説明

癌、炎症およびウイルス感染症の処置のためのCDK阻害剤としてのヘテロアリール−ヘテロアリール化合物

本発明は、タンパク質キナーゼ関連障害の処置および治療に有用な、式I:


[式中、
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
、A、AおよびAは、それぞれ独立して、C、C(H)またはNである。]で示される有機化合物を記載する。それらは、特に、CDK1、CDK2、CKD3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9およびそれらの組合せのようなタンパク質キナーゼの活性を調節することにより、癌、炎症、心肥大、およびHIVの1種以上の症状の処置または予防または改善において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、2006年12月22日出願の、米国特許出願番号第60/871,471号(その内容全体は、参照により本明細書中に包含される。)に対して優先権を主張する。
【0002】
新規治療剤の探索は、近年、疾患と関係する酵素および他の生体分子の構造のより一層の理解により、より促進されている。広範な研究対象である酵素の1つの重要なクラスは、タンパク質キナーゼである。
【0003】
タンパク質キナーゼは、細胞内で種々のシグナル伝達過程を制御する役目を果たす、構造的に関連する酵素の大きな一団のファミリーから構成されている(Hardie, G. and Hanks, S. The Protein Kinase Facts Book, I and II, Academic Press, San Diego, Calif.: 1995)。タンパク質キナーゼは、それらの構造および触媒機能の保全のため共通の先祖遺伝子から進化したと考えられている。ほとんど全てのキナーゼは、類似の250−300アミノ酸の触媒ドメインを含む。該キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)によってファミリーに分類され得る。一般的に、これらキナーゼファミリーの各々に対応する配列モチーフが同定されている(例えば、Hanks, S. K., Hunter, T., FASEB J. 1995, 9, 576−596; Knighton et al., Science 1991, 253, 407−414; Hiles et al., Cell 1992, 70, 419−429; Kunz et al., Cell 1993, 73, 585−596; Garcia−Bustos et al., EMBO J. 1994, 13, 2352−2361を参照)。
【0004】
多くの疾患は、上記のタンパク質キナーゼにより仲介される事象により誘発される異常な細胞応答と関係する。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝疾患、神経疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、ウイルス疾患、ならびにホルモン関連疾患が含まれるが、これらに限定されない。従って、治療剤として有効なタンパク質キナーゼ阻害剤を見出すために、医薬品化学において相当な努力がなされている。
【0005】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)複合体は、興味のある標的であるキナーゼクラスである。これらの複合体は、少なくとも1個の触媒サブユニット(CDK自体)および調節サブユニット(サイクリン)を含む。細胞周期調節のためのより重要な複合体のいくつかは、サイクリンA(cdc2としても公知のCDK1、およびCDK2)、サイクリンB1−B3(CDK1)、およびサイクリンD1−D3(CDK2、CDK4、CDK5、CDK6)、サイクリンE(CDK2)を含む。これらの複合体はそれぞれ、細胞周期の特定の期に関与する。さらに、CDK7、8および9は、転写の制御に関与する。
【0006】
CDKの活性は、他のタンパク質と一時的に結合し、その細胞内局在を変化することにより、翻訳後調節される。腫瘍発生は、CDKおよびそれらの調節因子の遺伝子変化および脱制御と密接に関係しており、CDKの阻害剤が、抗癌治療に有用であり得ることが示唆される。実際、初期の結果は、形質転換および正常細胞が、例えば、サイクリンA/CDK2に対するそれらの必要性が異なること、およびそのことが、常套の細胞毒性剤および細胞増殖抑制剤で観察される一般的な宿主毒性がない新規の抗新生物薬を開発可能であることを示唆する。細胞周期関連CDKの阻害が、例えば腫瘍学適用において明確に関係するとき、RNAポリメラーゼを調節するCDKの阻害は、癌適応症においても大いに関係し得る。
【0007】
CDKは、細胞周期進行および細胞転写に関与することが示されており、増殖制御の喪失は、疾患における異常な細胞増殖に関係している(例えば、Malumbres and Barbacid, Nat. Rev. Cancer 2001, 1:222を参照)。サイクリン依存性キナーゼの増大した活性または一時的に異常な活性化が、ヒト腫瘍の発生をもたらすことが示されている(Sherr C. J., Science 1996, 274 : 1672−1677)。実際、ヒト腫瘍発生は、一般的に、CDKタンパク質自体またはその制御因子の何れかの変化と関係する(Cordon−Cardo C., Am. J. Pat1/701. 1995; 147: 545−560; Karp J. E. and Broder S., Nat. Med. 1995; 1: 309−320; Hall M. et al., Adv. Cancer Res. 1996; 68: 67−108)。
【0008】
p16およびp27のようなCDKの天然に生じるタンパク質阻害剤は、肺癌細胞株においてインビトロで増殖阻害をもたらす(Kamb A., Curr. Top. Microbiol. Immunol. 1998; 227: 139−148)。
【0009】
CDK7および9は、転写開始および延長のそれぞれに重要な役割を果たす(例えば、Peterlin and Price. Cell 23: 297−305, 2006, Shapiro. J. Clin. Oncol. 24: 1770−83, 2006を参照)。CDK9の阻害は、Mcl1のような抗アポトーシスタンパク質の転写の下方制御を介して、造血系の腫瘍細胞におけるアポトーシスの直接誘導と関係している(Chao, S.−H. et al. J. Biol. Chem. 2000;275:28345−28348; Chao, S.−H. et al. J. Biol. Chem. 2001;276:31793−31799; Lam et. al. Genome Biology 2: 0041.1−11, 2001; Chen et al. Blood 2005;106:2513; MacCallum et al. Cancer Res. 2005;65:5399;および、Alvi et al. Blood 2005;105:4484)。固形腫瘍細胞において、CDK9活性の下方制御による転写阻害は、細胞周期CDK、例えばCDK1および2の阻害と相乗して、アポトーシスを誘導する(Cai, D.−P., Cancer Res 2006, 66:9270)。CDK9またはCDK7を介する転写阻害は、半減期の短いmRNA、例えばマントル細胞リンパ腫におけるサイクリンD1の転写に依存する、腫瘍細胞タイプにおける選択的殺活性を有し得る。MycおよびNF−kBのようないくつかの転写因子は、それらのプロモーターにCDK9を選択的に捕捉し、これらのシグナル伝達経路の活性に依存する腫瘍は、CDK9阻害に対して感受性であり得る。
【0010】
小分子CDK阻害剤はまた、異常な細胞増殖による、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような心血管障害ならびに他の血管障害の処置にも用いられ得る。バルーン血管形成術後の血管平滑筋増殖および内膜過形成は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤タンパク質の過剰発現により阻止される。さらに、プリンCDK2阻害剤であるCVT−313(Ki=95nM)は、ラットにおいて内膜新生の80%を超える阻止をもたらす。
【0011】
CDK阻害剤は、菌類、熱帯マラリア原虫のような寄生虫、ならびにDNAおよびRNAウイルスを含む種々の感染性病原体により引き起こされる疾患を処置するために用いられ得る。例えば、サイクリン依存性キナーゼは、ヘルペス単純ウイルス (HSV)(Schang L. M. et al., J. Virol. 1998; 72: 5626) による感染後のウイルス複製に必要とされ、CDK相同体は、酵母において重要な役割を果たすことが知られている。
【0012】
CDK9/サイクリンT機能の阻害は、最近、HIV複製の予防と関係づけられ、故に、新規のCDK生物学の発見は、CDK阻害剤についての新しい治療指標を切り開く(Sausville, E. A. Trends Molec. Med. 2002, 8, S32−S37)。
【0013】
CDKは、好中球により仲介される炎症において重要であり、CDK阻害剤は、動物モデルにおける炎症の消散を促進する(Rossi, A.G. et al, Nature Med. 2006, 12:1056)。故に、CDK9阻害剤を含むCDK阻害剤は、抗炎症剤として作用し得る。
【0014】
選択的CDK阻害剤は、種々の自己免疫障害の作用を改善するために用いられ得る。慢性炎症性疾患であるリウマチ性関節炎は、滑膜組織過形成により特徴付けられ、滑膜組織増殖の阻止は、炎症を最小限に抑え、関節破壊を予防するはずである。関節炎のラットモデルにおいて、関節腫脹は、CDK阻害剤タンパク質p16を発現するアデノウイルスでの処理により実質的に阻止された。CDK阻害剤は、乾癬(ケラチン生成細胞過剰増殖により特徴付けられる)、糸球体腎炎、慢性炎症および狼瘡を含む細胞増殖の他の障害に対して有効である。
【0015】
あるCDK阻害剤は、正常な非形質転換細胞の細胞周期進行を阻止するそれらの能力により、化学的予防薬として有用である(Chen, et al. J. Natl. Cancer Institute, 2000; 92: 1999−2008)。細胞毒性剤の使用前のCDK阻害剤での癌患者の前処置は、化学療法が通常伴う副作用を低減し得る。正常な増殖細胞は、選択的CDK阻害剤の作用により細胞毒性作用から保護される。
【0016】
従って、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、ならびにそれらの組合せのようなタンパク質キナーゼの阻害剤の開発が必要とされる。
【発明の概要】
【0017】
発明の概要
タンパク質キナーゼ関連疾患の新規処置および治療剤が必要とされる。癌、炎症、心肥大およびHIVの1種以上の症状の処置または予防または改善に有用な化合物も必要とされる。さらに、本明細書に記載の化合物を用いて、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、ならびにそれらの組合せなどのタンパク質キナーゼの活性を調節するための方法が必要とされる。一局面において、本発明は、式I:
【化1】


で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体を提供する。
【0018】
別の局面において、本発明は、式II:
【化2】


で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体を提供する。
【0019】
別の局面において、本発明は、式III:
【化3】


で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体を提供する。
【0020】
一態様において、本発明の化合物は、表A、表Bまたは表Cから選択される化合物により示される。
【0021】
別の局面において、本発明は、タンパク質キナーゼを本発明の化合物と接触させることを含む、タンパク質キナーゼ活性の制御、調節または阻害方法を提供する。一態様において、該タンパク質キナーゼは、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、またはそれらの何れかの組合せからなる群から選択される。別の態様において、タンパク質キナーゼは、CDK1、CDK2およびCDK9、またはそれらの何れかの組合せからなる群から選択される。さらに別の態様において、該タンパク質キナーゼは、細胞培養物中に存在する。さらに別の態様において、該タンパク質キナーゼは、哺乳動物中に存在する。
【0022】
別の局面において、本発明は、該タンパク質キナーゼ関連障害が処置されるように、薬学的に許容される量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含むタンパク質キナーゼ関連障害の処置方法を提供する。一態様において、該タンパク質キナーゼは、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9からなる群から選択される。
【0023】
一態様において、該タンパク質キナーゼ関連障害は癌である。さらに別の態様において、該癌は、膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、リンパ系の癌、造血系の癌、尿生殖器管癌、消化管癌、卵巣部癌、前立腺癌、胃部癌、骨癌、小細胞肺癌、神経膠腫、結腸直腸癌および膵臓癌からなる群から選択される。
【0024】
一態様において、該タンパク質キナーゼ関連障害は炎症である。別の態様において、該炎症は、リウマチ性関節炎、狼瘡、1型糖尿病、糖尿病性腎症、多発性硬化症、糸球体腎炎、慢性炎症および臓器移植拒絶に関する。
【0025】
別の態様において、該タンパク質キナーゼ関連障害はウイルス感染である。一態様において、該ウイルス感染は、HIVウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、またはアデノウイルスと関係する。
さらに別の態様において、該タンパク質キナーゼ関連障害は心肥大である。
【0026】
別の局面において、本発明は、癌が処置されるように、薬学的に許容される量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む癌の処置方法を提供する。一態様において、該癌は、膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、リンパ系の癌、造血系の癌、尿生殖器管癌、消化管癌、卵巣部癌、前立腺癌、胃部癌、骨癌、小細胞肺癌、神経膠腫、結腸直腸癌および膵臓癌からなる群から選択される。
【0027】
別の局面において、本発明は、炎症が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、本発明の化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む炎症の処置方法を提供する。一態様において、該炎症は、リウマチ性関節炎、狼瘡、1型糖尿病、糖尿病性腎症、多発性硬化症、糸球体腎炎、慢性炎症および臓器移植拒絶と関係する。
【0028】
別の局面において、本発明は、心肥大が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、本発明の化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む心肥大の処置方法を提供する。
【0029】
別の局面において、本発明は、ウイルス感染が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、本発明の化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含むウイルス感染の処置方法を提供する。一態様において、該ウイルス感染は、HIVウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、またはアデノウイルスと関係する。
【0030】
一態様において、本発明の化合物により処理されるべき対象は、哺乳動物である。別の態様において、該哺乳動物はヒトである。
【0031】
別の局面において、本発明の化合物は、抗炎症剤、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性剤またはキナーゼ阻害剤もしくはその塩と同時または逐次投与される。一態様において、該化合物またはその塩は、1個以上のPTK阻害剤、シクロスポリンA、CTLA4−Ig、抗ICAM−3、抗IL−2受容体、抗CD45RB、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD80、抗CD86およびモノクローナル抗体OKT3から選択される抗体、CVT−313、CD40とgp39の相互作用を阻止する薬剤、CD40とgp39から構成される融合タンパク質、NFκB機能の阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、金化合物、FK506、ミコフェノール酸モフェチル、細胞毒性剤、TNF−α阻害剤、抗TNF抗体もしくは可溶性TNF受容体、ラパマイシン、レフルノミド(leflunimide)、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、マイトマイシンC、エクチナサイジン743、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、エポチロン、ビンデシン、ロイロシン、またはその誘導体と同時または逐次投与される。
【0032】
別の局面において、本発明は、有効量のタンパク質キナーゼ調節化合物を用いてタンパク質キナーゼ関連障害を処置するための指示書と共にパッケージされた、式Iまたは式IIのタンパク質キナーゼ調節化合物を含む、タンパク質キナーゼ関連障害処置剤パッケージを提供する。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、タンパク質キナーゼ関連障害の処置における使用のための、化合物、それの中間体およびその誘導体、ならびに該化合物を含む医薬組成物を対象とする。本発明はまた、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、ならびにそれらの組合せの調節剤としての、本発明の化合物または組成物を対象とする。本発明はまた、本発明の化合物または医薬組成物、またはキットを用いて、細胞におけるタンパク質キナーゼ活性を阻害するための、または癌、炎症、心肥大およびウイルス疾患(HIVウイルスと関係する疾患のような)の1種以上の症状を処置、予防または改善するための、併用療法を対象とする。
【0034】
一局面において、本発明は、式I:
【化4】


