説明

疾患を治療するための、NF−κBの非ホルモン性ステロイド調節因子

本発明は、筋ジストロフィーのような神経筋疾患の治療法として、および、筋ジストロフィーを含む筋消耗疾患を治療または予防するためのNF−κB阻害剤として有用な場合がある化合物および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約番号第DOD05118004号およびNIH番号第1U54HD053177−01A1号の下で米国政府からの援助によって行われたものである。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
本出願は、2008年5月28日に提出された米国特許仮出願第61/056,715号の優先権を主張するものであり、この開示内容は、参照により、その全体が本明細書中に記載されているように本明細書中に組み込まれる。
【0003】
本明細書では、新規な非ホルモン性ステロイド化合物および組成物、ならびに、疾患を治療するための医薬としてのそれらの用途を開示する。NF−κBによって媒介される疾患を治療する目的で、ヒトまたは動物の患者におけるNF−κB活性を調節する方法も提供する。
【背景技術】
【0004】
筋ジストロフィーのような筋消耗疾患は、進行性の骨格筋消耗に至り、筋力低下、骨折の多発、車椅子に依存する状態、および場合によって死を招く変性疾患群である。筋ジストロフィーのうち、デュシェーヌ筋ジストロフィーは、最も重症で、かつ最も広く認識されている。デュシェーヌ筋ジストロフィーよりも重症度は低いものの、類似の症状を示す別の筋消耗疾患は、ベッカー筋ジストロフィーである。デュシェーヌ筋ジストロフィーとベッカー筋ジストロフィーの双方を引き起こす欠損ジストロフィン遺伝子は20年以上前から知られているにもかかわらず、治療法はいまだ存在しない。
【0005】
悪液質の過程で宿主組織を破壊する働きをするいくつかの異化因子が同定されている。炎症性サイトカイン、具体的には腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の過剰分泌は、悪液質の最も有望な原因の1つと思われる。具体的には、TNF−αは、体重減少、食欲不振、熱発生の増大、脂質代謝の変化、インスリン抵抗性、および筋消耗など、悪液質で生じる異常の大半を模倣することができる。
【0006】
また、筋肉組織の神経支配の喪失、または筋肉組織の神経支配への損傷によって、筋萎縮が誘発されることもある。慢性ニューロパシーおよび運動ニューロン疾患のような疾患も、神経支配に損傷を与える場合がある。神経への物理的損傷も、筋肉組織の神経支配への損傷に至ることがある。あるいは、筋ジストロフィーの原因は、宇宙飛行中、または、加齢もしくは長期の床上安静のような環境条件である場合もある。これらの環境条件下では、筋肉に通常の重量負荷がかからず、その結果、非活動による筋萎縮が生じる。具体的には、筋肉の非活動中、細胞内プロセスが活性化されて、主にATP依存性ユビキチンプロテアソーム経路(NF−κB経路を調節する)を通じて、タンパク分解を誘導する。
【0007】
NF−κBは、前炎症性応答に関わる遺伝子の誘発を担う細胞外シグナルを媒介することが知られている。NF−κBは、カッパベータ阻害因子(Iκβ)として知られるいくつかのタンパクの1つとの非共有相互作用を通じて、刺激されていない細胞の大半の細胞質中に遊離される(May&Ghosh,(1997)Semin.Cancer.Biol.8,63−73、May&Ghosh,(1998)Immunol.Today 19,80−88、Ghosh et al.,(1998)Annu.Rev.Immunol.16,225−260)。TNF−αのような前炎症性応答に伴う細胞刺激によってキナーゼが活性化され、続いて、IκBのリン酸化によってNF−κBが活性化される。IκBをリン酸化するキナーゼは、IκBキナーゼ(IΚK)という。
【0008】
リン酸化ではIκBが標的となり、その後、IκBのユビキチン化と分解が行われる。このIκBの分解によって、NF−κB上の核局在化シグナルが露出して、核内蓄積という活性化が可能となり、その結果、DNAに結合して特異的遺伝子の発現を制御する。したがって、IκBのリン酸化は、数多くの刺激の下流でNF−κBを調節する際の重要な工程であるが、他の機構によっても、機能的NF−κBが活性化される場合がある。
【0009】
IκBをリン酸化するキナーゼの同定と特性付けによって、NF−κBの活性化に関与するシグナル伝達経路に対する理解が深まってきている。これまで、何種類かのIΚKサブタイプが同定されている。IΚKαは、HeLa細胞内でTNF−αの刺激によって誘発されるIκBキナーゼとして最初に同定されたものである(DiDonanto et al.,(1997)Nature 388,548−554)。IΚKαと相同な別のIκBキナーゼも同定されており(IΚKβという)、TNFαの刺激を受けて誘発される主要なIκBキナーゼであることが明らかにされた(Takeda et al.,(1999)Science 284,313−316、Potsらに発行された米国特許第6,030,834号(2000)、Woroniczらに発行された米国特許第5,939,302号(1999))。IΚKαとIΚKβの全体的相同率は52%であり、キナーゼドメインにおける相同率は65%である(Zandi et al.,(1997)Cell 91,243−252)。
【0010】
IκBタンパクキナーゼ(IΚK)は、特定のセリン残基でIκBをリン酸化する。具体的には、IΚKは、IκBζの32位と36位のセリンをリン酸化する(Traenckner et al.,(1995)EMBO J.14,2876−2883、DiDonato et al.,(1996)Mol.Cell.Biol.16,1295−1304)。上記の2つの部位をリン酸化するには、IκBαを効率的に分解の標的とする必要がある。さらに、IκKαとIκKβの活性化は通常、ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)、リポ多糖(LPS)、インターロイキン−1(IL−1)、TNF−α、活性酵素種、およびDNA損傷剤を含むNF−κB活性化物質への応答によるものである。触媒活性のないIΚKαおよびIΚKβの突然変異体を用いて、NF−κBの刺激をブロックすることができる。したがって、IκBキナーゼは、炎症性刺激の下流でのNF−κB活性化プロセスの調節に欠かせないものである。別の経路では、IκBキナーゼは重要でない場合もある。
【0011】
IΚKαとIΚKβは、ロイシンジッパードメンによってカルボキシル側のヘリックス−ループ−ヘリックスドメインから分離されているアミノ末端セリン−トレオニンキナーゼドメインを含む独特な構造モチーフを有する。これらの構造特性は、他のキナーゼとは異なっており、非触媒ドメインは、タンパク間相互作用に関与すると考えられている。したがって、IΚKに結合するタンパクは、NF−κBの活性を調節できると共に、NF−κBの誘発のような下流イベントを潜在的に調節できるはずである。例えば、NEMO(NF−κB必須調節因子)は、IΚKに結合してキナーゼ活性を促すことが同定されているタンパクである(Yamaoka et al.,(1998)Cell 93,1231−1240、Rothwarf et al.,(1998)Nature 395,287−300)。
【0012】
インビボでの研究によって、NF−κBの慢性的な活性化が、デュシェーヌ筋ジストロフィーのような筋消耗疾患と関連していることが示されており、米国特許出願公開第2007/022315号(2007年3月15日)にさらに例示されている。具体的には、NF−κBのサブユニットp65/RelAがヘテロ接合であった患者では概して、筋消耗が阻止された。NF−κB活性化阻害剤ペプチドを注射すると、羅患被検マウスでジストロフェイー表現型が阻害されることが明らかになった。特定の理論に縛られなければ、デュシェーヌ筋ジストロフィーの筋消耗症状には、NF−κBの慢性的な活性化が必要であると考えられる。したがって、NF−κBを標的とする薬剤ベースの療法は、デュシェーヌ筋ジストロフィー、および他の形態の筋消耗疾患を治療するための有効な方策である場合がある。
【発明の概要】
【0013】
一般に、筋消耗疾患は、本開示に従って、NF−κBの直接または間接的調節因子によって治療することができる。NF−κBの間接的調節因子としては例えば、阻害因子IΚKαおよび阻害因子IΚKβのようなIκBキナーゼ(IΚK)の阻害因子、ならびに、ホスホイノシチド依存性キナーゼ(PDK)阻害因子、およびAkt(PKBともいう)阻害因子のように、シグナル伝達経路においてIΚKの上流で直接機能する阻害因子が挙げられる。
【0014】
上述のように、NF−κB経路を調節するための1つの好適なアプローチは、IκBタンパクキナーゼ(IΚK)の1つに結合することによるものである。IΚKに結合することによって、IκBのリン酸化がブロックされ、NF−κBを活性化できない。1つの実施形態では、NF−κB経路をブロックすると共に、筋消耗疾患を抑制する目的で、IΚKの触媒活性を直接阻害する化合物を投与することができる。具体的には、筋消耗疾患を抑制する目的で、IΚKα阻害剤、またはその鏡像異性体、類似体、プロドラッグ、活性代謝産物、塩、および/もしくは水和物を患者に投与することができる。
【0015】
NF−κBを調節することが明らかになった特定の新規な化合物および医薬組成物と共に、前記化合物を合成および利用する方法(前記化合物を投与することによって、患者のNF−κB媒介性疾患を治療する方法を含む)を発見した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特定の実施形態では、下記の構造式Iを有する化合物、またはその塩を開示する。
【化1】

