説明

癌の治療のための化合物および方法

本発明は、式(I)の化合物および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、光学異性体、またはそれらの組合せ、チオセミカルバゾンを含む組成物、その投与方法、およびがんを治療するためのその使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、癌の治療のための化合物、組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、その病因に関係なく、細胞の制御できない増殖および生存により特徴づけられる。大抵の癌の形態に共通するものは、細胞の生存および細胞の死のバランスをとることに関与する細胞機構のエラーである。
【0003】
米国癌協会によれば、肺癌は、男性および女性の両方の癌死亡の主な原因である。小細胞肺癌(SCLC)は、全ての肺癌のおよそ20%を占める。小細胞肺癌の5年生存率は、約15%である。
【0004】
特定のチオセミカルバゾン、例えば英国特許第1,026,401号、国際特許出願WO2004/066725号、日本国特許公開公報昭56−95161号および米国特許第4,927,843号に開示されるものなどは、例えば、様々なウイルスを治療するために用いられてきた。しかし、その他のチオセミカルバゾンは、癌を治療するために用いることができる。仏国特許第2,879,194号は、癌の治療または予防に、皮膚科的治療に、心血管および免疫疾患、脂質−代謝関連疾患の治療に使用され、PPARを調節することのできる特定のチオセミカルバゾンに関する。国際特許出願WO2006/009765号は、薬剤耐性の発生を軽減する抗癌治療で用いることのできる具体的なチオセミカルバゾンに関する。米国特許第4,593,027号は、化学療法薬として用いることのできるヒドラゾン誘導体に関する。
【0005】
しかし、癌をより効率的に、さらに特に肺癌を治療するための新規な治療的薬物療法にが望まれている。現在の小細胞肺癌に対する治療計画は、外科手術、放射線照射および化学療法を伴う。適した時機に外科手術は治癒的であり得るが、適した時機に外科手術を選択できない場合の新規な治療法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、式Iの化合物および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、光学異性体、またはそれらの組合せが提供される:
【化1】

(式中、
およびRは、少なくとも2つの環構造を含む、置換もしくは非置換の多環をともに形成し、前記少なくとも2つの環構造は、C1に結合した第1の環構造および該第1の環構造に縮合した第2の環構造を含み、
該第1の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基であり、該第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;あるいは
該第1の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基であり、該第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;あるいは
該第1の環構造が置換もしくは非置換の飽和炭素環式基であり、該第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化2】

(式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)であり;あるいは
該第1の環構造が置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基であり、該第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化3】