[式中、mは、0または1であり;nは、0または1であり;A、A、AおよびAは、それぞれ独立して、C、C(H)またはNであり;R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;または、RまたはRは、独立してOであってよいか;
または、RおよびRはまた一体となって、以下の構造:
【化5】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体を提供する。
【0035】
式Iの一態様において、Rは、水素、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である。式Iの別の態様において、C1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基は、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である。式Iの別の態様において、R、RおよびRの少なくとも1個は、Hではない。
【0036】
式Iの別の態様において、mは0であり、AはCであり、そしてAはNである。式Iのさらに別の態様において、AはCであり、AはNであり、そしてnは0である。式Iのさらに別の態様において、mおよびnは0であり、AはCであり、そしてAおよびAはNである。式Iの別の態様において、AおよびAはNである。式Iのさらに別の態様において、nは0であり、AはCであり、そしてAおよびAはNである。
【0037】
式Iの別の態様において、Rは、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;Rは、置換アリールおよび置換C1−6−アルキルからなる群から選択され;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ハロゲンおよびC1−6−アルキルからなる群から選択され;そして、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択されるか;または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化6】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)である。
【0038】
式Iの別の態様において、RはHである。式Iのさらに別の態様において、Rは、1個以上の置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル、チオエーテル、アミノ、アリール、ヘテロ環、電子求引基もしくは電子求引原子で独立して置換されるアリールである。式Iのさらに別の態様において、Rは、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である。
【0039】
式Iの別の態様において、R、RおよびRの少なくとも1個は、Hではない。
【0040】
本発明の別の局面において、式Iは、式II:
【化7】


[式中、mは、0または1であり;R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;または、RはOであってよいか;
または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化8】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体である。
【0041】
式IIの一態様において、Rは、水素、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である。式IIの別の態様において、該C1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基は、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である。式IIのさらに別の態様において、R、RおよびRの少なくとも1個は、Hではない。式IIのさらに別の態様において、mは0であり;Rは、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;Rは、置換アリールおよび置換C1−6−アルキルからなる群から選択され;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ハロゲンおよびC1−6−アルキルからなる群から選択され;そしてR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換アミノからなる群から選択される。
【0042】
式IIの別の態様において、Rは、1個以上の置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル、チオエーテル、アミノ、置換もしくは非置換アリール、ヘテロ環、電子求引基もしくは電子求引原子で独立して置換されるアリールである。
【0043】
式IIの別の態様において、Rは、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である。式IIのさらに別の態様において、Rは、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換アミノからなる群から選択される。
【0044】
式IIの別の態様において、mは0であり;Rは、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;Rは、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のニトリル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;RおよびRはHであり;そして、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択される。
【0045】
式IIの別の態様において、Rは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)またはN(R12)R13で置換されたアリール、および(CH)1−6N(R12)R13からなる群から選択され;Rは、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシおよびN(R12)R13からなる群から選択され;そして、Rは、水素およびN(R12)R13からなる群から選択され;
ここで、R11は、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13は、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される。
【0046】
式IIの別の態様において、Rは、置換もしくは非置換イミダゾール、オキサゾールまたはトリアゾールである。式IIのさらに別の態様において、mは0であり;Rは水素であり;Rは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)またはN(R12)R13で置換されたアリール、および(CH)1−6N(R12)R13からなる群から選択され;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;Rは、水素、クロロおよびCHからなる群から選択され;そして、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択され;Rは水素であり;
ここで、R11は、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13は、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gが、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾールおよびピロリジン−2−オンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される。
【0047】
式IIの別の態様において、mは0であり;Rは水素であり;Rは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)、N(R12)R13、または(CH)1−6N(R12)R13で置換されたアリールからなる群から選択され;Rは、ハロゲン、CH、CHCH、OCHおよび置換もしくは非置換アミンからなる群から選択され;Rは、水素、ハロゲン、CH、OCH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(CH)(CH)N(H)CH、N(CH)(CH)N(CH)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OC(O)CH、N(H)(CH)N(H)−Ph−CHNH、N(H)(CH)N(H)−Ph−CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)COH、N(H)CHPh、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)−N−モルホリノ、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−N(H)CHからなる群から選択され;Rは、水素、クロロおよびCHからなる群から選択され;そして、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択され;Rは水素であり;
ここで、R11は、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13は、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gが、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾールおよびピロリジン−2−オンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される。
【0048】
式IIの別の態様において、Rは、CH、CHCH、OCH、OCHCH、O(CH)NH、O(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)OC(O)CH、F、Cl、Br、NH、N(H)C(O)CH、N(H)(CH)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)CHC(CH)CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール−CH、N(H)(CH)−ピラゾール−CH、N(H)(CH)−イミダゾール−(CH)、N(H)(CH)−ピラゾール−(CH)、N(H)(CH)−モルホリノ、N(H)(CH)−ピペリジン、N(H)(CH)−ピペラジン、N(H)(CH)−ラクタム、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)C(O)C(CH)、N(H)(CH)N(H)C(O)CHC(CH)、N(H)CHC(CH)CHNH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)(CH)N(H)C(H)(CH)、N(H)(CH)N(H)S(O)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、およびN(H)−Ph−S(O)CHからなる群から選択される。
【0049】
別の局面において、式Iは、式III:
【化9】


[式中、nは、0または1であり;R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;または、RはOであってよいか;
または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化10】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体である。
【0050】
式IIIの一態様において、Rは、ハロゲン、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である。式IIIの別の態様において、C1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基は、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である。式IIIの別の態様において、R、RおよびRの少なくとも1個は、Hではない。式IIIのさらに別の態様において、RはHである。式IIIの別の態様において、nは0であり、そしてR、RおよびRは水素である。
【0051】
式IIIの別の態様において、Rは、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である。
【0052】
式IIIの別の態様において、nは0であり;Rは、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;Rは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)、N(R12)R13、または(CH)1−6N(R12)R13で置換されたアリールからなる群から選択され;Rは、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;RおよびRは、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、または置換もしくは非置換アミノであり;RおよびRはHであり;
ここで、R11は、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13は、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される。
【0053】
式IIIの別の態様において、Rは、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシおよびN(R12)R13からなる群から選択され;
ここで、R12およびR13は、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される。
【0054】
式IIIの別の態様において、Rは水素であり;Rは、水素、CH、C3−7−シクロヘキシル、インダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾールまたはフェニル(ここで、該シクロヘキシル、インダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾールまたはフェニル基は、1個以上のクロロ、S(O)CH、C(O)NH、C(O)O−t−ブチル、ピペリジン、t−ブチルで置換されたピペリジン、オキサゾール、N(H)C(O)CH、メチルで置換された1,2,4−トリアゾール、SONH、シアノ、C(O)OEt、フェニル、S(O)N(H)CH、S(O)N(Et)、S(O)N(H)Et、S(O)N−イミダゾール、S(O)N(H)ブチル、ピロリジン、S(O)N(H)シクロヘキシル、COOH、C(O)N(H)(CH)N(H)C(O)CH、C(O)N(H)(CH)N(CH)、C(O)N(H)Et、NOまたはS(O)N(H)(CH)OHで独立して置換される)である。
【0055】
式IIIの別の態様において、Rは、CH、CHCH、OCH、OCHCH、O(CH)NH、O(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)OC(O)CH、F、Cl、Br、NH、N(H)C(O)CH、N(H)(CH)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)CHC(CH)CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール−CH、N(H)(CH)−ピラゾール−CH、N(H)(CH)−イミダゾール−(CH)、N(H)(CH)−ピラゾール−(CH)、N(H)(CH)−モルホリノ、N(H)(CH)−ピペリジン、N(H)(CH)−ピペラジン、N(H)(CH)−ラクタム、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)C(O)C(CH)、N(H)(CH)N(H)C(O)CHC(CH)、N(H)CHC(CH)CHNH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)(CH)N(H)C(H)(CH)、N(H)(CH)N(H)S(O)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、およびN(H)−Ph−S(O)CHからなる群から選択される。
【0056】
式IIIのさらに別の態様において、Rは、フッ素、水素およびOCHからなる群から選択される。式IIIのさらに別の態様において、Rは、水素、フッ素、OCHおよびCHからなる群から選択される。
【0057】
式Iおよび式II (その薬学的に許容される塩、ならびにエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む) の好ましい態様は、下記の表A、表Bまたは表Cに示され、“本発明の化合物”としても見なされる。本発明の化合物はまた、本明細書中、“タンパク質キナーゼ阻害剤”ならびに“CDK阻害剤”とも称される。
【0058】
【表1】


