα−L−アスパラギン酸単位を含むホモオリゴマー又はホモポリマーである。
【0042】
特に好ましくは、本発明のポリアミノ酸は、下記一般式(I)、(II)、及び(III)で表されるポリグルタミン酸である。
【0043】
【化1】

【化2】

【化3】

式中:
■Aは、独立して−CH−(アスパラギン酸単位)又は−CH−CH−(グルタミン酸単位)であり;
■Rは、H、直鎖状C2〜C10アシル基、若しくは分岐鎖状C3〜C10アシル基、又はピログルタミン酸であり;
■E、E’は、独立して:
・OR(Rは下記のように定義される)、
・NHR基(式中、Rは、直鎖状C2〜C10アルキル基、若しくは分岐鎖状C3〜C10アルキル基、又はベンジル基である);又は、
・末端アミノ酸単位(窒素により結合し、カルボン酸基は、NHR及びORで定義されるアミン又はアルコールにより適宜修飾されている)、
のいずれかであり;
■Rは、H、又は好ましくは下記を含む群から選択されるカチオン種であり;
・有利には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムを含むサブグループより選択される金属カチオン、
・有利には、下記を含むサブグループから選択される有機カチオン、
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(ポリエチレンイミンが特に好ましい)に基づくカチオン、及び
・有利には、リジン又はアルギニンに基づくカチオンを含む属から選択される1つ以上のアミノ酸に基づくカチオン、及び
・有利には、ポリリジン及びオリゴリジンを含むサブグループから選択されるカチオン性ポリアミノ酸、
■Cは、直接結合、又は(好ましくは天然の)アミノ酸残基及び1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシアルコールから選択される結合基であり;
■D−GH基は、互いに独立してラジカルであり:
・Dは、−O−、−NH−、又は−N−アルキル−(C1〜C5)、(好ましくは天然の)アミノ酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、又は1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシ酸であり、
・GHは、8〜30個の炭素原子を含む疎水性基であって:
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状のC8〜C30アルキル基、
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、C8〜C30アルキルアリール基又はアリールアルキル基、又は
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、C8〜C30(多)環式基であり;
■(n+q)/(q+p+o+n+m)は、疎水性基GHのモルグラフト化率として定義され、0.5〜90モル%の値をとり;
・q+p+o+n+mは、20〜5000、好ましくは30〜2000の値をとり;
・o+n+m(分子骨格)は、10〜500、好ましくは30〜300の値をとり;
・o/(o+n+m)は、分岐鎖のグラフト化率として定義され、1〜50モル%の値をとり;
・これらのポリアミノ酸(I)、(II)、及び(III)の主鎖Cpは、繰り返し単位−[ ]−[ ]−[ ]−、又は−[ ]−[ ]−を含み、それらの分岐鎖Bは、繰り返し単位−[ ]−又は−[ ]−[ ]−を含み;
・疎水性基GH及び分岐鎖Bは、ランダムに配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の第1の実施の形態において、ポリアミノ酸の主鎖Cp及び分岐鎖Bは、α−L−グルタミン酸塩又はα−L−グルタミン酸のホモポリマーである。
【0045】
本発明の第2の実施の形態において、ポリアミノ酸の主鎖Cp及び分岐鎖Bは、α−L−アスパラギン酸塩又はα−L−アスパラギン酸のホモポリマーである。
【0046】
本発明の第3の実施の形態において、ポリアミノ酸の主鎖Cp及び分岐鎖Bは、α−L−グルタミン酸塩/α−L−アスパラギン酸塩又はα−L−グルタミン酸/α−L−アスパラギン酸の共重合体である。
【0047】
有利には、ポリアミノ酸主鎖のアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸単位の分布は、得られるポリマーが、ランダム、ブロック型、又はマルチブロック型のいずれかとなるような分布である。
【0048】
本発明の疎水性単位を有するポリアミノ酸のモルグラフト化率は、2〜100%、好ましくは5〜50%であることがさらに好ましい。
【0049】
他の方法で定義すると、本発明のポリアミノ酸は、2000〜800,000g/モル、好ましくは5000〜300,000g/モルの分子量を有する。
【0050】
他の変形例において、本発明のポリアミノ酸は、グルタミン酸及び/又はアスパラギン酸単位に結合したポリエチレングリコール型のグラフト基を少なくとも1つ有していてもよい。
【0051】
勿論、本発明には上で定義したポリアミノ酸の混合物も含まれる。
【0052】
例えば、本発明の疎水性の分岐鎖を有するポリアミノ酸は、互いに「アミノ酸」単位の数及び/又はアミノ酸単位の性質において相違する、異なるタイプの主鎖(分子骨格)を含んでいてもよい。
【0053】
分岐鎖Bについても同様であり、分岐鎖Bを構成する「アミノ酸」単位の数及び/又は性質が互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0054】
注目すべきことに、本発明のポリアミノ酸は、疎水性基の性質やポリアミノ酸の重合度に応じていくつかの方法で用いることができる。本発明により想定される、活性成分をカプセル化するためのポリマーの生成方法は、当業者に公知である。詳細については、例えば、下記の、個々の適切ないくつかの参考文献を参照することができる:
「Microspheres, Microcapsules and Liposomes;第1巻、Preparation and chemical applications」 R.Arshady編、Citus Books 1999.ISBN:0−9532187−1−6.