(I)
式中、点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルキコシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒロドキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0017】
さらなる実施形態では、RとRは独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rは水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rは水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rはアセチルではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rは水素またはアセチルではなく、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルでなく、RとRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない。
【0018】
さらなる実施形態では、Rは、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0019】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、RとRはそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0020】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0021】
さらなる実施形態では、Rは、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0022】
さらなる実施形態では、Rは、非置換の炭素数2〜6のアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0023】
さらなる実施形態では、Rはエチルである。
【0024】
さらなる実施形態では、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、Rは、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rは、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、RとRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、アルキルスフホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、前記点線が二重結合を示しており、Rがメチルであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素またはアセチルではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、Rがフッ素であり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素またはアセチルではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、Rがメチルであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない。
【0025】
さらなる実施形態では、RとRは独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rは水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rは水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rはアセチルではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rは水素またはアセチルではなく、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、RとRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない。
【0026】
さらなる実施形態では、Rは、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、RとRはそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0028】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0029】
さらなる実施形態では、Rは、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0030】
さらなる実施形態では、Rは、非置換の炭素数2〜6のアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0031】
さらなる実施形態では、Rはエチルである。
【0032】
さらなる実施形態では、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、Rは、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rは、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、RとRは独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、Rが水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rは水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rは水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rはアセチルではなく、前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rは水素またはアセチルではなく、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、RとRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない。
【0033】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、RとRはそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノおよびヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0034】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノおよびヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0035】
更なる実施形態では、Rは、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素およびアセチルからなる群から選択される。
【0036】
さらなる実施形態では、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、Rは、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、Rは、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、RとRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0037】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、RとRはそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、Rは、非置換の炭素数2〜6のアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0038】
さらなる実施形態では、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、RとRはそれぞれ水素であり、Rは、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい。
【0039】
さらなる実施形態では、Rは、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、Rは、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0040】
さらなる実施形態では、Rはエチルである。
【0041】
本明細書に開示されている特定の化合物は、有用なNF−κB調節活性を有することができ、NF−κBが能動的な役割を果たす疾患または状態の治療または予防で用いてよい。したがって、広範な側面では、特定の実施形態は、本明細書に開示されている1つ以上の化合物と、製薬学的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物、ならびに、この化合物および組成物を作製および使用する方法も提供する。特定の実施形態は、NF−κBを調節する方法を提供する。別の実施形態は、NF−κB媒介性障害の治療を必要とする患者のNF−κB媒介性障害を治療する方法であって、本発明による化合物または組成物を治療有効量、前記患者に投与することを含む方法を提供する。NF−κBを調節することによって改善される疾患または障害を治療するための医薬の製造用に、本明細書に開示されている特定の化合物を使用することも提供する。
【0042】
特定の実施形態では、前記NF−κB媒介性疾患は、筋ジストロフィー、関節炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ病、癌、アテローム硬化症、1型糖尿病、2型糖尿病、レプトスピラ尿症、緑内障、網膜疾患、老化、頭痛、疼痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再潅流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発肺損傷、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、副鼻腔炎、中皮種、無汗性外胚葉性形成異常−ID、ベーチェット病、色素失調、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵炎、歯周炎、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV−1、自己免疫疾患、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイド神経障害、炎症性ニューロパシー、パーキンソン病、多発硬化、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、ハンティングトン病、白内障、および聴覚障害からなる群から選択される。
【0043】
さらなる実施形態では、前記NF−κB媒介性疾患は喘息または慢性閉塞性肺疾患である。
【0044】
さらなる実施形態では、前記NF−κB媒介性疾患はシェーグレン症候群である。
【0045】
さらなる実施形態では、前記NF−κB媒介性疾患は関節炎である。
【0046】
さらなる実施形態では、前記NF−κB媒介性疾患は筋消耗である。
【0047】
さらなる実施形態では、前記筋消耗疾患は筋ジストロフィーである。
【0048】
さらなる実施形態では、前記筋ジストロフィーは、デュシェーヌ筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、先天型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、眼咽頭筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、およびエメリー−ドライフス筋ジストロフィーからなる群から選択される。
【0049】
さらなる実施形態では、前記筋ジストロフィーはデュシェーヌ筋ジストロフィーである。
【0050】
値の範囲が開示されており、「n〜n」という表記が用いられており、そのnとnが数値である場合は、別段の定めのない限り、この表記は、その数値自体、およびその数値の間の範囲を含むことを意図している。この範囲は、限界値間かつ限界値を含む整数または連続的な値であってよい。一例として、炭素の単位は整数であるので、「炭素数2〜6」という範囲は、2個、3個、4個、5個、および6個の炭素を含むことを意図している。一例として、1μM、3μM、および、その間のいずれかの有効数字桁数のあらゆる値(例えば1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことを意図している「1〜3μM(マイクロモル)」という範囲と比較されたい。
【0051】
「約」という用語は、本明細書で使用する場合、その用語が修飾する数値を限定することを意図しており、誤差の範囲内で変動する値を表す。データのチャートまたは表に、平均値に対する標準偏差のような特定の誤差の範囲が示されていない場合、「約」という用語は、有効数字を考慮に入れて、記載の値を含む範囲、およびその数字を切り上げまたは切り捨てることによって含まれる範囲を意味するものと理解されたい。
【0052】
「アシル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、または、カルボニルに結合している原子が炭素である他のいずれかの部分に結合しているカルボニルを指す。「アセチル」基とは、−C(O)CH基を指す。「アルキルカルボニル」または「アルカノイル」基とは、カルボニル基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。このような基の例としては、メチルカルボニルおよびエチルカルボニルが挙げられる。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイル、およびアロイルが挙げられる。
【0053】
「アルケニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、1つ以上の二重結合を有すると共に、2〜20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。特定の実施形態では、前記アルケニルは、2〜6個の炭素原子を含むことになる。「アルケニレン」という用語は、エテニレン[(−CH=CH−)、(−C::C−)]のように、2つ以上の位置で結合されている炭素−炭素二重結合系を指す。好適なアルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、2−メチルプロペニル、1,4−ブタジエニルなどが挙げられる。別段の定めのない限り、「アルケニル」という用語には、「アルケニレン」基を含めてもよい。
【0054】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルキルエーテル基を指し、この場合のアルキルという用語は、下に定義されているとおりである。好適なアルキルエーテル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0055】
「アルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、1〜20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基を指す。特定の実施形態では、前記アルキルは、1〜10個の炭素原子を含むことになる。さらなる実施形態では、前記アルキルは、1〜6個の炭素原子を含むことになる。アルキル基は、本明細書で定義されているように置換されていてもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。「アルキレン」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、メチレン(−CH−)のように、2つ以上の位置で結合されている直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から生じる飽和脂肪族基を指す。別段の定めのない限り、「アルキル」と言う用語には、「アルキレン」基を含めてよい。
【0056】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アミノ基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。好適なアルキルアミノ基をモノまたはジアルキル化して、例えば、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−エチルメチルアミノなどのような基を形成してよい。
【0057】
「アルキリデン」と言う用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、炭素−炭素二重結合のうちの1つの炭素原子が、アルケニル基が結合されている部分に属するアルケニル基を指す。
【0058】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルキルチオエーテル(R−S−)基を指し、この場合のアルキルという用語は、上で定義したとおりであり、硫黄は一重または二重に酸化されていてもよい。好適なアルキルチオエーテル基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニルなどが挙げられる。
【0059】
「アルキニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、1つ以上の三重結合を有すると共に、2〜20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。特定の実施形態では、前記アルキニルは、2〜6個の炭素原子を含む。さらなる実施形態では、前記アルキニルは、2〜4個の炭素原子を含む。「アルキニレン」という用語は、エチニレン(−C:::C−,−C≡C−)のように、2つの位置で結合されている炭素−炭素三重結合を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ペンチン−1−イル、3−メチルブチン−1−イル、ヘキシン−2−イルなどが挙げられる。別段の定めのない限り、「アルキニル」という用語には、「アルキニレン」基を含めてよい。
【0060】