【表2】


【表3】

【0059】
【表4】


【表5】


【表6】

【0060】
【表7】


【表8】


【表9】

【0061】
【表10】


【表11】

【表12】

【0062】
【表13】


【表14】


【表15】

【0063】
【表16】


【表17】


【表18】

【0064】
【表19】


【表20】


【表21】

【0065】
【表22】


【表23】


【表24】


【表25】


【表26】

【0066】
ある態様において、本発明の化合物は、abl、ATK、Bcr−abl、Blk、Brk、Btk、c−fms、e−kit、c−met、c−src、CDK、cRafl、CSFIR、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ERK、Fak、fes、FGFRI、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、FLK−4、flt−1、Fps、Frk、Fyn、GSK、Gst−Flkl、Hck、Her−2、Her−4、IGF−lR、INS−R、Jak、JNK、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、panHER、PDGFR、PLK、PKC、PYK2、Raf、Rho、ros、SRC、TRK、TYK2、UL97、VEGFR、Yes、Zap70、オーロラ−A、GSK3−alpha、HIPK1、HIPK2、HIP3、IRAK1、JNK1、JNK2、JNK3、TRKB、CAMKII、CK1、CK2、RAF、GSK3Beta、MAPK1、MKK4、MKK7、MST2、NEK2、AAK1、PKCalpha、PKD、RIPK2およびROCK−IIからなる群から選択されるタンパク質キナーゼを含むが、これらに限定されないタンパク質キナーゼの調節剤として、さらに特徴付けられる。
【0067】
好ましい態様において、該タンパク質キナーゼは、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、ならびにそれらの何れかの組合せ、ならびに何れかの他のCDK、ならびに何れかの未だに同定されていないCDKからなる群から選択される。特に好ましい態様において、該タンパク質キナーゼは、CDK1、CDK2およびCDK9からなる群から選択される。
【0068】
特定の態様において、興味のあるCDKの組合せは、CDK4およびCDK9;CDK1、CDK2およびCDK9;CDK9およびCDK7;CDK9およびCDK1;CDK9およびCDK2;CDK4、CDK6およびCDK9;CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6およびCDK9である。
【0069】
他の態様において、本発明の化合物は、タンパク質キナーゼ関連障害の処置剤として用いられる。本明細書で用いる用語“タンパク質キナーゼ関連障害”は、タンパク質キナーゼ活性、例えばCDK、例えばCDK1、CDK2および/またはCDK9と関係のある障害および状態(例えば、疾患状態)である。タンパク質キナーゼ関連障害の限定しない例は、異常な細胞増殖(タンパク質キナーゼの関連する癌を含む)、ウイルス感染症、真菌感染症、自己免疫疾患および神経変性疾患である。
【0070】
タンパク質キナーゼ関連障害の限定しない例は、ウイルス感染症、自己免疫疾患、真菌疾患、癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症と関係する血管平滑筋細胞増殖のような増殖性疾患、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎、慢性炎症、アルツハイマー病のような神経変性障害、ならびに外科手術後狭窄および再狭窄である。タンパク質キナーゼ関連疾患はまた、乳癌、卵巣癌、頸癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、胃癌、皮膚癌、肺癌、骨癌、結腸癌、膵臓癌、甲状腺癌、胆汁道の癌、口腔(buccal cavity)癌および咽頭癌(口腔(oral)癌)、口唇癌、舌癌、口腔(mouth)癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳および中枢神経系の癌、グリア芽腫、神経芽腫、角化棘細胞腫、類表皮癌腫、大細胞癌腫、腺癌腫、アデノーマ、濾胞性癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫、腎臓癌腫、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン疾患、有毛細胞、白血病を含むが、これらに限定されない異常な細胞増殖と関係する疾患である。
【0071】
さらなるタンパク質キナーゼ関連癌疾患の限定しない例は、癌腫、リンパ系造血性腫瘍、骨髄系造血性腫瘍、間葉由来の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、ケラトアカントーマ(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫である。
【0072】
タンパク質キナーゼ関連障害は、癌、ウイルス感染症、自己免疫疾患および神経変性障害を含むが、これらに限定されないアポトーシスと関係する疾患である。
【0073】
タンパク質キナーゼ関連障害の限定しない例は、HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスを含むが、これらに限定されないウイルス感染症である。
【0074】
タンパク質キナーゼ関連障害の限定しない例は、腫瘍血管形成および転移である。タンパク質キナーゼ関連障害の限定しない例はまた、アテローム性動脈硬化症と関係する血管平滑筋増殖、外科手術後の血管狭窄および再狭窄、ならびに子宮内膜症である。
【0075】
タンパク質キナーゼ関連障害のさらなる限定しない例には、酵母、真菌、熱帯マラリア原虫のような寄生虫、ならびにDNAおよびRNAウイルスを含む感染因子と関係するものが含まれる。
【0076】
他の態様において、本発明の化合物は、タンパク質キナーゼ、例えばCDK、例えばCDK1、CDK2および/またはCDK9の組合せの調節剤としてさらに特徴付けられる。ある態様において、本発明の化合物は、タンパク質キナーゼ関連疾患のために、および/または何れかの1個以上のタンパク質キナーゼの阻害剤として用いられる。使用は、タンパク質キナーゼの1種以上の異性体を阻害する処理であり得ることが考えられる。
【0077】
本発明の化合物は、サイクリン依存性キナーゼ酵素の阻害剤である。理論はともかく、CDK4/サイクリンD1複合体の阻害は、Rb/不活性E2F複合体のリン酸化を阻害し、故に、活性化E2Fの放出を阻止し、最終的にE2F依存性DNA転写を阻止する。これは、G細胞周期停止をもたらす効果を有する。特に、CDK4経路は、腫瘍特異的脱制御および細胞毒性効果を有することが示されている。従って、CDKの組合せの活性を阻害する能力は、治療的使用に有益であり得る。
【0078】
さらに、化学療法剤攻撃に対して応答および生存する該細胞の能力は、転写の急な変化、またはCDK9/サイクリンT1(PTEF−b)活性に高度に感受性である経路の活性化に依存し得る。CDK9阻害は、NF−kBの阻害により細胞をTNFαまたはTRAIL刺激に感受性とし得るか、またはmyc依存性遺伝子発現を減少することにより細胞の増殖を阻止し得る。CDK9阻害はまた、細胞を遺伝毒性化学療法、HDAC阻害、または他のシグナル伝達に基づく治療にも感受性とし得る。
【0079】
そのようなものとして本発明の化合物は、抗アポトーシスタンパク質の減少をもたらすことができ、それは、アポトーシスを直接誘導し得るか、または細胞周期阻害、DNAもしくは微小管損傷またはシグナル伝達阻害のような他のアポトーシス刺激に対して感受性とし得る。抗アポトーシスタンパク質の本発明の化合物による減少は、アポトーシスを直接誘導するか、または細胞周期阻害、DNAもしくは微小管損傷またはシグナル伝達阻害のような他のアポトーシス刺激に対して感受性とし得る。
【0080】
本発明の化合物は、化学療法、DNA損傷停止剤、または他の細胞周期停止剤と併用して有効であり得る。本発明の化合物はまた、化学療法耐性細胞での使用に有効であり得る。
【0081】
本発明は、癌、炎症、心肥大およびHIV感染、ならびに上記のタンパク質キナーゼ関連障害の1個以上の症状の処置を含むが、本発明は、該化合物が、疾患の処置のその目的とする作用を果たすことによる方法に限定されることを意図しない。本発明は、処置が起こり得る何らかの方法での、本明細書に記載の疾患、例えば癌、炎症、心肥大およびHIV感染の処置を含む。
【0082】
ある態様において、本発明は、本発明の何れかの化合物の医薬組成物を提供する。関連する態様において、本発明は、本発明の化合物の何れか、ならびにこれらの化合物の何れかの薬学的に許容される担体または賦形剤の医薬組成物を提供する。ある態様において、本発明は、新規化学物質としての化合物を含む。
【0083】
一態様において、本発明は、タンパク質キナーゼ関連障害処置剤パッケージを包含する。該処置剤パッケージは、目的とする使用のために有効量の本発明の化合物を用いる説明書と共にパッケージングされた本発明の化合物を含む。
【0084】
本発明の化合物は、特に、タンパク質キナーゼ関連障害、例えば癌、炎症、心肥大およびHIV感染を処置するのに有効な医薬組成物中の活性剤として好適である。種々の態様における医薬組成物は、薬学的に有効量の本発明の活性剤を、他の薬学的に許容される賦形剤、担体、充填剤、希釈剤などと共に含む。本明細書で用いる用語“薬学的に有効な量”は、宿主、または宿主の細胞、組織、または臓器に投与され、治療結果、とりわけタンパク質キナーゼ活性の制御、調節または阻害、例えばタンパク質キナーゼの活性の阻害、または癌、炎症、心肥大、およびHIV感染の処置を達成するのに必要な量を示す。
【0085】
他の態様において、本発明は、タンパク質キナーゼの活性を阻害する方法を提供する。該方法は、細胞を本発明の化合物の何れかと接触させることを含む。関連する態様において、該方法は、該化合物が、タンパク質キナーゼの活性を選択的に阻害するのに有効な量で存在することをさらに提供する。
【0086】
他の態様において、本発明は、対象における癌、炎症、心肥大およびHIV感染を処置するための薬剤の製造を目的とした、本発明の化合物の何れかの使用を提供する。
【0087】
他の態様において、本発明は、対象を処置するための本発明の化合物の何れかを製剤することを含む、薬剤の製造方法を提供する。
【0088】
定義
用語“処置する”、“処置し”、“処置”または“処置法”は、処置すべき状態、障害または疾患と関係するか、またはそれにより引き起こされる少なくとも1個の症状を軽減または緩和を含む。ある態様において、該処置は、タンパク質キナーゼ関連障害の誘発、次いで本発明の化合物の活性化を含み、そしてそれは、処置すべきタンパク質キナーゼ関連障害と関係するか、またはそれにより引き起こされる少なくとも1個の症状を軽減または緩和し得る。例えば、処置は、障害の1個またはいくつかの症状の軽減、または障害の完全な根絶を可能にする。
【0089】
用語“使用”は、以下の本発明の態様:適当であり、不都合でなければ、他の記載がないとき、タンパク質キナーゼ関連障害の処置における使用;これらの疾患の処置における使用のための医薬組成物の製造を目的とした、例えば薬剤の製造を目的とした、使用;これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用方法;これらの疾患の処置のための本発明の化合物を含む製剤;および、これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用、の何れか1個以上をそれぞれ包含する。特に、処置されるべき疾患、および故に、本発明の化合物の使用に好ましい疾患は、癌、炎症、心肥大、およびHIV感染、ならびにタンパク質キナーゼの活性に依存する疾患から選択される。用語“使用”は、蛍光またはタグと結合するとき、または放射活性を生じるとき、研究試薬または診断剤もしくは造影剤として使用され得るように、トレーサーまたは標識として作用するのに十分にタンパク質キナーゼに結合する本明細書に記載の組成物の態様をさらに包含する。
【0090】
用語“対象”は、タンパク質キナーゼの活性と関係する疾患、障害または状態を有する可能性があるか、または有する生物、例えば原核生物および真核生物を含むことを意図する。対象の例は、哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよび形質転換非ヒト動物である。ある態様において、該対象は、ヒト、例えば癌、炎症、心肥大およびHIV感染、ならびに本明細書に記載の他の疾患または状態(例えば、タンパク質キナーゼ関連障害)を有する危険があるか、または有する可能性のあるヒトである。別の態様において、該対象は細胞である。
【0091】
用語“タンパク質キナーゼ調節化合物”、“タンパク質キナーゼの調節剤”または“タンパク質キナーゼ阻害剤”は、タンパク質キナーゼの活性を調節する、例えば阻害または他に変化する化合物を意味する。タンパク質キナーゼ調節化合物の例には、本発明の化合物、すなわち式Iおよび式II、ならびに表A、表Bおよび表Cの化合物(その薬学的に許容される塩、ならびにエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む)が含まれる。
【0092】
さらに、本発明の方法は、有効量のタンパク質キナーゼを調節する本発明の化合物、例えば式Iおよび式II、ならびに表A、表Bおよび表Cのタンパク質キナーゼ調節化合物(その薬学的に許容される塩、ならびにエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む)を、対象に投与することを含む。
【0093】
用語“アルキル”は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、など)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。用語“アルキル”はまた、アルケニル基およびアルキニル基を含む。さらに、“C−C−アルキル”〔式中、xは1−5であり、yは2−10である。〕なる表現は、特定の範囲の炭素の特定のアルキル基(直鎖または分枝鎖)を示す。例えば、C−C−アルキルなる表現は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチル、ならびにイソブチルおよびsec−ブチルを含むが、これらに限定されない。さらに、用語C3−7−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含むが、これらに限定されない。以下に記載の通りに、これらのアルキル基、ならびにシクロアルキル基は、さらに置換されていてよい。
【0094】
用語アルキルは、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子をさらに含み得るアルキル基をさらに含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、該骨格中に10個以下の炭素原子(例えば、直鎖のときC−C10、分枝鎖のときC−C10)を有し、より好ましくは6個以下の炭素を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造中に4−7個の炭素原子を有し、より好ましくは、該環構造中に5または6個の炭素を有する。
【0095】
さらに、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、など)は、“非置換アルキル”および“置換アルキル”の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基(それは、該分子がその目的とする機能を実行するのを可能とする。)を有するアルキル基を意味する。
【0096】
用語“置換”は、分子の1個以上の原子、例えばC、OまたはN上の水素を置換する置換基を有する部分を記載することを意図する。かかる置換基は、電子求引基または電子求引原子を含み得る。かかる置換基は、例えばオキソ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート(phosphinato)、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、モルホリノ、フェノール、ベンジル、フェニル、ピペリジン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピリジン、5H−テトラゾール、トリアゾール、ピペリジン、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基、ならびに何れかのその組合せを含み得る。
【0097】
本発明の置換基の限定することを意図しないさらなる例は、直鎖もしくは分枝鎖アルキル(好ましくは、C−C)、シクロアルキル(好ましくは、C−C)、アルコキシ(好ましくは、C−C)、チオアルキル(好ましくは、C−C)、アルケニル(好ましくは、C−C)、アルキニル(好ましくは、C−C)、ヘテロ環式、炭素環式、アリール(例えば、フェニル)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル、または他のそのようなアシル基、ヘテロアリールカルボニル、もしくはヘテロアリール基、(CR’R”)0−3NR’R”(例えば、−NH)、(CR’R”)0−3CN(例えば、−CN)、−NO、ハロゲン(例えば、−F、−Cl、−Br、または−I)、(CR’R”)0−3C(ハロゲン)(例えば、−CF)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CONR’R”、(CR’R”)0−3(CNH)NR’R”、(CR’R”)0−3S(O)1−2NR’R”、(CR’R”)0−3CHO、(CR’R”)0−3O(CR’R”)0−3H、(CR’R”)0−3S(O)0−3R’(例えば、−SOH、−OSOH)、(CR’R”)0−3O(CR’R”)0−3H(例えば、−CHOCHおよび−OCH)、(CR’R”)0−3S(CR’R”)0−3H(例えば、−SHおよび−SCH)、(CR’R”)0−3OH(例えば、−OH)、(CR’R”)0−3COR’、(CR’R”)0−3(置換もしくは非置換フェニル)、(CR’R”)0−3(C−Cシクロアルキル)、(CR’R”)0−3COR’(例えば、−COH)、または(CR’R”)0−3OR’基、または何れかの天然に生じるアミノ酸の側鎖〔ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリール基である。〕から選択される部分である。かかる置換基は、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、オキシム、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基、ならびに何れかのその組合せを含み得る。ある態様において、カルボニル部分(C=O)は、オキシム部分でさらに誘導体化され得て、例えばアルデヒド部分が、そのオキシム(−C=N−OH)類似体として誘導体化され得る。炭化水素鎖上で置換される部分は、適当なとき、それ自体置換され得ることは、当業者に理解され得る。シクロアルキルは、例えば上記に記載の置換基でさらに置換され得る。“アラルキル”部分は、アリール(例えば、フェニルメチル(すなわち、ベンジル))で置換されたアルキルである。
【0098】
用語“アルケニル”には、上記のアルキルと同じ長さおよび可能性のある置換を有し、少なくとも1個の二重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0099】
例えば、用語“アルケニル”には、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、アクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルもしくはアルケニル置換シクロアルケニル基、ならびにシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。用語アルケニルには、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄もしくはリン原子を含む、アルケニル基がさらに含まれる。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖のときC−C、分枝鎖のときC−C)を有する。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造中に3−8個の炭素原子を有し、より好ましくは、該環構造中に5または6個の炭素を有し得る。用語C−Cには、2ないし6個の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。
【0100】
さらに、用語アルケニルは、“非置換アルケニル”および“置換アルケニル”の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニルを意味する。かかる置換基は、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族基を含み得る。
【0101】
用語“アルキニル”には、上記のアルキルと同じ長さおよび可能性のある置換を有し、少なくとも1個の三重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0102】
例えば、用語“アルキニル”には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。用語アルキニルは、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルキニル基をさらに含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルキニルは、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖のときC−C、分枝鎖のときC−C)を有する。用語C−Cには、2ないし6個の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。
【0103】
さらに、用語アルキニルは、“非置換アルキニル”および“置換アルキニル”の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキニルを意味する。かかる置換基は、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族基を含み得る。
【0104】
用語“アミン”または“アミノ”は、当業者に一般的に理解される通り、両方とも、分子、または部分もしくは官能基に広く用いられると理解されるべきであり、一級、二級、または三級であり得る。用語“アミン”または“アミノ”には、窒素原子が少なくとも1個の炭素、水素またはヘテロ原子と共有結合する化合物が含まれる。該用語には、例えば“アルキルアミノ”、“アリールアミノ”、“ジアリールアミノ”、“アルキルアリールアミノ”、“アルキルアミノアリール”、“アリールアミノアルキル”、“アルカミノアルキル”、“アミド(amide)”、“アミド(amido)”および“アミノカルボニル”が含まれるが、これらに限定されない。用語“アルキルアミノ”には、窒素が少なくとも1個のアルキル基とさらに結合している基および化合物が含まれる。用語“ジアルキルアミノ”には、窒素原子が少なくとも2個のアルキル基とさらに結合している基が含まれる。用語“アリールアミノ”および“ジアリールアミノ”には、窒素が、少なくとも1個のまたは2個のアリール基とそれぞれ結合している基が含まれる。用語“アルキルアリールアミノ”、“アルキルアミノアリール”または“アリールアミノアルキル”は、少なくとも1個のアルキル基および少なくとも1個のアリール基と結合するアミノ基を意味する。用語“アルカミノアルキル”は、アルキル基とも結合する窒素原子と結合したアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味する。
【0105】
用語“アミド(amide)”、“アミド(amido)”または“アミノカルボニル”には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素と結合する窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。該用語には、カルボニル基と結合したアミノ基と結合したアルキル、アルケニル、アリールまたはアルキニル基を含む“アルカミノカルボニル”または“アルキルアミノカルボニル”基が含まれる。カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素と結合するアミノ基と結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボニルおよびアリールカルボニルアミノ基が含まれる。用語“アルキルアミノカルボニル”、“アルケニルアミノカルボニル”、“アルキニルアミノカルボニル”、“アリールアミノカルボニル”、“アルキルカルボニルアミノ”、“アルケニルカルボニルアミノ”、“アルキニルカルボニルアミノ”および“アリールカルボニルアミノ”は、用語“アミド”に含まれる。アミドにはまた、ウレア基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバメート(オキシカルボニルアミノ)が含まれる。
【0106】
本発明の特定の態様において、用語“アミン”または“アミノ”は、式N(R)RまたはC1−6−N(R)R〔式中、RおよびRは、それぞれ独立して、−Hおよび−(C1−6アルキル)0−1G{式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。}からなる群から選択される。〕で示される置換基を意味する。
【0107】
用語“アリール”には、0ないし4個のヘテロ原子を含み得る5員および6員の単環芳香族基(例えばフェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール(isothiaozole)、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなど)を含む基が含まれる。さらに、用語“アリール”は、多環式アリール基(例えば、三環式、二環式であり、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、アントリル、フェナントリル、ナフチリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジン)を包含する。“アリールヘテロ環”、“ヘテロ環”、“ヘテロアリール”または“ヘテロ芳香族性”と称され得る。該芳香環は、環上の1箇所以上で、上記のような置換基、例えばアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル(sulfhydryl)、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置換され得る。アリール基はまた、芳香族性ではない脂環式もしくはヘテロ環式環と縮合もしくは架橋して、多環(例えば、テトラリン)を形成していてよい。
【0108】
本明細書で用いる用語ヘテロアリールは、各環が7個までの原子の安定な単環式もしくは二環式環を意味し、それは、少なくとも1個の環が芳香族性であり、O、NおよびSからなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子を含む。本定義の範囲内のヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれるが、これらに限定されない。以下のヘテロ環の定義と同様に、“ヘテロアリール”はまた、何れかの窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を含むと理解される。ヘテロアリール置換基が二環式基であり、一環が非芳香族性であるか、またはヘテロ原子を含まないとき、その結合は、それぞれ芳香環またはヘテロ原子含有環を介すると理解される。
【0109】
本明細書で用いる用語“ヘテロ環”または“ヘテロシクリル”は、O、NおよびSからなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子を含む5員ないし10員の芳香族もしくは非芳香族ヘテロ環を意味することを意図し、二環式基を含む。故に、“ヘテロシクリル”は、上記のヘテロアリール、ならびにそのジヒドロおよびテトラヒドロ類似体を包含する。“ヘテロシクリル”のさらなる例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチエニル、ならびにそのN−オキシドが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子またはヘテロ原子を介して生じ得る。
【0110】
用語“アシル”には、アシルラジカル(CHCO−)またはカルボニル基を含む化合物および部分が含まれる。用語“置換アシル”には、水素原子の1個以上が、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分により置換されるアシル基が含まれる。
【0111】
用語“アシルアミノ”には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が含まれる。例えば、該用語には、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、及びウレイド基が含まれる。
【0112】
用語“アルコキシ基”には、酸素原子に共有結合した置換および非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びペントキシ基が含まれ、シクロペントキシのような環式基が含まれ得る。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。該アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような基で置換され得る。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
用語“カルボニル”または“カルボキシ”は、酸素原子と二重結合している炭素を含む化合物および部分であって、その互変異性体形態を含む。カルボニルを含む部分の例には、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物、などが含まれる。用語“カルボキシ部分”または“カルボニル部分”は、“アルキルカルボニル”基(ここで、アルキル基は、カルボニル基と共有結合している。)、“アルケニルカルボニル”基(ここで、アルケニル基は、カルボニル基と共有結合している。)、“アルキニルカルボニル”基(ここで、アルキニル基は、カルボニル基と共有結合している。)、“アリールカルボニル”基(ここで、アリール基は、カルボニル基と共有結合している。)のような基を意味する。さらに、該用語はまた、1個以上のヘテロ原子がカルボニル部分と共有結合している基を意味する。例えば、該用語には、例えばアミノカルボニル部分(ここで、窒素原子が、カルボニル基の炭素と結合しており、例えばアミド)、アミノカルボニルオキシ部分(ここで、酸素および窒素原子が、両方とも、カルボニル基の炭素と結合している(例えば“カルバメート”とも称する)。)のような部分が含まれる。さらに、アミノカルボニルアミノ基(例えば、ウレア)はまた、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など、ならびに炭素原子)に結合したカルボニル基の他の組合せを含む。さらに、該ヘテロ原子は、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アシルなどの部分でさらに置換されていてよい。
【0114】
用語“チオカルボニル”または“チオカルボキシ”には、硫黄原子と二重結合で結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。用語“チオカルボニル部分”には、カルボニル部分と同様の部分が含まれる。例えば、“チオカルボニル”部分には、アミノチオカルボニル(ここで、アミノ基は、チオカルボニル基の炭素原子と結合し、さらに他のチオカルボニル部分は、オキシチオカルボニル(炭素原子と結合した酸素)、アミノチオカルボニルアミノ基などを含む。)が含まれる。
【0115】
用語“エーテル”には、2個の異なる炭素原子またはヘテロ原子と結合した酸素を含む化合物または部分が含まれる。例えば、該用語には、別のアルキル基と共有結合している酸素原子と共有結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味する“アルコキシアルキル”が含まれる。
【0116】
用語“エステル”には、カルボニル基の炭素と結合している酸素原子と結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が含まれる。用語“エステル”には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのようなアルコキシカルボキシ基が含まれる。アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、上記の通りである。
【0117】
用語“チオエーテル”には、2個の異なる炭素またはヘテロ原子と結合した硫黄原子を含む化合物および部分が含まれる。チオエーテルの例には、アルクチオアルキル(alkthioalkyl)、アルクチオアルケニル(alkthioalkenyl)およびアルクチオアルキニル(alkthioalkynyl)が含まれるが、これに限定されない。用語“アルクチオアルキル”には、アルキル基と結合している硫黄原子と結合したアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する化合物が含まれる。同様に、用語“アルクチオアルケニル”および“アルクチオアルキニル”は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が、アルキニル基と共有結合している硫黄原子と結合している、化合物または部分を意味する。
【0118】
用語“ヒドロキシ”または“ヒドロキシル”には、−OHまたは−Oを有する基が含まれる。
【0119】
用語“ハロゲン”には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが含まれる。用語“過ハロゲン化”は、一般的に、全ての水素がハロゲン原子により置換されている部分を意味する。
【0120】
用語“多環(polycyclyl)”または“多環式ラジカル”には、2個以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)を有する部分が含まれ、ここで2個以上の炭素は、2個の隣接環に共通しており、例えば該環は、“縮合環”である。非隣接原子を介して結合している環は、“架橋”環と称される。多環の環はそれぞれ、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような、上記の置換基で置換されていてよい。
【0121】
用語“ヘテロ原子”には、炭素または水素以外の何れかの原子が含まれる。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【0122】
用語“電子求引基”または“電子求引原子”は、当技術分野で認められており、近隣原子から価電子を求引する置換基の傾向を示し、すなわち該置換基は、近隣原子に対して電気的に陰性である。電子求引能のレベルの定量は、ハメットのシグマ(Σ)定数で示される。これは、多くの文献(例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, McGraw Hill Book Company, New York, (1977出版) pp. 251−259)に記載されている周知の定数である。該ハメット定数値は、一般的に、電子供与基について負であり(NHについて、Σ[P]=−0.66)、電子求引基について正であり(ニトロ基について、Σ[P]=0.78)、ここで、Σ[P]は、パラ置換を示す。電子求引基の限定しない例には、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、クロライド、カルボニル、チオカルボニル、エステル、イミノ、アミド、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、ボロン酸、硫酸エステル、ヒドロキシル、メルカプト、シアノ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、炭酸、硝酸およびニトロ基などが含まれる。電子求引原子の例には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子のようなハロゲン原子が含まれるが、これらに限定されない。他に特記しない限り、本明細書中の酸性官能基についての言及はまた、適当な陽イオンと結合した、その官能基の塩を包含することが理解されるべきである。
【0123】
さらに、用語“その何れかの組合せ”は、列記した官能基および分子のいくつかが、合してより大きな分子構造を構成し得ることを示す。例えば、用語“フェニル”、“カルボニル”(または、“=O”)、“−O−”、“−OH”および“C1−6”(すなわち、−CHおよび−CHCHCH−)は、合して3−メトキシ−4−プロポキシ安息香酸置換基を形成していてよい。官能基および分子が合して、より大きな分子構造を構成するとき、水素が、必要に応じてそれぞれの原子の原子価を満たすために、除去または添加され得ることが理解されるべきである。
【0124】
本明細書の記載は、化学結合の法則および原則に合致して解釈されるべきである。例えば、何れかの所定の位置に置換基を供するために水素原子を除去する必要があり得る。さらに、本発明の一般式(例えば、式IまたはII)の可変基(すなわち、“R基”)の定義、ならびに結合位置は、当技術分野で公知の化学結合の法則に合致し得ることが理解されるべきである。上記の本発明の化合物の全てが、各原子の原子価を満たすのに必要な隣接原子および/または水素間の結合をさらに含み得ることも理解されるべきである。すなわち、結合および/または水素原子は、以下の原子タイプそれぞれに、以下の全結合数を提供するために添加される:炭素:4個の結合;窒素:3個の結合;酸素:2個の結合;硫黄:2−6個の結合。
【0125】
本発明の化合物のいくつかの構造は不斉炭素原子を含むことが特記され得る。従って、かかる不斉原子から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体)が、本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。かかる異性体は、古典的な分離技術により、および立体化学的制御合成法により、実質的に純粋な形態で得られ得る。さらに、該構造ならびに本明細書に記載の他の化合物および部分には、その全ての互変異性体も含まれる。本明細書に記載の化合物は、当技術分野で認められている合成法で得られ得る。
【0126】
本発明の化合物のいくつかの置換基は、異性体環状構造を含むことも特記され得る。従って、特定の置換基の構造上の異性体は、他に特記しない限り、本発明の範囲内に包含されることが、理解されるべきである。例えば、用語“テトラゾール”には、テトラゾール、2H−テトラゾール、3H−テトラゾール、4H−テトラゾールおよび5H−テトラゾールが含まれる。
【0127】
増殖性疾患、ウイルス感染および炎症における使用
本発明の化合物は、有用な薬理学的特性を有し、特定の対象における疾患の処置に有用である。ある態様において、本発明の化合物は、増殖性疾患、例えばウイルス感染症、自己免疫疾患、真菌疾患、癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症と関係する血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎、慢性炎症、アルツハイマー病のような神経変性障害、ならびに外科手術後の狭窄および再狭窄の処置に用いられ得る。
【0128】
他の態様において、本発明の化合物は、癌、ウイルス感染症、自己免疫疾患および神経変性障害を含むが、これらに限定されない、アポトーシスと関係する疾患の処置に用いられ得る。
【0129】
さらに他の態様において、本発明の化合物は、対象におけるウイルス感染を処置するために用いることができ、該ウイルス感染症は、HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスと関係するが、これらに限定されない。
【0130】
さらに他の態様において、本発明の化合物は、対象における腫瘍血管形成および転移、ならびにアテローム性動脈硬化症と関係する平滑筋増殖、外科手術後血管狭窄および再狭窄、ならびに子宮内膜症を処置するために用いられ得る。
