説明

疾患治療薬としての選択的セロトニン受容体逆作動薬

セロトニン受容体の逆作動薬又はセロトニン受容体の拮抗薬並びに抗精神病薬を含む医薬組成物を開示する。開示する医薬組成物を用いて精神疾患を処置する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病、躁病又は社会恐怖症及び他の精神疾患の処置において治療剤として有効な化合物の新規の組合せに関する。当該組合せはセロトニン逆作動薬と別の抗うつ薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬又は抗精神病薬を含む。
【背景技術】
【0002】
セロトニン又は5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)は哺乳動物のからだの機能において重要な役割を果たす。中枢神経において、5−HTは重要な神経伝達物質及び神経修飾物質であり、これは睡眠、摂食、移動運動、疼痛感、学習及び記憶、性行動、体温及び血圧の調節のような多彩な挙動及び応答において示唆される。脊柱において、セロトニンは求心性末梢侵害受容器の調節系において重要な役割を果たす(Moulignier, Rev. Neurol. 150:3-15, (1994))。心血管系、血液系及び消化管系の末梢機能も5−HTに帰属するものとみなされてきた。5−HTは様々な収縮、分泌及び電気生理学的作用を媒介することが見出されており、これには血管及び非血管平滑筋収縮並びに血小板凝集が含まれる(Fuller, Biology of Serotonergic Transmission, 1982; Boullin, Serotonin In Mental Abnormalities 1:316 (1978); Barchas, et al., Serotonin and Behavior, (1973))。5−HT2A受容体亜型(サブクラスとも称される)は広範であるが分散してヒト脳に発現され、これには高次認識及び情動機能の調節に関わると想定される多くの皮質、大脳辺縁及び前脳領域が含まれる。この受容体亜型は成熟血小板においても発現され、ここで部分的に血小板凝集を媒介し、血管血栓過程の第一段階の1つとなる。
【0003】
体内におけるセロトニンの広範な分布を考えると、セロトニン作動系に作用する薬剤への多大な関心が存在することは理解できる(Gershon, et al., The Peripheral Actions of 5-Hydroxytryptamine, 246 (1989); Saxena, et al., J. Cardiovascular Pharmacol. 15: Supp. 7 (1990))。セロトニン受容体は、細胞間伝達の変換器として機能する膜貫通蛋白質の大きなヒト遺伝子ファミリーのメンバーである。セロトニン受容体は神経細胞及び血小板を含む様々な細胞種の表面に存在し、内因性リガンドセロトニン又は外部から投与された薬剤による活性化と同時に立体配座構造を変化させ、続いて細胞シグナル伝達の下流のメディエータと相互作用する。5−HT2Aサブクラスを含むこれらの受容体の多くは、グアニンヌクレオチド結合タンパク質(G蛋白質)を活性化させることによりシグナル伝達するG蛋白質結合受容体(GPCR)であり、サイクリックAMP、イノシトールリン酸及びジアシルグリセロールのような二次メッセンジャー分子を生じさせ、或いは阻害する。次に、二次メッセンジャーはキナーゼ及びイオンチャネルを含む種々の細胞内酵素の機能を調節し、これは最終的に細胞の興奮性及び機能に影響を及ぼす。
【0004】
少なくとも15種類の遺伝学的に異なる5−HT受容体亜型が同定されており、7ファミリーの1つに割り当てられている(5−HT1−7)。各亜型は独特な分布、種々のリガンドに対する嗜好性及び機能相関を示す。
【0005】
セロトニンは、ある種の精神疾患(うつ病、攻撃性、パニック発作、強迫性障害、精神病、統合失調症、自殺傾向)、ある種の神経変性障害(アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病)、摂食障害、過食症、アルコール中毒症に関連する疾患、脳血管発作及び片頭痛のような種々の病的症状における重要な構成因子であり得る(Meltzer, Neuropsychopharmacology, 21:106S-115S (1999); Barnes & Sharp, Neuropharmacology, 38:1083-1152 (1999); Glennon, Neurosci. Biobehavioral Rev., 14:35 (1990))。最近のエビデンスでは、高血圧、血栓、片頭痛、血管攣縮、虚血、うつ、不安感、精神病、統合失調症、睡眠障害及び食欲障害のような病状の病因に5−HT2受容体亜型が関与するとみなしている。
【0006】
統合失調症は人口の約1%に発症する特に深刻な神経精神疾患である。同疾患に罹患した個人の診断、処置及び失われた社会的生産性の総財政経費は、米国の国民総生産(GNP)の2%を上回ると推定されている。現在の処置は主に抗精神病薬として既知の薬剤類を用いた薬物療法を伴う。抗精神病薬は陽性症状(例えば、幻覚及び妄想)を改善するのに有効であるが、陰性症状(例えば、社会的及び情動的引きこもり、アパシー及び会話の貧困)を改善しない場合が多い。
【0007】
現在、主な9クラスの抗精神病薬が精神病症状を処置するために処方されている。しかし、これらの化合物の使用はその副作用プロファイルにより限定されている。ほとんどすべての「典型的な」又は旧世代の化合物はヒト運動機能に対して有意な有害作用を有する。これらの「錐体外路性」副作用は、調節性のヒト運動系への作用からそのように命名されたのであるが、急性(例えば、ジストニー反応、生命を脅かすが希少な神経弛緩薬性悪性症候群)且つ慢性(例えば、アカチジア、振戦及び遅発性ジスキネジー)であり得る。従って、薬品開発ではこれらの副作用がない新規の「非定型」薬剤に努力を向けてきた。
【0008】
抗精神病薬は、ドーパミン受容体、セロトニン受容体、アドレナリン受容体、ムスカリン受容体及びヒスタミン性受容体を含む、多くの中枢モノアミン作動性神経伝達物質受容体と相互作用することが示されている。これらの薬剤の治療効果又は有害作用は異なる受容体亜型に媒介されると思われる。これらの受容体亜型間の遺伝的及び薬理的な高度の相同性により、亜型選択的化合物の開発及び任意特定の受容体亜型の通常の生理学的若しくは病態生理学的役割の判定が阻害されてきた。従って、モノアミン作動性神経伝達物質受容体の間で個々の受容体クラス及びサブクラスに選択的な薬剤を開発する必要がある。
【0009】
抗精神病薬の作用機序に対する支配的理論はドーパミンD2受容体の拮抗作用に関連する。残念なことに、ドーパミンD2受容体の拮抗作用も錐体外路性副作用を媒介すると思われる。5−HT2Aの拮抗作用は、抗精神病薬の有効性を有する薬剤の代替分子機構であり、おそらくセロトニン作動系を通じた、亢進し、或いは過剰になったシグナル伝達の拮抗作用を介すると思われる。従って、5−HT2A拮抗薬は錐体外路性副作用を伴わない、精神病を処置するための優れた候補薬である。
【0010】
従来、これらの受容体は作動薬(受容体を活性化する薬剤)の結合により活性化しなければ静止状態で存在すると想定されていた。現在ではセロトニン受容体を含むGPCRモノアミン受容体の大部分ではなくとも多くが、その内在性アゴニストの不在下で部分的に活性化した状態で存在し得ることが理解されている。この増大した基礎活性(構成活性)は逆作動薬と呼称される化合物により抑制することができる。作動薬及び逆作動薬は、それぞれ単独でこれらの分子を活性化し、或いは不活化するという点において、受容体における固有活性を有する。対照的に、古典的又はニュートラルアンタゴニストは受容体へのアクセスに対して作動薬及び逆作動薬と競合するが、受容体の上昇した基礎又は構成応答を抑制する固有能力を有さない。
【0011】
最近、受容体選択及び増幅法(Receptor Selection and Amplification Technology)(米国特許第5,707,798号、1998年;Chem Abstr. 128:111548 (1998) 及びその引用)をセロトニン受容体の5−HT2サブクラスの試験に適用することにより、5−HT2A受容体機能の重要な側面が明らかになった。R−SATは哺乳類線維芽細胞における受容体の異種発現を含む受容体機能の表現型検査である。この技法を用いて、本来の5−HT2A受容体が有意な構成的或いはアゴニスト独立的な受容体活性を有することが示された(米国特許第6,358,698号、参照して本明細書に組み込まれる)。更に、神経精神疾患における既知の臨床作用で多数の中枢作用性医薬品化合物を直接試験することにより、抗精神病薬の有効性を有する化合物はすべて共通の分子特性を有することが判明した。精神病を処置するために精神科医により用いられる、これらの化合物のほとんどすべてが、強力な5−HT2A逆作動薬であることが見出された。単一受容体亜型における、この独特な臨床−薬理の相関は、5−HT2A受容体逆作動がヒトにおける抗精神病薬の有効性の分子機構であるという有力なエビデンスである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
多数の抗精神病薬化合物の詳細な薬理学特性評価により、これら化合物が複数の関連受容体亜型において広範な活性を有することが明らかになった。これら化合物の大部分が、セロトニン受容体、ドーパミン受容体、アドレナリン受容体、ムスカリン受容体及びヒスタミン性受容体を含む、複数のモノアミン作動性受容体亜型において、作動活性、競合的拮抗作用又は逆作動活性を示す。この広範な活性がこれらの化合物の鎮静、高圧及び運動に関わる副作用の原因であると思われる。従って、5−HT2A受容体の選択的逆作動薬であるが、他のモノアミン受容体亜型、特にドーパミンD2受容体に対する活性をほとんど或いは全く有さない化合物を開発することは大いに有益であると思われる。このような化合物はヒト疾患の処置において有用であり得て(例えば、抗精神病薬として)、非選択的受容体の相互作用に関連する有害な副作用を回避し得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
セロトニン受容体の逆作動薬、セロトニン受容体の拮抗薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第一の化合物と、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II)
【化1】