「Sustained−Release Injectable Products」 J. Senior及びM. Radomsky編.Interpharm Press 2000.ISBN:1−57491−101−5.
「Colloidal Drug Delivery Systems」J.Kreuter編、Marcel Dekker, Inc.1994.ISBN:0−8247−9214−9.
「Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology」D.L.Wise編、Marcel Dekker, Inc.2000.ISBN:0−8247−0369−3.
【0055】
これらのポリアミノ酸は、ホモポリマーの長さ(重合度)及び疎水性基の性質に応じて、pH7.4の水中(例えばリン酸緩衝溶液)に分散し、コロイド状の溶液若しくは懸濁液、又は、ホモポリマーの濃度に応じて、構造化された若しくは構造化されていないゲルを生成するという点において非常に有用である。さらに、ポリアミノ酸(微粒子状であるか否かに関わりなく)は、タンパク質、ペプチド、又は小分子等の活性成分をカプセル化し、あるいはこれらの活性成分と容易に会合する。好ましい形成法は、本出願人による米国特許第6,630,171号明細書に記載されたものであり、ホモポリマーを水中に分散し、活性成分(AP)の存在下で、溶液をインキュベートすることを要旨とする。本発明のホモポリアミノ酸からなるベクター化された粒子のコロイド溶液は、0.2μmのフィルターを透過することができ、その後患者に直接注射することができる。
【0056】
親水性/疎水性比が減少すると、ホモポリマーはAPと会合、あるいはAPをカプセル化することができる微粒子を形成することができる。これに関連して、微粒子は、APとホモポリマーとを適当な有機溶媒中に同時に溶解し、混合物を水中で沈殿させることにより形成することができる。粒子は、その後、濾過により回収することができ、経口投与のために(ゼラチンカプセルとして、圧縮錠及び/又はコーティング錠として、あるいは油中に分散させて)、あるいは水中に再分散して非経口投与のために用いることができる。
【0057】
1つの変形例において、ホモポリマーを、N−メチルピロリドン等の生体適合性溶媒、又はミグリオール(商標)等の適当な油脂に溶解し、筋肉内、又は皮下経路により、あるいは腫瘍内に注射する。溶媒又は油脂が拡散することにより、ホモポリマーは注射した部位に沈殿するため、持続性薬剤を形成する。これらの持続性薬剤は、拡散、及び/又は浸食、及び/又はホモポリマーの加水分解若しくは酵素分解により、確実に放出制御される。
【0058】
微粒子状であることが好ましいという事実とは無関係に、本発明のポリアミノ酸は、中性又はイオン化された状態で、それ自身単独で、あるいは、液体、固体、又はゲル状の組成物として、あるいは、水又は有機溶媒に溶解して、より一般的に用いることができる。
【0059】
ポリアミノ酸に基づくポリマーは、カルボキシル基を含み、pH及び組成に応じて、中性型(COOH)又はイオン化型(COO陰イオン)のいずれかの形態をとることは理解されるべきである。このため、水相への溶解度は、ポリマー中の遊離の(疎水性基によりグラフト化されていない)COOHの割合及びpHに直接依存する。水溶液中において、カウンターカチオンは、ナトリウム、カルシウム、若しくはマグネシウム等の金属カチオン、又はトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン等の有機カチオン、又はポリエチレンイミン等のポリアミンであってもよい。
【0060】
本発明のポリマーは、例えば、当業者に公知の方法により得られる。まず第1に、α型のポリアミノ酸を得るための最も一般的な手法は、アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)の重合に基づく手法であり、例えば、文献「Biopolymers」1976,15,1869、及びH.R.Kricheldorfによる「Alpha−amino acid N−carboxy anhydrides and related heterocycles」Springer Verlag(1987)というタイトルの書籍に記載されていることが指摘される。NCA誘導体は、ホモポリマー又は疎水性基の他の化学基に影響を与えずに選択的にベンジル基を加水分解することができるため、好ましくはNCA−Glu−O−Bz(Bz=ベンジル)である。
【0061】
本発明で用いることができる多くのポリマー、例えば、様々な分子量の、ポリ(α−L−アスパラギン酸)、ポリ(α−L−グルタミン酸)、ポリ(α−D−グルタミン酸)、及びポリ(γ−L−グルタミン酸)型のポリマーが市販されている。α−β型のポリアスパラギン酸は、アスパラギン酸を縮合(スクシンイミドを生成する)後、塩基性条件下で加水分解することにより得られる(Tomida他、Polymer 1997,38,4733−36参照)。
【0062】
本発明の好ましいポリマーである、構造(1)、(2)、及び(3)で表されるポリグルタミン酸の合成について、下記の工程を用いて説明する。これらのポリマーを得るための方法については何ら限定されない。説明のため、いくつかの合成スキームを以下に示す。官能基の重合及びカップリングに用いられる化学反応は、通常用いられており、当業者に周知のものである(例えば、本出願人による上記の特許又は特許出願公開公報を参照)。