(式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)であり;あるいは
該第1の環構造が置換もしくは非置換の複素環基であり、該第2の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;かつ
〜R11は、各々独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択され;
12は、Hまたはヒドロカルビル基から選択され;
Yは、ヘテロ原子または炭素原子から選択され;
Aは、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択され;かつ
nは、整数である)。
【0007】
さらなる態様では、式Iの化合物を含む組成物が提供される。
【0008】
もう一つの態様では、がんを治療するための式Iの化合物またはその組成物の投与の方法が提供される。
【0009】
さらにもう1つの態様では、がんを治療するための式Iの化合物またはその組成物の使用が提供される。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更および改変は、詳細な説明から当業者に明らかとなるので、詳細な説明および具体例は、本発明の実施形態を示すものではあるが、例としてのみ与えられるものであることは、当然理解される。
【0011】
本発明の実施形態は、これから、ほんの一例である添付される図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】試験化合物で処理したヌードマウスにおけるSHP77ヒトSCLC腫瘍の容積を示す図である。
【図2】試験化合物で処理したヌードマウスにおけるSHP77ヒトSCLC腫瘍の数を示す図である。
【図3】COTI−2で処理したヌードマウスおよびその対照におけるN417ヒトSCLC腫瘍の容積を示す図である。
【図4】COTI−2およびCOTI−219で処理したDMS153細胞における耐性の出現の欠如を示す図である。
【図5】COTI−2およびCOTI−219で処理したSHP77細胞における耐性の出現の欠如を示す図である。
【図6】2つの異なる濃度のCOTI−2で処理したヌードマウスにおけるU87ヒト神経膠腫腫瘍の容積を示す図である。
【図7】COTI−2で処理しておいたSHP77細胞の細胞溶解物のウエスタンブロット解析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、チオセミカルバゾン、チオセミカルバゾンを含む組成物、その投与方法、および癌を治療するためのその使用に関する。
【0014】
定義
本発明の化合物、組成物、方法および使用を説明する場合、以下の用語は、特に断りのない限り、以下の意味を有する。
【0015】
用語「治療上有効な量」とは、本明細書において、組織、系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医、医師またはその他の臨床医の求める生化学的もしくは医学的応答を誘発する、活性化合物もしくは医薬品の量を意味する。
【0016】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有してよく(例えば、E.L.ElielおよびS.H.Wilen,Stereo−chemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994、1119〜1190頁に記載されるとおり)、ラセミ化合物、ラセミ混合物として、および個々のジアステレオマーとして存在してよく、あらゆる可能性のあるその異性体および混合物(光学異性体を含む)が本発明に含められる。その上、本明細書に開示される化合物は互変異性体として存在してよく、両方の互変異性形は、たとえただ1つのみの互変異性体構造が表されていたとしても、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0017】
一般に、水素またはHなどの特定の要素への参照は、適切であれば、その要素の全ての同位体を含むことが意図される。
【0018】
用語「アルキル基」が、単独で、または「ハロアルキル基」および「アルキルアミノ基」などのその他の用語内で使用される場合、それは、例えば、1〜約20個の炭素原子または、具体的な実施形態では、1〜約12個の炭素原子を有する、線状もしくは分枝状の炭素基を包含する。その他の実施形態では、アルキル基は、1〜約6個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。かかる基の例としては、それに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシルおよび同種類のものが挙げられる。より具体的な実施形態では、低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する。
【0019】
用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する線状もしくは分枝状の炭素基を包含する。該用語「アルケニル基」は、共役および非共役炭素−炭素二重結合またはそれらの組合せを含み得る。アルケニル基は、例であってそれに限定されるものではないが、2〜約20個の炭素原子、または特定の実施形態では、2〜約12個の炭素原子を含み得る。実施形態では、アルケニル基は、2〜約4個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例としては、それに限定されないが、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4−メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル基」および「低級アルケニル基」は、「シス」および「トランス」の配向、またあるいは、「E」および「Z」の配向を有する基を包含する。
【0020】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する線状もしくは分枝状の炭素基を意味する。該用語「アルキニル基」は、共役および非共役炭素−炭素三重結合またはそれらの組合せを包含し得る。アルキニル基、例であってそれに限定されるものではないが、2〜約20個の炭素原子、または特定の実施形態では、2〜約12個の炭素原子を含み得る。実施形態では、アルキニル基は2〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。一部の例は、2〜約4個の炭素原子を有する低級アルキニル基である。かかる基の例としては、プロパルギル、ブチニル、および同種類のものが挙げられる。
【0021】
用語「ハロ」は、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子などを意味する。
【0022】
用語「ハロアルキル基」は、アルキル炭素原子の任意の1つまたは複数が、上記定義のハロで置換されている基を包含する。具体的に包含されるものは、モノハロアルキル基、ジハロアルキル基、およびペルハロアルキルを含むポリハロアルキル基である。モノハロアルキル基は、一例として、ヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子のいずれかをその基の中に有し得る。ジハロおよびポリハロアルキル基は、2以上の同じハロ原子あるいは異なるハロ基の組合せを有し得る。「低級ハロアルキル基」は、1〜6個の炭素原子を有する基を包含する。一部の実施形態では、低級ハロアルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが挙げられる。
【0023】
用語「ヒドロキシアルキル基」は、例であってそれに限定されるものではないが、1〜約10個の炭素原子を有し、その任意の1個が1つまたは複数のヒドロキシル基で置換されていてよい、線状もしくは分枝状のアルキル基を包含する。実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、1〜6個の炭素原子と1つまたは複数のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。かかる基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルおよびヒドロキシヘキシルが挙げられる。
【0024】
用語「アルコキシ基」は、各々が、例であってそれに限定されるものではないが、1〜約10個の炭素原子のアルキル部分を有する線状もしくは分枝状のオキシ含有基を包含する。実施形態では、アルコキシ基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。かかる基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。特定の実施形態では、低級アルコキシ基は、1〜3個の炭素原子を有する。「アルコキシ」基は、1つまたは複数のハロ原子、例えばフルオロ、クロロまたはブロモなどとさらに置換されて、「ハロアルコキシ」基をもたらすことができる。その他の実施形態では、低級ハロアルコキシ基は、1〜3個の炭素原子を有する。かかる基の例としては、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、およびフルオロプロポキシが挙げられる。
【0025】
用語「芳香族基」または「アリール基」は、1つまたは複数の環を有する芳香族基を意味し、かかる環は、懸垂する形で(ペンダントの形で)相互に結合していてもよいし、縮合されていてもよい。特定の実施形態では、芳香族基は1、2または3個の環である。単環式芳香族基は、4〜10個の炭素原子、一般に4〜7個の炭素原子、より一般に4〜6個の炭素原子を環に含んでよい。典型的な多環式芳香族基は2または3つの環を有する。2つの環を有する多環式芳香族基は、一般に8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を環に有する。芳香族基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが挙げられる。
【0026】
用語「ヘテロ原子」は、炭素以外の原子を意味する。一般に、ヘテロ原子は、硫黄、リン、窒素および酸素原子からなる群から選択される。1つまたは複数のヘテロ原子を含む基は、異なるヘテロ原子を含み得る。
【0027】
用語「複素芳香族基」または「ヘテロアリール基」とは、1つまたは複数の環を有する芳香族基を意味し、かかる環は、懸垂する形で(ペンダントの形で)相互に結合していてもよいし、縮合されていてもよく、該芳香族基は少なくとも1個のヘテロ原子を有する。単環式複素芳香族基は、4〜10個の環員原子、一般に4〜7個の環員原子、より一般に4〜6個の環員原子を環に含んでよい。典型的な多環式複素芳香族は基2または3つの環を有する。2つの環を有する多環式芳香族基は、一般に8〜12個の環員原子、より一般に8〜10個の環員原子を環に有する。複素芳香族基の例としては、それに限定されないが、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンおよび同種類のものが挙げられる。
【0028】
用語「炭素環式基」とは、飽和もしくは不飽和炭素環式炭化水素環を意味する。炭素環式基は芳香族ではない。炭素環式基は、単環式または多環式である。多環式炭素環式基は、縮合環構造、スピロ環構造、または架橋環構造であってよい。単環式炭素環式基は、4〜10個の炭素原子、一般に4〜7個の炭素原子、より一般に5〜6個の炭素原子を環に有し得る。二環式炭素環式基は、8〜12個の炭素原子、一般に9〜10個の炭素原子を環に有し得る。
【0029】
用語「複素環基」とは、炭素原子と1つまたは複数のヘテロ原子を環に含有する飽和もしくは不飽和環構造を意味する。複素環基は芳香族ではない。複素環基は、単環式または多環式である。多環式複素環基は、縮合環構造、スピロ環構造、または架橋環構造であってよい。単環式複素環基は、4〜10個の環員原子(すなわち、炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含む)、一般に4〜7、より一般に5〜6個の環員原子を環に含み得る。二環式複素環基は、8〜18個の環員原子、一般に9または10個の環員原子を環に含み得る。代表的な複素環基としては、一例であるが、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、3−ピロリンおよび同種類のものが挙げられる。
【0030】
用語「不均一基(heterogeneous group)」とは、炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含む水素以外の環員原子の飽和もしくは不飽和鎖を意味する。不均一基は一般に1〜25個の環員原子を有する。より一般に、鎖は1〜12個の環員原子、1〜10個、最も一般に1〜6個の環員原子を含む。鎖は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。典型的な分枝鎖不均一基は、1または2つの分枝、より一般に1つの分枝を有する。一般に、不均一基は飽和している。不飽和不均一基は、1つまたは複数の二重結合、1つまたは複数の三重結合、またはその両方を有する。典型的な不飽和不均一基は1または2つの二重結合または1つの三重結合を有する。より一般に、不飽和不均一基は1つの二重結合を有する。
【0031】
用語「炭化水素基」または「ヒドロカルビル基」とは、1〜25個の炭素原子、一般に1〜12個の炭素原子、より一般に1〜10個の炭素原子、最も一般に1〜8個の炭素原子の鎖を意味する。炭化水素基は、直鎖もしくは分枝鎖構造を有し得る。典型的な炭化水素基は1または2つの分枝、一般に1つの分枝を有する。一般に、炭化水素基は飽和している。不飽和炭化水素基は、1つまたは複数の二重結合、1つまたは複数の三重結合、またはそれらの組合せを有し得る。典型的な不飽和炭化水素基は1または2つの二重結合または1つの三重結合を有する。より一般に、不飽和炭化水素基は1つの二重結合を有する。
【0032】
用語「不飽和」が任意の基とともに使用される場合、その基は完全に不飽和であるかまたは部分的に不飽和であり得る。しかし、用語「不飽和」が本明細書に定義される具体的な基とともに使用される場合、この用語はその具体的な基の制限を維持する。例えば、不飽和「炭素環式基」は、本明細書に定義される「炭素環式基」の制限に基づいて、芳香族基を包含しない。
【0033】
用語「カルボキシ基」または「カルボキシル基」は、単独で用いられても、「カルボキシアルキル基」のようにその他の用語とともに用いられても、−(C=O)−O−を意味する。
【0034】
用語「カルボニル基」は、単独で用いられても、「アミノカルボニル基」のようにその他の用語とともに用いられても、−(C=O)−を意味する。
【0035】
用語「アルキルカルボニル基」は、アルキル基で置換されているカルボニル基を意味する。特定の実施形態では、「低級アルキルカルボニル基」は、カルボニル基に結合した上記の低級アルキル基を有する。
【0036】
用語「アミノアルキル基」は、その任意の1つが1つまたは複数のアミノ基で置換されていてよい、1〜約10個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状のアルキル基を包含する。一部の実施形態では、アミノアルキル基は、1〜6個の炭素原子と1つまたは複数のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。かかる基の例としては、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルおよびアミノヘキシルが挙げられる。
【0037】
用語「アルキルアミノアルキル基」は、独立にアルキル基で置換されている窒素原子を有するアミノアルキル基を包含する。特定の実施形態では、アルキルアミノアルキル基は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルアミノアルキル」基である。その他の実施形態では、低級アルキルアミノアルキル基は、1〜3個の炭素原子のアルキル基を有する。適したアルキルアミノアルキル基は、モノもしくはジアルキル置換されている、例えばN−メチルアミノメチル、N,N−ジメチル−アミノエチル、N,N−ジエチルアミノメチルおよび同種類のものであってよい。
【0038】
用語「アラルキル基」は、アリール置換アルキル基を包含する。実施形態では、アラルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基に結合したアリール基を有する「低級アラルキル」基である。その他の実施形態では、低級アラルキル基フェニルは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合している。かかる基の例としては、ベンジル、ジフェニルメチルおよびフェニルエチルが挙げられる。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシでさらに置換されていてよい。
【0039】
用語「アリールアルケニル基」は、アリール置換アルケニル基を包含する。実施形態では、アリールアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルケニル」基である。かかる基の例としては、フェニルエテニルが挙げられる。前記アリールアルケニル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシでさらに置換されていてよい。
【0040】
用語「アリールアルキニル基」は、アリール置換アルキニル基を包含する。実施形態では、アリールアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルキニル」基である。かかる基の例としては、フェニルエチニルが挙げられる。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシでさらに置換されていてよい。ベンジルおよびフェニルメチルという用語は互いに交換可能である。
【0041】
用語「アルキルチオ基」は、二価の硫黄原子に結合した1〜10個の炭素原子の線状もしくは分枝状のアルキル基を含有する基を包含する。特定の実施形態では、低級アルキルチオ基は、1〜3個の炭素原子を有する。「アルキルチオ」の例は、メチルチオ、(CHS−)である。
【0042】
用語「アルキルアミノ基」は、1つのアルキル基および2つのアルキル基で置換されているアミノ基を意味し、用語「N−アルキルアミノ」および「N,N−ジアルキルアミノ」が含まれる。実施形態では、アルキルアミノ基は、窒素原子に結合した、1〜6個の炭素原子の1または2つのアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」基である。その他の実施形態では、低級アルキルアミノ基は、1〜3個の炭素原子を有する。適した「アルキルアミノ」基は、モノもしくはジアルキルアミノ、例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノおよび同種類のものなどであってよい。
【0043】
用語「アリールアミノ基」は、1または2つのアリール基で置換されているアミノ基、例えばN−フェニルアミノなどを意味する。「アリールアミノ」基は、その基のアリール環部分でさらに置換されてもよい。
【0044】
用語「ヘテロアリールアミノ」は、1または2つのヘテロアリール基で置換されているアミノ基、例えばN−チエニルアミノなどを意味する。「ヘテロアリールアミノ」基は、その基のヘテロアリール環部分でさらに置換されてもよい。
【0045】
用語「アラルキルアミノ基」は、1または2つのアラルキル基で置換されているアミノ基を意味する。その他の実施形態では、フェニル−C−C−アルキルアミノ基、例えばN−ベンジルアミノなどがある。「アラルキルアミノ」基は、その基のアリール環部分でさらに置換されてもよい。
【0046】
用語「アルキルアミノアルキルアミノ基」は、1または2つのアルキルアミノ基で置換されているアルキルアミノ基を意味する。実施形態では、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキルアミノ基がある。
【0047】
用語「アリールチオ基」は、二価の硫黄原子に結合した6〜10個の炭素原子のアリール基を包含する。「アリールチオ」の例は、フェニルチオである。該用語「アラルキルチオ基」は、二価の硫黄原子に結合した上記アラルキル基を包含する。特定の実施形態では、フェニル−C−C−アルキルチオ基がある。「アラルキルチオ」の例は、ベンジルチオである。
【0048】
用語「アリールオキシ基」は、上記定義のように、酸素原子に結合した、所望により置換されているアリール基を包含する。かかる基の例としては、フェノキシが挙げられる。
【0049】
用語「アラルコキシ基」は、酸素原子を介してその他の基に結合した、オキシを含有するアラルキル基を包含する。特定の実施形態では、アラルコキシ基は、上記の低級アルコキシ基に結合した、所望により置換されたフェニル基を有する「低級アラルコキシ」基である。
【0050】
用語「シクロアルキル基」には、飽和炭素環式基が含まれる。特定の実施形態では、シクロアルキル基には、C−C環が含まれる。実施形態では、シクロペンチル、シクロプロピル、およびシクロヘキシルなどの化合物が挙げられる。
【0051】
用語「シクロアルケニル基」には、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合(共役または非共役、あるいはその組合せであってよい)を有する炭素環式基が含まれる。「シクロアルケニル」および「シクロアルキルジエニル」化合物は、用語「シクロアルケニル」に含まれる。特定の実施形態では、シクロアルケニル基には、C−C環が含まれる。例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプタジエニルが挙げられる。「シクロアルケニル」基は、1〜3個の置換基、例えば低級アルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、低級アルキルアミノ、および同種類のものなどを有してよい。
【0052】
本明細書に定義される基とともに用いられる用語「適した置換基」、「置換基」または「置換された」とは、化学的かつ製薬上許容される基、すなわち本発明の化合物の治療活性を否定しない部分をさす。本発明の化合物での置換基および置換パターンが、化学的に安定であり、当技術分野で公知の技法、ならびに下に記述される方法により容易に合成することのできる化合物を得るために、当業者により選択されてよいことは当然理解される。置換基自体が1より多くの基で置換されている場合、これらの複数の基は、安定な構造が結果として得られる限りは、同じ炭素/環員原子であってもよいし、異なる炭素/環員原子であってもよいことが理解される。一部の適した置換基の例示的な例としては、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、ベンジル、カルボニル、ハロ、ハロアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、アルキルチオ、アルコキシ、アリールもしくはヘテロアリール、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ、アラルキルもしくはヘテロアラルキル、アラルコキシもしくはヘテロアラルコキシ、HO−(C=O)−−、アミド、アミノ、アルキル−およびジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルスルホニル、およびアリールスルホニルが挙げられる。典型的な置換基としては、芳香族基、置換芳香族基、メチル基などのアルキル基を含む炭化水素基、ベンジルなどの置換炭化水素基、ならびにメトキシ基などのアルコキシ基を含む不均一基が挙げられる。
【0053】
用語「縮合した」とは、2以上の炭素/環員原子が2つの隣接する環に共通している、例えば、それらの環が「縮合環」であることを意味する。
【0054】
本発明の化合物の製薬上許容される塩には、例えば、無毒の無機もしくは有機酸から形成されるような本発明の化合物の従来の無毒の塩が含まれる。例えば、かかる従来の無毒の塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸および同種類のものに由来するもの、ならびに、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸および同種類のものから調製される塩が含まれる。
【0055】
本発明の化合物の製薬上許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む本発明の化合物から従来の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、または、適した溶媒または様々な溶媒の組合せの中で、遊離塩基を化学量論的量または過剰量の所望の塩形成無機もしくは有機酸と反応させることのいずれかにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適当な無機もしくは有機塩基との反応により形成される。
【0056】
本発明は、本発明の化合物の製薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグならびにそれらの混合物を含む。
【0057】
用語「含む」、「有する」および「含まれる」、およびその様々な語尾は、オープンエンドであることを意味し、示された成分を含むがその他の要素を排除するものではない。
【0058】
本発明のチオセミカルバゾンは、式I:
【化4】