「アミド」および「カルバモイル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、下に記載されているようなアミノ基のうち、カルボニル基を介して親分子部分に結合しているアミノ基、または、アミノ基を介して親分子部分に結合しているカルボニル基を指す。「C−アミド」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−C(=O)−NR基を指し、この場合のRは、本明細書で定義されているとおりである。「N−アミド」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、RC(=O)NH−基を指し、この場合のRは、本明細書で定義されているとおりである。「アシルアミノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アミノ基を介して親部分に結合しているアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の例は、アセチルアミノ(CHC(O)NH−)である。
【0061】
「アミノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−NRR’を指し、この場合のRとR’は独立して、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも、それ自体が置換されていてもよい。加えて、RとR’は一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、これらのうちのいずれかが置換されていてもよい。
【0062】
「アリール」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、1つ、2つ、または3つの環を含む炭素環式芳香族系を意味し、この場合の多環系は縮合している。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントリルのような芳香族基を包含する。
【0063】
「アリールアルケニル」または「アラルケニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルケニル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0064】
「アリールアルコキシ」または「アラルコキシ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルコキシ基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0065】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルキル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0066】
「アリールアルキニル」または「アラルキニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルキニル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0067】
「アリールアルカノイル」または「アラルカノイル」または「アロイル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、ベンゾイル、ナフトイル、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4−フェニルブチリル、(2−ナフチル)アセチル、4−クロロヒドロシンナモイルなどのように、アリール置換アルカンカルボン酸から生じるアシル基を指す。
【0068】
アリールオキシという用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、オキシを介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0069】
「ベンゾ」および「ベンズ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、ベンゼンから生じる2価の基C=を指す。例としては、ベンゾチオフェンおよびベンズイミダゾールが挙げられる。
【0070】
「カルバメート」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、カルバミン酸のエステル(−NHCOO−)を指し、窒素または酸末端のいずれかから親分子部分に結合していてよく、かつ、本明細書で定義されているように置換されていてもよい。
【0071】
「O−カルバミル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−OC(O)NRR’基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0072】
「N−カルバミル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、ROC(O)NR’−基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0073】
「カルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、単独ではホルミル[−C(O)H]を含み、組み合わせた場合には、−C(O)−基である。
【0074】
「カルボキシル」または「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、−C(O)OH、または、カルボン酸塩にあるような対応する「カルボン酸」陰イオンを指す。「O−カルボキシ」基はRC(O)O−基を指し、この場合のRは、本明細書で定義されているとおりである。「C−カルボキシ」基は、−C(O)OR基を指し、この場合のRは、本明細書で定義されているとおりである。
【0075】
「シアノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−CNを指す。
【0076】
「シクロアルキル」、またはこの代わりに「炭素環」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、飽和または部分飽和の単環式、二環式、または三環式アルキル基を指し、この場合の各環状部分は、3〜12個の炭素原子環員を含み、本明細書で定義されているように置換されいてもよいベンゾ縮合環系であってもよい。特定の実施形態では、前記シクロアルキルは、3〜7個の炭素原子を含むことになる。特定の実施形態では、前記シクロアルキルは、5〜7個の炭素原子を含むことになる。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、アダマンチルなどが挙げられる。「二環式」および「三環式」は、本明細書で用いる場合、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ならびに、多環(多中心)飽和型または部分不飽和型のような双方の縮合環系を含むことを意図している。後者のタイプの異性体は一般に、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、およびビシクロ[3,2,1]オクタンによって例示される。
【0077】
「エステル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、炭素原子の位置で結合されている2つの部分を架橋するカルボキシ基を指す。
【0078】
「エーテル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、炭素原子の位置で結合されている2つの部分を架橋するオキシ基を指す。
【0079】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0080】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、酸素原子を介して親分子部分に結合しているハロアルキル基を指す。
【0081】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、上で定義したとおりの意味を有するアルキル基のうち、1つ以上の水素がハロゲンで置換されているものを指す。具体的には、モノハロアルキル基、ジハロアルキル基、およびポリハロアルキル基を包含する。モノハロアルキル基は例えば、その基の中にヨード原子、ブロモ原子、クロロ原子、またはフルオロ原子を有してよい。ジハロアルキル基およびポリハロアルキル基は、2つ以上の同じハロ原子、または異なるハロ基の組み合わせを有してよい。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」とは、2つ以上の位置で結合されているハロアルキル基を指す。例としては、フルオロメチレン(−CFH−)、ジフルオロメチレン(−CF−)、クロロメチレン(−CHCl−)などが挙げられる。
【0082】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、安定的な直鎖もしくは分枝鎖、または環状の炭化水素基、あるいはこれらの組み合わせであって、完全飽和であるか、または不飽和度が1〜3であり、所定の数の炭素原子と、O、N、およびSからなる群から選択された1〜3個のヘテロ原子とからなる基を指し、この窒素原子と硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意で4級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、およびSは、ヘテロアルキル基のいずれの内側の位置にあってもよい。例えば−CH−NH−OCHのように、最大で2つのヘテロ原子が連続していてもよい。
【0083】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、3〜7員の不飽和ヘテロ単環、または、縮合単環、縮合二環、もしくは縮合三環であって、縮合環のうちの少なくとも1つが芳香族であり、O、S、およびNからなる群から選択された少なくとも1つの原子を含む環を指す。特定の実施形態では、前記ヘテロアリールは、5〜7個の炭素原子を含むことになる。「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ環がアリール環と縮合しているか、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と縮合しているか、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と縮合しているか、または、ヘテロアリール環がシクロアルキル環と縮合している縮合多環基も包含する。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、べンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどが挙げられる。例示的な三環式ヘテロ環基としては、カルバゾリル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0084】
「ヘテロシクロアルキル」および同義的な「ヘテロ環」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、それぞれ、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和、または完全不飽和の単環式、二環式、または三環式ヘテロ環基であって、前記ヘテロ原子の各々が独立して、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択されていてよい基を指す。特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜4個のヘテロ原子を含むことになる。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜2個のヘテロ原子を含むことになる。特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に3〜8個の環員を含むことになる。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に3〜7個の環員を含むことになる。更に別の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に5〜6個の環員を含むことになる。「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロ環」は、スルホン、スルホキシド、第3級窒素環員のN−酸化物、炭素環式縮合環系、およびベンゾ縮合環系を含むものと意図されており、加えて、上記の用語は双方とも、ヘテロ環が、本明細書に定義されているとおりのアリール基、または追加のヘテロ環基に縮合されている系も含む。ヘテロ環基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。ヘテロ環基は、特に禁じられない限りは、任意で置換されていてもよい。
【0085】
「ヒドラジニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、単結合、すなわち−N−N−によって結合している2つのアミノ基を指す。
【0086】
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−OHを指す。
【0087】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、アルキル基を介して親分子部分に結合しているヒドロキシ基を指す。
【0088】
「イミノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、=N−を指す。
【0089】
「イミノヒドロキシ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、=N(OH)および=N−O−を指す。
【0090】
「主鎖における」という語句は、本明細書に記載されている式のうちのいずれかの1つの化合物に、ある基が結合されている点から始まる、炭素原子の最長の隣接鎖または近接鎖を指す。
【0091】
「イソシアナート」という用語は−NCO基を指す。
【0092】
「イソチオシアナート」という用語は−NCS基を指す。
【0093】
「原子の直鎖」という語句は、炭素、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される原子の最長の直鎖を指す。
【0094】
「低級」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、別段の具体的な定義がない限りは、1〜6個の炭素原子を含むことを意味する。
【0095】
「低級アリール」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、本明細書で示されているように任意で置換されていてもよいフェニルまたはナフチルを意味する。
【0096】
「低級ヘテロアリール」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、1)5〜6個の環員を含む単環式ヘテロアリールであって、前記環員の1〜4個が、O、S、およびNからなる群から選択されたヘテロ原子であってよいヘテロアリール、または、2)各縮合環が5〜6個の環員を含む二環式ヘテロアリールであって、環員の中に、O、S、およびNからなる群から選択された1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールのいずれかを意味する。
【0097】
「低級シクロアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、3〜6個の環員を有する単環式シクロアルキルを意味する。低級シクロアルキルは、不飽和であってもよい。低級シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0098】
「低級ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、3〜6個の環員を有する単環式ヘテロシクロアルキルであって、環員のうちの1〜4個が、O、S、およびNからなる群から選択されたヘテロ原子であってよいヘテロシクロアルキルを意味する。低級ヘテロシクロアルキルの例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが挙げられる。低級ヘテロシクロアルキルは不飽和であってもよい。
【0099】
「低級アミノ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−NRR’を指し、この場合のRとR’は独立して、水素、低級アルキル、および低級ヘテロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも、任意で置換されていてもよい。加えて、低級アミノ基のRとR’は一緒になって、5〜6員のヘテロシクロアルキルを形成してもよく、そのいずれも、任意で置換されていてもよい。
【0100】
「メルカプチル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、RS−基を指し、この場合のRは、本明細書で定義されているとおりである。
【0101】
「ニトロ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−NOを指す。
【0102】
「オキシ」または「オキサ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−O−を指す。
【0103】
「オキソ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、=Oを指す。
【0104】
「ペルハロアルコキシ」という用語は、すべての水素原子がハロゲン原子で置換されているアルコキシ基を指す。
【0105】
「ペルハロアルキル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、すべての水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキル基を指す。
【0106】
「スルホネート」、「スルホン酸」、および「スルホン」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−SOH基およびその陰イオン(スルホン酸を塩の生成に使用するような場合)を指す。
【0107】
「スルファニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−S−を指す。
【0108】
「スルフィニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−S(O)−を指す。