【0063】
タイプ(I)のポリマーは、下記の工程により合成することができる。
1.モル比1/(o+n+m)の開始剤/NCAモノマーを用いたポリグルタミン酸分子骨格の合成。重合後、仏国特許出願公開第2,801,226号公報に記載の方法により加水分解する。ポリマーは、ポリ酸型として単離される。
2.本出願人による国際公開第03/104303号パンフレットに記載の方法による、モル比n/(o+n+m)のGH基を用いた、ポリマー上への疎水性グラフト基のグラフト化。
3.モル比1/(p+q)の開始剤/NCAモノマー、例えばグルタミン酸ベンジルのNCAを用いた、上述の方法と同様の方法による分岐鎖の合成。
4.モル比o/(o+n+m)の分岐鎖を用いた、ポリマー上への分岐鎖のグラフト化。
5.ベンジル基の加水分解により、所望のポリマーを得る。
【0064】
タイプ(II)のポリマーは、まず、GH基による疎水性グラフト基を有しない分岐鎖ポリマーをまず合成し、最後に(工程2)GH基を用いた疎水性グラフト基によるグラフト化を行うことにより、同様に合成することができる。
タイプ(III)のポリマーは、まず、GH基を用いて分岐鎖上に疎水性グラフト基によるグラフト化を行い、分岐鎖を用いたグラフト化を最終段階で行うことにより合成することができる。
【0065】
これらの方法は、実施例の記載によって、より明確に理解されるであろう。
【0066】
重合度は、開始剤のポリマーに対するモル比によって決定されるという事実が観測されるはずである。
【0067】
GHを有する疎水性グラフト基のポリマーのカルボン酸基とのカップリングは、カップリング剤としてカルボジイミド、及び必要に応じて4−ジメチルアミノピリジンの存在下で、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドン(NMP)、又はジメチルスルホキシド(DMSO)等の適当な溶媒中でポリアミノ酸と反応させることにより、容易に行うことができる。カルボジイミドは、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドである。クロロギ酸エステル等の他のカップリング剤を用いることもできる(カップリング剤の例については、例えば、Bodanszkyによる「Principles of Peptide Synthesis」(Springer Verlag 1984)というタイトルの書籍を参照)。グラフト化率は、構成成分と反応物との化学量論、又は反応時間によって化学的に制御することができる。ポリマー以外のアミノ酸で官能基化された疎水性グラフト基又は分岐鎖は、通常のペプチドのカップリング法により、又は酸触媒存在下で直接縮合することにより得られる。これらの手法は当業者に周知である。
【0068】
本発明の他の特徴によると、本発明は、少なくとも1つの上述のポリアミノ酸、及び適宜、医薬品の活性成分、化粧品の活性成分、食品の活性成分、又は植物衛生品の活性成分等の少なくとも1つの活性成分を含む、医薬組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は植物衛生組成物に関する。
【0069】
本発明の1つの有益な条件によると、活性成分は、共有結合以外の1つ以上の結合によりポリアミノ酸と会合している。
【0070】
1つ以上のAPと、本発明のグラフト化ポリアミノ酸とを会合させる手法については、具体的には米国特許第6,630,171号明細書に記載されている。その手法は、少なくとも1つの活性成分を、ベクター化粒子(VP)を含む溶媒中に導入して、1つ以上の活性成分APを担持した、あるいは有効成分APと会合したVPのコロイド状懸濁液を生成することを特徴とする。導入は、次のような方法により行われ、結果としてAPがVPに捕捉される。
・APを水溶液に導入し、次いでVPを、コロイド状懸濁液又は単離物(凍結乾燥粉末又は沈殿)のいずれかの形態で加える;あるいは、
・溶液中、又は純粋若しくは予め処方された状態のいずれかの状態にあるAPを、乾燥したVPを水等の適当な溶媒中に分散させることにより、すぐに使用するために適宜調製されたVPのコロイド状懸濁液に加える。
【0071】
好ましくは、活性成分は、タンパク質、糖タンパク質、1つ以上のポリアルキレングリコール鎖(好ましくはポリエチレングリコール(PEG):「PEG修飾タンパク質」)に結合したタンパク質、多糖、リポ糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又はペプチドである。
【0072】
一変形例において、活性成分は、「低分子量」の疎水性、親水性、又は両親媒性の有機分子である。
【0073】
本明細書において定義されるように、「低分子量」の分子は、具体的には、低分子量の非タンパク質分子である。
【0074】
以下は、ナノ粒子又は微粒子の形態であるか否かによらず、本発明によるポリアミノ酸と結合可能なAPの例として挙げることができる。
○インスリン、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポイエチン、又はサイトカイン等のタンパク質;