の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第二の化合物とを含む医薬組成物を本明細書で開示する。一部の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2A受容体である。一部の実施形態において、第一の化合物は化学式(I):
【化2】

の化合物である。一部の実施形態において、第一の化合物は化学式(II):
【化3】

の化合物であり、第二の化合物は、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬からなる群より選択される。一部の実施形態において、SSRIは、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(sertaline)(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンからなる群より選択される。一部の実施形態において、SNRIは、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(venfalaxine)(effexor)からなる群より選択される。一部の実施形態において、MAO−Iは、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)からなる群より選択される。一部の実施形態において、TCAは、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗精神病薬は、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、ジベンザピン(debenzapine)、ベンジソキシジル(benzisoxidil)及びリチウム塩からなる群より選択される。一部の実施形態において、フェノチアジンは、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellarilからなる群より選択される。一部の実施形態において、フェニルブチルピペラジンは、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、debenzapineは、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、ベンジソキシジルは、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、リチウム塩は炭酸リチウムである。一部の実施形態において、抗精神病薬は、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonからなる群より選択される。一部の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬は、チオニソキセチン(thionisoxetine)及びレボキセチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、ドーパミン作動薬は、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬は、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤からなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬はH1拮抗薬又は逆作動薬である。一部の実施形態において、H1拮抗薬又は逆作動薬は、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗躁病薬は、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗恐怖症薬はD−サイクロセリンである。一部の実施形態において、医薬組成物は生理学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤又はこれらの組合せを更に含む。一実施形態において、第一の化合物は化学式(I):
【化4】

の化合物であり、第二の化合物はフルオキセチンである。
【0014】
患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病、不眠症及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置する方法も本明細書で開示し、当該方法は、当該処置を必要とする患者を同定するステップと、前述のセロトニン受容体の逆作動薬、セロトニン受容体の拮抗薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第一の化合物と、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II):
【化5】

の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第二の化合物との組合せの治療有効量を当該患者に投与するステップとを含む。一部の実施形態において、精神神経疾患は、統合失調症とその関連特発性精神病、不安症、睡眠障害、食欲障害、感情障害、トゥレット症候群、薬剤因性精神病及び神経変性障害に伴う精神病からなる群より選択される。一部の実施形態において、感情障害は、大うつ病、双極性障害及び精神病的特徴を有するうつ病からなる群より選択される。一部の実施形態において、神経変性障害は、アルツハイマー病及びハンチントン病からなる群より選択される。一実施形態において、疾患はうつ病であり、第一の化合物は化学式(I):
【化6】

の化合物であり、第二の化合物はフルオキセチンである。
【0015】
患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病、不眠症及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置するための薬剤を調製するための第一の化合物及び第二の化合物の使用についても本明細書で開示し、第一の化合物及び第二の化合物は前述の通りである。
【0016】
化学式(I):
【化7】

の化合物と、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II):
【化8】

及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される化合物とを含む医薬組成物も本明細書で開示する。一部の実施形態において、SSRIは、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンからなる群より選択される。一部の実施形態において、SNRIは、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン(dulexetine)、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)からなる群より選択される。一部の実施形態において、MAO−Iは、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)からなる群より選択される。一部の実施形態において、TCAは、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン、(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗精神病薬は、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、debenzapine、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択される。一部の実施形態において、フェノチアジンは、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellarilからなる群より選択される。一部の実施形態において、フェニルブチルピペラジンは、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、debenzapineは、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、ベンジソキシジルは、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、リチウム塩は炭酸リチウムである。一部の実施形態において、抗精神病薬は、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonからなる群より選択される。一部の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬は、チオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、ドーパミン作動薬は、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬は、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤からなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬はH1拮抗薬又は逆作動薬である。一部の実施形態において、H1拮抗薬又は逆作動薬は、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗躁病薬は、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗恐怖症薬はD−サイクロセリンである。一部の実施形態において、医薬組成物は生理学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤又はこれらの組合せを更に含む。一部の実施形態において、患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置する方法を提供し、当該方法は、当該処置を必要とする患者を同定するステップと、前述の組成物の有効量を当該患者に投与するステップとを含む。
【0017】
化学式(II):
【化9】