【0109】
「スルホニル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−S(O)−を指す。
【0110】
「N−スルホンアミド」という用語はRS(=O)NR’−基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0111】
「S−スルホンアミド」という用語は−S(=O)NRR’基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0112】
「チア」および「チオ」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−S−基、または、酸素が硫黄で置換されているエーテルを指す。チオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニルとスルホニルは、チアおよびチオの定義に含まれる。
【0113】
「チオール」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、−SH基を指す。
【0114】
「チオカルボニル」という用語は、本明細書で単独で使用する場合にはチオホルミル−C(S)Hを含み、組み合わせて使用する場合には−C(S)−基である。
【0115】
「N−チオカルバミル」という用語はROC(S)NR’−基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0116】
「O−チオカルバミル」という用語は−OC(S)NRR’基を指し、この場合のRとR’は、本明細書で定義されているとおりである。
【0117】
「チオシアナト」という用語は−CNS基を指す。
【0118】
「トリハロメタンスルホンアミド」という用語はXCS(O)NR−基を指し、この場合のXはハロゲンであり、Rは本明細書で定義されているとおりである。
【0119】
「トリハロメタンスルホニル」という用語はXCS(O)−基を指し、この場合のXはハロゲンである。
【0120】
「トリハロメトキシ」という用語は、XCO−基を指し、この場合のXはハロゲンである。
【0121】
「三置換シリル」という用語は、本明細書で単独でまたは組み合わせて使用する場合、3つの自由原子価において、本明細書で置換アミノの定義下で列挙されている基によって置換されているシリコーン基を指す。例としては、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
【0122】
本明細書のいずれかの定義を他のいずれかの定義と併せて用いて、複合構造の基を説明してもよい。慣例により、いずれかのこのような定義の語尾の元素は、親部分に結合するものである。例えば、複合基アルキルアミドは、アミド基を介して親分子に結合しているアルキル基を示し、アルコキシアルキルという用語は、アルキル基を介して親分子に結合しているアルコキシ基を示す。
【0123】
ある基が「空」であると定義されている場合、それは、その基が存在しないことを意味する。
【0124】
「置換されていてもよい」という用語は、その後に続く基が置換されていても、置換されていなくてもよいことを意味する。置換されている場合、「置換されていてもよい」基の置換基としては、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキシアミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、COCH3、COH、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、および低級尿素という群、または、特定の指定の郡一式(単独か組み合わせかは問わない)から独立して選択された1つ以上の置換基をが挙げられるが、これらに限定されない。2つの置換基が結合して、0〜3個のヘテロ原子からなる5、6、または7員の縮合炭素環またはヘテロ環を形成してもよく、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成してもよい。置換されいてもよい基は、非置換であっても(例えば−CHCH)、完全に置換されていても(例えば−CFCF)、一置換されていても(例えば−CHCHF)、完全置換と一置換との間のいかなるレベルで置換されていても(例えば−CHCF)よい。置換基について、置換に関する限定なしで述べられている場合、置換形態と非置換形態の両方が包含される。ある置換基が、「置換されている」ものとして限定されている場合、明確に置換形態を意図している。加えて、必要に応じて、特定の部分に対する異なる任意の置換基群を定義してもよい。これらのケースでは、上記の任意の置換基は、定義されているとおりになり、多くの場合、「〜で置換されていてもよい」という語句の直後に示されている。
【0125】
Rという用語、またはR’という用語は、単独で、かつ数字を付されることなく示されている場合、別段の定めのない限りは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される部分を指し、そのいずれも、任意で置換されていてもよい。このようなR基およびR’基は、本明細書で定義されているとおりに置換されていてもよいと理解されたい。R基に数字が付されているか否かを問わず、R、R’、およびR(n=(1,2,3,...n))を含むすべてのR基、すべての置換基、およびすべての用語は、群からの選択という点では、他のすべてのものから独立しているものと理解されたい。式または一般構造中に、変数、置換基、または用語(例えばアリール、ヘテロ環、Rなど)が2回以上示されている場合には、示されるたびにその定義は、他に示されているあらゆるものの定義からは独立している。当業者であればさらに、ある特定の基が、親分子に結合していても、記載通りいずれかの末端からの元素鎖内の位置を占めていてもよいことを認識するであろう。したがって、ほんの一例として、−C(O)N(R)−のような不斉基は、炭素または窒素のいずれかで親部分に結合していてもよい。
【0126】
本明細書に開示されている化合物には、不斉中心が存在する。これらの中心は、キラル炭素原子周囲の置換基の配置に応じて、「R」または「S」の記号で示される。本発明は、ジアステオレマー形態、鏡像異性体形態、およびエピマー形態、ならびに、d−異性体、1−異性体、およびこれらの混合物を含むすべての立体化学的異性体形態を包含するものと理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発原料から合成的に調製することも、または、鏡像異性体生成物の混合物を調製してから、ジアステレオマーの混合物に転換などして分離した後に、分離または再結晶化、クロマトグラフィー法、キラルクロマトグラフィーカラム上でのエナンチオマーの直接分離、もしくは当該技術分野において既知の他のいずれかの適切な方法によって調製することができる。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているものであるか、または、当該技術分野において既知の技法によって作製および分解することができる。加えて、本明細書に開示されている化合物は、幾何異性体として存在することもある。本発明は、すべてのシス異性体、トランス異性体、シン異性体、アンチ異性体、entgegen(E)異性体、およびzusammen(Z)異性体、ならびに、これらの適切な混合物を含む。加えて、化合物は互変異性体として存在することもあり、本発明は、すべての互変異性体を提供する。加えて、本明細書に開示されている化合物は、非溶媒和形態、および、水、エタノールなどのような製薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和形態で存在することもできる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であるとみなされている。
【0127】
「結合」という語は、結合によって連結される原子が、それらよりも大きい下部構造の一部であるとみなされる場合、2個の原子間、または2個の部分間の共有結合を指す。結合は、別段の定めのない限りは、単結合、二重結合、または三重結合であってよい。分子の図面中の2つの原子間の点線は、その位置に、追加の結合が存在してもしなくてもよいことを示している。
【0128】
「疾患」という用語は、本明細書で使用する場合、いずれも、ヒトまたは動物の身体またはその身体の一部の異常な状態のうち、正常な機能を損なう状態を示すという点で、「障害」および「状態」(病状における場合の用語)という用語と概ね同義であることが意図されており、かつ、「障害」および「状態」と同義的に用いられ、典型的には、兆候と症状を識別することによって明らかになり、ヒトまたは動物の寿命を縮めるか、またはクオリティオブライフを低下させるものである。
【0129】
「NF−κB媒介性疾患」という用語は、疾患の病理においてNF−κBが能動的な役割を果たす疾患を指す。NF−κB媒介性疾患には、NF−κB媒介性プロセスに加えて、多数の生物学的経路および/またはプロセスが疾患の病理に寄与する疾患が含まれる。NF−κB媒介性疾患は、NF−κBの活性または量の調節によって、完全または部分的に媒介されてもよい。特定的には、NF−κB媒介性疾患は、NF−κBの調節によって、基礎疾患に何らかの作用が及ぶ疾患、例えば、NF−κB調節因子の投与によって、治療中の患者の少なくとも何人かに、なんらかの改善が生じる疾患である。「NF−κB媒介性疾患」という用語は、本明細書に開示されている化合物が、NF−κB以外の生物学的経路および/またはプロセスを介して作用を示す場合でも、筋ジストロフィー、関節炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ病、癌、アテローム硬化症、1型糖尿病、2型糖尿病、レプトスピラ尿症、緑内障、網膜疾患、老化、頭痛、疼痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再潅流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発肺損傷、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、副鼻腔炎、中皮種、無汗性外胚葉性形成異常−ID、ベーチェット病、色素失調、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵炎、歯周炎、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV−1、自己免疫疾患、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイド神経障害、炎症性ニューロパシー、パーキンソン病、多発硬化、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、ハンティングトン病、白内障、および聴覚障害も指す。
【0130】
「併用療法」という用語は、本開示に記載されている治療的状態または障害を治療する目的で2種以上の治療剤を投与することを意味する。このような投与は、一定比率の有効成分を有する単一のカプセル剤、または有効成分ごとの複数の別々のカプセル剤のように、実質的に同時の形で上記の治療薬を同時投与することを包含する。加えて、上記のような投与は、連続的な形でそれぞれのタイプの治療薬を使用することも包含する。いずれのケースでも、治療レジメンは、本明細書に記載されている状態または障害を治療する際に、複合薬の有益な作用を提供することになる。
【0131】
「NF−κB調節因子は本明細書において、NF−κB阻害剤アッセイ(後で概要を説明する)で測定した場合に、NF−κB活性に関するEC50が約100μM以下、より典型的には約50μMである化合物を指す目的で用いられる。「EC50」は、最大値の半分のレベルまで、酵素(例えば(NF−κB))が活性化するか、もしくは酵素の活性が低下するか、または、酵素の量が増大もしくは減少する調節因子濃度である。本明細書に開示されている特定の化合物は、NF−κBに対する調節活性を示すことが明らかになった。本明細書に記載されているNF−κBアッセイで測定した場合、特定の実施形態では、化合物のNF−κBに関するEC50は約10μM以下となり、さらなる実施形態では、化合物のNF−κBに関するEC50は約5μM以下となり、さらに別の実施形態では、化合物のNF−κBに関するEC50は約1μM以下となり、さらに別の実施形態では、化合物のNF−κBに関するEC50は約200nM以下となる。
【0132】
「治療有効」という語句は、疾患または障害の治療の際に用いられる有効成分の量を限定することを意図している。この量は、前記疾患または障害を軽減または除去するという目的を達成することになる。
【0133】
「製薬学的に許容可能な」という用語は、過度の毒性、刺激、およびアレルギー反応なしに、患者の組織と接触させて用いるのに適している化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、両性イオン形態など)を指し、合理的な有益性/リスク比率に相応し、かつ、目的の用途にとって有効であることである。
【0134】
本明細書で使用する場合、患者の「治療」への言及は、予防を含むことを意図している。「患者」という用語は、ヒトを含むすべての哺乳類を意味する。患者の例としては、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギが挙げられる。患者はヒトであるのが好ましい。
【0135】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで活性が高まる化合物を指す。本明細書に開示されている特定の化合物は、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology(Testa,Bernard and Mayer,Joachim M.Wiley−VHCA,Zurich,Switzerland 2003)に記載されているようなプロドラッグとしても存在してもよい。本明細書に記載されている化合物のプロドラッグは、当該化合物を構造的に変化させた形態であり、この形態は、生理的条件下で化学変化を容易に起こして、当該化合物をもたらす形態である。加えて、プロドラッグは、エキソビボ環境における化学的または生化学的方法によって、当該化合物に転換させることができる。例えば、プロドラッグは、好適な酵素または化学試薬と共に経皮パッチリザーバ内に配置すると、化合物にゆっくり転換させることができる。プロドラッグは、状況によっては、化合物または親薬物よりも投与しやすいことがあるので、有用である場合が多い。例えば、プロドラッグには、経口投与でのバイオアベイラビリティがある場合がある一方で、親薬物にはない。また、プロドラッグは親薬物よりも、医薬組成物中での溶解度が高い場合がある。プロドラッグの加水分解または酸化的活性化に依存する誘導体のように、広範なプロドラッグ誘導体が当該技術分野において知られている。プロドラッグの非限定的な例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、後に、活性体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される化合物である。さらなる例としては、化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0136】
本明細書に開示されている化合物は、治療上許容可能な塩として存在することができる。本発明は、酸付加塩を含む塩の形態の、上に列挙した化合物を含む。好適な塩としては、有機酸および無機酸の両方で形成される塩が挙げられる。このような酸付加塩は通常、製薬学的に許容可能となる。しかし、製薬学的に許容可能でない塩が、目的の化合物の調製および精製の際に有用である場合もある。塩基付加塩も形成してよく、この塩も、製薬学的に許容可能である場合がある。塩の調製および選択に関するさらに完全な考察については、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Stahl,P.Heinrich.Wiley−VCHA,Zurich,Switzerland,2002)を参照されたい。
【0137】
「治療上許容可能な塩」または「塩」という用語は、本明細書で使用する場合、本明細書に開示されている化合物の塩または双性イオン形態のうち、水溶性、油溶性、水分散性、または油分散性であり、本明細書に定義されているように治療上許容可能であるものを表す。これらの塩は、遊離塩基の形態の適切な化合物を好適な酸と反応させることによって、化合物を最終分離および精製中に、または別々に調製することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L−アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL−マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L−酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩(p−トシル酸塩)、およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、本明細書に開示されている化合物の塩基性基は、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、硫酸ジアミル、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、ヨウ化ステリル、臭化ベンジル、および臭化フェネチルで4級化することができる。治療上許容可能な付加塩を形成する目的で用いることができる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸のような無機酸、ならびに、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸のような有機酸が挙げられる。また、塩は、化合物をアルカリ金属またはアルカリ土類イオンと配位結合させるによって形成することもできる。したがって、本発明は、本明細書に開示されている化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩なども意図している。
【0138】
塩基付加塩は、カルボキシル基を、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩のような好適な塩基、またはアンモニア、有機第1級アミン、有機第2級アミン、もしくは有機第3級アミンと反応させることによって、化合物を最終分離および精製中に調製することができる。治療上許容可能な塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェンアミン、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミンのような無毒性第4級アミンカチオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0139】