○ロイプロリド、又はシクロスポリン等のペプチド;
○アントラサイクリン、タキソイド、又はカンプトテシン属に属するもの等の低分子;及び
○これらの混合物。
【0075】
一実施の形態においては、本発明の組成物は、ゲル、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミセル、ナノ粒子、微粒子、インプラント、粉末、又はフィルムの形態である。
【0076】
特に好ましい形態の1つでは、活性成分の担持の有無に関わりなく、組成物は、水相中のポリアミノ酸のナノ粒子及び/又は微粒子及び/又はミセルの安定なコロイド状の懸濁液である。
【0077】
他の実施の形態において、本発明の組成物は、生体適合性の溶媒中に溶解した溶液の形態であり、皮下又は筋肉内の経路により、あるいは腫瘍内部に注射可能である。
【0078】
本発明の組成物が製薬組成物である場合は、経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、大脳内、又は口腔内の経路により投与可能である。
【0079】
他の実施の形態において、組成物は、pH及び/又は浸透圧の調節、及び/又は安定性の向上(酸化防止剤)、及び/又は抗菌物質としての添加剤を適宜含んでいる。これらの添加剤は当業者に周知である(「Injectable Drug Development」というタイトルの書籍(P.K. Gupta他、Interpharm Press、Denver、Colorado 1999)を参照)。
【0080】
他の変形例に係る本発明の組成物は、注射部位に沈殿を形成することができるように製剤される。
【0081】
本発明はさらに、本発明のポリアミノ酸及び有効成分を含み、
・特に、経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、及び大脳内投与のための薬剤であって、これらの薬剤の活性成分が、具体的には、タンパク質、糖タンパク、1つ以上のポリアルキレングリコール{例えばポリエチレングリコール(PEG)で、この場合には「PEG修飾」タンパク質という用語が用いられる}に結合したタンパク質、ペプチド、多糖、リポ化糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及び低分子量の疎水性、親水性、又は両親媒性の有機分子である薬剤;
・及び/又は食品;
・及び/又は化粧品若しくは植物衛生用品、
の調製に使用することができる組成物に関する。
【0082】
本発明のさらに異なる特徴によると、本発明は、特に、経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、及び大脳内投与のための薬剤で、これらの薬剤の活性成分が、具体的には、タンパク質、糖タンパク、1つ以上のポリアルキレングリコール{例えばポリエチレングリコール(PEG)で、この場合には「PEG修飾」タンパク質という用語が用いられる}に結合したタンパク質、ペプチド、多糖、リポ化糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及び低分子量の疎水性、親水性、又は両親媒性の有機分子である薬剤;
・及び/又は食品;
・及び/又は化粧品若しくは植物衛生用品、
を調製する方法であって、以上に定義される少なくとも1つのポリアミノ酸及び/又は以上に開示される組成物を使用する工程を本質的に含むことを特徴とする方法に関する。
【0083】
本発明はさらに、本明細書に開示されるように、前記組成物を本質的に経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、大脳内、又は口腔の経路によって投与する工程を含む治療方法に関する。
【0084】
本発明の特定の変形例において、前記治療方法は、本質的に、上述の組成物を生体適合性溶媒中の溶液の形態で投与する工程、及びその後これを皮下若しくは筋肉内の経路により、又は腫瘍中に、好ましくは注射部位に沈殿を生成させるような方法で注射する工程を含む。
【0085】
本発明は、下記の実施例によってよりよく理解され、その利点及び変形例がより明確になるであろう。この実施例では、分岐鎖ホモポリアミノ酸の合成、及びそのAPベクター化系(安定な水性コロイド状懸濁液)への変換について記載し、これらの系がタンパク質と会合して医薬組成物を形成する能力を示す。
【実施例】
【0086】
<実施例1>タイプ(I)のポリマー(1)の合成
(指数及び官能基)
m=108、n=8、o=4、p=15
GH=D,L−α−トコフェロール(T)
A=−CH−CH−(グルタミン酸塩);E=NH、E’=ロイシナミド;C,D=直接結合
【0087】
(工程1:分岐鎖の重合及びpGluTとのカップリング)
溶液1:50mlの3つ口丸底フラスコ内で、窒素気流下で、3.4gのNCA GluOBnを、9mlのNMP中に25℃で溶解する。ロイシナミド89mgを反応溶媒に加える。NCAが80%変換された時点で、反応溶媒を0℃に冷却することにより重合を停止する。
【0088】
