発信者番号通知方法及びその方法を用いた装置
【課題】 着信側からの要求で発信者番号を通知する際の正確性を向上する。
【解決手段】 ボタン電話装置、PABXなど、一つまたは二つ以上の外線3と複数の内線4とを収容し外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置1に、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶する回線情報テーブル15を備える。電話主装置1は、発信回線を着信側回線に接続した際に所定の回線情報を発信端末のボタン電話機2に送る。ボタン電話機2は、その受けた回線情報から電話番号を発信者番号として取り出して通話中に情報表示部26の表示画面で表示する。回線情報の電話番号にはダイヤルイン番号、内線番号なども含まれる。従って、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に発信者番号を容易に、即座にかつ正確に回答できる。
【解決手段】 ボタン電話装置、PABXなど、一つまたは二つ以上の外線3と複数の内線4とを収容し外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置1に、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶する回線情報テーブル15を備える。電話主装置1は、発信回線を着信側回線に接続した際に所定の回線情報を発信端末のボタン電話機2に送る。ボタン電話機2は、その受けた回線情報から電話番号を発信者番号として取り出して通話中に情報表示部26の表示画面で表示する。回線情報の電話番号にはダイヤルイン番号、内線番号なども含まれる。従って、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に発信者番号を容易に、即座にかつ正確に回答できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電話、PABX(構内自動交換機)のような、複数の内線電話機を収容し、かつ公衆網に対して複数の外線と接続して内線外線それぞれの間を発信者の要求に基づいて相互接続する電話主装置と、この電話主装置に内線として接続する電話端末とで構成される電話装置に関し、特に、内線から発信した際に発信者番号を相手先の着信側へ通知する方法及びその方法を用いた電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の発信者番号通知システムとして、例えば、電話データ通信業者が発信者番号を着信者側に通知する発信者番号通知サービスがある。この場合、発信者番号は契約者回線番号またはダイヤルイン番号となる。例えば、PABX回線でダイヤルイン番号を発信者番号に指定しない場合、発信者番号として代表番号である契約者番号が発信者番号として着信者に通知される。代表番号で通知を受けた場合、この通知だけでは、着信者は誰から電話を受けたかその発信者を知ることができず、折り返して電話することができない。従って、発信者は着信者に発信者番号としてダイヤルイン番号を通知する必要がある。また、発信者番号通知サービスを契約した着信電話機であっても、発信側で発信者番号の非通知または常時通知拒否を設定の場合、着信者からの要求に応じるため、発信者は発信者番号の通知が必要である。
【0003】
例えば、自局番号通知機能付き移動通信システムとして、特開2000−115846号公報(特許文献1)が開示されている。これは、発信者番号が拒否設定しない限り着信者に自動的に通知される移動通信システムに限定されている。しかし、本特許文献1の技術では、発信者側の発信者番号通知用端末が通話状態で発信者から発信者番号通知のために予め定められたキー操作を受けた際に、通話チャネルを一時的に切り替え、所定の手順で予め設定されている発信者番号データを着信者に送信したのち再度通話状態に戻すことにより、発信者番号が自動的に通知されている。この結果、着信側の発信者番号受信用端末で、データで受けた発信者番号を画面の文字表示またはスピーカの音声出力で受け取ることができる。しかしながら、特許文献1の構成では、全ての端末が発信者番号の通知用と受信用との機能を設備しなければならず、携帯電話など移動通信システムでは可能であるが、一般家庭の固定電話機またはボタン電話装置を含む全ての通信システムに適用できるものではない。
【0004】
一方、PABXとして、特開2000−184414号公報(特許文献2)が開示されている。このPABXでは、内線からISDN公衆網へ発呼する際に、発信者番号の変更が可能である。