【0131】
ある態様において、本発明の化合物は、癌の処置に有用である。本発明の化合物により処置され得る癌の例には、膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、喉頭癌、リンパ系の癌、造血系の癌、尿生殖器管癌、消化管癌、卵巣部癌、前立腺癌、胃部癌、骨癌、小細胞肺癌、神経膠腫、結腸直腸癌および膵臓癌、ならびに頚部、精巣、食道、胃、皮膚、膵臓、甲状腺、胆汁道、口腔および咽頭(口腔)、唇、舌、口、咽頭、小腸、結腸−直腸、大腸、直腸、脳および中枢神経系の癌、グリア芽腫、神経芽腫、角化棘細胞腫、類表皮癌腫、大細胞癌腫、腺癌腫、アデノーマ、濾胞性癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫、腎臓癌腫、骨髄障害、ホジキン疾患、有毛細胞および白血病が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物により処置され得る他の癌には、癌腫、リンパ系造血性腫瘍、骨髄系造血性腫瘍、間葉由来の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、ケラトアカントーマ(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫が含まれる。
【0132】
ある態様において、本発明の化合物は、それを必要とする患者において細胞のRNAおよびDNA合成レベルを調節するために用いられ得る。
【0133】
他の態様において、本発明の化合物は、対象における自己免疫疾患の処置に用いられてよく、該自己免疫疾患には、乾癬、リウマチ性関節炎のような炎症、狼瘡、1型糖尿病、糖尿病性腎症、多発性硬化症、糸球体腎炎、慢性炎症および臓器移植拒絶が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
他の態様において、本発明の化合物は、真菌、熱帯マラリア原虫のような寄生虫、ならびにDNAおよびRNAウイルスを含む種々の感染因子により引き起こされる疾患を処置するために用いられ得る。
【0135】
アッセイ
本発明の化合物によるタンパク質キナーゼ活性の阻害は、当技術分野で利用可能な多くのアッセイを用いて測定され得る。かかるアッセイの例は、以下の実施例に記載される。
【0136】
医薬組成物
用語化合物の“有効量”は、タンパク質キナーゼ関連障害を処置または予防するのに、例えばタンパク質キナーゼ関連障害、ならびに/または本明細書に記載の疾患もしくは症状の種々の形態的および身体症状を予防するのに必要または十分な量である。一例において、本発明の化合物の有効量は、対象におけるタンパク質キナーゼ関連障害の処置に十分な量である。該有効量は、対象のサイズおよび体重、疾患の種類、または本発明の特定の化合物のような因子によって変化し得る。例えば、本発明の化合物の選択は、“有効量”を構成することに影響を与え得る。当業者は、本明細書に包含される因子を研究して、過度の実験をすることなく本発明の化合物の有効量を決定できる。
【0137】
投与レジメンは、“有効量”を構成することに影響を与え得る。本発明の化合物は、タンパク質キナーゼ関連障害の発症前または発症後のいずれにも対象に投与され得る。さらに、いくつかの分割投与量、ならびに交互の投与量(staggered dosage)は、1日で、もしくは連続して投与され得るか、または該投与量は、連続的に注入され得るか、またはボーラス投与され得る。さらに、本発明の化合物(複数可)の投与量は、治療的または予防的状態の対処で示される通り比例的に増加または減少され得る。
【0138】
本発明の化合物は、本明細書に記載の状態、障害または疾患の処置において用いられ得るか、またはこれらの疾患の処置に用いるための医薬組成物の製造に用いられ得る。これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用方法、またはこれらの疾患の処置のための本発明の化合物を含む製剤。
【0139】
用語“医薬組成物”は、哺乳動物、例えばヒトに投与するのに適する製剤を包含する。本発明の化合物は、哺乳動物、例えばヒトに医薬として投与されるとき、それらは、それ自体、または例えば0.1ないし99.5%(より好ましくは、0.5ないし90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と合わせて含む医薬組成物として提供され得る。
【0140】
用語“薬学的に許容される担体”は、当技術分野で認められており、哺乳動物に本発明の化合物を投与するのに適する薬学的に許容される物質、組成物またはビークルが含まれる。担体は、一臓器または身体の一部から、別の臓器または身体の一部に対象薬剤を運搬または輸送するのに伴う、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒もしくは封入物質を含む。各担体は、製剤の他の成分と和合性であるという意味で“許容される”はずであり、患者対して有害ではない。薬学的に許容される担体として作用し得る物質のいくつかの例には、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖類;コーンデンプンおよびジャガイモデンプンのようなデンプン類;セルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなその誘導体;粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐薬ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含有水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに、製剤に用いられる他の非毒性の適合物質が含まれる。
【0141】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤および滑剤、ならびに色素剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤および香味剤、防腐剤および抗酸化剤もまた、該組成物中に存在していてよい。
【0142】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル,ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA),ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどのような油溶性抗酸化剤;ならびに、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤が含まれる。
【0143】
本発明の製剤には、経口、経鼻、局所、口腔、舌下、経直腸、経膣および/または非経腸投与に適するものが含まれる。該製剤は、通常、単位投与量形態で存在していてよく、薬学分野で公知の何れかの方法で製造することができる。担体物質と合して、単一投与量形態を製造し得る活性成分の量は、一般的に、治療効果を生じる化合物の量であり得る。一般に、100%以外の、この量は、1%ないし約99%、好ましくは約5%ないし約70%、最も好ましくは約10%ないし約30%の活性成分の範囲であり得る。
【0144】
これらの製剤または組成物の製造方法は、本発明の化合物と担体、および所望により1個以上の副成分を結合させる工程を含む。一般的に、該製剤は、本発明の化合物と液体担体、または微粉化固体担体、または両方を均一かつ緻密に結合させ、次いで、要すれば、該製品を成形することにより製造される。
【0145】
経口投与に適する本発明の製剤は、それぞれ所定量の本発明の化合物を活性成分として含む、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味のある塩基、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形態、または水性もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液、または水中油もしくは油中水の液体エマルジョン、またはエリキシルもしくはシロップ、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような不活性基材を用いる)、および/またはうがい薬などであり得る。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与されてもよい。
【0146】
経口投与のための本発明の固体投与量形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくは二リン酸カルシウムのような1個以上の薬学的に許容される担体、および/または以下の何れか:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸のような充填剤または増量剤;例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアのような結合剤;グリセロールのような湿潤剤;寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、任意のシリケートおよび炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agent);四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;カオリンおよびベントナイト粘度のような吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような滑剤;ならびに、着色剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を包含し得る。同種の固体組成物もまた、賦形剤としてラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて、軟および硬ゼラチンカプセル中、充填剤を用いてもよい。
【0147】
錠剤は、所望により1個以上の副成分と共に、圧縮または成形されて製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて製造され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を、適当な機械で成形することにより製造され得る。
【0148】
糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒のような、本発明の医薬組成物の錠剤、および他の固体投与量形態は、所望により割線が施されるか、または製剤分野でよく知られた腸溶コーティングおよび他のコーティングのようなコーティングおよびシェル(shell)で製造されていてよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロフィール、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを供するために種々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、その中の活性成分を遅延または制御放出するために製剤され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過するか、または使用直前に、滅菌水、またはいくつかの他の滅菌注射媒体に溶解され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。これらの組成物はまた、所望により乳白剤を含んでいてもよく、かつ活性成分(複数可)のみを、または胃腸管のある部位に選択的に、所望により遅延型で放出する組成物であり得る。用いられ得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。活性成分はまた、適当なとき、1個以上の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル形態であってもよい。
【0149】
本発明の化合物の経口投与のための液体投与量形態には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が包含される。活性成分に加えて、該液体投与量形態は、例えば、水または、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、キャスター油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物のような他の溶媒、可溶化剤および乳化剤のような、当技術分野で常用される不活性希釈剤を含んでいてよい。
【0150】
不活性希釈剤の他に、該経口組成物には、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、風味剤、着色剤、香味剤および防腐剤のようなアジュバントも含まれ得る。
【0151】
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物を懸濁化剤として含み得る。
【0152】
経直腸または膣内投与のための本発明の医薬組成物の製剤は、1個以上の本発明の化合物を、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチル酸塩(salicylate)を含む1個以上の適当な非刺激性の賦形剤または担体と混合して製造することができ、室温で固体であるが、体温で液体であり、そのため直腸または膣腔内で溶融し、該活性化合物を放出し得る坐薬として存在し得る。
【0153】
膣内投与に適当な本発明の製剤にはまた、当技術分野で適当であることが公知の担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状物またはスプレー製剤も含まれる。
【0154】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与量形態には、粉末、スプレー剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、薬学的に許容される担体、および何れかの防腐剤、緩衝剤、または必要とされ得る噴射剤と共に、滅菌条件下で混合され得る。
【0155】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物および植物性脂肪類、油類、ワックス類、パラフィン類、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含み得る。
【0156】
粉末およびスプレー剤は、本発明の活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含み得る。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素のような常用の噴射剤、ならびにブタンおよびプロパンのような揮発性非置換炭化水素をさらに含み得る。
【0157】
経皮パッチは、本発明の化合物の身体への制御送達を提供することのさらなる利点を有する。かかる投与量形態は、適当な媒体中に該化合物を溶解または分散させて製造され得る。吸収促進剤はまた、皮膚を通過する化合物の流れを増大するために用いられ得る。かかる流速は、速度制御膜を供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に活性化合物を分散させることにより制御され得る。
【0158】
点眼剤、眼用軟膏、粉末、溶液などはまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0159】
非経腸投与に適する本発明の医薬組成物は、1個以上の本発明の化合物を1個以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散液中に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて含み、それは、抗酸化剤、緩衝剤、抗生物質、該製剤を目的の受容者の血液と等張性にする溶質、または懸濁化剤もしくは濃化剤を含み得る。
【0160】
本発明の医薬組成物に用いられ得る適当な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのような)、およびそれらの適当な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適当な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング物質の使用により、分散剤の場合に要される粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持され得る。
【0161】
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含み得る。微生物作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどを包含することにより確保され得る。該組成物中に、糖類、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含むことも好ましい。さらに、該注射可能製剤の持続的注入は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延する薬剤の包含により達成され得る。
【0162】
いくつかの場合に、薬剤の効果を延長するためには、皮下または筋肉内注射による薬剤の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水に難溶性の結晶性または無定形物質の液体懸濁液の使用により達成され得る。その結果、薬剤の吸収速度は、その溶解速度によって変わり、この溶解速度は、同様に、結晶粒径および結晶形態によって変化し得る。あるいは、非経腸投与用剤形の遅延吸収は、油性ビークル中に該薬剤を溶解または懸濁することにより達成される。
【0163】
注射可能なデポー製剤は、ポリ乳酸−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中に対象化合物のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を形成することにより製造される。ポリマーに対する薬剤の比率、および用いた特定のポリマーの性質によって、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポー製剤はまた、生体組織に適合するリポソームまたはミクロエマルジョン中に該薬剤を捕捉することにより製造される。
【0164】
本発明の製剤は、経口的、非経腸的、局所的または経直腸的に供され得る。それらはもちろん、それぞれの投与経路に適当な形態で供される。例えば、それらは、注射、注入、点眼、軟膏、坐薬などにより錠剤またはカプセル形態で投与され、注射、注入または吸入により投与され;ローションまたは軟膏により局所的に;そして、坐薬により経直腸的に投与される。経口および/または静脈内投与が好ましい。
【0165】
本明細書で用いる用語“非経腸投与”および“非経腸的に投与される”は、経腸および局所投与以外の、通常、注射による投与方法を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内および胸骨内注射および注入であるが、これらに限定されない。
【0166】
本明細書で用いる用語“全身投与”、“全身に投与される”、“末梢静脈投与(peripheral administration)”および“末梢静脈に投与される”は、患者の全身に送達され、それにより代謝を受ける、中枢神経系への直接投与以外の、化合物、薬剤または他の物質の投与、ならびに他の同様の方法、例えば皮下投与を意味する。
【0167】
これらの化合物は、例えばスプレーによるような経口、経鼻投与、経直腸、経膣、非経腸、嚢内投与、ならびに粉末、軟膏またはドロップによるような、頬内および舌下を含む、局所的投与の何れかの適する経路により、治療のためにヒトおよび他の動物に投与され得る。
【0168】
選択される投与経路に関わらず、適当な水和物形態で用いられ得る本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物は、当業者に公知の常套方法により薬学的に許容される投与量形態に製剤される。
【0169】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性がなく、特定の患者、組成物および投与方法に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量が得られるように変化され得る。
【0170】
選択した投与量レベルは、用いられる本発明の特定の化合物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、用いられるべき特定の化合物の排出速度、処置期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物および/または物質、処置されるべき患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態および既往歴、ならびに医学分野でよく知られているような因子を含む種々の因子により変化し得る。
【0171】
当技術分野で通常の技術を有する医師および獣医師は、必要とされる有効量の医薬組成物を容易に決定および指示することができる。例えば、医師または獣医師は、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低レベルで医薬組成物中に用いられる本発明の化合物の用量で開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増大させ得る。
【0172】
一般的に、本発明の化合物の適当な日用量は、治療効果を得るための最も低い有効用量である化合物量であり得る。かかる有効用量は、一般的に、上記の因子によって変わり得る。一般的に、示される鎮痛効果に用いられるとき、患者に対する本発明の化合物の静脈内および皮下用量は、約0.0001ないし約100mg/体重1kg/1日、より好ましくは約0.01ないし約50mg/kg/日、さらにより好ましくは約1.0ないし約100mg/kg/日の範囲であり得る。有効量は、タンパク質キナーゼ関連障害を処置する量である。
【0173】
必要ならば、活性化合物の有効日用量は、2回、3回、4回、5回、6回またはより分割用量で、所望により単位投与量形態で、1日の間に適当な間隔で分割投与され得る。
【0174】
単独投与されるべき本発明の化合物に可能であるとき、医薬組成物として該化合物を投与することが好ましい。
【0175】
合成方法
本発明の化合物は、以下の条件の何れか1個以上を、それに限定されることなく含む当業者に公知の方法を用いて、一般に利用可能な化合物から製造される。
【0176】
本明細書の範囲内において、本発明の化合物の特定の所望の最終生成物の成分ではない容易に除去され得る基のみが、他に特記されない限り、“保護基”を示す。かかる保護基による官能基の保護、保護基自体、およびそれらの切断反応は、例えば、Science of Synthesis: Houben−Weyl Methods of Molecular Transformation. Georg Thieme Verlag, Stuttgart, Germany. 2005. 41627 pp. (URL:http://www.science−of−synthesis.com (Electronic Version, 48 Volumes)); J. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999, in “The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.−D. Jakubke and H. Jeschkeit, “Aminosauuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, and in Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974のような標準参考文献に記載される。保護基の特徴は、例えば、加溶媒分解、還元、光分解によるか、または別法にて生理的条件下で(例えば、酵素切断により)容易に(すなわち、望まれない二次反応が起こることなく)除去され得ることである。
【0177】
本発明の化合物の酸付加塩は、薬学的に許容される酸から最も適当に形成され、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸、ならびに有機酸、例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸またはフマル酸と形成される塩を含む。他の薬学的に許容されない塩、例えばシュウ酸は、例えば、実験的使用に、または後に薬学的に許容される酸付加塩に変換するために、本発明の化合物の単離に用いられ得る。また、本発明の溶媒和物および水和物も本発明の範囲内に包含される。
【0178】
所定の化合物塩の所望の化合物塩への変換は、塩基の溶液、例えば炭酸ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液で処理し、次いで、エーテルのような適当な溶媒中で抽出される遊離塩基を遊離する、標準的方法を用いて達成される。その後、該遊離塩基は、水性部分から単離され、乾燥され、必要な酸と処理されて、所望の塩が得られる。
【0179】
本発明のある化合物のインビボで加水分解可能なエステルまたはアミドは、塩化メチレンまたはクロロホルムのような不活性溶媒中、塩基の存在下で、遊離ヒドロキシもしくはアミノ官能基を有する化合物を所望のエステルの酸塩化物で処理することにより形成され得る。適当な塩基には、トリエチルアミンまたはピリジンが含まれる。反対に、遊離カルボキシ基を有する本発明の化合物は、その後の、適当な塩基の存在下にて所望のアルコールで処理することによる活性化を含み得る標準的条件を用いて、エステル化され得る。
【0180】
薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸から誘導される塩酸塩、臭化水素酸から誘導される臭化水素酸塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、ギ酸から誘導されるギ酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩(aconate)、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、ケイ皮酸から誘導されるケイ皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸(embonic acid)から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマル酸から誘導されるフマル酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩などのような非毒性無機および有機酸付加塩が含まれるが、それらに限定されない。特に、好ましい塩類は、本発明の化合物のナトリウム、リシンおよびアルギニン塩類である。かかる塩類は、当技術分野でよく知られており、かつ既報の方法により形成され得る。
【0181】
薬学的に許容されると見なされ得ないシュウ酸のような他の酸は、本発明の化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩を得るための中間体として有用な塩の製造に有用であり得る。
【0182】
本発明の化合物の金属塩には、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩のようなアルカリ金属塩が含まれる。本発明により得られ得る異性体の混合物は、それ自体公知の方法で個々の異性体に分離され得る。ジアステレオ異性体は、例えば、多相溶媒混合物の間に分配し、再結晶および/または、例えばシリカゲルクロマトグラフ分離するか、または、例えば逆相カラムの中圧液体クロマトグラフィーにより、分離することができ、そしてラセミ体は、例えば、光学的に純粋な塩を形成する試薬を用いる塩の形成、およびそうして得られるジアステレオ異性体の混合物の、例えば分別結晶手段によるか、または光学的に活性なカラム材料のクロマトグラフィーによる分離により分離され得る。
【0183】
中間体および最終産物は、および/または標準方法により、例えばクロマトグラフ法、分配法、(再)結晶法などを用いて、後処理および/または精製され得る。
【0184】
一般的方法条件
一般的に、以下のことが、本明細書全体に記載の全ての方法に適用される。
本発明の化合物を合成するための工程は、具体的に記載の条件を含むそれ自体公知の反応条件下で、例えば、用いた試薬に対して不活性であり、それらを溶解する溶媒または希釈剤を含む溶媒または希釈剤の不存在下、または慣習的に存在下で、触媒、縮合剤または中和剤の不存在または存在下で、例えばカチオン交換体のようなイオン交換体、例えばH形で、反応および/または反応物の性質によって低温、常温または高温で、例えば約−80℃ないし約150℃、例えば−80℃ないし−60℃で、室温で、−20ないし40℃で、または還流温度を含む、例えば約−100℃ないし約190℃の温度範囲内で、大気圧下または密閉容器中、適当な加圧下、および/または不活性雰囲気、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。
【0185】
反応の全ての段階において、形成された異性体の混合物は、個々の異性体、例えばジアステレオ異性体もしくはエナンチオマーに、または異性体の何れかの所望の混合物、例えばラセミ体もしくはジアステレオ異性体の混合物に、例えば、Science of Synthesis: Houben−Weyl Methods of Molecular Transformation. Georg Thieme Verlag, Stuttgart, Germany. 2005に記載の方法と類似の方法で分離され得る。
【0186】
何れかの特定の反応に適当な、それらの溶媒からの溶媒は、具体的に記載のものを含むか、または他に該方法の記載に特記しない限り、例えば水、低級アルキル−低級アルカノエートのようなエステル、例えば酢酸エチル、脂肪族エーテルのようなエーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、ベンゼンもしくはトルエンのような液体芳香族炭化水素、メタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノールのようなアルコール、アセトニトリルのようなニトリル、塩化メチレンもしくはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルアセトアミドのような酸アミド、ヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジンもしくはN−メチルピロリジン−2−オンのような塩基、低級アルカン酸無水物、例えば酢酸無水物のようなカルボン酸無水物、シクロヘキサン、ヘキサンもしくはイソペンタンのような環状、直鎖もしくは分枝鎖炭化水素、またはそれらの溶媒の混合物、例えば水溶液から選択され得る。かかる溶媒混合物はまた、例えばクロマトグラフィーもしくは分配法により後処理に用いられ得る。
【0187】
それらの塩を含む化合物はまた、水和物形態、または例えば結晶化に用いられる溶媒を含み得るそれらの結晶形態で得られ得る。異なる結晶形が存在し得る。
【0188】
本発明はまた、該方法の何れかの段階で中間体として得られる化合物が、出発物質として用いられて、残りの段階が行われるか、または出発物質が、該反応条件下で形成されるか、もしくは誘導体の形態、例えば保護形態または塩形態で用いられるか、または本発明の方法により得られる化合物が、該方法条件下で製造され、さらにインサイチュウで処理される、方法の形態にも関する。
【0189】
プロドラッグ
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグを含む医薬組成物、およびそれを投与することによりタンパク質キナーゼ関連障害を処置する方法を包含する。例えば、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基を有する本発明の化合物は、プロドラッグに変換され得る。プロドラッグには、アミノ酸残基、または2個以上(例えば、2個、3個または4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基にアミドまたはエステル結合を介して共有結合する化合物が含まれる。該アミノ酸残基には、3文字表記で通常示される20個の天然に生じるアミノ酸が含まれるが、これらに限定されず、また、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デスモシン(demosine)、イソデスモシン(isodemosine)、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンをも包含する。プロドラッグのさらなるタイプも包含される。例えば、遊離カルボキシル基は、アミドまたはアルキルエステルとして誘導体化され得る。遊離ヒドロキシ基は、Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19, 115に記載のように、ヘミスクシネート(hemisuccinate)、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含むが、これらに限定されない基を用いて誘導体化され得る。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバメート・プロドラッグはまた、ヒドロキシ基のカルボナート・プロドラッグ、スルホン酸エステルおよび硫酸エステルを包含する。アシル基が、所望によりエーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むが、これらに限定されない基で置換されていてよいアルキルエステルであり得るか、またはアシル基が、上記のアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化もまた、包含される。このタイプのプロドラッグは、J. Med. Chem. 1996, 39, 10に記載される。遊離アミンはまた、アミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導体化され得る。これらのプロドラッグ基の全ては、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むが、これらに限定されない基を包含し得る。
【0190】
故に、本発明の化合物についての何れの言及も、適当であり、不都合がなければ、本発明の化合物の対応するプロドラッグについても言及するものと理解されるべきである。
【0191】
組合せ剤
本発明の化合物はまた、他の薬剤、例えば化学療法剤または本発明の化合物であるか、もしくは本発明の化合物ではないさらなるタンパク質キナーゼ阻害剤を、対象におけるタンパク質キナーゼ関連障害の処置のために併用することができる。
【0192】
用語“組合せ剤”は、1個の単位投与量形態に固定した組合せ剤であるか、または本発明の化合物および組合せパートナーが、同時に、またはとりわけ、該組合せパートナーが共同効果、例えば相乗効果を示すのを可能にする間隔内で個別に、独立して投与され得るとき、併用投与のための複数部分のキット、または何れかのそれらの組合せ剤を意味する。
【0193】
本発明の化合物は、式Iの化合物またはその塩以外の、抗炎症剤、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性剤またはキナーゼ阻害剤と同時または逐次に投与され得る。本発明の化合物と併用投与され得る薬剤のさらなる例には、PTK阻害剤、シクロスポリンA、CTLA4−Ig、抗ICAM−3、抗IL−2受容体、抗CD45RB、抗CD2、例えば、CVT−313、抗CD3、抗CD4、抗CD80、抗CD86、およびモノクローナル抗体OKT3から選択される抗体、CD40とgp39の相互作用を阻止する薬剤、CD40およびgp39から構築される縮合タンパク質、NF−κB機能の阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、金化合物、抗増殖剤、FK506、ミコフェノール酸モフェチル、細胞毒性剤、TNF−α阻害剤、抗TNF抗体もしくは可溶性TNF受容体、TNFα、TRAIL、HDAC阻害剤、グリベック(gleevec)、および細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の他の阻害剤、低酸素症に対する細胞応答の阻害剤、ラパマイシン、レフルノミド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、マイトマイシンC、エクチナサイジン743、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、エポチロン、ビンデシン、ロイロシン、またはそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0194】
本発明の化合物と併用投与され得る薬剤のさらなる例には、アルトレタミン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、チオテパ、クラドリビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ゲムシタビン、チオグアニン、ペントスタチン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、シタラビン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、テトラプラチン、ロバプラチン、JM216、JM335、フルダラビン、アミノグルテチミド、フルタミド、ゴセレリン、リュープロリド、酢酸メゲストロール、酢酸シプロテロン、タモキシフェン、アナストロゾール、ビカルタミド、デキサメサゾン、ジエチルスチルベストロール、プレドニゾン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ロソキサントロン、マイトマイシン−c、プリカマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、CPT−11、エポチロン、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテカン、9−ニトロカンプトテカン、GS−211、エトポシド、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プロカルバジン、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、メトトレキサート(methoxtrexate)、オクトレオチド、エストラムスチン、およびヒドロキシウレアからなる群から選択される抗増殖剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0195】
本発明の化合物および何れかのさらなる薬剤は、別個の投与量形態に製剤され得る。あるいは、患者に投与される投与量形態の数を少なくするため、本発明の化合物および何れかのさらなる薬剤は、何れかの組合せで共に製剤され得る。例えば、本発明の阻害剤化合物は、1個の投与量形態に製剤されてよく、さらなる薬剤は、別の投与量形態に共に製剤されてよい。何れかの別個の投与量形態は、同時に、または異なる時間に投与され得る。
【0196】
あるいは、本発明の組合せ剤は、本明細書に記載のさらなる薬剤を包含する。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【実施例】
【0197】
本発明の実施例
本発明は、さらに制限するものと解釈されるべきではない、以下の実施例によりさらに説明される。本発明の実施には、他に特記しない限り、当技術分野内の細胞生物学、細胞培養、分子生物学、形質転換生物学(transgenic biology)、微生物学および免疫学の常套技術を用い得る。
【0198】
一般的合成法
本発明の化合物を合成するために用いられる全ての出発物質、構成要素、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒および触媒は、市販されているか、または当業者に公知の有機合成方法(Houben−Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)により製造され得る。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示す当業者に公知の有機合成方法により製造され得る。
【0199】
反応スキームI
【化11】