溶液2:並行して、重合度(DP)120で、合成α−トコフェロール(国際公開第03/104303号パンフレットに記載の方法により得られる)によりグラフト化率7モル%でランダムにグラフト化されたポリグルタミン酸3.5gを、100mlの3つ口丸底フラスコ内で、44mlのDMFに、80℃に加熱しながら溶解する。この溶液を−15℃に冷却し、128mlのクロロギ酸イソブチル、次いで109mlのN−メチルモルホリンを加える。反応溶媒を15分間撹拌し、温度を0℃に昇温させる。反応溶媒を再度−15℃に冷却し、溶液1を加える。溶液を室温に戻し、その後40℃で2時間撹拌する。酸性化した水中(pH<2、315ml)でポリマーを沈殿させ、ろ別し、酸性化した水(2×157ml)、及びイソエーテル(2×157ml)で洗浄後、真空オーブン中40℃で乾燥すると、分岐鎖ポリマー中間体が5.8g、収率100%で得られる。TFA−d中でH NMRにより決定された分岐鎖の重合度は17である。
【0089】
(工程2及び3:分岐鎖のベンジルエステルの加水分解及び中和)
5.5gの前記ポリマーを室温で42mlのTFA中に溶解する(cpoly=130mg/ml)。この溶液を0℃に冷却し、6.8mlのHBr(30%酢酸溶液)を加える。溶媒を3時間室温に置く。反応の終了を、TFA−d中でH NMRによりモニターし、反応溶媒を300mlの氷を含む水にあける。沈殿をガラスフィルターでろ別する。ポリマーをTHF(42ml)中に再溶解後、ジイソプロピルエーテル中で沈殿させ、ろ別し、ジイソプロピルエーテル(3×85ml)で洗浄する。生成物を真空オーブン中40℃で乾燥すると、ポリ酸型のポリマー(1)3.9g(収率82%)が得られる。
ポリマーを脱塩水に懸濁させ、1N NaOH水溶液により中和する。ポリマーが全て溶解し、pHが約7.4になった時点で中和を完了した。
【0090】
TFA−d中でH NMRにより決定されたトコフェロールの含有率は4.6%である。M(NMP中GPCにより決定)は、PMMA当量で59.8kg/molである。
【0091】
<実施例2>タイプ(I)のポリマー(2)の合成
(指数及び官能基)
m=105、n=8、o=7、p=15
GH=D,L−α−トコフェロール(T)
A=−CH−CH−(グルタミン酸塩);E=NH、E’=グルタミン酸ジエチルエステル;C,D=直接結合
【0092】
(工程1:分岐鎖の重合及びpGluTとのカップリング)
溶液1:50mlの3つ口丸底フラスコ内で、窒素気流下で、5.9gのNCA GluOBnを、14mlのNMP中に25℃で溶解する。グルタミン酸ジエチルエステル243mgを反応溶媒に加える。NCAが80%変換された時点で、反応溶媒を0℃に冷却することにより重合を停止する。
【0093】
溶液2:並行して、重合度(DP)120で、合成α−トコフェロール(国際公開第03/104303号パンフレットに記載の方法により得られる)によりグラフト化率7モル%でランダムにグラフト化されたポリグルタミン酸3.0gを、100mlの3つ口丸底フラスコ内で、44mlのDMFに、80℃に加熱しながら溶解する。この溶液を−15℃に冷却し、219mlのクロロギ酸イソブチル、次いで186mlのN−メチルモルホリンを加える。反応溶媒を15分間撹拌し、温度を0℃に昇温させる。反応溶媒を再度−15℃に冷却し、溶液1を加える。溶液を室温に戻し、その後40℃で2時間撹拌する。酸性化した水中(pH<2、315ml)でポリマーを沈殿させ、ろ別し、酸性化した水(2×157ml)、及びイソエーテル(2×157ml)で洗浄後、真空オーブン中40℃で乾燥すると、分岐鎖ポリマー中間体が6.5g得られる。TFA−d中でH NMRにより決定された分岐鎖の重合度は19である。
【0094】
(工程2及び3:分岐鎖のベンジルエステルの加水分解及び中和)
6.2gの前記ポリマーを室温で48mlのTFA中に溶解する(cpoly=130mg/ml)。この溶液を0℃に冷却し、11.5mlのHBr(30%酢酸溶液)を加える。溶媒を3時間室温に置く。反応の終了を、TFA−d中でH NMRによりモニターし、反応溶媒を335mlの氷を含む水にあける。沈殿をP4ガラスフィルターでろ別する。ポリマーをTHF(48ml)中に再溶解後、ジイソプロピルエーテル(480ml)中で沈殿させ、ろ別し、ジイソプロピルエーテル(2×48ml)で洗浄する。生成物を真空オーブン中40℃で乾燥すると、ポリマー(2)3.7g(収率76%)が得られる。
ポリマーを脱塩水に懸濁させ、1N NaOH水溶液により(pHが8を超えることがないように)中和する。ポリマーが全て溶解し、pHが約7.4になった時点で中和を完了した。
【0095】
TFA−d中でH NMRにより決定されたトコフェロールの含有率は3.5%である。M(NMP中GPCにより決定)は、PMMA当量で42.4kg/molである。
【0096】
<実施例3>タイプ(I)のポリマー(3)の合成
(指数及び官能基)
m=105、n=8、o=7、p=8
GH=D,L−α−トコフェロール(T)
A=−CH−CH−(グルタミン酸塩);E=NH、E’=ロイシナミド;C,D=直接結合
【0097】
実施例1に記載の方法により、4.1gの本ポリマーを合成した。TFA−d中でH NMRにより決定された分岐鎖の重合度は10である。TFA−d中でH NMRにより決定されたトコフェロールの含有率は4.3%である。M(NMP中GPCにより決定)は、PMMA当量で66.3kg/molである。
【0098】
<実施例4>タイプ(I)のポリマー(4)の合成