特定の実施形態では、塩としては、本明細書に開示されている化合物の塩酸塩、臭化水素酸塩、スルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、ホスホン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびイセチオン酸塩を挙げてよい。化合物の塩は、遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることによって作製することができる。
【0140】
本発明の化合物をそのままの化学物質として投与できる場合もあるが、本発明の化合物を医薬製剤として提供することもできる。したがって、本発明では、本明細書に開示されている1種以上の特定の化合物、または1種以上のその製薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、アミド、もしくは溶媒和物を、1種以上のその製薬学的に許容可能な担体と、任意で1種以上の他の治療成分と共に含む医薬製剤を提供する。この担体は、製剤の他の成分と適合性があり、かつ、その服用者にとって有害でないという意味で、「許容可能」でなければならない。適切な製剤は、選択した投与経路によって決まる。周知のいずれの技法、担体、および賦形剤も、好適であるように、かつ当技術分野において、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesで理解されているように使用してよい。本明細書に開示されている医薬組成物は、当該技術分野において知られているいずれかの方法、例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、粒状化プロセス、糖剤形成プロセス、粉末化プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、封入プロセス、または圧縮プロセスによって製造してよい。
【0141】
製剤としては、経口投与、非経口投与(皮下投与、皮内投与、筋内投与、静脈内投与、関節内投与、および髄内投与を含む)、腹腔内投与、経粘膜投与、経皮投与、直腸投与、ならびに局所投与(経皮投与、口腔投与、舌下投与、および眼内投与を含む)に適した製剤が挙げられるが、最も好適な経路は、例えば服用者の状態および傷害によって決まる場合がある。製剤は、利便的に単位投与形態で提供してもよく、かつ、薬学技術分野において周知のいずれかの方法によって調製してよい。典型的には、これらの方法は、本発明の化合物、またはその製薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、もしくは溶媒和物(「有効成分」)と、1つ以上の副成分を構成する担体とを会合させる工程を含む。一般に、製剤は、有効成分と、液体担体もくしは微粉固体担体、またはこの両方とを均一かつ密接に会合させてから、必要に応じて、その生成物を望ましい剤形にすることによって調製する。
【0142】
本明細書に開示されている化合物の製剤のうち、経口投与に適した製剤は、カプセル剤、カシェ剤、または錠剤のような個別の単位として提供してよく、これらの各々は、粉末もしくは顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または、水中油型乳濁液もしくは油中水乳濁液として、所定の量の有効成分を含む。また、有効成分は、ボーラス、舐剤、またはパスタ剤として提供してもよい。
【0143】
経口使用することができる医薬製剤としては、錠剤、ゼラチンで作られたプッシュフィット型カプセル剤、ならびに、ゼラチン、およびグリセロールもしくはソルビトールのような可塑剤で作られた密閉軟カプセル剤が挙げられる。錠剤は、任意で1種以上の副成分と共に圧縮または成形することによって作製してよい。圧縮錠剤は、結合剤、不活性希釈剤もしく潤滑剤、界面活性剤、または分散剤と任意で混合した状態で、粉末または顆粒のような自由流動形態の有効成分を好適な機械で圧縮することによって調製してよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤化した粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製してよい。錠剤は、任意でコーティングまたは分割してもよく、かつ、錠剤中の有効成分が持続放出または制御放出されるように調合してもよい。経口投与用のいずれの製剤も、経口投与に適した用量にすべきである。プッシュフィット型カプセル剤は、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、および/または、タルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ならびに、任意で安定剤との混合体で、有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような好適な液体に溶解または懸濁させてよい。加えて、安定剤を添加してもよい。糖剤のコアには、好適なコーティングを施してもよい。この目的で濃縮糖溶液を用いてもよく、この濃縮糖溶液は、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、ならびに/または、二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒もしくは溶媒混合液を任意で含有してもよい。活性化合物の用量のさまざまな組み合わせを区別または特徴化する目的で、染料または色素を錠剤または糖剤コーティングに添加してもよい。
【0144】
本発明の化合物は、注射、例えばボーラス注射、または持続注入による非経口投与用に調合してよい。注射用製剤は、単位用量形態で、例えばアンプルで、または複数回投与用の容器で、保存薬を添加した状態で提供してよい。本発明の組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤のような形態を取ってもよく、かつ、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤のような製剤化剤を含有してもよい。本発明の製剤は、単位用量または複数回投与用の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで提供してもよく、使用直前に、無菌液体担体、例えば、塩水または無菌純水を添加するだけでよい粉末形態またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管してよい。即時調合注射溶液および懸濁剤は、上述の種類の無菌の散剤、顆粒剤、および錠剤から調製してよい。
【0145】
非経口投与用の製剤としては、活性化合物の水性および非水性(油性)無菌注射液(抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および対象服用者の血液と等張の製剤をもたらす溶質を含有してよい)、ならびに、水性および非水性無菌懸濁剤(懸濁化剤および増粘剤を含有してよい)が挙げられる。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセライドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランのように、懸濁剤の粘度を向上させる物質を含有してよい。任意で、上記の懸濁剤は、好適な安定剤、または高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を向上させる薬剤も含有してもよい。
【0146】
経口または非経口用途では、本発明の化合物は、ナノ粒子製剤として調合してもよい。このようなナノ粒子製剤としては例えば、活性化合物のナノスフェアカプセル化体、活性化合物をつなげることができる非活性ナノ粒子、または活性化合物のナノスケール散剤を挙げることができる。ナノ粒子製剤を用いて、活性化合物のバイオアベイラビリティを向上させるか、活性化合物の放出速度を制御するか、または、活性化合物を身体の特定の位置に送達することができる。A.Dove,”An Easy Pill to Swallow”,Drug Discovery&Development Magazine:11(11),November,2008,pp.22−24を参照されたい。
【0147】
上記の製剤に加えて、本発明の化合物は、デポー製剤として調合してもよい。このような長時間作用型製剤は、埋入(例えば、皮下もしくは筋内埋入)または筋内注射によって投与してよい。したがって、例えば、本発明の化合物は、好適なポリマー材もしくは疎水性材と共に(例えば、許容可能な油中の乳濁液として)、またはイオン交換樹脂と共に、あるいは、例えば難溶性塩のような難溶性誘導体として調合してもよい。
【0148】
口腔または舌下投与では、本発明の組成物は、従来の方法で調合した錠剤、ロゼンジ、トローチ、またはゲルの形態を取ってもよい。このような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントのような矯味基剤中に有効成分を含有してよい。
【0149】
また、本発明の化合物は、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、またはその他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含有する座剤または保持浣腸のような直腸組成物中に調合してもよい。
【0150】
本明細書に開示されている特定の化合物は、局所投与、すなわち、全身投与以外の形によって投与してもよい。このような投与としては、本明細書に開示されている化合物が、血流に有意に入らないように、前記化合物を外部から表皮または口腔に適用すること、ならびに前記化合物を耳、目、および鼻への滴注することが挙げられる。これに対して、全身投与とは、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、および筋内投与を指す。
【0151】
局所投与に適した製剤としては、ゲル、リニメント剤、ローション剤、クリーム、軟膏、またはパスタ剤のように、皮膚を通じて炎症部位に浸透するに適した液体または半液体の製剤、および、目、耳、または鼻への投与に適した滴剤が挙げられる。局所投与用の有効成分は、例えば、製剤の0.001%〜10%w/w(重量%)を占めてよい。特定の実施形態では、有効成分は、10%w/w程度を占めてよい。別の実施形態では、有効成分は、5%w/w未満を占めてよい。特定の実施形態では、有効成分は、2%w/w〜5%w/wを占めてよい。別の実施形態では、有効成分は、製剤の0.1%〜1%w/wを占めてよい。
【0152】
口内局所投与、例えば口腔投与または舌下投与用の製剤としては、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントのような矯味基剤中に有効成分を含有するロゼンジ、ならびに、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような基剤中に有効成分を含有するトローチが挙げられる。
【0153】
吸入投与では、化合物は、注入器、ネブライザ、加圧パック、またはエーロゾルスプレーを送達するその他の利便的手段から利便的に送達してよい。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体のような好適な推進剤を含んでよい。加圧エーロゾルの場合には、定量を送達するための弁を搭載することによって投与単位を定めてよい。あるいは、吸入投与または吹送投与では、本発明による化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、化合物と、ラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基材との粉末混合物の形態を取ってよい。この粉末組成物は、例えば、カプセル、薬包、ゼラチン、または、粉末を吸入器または吹送器の力で投与できるブリスターパックで、単位投与形態で提供してもよい。
【0154】
好ましい単位投与製剤は、有効成分を、本明細書において後掲されているような有効量で、またはその適切な割合で含む製剤である。
【0155】
上記の製剤は、上で詳細に説明した成分に加えて、当該製剤のタイプを考慮しながら、当該技術分野における従来の他の薬剤を含有してもよいこと、例えば、経口投与に適した製剤は、矯味矯臭薬を含有してもよいことを理解されたい。
【0156】
化合物は、1日当たり0.1〜500mg/kgの用量で、経口投与または注射投与してよい。成人に対する用量範囲は一般に、1日当たり5mg〜2gである。個別単位で提供される錠剤またはその他の提供形態は好都合なことに、1種以上の化合物を、当該用量において、または複数回投与用として有効である量で含有してよく、例えば、投与単位には、5mg〜500mg、一般的には約10mg〜200mg含まれる。
【0157】
単回投与形態を製造するために担体材料と組み合わせてよい有効成分の量は、治療対象の宿主と、特定の投与方法に応じて変化することになる。
【0158】
本発明の化合物は、さまざまな方法で、例えば、経口、局所、または注射で投与することができる。患者に投与する化合物の正確な量については、主治医が責任を負う。いかなる特定の患者に対する具体的な用量レベルも、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食習慣、投与時期、投与経路、排泄速度、複合薬、治療対象の正確な障害、および治療対象の適応症または状態の重症度を含むさまざまな要因によって決まることになる。また、投与経路は、状態とその重症度によって変化する場合がある。
【0159】
場合によっては、本明細書に記載されている化合物(または、その製薬学的に許容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグ)の少なくとも1種を、別の治療薬と併せて投与するのが適切であることもある。ほんの一例として、本発明の化合物のうちの1種を投与されたときに患者が起こす副作用の1つが高血圧である場合、初期治療薬と併せて抗高血圧薬を投与するのが適切な場合がある。あるいは、ほんの一例として、本明細書に記載されている化合物のうちの1種の治療有効性は、アジュバントの投与によって増大する場合がある(すなわち、アジュバントは単独では、最小限の治療効果しか有さない場合もあるが、別の治療薬と併せると、患者への総合的な治療効果が増大する)。あるいは、ほんの一例として、本明細書に記載されている化合物のうちの1種を、同様に治療効果を有する別の治療薬(治療レジメンも含む)と併せて投与することによって、患者が受ける恩恵が増大する場合がある。ほんの一例として、本明細書に記載されている化合物のうちの1種を投与することを含む糖尿病治療の際にも、患者に別の糖尿病治療薬を投与することによって、治療効果が増大する場合がある。いずれのケースでも、治療対象の疾患、障害、または状態にかかわらず、患者が受ける総体的恩恵は、単に2つの治療薬の相加的効果である場合もあでば、患者が相乗効果を得る場合もある。
【0160】
いずれのケースでも、複数の治療薬(そのうちの少なくとも1つは、本明細書に開示されている化合物である)をいずれの順序でも、または同時にさえ投与してよい。同時の場合には、複数の治療薬は、単一の一体化形態で、または複数の形態で(ほんの一例として、1つの丸剤として、または2つの個別の丸剤として)提供してよい。治療薬の1つを複数回投与の形で投与しても、両方の治療薬を複数回投与の形で投与してもよい。同時でない場合には、複数回投与間のタイミングは、数分〜4週間の範囲のいずれかの期間であってよい。
【0161】
したがって、別の態様では、特定の実施形態は、NF−κB媒介性障害を治療する必要があるヒトまたは動物の患者のNF−κB媒介性障害を治療する方法であって、当該技術分野で知られている、前記障害を治療するための少なくとも1種の追加の薬剤と併せて、本明細書に開示されている化合物を、前記患者の前記障害を軽減または防止するのに有効な量で前記患者に投与することを含む方法を提供する。関連の態様では、特定の実施形態は、NF−κB媒介性障害を治療するための1種以上の追加の薬剤と共に、本明細書に開示されている化合物の少なくとも1種を含有する治療組成物を提供する。
【0162】
本明細書に開示されている化合物、組成物、および方法によって治療する具体的疾患としては、老化、頭痛、疼痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋ジストロフィー、筋消耗、異化障害、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、アテローム硬化症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再潅流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発肺損傷、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、レプトスピラ尿症、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、副鼻腔炎、中皮種、無汗性外胚葉性形成異常−ID、ベーチェット病、色素失調、結核、喘息、関節炎、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、緑内障、虫垂炎、パジェット病、膵炎、歯周炎、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、敗血症、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV−1、自己免疫疾患、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイド神経障害、炎症性ニューロパシー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、パーキンソン病、多発硬化、リウマチ病、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、ハンティングトン病、網膜疾患、白内障、聴覚障害、および癌が挙げられる。
【0163】
本明細書に開示されている特定の化合物と製剤は、ヒトの治療に有用であるのに加えて、哺乳類、齧歯類などを含むコンパニオンアニマル、エキゾチックアニマル、および家畜の獣医治療でも有用である場合がある。より好ましい動物としては、ウマ、イヌ、およびネコが挙げられる。
【0164】
本願で引用したあらゆる参考文献、特許、または出願特許は、米国のものか、米国以外のものかを問わず、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。何らかの矛盾がある場合には、本明細書に文字通りに開示されている内容が優先される
【0165】
化合物を調製するための共通の合成方法
下記のスキームを用いて、本発明を実施することができる。
スキームI
【化2】