【0200】
置換もしくは非置換ピリジル−ピリジン、ピリジル−ピリミジンおよびピリジル−トリアジンを含む式Iの化合物は、反応スキームIに一般的に記載の方法により製造され得る。式3の化合物は、適当な触媒(例えば、Pd(PPh)、(PhP)PdClなど)、適当な塩基(例えば、NaCO、KCO、NaHCOなど)および適当な溶媒(例えば、DME、ジオキサンなど)の存在下で、式1の化合物(式中、Xは、アイオダイド、ブロマイドまたはクロライドのようなハライドである)と、式2のボロン酸アリール(aryl boinate)を鈴木カップリング法を用いてカップリングさせて合成され得る。同様に、スタンナン、亜鉛酸の使用のような他の公知のアリールカップリング方法および銅カップリング技術はまた、式3の化合物の製造に適当である。式Iの化合物は、適当な溶媒(例えば、sec−ブタノール、ジオキサンなど)、および適当な触媒(例えば、p−トルエンスルホン酸一水和物など)の存在下で、式3の化合物と式4の化合物を反応させて合成することができる。該反応は、60℃ないし約130℃の温度範囲で行われ、かつ約24時間以内に完了し得る。あるいは、式Iの化合物は、適当な溶媒(例えば、ジオキサンなど)、および適当な触媒(例えば、酢酸パラジウムなど)、および適当なリガンド(例えば、XantPhos、BINAPなど)、および適当な塩基(例えば、炭酸セシウムなど)の存在下で、式3の化合物を式4の化合物と反応させて合成することができる。該反応は、60℃ないし約130℃の温度範囲で行われ、約24時間以内に完了し得る。
【0201】
式7の化合物は、以下の反応スキームIIの通りに製造され得る。
反応スキームII
【化12】