の化合物と、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される化合物とを含む医薬組成物も本明細書で開示する。一部の実施形態において、SSRIは、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンからなる群より選択される。一部の実施形態において、SNRIは、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)からなる群より選択される。一部の実施形態において、MAO−Iは、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)からなる群より選択される。一部の実施形態において、TCAは、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン、(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗精神病薬は、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、debenzapine、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択される。一部の実施形態において、フェノチアジンは、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellarilからなる群より選択される。一部の実施形態において、フェニルブチルピペラジンは、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、debenzapineは、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、ベンジソキシジルは、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択される。一部の実施形態において、リチウム塩は炭酸リチウムである。一部の実施形態において、抗精神病薬は、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonからなる群より選択される。一部の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬は、チオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、ドーパミン作動薬は、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬は、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤からなる群より選択される。一部の実施形態において、抗不眠症薬はH1拮抗薬又は逆作動薬である。一部の実施形態において、H1拮抗薬又は逆作動薬は、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗躁病薬は、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムからなる群より選択される。一部の実施形態において、抗恐怖症薬はD−サイクロセリンである。一部の実施形態において、医薬組成物は生理学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤又はこれらの組合せを更に含む。一部の実施形態において、患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置する方法を提供し、当該方法は、当該処置を必要とする患者を同定するステップと、前述の組成物の有効量を当該患者に投与するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(定義)
本発明の開示を目的として、次の定義をその全体として用いて専門用語を定義するものとし、また、その全体として用いて特許請求の範囲における保護を求める組成物の範囲を明示するものとする。
【0019】
「構成活性」は作動薬の存在から独立している受容体の基礎活性の上昇と定義される。受容体の構成活性は多くの異なる方法を用いて測定され得て、これには細胞(例えば、膜)調製物(例えば、Barr &. Manning, J. Biol. Chem. 272:32979-87 (1997) を参照されたい)、リン脂質小胞における関連G蛋白質を伴い、或いは伴わない精製された再構成受容体(Cerione et al., Biochemistry 23:4519-25 (1984) )及び機能的細胞アッセイ(米国特許出願第60/103,317号)或いは当該技術分野で公知の任意の他の方法が含まれる。
【0020】
「作動薬」は受容体に接触したときに受容体の基礎活性を高める化合物と定義される。
【0021】
「拮抗薬」は受容体への結合に対して作動薬又は逆作動薬と競合し、これにより作動薬又は逆作動薬の受容体に対する作用を遮断する化合物と定義される。しかし、拮抗薬(「ニュートラル」アンタゴニストとしても既知である)は受容体の構成活性に対する作用を全く有さない。
【0022】
「逆作動薬」は受容体の基礎活性(即ち、受容体に媒介されるシグナル伝達)を低下させる化合物と定義される。このような化合物はネガティブアンタゴニストとしても既知である。逆作動薬はリガンドの不在下に生じる基礎状態に対して、不活性状態をとるようにさせる受容体に対するリガンドである。従って、拮抗薬は作動薬の活性を抑制することができるが、逆作動薬は拮抗薬の不在下で受容体の立体配座を変化させることができるリガンドである。逆作動薬の概念については、Bond et al. in Nature 374:272 (1995) により探究されている。より具体的には、Bondらは、リガンド結合していないβ−アドレナリン受容体が非活性立体配座と自発的活性立体配座との平衡状態で存在することを提示した。拮抗薬は受容体を活性立体配座に安定化すると提示されている。逆に、逆作動薬は受容体の非活性立体配座を安定化すると考えられる。従って、拮抗薬は作動薬を抑制することによりその活性を明らかにするが、逆作動薬はリガンド結合していない受容体の活性立体配座への自発的転換を抑制することにより、拮抗薬の不在下でその活性を更に明らかにすることができる。
【0023】
「5HT2A受容体」はヒトセロトニン受容体亜型の活性に対応する活性を有する受容体と定義され、これは、Saltzman et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 181:1469-78; 及び Julius et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:928-932に詳述されているように、分子クローニング及び薬理学を通じて特徴づけられ、これらの開示はその全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0024】
「被験体」という用語は動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指し、これは処置、観察及び試験の対象である。
【0025】
「選択的」とは他の受容体型の活性に対して有意に少なく、或いは実質的にほとんど又は全く作用せず、特定の受容体の型、亜型、クラス又はサブクラスから所望の応答を生じるのに十分な量の化合物の特性と定義される。例えば、選択的化合物は他の受容体型より所望の受容体の活性に対して少なくとも10倍以上の作用を有し得る。場合により、選択的化合物は他の受容体型より所望の受容体の活性に対して少なくとも20倍高い作用、又は少なくとも50倍高い作用、又は少なくとも100倍高い作用、又は少なくとも1000倍高い作用、又は少なくとも10,000倍高い作用、又は少なくとも100,000倍高い作用、又は100,000倍超の作用を有し得る。逆作動薬としての「選択性」又は「選択的」とは、5−HT2A受容体に効果的に逆に拮抗し、これによりその活性を低下させ、他の関連又は無関連受容体においてほとんど又は全く逆作動的又は拮抗的な活性を引き起こさない化合物の量の本発明の化合物の特性と理解される。特に、一実施形態において、驚くべきことに一化合物が、5−HT2A受容体のシグナル伝達が強度又は完全に阻害される濃度にて他のセロトニン受容体(5−HT 1A,1B,1D,1E,1F,2B,2C,4A,6及び7)と強く相互作用しないことが見出されている。一実施形態において、当該化合物は他のモノアミン結合受容体、例えば、ドーパミン受容体、ヒスタミン性受容体、アドレナリン受容体及びムスカリン受容体に関しても選択的である。5−HT2A受容体に対して高度に選択的な化合物は、これを目的としてこれまで示唆してきた薬剤の有害作用を避けながら、精神病、統合失調症又は類似の神経変性障害の処置において有益な作用を有し得る。
【0026】
セロトニン又は5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)は哺乳動物のからだの機能において重要な役割を果たす。中枢神経において、5−HTは重要な神経伝達物質及び神経修飾物質であり、これは睡眠、摂食、移動運動、疼痛感、学習及び記憶、性行動、体温及び血圧の調節のような多彩な挙動及び応答において示唆される。脊柱において、セロトニンは求心性末梢侵害受容器の調節系において重要な役割を果たす(Moulignier, Rev. Neurol. 150:3-15, (1994))。心血管系、血液系及び消化管系の末梢機能も5−HTに帰属するものとみなされてきた。5−HTは様々な収縮、分泌及び電気生理学的作用を媒介することが見出されており、これには血管及び非血管平滑筋収縮並びに血小板凝集が含まれる(Fuller, Biology of Serotonergic Transmission, 1982; Boullin, Serotonin In Mental Abnormalities 1:316 (1978); Barchas, et al., Serotonin and Behavior, (1973))。5−HT2A受容体亜型(サブクラスとも称される)は広範であるが分散してヒト脳に発現され、これには高次認識及び情動機能の調節に関わると想定される多くの皮質、大脳辺縁及び前脳領域が含まれる。この受容体亜型は成熟血小板においても発現され、ここで部分的に血小板凝集を媒介し、血管血栓過程の第一段階の1つとなる。
【0027】
体内におけるセロトニンの広範な分布を考えると、セロトニン作動系に作用する薬剤への多大な関心が存在することは理解できる(Gershon, et al., The Peripheral Actions of 5-Hydroxytryptamine, 246 (1989); Saxena, et al., J. Cardiovascular Pharmacol. 15: Supp. 7 (1990))。セロトニン受容体は、細胞間伝達の変換器として機能する膜貫通蛋白質の大きなヒト遺伝子ファミリーのメンバーである。セロトニン受容体は神経細胞及び血小板を含む様々な細胞種の表面に存在し、内因性リガンドセロトニン又は外部から投与された薬剤による活性化と同時に立体配座構造を変化させ、続いて細胞シグナル伝達の下流のメディエータと相互作用する。5−HT2Aサブクラスを含むこれらの受容体の多くは、グアニンヌクレオチド結合タンパク質(G蛋白質)を活性化させることによりシグナル伝達するG蛋白質結合受容体(GPCR)であり、サイクリックAMP、イノシトールリン酸及びジアシルグリセロールのような二次メッセンジャー分子を生じさせ、或いは阻害する。次に、二次メッセンジャーはキナーゼ及びイオンチャネルを含む種々の細胞内酵素の機能を調節し、これは最終的に細胞の興奮性及び機能に影響を及ぼす。
【0028】
少なくとも15種類の遺伝学的に異なる5−HT受容体亜型が同定されており、7ファミリーの1つに割り当てられている(5−HT1−7)。各亜型は独特な分布、種々のリガンドに対する嗜好性及び機能相関を示す。セロトニンは、ある種の精神疾患(うつ病、攻撃性、パニック発作、強迫性障害、精神病、統合失調症、自殺傾向)、ある種の神経変性障害(アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病)、摂食障害、過食症、アルコール中毒症に関連する疾患、脳血管発作及び片頭痛のような種々の病的症状における重要な構成因子であり得る(Meltzer, Neuropsychopharmacology, 21:106S-115S (1999); Barnes & Sharp, Neuropharmacology, 38:1083-1152 (1999); Glennon, Neurosci. Biobehavioral Rev., 14:35 (1990))。最近のエビデンスでは、高血圧、血栓、片頭痛、血管攣縮、虚血、うつ、不安感、精神病、統合失調症、睡眠障害及び食欲障害のような病状の病因に5−HT2受容体亜型が関与するとみなしている。
【0029】
一態様において、本発明は、うつ病の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者におけるうつ病を処置する方法に関する。
【0030】
別の態様において、本発明は、躁病の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者における躁病を処置する方法に関する。
【0031】
更に別の態様において、本発明は、社会恐怖症の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者における社会恐怖症を処置する方法に関する。
【0032】
更に別の態様において、本発明は、精神病の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者における精神病を処置する方法に関する。
【0033】
更に別の態様において、本発明は、神経精神疾患の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者における神経精神疾患を処置する方法に関する。一部の実施形態において、神経精神疾患は、統合失調症とその関連特発性精神病、不安症、睡眠障害、食欲障害、感情障害、例えば大うつ病、双極性障害及び精神病的特徴を有するうつ病、トゥレット症候群、薬剤因性精神病並びにアルツハイマー病又はハンチントン病のような神経変性障害に伴う精神病からなる群より選択される。
【0034】
更に別の態様において、本発明は、不眠症の処置を必要とする患者を同定するステップと、当該患者に第二の化合物の治療有効量と併用して第一の化合物の治療有効量を投与するステップとを含む、患者における不眠症を処置する方法に関する。
【0035】
本明細書において用いられる「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により探究されている、組織、系、動物又はヒトにおいて生物学的又は医薬的応答を誘発する活性化合物又は医薬品の一定量のことであり、これは処置する疾患の症状の緩和、改善又は軽減を含む。
【0036】
ある種の実施形態において、患者は哺乳動物である。哺乳動物は、マウス、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長動物、例えばサル、チンパンジー及び類人猿並びにヒトからなる群より選択され得る。
【0037】
一部の実施形態において、前述の方法における第一の化合物はセロトニン受容体に選択的な逆作動薬である。ある種の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2A受容体であり、一方、他の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2C受容体である。他の実施形態において、逆作動薬は5HT2A受容体及び5HT2C受容体に結合する。
【0038】
一部の実施形態において、第一の化合物は化学式(III)
【化10】