【0005】
この特許文献2で開示される関連技術について、図10から図12までを併せ参照してボタン電話装置により説明する。
【0006】
図10に示されたボタン電話装置は、電話網に複数の外線3を接続する電話主装置110と、電話主装置110に複数の内線4それぞれを介して接続するボタン電話機120とで構成される。電話主装置110は、図11に示される外線情報テーブル115と、図12に示される発信者番号記憶テーブル116とを有する。
【0007】
外線情報テーブル115には、外線I/F(インタフェース)11の外線ポートそれぞれに接続される外線の回線種別、ダイヤルインのための回線電話番号、及びこの回線に着呼の際の接続先内線ポート番号が契約により予め設定されており、その外線の使用状態が記録されている。
【0008】
すなわち、着信の際、例えば電話番号「03−2345−6002」のダイヤルイン番号の場合では、外線情報テーブル115の設定に従って公衆網から外線番号「2」の外線3に着信して、内線番号「02」の内線4が接続され、ボタン電話機120が呼び出される。
【0009】
一方、発信の際には、発呼者により宛先番号のダイヤル操作と共に通知用発信者を選択するためのキー操作があり、電話主装置110では、発信者番号記憶テーブル116により、例えば、キー操作で指定されたグループ番号「3」から通知用発信者番号「03−2345−6003」が選択される。一方、ISDN回線では宛先のダイヤル番号以外に加入者番号の送信が可能なので、公衆網における上記発信者番号通知サービスによる発信者番号の通知に加えて、発呼者により指定された発信者番号「03−2345−6003」も送信され、着信側の電話機で自動的に画面表示することができる。
【0010】
しかしながらこのような構成では、外線としてISDN回線を確保する必要がある。従って、例えば従来のPB(プッシュボタン式)またはDP(ダイヤルパルス式)によるアナログ回線を外線として使用する一般家庭の電話装置の場合、発信側端末から着信側に特許文献2の技術により発信者番号を送ることはできない。
【0011】
また、ボタン電話装置、PABXなどでは、電話端末が多機能電話機であり、情報を文字で画面表示できる。しかし、この画面には、ダイヤリングによる着信先の確認、通話時間とそれに基づく通話料金の確認のため、少なくとも通話時間及び接続先電話番号が表示されるが、自己の電話端末の電話番号を画面表示する特許文献は見当たらない。
【0012】
すなわち、上述した構成では、表示画面を有する発信端末でも、発信者番号を画面表示できないので、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に正確に回答できるとは限らない。いわんや、即座に返事することは困難である。
【0013】
【特許文献1】特開2000−115846号公報
【特許文献2】特開2000−184414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする課題は、例えばボタン電話装置で、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に、記憶に頼って返答する必要があり、内線の発信端末から着信側に常に正確な発信者番号を通知することができないことである。従って、着信側が一般固定電話加入者で発信者番号通知サービスを契約していない場合、または発信者番号通知サービスを利用していても発信側が非通知または常時通知拒否を設定している場合には着信側で正確な発信者番号を何時でも知ることができるとは限らないことである。
【0015】
すなわち、発信者は着信側からの要求で発信者番号を通知することが必要な場合がある。この場合、発信者は通話路を用いて音声で発信者番号を通知するが、正確性を期するためには、確認のための番号記入された示名条を備えるなどの対策が必要となっていた。例えば、発信者は、PABXの代表番号を記憶できても複数の電話番号による特定電話機着信に対する個々の電話番号を正確に記憶しているとは限らない。更に、PABXなどで表示画面を有する電話端末から発信する場合で、接続先電話番号及び選択された回線種別が表示できる場合でも、自分の電話番号を発信者番号として表示する機能を有する電話端末の文献は見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、着信側からの要求で発信者番号を通知する際に番号の正確性を期するため、ボタン電話装置、PABXなどの、一つまたは二つ以上の外線と複数の内線電話機とを収容し外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置に、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に回答できるように、電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を発信端末に送り、発信端末の表示画面で、その受けた回線情報から少なくとも所定の発信者番号を取り出して少なくとも通話中に表示することを主要な特徴とする。