(式中、RおよびRはともに置換もしくは非置換の多環式環を形成する)により表される化合物である。この環は、少なくとも2つの環構造を有する。これら2つの環構造は、C1に結合した第1の環構造および第1の環構造に縮合した第2の環構造を有する。
【0059】
一実施形態では、第1の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基であり、第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基である。
【0060】
第2の実施形態では、第1の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基であり、第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基であり、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基である。
【0061】
さらなる実施形態では、第1の環構造が置換もしくは非置換の飽和 炭素環式基であり、第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化5】

(式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)である。
【0062】
もう一つの実施形態では、第1の環構造が置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基であり、第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化6】

(式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)である。
【0063】
なおもう一つの実施形態では、第1の環構造が置換もしくは非置換の複素環基であり、第2の環構造は、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基である。
【0064】
もう一つの実施形態では、上記定義の実施形態に関連して、第1の環構造は5員もしくは6員環である。
【0065】
実施形態では、R〜R11基は、各々独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択される。R12基は、Hまたはヒドロカルビル基から選択され、Yは、ヘテロ原子または炭素原子から選択される。「A」は、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択され、かつ、nは、整数である。
【0066】
本明細書に記載されるチオセミカルバゾンは、式Iの化合物、その製薬上許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、またはそれらの組合せであってよい。
【0067】
具体的な実施形態では、式Iの化合物の第1の環構造が置換もしくは非置換の炭素環式基であり、第2の環構造は、置換もしくは非置換の環B:
【化7】

(式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)である。より具体的な実施形態では、環Bは、ピリジン環であり、一般に該ピリジン環のC2およびC3で第1の環に縮合している。
【0068】
第1および第2の環構造が本明細書に記載されているが、この置換もしくは非置換の多環は、第1および第2の環構造以外のその他の環構造をさらに含んでよい。例えば、第3の環構造も第1の環構造に縮合していてよい。第3の環構造は、例として、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であってよい。一般に、第3の環構造は、置換もしくは非置換の複素芳香族基または置換もしくは非置換の複素環基である。
【0069】
式Iに関する前記の実施形態に関して、一般に「n」は0または1である。「n」が1である場合、「A」は一般に置換もしくは非置換の複素芳香族基、特に、ピリジニル基である。
【0070】
また、式Iの実施形態に関して、Yは一般に窒素原子である。環:
【化8】

は、様々な環であり得る。この環は、置換もしくは非置換のチオモルホリニル基、置換もしくは非置換のモルホリニル基、置換もしくは非置換のピペリジニル基、または置換もしくは非置換のピペラジニル基であってよい。
【0071】
式Iの具体的な実施形態では、Rは、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換の複素芳香族基であり、R〜RおよびR〜R12は、各々独立にHまたは置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される。より具体的には、Rは、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のピリジル基であってよく、R〜RおよびR〜R12は各々Hである。
【0072】
具体的な実施形態では、式Iの化合物は、
【化9】


であってよい。かかる化合物は、使用されてよく、かつ/または製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはその任意の組合せの形態であってよい。
【0073】
本明細書に記載される式Iの化合物は、次のように調製することができる。
a)式IIの化合物:
【化10】

を式IIAの化合物:
【化11】

と反応させて、式IIIの中間体
【化12】

を形成する、
b)式IIIの中間体をR12NHNHと反応させて式IVの中間体:
【化13】

を形成する、
c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化14】

と反応させて、式Iの化合物を形成する。具体的な実施形態では、上記定義の合成法は、「n」が0または1の場合、より一般に、「n」が0の場合に用いることができる。
【0074】
本明細書に記載される式Iの化合物はまた、次のように調製することもできる:
a)式Vのハロ化合物:
【化15】

をジチオエステル化して式VIの中間体を形成する、このとき、R、R’またはR’は、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族である:
【化16】

b)式VIの中間体をR12NHNHと反応させて式IVの中間体を形成する:
【化17】

c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化18】

と反応させて、式Iの化合物を形成する。具体的な実施形態では、上記定義の合成法は、「n」が0または1の場合、より一般に、「n」が1の場合に用いることができる。
【0075】
本明細書に記載される式Iの化合物はまた、次のように調製することもできる:
a)式IIAの化合物:
【化19】

をエステル化して式VIIの中間体を形成する、この際、Rは、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族である:
【化20】

b)式VIIの中間体をR12NHNHと反応させて式VIIIの中間体:
【化21】

を形成する
c)式VIIIの中間体を硫化剤(thiation agent)と反応させて式IVの中間体:
【化22】

を形成する
c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化23】

と反応させて、式Iの化合物を形成する。硫化剤(thiation agent)の例としては、限定されるものではないが、五硫化リンまたはローソン試薬が挙げられる。具体的な実施形態では、上記定義の合成法は、「n」が0または1の場合、より一般に、「n」が1の場合に用いることができる。
【0076】
本発明の化合物は癌の治療に有用である。インビトロおよびインビボ試験について高レベルの活性が本発明の化合物を用いる癌および癌モデルに対して観察された。このことは、従来の既知薬剤の治療用量と比較して用量の低下をもたらし得る。
【0077】
治療される癌は、例えば、肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、CNSの癌、皮膚癌、前立腺癌、肉腫、乳癌、白血病、結腸直腸癌、頭部癌、頸部癌または腎臓癌であってよい。より一般に、この癌は、小細胞肺癌、乳癌、急性白血病、慢性白血病、結腸直腸癌、または脳癌であってよい。癌は癌腫であり得る。この癌腫は、小細胞がん、子宮頸がん、神経膠腫、星状細胞腫、前立腺がん、卵巣がん、黒色腫、乳がん、または結腸直腸がんから選択され得る。本発明の化合物は、小細胞肺癌(SCLC)癌腫の治療にさらにより特に有用であり得る。
【0078】
本発明の化合物の癌細胞集団に対するIC50は約1000nM未満であり得る。具体的な実施形態では、本発明の化合物は、約1000nM未満、一般に約800nM未満、より一般に約500nM未満、さらにより一般に約200nM未満のIC50でSHP77細胞に対して有効性を示す。
【0079】
本発明の化合物は、約1000nM未満、一般に約750nM未満、より一般に約500nM未満、さらにより一般に約300nM未満、なおより一般に約100nM未満のIC50でDMS144細胞に対して有効性を示す。
【0080】
本発明の化合物は、約2500nM未満、一般に約1000nM未満、より一般に約480nM未満、さらにより一般に約200nM未満、なおより一般に約75nM未満のIC50でU87細胞に対して有効性を示す。
【0081】
本発明の化合物は、約2150nM未満、一般に約1500nM未満、より一般に約800nM未満、さらにより一般に約100nM未満、なおより一般に約50nM未満、なおより一般に約15nM未満のIC50でSNB−19細胞に対して有効性を示す。
【0082】
本発明の化合物は、SHP77、DMS114、N417および/またはU87細胞株から作り出された悪性のヒト癌腫瘍のサイズを縮小させることに有効である。
【0083】
本発明の化合物は、哺乳類、一般に、ヒトの血液脳関門に浸透することができる。
【0084】
本発明の化合物は、細胞のそれら自体の制癌作用に対する抵抗性誘導の傾向を低下させ得る。したがって、本発明の化合物の癌を治療するための使用により、その癌の薬剤耐性形態の発生を抑制することができる。理論に縛られることを望むものではないが、本発明の化合物は、P糖タンパク質に媒介される薬剤耐性の発生を阻害し得ると考えられる。
【0085】
本発明の特定の化合物は、慣習的に投与される薬剤と比較して低い毒性を示し得る。
【0086】
本発明の化合物は、哺乳類、一般にヒトに、単独または製薬上許容される担体もしくは希釈剤と、所望により既知のアジュバント、例えばミョウバンと組み合わせて医薬組成物中で、標準的な薬務に従って投与されてよい。化合物は、経口的に、または非経口的に(静脈内、筋肉内、腹腔内、および皮下投与経路を含む)投与されてよい。
【0087】
述べたように、本発明の化合物は、静脈内に投与されるほとんどの現在の癌治療とは違って経口的に投与することができる。本発明に従う化合物または組成物の経口使用のため、選択された化合物は、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、あるいは水溶液または懸濁液として投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、慣用される担体としては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられ、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムが一般に添加される。カプセル剤形態での経口投与に有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。経口使用のための水性懸濁液が必要な場合は、有効成分を乳化剤および沈殿防止剤と混合する。所望であれば、特定の甘味料および/または香味剤を添加してもよい。筋肉内、腹腔内、皮下および静脈内使用のためには、有効成分の滅菌溶液が通常調製され、その溶液のpHは適切に調節され、緩衝されるべきである。静脈内使用のためには、調製物を等張性にするために、溶質の総濃度は制御されるべきである。
【0088】
本発明の化合物の少なくとも約50%は、哺乳類により経口的に吸収されることができる。具体的な実施形態では、少なくとも約60%;約60%〜約85%;約65%;約70%;約72%;約73%、約75%;約80%;約82%;または約85%の本発明の化合物は、哺乳類、より一般に、ヒトにより経口的に吸収されることができる。「経口吸収」は、本発明の化合物/組成物がどのように送達され、血液中に吸収されるかという状況で用いられる。一般に、化合物/組成物は、経口投与され、一般に腸で、胃腸管の粘膜を通過する。しかし、本発明の化合物/組成物を胃腸管の粘膜に接触させるその他の方法を用いてもよい。
【0089】
本発明の化合物はまた、それらの治療される癌に対する特定の有用性で選択されたその他の治療薬と組み合わされ、かつ/または同時投与される。例えば、本発明の化合物は、抗癌剤(1または複数)と組み合わされ、かつ/または同時投与される。
【0090】
抗癌剤の例としては、それに限定されるものではないが、次のものが挙げられる。すなわち、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性薬、抗増殖性薬、チロシンキナーゼ阻害剤、フェニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、その他の血管形成阻害剤およびそれらの組合せがある。本化合物はまた、放射線療法と同時投与される場合など、その他の治療法とともに有用であり得る。
【0091】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、機構に関わらず、エストロゲンと受容体の結合を妨害または抑制する化合物をさす。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては、それに限定されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、およびSH646が挙げられる。
【0092】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、機構に関わらず、アンドロゲンと受容体の結合を妨害または抑制する化合物をさす。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としては、フィナステリドおよびその他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、および酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0093】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、機構に関わらず、レチノイドと受容体の結合を妨害または抑制する化合物をさす。かかるレチノイド受容体モジュレーターの例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0094】
「細胞傷害性薬」とは、主に細胞の機能を直接妨害することにより細胞死を引き起こすかあるいは細胞収縮(cell myosis)を抑制または妨害する化合物をさし、それにはアルキル化剤、腫瘍壊死因子、干渉物質、マイクロチュブリン阻害剤、およびトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0095】
細胞傷害性薬の例としては、それに限定されないが、シクロホスファミドイフォスファミド、ヘキサメチルメラミン、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、マイトマイシン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)−白金(II)]テトラクロライド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン(bisantrene)、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(国際特許出願WO00/50032号参照)が挙げられる。
【0096】
マイクロチュブリン阻害剤の例としては、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキセル、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(−3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、およびBMS188797が挙げられる。
【0097】
トポイソメラーゼ阻害剤の一部の例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチ(methy)−−1H,12Hベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルートテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)−エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルl]−5,5a,6,8,8a,−9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2−,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナである。
【0098】
「抗増殖性薬」には、BCNU、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、およびINX3001など、ならびに 代謝拮抗剤、例えばフロクスウリジン、エノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシ−シチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]ジアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンが含まれる。
【0099】
「抗増殖性薬」にはまた、「血管形成阻害剤」という名目で記載されているもの、例えばトラスツズマブ、および腫瘍抑制遺伝子、例えば、組換えウイルスに媒介される遺伝子導入を介して送達することのできるP53など(例えば米国特許第6,069,134号参照)、以外の増殖因子に対するモノクローナル抗体が含まれる。
【0100】
チロシンキナーゼ阻害剤の一部の具体例としては、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]]]]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ−)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]−キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH1382、ゲニステイン、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、およびタルセバ(登録商標)(エルロチニブ)が挙げられる。
【0101】
固定用量として処方される場合、かかる配合生成物は、下に記載される用量範囲内の本発明の化合物、およびその認可された用量範囲内のその他の薬学活性物質(1または複数)を用いる。本発明の化合物は、配合処方が不適切な場合にはその代わりに公知の製薬上許容される物質(1または複数)とともに連続的に用いてよい。
【0102】
用語「投与」(例えば、化合物を「投与すること」)とは、本発明の化合物に関して、治療を必要とする動物の系の中に化合物または化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが、1種類または複数のその他の活性物質(例えば、細胞傷害性薬など)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変化形は、化合物またはそのプロドラッグとその他の物質の同時および順次導入を含むものと各々理解される。
【0103】
用語「がんを治療すること」または「がんの治療」とは、がん性の状態に苦しむ哺乳類への投与をさし、かつ、がん性細胞を死滅させることによる該がん性の状態を軽減させる作用をさすが、結果的にがんの増殖および/または転移の阻害をもたらす作用もさす。
【0104】
本発明に従う化合物がヒト被験体に投与される場合、1日の投薬量は、通常処方する医師により、一般に個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびにその患者の症状の重篤度に従って変動する投薬量を用いて決定される。
【0105】
典型的な一適用では、適した量の化合物が癌の治療を受けている哺乳類に投与される。投与は、1日あたり約0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kgを上回る量;1日あたり約0.01mg/体重kg〜約500mg/体重kg;1日あたり約0.01mg/体重kg〜約250mg/体重kg;1日あたりまたは0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kgの量で起こる。これらの投薬量は、より特に経口的に用いることができる。
【0106】
本発明の化合物は、文献または本明細書に例示される内容から公知の反応および標準的な操作を用いることにより調製することができる。
【0107】
本明細書に開示される要素を取り入れる際、「前記」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味する。
【0108】
上記の開示内容は、本発明を一般的に説明する。より完全な理解は、次の具体的な実施例を参照することにより得ることができる。これらの実施例は単に説明目的のために記載されるものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。形態の変更および同等物への置き換えは、状況により好都合であることが示唆されるか、または好都合となる時に検討される。本明細書において具体的な用語が用いられているが、かかる用語は説明的な意味であり、制限を目的とするものではない。
【0109】
実施例
COTI−2の合成
上に示されるように、COTI−2の合成を、次の合成方法論に従って行った。
【化24】