(指数及び官能基)
m=25、n=7、o=3、p=15
GH=D,L−α−トコフェロール(T)
A=−CH−CH−(グルタミン酸塩);E=NH、E’=ロイシナミド;C,D=直接結合
【0099】
実施例2に記載の方法により、4.1gの本ポリマーを合成した。TFA−d中でH NMRにより決定された分岐鎖の重合度は18である。TFA−d中でH NMRにより決定されたトコフェロールの含有率は7.0%である。M(NMP中GPCにより決定)は、PMMA当量で24.1kg/molである。
【0100】
<実施例5>タイプ(II)のポリマー(5)の合成
(指数及び官能基)
m=103、n=5、o=12、p=30、q=1
GH=D,L−α−トコフェロール(T)
A=−CH−CH−(グルタミン酸塩);E=NH、E’=ロイシナミド;C,D=直接結合
【0101】
(工程1:分岐鎖の重合、pGluOHとのカップリング及び分岐鎖のエステルの加水分解)
溶液1:250mlの3つ口丸底フラスコ内で、窒素気流下で、20.0gのNCA GluOMeを、86mlのNMP中に40℃で溶解する。4mlのDMPに溶解したロイシナミド345mgを反応溶媒に加える。NCAが80%変換された時点で、反応溶媒を0℃に冷却することにより重合を停止する。
【0102】
溶液2:並行して、DP120のポリグルタミン酸3.3gを、500ml3つ口丸底フラスコ内で、52mlのDMF中に80℃に加熱しながら溶解する。この溶液を0℃に冷却し、502mlのクロロギ酸イソブチル、次いで426mlのN−メチルモルホリンを加える。溶液1の重合反応の間、反応溶媒を0℃で撹拌する。71mlのN−メチルモルホリンを加えた後、溶液1を加える。溶媒を室温に戻し、その後この温度で4.5時間撹拌する。溶媒の温度を80℃に昇温する。NMP/35%HCl溶液(14.5ml/28.5ml)を、この温度で滴下し、フラスコ内を600mbarに減圧する。加水分解を5日間行った後、酸性化した水中(pH<2、710ml)でポリマーを沈殿させ、遠心分離し、酸性化した水(200ml)、次いで水(2×200ml)で洗浄する。ポリマーをガラスフィルターでろ別し、真空オーブン中40℃で乾燥すると、分岐鎖ポリマー中間体が12.3g(収率90%)得られる。TFA−d中でH NMRにより決定された分岐鎖の重合度は50である。
【0103】
(工程2及び3:トコフェロールのグラフト化及び中和)
5.0gの前記ポリマーを80℃で100mlのTFA中に溶解する(cpoly=50mg/ml)。0.6mlのDMFに溶解したDMAP47mgをこの溶液に加える。溶媒を80℃に18時間保つ。その後、温度を15℃に下げ、以下の物質を次の順序で加える:トコフェロールの溶液(834mgを2.6mlのDMFに溶解)、DMAPの溶液(50mgを0.6mlのDMFに溶解)、及びDIPC(546mg)。反応溶媒をこの温度で3.5時間撹拌する。35%HCl(4.0ml)でブロックし、その後ポリマーを、酸性化した水(400ml、NaCl60g含有、pH<2)及びジイソプロピルエーテル(80ml)の2相系溶媒中で沈殿させる。生成物を、酸性化した水及びジイソプロピルエーテルの2相系混合物で3度(3×300/80ml)、その後ジイソプロピルエーテルで2度(2×300ml)洗浄する。最後に、生成物を真空オーブン中40℃で乾燥すると、ポリマー(5)5.1g(収率87%)が得られる。
【0104】
ポリマーを脱塩水に懸濁させ、1N NaOH水溶液により中和する。ポリマーが全て溶解し、pHが約7.4になった時点で中和を完了した。
TFA−d中でH NMRにより決定されたトコフェロールの含有率は4.5%である。M(NMP中GPCにより決定)は、PMMA当量で248.6kg/molである。
【0105】
<実施例6>直鎖状化合物C1、C2、C3、C4の合成
これらの化合物は、国際公開第03/104303号パンフレットに記載の方法により得られる。
これらのポリマーの性質を下表に示す。
【0106】
<実施例7>溶解性及び粘度に関する検討
性質を比較し、本発明の特徴を示すために、ポリマーの粘度を、濃度の関数として、PH7.4、及び重量オスモル濃度300mOsmolで測定する。限界凝集濃度Cη(g/l)、すなわち、この濃度を上回ると粘度が急速に増大する濃度を測定する。結果並びに本発明のポリマー及び従来技術に関する比較化合物の特徴を、下記の表1に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
Cηで表される粘度の比較より、本発明のポリマーを用いると、濃厚溶液をはるかに容易に得ることができることが示される。具体的には、同様の大きさを有する分子骨格及び同等のグラフト化率を有するポリマーの比較、一方では(1)、(2)、及び(3)と比較例1及び比較例2との比較、他方では(5)と比較例4との比較より、この違いが明確に示される。こうした性質により、ポリマー濃度がより高い製剤を調製することができるため、ポリマー/有効成分比を増大させ、同時に注射特性を改善することが可能になる。
【0109】
<実施例8>インスリンとの会合の検討