【0202】
式7の化合物は、適当な溶媒(例えば、sec−ブタノールなど)の存在下で、式5の化合物を式6の化合物と反応させて合成することができる。該反応は、20℃ないし約100℃の温度範囲で行われ、約24時間以内に完了し得る。
式Iの化合物の合成法の詳細な例は、以下の実施例に見出され得る。
【0203】
実施例1
N−(3−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イルアミノ}−プロピル)−アセトアミド(6)
【化13】


反応スキームIIIの通りに製造される。
【0204】
反応スキームIII
【化14】

【0205】
1−(2−クロロ−3−メチル−ピリジン−4−イル)−エタノン(2)
【化15】


DMF中、2−クロロ−4−ヨード−3−メチル−ピリジン(1.25g、4.88mmol)、無水酢酸(2.31mL、24.5mmol)、塩化リチウム(1.03g、24.2mmol)、Pd(dba)(90mg、0.1mmol)、ヒューニッヒ塩基(1.71mL、9.8mmol)の懸濁液を、マイクロ波中で20分間、160℃にて加熱した。反応物をEtOAcと飽和NaHCO(水溶液)の間に分配させる。有機層を集め、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で除去した。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィーにより20%EtOAc:ヘキサンで溶出して精製し、1−(2−クロロ−3−メチル−ピリジン−4−イル)−エタノン(408mg、2.41mmol)を透明油状物として得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.46 (s, 3H), 2.59 (s, 3H), 7.28 (d, 1H), 8.36 (d, 1H); MS m/z 170.2 (M+1).
【0206】
(2−クロロ−3−メチルピリジン−4−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノン(3)
【化16】