の化合物であり、式中、Zは、
【化11】

又は
【化12】

であり、式中、Rは水素、環状若しくは直鎖若しくは分岐非環状オルガニル基、低級ヒドロキシアルキル基、低級アミノアルキル基又はアラルキル若しくはヘテロアラルキル基であり、nは1であり、
はメチレン、ビニレン又はNH若しくはN(低級アルキル)基であり、Xはメチレンであり、或いはXがメチレン又はビニレンである場合、Xはメチレン又は結合物質であり、或いはXがメチレンである場合、XはO,S,NH若しくはN(低級アルキル)又は結合物質であり、
はメチレンであり、Yはメチレン、ビニレン、エチレン、プロピレン又は結合物質であり、或いは、
は結合物質であり、Yはビニレンであり、或いは、
はエチレンであり、YはO,S,NH又はN(低級アルキル)であり、
Ar及びArは独立して非置換又は置換/アリール又はヘテロアリール基であり、但し、Ar及びArは同時非置換フェニルではないとし、
Wは酸素であり、或いは、
その薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0039】
他の実施形態において、第一の化合物は、米国特許出願第09/800,096号の公開である、2002年1月10日に公開され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国出願公開特許第2002/0004513号 A1、又は米国特許出願第10/409,782号の公開である、2003年11月27日に公開され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国出願公開特許第2003/0220316号 A1、又は2004年3月16日に出願され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国特許出願第10/802,970号に開示されている化合物であり、これらすべての開示は図を含めてその全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
別の実施形態において、第一の化合物は、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドであり、これは化学式(I):
【化13】

の化合物である。
【0041】
別の実施形態において、前述の方法における第一の化合物はセロトニン受容体に選択的な拮抗薬である。ある種の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2A受容体であり、一方、他の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2C受容体である。他の実施形態において、拮抗薬は5HT2A受容体及び5HT2C受容体に結合する。
【0042】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。SSRIの例には、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のSSRIも本発明の開示範囲に含まれる。
【0043】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物はセロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害薬再取り込み阻害薬(SNRI)である。SNRIの例には、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のSNRIも本発明の開示範囲に含まれる。
【0044】
更なる実施形態において、前述の方法における第二の化合物はモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO−I)である。MAO−Iの例には、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のMAO−Iも本発明の開示範囲に含まれる。
【0045】
更なる実施形態において、前述の方法における第二の化合物は三環系抗うつ薬(TCA)である。TCAの例には、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のTCAも本発明の開示範囲に含まれる。
【0046】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、フルオキセチン/オランザピン(Symbyax)、オランザピン(Zyprexa)、クエチアピン(Seroquel)、レスペリドン(Resperidal)、バルプロ酸(Depakote)及びジプラシドン(Geodon)から選択される化合物である。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の非定型抗うつ薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0047】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))、チオリダジン(Mellaril(登録商標))、ハロペリドール(Haldol(登録商標))、ピモジド(Orap(登録商標))、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))、クエチアピン(Seroquel(登録商標))、レスペリドン(Resperidal(登録商標))、ジプラシドン(Geodon(登録商標))、炭酸リチウム、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、Clozaril、Compazine、Etrafon、Geodon、Haldol、Inapsine、Loxitane、Mellaril、Moban、Navane、オランザピン(Zyprexa)、Orap、Permitil、Prolixin、Phenergan、クエチアピン(Seroquel)、Reglan、Risperdal、Serentil、Seroquel、Stelazine、Taractan、Thorazine、Triavil、Trilafon及びZyprexaから選択される化合物である。
【0048】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は抗精神病薬である。抗精神病薬は、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、debenzapine、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択され得る。フェノチアジン系化合物は、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))からなる群より選択され得る。フェニルブチルピペラジン系化合物は、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択され得る。debenzapine系化合物は、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択され得る。ベンジソキシジル系化合物は、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択され得る。リチウム塩は炭酸リチウムであり得る。一部の実施形態において、抗精神病薬は、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、Clozaril、Compazine、Etrafon、Geodon、Haldol、Inapsine、Loxitane、Mellaril、Moban、Navane、オランザピン(Zyprexa)、Orap、Permitil、Prolixin、Phenergan、クエチアピン(Seroquel)、Reglan、Risperdal、Serentil、Seroquel、Stelazine、Taractan、Thorazine、Triavil、Trilafon及びZyprexa又はその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択され得る。
【0049】
他の実施形態において、前述の方法における第二の化合物はノルエピネフリン再取り込み阻害薬である。ノルエピネフリン再取り込み阻害薬はチオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される。
【0050】
更なる実施形態において、前述の方法における第二の化合物はドーパミン作動薬である。ドーパミン作動薬は、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択され得る。
【0051】
更なる実施形態において、前述の方法における第二の化合物は抗不眠症薬である。抗不眠症薬の例には、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗不眠症薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0052】
他の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は抗躁病薬である。抗躁病薬の例には、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗躁病薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0053】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物は抗恐怖症薬である。抗恐怖症薬の例にはD−サイクロセリンが含まれるが、これに限定されない。当業者は本明細書に開示される他の薬剤の一部も抗恐怖症薬として機能することを認識する。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗躁病薬(anti-manic drug)も本発明の開示範囲に含まれる。
【0054】
不眠症は、新たな或いは再発の精神疾患のリスクの上昇、結果的に認知障害を伴う日中の眠気の増大、予後不良、生活の質の低下及び医療関連の高額な財政上の負担と関連する、異質で多発する状態である。次第に明らかになっているデータは、不眠症の解消により精神病の予後が改善され得ることを示唆している。不眠症の性質は個人間で異なり得て、一部の患者は寝付き(入眠)困難、睡眠継続(睡眠維持)困難又は両方の組合せを訴える。単一の抗不眠症薬を使用している場合、睡眠維持効果から入眠効果を滴定することは困難である。従って、入眠困難のみ又は睡眠維持困難のみの一部の患者は、両方の型の睡眠障害を処置する薬剤で処置され得る。患者の特定の睡眠上の訴えに睡眠薬物治療を合わせる別の方法は、2つの異なる抗不眠症薬を併用し、理想的には1つの薬剤は主に睡眠を誘発し、もう1つの薬剤は主に睡眠維持を改善するというものである。睡眠誘発作用薬は、バルビツール酸系催眠薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、直接的GABA作動薬、GABA受容体の正のアロステリック調節剤、ヒスタミン受容体拮抗薬、ヒスタミン受容体逆作動薬などの一般的なクラスから選択され得る。睡眠維持剤は、5−HT2受容体の一般クラスにおける拮抗薬又は逆作動薬である薬剤、より詳細には5−HT2A及び/又は5−HT2C受容体における拮抗薬及び/又は逆作動薬である薬剤から選択され得る。これらにはリタンセリン、ケタンセリン、MDL 100,907、エプリバンセリンのような薬剤、化学式Iの化合物及びその他が含まれる。
【0055】
不眠症の処置は主に薬理学的介入に関わる。最近まで処置の選択肢はベンゾジアゼピン系薬剤であった。しかし、このクラスの薬剤は、耐性、薬物依存、離脱作用及び濫用の可能性、昼間認知能力及び精神運動における障害(事故及び転倒リスクの上昇を含む)、呼吸への有害作用並びに徐波睡眠及び急速眼球運動を伴う正常な睡眠構成の障害を含む多くの有害作用と関連している。より最近になって、ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン(Lunesta)、ザレプロン、ガボキサドール、インディプロン及びアベカルニルのようなベータカルボリンを含む非ベンゾジアゼピン系催眠剤が登場した。これらの薬剤は、主にGABA(A)受容体の活性を亢進することにより作用する。これらの治療法は入眠までの時間を短縮し、入眠及び睡眠維持後の覚醒時間を短縮し、夜間覚醒回数を減少させることに関し、有効であることが実証された。しかし、これらの新規薬剤はそれでも最終的にその使用を制限し得る副作用を生じる。
【0056】
H1拮抗薬の中枢神経系作用に関する膨大な量の研究が存在する。これらの研究は鎮静作用の主観的(例えば、眠気増大の自己評価)及び客観的(例えば、睡眠潜時のEEG測定)推測並びに単純作業(例えば、フリッカー融合頻度)から複雑な作業(例えば、運転障害)まで含む。旧第一世代H1拮抗薬と新第二世代H1拮抗薬には相違がある。推奨用量にて第二世代H1拮抗薬はすべて、その先行薬よりもより多くの患者において鎮静作用が小さい。これは、主に旧H1拮抗薬に比し、新規薬の脳透過特性が乏しいことに起因する。しかし、新規H1拮抗薬であっても高用量では睡眠を誘発する。大部分のH1拮抗薬により生じる一般的な鎮静特性は重大な関心事の状態であり、従って、これらの化合物はアレルギー性鼻炎、アレルギー結膜炎又はじん麻疹の処置において、もはや薬物治療の選択肢ではない。しかし、これらの薬剤では入眠問題を処置する点において新規の有用性を見出し得る。特に、睡眠維持剤と併用する場合にいえることである。
【0057】
従って、一実施形態において、前述の方法における第二の化合物はH1拮抗薬又は逆作動薬である抗不眠症薬である。
H1拮抗薬の例には、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のH1拮抗薬又は逆作動薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0058】
他の実施形態において、前述の方法における第一又は第二の化合物はセロトニン2A拮抗薬である。セロトニン2A拮抗薬はM 100,907又はその類似体であり得る。“M 100,907”とは化学式II
【化14】