【0017】
この構成により、電話主装置に記憶され、着信側回線に対応して設定された所定の電話番号が通話中に発信端末の表示画面に表示されるので、発信者が通話中に着信者から発信者番号の問合せを受けた際には画面表示を見て、正確な発信者番号を容易に回答することができる。
【0018】
すなわち、着信側回線が外線の場合、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報には、選択捕捉した外線に契約された電話番号、または発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号を発信者番号として含ませることができる。また、着信側回線が内線で内線接続の場合、発信端末に送る所定の回線情報には、発信端末の内線番号を発信者番号として含ませることもできる。更に、表示画面では、発信者番号と共に、発信者番号の通知/非通知、ISDN/アナログを含む回線種別の両者または何れかを表示することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発信者番号通知方法及びその方法を用いた電話装置では、電話主装置が着信側回線を接続した場合、着信側回線として外線を接続した際にはその外線の電話番号を、また着信側回線として内線を接続した際には発信内線の電話番号を、それぞれの発信者番号として発信端末に送るため、この発信端末が通話中にその受けた発信者番号を画面に正確に表示できるので、発信者は、着信側から発信者番号の問合せを受けた際に、正確な発信者番号を直ちに回答できるという利点がある。従って、本発明によれば、接続先の通信システム及びその設備に何ら変更を加えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
一つまたは二つ以上の外線と複数の内線電話機とを収容し、外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置から、発信端末対応の電話番号を発信者番号として通知するボタン電話装置、PABXなどの電話装置または電話交換装置に関する。これら電話装置おいて、発信者が着信側から発信者番号の問合せを受けた際に正確な発信者番号を直ちに回答できるという目的を、上記電話主装置に電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に回答できるように、前記電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を発信端末に送り、当該発信端末の表示画面で、その受けた回線情報から少なくとも所定の発信者番号を取り出して少なくとも通話中に表示することにより、実現した。
【0021】
ここで、上記着信側回線が外線でその外線を捕捉接続した場合には、発信端末に送る所定の回線情報には、捕捉された外線に契約された電話番号、または発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号が発信者番号として記憶される。また、上記着信側回線が内線でその内線を接続した場合には、発信端末に送る所定の回線情報にはこの発信端末の内線番号が発信者番号として記憶される。
【0022】
以降に、本発明の装置をボタン電話装置として図面を参照し実施例をもって説明する。図面では、本発明に関する部分が主として示され、必須機能でも直接関係のない部分は図示及びその説明を省略する。また、電話主装置とボタン電話機との間の情報路と信号路との切替え、音声とデータとの転送における切替えは装置仕様に依存するので具体的な記載は省略する。
【実施例1】
【0023】
本発明の基本構成を実施例1とし、図1に示して説明する。
【0024】
図1は本発明による基本構成の実施の一形態をブロックで示す説明図である。
【0025】
図1では、ボタン電話装置が電話主装置1と複数のボタン電話機2とで構成される。電話主装置1は、一方を公衆電話網と一つまたは二つ以上の外線3、他方を複数のボタン電話機2それぞれに接続する内線4、それぞれを介して接続している。