【0110】
イミダゾール−1−イル−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(または上記中間体)を以下の通り形成した。N−(2−ピリジル)ピペラジン(MW163.22、0.91ml、6.0ミリモル、1当量)を、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(MW178.22、1.069g、6.0ミリモル、1当量)の50mlのジクロロメタン中溶液に室温にて添加した。反応混合物を室温にて一晩攪拌した。混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮してイミダゾール−1−イル−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(MW273.36、1.354g、4.95ミリモル、収率83%)を得、それをさらなる精製を行わずに用いた。TLC(CHCl/MeOH:95/5):Rf=0.60、生成物UVおよびニンヒドリン染色活性。H−NMR(400MHz、CDCl)、δppm:3.72(s,4H)、4.02(s,4H)、6.67(d,1H,J=7Hz)、6.72(dd,1H,J=7および5Hz)、7.11(s,1H)、7.24(s,1H)、7.54(t,1H,J=7Hz)、7.91(s,1H)、8.20(d,1H,J=5Hz)。
【0111】
ヒドラジン水和物(MW50.06、0.26ml、5.44ミリモル、1.1当量)を、イミダゾール−1−イル−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(MW210.30、1.040g、4.95ミリモル、1当量)の30mlのエタノール中溶液に室温にて添加した。反応混合物を還流下で2時間攪拌した。白色の沈殿が生じた。この白色固体を濾別し、ジエチルエーテルですすいで1−[N−(2−ピリジル)−ピペラジン)−カルボチオ酸ヒドラジド(MW237.33、0.86g、3.62ミリモル、収率73%)を白色固体として得、さらなる精製を行わずに用いた。TLC(CHCl/MeOH:95/5):Rf=0.20、生成物UVおよびニンヒドリン染色活性。H−NMR(400MHz、DMSO−d)、δppm:3.53(s,4H)、3.85(s,4H)、6.66(dd,1H,J=8および5Hz)、6.82(d,1H,J=8Hz)、7.55(t,1H,J=8Hz)、8.12(d,1H,J=5Hz)。
【0112】
【化25】

最終的に、COTI−2を次の通り形成した。1−[N−(2−ピリジル)−ピペラジン)−カルボチオ酸ヒドラジド(MW237.33、0.475g、2.0ミリモル、1当量)および6,7−ジヒドロ−5H−キノリン−8−オン(MW147.18、0.306g、2.0ミリモル、1当量)を、室温にて15mlのエタノールに溶かした。次に、混合物を還流下で20時間攪拌した。黄色の固体が溶液から沈殿した。この固体を濾別し、次に、メタノールおよびジエチルエーテルですすいでCOTI−2(MW366.48、0.60g、1.64ミリモル、収率82%)を黄色の固体として得た。TLC(CHCl/MeOH:95/5):Rf=0.75、生成物UVおよびニンヒドリン染色活性。HPLC分析により、異性体の混合物が(およそ80/20の比で)示され、98%を上回る純度であった。HPLC法による展開の間、予期したように、この生成物は移動相溶液中にTFAが存在すると加水分解される傾向がある。MS(ESI+、50/50 MeOH/HO中、0.025% TFA):[M+H]=367.1、[M+Na]=389.1;H−NMR(400MHz、CDCl)、δppm(多い方の異性体):2.09(m,2H)、2.92(m,4H)、3.67(m,4H)、4.27(m,4H)、6.69(dd,1H,J=8および5Hz)、7.25(dd,1H,J=8および5Hz)、7.55(d,2H、J=8Hz)、8.23(d,1H,J=5Hz)、8.63(d,1H,J=5Hz)、14.76(s,1H)。δppm(少ない方の異性体):2.09(m,2H)、3.14(t,4H,J=6Hz)、3.80(m,4H)、4.27(m,4H)、6.66(m,1H)、7.31(dd,1H,J=8および5Hz)、7.52(m,1H)、7.70(d,1H,J=8Hz)、8.23(d,1H,J=5Hz)、8.53(d,1H,J=5Hz)、15.65(s,1H)。
【0113】
COTI−219の合成
上に示されるように、COTI−219の合成を、次の合成方法論に従って行った。
【化26】

【0114】
イミダゾール−1−イル−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(または上記中間体)を以下の通り形成した。N−メチルピペラジン(MW100.16、0.67ml、6.0ミリモル、1当量)を、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(MW178.22、1.069g、6.0ミリモル、1当量)の50mlのジクロロメタン中溶液に室温にて添加した。反応混合物を室温にて一晩攪拌した。この混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮してイミダゾール−1−イル−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(MW210.30、1.040g、4.95ミリモル、収率82%)を得、さらなる精製を行わずに用いた。TLC(CHCl/MeOH:95/5):Rf=0.35、生成物UVおよびニンヒドリン染色活性。H−NMR(400MHz、CDCl)、δppm:2.37(s,3H)、2.56(s,4H)、3.94(s,4H)、7.11(s,1H)、7.21(s,1H)、7.88(s,1H)。
【化27】

【0115】
1−(N−メチルピペラジン)−カルボチオ酸ヒドラジド(または上記中間体)を次のように形成した。ヒドラジン水和物(MW50.06、0.26ml、5.44ミリモル、1.1当量)を、イミダゾール−1−イル−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタンチオン(MW210.30、1.040g、4.95ミリモル、1当量)の30mlのエタノール中溶液に室温にて添加した。反応混合物を還流下で2時間攪拌した。この混合物を濃縮した。このようにして得た固体をジエチルエーテルでトリチュレートし、濾過して1−(N−メチルピペラジン)−カルボチオ酸ヒドラジド(MW174.27、0.53g、3.04ミリモル、収率61%)を白色固体として得、それをさらなる精製を行わずに用いた。TLC(CHCl/MeOH:90/10):Rf=0.15、生成物UVおよびニンヒドリン染色活性。H−NMR(400MHz、DMSO−d)、δppm:2.17(s,3H)、2.28(t,4H,J=5Hz)、3.69(t,4H,J=5Hz)。
【0116】
最後に、COTI−219を次の通り作成した。1−(N−メチルピペラジン)−カルボチオ酸ヒドラジド(MW174.27、0.174g、1.0ミリモル、1当量)および1,8−ジアザフルオレン−9−オン(MW182.18、0.182g、1.0ミリモル、1当量)を、1%氷酢酸(MW60.05、0.15ml、2.6ミリモル、2.6当量)の存在下、室温にて15mlのエタノールに溶かした。混合物を還流下で6時間攪拌した。濃縮後、このようにして得た粗物質をジクロロメタンに溶かし、炭酸カリウム水溶液で、次に水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を、ISCO CombiFlash(商標)Companion(Redisep(商標)カートリッジ12g、正常相、勾配 DCM/MeOH:10/0〜9/1)により精製し、COTI−219(MW338.43、0.330g、0.975ミリモル、収率98%)を赤錆色の固体として得た。H−NMRによる純度>95%。MS[ESI+、90/10 MeOH/HO(5mM NHOAc、0.2%酢酸)]:[M+H]=339.1、[M+Na]=361.1;H−NMR(400MHz、CDCl)、δppm:2.31(s,3H)、2.56(t,4H,J=5Hz)、4.17(t,4H,J=5Hz)、7.23(dd,1H,J=8および5Hz)、7.31(dd,1H,J=8および5Hz)、7.86(d,1H,J=8Hz)、7.97(d,1H,J=8Hz)、8.47(d,1H,J=5Hz)、8.51(d,1H、J=5Hz)、13.53(s,1H)。
【0117】
COTI−5の合成
上に示されるように、COTI−5の合成を、次の合成方法論に従って行った。
【化28】