の化合物のことである。
【0059】
一部の実施形態において、化学式(I)の第一の化合物は化学式(II)の第二の化合物と併用して投与される。他の実施形態において、化学式(II)の第一の化合物は、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンを含むがこれらに限定されないSSRI;シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)を含むがこれらに限定されないSNRI;トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)を含むがこれらに限定されないMAO−I;アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンを含むがこれらに限定されないTCA;アリピプラゾール(Abilify);クロザピン;フルオキセチン/オランザピン(Symbyax);オランザピン(Zyprexa);クエチアピン(Seroquel);レスペリドン(Resperidal);バルプロ酸(Depakote);ジプラシドン(Geodon);クロルプロマジン(Thorazine(登録商標));メソリダジン(Serentil(登録商標));プロクロルペラジン(Compazine(登録商標));チオリダジン(Mellaril(登録商標));ハロペリドール(Haldol(登録商標));ピモジド(Orap(登録商標));クロザピン(Clozaril(登録商標));ロクサピン(Loxitane(登録商標));オランザピン(Zyprexa(登録商標));クエチアピン(Seroquel(登録商標));レスペリドン(Resperidal(登録商標));ジプラシドン(Geodon(登録商標));炭酸リチウム;アリピプラゾール(Abilify);クロザピン;Clozaril;Compazine;Etrafon;Geodon;Haldol;Inapsine;Loxitane;Mellaril;Moban;Navane;オランザピン(Zyprexa);Orap;Permitil;Prolixin;Phenergan;クエチアピン(Seroquel);Reglan;Risperdal;Serentil;Seroquel;Stelazine;Taractan;Thorazine;Triavil;Trilafon;Zyprexa;クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))のようなフェノチアジン、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))のようなフェニルブチルピペラジン、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))のようなdebenzapine、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))のようなベンジソキシジル、炭酸リチウムのようなリチウム塩、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonを含むがこれらに限定されない抗精神病薬;チオニソキセチン及びレボキセチンを含むがこれらに限定されないノルエピネフリン再取り込み阻害薬;スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンを含むがこれらに限定されないドーパミン作動薬;アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)、ベンゾジアゼピン系薬剤、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンを含むがこれらに限定されない抗不眠症薬;ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムを含むがこれらに限定されない抗躁病薬;D−サイクロセリンを含むがこれに限定されない抗恐怖症薬;並びにその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第二の化合物と併用して投与される。
【0060】
一部の実施形態において、前述の方法における投与ステップは第一の化合物と第二の化合物を同時に投与するステップを含む。これらの実施形態は、第一の化合物と第二の化合物が同一の投与可能な組成物である実施形態を含み、即ち、単一の錠剤、ピル若しくはカプセル又は単一の静注用の液剤又は単一の飲用液又は単一の糖衣剤又はパッチが両方の化合物を含有する。当該実施形態は、各化合物が別個の投与可能な組成物であるが、患者はその別個の組成物をほぼ同時に服用するように指示される実施形態を含み、即ち、1つのピルの服用直後に別のピルを服用し、或いは1つの化合物の注入直後に別の化合物を注入するというような具合である。
【0061】
他の実施形態において、投与ステップは第一の化合物及び第二の化合物の一方を投与し、次に、第一の化合物及び第二の化合物の他方を投与するステップを含む。これらの実施形態において、患者は化合物の一方を含む組成物を投与され、次に、ある時点で、数分後又は数時間後に化合物の他方を含む別の組成物を投与され得る。これらの実施形態には、患者が化合物の一方を含む組成物をルーチンに、或いは継続的に投与され、一方、他方の化合物を含む組成物を随時服用する実施形態も含まれる。
【0062】
別の態様において、本発明は第一の化合物と第二の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0063】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第一の化合物はセロトニン受容体に選択的な逆作動薬である。ある種の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2A受容体であり、一方、他の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2C受容体である。他の実施形態において、逆作動薬は5HT2A受容体及び5HT2C受容体に結合する。
【0064】
一部の実施形態において、第一の化合物は化学式(III)
【化15】

の化合物であり、式中、Zは、
【化16】

又は
【化17】

であり、式中、Rは水素、環状若しくは直鎖若しくは分岐非環状オルガニル基、低級ヒドロキシアルキル基、低級アミノアルキル基又はアラルキル若しくはヘテロアラルキル基であり、nは1であり、
はメチレン、ビニレン又はNH若しくはN(低級アルキル)基であり、Xはメチレンであり、或いはXがメチレン又はビニレンである場合、Xはメチレン又は結合物質であり、或いはXがメチレンである場合、XはO,S,NH若しくはN(低級アルキル)又は結合物質であり、
はメチレンであり、Yはメチレン、ビニレン、エチレン、プロピレン又は結合物質であり、或いは、
は結合物質であり、Yはビニレンであり、或いは、
はエチレンであり、YはO,S,NH又はN(低級アルキル)であり、
Ar及びArは独立して非置換又は置換/アリール又はヘテロアリール基であり、但し、Ar及びArは同時非置換フェニルではないとし、
Wは酸素であり、或いは、
その薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0065】
他の実施形態において、第一の化合物は、米国特許出願第09/800,096号の公開である、2002年1月10日に公開され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国出願公開特許第2002/0004513号 A1、又は米国特許出願第10/409,782号の公開である、2003年11月27日に公開され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国出願公開特許第2003/0220316号 A1、又は2004年3月16日に出願され、発明の名称が“AZACYCLIC COMPOUNDS”であるAnderssonらによる米国特許出願第10/802,970号に開示されている化合物であり、これらすべての開示は図を含めてその全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0066】
別の実施形態において、第一の化合物は、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドであり、これは化学式(I):
【化18】