DMF−DMA(3mL)中、(2−クロロ−3−メチル−ピリジン−4−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノン(1.63g、9.51mmol)の溶液を、80℃で2時間、加熱する。反応物を、真空で濃縮し、シリカカラムにより塩化メチレンおよびメタノールで溶出して精製し、(2−クロロ−3−メチルピリジン−4−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノン(1.3g、5.79mmol)を橙色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.40 (br.s, 3H), 2.93 (s, 3H), 3.18 (br.s, 3H), 5.32 (br.s, 1H), 7.14 (br.s, 1H), 7.28 (m, 1H), 8.26 (d, J=4.6 Hz, 1H); MS m/z 225.2 (M+1).
【0207】
4−(2−クロロ−3−メチル−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−(3−クロロ−フェニル)−アミン(4)
【化17】


炭酸カリウム(2.4g、17.2mmol)を含むDMF中、(2−クロロ−3−メチルピリジン−4−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノン(1.3g、5.73mmol)、N−(3−クロロ−フェニル)−グアニジン・HCl(1.79g、8.6mmol)の溶液を、120℃で一晩加熱する。反応物を、酢酸エチルと水の間に分配させて、抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、真空下で除去する。粗生成物をシリカカラムにより酢酸エチルおよびヘキサンで溶出して精製し、4−(2−クロロ−3−メチルピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−(3−クロロ−フェニル)アミン(1.2g、3.62mmol)を得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.34 (s, 3H), 6.75 (d, J=5.1 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.11−7.16 (m, 1H), 7.29 (m, 1H), 7.39 (br.s, 1H), 7.72 (m, 1H), 8.24 (d, J=5.1 Hz, 1H), 8.44 (d, J=5.1 Hz, 1H); MS m/z 331.2 (M+1).
【0208】
N−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イル}プロパン−1,3−ジアミン(5)
【化18】


1,3−プロパンジアミン中、4−(2−クロロ−3−メチルピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−(3−クロロ−フェニル)アミン(1.2g、3.59mmol)の溶液を、140℃で一晩加熱する。反応物を酢酸エチルと水の間に分配させて、抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で除去する。粗生成物をシリカカラムにより塩化メチレンおよびメタノールで溶出して精製し、N−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イル}−プロパン−1,3−ジアミン(1.02g、2.77mmol)を透明油状物として得る。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 2.14 (q, J=7.1 Hz, 2H), 2.45 (s, 3H), 3.07 (t, J=6.2 Hz, 2H), 3.85 (t, J=6.82 Hz, 2H), 6.93 (d, 1H), 7.22 (d, J=5.1 Hz, 2H), 7.27 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.54 (t, 1H), 7.86 (d, 1H), 8.25 (d, J=5.1 Hz, 2H), 8.29 (s, 1H), 8.84 (d, 1H); MS m/z 369.2 (M+1).
【0209】
N−(3−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イルアミノ}−プロピル)−アセトアミド(6)
【化19】


塩化メチレン中、N−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イル}−プロパン−1,3−ジアミン(0.98g、2.63mmol)の溶液に、無水酢酸(0.25mL、2.63mmol)を滴下した。15分後、反応物を真空で濃縮し、40℃で3日間真空下に置き、N−(3−{4−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−メチル−ピリジン−2−イルアミノ}−プロピル)−アセトアミド(1.06g、2.59mmol)を黄色固体として得た。1H NMR 400 MHz (MeOD) δ 1.81 (quintet, J=6.6 Hz, 2H), 1.96 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 3.28 (t, J=6.6 Hz, 2H), 3.49 (t, J=6.6 Hz, 2H), 6.62 (d, J=5.1 Hz, 1H), 6.90 (d, J=5.1 Hz, 1H), 6.95 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.23 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.55 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.94 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 8.52 (d, J=5.1 Hz, 1H); MS m/z 411.2 (M+1).
【0210】
式I、IIおよびIIIの化合物を製造するために、適当な出発物質を用いて上記の実施例に記載の方法を用い得る。表Dに示される分光データは、本発明の化合物の選択のためのものである。
【表27】


【表28】


【表29】


【表30】


【表31】

【0211】
実施例2
N−(3−{3−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−イルアミノ}−プロピル)−アセトアミド(65)
【化20】

【0212】
工程a
1,4−ジオキサン(20mL)および水(5mL)中、(2−クロロ−3−ピリジル)ボロン酸(1.49g、10.0mmol)、2,4−ジクロロピリミジン(1.57mg、10.0mmol)、炭酸ナトリウム(2.52g、30.0mmol)およびPd(PPh)(1.12g、1.0mmol)の混合物を、脱気(窒素)し、95℃で14時間加熱する。冷却して、溶媒を真空下で除去し、得られる粗物質を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル/ヘプタンで溶出して精製し、2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)ピリミジンを得る。
【0213】
工程b
1,4−ジオキサン(4.5mL)中、2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)ピリミジン(226mg、1.0mmol)およびパラ−トルエンスルホン酸一水和物(210mg、1.1mmol)に、3−クロロアニリン(105μL、1.0mmol)を添加する。得られる反応混合物を、密閉管中、110℃で1.5時間加熱する。冷却し、溶媒を真空下で除去し、得られる粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりメタノール/塩化メチレンで溶出して精製し、(3−クロロ−フェニル)−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミンを得る。
【0214】
工程c
プロパン−1,3−ジアミン(1mL)中、(3−クロロ−フェニル)−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(250mg、0.79mmol)を、密閉管中、110℃で30分間加熱する。冷却して、反応物を塩化メチレンで希釈し、飽和NaHCOで洗浄して、過剰のジアミンを除去する。有機層を真空で濃縮し、得られる粗物質を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによりメタノール/塩化メチレンで溶出して精製し、N−{3−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−イル}−プロパン−1,3−ジアミンを得る。
【0215】
工程d
THF(2mL)中、N−{3−[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−イル}−プロパン−1,3−ジアミン(169mg、0.2mmol)に、無水酢酸(74μL、0.3mmol)を添加し、得られる溶液を環境温度で20分間撹拌する。溶媒を真空で除去し、得られる粗物質を分取逆相HPLCにより精製して、表題化合物を得る。 1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 1.70−1.79 (m, 2H), 2.14 (s, 3H), 3.44−3.51 (m, 2H), 3.59−3.66 (m, 2H), 6.57 (dd, J=7.8, 4.8 Hz, 1H), 6.96 (dd, J=7.6, 1.5 Hz, 1H), 7.11 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.23 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.70 (dd, J=8.3, 1.3 Hz, 1H), 7.92 (t, J=2.0 Hz, 1H), 7.97 (dd, J=7.6, 1.5 Hz, 1H), 8.20 (dd, J=4.6, 1.5 Hz, 1H), 8.44 (d, J=5.6 Hz, 1H); MS m/z 397.2 (M+1)
【0216】
実施例3
(3−クロロ−フェニル)−[4−(3−メトキシ−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(45)
【化21】

【0217】
工程a
1,4−ジオキサン(4.0mL)および水(1.0mL)中、(3−メトキシ−4−ピリジニル)ボロン酸(149mg、1.0mmol)、2,4−ジクロロピリミジン(153mg、1.0mmol)、炭酸ナトリウム(318mg、3.0mmol)および(PhP)PdCl(70mg、0.1mmol)の混合物を、脱気(窒素)し、95℃で8時間加熱する。冷却して、溶媒を真空下で除去し、得られる粗固体を分取逆相HPLCにより精製して、2−クロロ−4−(3−メトキシ−ピリジン−4−イル)ピリミジンを得る。
【0218】
工程b
アセトニトリル(1mL)中、2−クロロ−4−(3−メトキシ−ピリジン−4−イル)ピリミジン(18mg、0.08mmol)およびパラ−トルエンスルホン酸一水和物(19mg、0.10mmol)に、3−クロロアニリン(17mg、0.13mmol)を添加する。得られる反応混合物を、密閉管中、110℃で3時間加熱する。冷却して、溶媒を真空下で除去し、得られる粗固体を分取逆相HPLCにより精製して、表題化合物を得る。 1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 4.07 (s, 3H), 7.04 (d, J=8.6 Hz, 1H), 7.26 (t, J=8.1 Hz, 1H) 7.34−7.41 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.49 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.91 (t, J=2.0 Hz, 1H), 8.05 (d, J=5.1 Hz, 1H), 8.44 (d, J=5.1 Hz, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.54 (d, J=5.1 Hz, 1H); MS m/z 313.1 (M+1).
【0219】
式I、IIおよびIIIの化合物を製造するために、適当な出発物質を用いて、上記実施例に記載の方法を用いることができる。表Eに示される分光データは、本発明の化合物の選択のためのものである。
【表32】


【表33】


【表34】

【0220】
【表35】


【表36】


【表37】


【表38】


【表39】

【0221】
【表40】


【表41】


【表42】


【表43】


【表44】

【0222】
生物学的データ
キナーゼアッセイにおける化合物IC50測定
キナーゼアッセイを、非放射性IMAP蛍光偏光アッセイ形式を用いて、組み換え精製酵素を用いて行った。
【0223】
化合物ストックを調製してDMSOで希釈し、キナーゼ反応物に1%DMSOの最終濃度に1/100希釈して添加した。成分を、以下の表に列記した最終濃度で共に添加し、室温で2時間インキュベートした。
【0224】
CDK9/サイクリンT1アッセイについての最終アッセイ条件
【表45】

【0225】
CDK1/サイクリンBアッセイについての最終アッセイ条件
【表46】

【0226】
CDK2/サイクリンAアッセイについての最終アッセイ条件
【表47】

【0227】
CDK7/サイクリンH/Mat1アッセイについての最終アッセイ条件
【表48】

【0228】
反応を、停止溶液の添加により停止させた。
CDK9/CDK1/CDK7:最終停止濃度は、1×現像緩衝液(Developer buffer)(85%A/15%B)、IMAPビーズ1/400である。
CDK2:最終停止濃度は、1×現像緩衝液(100%A)、IMAPビーズ1/400である。
【0229】
停止溶液の成分
【表49】

【0230】
サンプルを、室温でさらに1時間インキュベートし、次いで、蛍光偏光を測定した。プレート標準化ミリ偏光(millipolarization;mP)値を、各化合物についての化合物濃度の対数に対してプロットし、IC50値をspotfire IC50計算機を用いて計算して、視覚的分析によって確認した。
本発明の化合物を用いて行ったこのアッセイの結果を表Fに示す。
【0231】
H5(Ser2とも称する)Ab 高含量スクリーニング:RNAポリメラーゼII CTDセリン2リン酸化アッセイ
1.細胞を384ウェルプレート中に入れる:30μlの、3%FBS含有DMEM中Hep3B細胞(4,000細胞/30μl)を、組織培養処理した透明底の384ウェルプレートのウェル中に入れる。細胞を、一晩のインキュベーション中に接着させる。
【0232】
2.細胞を化合物で2時間処理する:10μlの3%FBS含有DMEMを、1%程度の最終濃度のDMSOを含む各ウェルに添加する。細胞を化合物と共に2時間インキュベートする。
3.細胞を固定し、透過処理する。細胞を30mM HEPES pH=7.3で洗浄し、次いで、30mM HEPES pH=7.3中4%パラホルムアルデヒド中で、室温にて1時間、固定する。固定物を、Tris緩衝生理食塩水(TBS)で細胞を洗浄することにより除去し、該細胞を、0.5%トライトンX−100含有TBS中で、室温にて30分間インキュベートして透過処理する。トライトンは、TBSで細胞を洗浄することにより除去される。
【0233】
4.細胞をH5モノクローナル抗体で染色し、核をヘキスト色素33342で染色する:1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有TBS中で、室温にて1時間インキュベートすることにより細胞をブロックする。1%BSAおよび0.1% Tween−20含有TBS中、一次H5 Ab(1/250)で、4℃にて一晩インキュベートする。次の日、TBSで細胞を洗浄する。1%BSA含有TBS中、二次抗体のcy5標識した抗IgM(1/450)およびヘキスト色素33342(10μg/ml)を添加し、室温にて1時間インキュベートする。PBSで細胞を洗浄する。
5.GE HealthcareのIn−cell Analyzer システムを用いて染色を測定する。核は、ヘキスト33342色素シグナルに位置し、H5抗体染色を、cy5標識を測定することにより定量した。核のH5染色の強度を、各化合物についての化合物濃度の対数に対してプロットし、IC50値をspotfire IC50計算機を用いて計算し、そして視覚的分析によって確認した。
本発明の化合物の選択を用いて行ったこのアッセイの結果を表Fに示す。
【0234】
【表50】


【表51】


【表52】

【0235】
IC50
* < 5μM
5μM < ** < 15μM
15μM < *** < 50μM
50μM < ****
【0236】
均等物
当業者は、常套の実験方法、特定の態様の多くの均等物および本明細書に記載の方法のみを用いて認識できるか、確認できる。かかる均等物は、特許請求の範囲に包含されるべきであることが意図される。
【0237】
参考文献
本明細書に引用される全ての特許、公開特許出願および他の参考文献の内容全体は、参照により、それらの全体を本明細書中に明示的に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中、
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
、A、AおよびAは、それぞれ独立して、C、C(H)またはNであり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;
または、RまたはRは独立して、Oであってよいか;
または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化2】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体。
【請求項2】
が、水素、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
該C1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基が、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
、RおよびRの少なくとも1個が、Hではない、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
mが0であり、AがCであり、そしてAがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
がCであり、AがNであり、そしてnが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
mおよびnが0であり、AがCであり、そしてAおよびAがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
およびAがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
nが0であり、AがCであり、そしてAおよびAがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;
が、置換アリールおよび置換C1−6−アルキルからなる群から選択され;
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;
が、水素、ハロゲンおよびC1−6−アルキルからなる群から選択され;そして
、RおよびRが、それぞれ独立して、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択されるか;
または、RおよびRが一体となって、以下の構造:
【化3】