【0118】
中間体11を、化合物10を過マンガン酸カリウムと還流条件下で反応させることにより形成する。中間体11を、エタノール中ヒドラジン水和物と反応させて中間体12を形成する。
【化29】

【0119】
中間体12を、ジオキサン中のローソン試薬と反応させて中間体13を形成する。
【化30】

最後に、COTI−5を次の通り形成する。中間体13および6,7−ジヒドロ−5H−キノリン−8−オンを室温にてエタノールに溶解させてCOTI−5を得る。
【0120】
COTI−5の合成
上に示されるように、COTI−5の合成を、次の合成方法論に従って行った。
【化31】

【0121】
中間体14を、塩素の存在下で化合物10を照射することにより形成する(中間体14の相当するブロモ化合物は、ベンゼン中のN−ブロモスクシンイミド、過酸化ベンジルを用いて形成することができる)。中間体14をTEAおよびDMF中のSおよびヨウ化メチルと反応させ(PhSONa、アセトニトリル、PrNBrを80℃にて24時間、またはS、t−BuOKを室温にて、THF次にヨウ化メチルを用いてもよい)、中間体15を得る。中間体15を、エタノール中のヒドラジン水和物と反応させて中間体13を形成する。
【化32】

最後に、COTI−5を次の通り形成する。中間体13および6,7−ジヒドロ−5H−キノリン−8−オンを室温にてエタノールに溶解させてCOTI−5を得る。
【0122】
実施例1:コンピュータでの特性の評価
本発明に従う化合物の特性のコンピュータでの評価を行った。CHEMSAS(登録商標)計算プラットフォーム。CHEMSAS(登録商標)は、伝統的および現代の薬理学の原則、統計的モデリングおよびマシンラーニング技術の独特の組合せに基づく、創薬の加速、最適化およびリード選抜(lead selection)のための、商標登録された強固な計算プラットフォームである。CHEMSAS(登録商標)プラットフォームの中心には、新規な標的リード化合物を発見、プロファイルし最適化すること、既知化合物の新規な使用を発見すること、および、既存の薬剤または潜在的な薬剤の問題を解決することに使用することのできるハイブリッドマシンラーニング技術がある。CHEMSAS(登録商標)プラットフォームを使用する際には、最初に治療標的、この場合は癌およびより特に小細胞肺癌、が選択される。第2段階は、特権のある(privileged)分子断片の構築によって数千個の潜在的化合物が含まれる候補分子ライブラリーの設計を伴う。3番目に、候補ライブラリーをプロファイルし、有効な計算モデルと伝統的な専門の医薬品化学の組合せを用いて最適化する。この段階で、CHEMSAS(登録商標)プラットフォームは各々の候補治療化合物について244細胞の記述子を作成した(developed)。例えば、候補化合物の治療効力、予測されるヒト毒性、経口吸収、累積細胞抵抗性および/または反応速度に関する細胞の特性が評価された。一部の例では、商業的に関連するベンチマーク化合物に関する比較特性も評価された。次に、潜在的なリード化合物が、予め決定された一連の設計基準に従って、最適な物理的化学的特性、有効性、ADME/毒性プロフィール、その他をもつ候補を同定するように設計された、商標登録された意思決定手段を用いて候補ライブラリーから選択される。候補ライブラリーから選択されたリード化合物を、次に、さらなる診療前開発のために合成した。
【0123】
特定の本発明に従う化合物、特にCHEMSAS(登録商標)計算プラットフォームを用いてコンピュータで評価された、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5の特性を、表1〜13に示す。一部の予測される特性は、本明細書に提供される実験データにより正当性が確認され、一方、その他の特性は、その他の臨床候補の開発の間に他の場所で確認されている。したがって、CHEMSAS(登録商標)プラットフォームは、特に本発明に従う化合物の特性を決定するために用いる場合に、化合物の特性を決定、予測および/または試験する手段を提供する。CHEMSAS(登録商標)プラットフォームはまた、本発明に従う化合物の特性と先行技術の化合物とをコンピュータで相対的基準において比較する際に特に有用である。
【0124】
表1Aおよび1B:物理化学特性
表1Aおよび1Bは、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、優れた薬のような物理的特性をもつ「薬らしい(drug−like)」ことを示す。
【0125】
【表1】

【0126】
表1の説明
MolWeightは、ダルトンで測定される分子量を表し、サイズ記述子である;
MnLogPは、MLogP、ALogP98およびCLogPの平均であり、それらは全て計算された親油性/溶解度の推定値である;
HBndDonは、水素結合ドナー(Hydrogen Bond Donor)を表し、電子を供与して潜在的に水素結合を形成することのできる原子の数をさす;
HBndAccは、水素結合受容体(Hydrogen Bond Acceptor)を表し、電子を受容して潜在的に水素結合を形成することのできる原子の数をさす;
TPSAは、位相的な極性表面積(Topological Polar Surface Area)を表し、分子表面電荷/極性の尺度である;
RotBndsは、分子において自由に回転することのできる一重結合の総数である、回転する結合(Rotatable Bonds)を表す;
Lipinski Alerts:もし(分子量>500ダルトン、水素結合ドナー>5、水素結合受容体>10、MLogP>4.15)のうちの2つがあてはまれば、その分子はバイオアベイラビリティが低い可能性がある;
Veber Alerts:もしTPSA>140または回転する結合(Rotatable Bonds)が>10であれば、バイオアベイラビリティは低い可能性がある。
【0127】
表2Aおよび2B:溶解度特性
表2Aおよび2Bは、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、薬のような化合物に許容される溶解度値を有すると予期されることを示す。
【0128】
【表2】

【0129】
表2の説明
MnLogPは、MLogP、ALogP98およびCLogPの平均であり、それらは全て計算された親油性/溶解度の推定値である;
LogD(7.4)は、具体的なpH、この場合はpH=7.4でのオクタノール対水中の相対溶解度の尺度である;
LogSは、通常25℃で測定される純水中の計算された溶解度の対数である;
pKaは、薬剤またはその薬剤の部分構造が50%イオン化され、50%がイオン化していないpHの計算された測定値である。
【0130】
表3:有効性(LogGI50)
表3は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、ヒトSCLC細胞株に対してマイクロモル以下のインビトロ活性を有すると予測されることを示す。インビトロで得た実際の測定値は、COTI−2およびCOTI−219に対してマイクロモル以下のレベルでの活性予測を裏付ける。
【表3】

【0131】
表3の説明
DMS114は、米国国立癌研究所により維持される「古典的な」ヒト小細胞肺癌株である;
SHP−77は、米国国立癌研究所により維持される「変異」ヒト小細胞肺癌株である;
予測は、予測された薬剤のインビトロ活性である;
実際は、対照ヒト小細胞肺癌株の両方におけるインビトロ試験の実際の結果である;
「有効」とは、予測または測定GI50が1μモル/L未満の薬剤をさす;
NDは、その薬剤がまだインビトロで試験されていないことを意味する。
【0132】
表4Aおよび4B:経口吸収およびBBB浸透
表4Aおよび4Bは、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が経口的に吸収されると予期されることを示す。
【0133】
【表4】

【0134】
表4の説明
Mn% OrlAbsは、5〜7種類の異なるモデルのアンサンブルからの薬剤の平均経口吸収パーセントの予測値である;
Min%Absは、下限95%信頼区間でのMn% OrlAbsの最小値である;
HIA−T2(MD)は、最適な経口吸収の薬剤の集団の中心からの、計算された統計上の距離の尺度である、マラナボイス(Malanabois)距離である;
ProbBBBPeneは、薬剤が血液脳関門に浸透し、中枢神経系(CNS)に入る確率の推定値である;
BBB−T2(MD)は、最適な血液脳関門浸透の薬剤の集団の中心からの、計算された統計上の距離の尺度である、マラナボイス(Malanabois)距離である;
ClarkLogBBBは、薬剤LogPおよびTPSAに基づく、血液脳関門の薬剤浸透の推定値である;
SubKitLogBBは、薬剤LogPおよびTPSAに基づく、血液脳関門の薬剤浸透のその他の推定値である;
LogBB:もしLogBB≦−1であれば、その薬剤はBBBに浸透しない;もしLogBB>0であれば、良好なBB浸透である可能性がある;もし−1<logBB<0であれば、BBB浸透は変動する可能性があり、不十分である。
【0135】
表5:代謝安定性(60分維持する割合および計算された半減期(時間))
表5は、インビトロ代謝安定性がCOTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5に十分であると予期されることを示す。COTI−2は、ヒト肝臓ミクロソームにおいてその他のCOTI化合物よりも迅速に代謝されると予期される。COTI−2および219について推定T1/2およびインビトロで測定されたT1/2の両方が優れている。
【表5】

【0136】
表5の説明
肝ミクロソームは、1用量の薬剤のインビトロ/ヒト肝ミクロソーム酵素系への導入60分後に残っている推定パーセントである;
肝細胞は、1用量の薬剤のインビトロ/ヒト肝細胞系への導入60分後に残っている推定パーセントである;
T1/2時は、時間で計算される、薬剤の半減期の計算された推定値である;
95%CI(時)は、時間で計算される、薬剤の半減期の計算された95%信頼区間推定値である;
インビトロT1/2(時)は、1μモル、10μモルおよび100μモル(括弧内)の用量で実施された3回のインビトロ実験から得た、時間で表される実際の半減期である。
【0137】
表6:確率(CYP450イソ酵素基質)
表6は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5がCYP450酵素系に代謝される可能性のあることを示す。COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5は、少なくとも何らかのCYP3A457代謝を受けると予期され、COTI−2も何らかのCYP2D6代謝を受け得る。
【表6】