の化合物である。
【0067】
別の実施形態において、前述の医薬組成物における第一の化合物はセロトニン受容体に選択的な拮抗薬である。ある種の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2A受容体であり、一方、他の実施形態において、セロトニン受容体は5HT2C受容体である。他の実施形態において、拮抗薬は5HT2A受容体及び5HT2C受容体に結合する。
【0068】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。SSRIの例には、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のSSRIも本発明の開示範囲に含まれる。
【0069】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物はセロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害薬再取り込み阻害薬(SNRI)である。SNRIの例には、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のSNRIも本発明の開示範囲に含まれる。
【0070】
更なる実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物はモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO−I)である。MAO−Iの例には、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のMAO−Iも本発明の開示範囲に含まれる。
【0071】
更なる実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は三環系抗うつ薬(TCA)である。TCAの例には、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のTCAも本発明の開示範囲に含まれる。
【0072】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、フルオキセチン/オランザピン(Symbyax)、オランザピン(Zyprexa)、クエチアピン(Seroquel)、レスペリドン(Resperidal)、バルプロ酸(Depakote)及びジプラシドン(Geodon)から選択される化合物である。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の非定型抗うつ薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0073】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))、チオリダジン(Mellaril(登録商標))、ハロペリドール(Haldol(登録商標))、ピモジド(Orap(登録商標))、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))、クエチアピン(Seroquel(登録商標))、レスペリドン(Resperidal(登録商標))、ジプラシドン(Geodon(登録商標))、炭酸リチウム、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、Clozaril、Compazine、Etrafon、Geodon、Haldol、Inapsine、Loxitane、Mellaril、Moban、Navane、オランザピン(Zyprexa)、Orap、Permitil、Prolixin、Phenergan、クエチアピン(Seroquel)、Reglan、Risperdal、Serentil、Seroquel、Stelazine、Taractan、Thorazine、Triavil、Trilafon及びZyprexaから選択される化合物である。
【0074】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は抗精神病薬である。抗精神病薬は、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、debenzapine、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択され得る。フェノチアジン系化合物は、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))からなる群より選択され得る。フェニルブチルピペラジン系化合物は、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択され得る。debenzapine系化合物は、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択され得る。ベンジソキシジル系化合物は、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択され得る。リチウム塩は炭酸リチウムであり得る。一部の実施形態において、抗精神病薬は、アリピプラゾール(Abilify)、クロザピン、Clozaril、Compazine、Etrafon、Geodon、Haldol、Inapsine、Loxitane、Mellaril、Moban、Navane、オランザピン(Zyprexa)、Orap、Permitil、Prolixin、Phenergan、クエチアピン(Seroquel)、Reglan、Risperdal、Serentil、Seroquel、Stelazine、Taractan、Thorazine、Triavil、Trilafon及びZyprexa又はその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択され得る。
【0075】
他の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物はノルエピネフリン再取り込み阻害薬である。ノルエピネフリン再取り込み阻害薬はチオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される。
【0076】
更なる実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物はドーパミン作動薬である。ドーパミン作動薬は、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択され得る。
【0077】
更なる実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は抗不眠症薬である。抗不眠症薬の例には、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤が含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗不眠症薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0078】
一部の実施形態において、前述の方法における第二の化合物はH1拮抗薬又は逆作動薬である抗不眠症薬である。H1拮抗薬の例には、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意のH1拮抗薬又は逆作動薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0079】
他の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は抗躁病薬である。抗躁病薬の例には、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムが含まれるが、これらに限定されない。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗躁病薬も本発明の開示範囲に含まれる。
【0080】
一部の実施形態において、前述の医薬組成物における第二の化合物は抗恐怖症薬である。抗恐怖症薬の例にはD−サイクロセリンが含まれるが、これに限定されない。当業者は本明細書に開示される他の薬剤の一部も抗恐怖症薬として機能することを認識する。現在公知であり、或いは今後開発される他の任意の抗躁病薬(anti-manic drug)も本発明の開示範囲に含まれる。
【0081】
別の実施形態において、前述の医薬組成物における第一又は第二の化合物はセロトニン2A拮抗薬である。セロトニン2A拮抗薬はM 100,907又はその類似体であり得る。“M 100,907”とは化学式II
【化19】