実施例6〜7、23、および28は、スキームIに従って合成することができる。
【0166】
スキームII
【化3】

実施例8、および24〜25は、スキームIIに従って合成することができる。
【0167】
スキームIII
【化4】

実施例15、22、および27は、スキームIIIに従って合成することができる。
【0168】
スキームIV
【化5】

実施例19、21、および26は、スキームIVに従って合成することができる。
【0169】
スキームV
【化6】

実施例32は、スキームVに従って合成することができる。
【0170】
スキームVI
【化7】


実施例1〜3は、スキームVIに従って合成することができる。
【0171】
スキームVII
【化8】

調製物1は、スキームVIIに従って合成することができる。
【0172】
スキームVIII
【化9】

実施例16は、スキームVIIIに従って合成することができる。
【0173】
下記の実施例によって、本発明をさらに例示する。すべてのIUPAC名は、ケンブリッジソフトのChemDraw10.0を用いて作成した。
【0174】
調製物1
2−オキソ−2−((6S,10R,13S)−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15−オクタヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル
【化10】

【0175】
工程1
【化11】

【0176】
2−((6S,10R,13S)−17−ヒドロキシ−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル:(Tetrahedron Letters,2001,42(14):2639−2642を参照されたい。)あるいは、ジメチルホルムアミドとテトラヒドロフランとの混合物中にメチルプレドニゾロン21−酢酸を溶解させ、氷浴で冷却する。塩化メタンスルホニルにSOを通じ、メチルプレドニゾロン21−酢酸の溶液を含む溶液に、得られた混合物を滴下する。続いて、標準的な水系後処理によって、標題の生成物を単離することができる。
【0177】
工程2
【化12】

【0178】
(2’R,4’R,6S,10R,13S)−2’−アセチル−2’,6,10,13−テトラメチル−7,8,10,12,13,14,15,16−オクタヒドロスピロ[シクロペンタ[a]フェナントレン−17,4’−[1,3]ジオキサン]−3,5’(6H)−ジオン:2−((6S,10R,13S)−17−ヒドロキシ−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチルをトルエン中に溶解させ、1.5当量のオルト酢酸トリエチルと微量の塩酸ピリジニウムと共に加熱する。この反応混合物からエタノールを留去して完成させた。
【0179】
工程3
【化13】

【0180】
(6S,10R,13S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル酢酸:工程3から得た反応混合物を濃縮し、テトラヒドロフラン中に溶解させ、希塩酸で処置する。標準的な水系後処理によって、標題の化合物を得る。
【0181】
工程4
【化14】

【0182】
2−オキソ−2−((6S,10R,13S)−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15−オクタヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル:(6S,10R,13S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−6,10,13−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル酢酸を、2当量のジメチルホルムアミド中炭酸カリウムで加熱する。標準的な水系後処理によって、標題の化合物を得る。
【0183】
実施例1
(10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化15】

【0184】
工程1
【化16】

【0185】
(10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン:酢酸アネコルタブとして市販されている。標題の化合物は、実施例8の工程2の手順に従って、2−((10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチルを2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチルの代わりに用いて合成することができる。
【0186】
実施例2
(10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化17】

【0187】
【化18】

【0188】
(10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン:標題の化合物は、実施例3の工程1と実施例1の工程1の手順に従って、酢酸プレドニゾロンを酢酸ヒドロコルチゾンの代わりに用いて合成することができる。
【0189】
実施例3
2−((10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル
【化19】

【0190】
工程1
【化20】

【0191】
2−((10S,13S,17R)−17−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル:標題の化合物は、欧州特許第0097328号に開示されている手順に従って、酢酸ヒドロコルチゾンから合成することができる。2リットルのN,N−ジメチルホルムアミドと350mlのピリジンとの混合物に、405g(1モル)の酢酸ヒドロコルチゾンを加え、室温で攪拌しながら、260gの塩化メタンスルホニルを加える。この反応混合物を加熱し、80〜85℃に1時間保ってから、室温まで冷却する。メタノール(7リットル)を加える。濾過することによって、沈殿した結晶を分離し、メタノールと水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題の化合物を得る。
【0192】
実施例6
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化21】

【0193】
工程1
【化22】

【0194】
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン:実施例7の工程2から得た生成物を塩化メチレンとメタノール(塩化メチレンとメタノールの比率は1:3)に溶かした溶液を不活性雰囲気下で攪拌し、氷浴で冷却する。炭酸カリウム水溶液をシリンジによって加える。この反応物を5℃で2時間攪拌する。続いて、この反応物を1NのHClで中和し、濃縮する。水と塩化メチレンで分液した後、生成物溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥して濾過し、蒸発させて標題の化合物を得る。
【0195】
実施例7
2−オキソ−2−((10S,13S,16R)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル
【化23】

【0196】
工程1
【化24】

【0197】
2−((10S,13S,16R)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−7,8,12,13,15,16−ヘキサヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(6H,10H,14H)−イリデン)−2−(トリメチルシリルオキシ)酢酸エチル:(1990年12月4日のK.P.Shephardの米国特許第4,975,536号、Preparation 1,col.8を参照されたい。)余熱した反応槽1に、36.64グラム(100ミリモル)の2−((10S,13S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15−オクタヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル(ファイザーの商品)を加えた。この出発材料を200mlの無水テトラヒドロフランと200mlの無水ジクロロメタン中に溶解させた。トリメチルシリルイミダゾール(20.0ml、136ミリモル)を加えた。この溶液を少量の窒素気流下で−50℃まで冷却した。
【0198】
余熱した反応槽2に、プロピオン酸銅(II)(2.10グラム、10.0ミリモル)、150mlの無水テトラヒドロフラン、および無水1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンを加えた。この混合物を−50℃まで冷却し、塩化メチルマグネシウム(3M、10.0ml)を約5分間かけて滴下した。この混合物を約10分間攪拌した。反応槽2の中身をカニューレによって素早く(約30秒)反応槽1に移し、反応槽2を10mlの無水テトラヒドロフランですすぎ、これも反応槽1にカニューレで挿入した。塩化メチルマグネシウム(3M、45.0ml)にポンプを設置し、45分かけて反応槽1にポンプ注入した(ポンプは1.0ml/分に設定した)。反応槽1を−50℃で1時間、さらに攪拌してから、オーバーナイトで30℃まで加温した。
【0199】
トルエン(1L)を加え、温度を0℃にした。この混合物を2×500mlの5%(冷)酢酸で抽出してから、200mlの25%塩化ナトリウムで抽出した。この水相を300mlのトルエンで逆抽出した。トルエン抽出物を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、粘性油に濃縮した。収量は57.8グラムであった。
【0200】
工程2
【化25】

【0201】
2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル:工程1から得た粗生成物を酢酸エチル中に溶解させ、加水分解が完了するまで、1NのHCl水溶液でスラリー化する。この酸性水溶液を重炭酸カリウム水溶液で中和し、酢酸エチル相を乾燥し、濾過して、半固体に濃縮する。
【0202】
実施例8
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化26】

【0203】
工程1
【化27】

【0204】
2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル:3.3g(8.6mM)の2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチルと、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)(ウィルキンソン触媒、480mg、0.53mM)と、トリエチルシラン(1.4mL、1.0g、8.8mM)と、塩化メチレン(15mL)との混合物を40℃まで加温し、薄層クロマトグラフィーによって測定した場合に出発材料の大半が反応するまで攪拌した。この反応物を真空で蒸発させ、塩化メチレン中の10〜15%酢酸エチルによる微細シリカゲル(600g)クロマトグラフィーにかけた。700mLの1画分を回収してから、200mLの12画分を回収した。6〜12画分を蒸発させることによって、1.0gの量の所望の生成物(収率30%)を得た。(出発材料は、13画分から得た(0.7g、回収率20%)。)NMR(500MHz、CDCl、TMS):δ0.68(s、3H)、0.98(d、3H、J=6.5Hz)、1.12(m、1H)、1.33(s、3H)、1.47(m、1H)、1.57(m、1H)、1.69(m、1H)、1.99(m、1H)、2.18(s、3H)、2.07−2.29(m、6H)、2.36(d、1H)、2.50(m、3H)、2.79(m、1H)、4.48(d、1H、J=17Hz)、4.73(d、1H、J=17Hz)、5.50(s、1H)、5.75(s、1H)
【0205】
工程2
【化28】