【0138】
表6の説明
表6は、問題の薬剤が、シトクロムP450(CYP450)の7種類の主なイソ酵素形態の1つまたは複数によって、少なくとも20%のその第1相代謝を受ける、推定された確率を表す。表6中のCYP450のイソ酵素形態は、1A2、2B6、2C8もしくは9、2C19、2D6、2E1および3A4、5または7である。これらの7種類のイソ酵素形態は、ヒトに経口投与される全ての薬剤の第1相代謝の80%超を占める。全ての経口投与される薬剤の大部分は、イソ酵素のCYP3Aファミリーに代謝される。
【0139】
表7:確率(CYP450イソ酵素阻害剤)
表7は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、どのCYP450イソ酵素もあまり阻害しないと予期されることを示す。
【表7】

【0140】
表7の説明
表7は、問題の薬剤が所与のCYPイソ酵素活性を少なくとも20%抑制する推定確率を表す。表7中のCYP450イソ酵素形態は、1A2、2B6、2C8もしくは9、2C19、2D6、2E1および3A4、5または7である。これらの7種類のイソ酵素形態は、ヒトに経口投与される全ての薬剤の第1相代謝の80%超を占める。
【0141】
表8:確率(CYP450イソ酵素誘導物質)
表8は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、どのCYP450イソ酵素も誘導しないと予期されることを示す。
【表8】

【0142】
表8の説明
表8は、問題の薬剤が所与CYPイソ酵素活性を少なくとも20%誘導する推定確率を表す。表8中のCYP450イソ酵素形態は、1A2、2B6、2C8もしくは9、2C19、2D6、2E1および3A4、5または7である。これらの7種類のイソ酵素形態は、ヒトに経口投与される全ての薬剤の第1相代謝の80%超を占める。
【0143】
表9:肝臓毒性の確率
表9は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、肝臓毒性を引き起こすと予期されないことを示す。
【表9】

【0144】
表9の説明
ProbHepTox1は、問題の薬剤が肝臓毒性を引き起こすモデルのアンサンブルから計算された平均確率である;
ProbHepTox2は、問題の薬剤が肝臓毒性を引き起こすモデルの2番目の異なるアンサンブルから計算された平均確率である。
【0145】
表10:P糖タンパク質相互作用の確率
表10は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、P糖タンパク質(P−gp)酵素活性を抑制すると予期されることを示す。COTI−2およびCOTI−5は、P−gpの基質でもあり得るのに対して、COTI−219は、比較的P−gpの基質になりにくい。P−gpは、多くの癌細胞により発現されるタンパク質であり、多くの癌治療薬に対する細胞の耐性に寄与すると思われる。理想的には、効果的な癌治療薬は、P−gpの基質でないか、またはP−gp活性を抑制するものであり、それによりP−gpに関連する薬剤耐性の可能性を低下させるものである。
【表10】

【0146】
表10の説明
表10は、問題の薬剤が基質または阻害剤としてP糖タンパク質(P−gp)と相互作用するモデルのアンサンブルから計算された確率を表す。
【0147】
表11:動物およびヒト毒性予測
表11は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、経口および腹膜内経路より投与された場合に、LD50により測定される低から中程度の急性毒性を有すると予期されることを示す。
【表11】

【0148】
表11の説明
ORL−LD50は、薬剤が経口投与された場合に健康な研究用の被験ラットの50%に死を引き起こすう、mg/kgで表される薬剤の用量の計算された推定値である;
下限ORL−LD50は、薬剤が経口投与された場合に健康な研究用の被験ラットの50%に死を引き起こす、mg/kgで表される薬剤の用量の計算された下限95%信頼区間推定値である;
IPR−LD50は、薬剤が腹腔内投与された場合に健康な研究用の被験マウスの50%に死を引き起こす、mg/kgで表される薬剤の用量の計算された推定値である;
下限ORL−LD50は、薬剤が腹腔内投与された場合に健康な研究用の被験マウスの50%に死を引き起こす、mg/kgで表される薬剤の用量の計算された下限95%信頼区間推定値である;
MRTD mg/kg/日は、平均的な60Kgのヒト成人の1日あたり1kgあたりのミリグラムで表される、薬剤の推奨される治療日用量の計算された最大値である;
MRTD mg/日は、平均的な60Kgのヒト成人の1日あたりのミリグラムで表される、薬剤の推奨される治療日用量の計算された最大値である。
【0149】
表12:予測hERG相互作用
表12は、COTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、心毒性のリスクの低下に合わせて1μモル/Lより大きいhERG IC50値を有すると予期されることを示す。一般に、1μモル/L未満のhERG IC50は、起こり得る薬剤誘発性の心毒性の確率の増加に関連すると思われる。
【表12】

【0150】
表12の説明
IC50(μモル)は、hERGカリウムチャネルの活性の50%を抑制する薬剤の計算された濃度であり、起こり得る心毒性の推定値である;
ProbIC50>1μモルは、hERGカリウムチャネルに関する薬剤のIC50が1μモル/Lより大きい、計算された確率である;
ProbIC50>10μモルは、hERGカリウムチャネルに関する薬剤のIC50が10μモル/Lより大きい、計算された確率である。
【0151】
表13:予測遺伝毒性
表13は、COTI−2および219が、陰性のAMES試験を有すると予期されること、ならびにCOTI−217、COTI−220、COTI−219、COTI−2およびCOTI−5が、モルモット細胞モデルにおいてポリプロイディシティ(Polyploidicity)を引き起こすとは予期されないことを示す。
【表13】

【0152】
表13の説明
ProbAMES+は、培養された細菌の標準株において、薬剤が認識された遺伝子突然変異を誘発する確率である;
PolyPldyは、薬剤が培養モルモット細胞においてポリプロイディシティ
(すなわち染色体数の増加/異常)を誘発する確率である。
【0153】
実施例2:様々な癌細胞株に対するインビトロ有効性
本発明に従う化合物の癌の治療における有効性を評価するため、IC50(その標的の50%阻害に必要な阻害剤の濃度を表す、単位ナノモル)として表されるインビトロ活性を、当業者に公知のかかる試験の標準法を用いて数個の癌細胞株について測定した。要するに、細胞をプラスチック製組織培養プレートに蒔き、各々の細胞株に対し標準的な条件下、二酸化炭素/酸素雰囲気中、プラスチック製組織培養プレートでCOTI−2またはCOTI−219化合物の存在下で35℃にて3日間増殖させた。対照培養物は媒体から化合物を引いたもので処理した。3日後、培養中で80%以下の細胞密度の細胞を計数した。米国国立癌研究所から得た、次の細胞株を試験した。すなわち、ヒトSCLC細胞株DMS153、DMS114、SHP77;ヒトNSCLC細胞株H226、A460、A560;ヒト乳癌細胞株T47D、MCF7;ヒト結腸癌細胞株HT29;ならびに、ヒト白血病細胞株K562、HL60である。これらのアッセイの結果を表14に表す。
【0154】
表14:癌細胞株に対するインビトロIC50
【表14】

【0155】
表14は、COTI−2とCOTI−219の両方が、SCLC腫瘍細胞種、ならびに数種類のその他の腫瘍細胞種、例えば乳癌、結腸直腸癌および白血病などに対して、低いナノモル範囲で強力な活性を有することを示す。両方の薬剤が、数種類の従来の治療薬に抵抗性であることが知られているSHP77細胞株に対して850nM未満のIC50を有した。COTI−2はNSCLC細胞種に対してナノモルレベルの活性を有さず、COTI−219はそれらの細胞種に対して試験されなかった。したがって、少なくともCOTI−2はSCLC細胞種に対して肺癌治療での選択性を示す。これらのインビトロデータはまた、1μM(1000nM)未満がSHP77およびDMS114細胞株での有効性に必要とされると推定された、コンピュータでの有効性の予測を確認する。
【0156】
実施例3:SCLC治療におけるインビボ有効性
ヒトSCLCのヌードマウスモデルを用いて、数種類の公知の化学療法薬と比較した本発明の化合物のインビボ有効性を査定した。ヌードマウスは米国国立癌研究所より入手し、SHP−77ヒトSCLC細胞株を転移性腫瘍異種移植片に選定した。対照群は10匹の動物からなり、その各々の両側の大腿に規定された容積の腫瘍細胞の注射を施した。処置群は6つあり、各々5匹の動物、すなわち、COTI−2、COTI−4、COTI−219、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、シスプラチン(登録商標)(シス−ジアンミンジクロロ白金)およびタルセバ(登録商標)(エルロチニブ)、を含んだ。治療薬は、腫瘍細胞注射後3日目から開始して隔日に腹膜内(IP)注射により投与した。処置群中の各々の動物に、対照動物と同じ規定された容積の腫瘍細胞の両側大腿注射を施した。治療は31日間継続され、その後に動物を安楽死させ、その後の分析のために組織を採取した。mmで表される最終の腫瘍サイズを図1に報告し、腫瘍の数を図2に報告する。
【0157】
図1を参照すると、本発明に従う化合物は、対照および従来の薬剤の両方と比較して腫瘍増殖の著しい低下を示した。対照動物は、平均容積260+/−33mmの腫瘍を生じた。COTI−2で処置した動物は平均容積9.9mmの腫瘍を生じ、一方、COTI−219で処置した動物は平均容積53+/−28mmの腫瘍を生じた。これは、シスプラチン(登録商標)で処置し、平均容積132+/−26mmの腫瘍を生じた動物、およびタキソテール(登録商標)で処置し、平均容積183mmの腫瘍を生じた動物に十分匹敵する。タルセバ(登録商標)で処置した動物は31日目の研究の完結前に死亡した。
【0158】
図2を参照すると、本発明に従う化合物は、対照および従来の薬剤の両方と比較して腫瘍の数の著しい低下を示した。対照動物は、注射部位あたり平均0.9個の腫瘍を生じ、一方、COTI−2で処置した動物は0.28個を生じ、COTI−219で処置した動物は0.38個を生じ、シスプラチン(登録商標)で処置した動物は0.48個およびタキソテール(登録商標)で処置した動物は0.48個を生じた。タルセバ(登録商標)で処置した動物は31日目の研究の完結前に死亡した。
【0159】
上記のデータは、SCLC細胞株に対するインビボでの本発明に従う化合物の有効性を示す。さらに、本発明に従う化合物は、慣習的に投与される治療薬と比較してより優れた有効性を示す。
【0160】
実施例4:N417腫瘍異種移植片でのSCLC治療におけるCOTI−2のインビボでの効果
マトリゲル(商標)中の悪性N417ヒトSCLC細胞を、ヌードマウスの後肢に皮下注射し、異種移植片腫瘍を約100mmまで増殖させた。次に、マウスに毎日示された濃度のCOTI−2(等張生理食塩水中の濁った液体として、1回注射あたりの総容積1ml)で腹膜内注射を1週間施した。腫瘍容積をキャリパーで測定して見積もった。結果を図3に示す。
【0161】
図3を参照すると、腫瘍容積が平均±標準誤差(SE)としてグラフで表された。
【0162】
腫瘍増殖の有意な差が全ての投薬量レベルで観察された。その他の治療レベルに対して8mg/kgレベルで見られた有効性の低下は、少量の溶解されない材料が治療バイアルの底部で観察されたため、化合物を可溶化する際のエラーによる。図3に報告される百分率値は、次式:
(1−(Tf−Ti)/(Cf−Ci))100
(式中、Tfは最終腫瘍容積であり、Tiは治療開始時の初期腫瘍容積であり、Cfは最終対照腫瘍容積であり、Ciは治療開始時の初期対照腫瘍容積である)に従う腫瘍増殖の阻害に関して表される化合物の有効性に関する。たとえ8mg/kg用量が含まれたとしても、30%またはそれ以上の腫瘍増殖阻害が全ての投薬量レベルにわたって観察された。N417細胞株が一般に最も処置の困難なSCLC細胞株と見なされていることに留意されたい。したがって、本発明に従う化合物は、多数の異なるSCLC細胞株に対してインビボ有効性を示す。
【0163】
実施例5:耐性試験
インビトロでの耐性の誘導を査定するため、本発明に従う化合物を、従来の治療薬シスプラチン(登録商標)およびタキソテール(登録商標)に対する各項目同等比較(head to head comparison)で試験した。COTI−4と名付けられた化合物(出願者の2007年12月26日出願の同時係属米国特許仮出願、標題「Composition and Method for Treatment」の対象である)も試験した。COTI−4の構造は次の通り:
【化33】