1ミリリットル当たり10mgのポリマー及び200IUのインスリン(7.4mg)を含むpH7.4の水溶液を調製する。前記溶液を室温にて2時間インキュベートし、限外濾過(100kDaにてカットオフ、18℃、10000Gの下で15分間)によって遊離のインスリンを結合インスリンから分離する。濾液から回収される遊離のインスリンを、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により定量し、結合インスリンの量を減算する。結果を以下の表2に示す。
【0110】
【表2】

【0111】
この結果は、本発明のポリマーが、インスリンと強く会合して、100kDa以上のサイズを有するコロイド状の懸濁液を生成し、インスリンの会合率が非常に高いことを示している。これらのポリマーは会合能を有しているため、ベクター化剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位を含み、それらのいくつかは、1つ以上の疎水性基(GH)(互いに同一であっても異なっていてもよい)を有するポリアミノ酸であって、
アスパラギン酸塩単位及び/又はグルタミン酸塩単位を含み、かつ、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位を含む1つ以上のポリアミノ酸分岐鎖B(互いに同一であっても異なっていてもよい)を有する少なくとも1本の主鎖(Cp)を有することを特徴とするポリアミノ酸。
【請求項2】
前記疎水性グラフト基が、
→(I)主鎖Cpのみ、
→(II)主鎖Cp及び分岐鎖B、
→(III)あるいは、分岐鎖Bのみ、
に結合していることを特徴とする請求項1記載のポリアミノ酸。
【請求項3】
前記疎水性基GHが、8〜30個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のポリアミノ酸。
【請求項4】
前記疎水性基GHが、下記の群:
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖又は分岐鎖状のC8〜C30アルキル基、
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、C8〜C30アルキルアリール基又はアリールアルキル基、
■適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよいC8〜C30(多)環式基、
から選択されることを特徴とする請求項3記載のポリアミノ酸。
【請求項5】
前記疎水性基GHが、オクタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オレイルアルコール、トコフェロール、コレステロール、及びリトコール酸を含む群より選択される基から誘導されるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のポリアミノ酸。
【請求項6】
α−L−グルタミン酸及び/又はα−L−グルタミン酸単位、あるいはα−L−アスパラギン酸及び/又はα−L−アスパラギン酸単位を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のポリアミノ酸。
【請求項7】
下記一般式(I)、(II)、及び(III)で表されることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載のポリアミノ酸。
【化1】

【化2】

【化3】

式中:
■Aは、独立して−CH−(アスパラギン酸単位)又は−CH−CH−(グルタミン酸単位)であり;
■Rは、H、直鎖状C2〜C10アシル基、若しくは分岐鎖状C3〜C10アシル基、又はピログルタミン酸であり;
■E、E’は、独立して:
・OR(Rは下記のように定義される)、
・NHR基(式中、Rは、直鎖状C2〜C10アルキル基、若しくは分岐鎖状C3〜C10アルキル基、又はベンジル基である);又は、
・末端アミノ酸単位(窒素により結合し、カルボン酸基は、NHR及びORで定義されるアミン又はアルコールにより適宜修飾されている)、
のいずれかであり;
■Rは、H、又は好ましくは下記を含む群から選択されるカチオン種であり;
・有利には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムを含むサブグループより選択される金属カチオン、
・有利には、下記を含むサブグループから選択される有機カチオン、
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(ポリエチレンイミンが特に好ましい)に基づくカチオン、及び
・有利には、リジン又はアルギニンに基づくカチオンを含む属から選択される1つ以上のアミノ酸に基づくカチオン、及び
・有利には、ポリリジン及びオリゴリジンを含むサブグループから選択されるカチオン性ポリアミノ酸、
■Cは、直接結合、又は(好ましくは天然の)アミノ酸残基及び1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシアルコールから選択される結合基であり;
■D−GH基は、互いに独立してラジカルであり:
・Dは、−O−、−NH−、又は−N−アルキル−(C1〜C5)、(好ましくは天然の)アミノ酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、又は1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシ酸であり、