【0206】
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン:2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル(1.0g、2.6mM)を塩化メチレン(5mL)とメタノール(15mL)に溶かした溶液を不活性雰囲気下に置き、氷浴で冷却した。1mLの1Mの炭酸カリウム水溶液をシリンジによって加えた。この反応物を5℃で2時間攪拌した。続いて、この反応物を1NのNClで中和して濃縮した。水と塩化メチレンで分液した後、その生成物溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥して、濾過し、蒸発させた。酢酸エチルから結晶化させたところ、1回目の収量0.33gの生成物を得た。NMR(500MHz、CDCl、TMS):δ0.67(s、3H)、1.01(d、3H、J=7Hz)、1.13(m、1H)、1.33(s、3H)、1.47−1.80(m、3H)、2.00(m、1H)、2.06−2.24(m、6H)、2.37(d、1H)、2.45−2.60(m、3H)、2.82(m、1H)、3.30(m、1H)、4.20(m、2H)、5.50(d、1H、J=5Hz)、5.76(s、1H)
【0207】
実施例15
(10S,13S,16R,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化29】

【0208】
工程1
【化30】

【0209】
2−((10S,13S,16R,17R)−17−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル:(Z)−2−((10S,13S,16R)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−7,8,12,13,15,16−ヘキサヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(6H,10H,4H)−イリデン)−2−(トリメチルシリルオキシ)酢酸エチルを塩化メチレン中に溶解させ、この混合物を摂氏0度まで冷却する。m−クロロ過安息香酸を塩化メチレンに溶かした溶液を滴下し、この混合物を4時間攪拌する。その有機相を酢酸水溶液で洗浄してから、亜硫酸水素塩水溶液で洗浄する。この有機相を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィーにかけ、標題の化合物を得る。
【0210】
工程2
【化31】

【0211】
(10S,13S,16R,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16,−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン:実施例8の工程2に従って、2−((10S,13S,16R,17R)−17−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチルを2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチルの代わりに用いて調製した。
【0212】
実施例16
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化32】

【0213】
実施例19
(10S,13S,16R,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化33】

【0214】
実施例20
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化34】

【0215】
実施例21
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−プロピル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化35】

【0216】
実施例22
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−プロピル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化36】

【0217】
実施例23
(10S,13S,16S,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−プロピル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化37】

【0218】
実施例24
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−プロピル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化38】

【0219】
実施例25
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−フェニル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化39】

【0220】
実施例26
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−フェニル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化40】

【0221】
実施例27
(10S,13S,16S,17R)−17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−フェニル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化41】

【0222】
実施例28
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−16−フェニル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化42】

【0223】
実施例29
(10S,13S,16S,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン
【化43】

【0224】
実施例30
(10S,13S,16S,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化44】

【0225】
実施例31
2−オキソ−2−((10S,13S,16S,17S)−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル
【化45】

【0226】
実施例32
(10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16,17−テトラメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン
【化46】

【0227】
工程1
【化47】

【0228】
2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16,17−テトラメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル:2−((10S,13S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ酢酸エチル(150g)とプロピオン酸銅(THF(90mL)中1.9Mとの混合物を氷アセトン浴で冷却する。塩化メチルマグネシウム(THF240mL中1.96M)を30分間、滴下する。1時間後、この反応物を200mlのTHF中のヨウ化メチル(100g)でクエンチする。続いて、この反応混合物を水とトルエンで分液する。分離した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮する。この残渣をエーテルおよびヘキサンから結晶化して、標題の化合物を得る。
【0229】
工程2
【化48】

【0230】
10S,13S,16R,17S)−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16,17−テトラメチル−6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3(2H)−オン:2−オキソ−2−((10S,13S,16R,17S)−10,13,16,17−テトラメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,10,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)酢酸エチル(144g)を1500mlのメタノール中で攪拌し、ナトリウムメトキシド(25%、5ml)で30分間処置する。この混合物を塩化メチレンと重炭酸ナトリウムで分液する。有機相を分離し、重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して濃縮し、標題の化合物を得る。
【0231】
下記の化合物は概して、上記の方法を用いて作製することができる。これらの化合物は、作製すると、すでに作製および試験を行った化合物と同様の活性を有することになるものと予想される。
【0232】
【化49】

【0233】
【化50】

【0234】
【化51】

【0235】
【化52】

【0236】
【化53】

【0237】
【化54】

【0238】
実施例1〜7および15〜16の化合物のNF−κB調節因子としての活性は、下記のアッセイで例示されている。作製および/または試験を行っていない上記のその他の化合物は、下記のアッセイでも、活性を有するものと予測される。
【0239】
生物活性アッセイ
インビトロでのNF−κB阻害剤スクリーニングアッセイ
NF−κB応答配列の複数のコピーの下で調節したルシフェラーゼレポーターコンストラクト(カリフォルニア州フレモントのパノミックス)で安定的にトランスフェクションした骨格筋細胞C2C12を用いて、NF−κB阻害剤をスクリーニングした。これらの細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)(バージニア州マナッサスのATCC)、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml、および100μg/mlのハイグロマイシンB(インディアナ州インディアナポリスのロシュ)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)と共に、組織培養インキュベーター中で、37℃にて5%のCOによって保持した。スクリーニングアッセイは、2連の96ウェルプレート中にて、筋芽細胞(10%FBSを含む培地中で増殖)内で、容積100μlのウェル当たり5×10細胞の細胞濃度で実施した。細胞は、さまざまな濃度(0.01μg/ml〜10μg/ml)の化合物で24時間、前処理してから、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)(10ng/ml)でさらに24時間刺激した。ポジティブコントロールとして試験する各プレートには、プレドニゾロンを入れた。インキュベーションの完了後、細胞をPBSで2回洗浄し、細胞溶解緩衝液で溶解して、Centro LB960という照度計(ドイツ、バート・ヴィルドバートのベルトールドテクノロジーズ社を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した(ウィスコンシン州マディソンのプロメガ社)。薬物不存在下でのTNF−αの刺激による相対的発光単位を100%とみなすと共に、データは、TNF−αによって誘発されるNF−κB活性に対する阻害率(%)として表した。
【0240】
【表1】

−は、阻害率が100%以上であることを示している。
+は、阻害率が80〜100%であることを示している。
++は、阻害率が60〜80%であることを示している。
+++は、阻害率が40〜60%であることを示している。
++++は、阻害率が20〜40%であることを示している。
*は、p値が0.01未満であることを示している。
【0241】
細胞の生存能を2連プレートでMTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)(ミズーリ州セントルイスのシグマ)によって、メーカーのプトロコルに従ってアッセイした。未処置の細胞と比較して細胞の生存率(%)を算出した。実施例1〜7および15〜16のいずれでも、試験したすべての用量(0.01、0.1、1、および10μg/mL)において、細胞の生存能の有意な低下(<80%)は見られなかった。
【0242】
NF−κBの核トランスロケーションの阻害
TNF−αによって誘発される、NF−κBの活性化の阻害を核トランスロケーション免疫蛍光アッセイによって確認した。C2C12細胞をカバースリップ上で増殖させ、上記のようにTNF−αと最適濃度の化合物で処置した。細胞をアセトンで固定し、ウサギ抗NF−κB(p60)抗体/抗ウサギテキサスレッド(カリフォルニア州サンタクルーズのサンタクルーズ・バイオテク社)で染色し、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールHCl(DAPI)(カリフォルニア州インビトロジェン)で対比染色して、核を視覚化した。
【0243】
【表2】

+は、当該化合物が、TNF−α誘発よって誘発される、NF−κBの核トランスロケーションをブロックしたことを示している。
【0244】
ジストロフィーのインビボmdxマウスモデル
個々のmdxマウス群(n=12〜14)をプレドニゾロン(1日当たり5mg/kg、飼料に混ぜて経口投与)、実施例1(1日当たり20および40mg/kg、飼料に混ぜて経口投与)、実施例2(1日当たり20および40mg/kg、飼料に混ぜて経口投与)で3カ月間処置した。処置期間中、すべてのマウスに対して、週に2回、30分のトレッドミル運動を行わせたところ、mdxマウスモデルの軽度の疾患表現型が明らかになった。
【0245】
体重(BM)に対する作用
【表3】

*は、p値が0.05未満であることを示している。
【0246】
インビボでの運動神経および運動力に対する作用
ロータロッド(イタリア、VAのウゴバジレ)による試験を用いて、運動神経と運動力を評価した。簡潔に言うと、マウスにロータロッド上で2日間トレーニングさせてから、データを収集した。各順化セッションは、4回のトレーニングセッション(1日2回)から構成させ、各セッションは5rpmの速度で120秒間持続させた)。各試験では、マウスを10rpmのロッド上に60秒間(安定化期間)置き、続いて、最初の25秒以内で10rpmから40rpmまで加速して、マウスがロッドから落下するか、または180秒に達するまで続けた。安定化期間中にマウスが落下したら、マウスをロッド上に戻し、セッションを最後まで行った。総試験時間は240秒であった(60秒の安定化時間と180秒の試験時間)。各試験を1日に2回(セッション間隔は2時間)、3日連続で行った。落下までの時間(秒)を記録し、6回のすべてのスコアをマウスごとに平均化した。この平均データを、3つの週齢群の各群のマウスにおける落下までの時間(秒)として表した。未処置マウスがロッド上に留まる能力には、有意な経時変化は見られなかった。
【0247】
【表4】

【0248】
インビトロでの収縮力に対する作用
長趾伸(EDL)筋の遠位腱をサーボモーター/フォーストランスデューサー(カナダ、オンタリオ州リッチモンドヒルのオーロラ・サイエンティフィックのモデル305B)のレバーアームにしっかりと取り付け、近位腱を組織クランプに取り付けた。2本の白金電極の間で筋肉を刺激した。EDL用に、単一の0.2msの方形刺激パルスを用いて筋肉を最大上刺激して、最大単収縮力をもたらす長さ(L)に筋長を調節した。30Hz、50Hz、80Hz、100Hz、120Hz、および150Hzという刺激周波数を用いて、筋肉をLに保った状態で、ELD筋に関して、300msの一連の刺激パルス中に生じる最大等尺性強縮力(P)を記録した。続いて、筋長をキャリパーで測定し、槽から筋肉を取り外した後、筋肉の質量を割り出した。各筋肉において、最適繊維長(L)は、事前に割り出した0.45というL/L比をLに乗じることによって算出した。湿質量をLと哺乳類の骨格筋密度(1.06mg/mm)との積で除することによって、筋繊維の総断面積を割り出した。Pを筋繊維の総断面積で除することによって、最大等尺性比筋力(sP)を割り出した。未処置群とプレドニゾロン処置群の比筋力には、統計的に有意な(p<0.05)差異は見られなかった。
【0249】
【表5−1】