【0164】
IC50値は、米国国立癌研究所より入手した2つの異なるヒトSCLC細胞株(DMS153およびSHP77)で当業者に公知の方法を用いて得た。試験した最初のIC50から生存している50%の細胞を回収し、5日間培養し、その後この新しい世代の細胞を同じ薬剤で再び処理し、新しいIC50値を確立した。この手順を合計5世代の間反復した。現れる耐性を、IC50値を連続する世代で増加させることにより同定した。結果を図4および5に示す(それぞれ、DMS153およびSHP77細胞株である)、図中、縦座標軸は、親世代のIC50値に対するIC50値の比に関して提供される。
【0165】
図4および5を参照すると、COTI−2および219の両方が、5つの世代にわたって耐性の出現はごく僅かから皆無であった。これは、両方の細胞株についてIC50の有意な増加を示す、従来の治療であるシスプラチン(登録商標)およびタキソテール(登録商標)(図ではパクリタキセルと表示されている)とは著しく異なっていた。SHP77細胞株は特に従来の薬剤に対する耐性があることで公知である。しかし、COTI2も219も、この細胞株での耐性に対する傾向を何ら示さなかった。実際、COTI−2は、両方の細胞株において耐性を低下させる(連続する世代に対して1未満のIC50)統計上有意な傾向を実証した。したがって、COTI−2は、付随的な感受性を示し、それによって、細胞の耐性が連続する世代にわたって低下し、薬剤は実際にこれらの細胞株に対して時間とともに一層効果的となり得る。このことは、COTI−2および219についてのコンピュータでの予測を確証する。COTI−2は強いP糖タンパク質阻害剤であると予測され、それは薬剤耐性に対する傾向の低下に一致する。一方、COTI−219はP糖タンパク質阻害剤および/またはP糖タンパク質の弱い基質の両方であると予測され、これもまた、連続する世代にわたる耐性の蓄積が最小限であることに一致する。本発明に従う化合物の耐性プロフィールについてのコンピュータでの予測は、したがってこれらの検定により確認される。
【0166】
実施例6:脳癌におけるインビトロ有効性
ヒト神経膠腫および星状細胞腫細胞株に対する本発明の有効性を決定するため、IC50値を4つの悪性ヒト脳腫瘍細胞株(U87MG、グレードIII神経膠芽腫/星状細胞腫;SNB−19、神経膠腫/星状細胞腫グレードIV、多形性膠芽腫;SF−268、神経膠腫;SF−295、神経膠腫)のインビトロ検定により決定した。ヒト脳癌は、治療が困難なことで有名である。
【0167】
細胞株を、ヒト組織培養保存機関(Human Tissue Culture Collection)(ATCC)より入手し、増殖させ、ATCC−指定の条件下で維持し、試験して、生存度と、マイコプラズマおよびよくあるウイルスの混入のないことを確認した。健康な細胞を、96ウェル培養プレートのウシ胎児血清を加えた培地に蒔き、16時間おいて付着させ、それに続いてCOTI−2、COTI−219、シスプラチン(登録商標)、またはBCNU(1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素)を増殖に全く効果のない濃度から増殖を90%またはそれ以上抑制する濃度までの範囲の複数の濃度で添加した。生存度染色(アラマーブルー)を、薬剤暴露の4〜7日後(対照細胞のおよそ4倍増;ウェル中の最大細胞密度およそ80%)に細胞に加え、吸光度により総細胞代謝活性(生細胞の個体群密度の関数)について検定した。増殖を50%抑制するために必要な薬剤の濃度(IC50値)を、プロットされたデータの補間により導いた(3つの独立した実験から導かれた平均値±標準誤差)。結果は表15に報告される。
【0168】
【表15】

【0169】
少なくともCOTI−2化合物は、従来の薬剤であるシスプラチン(登録商標)およびBCNUと比較して、神経膠腫/星状細胞腫細胞株に対して良好な有効性を有することが示された。COTI−2は、U87に対してシスプラチン(登録商標)よりも1桁大きい有効性、およびSNB−19に対して2桁大きい有効性を示した。これらの結果は、少なくともCOTI−2化合物が神経膠腫/星状細胞腫細胞株に対する有効性を有することを示す。
【0170】
実施例7:COTI−2の癌性脳腫瘍へのインビボ効果
マトリゲル(商標)中の悪性U87ヒト神経膠腫(脳腫瘍)細胞を、ヌードマウスの後肢に皮下注射し、200〜300mmに増殖するまで置き、次に週3回(月、水、金)示された濃度のCOTI−2で処置した(等張生理食塩水中の濁った液体として、1回注射あたりの総容積1ml)。腫瘍容積をキャリパー測定により見積もった。結果を図6Aおよび6Bに示す。
【0171】
図6Aでは、腫瘍容積が平均値±標準誤差(SE)としてグラフで表された(各データポイントについてn=11〜14)。アスタリスクは、8mg/kg処置群と、生理食塩水対照および4mg/kg処置群の両方との間の有意差(p<0.05)を示す。4mg/kg群と生理食塩水対照群との間に有意差はなかった。
【0172】
図6Bでは、開始時容積±SEの差を補正するために、腫瘍容積を容積の増加分率(fractional increase)としてグラフで表した。アスタリスクは、8mg/kg処置群と生理食塩水対照および4mg/kg処置群の両方との間の有意差(p<0.05)を示す。4mg/kg群と生理食塩水対照群との間には有意差はなかった。フラグ(旗の記号)は8mg/kg群と生理食塩水群との間の有意差を示し、8mg/kg群と4mg/kg群の間の有意差ではない。
【0173】
図6Aおよび6Bは、本発明の化合物が確立されたヒト脳腫瘍の治療に効果的であることを示す。化合物は、1週間に3回だけ投与される8mg/kgの投薬量で腫瘍増殖を約25%遅らせた。4mg/kgの投薬量で有意な効果は観察されなかったが、より頻繁な投与であればこの投薬量で有意な効果を生じたかもしれない。
【0174】
実施例8:毒性試験
段階的に用量を増量する(escalating dose)急性毒性調査をCOTI−2、COTI−4およびCOTI−219で行った。標準的な研究用マウスを、1つの群に4匹の動物を含む4つの処置群(対照、4、8、16mg/kg)に分割した。注目すべきは、最大用量が推定有効量のおよそ10倍であったことである。マウスに28日間、隔日IP注射を投与した。このマウスの体重の減少/増加を測定し、嘔吐、下痢、発作などの副作用についてマウスを観察した。血液および組織サンプルを組織病理診断のために採取した。いずれの薬剤も、全28日の期間にわたって投与されたいずれの用量でも、体重の減少を引き起こさなかった。急性毒性のエビデンスは得られず、副作用も観察されなかった。したがって、本発明に従う化合物は、安全かつ無毒であると考えられる。
【0175】
実施例9:ヒト肝ミクロソームにおけるインビトロ代謝安定性
これらの化合物の安定性を肝臓によるクリアランスに関して査定するため、0.5mg/mlの濃度のヒト肝ミクロソーム(HLM)を、0.823mM NADPH、5mM UDPGA、1mM MgClおよび1、10および100μMの濃度のCOTI−2もしくは219とともにインキュベートした。サンプリングは1、20、40、60、120、180および240分に行い、各々の化合物の残存濃度を査定した。半減期(T1/2)を、肝臓によるクリアランスの速度(C)とともに各々の濃度で計算した。結果は表16に各々の化合物について記載される。C値は、同一条件下で、その他の市販されている治療薬の公表された値に有利に匹敵する。したがって、本発明に従う化合物の半減期は、簡便な投薬を可能にするのに十分長い可能性があるが、患者において起こり得る長期毒性作用を含む蓄積を引き起こすほど長くはない。
【表16】

【0176】
平均半減期は、COTI−2について6時間、COTI−219について6.8時間であった。95%信頼区間でのCLのコンピュータでの予測はCOTI−2について3.1〜14.3、COTI−219について1.4〜6.6であった;これは、表3に表されるデータに十分匹敵する。
【0177】
実施例10:作用機序
理論に縛られることを望むものではないが、本発明に従う分子、特にCOTI−2は、癌の治療において以下の機構的知見に一致するような方法で作用すると考えられる。以下の知見は、遺伝子発現プロファイリング法および標的インビトロ試験法を用いて得られた。本発明の分子はキナーゼ阻害剤として機能すると考えられる。本発明の分子はまた、アポトーシスのプロモーターとして機能すると考えられる。アポトーシスの促進は、カスパーゼ9のリン酸化を減少させることにより達成される。これは活性カスパーゼ9を増加させ、カスパーゼ3を介してアポトーシスを誘導する効果を有する。
【0178】
この機構を確認するため、SHP77細胞を250nMのCOTI−2で処理し、3時間および6時間インキュベートした。細胞溶解物のウエスタンブロットを図7に示す。ホスホ−Akt発現は、対照と比較して3時間および6時間の両方で低下し、Aktレベルの対応する増加を伴った。ホスホ−STAT3発現に変化はなかったが、6時間で総STAT3の僅かな低下(約30%)が観察された。カスパーゼ8の再活性化は観察されなかった。その発現レベルは処置細胞および対照細胞において一定のままであった。しかし、最も劇的な変化は、3時間および6時間両方のインキュベーションでのホスホ−カスパーゼ9の深い抑制であった。これらの結果は、提案される作用機序を確認する。
【0179】
実施例11:コンピュータでの比較データ
コンピュータでのモデルを用いて、PCT公報WO2006/009765号に記載の化合物:NSC716768、NSC73306、NSC73303、NSC668496、およびNSC693323の特性を試験した。化合物JBC271A、JBC271B(「Journal of Biological Chemistry」第271巻、13515−13522頁(1996))およびJICS75(「Journal of the Indian Chemical Society」、第75巻、392−394頁(1998)および「Journal of the Indian Chemical Society」、第72巻、403−405頁(1995))は次の通りである:
【化34】