・GHは、8〜30個の炭素原子を含む疎水性基であって:
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状のC8〜C30アルキル基、
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、C8〜C30アルキルアリール基又はアリールアルキル基、又は
・適宜少なくとも1つの不飽和結合及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含んでいてもよい、C8〜C30(多)環式基であり;
■(n+q)/(q+p+o+n+m)は、疎水性基GHのモルグラフト化率として定義され、0.5〜90モル%の値をとり;
・q+p+o+n+mは、20〜5000、好ましくは30〜2000の値をとり;
・o+n+m(分子骨格)は、10〜500、好ましくは30〜300の値をとり;
・o/(o+n+m)は、分岐鎖のグラフト化率として定義され、1〜50モル%の値をとり;
・これらのポリアミノ酸(I)、(II)、及び(III)の主鎖Cpは、繰り返し単位−[ ]−[ ]−[ ]−、又は−[ ]−[ ]−を含み、それらの分岐鎖Bは、繰り返し単位−[ ]−又は−[ ]−[ ]−を含み;
・疎水性基GH及び分岐鎖Bは、ランダムに配置されている。
【請求項8】
分子量が2000〜800,000g/モル、好ましくは5000〜300,000g/モルであることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のポリアミノ酸。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか記載のポリアミノ酸を含む医薬用、化粧品用、食品用、又は植物衛生用組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの活性成分を含むことを特徴とする請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記活性成分が、共有化学結合以外の1つ以上の結合を介して、前記ポリアミノ酸と会合していることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記活性成分が、タンパク質、糖タンパク質、1つ以上のポリアルキレングリコール鎖に結合したタンパク質、多糖、リポ糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又はペプチドであることを特徴とする請求項10又は11記載の組成物。
【請求項13】
前記活性成分が、低分子量の疎水性、親水性、又は両親媒性の有機分子であることを特徴とする請求項10又は11記載の組成物。
【請求項14】
経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、大脳内、又は口腔内の経路により投与可能であることを特徴とする請求項9から13のいずれか記載の組成物。
【請求項15】
ゲル、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミセル、ナノ粒子、微粒子、インプラント、粉末、又はフィルムの形態であることを特徴とする請求項9から14のいずれか記載の組成物。
【請求項16】
水相中のポリアミノ酸のナノ粒子及び/又は微粒子及び/又はミセルの安定なコロイド状の懸濁液であることを特徴とする請求項9から15のいずれか記載の組成物。
【請求項17】
生体適合性の溶媒中に溶解した溶液の形態であり、皮下又は筋肉内の経路により、あるいは腫瘍内部に注射可能であることを特徴とする請求項9から16のいずれか記載の組成物。
【請求項18】
注射部位で沈殿を形成することが可能であることを特徴とする請求項17記載の組成物。
【請求項19】
特に、経口、非経口、経鼻、膣内、眼球、皮下、血管内、筋肉内、皮内、腹膜内、及び大脳内投与のための薬剤であって、これらの薬剤の活性成分が、特に、タンパク質、糖タンパク、1つ以上のポリアルキレングリコールに結合したタンパク質、ペプチド、多糖、リポ糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及び低分子量の疎水性、親水性、又は両親媒性の有機分子である薬剤;
・及び/又は食品;
・及び/又は化粧品若しくは植物衛生用品、
を調製する方法であって、請求項1から8のいずれか記載のポリアミノ酸、及び/又は請求項9から18のいずれか記載の組成物を使用する工程を本質的に含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−508388(P2008−508388A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523128(P2007−523128)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050594
【国際公開番号】WO2006/021706
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】