【0026】
電話主装置1は、外線I/F(インタフェース)11、SW(スイッチ)12、内線I/F13、制御部14、及び回線情報テーブル15を有する。ボタン電話機2は、回線I/F21、電話回路部22、音声入出力部23、入力操作部24、情報記憶部25、情報表示部26、及び制御部27を有する。外線3は、ISDN、アナログなどの回線種別を有し、例えば基本インターフェースのISDNの場合、2つの情報チャネルと1つの共通信号チャネルを有する。内線4は、ボタン電話装置内部の固有システムを形成可能であり、本実施例では通信回線と信号回線とを個別に有するものとする。
【0027】
外線I/F11は、外線3を介して電話網と接続する機能を有する。SW12は、外線I/F11と内線I/F13と制御部14とを接続し、制御部14の制御を受けて、外線3、内線4それぞれの相互間で通話路を接続する一方、接続中の通話路を切断する。内線I/F13は、ボタン電話機2を接続する内線4を収容し、制御部14の制御を受けてボタン電話機2と接続する機能を有する。制御部14は電話主装置1内のほぼ全ての構成要素と接続しプログラム制御により所定の機能を実行する。その詳細は後に説明する。回線情報テーブル15は、外線3または内線4それぞれの回線種別、回線サービス、及び回線電話番号などを予め記憶し、制御部14の制御を受けて、回線状態等の回線情報を記憶すると共に、機能動作のためにその記憶情報を提供する。
【0028】
回線I/F21は、内線4を介して電話主装置1の内線I/F13と接続し、通話路を形成すると共に所定の手順に基づいて信号の授受を行う。電話回路部22は、内線I/F13に接続する通話回路を含む基本的な電話回路を有し、制御部27の制御を受けて電話機能を実現する。音声入出力部23は、例えば送受話器またはマイクとスピーカとであり、電話回路部22と接続する。入力操作部24はダイヤル・ボタンなどであり、ユーザの操作により所定のデータが制御部27に入力される。情報記憶部25は、プログラム及びボタン電話機2の動作に必要な基礎データを予め記憶する一方、回線I/F21または入力操作部24から入力する所定の情報、制御のために生成したデータなどを制御部27の制御により記憶、更新、抹消する。情報表示部26は、例えばLCD(液晶表示器)及びLED(発光ダイオード)などによる情報表示部であり、本発明では日付、時刻、通話時間、宛先電話番号などを表示する表示画面がそれを代表するものとする。制御部27は、ボタン電話機2内のほぼ全ての構成要素と接続しプログラム制御により所定の機能を実行するものであり、その詳細は後に説明する。
【0029】
次に、図2を図1と併せ参照して、本発明による発信者番号通知の基本構成における正常動作手順を説明する。接続手順の途中における中継線の輻輳、接続先話中、障害などの異常検出に対する動作は、本発明の範囲外なので説明は省略する。なお、外線はISDN回線を基準に説明する。
【0030】
まず、ボタン電話機2では、制御部27が、電話回路部22のオフフックを検出した際に、回線I/F21から内線4を介して電話主装置1へ発信信号を送出(手順S1)する。
【0031】
電話主装置1では、制御部14が、内線I/F13を介して発信信号を受付けし、回線情報テーブル15で発信内線4の回線状態を閉塞中に設定(手順S2)すると共に発信内線4の通話路へ発信音を送出(手順S3)する。
【0032】
ボタン電話機2では、音声入出力部23が発信内線4から回線I/F21及び電話回路部22を介して受けた発信音を受話器から音声出力(手順S4)する。
【0033】
ユーザ発信者は、受話器の発信音を聴取し確認した後、ボタン電話機2の入力操作部24で外線ボタン、数字ボタン、短縮ダイヤルボタンなど、または、これらの組合せにより接続相手の宛先電話番号を入力操作する。従って、制御部24は、入力操作部24から外線指定、内線指定などを含む宛先電話番号の入力を受付けし、受付けした番号情報を情報表示部26に画面表示すると共に回線I/F21から発信内線4を介して電話主装置1へデータ転送(手順S5)する。
【0034】
電話主装置1では、制御部14が、内線I/F13を介して宛先電話番号を含む回線情報を受付けし、回線情報テーブル15で着信側回線を捕捉(手順S6)する。着信側回線は、外線接続では外線3であり空き外線の一つが選択捕捉される。内線接続では着信先ボタン電話機を接続する内線が空きの状態の場合に捕捉される。捕捉された着信側回線は、回線情報テーブル15で「空き」から「閉塞中」に回線状態の変更を受ける。
【0035】