コンピュータでの試験の結果を表17〜20に示す。これらの表の説明は、示されている場合を除いて、実施例1のものに相当し、表を作成するための方法は同一であった。
【0180】
表17Aおよび17B:物理的化学特性
表17は、全ての試験した化合物が、吸収に劣るかまたはバイオアベイラビリティについての警戒はなく薬らしいことを示す。
【0181】
【表17】

【0182】
表18:溶解度特性
表18は、非常に低い水溶性を有すると予期されるNSC73306を除いて、全ての試験した化合物が、許容され、かつCOTI化合物に匹敵する溶解度を有することを示す。
【0183】
【表18】

【0184】
表19:有効性(LogGI50)
表19は、NSC693323を除く全ての試験した化合物が、インビトロでヒトSCLC細胞株DMS114およびSHP−77に対して不活性であると予測されることを示す。したがって、NSC693323以外のあらゆる試験した化合物のSCLCの治療における治療薬としての使用についての理論的根拠はない。NSC693323は、−6.3の平均GI50を有する。比較すると、COTI−2はDMS114についてインビトロで決定された−7.2〜−7.4のLOG(GI50)を有し、NSC693323についての予測よりも約10倍優れたインビトロ有効性を表す。
【0185】
【表19】

【0186】
表19の説明
NCI/DTPの60細胞株パネルの平均は、DMS114およびSHP−77を含まない全ての60種類の細胞株のGI50の平均値である;
不検出は、試験済み/該当なしを意味する。
【0187】
表20:経口吸収およびBBB浸透
表20は、全ての試験した化合物が、不十分なCNS浸透によって変動する、良好な経口吸収を有すると予測されることを示す。唯一潜在的に活性な薬剤である、NSC693323は、CNSへの浸透が不十分であるおそれがある。
【0188】
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、光学異性体、またはそれらの組合せ:
【化1】

(式I中、
およびRは、少なくとも2つの環構造を含む、置換もしくは非置換の多環をともに、形成し、前記少なくとも2つの環構造は、C1に結合した第1の環構造および前記第1の環構造に縮合した第2の環構造を含み、
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;あるいは
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;あるいは
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の飽和炭素環式基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化2】

(環Bの式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)であり;あるいは
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化3】

(環Bの式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)であり;あるいは
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の複素環基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基であり;かつ
〜R11は、各々独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択され;
12は、Hまたはヒドロカルビル基から選択され;
Yは、ヘテロ原子または炭素原子から選択され;
Aは、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族から選択され;かつ
nは、整数である)。
【請求項2】
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の複素環基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の不飽和炭素環式基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、または置換もしくは非置換の環B:
【化4】

(環Bの式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記第1の環構造が置換もしくは非置換の炭素環式基であり、前記第2の環構造が置換もしくは非置換の環B:
【化5】

(環Bの式中、X〜Xは、各々独立に炭素またはヘテロ原子から選択される)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がNであり、X〜Xが炭素である請求項3または4に記載の化合物。
【請求項6】
環Bが、XおよびXで第1の環構造に縮合している請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記第1の環が5員環である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記第1の環が6員環である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
置換もしくは非置換の多環が、前記第1の環構造に縮合した第3の環構造をさらに含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記第3の環構造が、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素芳香族基、置換もしくは非置換の炭素環式基、または置換もしくは非置換の複素環基である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記第3の環構造が、置換もしくは非置換の複素芳香族基または置換もしくは非置換の複素環基である請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
nが0である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
nが1であり、Aが置換もしくは非置換の複素芳香族基である請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Aがピリジニル基である請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Yが窒素原子である請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換の複素芳香族基であり、R〜RおよびR〜R12が各々独立にHまたは置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のピリジル基であり、R〜RおよびR〜R12が各々Hである請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
下記化合物:
【化6】

から選択される化合物および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはそれらの組合せ。
【請求項19】
下記式で表わされる化合物:
【化7】

および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはそれらの組合せ。
【請求項20】
下記式で表わされる化合物:
【化8】

および/またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはそれらの組合せ。
【請求項21】
前記化合物が、哺乳類の血液脳関門に浸透する請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物の少なくとも約50%が、哺乳類により経口吸収される請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
前記哺乳類がヒトである、請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物の癌細胞集団に対するIC50が、約1000nM未満である請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
がんの治療のための請求項1〜23のいずれか一項に記載の前記化合物。
【請求項26】
前記がんが、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、CNSのがん、皮膚がん、前立腺がん、肉腫、乳がん、白血病、結腸直腸がん、頭部がん、頸部がんまたは腎臓がんから選択される請求項24または25に記載の化合物。
【請求項27】
前記がんが、小細胞肺がん、乳がん、急性白血病、慢性白血病、結腸直腸がん、または脳がんから選択される請求項24または25に記載の化合物。
【請求項28】
前記がんが、癌腫である請求項24または25に記載の化合物。
【請求項29】
前記癌腫が、小細胞癌腫、子宮頸癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、前立腺癌腫、卵巣癌腫、黒色腫、乳癌腫、または結腸直腸癌腫から選択される請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記癌腫が、小細胞肺癌腫である請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
放射線療法と組み合わされる請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物および少なくとも1種類の製薬上許容される担体および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項33】
抗癌剤および請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項34】
前記抗癌剤が、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、チロシンキナーゼ阻害剤、細胞傷害性薬、抗増殖性薬、フェニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、その他の血管形成阻害剤またはそれらの組合せから選択される請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
放射線療法と組み合わされる請求項32〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記哺乳類に請求項1〜23のいずれか一項に記載の前記化合物を治療上有効な量で投与する工程を含む哺乳類においてがんを治療するための方法。
【請求項37】
前記化合物が放射線療法と同時投与される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記哺乳類に請求項32〜34のいずれか一項に記載の前記組成物を治療上有効な量で投与する工程を含む哺乳類においてがんを治療するための方法。
【請求項39】
前記組成物が放射線療法と同時投与される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記哺乳類がヒトである請求項36〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物が、がんの薬剤耐性形態の発生を抑制する請求項36〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、CNSのがん、皮膚がん、前立腺がん、肉腫、乳がん、白血病、結腸直腸がん、頭部がん、頸部がんまたは腎臓がんから選択される請求項36〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、小細胞肺がん、乳がん、急性白血病、慢性白血病、結腸直腸がん、または脳がんから選択される請求項36〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記がんが、癌腫である請求項36〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記癌腫が、小細胞癌腫、癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、前立腺癌腫、卵巣癌腫、黒色腫、乳癌腫、または結腸直腸癌腫から選択される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記癌腫が、小細胞肺癌腫である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、経口的および/または非経口的に投与される請求項36または37に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が、経口的および/または非経口的に投与される請求項38または39に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が、静脈内および/または腹膜内に投与される請求項36または37に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、静脈内および/または腹膜内に投与される請求項38または39に記載の方法。
【請求項51】
哺乳類におけるがんの治療のための薬物の製造のための請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項52】
哺乳類におけるがんの治療のための薬物の製造のための請求項32〜34のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項53】
哺乳類においてがんを治療するための請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項54】
放射線療法と組み合せ使用する請求項53に記載の使用。
【請求項55】
哺乳類においてがんを治療するための請求項32〜34のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項56】
放射線療法と組み合わせて使用する請求項55に記載の使用。
【請求項57】
前記哺乳類がヒトである請求項51〜56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記化合物が、前記がんの薬剤耐性形態の発生を抑制する請求項51〜57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記がんが、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、CNSのがん、皮膚がん、前立腺がん、肉腫、乳がん、白血病、結腸直腸がん、頭部がん、頸部がんまたは腎臓がんから選択される請求項51〜58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記がんが、小細胞肺がん、乳がん、急性白血病、慢性白血病、結腸直腸がん、または脳がんから選択される請求項51〜58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記がんが、癌腫である請求項51〜58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
前記癌腫が、小細胞癌腫、子宮頸癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、前立腺癌腫、卵巣癌腫、黒色腫、乳癌腫、または結腸直腸癌腫から選択される請求項61に記載の使用。
【請求項63】
前記癌腫が、小細胞肺癌腫である請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記化合物が、経口的および/または非経口的に投与可能である請求項51または53に記載の使用。
【請求項65】
前記組成物が、経口的および/または非経口的に投与可能である請求項52または54に記載の使用。
【請求項66】
前記化合物が、静脈内および/または腹腔内に投与可能である請求項51または53に記載の使用。
【請求項67】
前記組成物が、静脈内および/または腹腔内に投与可能である請求項52または54に記載の使用。
【請求項68】
請求項1に記載の化合物を調製するための方法であって、
a)式IIの化合物:
【化9】

と、下記化合物:
【化10】

とを反応させて、式IIIの中間体:
【化11】

を形成する工程と
b)式IIIの中間体をR12NHNHと反応させて式IVの中間体:
【化12】

を形成する工程と
c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化13】

と反応させて、式Iの化合物を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項69】
nが0である請求項68に記載の方法。
【請求項70】
請求項1に記載の化合物を調製するための方法であって、
a)式Vのハロ化合物:
【化14】

(式V中、R、R’またはR’は、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族である)
をジチオエステル化して式VIの中間体を形成する工程と:
【化15】

b)式VIの中間体をR12NHNHと反応させて式IVの中間体を形成する工程と:
【化16】

c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化17】

と反応させて、式Iの化合物を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項71】
nが1である請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1に記載の化合物を調製するための方法であって、
a)化合物:
【化18】

(式中、Rは、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の不均一基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の芳香族、または置換もしくは非置換の複素芳香族である)
をエステル化して式VIIの中間体を形成する工程と:
【化19】

b)式VIIの中間体をR12NHNHと反応させて式VIIIの中間体を形成する工程と:
【化20】

c)式VIIIの中間体を硫化剤と反応させて式IVの中間体を形成する工程と:
【化21】

c)式IVの中間体を縮合条件下、ケトン:
【化22】

と反応させて、式Iの化合物を形成する工程と
を含む方法。
【請求項73】
nが1である請求項72に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515693(P2010−515693A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545043(P2009−545043)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000045
【国際公開番号】WO2008/083491
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509196969)クリティカル・アウトカム・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】