の化合物のことである。
【0082】
一部の実施形態において、医薬組成物の第一の化合物は化学式(I)であり、組成物の第二の化合物は化学式(II)である。他の実施形態において、医薬組成物の第一の化合物は化学式(II)であり、組成物の第二の化合物は、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンを含むがこれらに限定されないSSRI;シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)を含むがこれらに限定されないSNRI;トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)を含むがこれらに限定されないMAO−I;アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンを含むがこれらに限定されないTCA;アリピプラゾール(Abilify);クロザピン;フルオキセチン/オランザピン(Symbyax);オランザピン(Zyprexa);クエチアピン(Seroquel);レスペリドン(Resperidal);バルプロ酸(Depakote);ジプラシドン(Geodon);クロルプロマジン(Thorazine(登録商標));メソリダジン(Serentil(登録商標));プロクロルペラジン(Compazine(登録商標));チオリダジン(Mellaril(登録商標));ハロペリドール(Haldol(登録商標));ピモジド(Orap(登録商標));クロザピン(Clozaril(登録商標));ロクサピン(Loxitane(登録商標));オランザピン(Zyprexa(登録商標));クエチアピン(Seroquel(登録商標));レスペリドン(Resperidal(登録商標));ジプラシドン(Geodon(登録商標));炭酸リチウム;アリピプラゾール(Abilify);クロザピン;Clozaril;Compazine;Etrafon;Geodon;Haldol;Inapsine;Loxitane;Mellaril;Moban;Navane;オランザピン(Zyprexa);Orap;Permitil;Prolixin;Phenergan;クエチアピン(Seroquel);Reglan;Risperdal;Serentil;Seroquel;Stelazine;Taractan;Thorazine;Triavil;Trilafon;Zyprexa;クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))のようなフェノチアジン、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))のようなフェニルブチルピペラジン、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))のようなdebenzapine、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))のようなベンジソキシジル、炭酸リチウムのようなリチウム塩、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonを含むがこれらに限定されない抗精神病薬;チオニソキセチン及びレボキセチンを含むがこれらに限定されないノルエピネフリン再取り込み阻害薬;スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンを含むがこれらに限定されないドーパミン作動薬;アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)、ベンゾジアゼピン系薬剤、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンを含むがこれらに限定されない抗不眠症薬;ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムを含むがこれらに限定されない抗躁病薬;D−サイクロセリンを含むがこれに限定されない抗恐怖症薬;並びにその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される。
【0083】
一部の実施形態において、本明細書に記載する医薬組成物は、2004年1月15日に出願され、発明の名称が“SELECTIVE SEROTONIN 2A/2C RECEPTOR INVERSE AGONISTS AS THERAPEUTICS FOR NEURODEGENERATIVE DISEASES”であるWeinerらによる米国特許出願第10/759,561号に開示されている障害を処置するために用いられ、これは図を含めてその全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0084】
本明細書に開示する化合物は化合物自体として、或いはその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド又はプロドラッグとして存在し得て、これらすべてが本発明により意図される。
【0085】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、投与対象の生物に有意な刺激作用を生ぜず、また、化合物の生物学的な活性及び特性を阻害しない化合物の配合物を指す。医薬用の塩は、本発明の化合物を無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させて得ることができる。医薬用の塩は、本発明の化合物を塩基と反応させて塩、例えば、アンモニウム塩のような塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンのような有機塩基並びにアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸の塩を生成することによっても得ることができる。
【0086】
「エステル」という用語は、化学式−(R)−COOR’を有する化学的部分を指し、式中、R及びR’はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合)及びヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合)からなる基より独立して選択され、nは0又は1である。
【0087】
「アミド」という用語は、化学式−(R)−C(O)NHR’又は−(R)−NHC(O)R’を有する化学的部分を指し、式中、R及びR’はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合)及びヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合)からなる基より独立して選択され、nは0又は1である。アミドはアミノ酸又は本発明の分子に結合してプロドラッグを生成するペプチド分子である。
【0088】
本明細書で開示される任意の化合物におけるいずれのアミン、ヒドロキシ又はカルボキシル側鎖もエステル化又はアミド化(amidified)することができる。この目的を果たすために用いられる手順及び特定の基は当業者には既知であり、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rdEd., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999のような参照源に容易に見出すことができ、これはその全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0089】
「プロドラッグ」とはインビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは状況により親薬物より投与が容易であり得るため、有用である場合が多い。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物利用可能であり得るが、親薬物は生物利用可能でない。プロドラッグは親薬物に対して医薬組成物における向上した溶解性も有し得る。プロドラッグの限定的ではない一例は本発明の化合物といえ、これは水溶性が運動性に有害である細胞膜を横断する送達を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次に、水溶性が有益である細胞内部に入ると、活性実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される。プロドラッグの更なる例としては、酸基に結合した短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)が挙げられ、この場合、ペプチドは代謝されて活性部分を顕現する。
【0090】
一部の実施形態において、本明細書に記載する医薬組成物は生理学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤又はこれらの組合せを更に含む。
【0091】
「医薬組成物」という用語は本発明の化合物と他の化学成分、例えば、希釈剤又は担体の混合物を指す。医薬組成物は化合物の生物への投与を促進する。当該技術分野において化合物を投与する方法は多数存在し、これには経口、注入、エアロゾル、非経口及び局所投与が含まれるが、これらに限定されない。また、医薬組成物は化合物を無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させて得ることができる。
【0092】
「担体」という用語は化合物の細胞又は組織への組込みを促進する化学化合物と定義される。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は生物の細胞又は組織への多くの有機化合物の取込みを促進するため、一般的に利用される担体である。
【0093】
「希釈剤」という用語は、対象化合物を溶解するとともに化合物の生物活性形態を安定化する水に希釈された化学化合物と定義される。当該技術分野において緩衝液に溶解した塩が希釈剤として用いられる。一般的に用いられる緩衝液の1つは、ヒト血液の塩条件を模倣するため、リン酸緩衝生理食塩水である。緩衝塩は溶液のpHを低濃度に調節することができるため、緩衝希釈剤が化合物の生物活性を変性することは稀である。
【0094】
「生理学的に許容可能」という用語は、化合物の生物活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を定義する。
【実施例】
【0095】
本明細書に記載する医薬組成物は、それ自体で、或いは併用療法のように他の活性成分又は好適な担体又は賦形剤と混合された医薬組成物にてヒト患者に投与することができる。本出願の化合物の配合及び投与の手法は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition, 1990 に見出され得る。
【0096】
好適な投与経路には、例えば、経口、経直腸、経粘膜又は経腸投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注入並びに髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内又は眼内注入を含む非経口送達が含まれる。
【0097】
或いは、例えば、多くの場合、デポ又は持続放出性製剤にて腎臓又は心臓領域に直接化合物を注入することにより、全身的にではなく局所的に化合物を投与し得る。更に、例えば、組織特異的な抗体を被覆されたリポソームにて標的薬剤送達系で薬剤を投与し得る。リポソームは器官を標的とし、器官に選択的に取り込まれる。
【0098】
本発明の医薬組成物はそれ自体公知の方法、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠剤化、湿式粉砕、乳化、封入、混入又は錠剤化法により製造され得る。
【0099】
従って、本発明に従って用いる医薬組成物は、医薬的に使用可能な調製物への活性化合物の処理を促進する、賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体を用いて、従来の方法で製剤化され得る。適正な配合は選択する投与経路に依存する。好適に且つ当該技術分野で理解されるように、例えば、前述のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されているように、任意の既知の手法、担体及び賦形剤を用い得る。
【0100】
注入用では、本発明の薬剤は水溶液、好ましくはハンク溶液、リンゲル溶液又は緩衝化生理食塩水のような生理学的に適合する緩衝液中で製剤化され得る。経粘膜投与用では、浸透する隔膜に適切な浸透剤を製剤に用いる。このような浸透剤は当該技術分野で一般的に公知である。
【0101】
経口投与用では、活性化合物を当該技術分野で公知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることにより、容易に化合物を製剤化することができる。このような担体は、処置対象の患者による経口摂取のため、本発明の化合物を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として製剤化することができる。所望であれば錠剤又は糖衣錠コアを得るために適当な助剤を加えた後、1つ以上の固体賦形剤を本発明の医薬合剤と混合し、生成した混合物を任意で粉砕し、顆粒の混合物を処理することにより、経口用途の医薬調製物を得ることができる。好適な賦形剤は、特にラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖のような充填剤;例えば、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース調製物及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩解剤を加え得る。
【0102】
糖衣錠コアは好適な錠皮を付与される。これを目的として、濃縮砂糖溶液を用い得て、これはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液並びに好適な有機溶剤又は溶剤混合物を任意で含み得る。識別し、或いは活性化合物の用量の異なる組合せを特徴づけるため、染料又は着色剤を錠剤又は糖衣錠皮に加え得る。
【0103】
経口用に用いることが可能な医薬調製物は、ゼラチン製プッシュフィットカプセル及びゼラチンとグリセロール若しくはソルビトールのような可塑剤で作製されたソフト封入カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースのような充填剤、スターチのような結合剤及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と任意の安定化剤と混合された活性成分を含有することができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン又は液状ポリエチレングリコールのような好適な液体に溶解或いは懸濁され得る。加えて、安定化剤を加え得る。経口投与用の製剤はすべてこのような投与に適した用量にする必要がある。
【0104】
頬粘膜投与では、組成物は従来の方法で製剤化される錠剤又はトローチ剤の形態をとり得る。
【0105】
吸入による投与では、本発明に従って用いる化合物は、好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適当なガスを用いて、圧縮パック又は噴霧器からエアゾールスプレー付与の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、ある一定量を送達するためのバルブを備えることにより投与量単位を求め得る。例えば、吸入器又は注入器において用いるゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物の粉末混合物及びラクトース若しくは澱粉のような好適な粉末基剤を含有するように製剤化され得る。
【0106】
化合物は、例えばボーラス注入又は連続注入などの注入による非経口投与用に製剤化され得る。注入用の配合物は、防腐剤を加え、例えばアンプル又は多用量容器中に単位剤形にて提供され得る。組成物は油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶剤又は乳化剤のような形態をとり得て、また、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような製剤用作用物質を含有し得る。
【0107】
非経口投与用の薬剤配合物は水溶性形態での活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液を適切な油性注入懸濁液として調製し得る。好適な親油性溶媒又はビヒクルは、ゴマ油のような脂肪油又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル又はリポソームを含む。水性注入懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランを含有し得る。任意で、懸濁液は高度に濃縮した溶液の調製を可能にするように、化合物の溶解度を高める好適な安定化剤又は作用物質も含有し得る。
【0108】
或いは、活性成分は好適なビヒクル、例えば滅菌発熱性物質除去水との構成のために使用前に粉末形態であり得る。
【0109】
化合物は、例えばカカオバター又は他のグリセリドのような従来の坐薬基剤を含む坐薬又は保持浣腸剤のような直腸用組成物としても製剤化され得る。
【0110】
前述の製剤に加えて、化合物はデポ調製物としても製剤化され得る。このような長時間作用製剤は、インプラント(例えば、皮下又は筋肉内)或いは筋肉内注射により投与され得る。従って、例えば、化合物は好適なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中の乳化剤として)又はイオン交換樹脂を用いて、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化され得る。
【0111】
本発明の疎水性化合物の薬剤担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー及び水性相を含む共溶媒系である。一般的に用いられる共溶媒系はVPD共溶媒系であり、これは3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性剤Polysorbate 80(商標)及び65%w/vポリエチレングリコール300の溶液であり、無水エタノール中で容量調整される。当然ながら、共溶媒系の割合はその溶解性及び毒性特性を損なわずに顕著に変動され得る。更に、共溶媒成分の識別性が変化し得る。例えば、POLYSORBATE 80(商標)に代えて他の低毒性非極性界面活性剤を用い得る。ポリエチレングリコールの画分を変化させ得る。他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンがポリエチレングリコールに取って代わり得る。また、他の糖類又は多糖類がデキストロースと置き換わり得る。
【0112】
或いは、疎水性医薬化合物の他の送達系も用い得る。リポソーム及び乳化剤は疎水性薬剤の送達ビヒクル又は担体のよく知られた例である。ジメチルスルホキシドのようなある種の有機溶媒も用い得るが、毒性が高くなる。加えて、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスのような持続放出系を用いて、化合物を送達し得る。様々な持続放出性材料が確立されており、当業者には既知である。持続放出性カプセルは、その化学的性質に応じ、数週間から100日以上まで化合物を放出する。治療剤の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、蛋白質を安定化させる更なる方法が用いられ得る。
【0113】
本発明の医薬配合物において用いられる化合物の多くは、薬学的に適合可能な対イオンを有する塩として提供され得る。薬学的に適合可能な塩は多くの酸により形成され得て、これには塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが含まれるが、これらに限定されない。塩は対応する遊離酸又は塩基形態よりも水性溶媒又は他のプロトン性の溶媒に溶けやすい傾向がある。
【0114】
本発明において使用に好適な医薬組成物は、活性成分がその対象目的を果たすのに有効な量にて含まれる組成物を含む。より具体的には、治療有効量とは疾患の症状を予防、緩和又は改善し、或いは処置対象の被験体の生存を引き延ばすのに有効な化合物の量のことである。治療有効量の判定は、特に本明細書で提供する詳細な開示の観点から当業者の能力範囲内に十分にある。
【0115】
本発明の医薬組成物の正確な配合、投与経路及び用量は、患者の状態の点から個々の医師により選択され得る(例えば、Fingl et al. 1975, in “The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1 p. 1を参照されたい)。通常、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重の約0.5〜1000mg/kgであり得る。用量は単一用量或いは1日以上の過程で投与される連続的な2用量以上であり得て、これは患者の必要性による。本発明の開示において述べた具体的な化合物のほとんどすべてに対し、少なくとも何らかの病態を処置するためのヒト用量が確立されている。従って、ほとんどの場合、本発明では確立されたヒト用量と同じ用量又はその約0.1%〜500%、より好ましくは約25%〜250%を用いる。新規に発見された医薬組成物の場合のようにヒト用量が確立されていない場合、動物における毒性試験及び有効性試験により認められるように、ED50若しくはID50又はインビトロ若しくはインビボ試験から得られる他の適切な値から、好適なヒト用量を推定することができる。
【0116】
正確な用量は薬剤ベースで判定されるが、ほとんどの場合、用量に関する何らかの一般化が可能である。成人患者に対する1日用量レジメンは、例えば、経口投与で各成分の0.1mg〜500mg、好ましくは1mg〜250mg、例えば5〜200mg、又は静脈内、皮下若しくは筋肉内投与で各成分の0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜60mg、例えば、本発明の医薬組成物又は遊離塩基として計算される、その薬学的に許容可能な塩の各成分の1〜40mgであり得て、組成物は1日あたり1〜4回投与される。或いは、本発明の組成物は連続的静注により、好ましくは1日あたり各成分400mgまでの用量にて投与され得る。従って、各成分の経口投与による総1日用量は、通常、1〜2000mgの範囲となり、非経口投与による総1日用量は、通常、0.1〜400mgの範囲となる。継続治療の間、例えば1週間以上又は数カ月又は数年、化合物は好適に投与される。
【0117】
調節作用又は最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性部分の血漿濃度を付与するように、投与量及び投与間隔は個別に調整され得る。MECは各化合物で異なるが、インビトロでのデータから推定可能である。MECを得るのに必要な用量は個人の特徴及び投与経路に依存する。しかし、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを用いて血漿濃度を測定することができる。
【0118】
投与間隔もMEC値を用いて決定することができる。10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の時間、血漿濃度をMEC超に維持するレジメンを用いて組成物を投与する必要がある。
【0119】
局所投与又は選択的取込みの場合、薬剤の有効局所濃度は血漿濃度と関連し得ない。
【0120】
投与される組成物の量は、当然ながら処置対象、被験体の体重、苦痛の重症度、投与方法及び処方医師の判断に依存する。
【0121】
所望であれば、組成物は、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得るパック又はディスペンサ装置にて提供され得る。例えば、パックは金属製又はプラスチック製のホイル、例えばブリスターパックを含み得る。パック又はディスペンサ装置には投与使用説明書が添付され得る。パック又はディスペンサ装置には、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された形式にて、容器に関連する注意書きも添付され得て、この注意書きはヒト又は動物投与に対する剤形の当局による認可を示す。例えば、このような注意書きは米国食品医薬品局により認可された処方薬に対するラベル又は認可された製品の説明書であり得る。生体適合性の薬剤担体にて製剤化される本発明の化合物を含む組成物も、調製され、適切な容器に配置され、適応病態の処置を示すラベルが貼付され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロトニン受容体の逆作動薬、セロトニン受容体の拮抗薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第一の化合物と、
SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II)
【化1】