〔式中、xが、0、1または2であり、R10が、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRが、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRが、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
が、1個以上の置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル、チオエーテル、アミノ、アリール、ヘテロ環、電子求引基もしくは電子求引原子で独立して置換されるアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
が、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
式II:
【化4】


[式中、
mは、0または1であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;
または、RはOであってよいか;
または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化5】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体。
【請求項15】
が、水素、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
該C1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基が、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である、請求項14記載の化合物。
【請求項17】
、RおよびRの少なくとも1個がHではない、請求項14記載の化合物。
【請求項18】
mが0であり;
が、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;
が、置換アリールおよび置換C1−6−アルキルからなる群から選択され;
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;
が、水素、ハロゲンおよびC1−6−アルキルからなる群から選択され;そして
、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換アミノからなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項19】
が、1個以上の置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル、チオエーテル、アミノ、置換もしくは非置換アリール、ヘテロ環、電子求引基もしくは電子求引原子で独立して置換されるアリールである、請求項14記載の化合物。
【請求項20】
が、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である、請求項14記載の化合物。
【請求項21】
が、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換アミノからなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項22】
mが0であり;
が、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;
が、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のニトリル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)であり;
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;
およびRがHであり;そして
およびRが、それぞれ独立して、水素、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項23】
が、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)またはN(R12)R13で置換されたアリール、および(CH)1−6N(R12)R13からなる群から選択され;
が、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシおよびN(R12)R13からなる群から選択され;そして
が、水素およびN(R12)R13からなる群から選択され;
ここで、R11が、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13が、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項24】
が、置換もしくは非置換イミダゾール、オキサゾールまたはトリアゾールである、請求項14記載の化合物。
【請求項25】
mが0であり;
が水素であり;
が、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)またはN(R12)R13で置換されたアリール、および(CH)1−6N(R12)R13からなる群から選択され;
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;
が、水素、クロロおよびCHからなる群から選択され;そして
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択され;
が水素であり;
ここで、R11が、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13が、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gが、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾールおよびピロリジン−2−オンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項26】
mが0であり;
が水素であり;
が、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)、N(R12)R13、または(CH)1−6N(R12)R13で置換されたアリールからなる群から選択され;
が、ハロゲン、CH、CHCH、OCHおよび置換もしくは非置換アミンからなる群から選択され;
が、水素、ハロゲン、CH、OCH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(CH)(CH)N(H)CH、N(CH)(CH)N(CH)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OC(O)CH、N(H)(CH)N(H)−Ph−CHNH、N(H)(CH)N(H)−Ph−CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)COH、N(H)CHPh、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)−N−モルホリノ、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−N(H)CHからなる群から選択され;
が、水素、クロロおよびCHからなる群から選択され;そして
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシからなる群から選択され;
が水素であり;
ここで、R11が、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13が、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gが、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾールおよびピロリジン−2−オンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項27】
が、CH、CHCH、OCH、OCHCH、O(CH)NH、O(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)OC(O)CH、F、Cl、Br、NH、N(H)C(O)CH、N(H)(CH)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)CHC(CH)CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール−CH、N(H)(CH)−ピラゾール−CH、N(H)(CH)−イミダゾール−(CH)、N(H)(CH)−ピラゾール−(CH)、N(H)(CH)−モルホリノ、N(H)(CH)−ピペリジン、N(H)(CH)−ピペラジン、N(H)(CH)−ラクタム、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)C(O)C(CH)、N(H)(CH)N(H)C(O)CHC(CH)、N(H)CHC(CH)CHNH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)(CH)N(H)C(H)(CH)、N(H)(CH)N(H)S(O)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、およびN(H)−Ph−S(O)CHからなる群から選択される、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
式III:
【化6】


[式中、nは、0または1であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−20−アルキル、置換もしくは非置換C1−20−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択されるか;
または、RはOであってよいか;
または、RおよびRは一体となって、以下の構造:
【化7】


〔式中、xは、0、1または2であり、R10は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択される。〕
の6員環を形成していてもよいか;
または、RおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよいか、またはRおよびRは、それぞれ独立して、6員または7員環が形成されるように、互いに結合するCHまたはCHCH基であってよい(ここで、該6員または7員環は、1個以上の水素、ハロゲン、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換C1−6−アルキル、置換もしくは非置換C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルで独立して置換されていてよい。)。]
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体。
【請求項29】
が、ハロゲン、(CH)3−20CHまたは(CH)3−20NH〔ここで、CH基は、1個以上のN(H)、N(CH)、OまたはC(O)で独立して中断されていてよい。〕である、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
1−20−アルキルおよびC1−20−アルコキシ基が、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシ基である、請求項28記載の化合物。
【請求項31】
、RおよびRの少なくとも1個が、Hではない、請求項28記載の化合物。
【請求項32】
がHである、請求項28記載の化合物。
【請求項33】
nが0であり、そしてR、RおよびRが水素である、請求項28記載の化合物。
【請求項34】
が、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾールまたはフェニル(それらは全て、1個以上のハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、ニトリル、置換もしくは非置換アミノ、エーテル、エステル、カルボン酸、置換もしくは非置換アミド、置換もしくは非置換スルホン、置換もしくは非置換スルホンアミド、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロ環で独立して置換されていてよい。)である、請求項28記載の化合物。
【請求項35】
nが0であり;
が、水素およびC1−6−アルキルからなる群から選択され;
が、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、ニトリル、エーテル、エステル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロ環、SO(R11)、N(R12)R13、または(CH)1−6N(R12)R13で置換されたアリールからなる群から選択され;
が、水素、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換C3−7−シクロアルキルからなる群から選択され;
およびRが、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、または置換もしくは非置換アミノであり;
およびRがHであり;
ここで、R11が、H、C1−6−アルキルおよびNHからなる群から選択され;
12およびR13が、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項36】
が、ハロゲン、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシおよびN(R12)R13からなる群から選択され;
ここで、R12およびR13が、それぞれ独立して、Hおよび(C1−6アルキル)0−1G〔式中、Gは、H、COOH、NH、N(H)C(O)C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)C(O)C1−6アルキル、N(H)C1−6アルキル、OH、OC(O)C1−6アルキル、C3−7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C1−6アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキル、C(O)−アリール、モルホリノ、イミダゾール、ピロリジン−2−オン、置換もしくは非置換ヘテロ環、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジンおよびピペリジンからなる群から選択される。〕からなる群から選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項37】
が水素であり;
が、水素、CH、C3−7−シクロヘキシル、インダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾールまたはフェニル(ここで、該シクロヘキシル、インダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾールまたはフェニル基が、1個以上のクロロ、S(O)CH、C(O)NH、C(O)O−t−ブチル、ピペリジン、t−ブチルで置換されたピペリジン、オキサゾール、N(H)C(O)CH、メチルで置換された1,2,4−トリアゾール、SONH、シアノ、C(O)OEt、フェニル、S(O)N(H)CH、S(O)N(Et)、S(O)N(H)Et、S(O)N−イミダゾール、S(O)N(H)ブチル、ピロリジン、S(O)N(H)シクロヘキシル、COOH、C(O)N(H)(CH)N(H)C(O)CH、C(O)N(H)(CH)N(CH)、C(O)N(H)Et、NOまたはS(O)N(H)(CH)OHで独立して置換される)である、請求項28記載の化合物。
【請求項38】
が、CH、CHCH、OCH、OCHCH、O(CH)NH、O(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)OH、N(H)(CH)OCH、N(H)(CH)OC(O)CH、F、Cl、Br、NH、N(H)C(O)CH、N(H)(CH)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)CHC(CH)CHN(H)C(O)CH、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール、N(H)(CH)−ピラゾール、N(H)(CH)−イミダゾール−CH、N(H)(CH)−ピラゾール−CH、N(H)(CH)−イミダゾール−(CH)、N(H)(CH)−ピラゾール−(CH)、N(H)(CH)−モルホリノ、N(H)(CH)−ピペリジン、N(H)(CH)−ピペラジン、N(H)(CH)−ラクタム、N(H)(CH)−ピロリジン−2−オン、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、N(H)(CH)N(H)C(O)C(CH)、N(H)(CH)N(H)C(O)CHC(CH)、N(H)CHC(CH)CHNH、N(H)(CH)N(H)CH、N(H)(CH)N(CH)、N(H)(CH)N(H)C(H)(CH)、N(H)(CH)N(H)S(O)CH、N(H)(CH)NH、N(H)(CH)N(H)C(O)CH、およびN(H)−Ph−S(O)CHからなる群から選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項39】
が、フッ素、水素およびOCHからなる群から選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項40】
が、水素、フッ素、OCHおよびCHからなる群から選択される、請求項28記載の化合物。
【請求項41】
式Iの化合物が、表A、表Bまたは表Cから選択される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項42】
タンパク質キナーゼと式I、式IIまたは式IIIの化合物を接触させることを含む、タンパク質キナーゼ活性を制御、調節または阻害する方法。
【請求項43】
該化合物が、表A、表Bまたは表Cに列記される化合物からなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
該タンパク質キナーゼが、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9、またはそれらの何れかの組合せからなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項45】
該タンパク質キナーゼが、CDK1、CDK2およびCDK9、またはそれらの何れかの組合せからなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項46】
該タンパク質キナーゼが、細胞培養物中に存在する、請求項42記載の方法。
【請求項47】
該タンパク質キナーゼが、哺乳動物中に存在する、請求項42記載の方法。
【請求項48】
タンパク質キナーゼ関連障害の処置方法であって、該タンパク質キナーゼ関連障害が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、式I、式IIまたは式IIIの化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項49】
該化合物が、表A、表Bまたは表Cに列記される化合物からなる群から選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
該タンパク質キナーゼが、CDK1、CDK2、CKD3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8およびCDK9からなる群から選択される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
該タンパク質キナーゼ関連障害が癌である、請求項48記載の方法。
【請求項52】
該癌が、膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、卵巣癌(ovary cancer)、結腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、リンパ系の癌、造血系の癌、尿生殖器管癌、消化管癌、卵巣部癌(ovarian cancer)、前立腺癌、胃部癌、骨癌、小細胞肺癌、神経膠腫、結腸直腸癌および膵臓癌からなる群から選択される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
該タンパク質キナーゼ関連障害が炎症である、請求項48記載の方法。
【請求項54】
該炎症が、リウマチ性関節炎、狼瘡、1型糖尿病、糖尿病性腎症、多発性硬化症、糸球体腎炎、慢性炎症、および臓器移植拒絶と関係する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
該タンパク質キナーゼ関連障害がウイルス感染である、請求項48記載の方法。
【請求項56】
該ウイルス感染が、HIVウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、またはアデノウイルスと関係する、請求項55記載の方法。
【請求項57】
該タンパク質キナーゼ関連障害が心肥大である、請求項48記載の方法。
【請求項58】
癌の処置方法であって、該癌が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、式I、式IIまたは式IIIの化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項59】
該癌が、膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、リンパ系の癌、造血系の癌、尿生殖器管癌、消化管癌、卵巣部癌、前立腺癌、胃部癌、骨癌、小細胞肺癌、神経膠腫、結腸直腸癌および膵臓癌からなる群から選択される、請求項44記載の方法。
【請求項60】
炎症の処置方法であって、該炎症が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、式I、式IIまたは式IIIの化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項61】
該炎症が、リウマチ性関節炎、狼瘡、1型糖尿病、糖尿病性腎症、多発性硬化症、糸球体腎炎、慢性炎症、および臓器移植拒絶と関係する、請求項60記載の方法。
【請求項62】
心肥大の処置方法であって、該心肥大が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、式I、式IIまたは式IIIの化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項63】
ウイルス感染の処置方法であって、該ウイルス感染が処置されるように、薬学的に許容される量の化合物(該化合物は、式I、式IIまたは式IIIの化合物である。)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項64】
該ウイルス感染が、HIVウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、またはアデノウイルスと関係する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
該化合物が、表A、表Bまたは表Cに列記される化合物からなる群から選択される、請求項58、60、62または63記載の方法。
【請求項66】
該対象が哺乳動物である、請求項48、58、60、62または63記載の方法。
【請求項67】
該哺乳動物がヒトである、請求項66記載の方法。
【請求項68】
式I、式IIまたは式IIIである該化合物が、抗炎症剤、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性剤またはキナーゼ阻害剤もしくはその塩と同時または逐次投与される、請求項42ないし67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
式Iまたは式IIまたはその塩である該化合物が、1個以上のPTK阻害剤、シクロスポリンA、CTLA4−Ig、抗ICAM−3、抗IL−2受容体、抗CD45RB、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD80、抗CD86およびモノクローナル抗体OKT3から選択される抗体、CVT−313、CD40とgp39の相互作用を阻止する薬剤、CD40とgp39から構成される融合タンパク質、NFκB機能の阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、金化合物、FK506、ミコフェノール酸モフェチル、細胞毒性剤、TNF−α阻害剤、抗TNF抗体もしくは可溶性TNF受容体、TNFα、TRAIL、HDAC阻害剤、グリベック、および他の、細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の阻害剤、低酸素症に対する細胞応答の阻害剤、ラパマイシン、レフルノミド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、マイトマイシンC、エクチナサイジン743、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、エポチロン、ビンデシン、ロイロシン、またはその誘導体と同時または逐次投与される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
式I、式IIまたは式IIIのタンパク質キナーゼ調節化合物を含むタンパク質キナーゼ関連障害処置用パッケージであって、有効量の該タンパク質キナーゼ調節化合物を用いてタンパク質キナーゼ関連障害を処置するための説明書と共にパッケージングされる、式I、式IIまたは式IIIのタンパク質キナーゼ調節化合物を含むタンパク質キナーゼ関連障害処置用パッケージ。

【公表番号】特表2010−514689(P2010−514689A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543209(P2009−543209)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088292
【国際公開番号】WO2008/079933
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】