更に、本発明では、制御部14が、捕捉された着信側回線種別、及び、例えばダイヤルイン番号通知というような予め設定された発信者番号通知方式に基づいて、回線情報テーブル15から通知すべき発信者番号を通知/非通知情報と共に検索取得して、発信内線4へ送出(手順S7)する。通知される発信者番号としては、例えば、外線それぞれに契約された電話番号、ダイヤルイン契約された番号、更に内線接続では発信内線番号が挙げられる。この発信者番号検索の詳細は個別の実施例として後述する。発信者番号は、ボタン電話機2の制御部27により受付けされ、情報記憶部25に記憶(手順S8)される。
【0036】
一方、上記手順S6で着信側回線を捕捉した制御部14は、受付けした宛先電話番号に基づき、着信側回線に所定の呼設定手順(手順S9)を行う。呼設定手順は、例えば外線でISDNでの接続であれば交換網に所定の呼設定メッセージが送出され、内線接続であれば着信側内線から着信電話端末を呼出しする。この結果、発信端末のボタン電話機2は通話路に呼出し音を受ける。
【0037】
次いで、電話主装置1の制御部14が、着信側の応答または応答メッセージを受けるので、応答信号として内線4を介してボタン電話機2の制御部27に送出(手順S10)する。制御部27は、応答信号の受付けにより、情報表示部26に、期日、時刻などの所定情報を残し、残りの情報に代わり、情報記憶部25に記憶した発信者番号とその通知/非通知情報とを通話時間と共に画面表示(手順S11)する。
【0038】
通話終了で、ユーザ発信者がオンフックとするので、制御部27は、オンフックの受付けにより、電話主装置1の制御部14へ切断信号を送出すると共に通話時間の計測を停止(手順S12)する。
【0039】
制御部14は、発信内線4から切断信号を受付けし、着信側へ例えば切断メッセージを送る切断処理(手順S13)を行う。着信側から通話路解放のメッセージを受付けするので、着信側回線の通話路を解放(手順S14)して解放信号を発信内線4へ送出すると共に回線情報テーブル15の発信回線4の状態を空きに設定し、ISDN外線であれば着信側網へ解放完了メッセージを送出(手順S15)する。
【0040】
ボタン電話機2では制御部27が解放信号を受付けした際に情報表示部26の画面表示情報を消去(手順S16)して手順を終了する。
【0041】
次に、図3に図1及び図2を併せ参照してボタン電話機2の動作手順の一実施例を説明する。
【0042】
制御部27は、電話回路部22または入力操作部24からオフフックを検出した際、電話主装置1へ内線4を介して発信信号を送出(手順S21)する。この結果、電話主装置1から発信音を受付けするので、音声入出力部23が受話器またはスピーカから音声を出力(手順S22のYES)する。
【0043】
発信音の聴取によりユーザ発信者は入力操作部24から宛先電話番号を入力するので、制御部27が、これを受付け(手順S23のYES)して、情報記憶部25に記憶し、情報表示部26に画面表示すると共に電話主装置へ転送(手順S24)する。この結果、制御部27は、電話主装置1から捕捉した回線の情報及び予め設定された発信者番号とその通知/非通知情報とを受付けするので、これら情報を情報記憶部25に記憶(手順S25のYES)する。一方、電話主装置1から着信端末まで通話路が接続された際にはボタン電話機2に呼出し音が送られ、この呼出し音は音声入出力部23の受話器またはスピーカから音声出力(手順S26のYES)される。
【0044】
次いで、着信者の応答により、制御部27は、電話主装置1から応答信号を受付け(手順S27のYES)するので、通話時間の計測を開始すると共に通話時間と、情報記憶部25に手順S25で格納された発信者番号などの所定情報を情報表示部26に画面表示(手順S28)する。ここから、ユーザ発信者は、着信者と電話主装置1を介して通話路が形成されるので、通話を含む情報交換(手順S29)ができる。画面に表示される情報の範囲は、端末により画面の大きさが相違するので、端末ごとに異なるが、少なくとも予め定められた発信者番号は表示される。
【0045】
終話によりユーザ発信者がオンフック操作し、制御部27がこれを検出(手順S30のYES)した際には、制御部27は、通話路を解放して切断信号を電話主装置1へ送出すると共に通話時間の計測を停止(手順S31)する。次いで、着信側が解放したことを通知する解放信号を電話主装置1から受付け(手順S32のYES)するので、制御部27は、情報表示部26に画面表示された情報を消去し、ボタン電話機2を初期状態に復旧(手順S33)して手順は終了する。
【0046】