*は、p値が0.05未満であることを示している。
【0250】
組織学的評価
未処置のmdxマウスの腓腹筋をヘマトキシリンおよびエオシン染色すると、有意な変性および炎症が見られる。実施例1および実施例2で処置したマウスの骨格筋では、未処置のmdxマウスおよびプレドニゾロン処置のmdxマウスと比べて、炎症、変性の有意な低下と、再生筋繊維の増大が見られた。プレドニゾロンを継続投与すると、変性が増大し、ジストロフィー骨格筋の再生が低下するようであった。
【0251】
糖質コルチコイド受容体結合アッセイ
実施例の化合物の糖質コルチコイド受容体(GR)への受容体結合親和性を割り出すために、ヒトおよびマウスの糖質コルチコイド受容体α用のcDNA発現クローン(バキュロウイルス)を用いてリガンド結合アッセイを行った。さまざまなGRコンストラクトを含む肝臓抽出物を放射性標識3H−デキサメタゾン(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)およびアッセイ緩衝液(10mMのTris−HCl、1.5mMのEDTA、10%のグリセロール、1mMのジチオトレイトール、および20mMのモリブデン酸ナトリウム、pH7.6)中の試験化合物とインキュベートした。シンチレーションプレートリーダーを用いて放射活性の量を測定した。デキサメタゾンは、マイクロモル濃度で3H−デキサメタゾンとの競合結合を示した。
【表5−2】

【0252】
当業者は、上記の説明から、本発明の本質的特徴を容易に確認することができると共に、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明のさまざまな変更形態および修正形態を作製して、本発明をさまざまな用途および条件に適合させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋ジストロフィーの症状を軽減するための医薬の製造で用いる化合物であって、下記の構造式Iを有する化合物、またはその塩
【化1】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルキコシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒロドキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい)。
【請求項2】
とRが独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRが一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rが水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rが水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rがアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rが水素またはアセチルではなく、
、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルでなく、
とRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rがアセチルではない、請求項1に記載の用途。
【請求項3】
が、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールが、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の用途。
【請求項4】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項1に記載の用途。
【請求項5】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項4に記載の用途。
【請求項6】
が、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される、請求項5に記載の用途。
【請求項7】
が、非置換の炭素数2〜6のアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される、請求項5に記載の用途。
【請求項8】
がエチルである、請求項5に記載の用途。
【請求項9】
前記筋ジストロフィーが、デュシェーヌ筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、先天型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、眼咽頭筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、およびエメリー−ドライフス筋ジストロフィーからなる群から選択される、請求項1に記載の用途。
【請求項10】
前記筋ジストロフィーがデュシェーヌ筋ジストロフィーである、請求項1に記載の用途。
【請求項11】
別の治療薬の投与を含む、請求項1に記載の用途。
【請求項12】
関節炎の症状を軽減するための医薬の製造で用いる化合物であって、下記の構造式Iを有する化合物、またはその塩
【化2】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、アルキルスフホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、
前記点線が二重結合を示しており、Rがメチルであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは−C(O)CHCHCOHではなく、
、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素またはアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rがフッ素であり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素またはアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rがメチルであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない)。
【請求項13】
とRが独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRが一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rが水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rが水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rがアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rが水素またはアセチルではなく、
、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rが水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
とRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rがアセチルではない、請求項12に記載の用途。
【請求項14】
が、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールが、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい、請求項12に記載の用途。
【請求項15】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項12に記載の用途。
【請求項16】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項15に記載の用途。
【請求項17】
が、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される、請求項16に記載の用途。
【請求項18】
が、非置換の炭素数2〜6のアルキルとフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される、請求項16に記載の用途。
【請求項19】
がエチルである、請求項18に記載の用途。
【請求項20】
別の治療薬の投与を含む、請求項12に記載の用途。
【請求項21】
NF−κB媒介性疾患の症状を軽減するための医薬の製造で用いる化合物であって、下記の構造式Iを有する化合物、またはその塩
【化3】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルオキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rは水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rは水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rはアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rは水素またはアセチルではなく、
、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
とRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない)。
【請求項22】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシルで置換されていてもよい、請求項21に記載の用途。
【請求項23】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシルで置換されていてもよい、請求項22に記載の用途。
【請求項24】
が、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素およびアセチルからなる群から選択される、請求項23に記載の用途。
【請求項25】
前記NF−κB媒介性疾患が、筋ジストロフィー、関節炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ病、癌、アテローム硬化症、1型糖尿病、2型糖尿病、レプトスピラ尿症、緑内障、網膜疾患、老化、頭痛、疼痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再潅流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発肺損傷、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、副鼻腔炎、中皮種、無汗性外胚葉性形成異常−ID、ベーチェット病、色素失調、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵炎、歯周炎、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV−1、自己免疫疾患、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイド神経障害、炎症性ニューロパシー、パーキンソン病、多発硬化、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、ハンティングトン病、白内障、および聴覚障害からなる群から選択される、請求項21に記載の用途。
【請求項26】
前記NF−κB媒介性疾患が喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項21に記載の用途。
【請求項27】
前記NF−κB媒介性疾患がシェーグレン症候群である、請求項21に記載の用途。
【請求項28】
前記NF−κB媒介性疾患が喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項24に記載の用途。
【請求項29】
前記NF−κB媒介性疾患がシェーグレン症候群である、請求項24に記載の用途。
【請求項30】
別の治療薬の投与を含む、請求項21に記載の用途。
【請求項31】
NF−κB媒介性疾患の症状を軽減するための医薬の製造で用いる化合物であって、下記の構造式Iを有する化合物、またはその塩
【化4】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい)。
【請求項32】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、非置換の炭素数2〜6のアルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項31に記載の用途。
【請求項33】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボキシルで置換されていてもよい、請求項32に記載の用途。
【請求項34】
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素、アセチル、および−C(O)CHCHCOHからなる群から選択される、請求項33に記載の用途。
【請求項35】
がエチルである、請求項34に記載の用途。
【請求項36】
前記NF−κB媒介性疾患が、筋ジストロフィー、関節炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ病、癌、アテローム硬化症、1型糖尿病、2型糖尿病、レプトスピラ尿症、緑内障、網膜疾患、老化、頭痛、疼痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再潅流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発肺損傷、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、副鼻腔炎、中皮種、無汗性外胚葉性形成異常−ID、ベーチェット病、色素失調、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵炎、歯周炎、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV−1、自己免疫疾患、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイド神経障害、炎症性ニューロパシー、パーキンソン病、多発硬化、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、ハンティングトン病、白内障、および聴覚障害からなる群から選択される、請求項31に記載の用途。
【請求項37】
前記NF−κB媒介性疾患が喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項31に記載の用途。
【請求項38】
前記NF−κB媒介性疾患がシェーグレン症候群である、請求項31に記載の用途。
【請求項39】
前記NF−κB媒介性疾患が喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項35に記載の用途。
【請求項40】
前記NF−κB媒介性疾患がシェーグレン症候群である、請求項35に記載の用途。
【請求項41】
別の治療薬の投与を含む、請求項31に記載の用途。
【請求項42】
下記の構造式Iの化合物、またはその塩
【化5】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、水素、低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルキコシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数2〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒドロキシ、メルカプチル、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、−CHF、またはフルオロであり、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、トリフルオロアセチル、−C(O)−アダマンチル、またはベンゾイルではなく、
が水素、メチル、フルオロ、またはクロロであり、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルである場合、Rは水素、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、RとRがそれぞれメチルである場合、Rは水素、アセチル、またはベンゾイルではなく、
前記点線が二重結合を示しており、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがエチルである場合、Rはアセチルではなく、
前記点線が二重結合を示しておらず、Rが水素またはフルオロであり、R、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である場合、Rは水素またはアセチルではなく、
、R、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rは水素、ホルミル、非置換の炭素数1〜5のアルキルアシル、またはベンゾイルでなく、
とRがそれぞれフルオロであり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、Rがヒドロキシルである場合、Rはアセチルではない)。
【請求項43】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシで置換されていてもよい、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、非置換の低級アルキル、およびフェニルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシで置換されていてもよい、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
が、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素およびアセチルからなる群から選択される、請求項43に記載の化合物。
【請求項46】
がエチルである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
医薬として用いられる、請求項42に記載の化合物。
【請求項48】
下記の構造式Iの化合物、またはその塩
【化6】

(I)
(式中、前記点線は、二重結合であってもよいことを示しており、
、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、非置換の低級アルキル、低級ハロアルキル、およびハロゲンからなる群から選択され、
は、炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールからなる群から選択され、前記炭素数2〜8のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ペルハロアルコキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ヒドロキシル、および低級アルキルからなる群から選択され、前記低級アルキルは、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは独立して、水素、非置換の炭素数1〜3のアルキルからなる群から選択されるか、または、RとRは一体となって、オキソまたは炭素数3〜6の飽和シクロアルキルを形成することができ、
は、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルは、アシル、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル、カルバメート、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドラジニル、ヒロドキシ、メルカプチル、ニトロ、オキソ、ペルハロアルコキシ、スルホネート、アルキルスルホニル、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、およびチオールからなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい)。
【請求項49】
が、非置換の炭素数2〜6のアルキルおよびフェニルから選択される、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
とRがそれぞれ水素であり、
とRがそれぞれ独立して、水素、メチル、およびフッ素からなる群から選択され、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシで置換されていてもよい、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
とRがそれぞれ水素であり、
が、水素、アシル、およびアルキルからなる群から選択され、前記アシルおよびアルキルが、アミノおよびヒドロキシで置換されていてもよい、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
がエチルまたはフェニルであり、
が、水素、ヒドロキシル、およびメチルからなる群から選択され、
が、水素およびアセチルからなる群から選択される、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
がエチルである、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
医薬として用いられる、請求項48に記載の化合物。

【公表番号】特表2011−521964(P2011−521964A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511822(P2011−511822)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045489
【国際公開番号】WO2009/155056
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510314127)バリダス・バイオファーマ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VALIDUS BIOPHARMA, INC.
【Fターム(参考)】