の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第二の化合物と
を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記第一の化合物が化学式(I):
【化2】

の化合物である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第一の化合物が化学式(II):
【化3】

の化合物であり、前記第二の化合物が、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬からなる群より選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記SSRIが、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記SNRIが、シタロプラム(Celexa)、dulexetine、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記MAO−Iが、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記TCAが、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗精神病薬が、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、ジベンザピン、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記フェノチアジンが、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))からなる群より選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記フェニルブチルピペラジンが、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ジベンザピンが、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ベンジソキシジルが、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記リチウム塩が炭酸リチウムである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記抗精神病薬が、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ノルエピネフリン再取り込み阻害薬が、チオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ドーパミン作動薬が、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記抗不眠症薬が、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記抗不眠症薬が、H1拮抗薬又は逆作動薬である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記H1拮抗薬又は逆作動薬が、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンからなる群より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記抗躁病薬が、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記抗恐怖症薬がD−サイクロセリンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
生理学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤又はこれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記第一の化合物が化学式(I):
【化4】

の化合物であり、前記第二の化合物がフルオキセチンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病、不眠症及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置する方法であって、
前記処置を必要とする患者を同定するステップと、
前記患者にセロトニン受容体の逆作動薬、セロトニン受容体の拮抗薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第一の化合物と、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II)
【化5】

の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される第二の化合物との組合せの治療有効量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記精神神経疾患が、統合失調症とその関連特発性精神病、不安症、睡眠障害、食欲障害、感情障害、トゥレット症候群、薬剤因性精神病及び神経変性障害に伴う精神病からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記感情障害が、大うつ病、双極性障害及び精神病的特徴を有するうつ病からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記神経変性障害が、アルツハイマー病及びハンチントン病からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記第一の化合物が化学式(I):
【化6】

の化合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の化合物が化学式(II):
【化7】

の化合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記SSRIが、ブプロピオン(Wellbutrin,Zyban)、シタロプラム(Celexa)、デュロキセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、フルボキサミン(Luvox)、ネファゾドン(Serzone)、パロキセチン(Paxil)、セルタリン(Zoloft)、シブトラミン、トラゾドン(Dividose)及びベンラファキシンからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記SNRIが、シタロプラム(Celexa)、デュレクセチン、エスシタロプラム(Lexapro)、フルボキサミン(Luvox)及びベンファラキシン(effexor)からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記MAO−Iが、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、マプロチリン及びイソカルボキサジド(Marplan)からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記TCAが、アミトリプチリン(Norpramine)、アモキサピンクロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、マプロチリン(Elavil)、プロトリプチリン及びトリミプラミンからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記抗精神病薬が、フェノチアジン、フェニルブチルピペラジン、ジベンザピン、ベンジソキシジル及びリチウム塩からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記フェノチアジンが、クロルプロマジン(Thorazine(登録商標))、メソリダジン(Serentil(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))及びチオリダジン(Mellaril(登録商標))からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記フェニルブチルピペラジンが、ハロペリドール(Haldol(登録商標))及びピモジド(Orap(登録商標))からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記ジベンザピンが、クロザピン(Clozaril(登録商標))、ロクサピン(Loxitane(登録商標))、オランザピン(Zyprexa(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記ベンジソキシジルが、レスペリドン(Resperidal(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記リチウム塩が炭酸リチウムである、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記抗精神病薬が、アリピプラゾール(Abilify),Etrafon Haldol,Inapsine,Mellaril,Moban,Navane,Permitil,Prolixin,Phenergan,Reglan,Risperdal,Stelazine,Taractan,Triavil及びTrilafonからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
前記ノルエピネフリン再取り込み阻害薬が、チオニソキセチン及びレボキセチンからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項44】
前記ドーパミン作動薬が、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール及びブロモクリプチンからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
前記抗不眠症薬が、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium,Limbitrol)、クロラゼペイト(Tranxene)、エスタゾラム(ProSom)、フルラゼパム(Dalmane)、ヒドロキシジン(Atarax)、ロラゼパム(Ativan)、ペントバルビタール(Nembutal)、クアゼパム(Doral)、セコバルビタール(Seconal)、テマゼパム(Restoril)、トリアゾラム(Halcion)、ベイリウム、ザレプロン(Sonata)、ゾルピデム(Ambien)及びベンゾジアゼピン系薬剤からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項46】
前記抗不眠症薬が、H1拮抗薬又は逆作動薬である、請求項25に記載の方法。
【請求項47】
前記H1拮抗薬又は逆作動薬が、アザタジン、アステミゾール、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、ケトチフェン、レボカバスチン、メクリジン、メピラミン、マンセリン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン及びロラタジンからなる群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗躁病薬が、ジバルプロックス(Depakote)、炭酸リチウム(Eskalith)及びクエン酸リチウムからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項49】
前記抗恐怖症薬がD−サイクロセリンである、請求項25に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患がうつ病であり、前記第一の化合物が化学式(I):
【化8】

の化合物であり、前記第二の化合物がフルオキセチンである、請求項25に記載の方法。
【請求項51】
患者におけるうつ病、躁病、社会恐怖症、精神病、不眠症及び精神神経疾患からなる群より選択される疾患を処置するための薬剤を調製するための第一の化合物及び第二の化合物の使用であって、前記第一の化合物が、セロトニン受容体の逆作動薬、セロトニン受容体の拮抗薬及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択され、前記第二の化合物が、SSRI、SNRI、MAO−I、TCA、抗精神病薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬、抗不眠症薬、抗躁病薬、抗恐怖症薬、化学式(II)
【化9】

の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される使用。
【請求項52】
前記セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
前記第一の化合物が化学式(I):
【化10】

の化合物である、請求項51に記載の使用。
【請求項54】
前記第一の化合物が化学式(II):
【化11】

の化合物である、請求項51に記載の使用。
【請求項55】
前記疾患がうつ病であり、前記第一の化合物が化学式(I):
【化12】

の化合物であり、前記第二の化合物がフルオキセチンである、請求項51に記載の使用。

【公表番号】特表2008−500390(P2008−500390A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527488(P2007−527488)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/017808
【国際公開番号】WO2005/112927
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502295674)アカディア ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】