このような構成を採用したので、図2での手順S11から手順S12まで、または、図3での手順S27から手順S31までの通話期間中には所定の発信者番号及びその通知/非通知情報が、発信内線に接続されるボタン電話機に画面表示される。従って、ユーザ発信者は、着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、正確な発信者番号を即座にかつ容易に返答することができる。
【実施例2】
【0047】
本発明の実施例2について図4及び図5に図1から図3までを併せ参照して説明する。
【0048】
この実施例は、電話網に接続される外線それぞれに電話業者と加入者契約した電話番号が付与され、ボタン電話装置の内線から電話網に発信した際、発信した外線に付与された電話番号を発信者番号として発信端末に画面表示している。
【0049】
図4は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態を外線情報テーブルとして回線情報テーブル15Aにより示す説明図である。図1における外線I/F11の3つの外線ポートそれぞれに、2チャネルのISDN回線と1チャネルのアナログPB回線とが接続されているものとする。電話主装置1は3回線の外線3に対して4回線以上の内線4それぞれにボタン電話機2が接続される。図示されるように、各外線番号「1〜3」には、回線電話番号「03−2345−6001〜3」それぞれが契約されているものとする。この構成で、内線番号「04」のボタン電話機2から発信されたとする。
【0050】
図2において、手順S6で、電話主装置1がボタン電話機2から、ダイヤルされた宛先電話番号「184−098−765−4321」を受けた場合、電話主装置1は、ダイヤル数字から「非通知」設定を識別し、受付けした宛先電話番号と共に情報を記憶格納する。また、電話主装置1は、ダイヤル数字から「外線接続」を識別し、三つの外線から空きのアナログPB回線(外線番号「3」)を選択した場合、外線番号「3」の回線には加入者番号として回線電話番号「03−2345−6003」が契約されているので、回線情報として回線種別「アナログPB外線」と回線電話番号「03−2345−6003」と「非通知」とが電話主装置1から送出される。ボタン電話装置2では、情報記憶部25にその回線情報が記憶格納される。
【0051】
図5は、通話中にボタン電話装置2の情報表示部26に表示される情報画面26Aの一形態を示す説明図である。情報表示部26には、日付曜日と時刻が表示される。更に、通話中では、着信側から応答を受けた上記図2の手順S8により、図5に示されるように通話時間、ユーザ発信者から受けた宛先電話番号から着信先番号「098−765−4321」並びに、回線情報として発信外線の回線種別「外線アナログPB」と発信者番号「03−2345−6003」及び「非通知」情報が画面表示される。ここでは、接続先対応の非通知設定のため、ダイヤルの際の設定となったが、発信全てに常時通知拒否設定の場合には回線情報テーブルで予め非通知設定がマークされる。また、発信端末の画面で、図5のように「非通知」表示がある場合、ユーザ発信者は、着信者に発信者番号が伝達されていないことを予め知ることができるという利点がある。
【0052】
上記説明では、外線それぞれに加入者電話番号が付与されるとし、ダイヤルされた宛先電話番号により空き外線の一つが選択されるとした。ボタン電話装置には、外線を群分けして外線群ごとに加入者電話番号を付与することもできる。また、ボタン電話機は、例えば外線または外線群それぞれに対応した外線ボタンを備えることもできる。従って、図4で示された外線番号は外線群ごとの番号とすることもでき、更に、発信の際、電話機のボタン指定により外線または外線群対応の発信者番号を指定することもできる。また、外線にはPABXのように専用線が含まれてよい。いずれの形態にしても、表示する発信者番号を予め設定し、電話主装置がそれをボタン電話機へ通知すればよい。
【0053】
このような構成により、ユーザ発信者は、着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、複数の外線のうち、使用中の外線の正確な発信者番号を容易にかつ即座に返答することができる。
【実施例3】
【0054】
本発明の実施例3について図6及び図7を併せ参照して説明する。
【0055】
この実施例は、ボタン電話装置でダイヤルインサービスを有する場合の発信者番号通知方法である。ボタン電話装置は、汎用の周知技術により、電話業者との契約で着信の際にダイヤルイン番号を識別できるものとする。
【0056】
図6は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態をダイヤルイン情報テーブルとして回線情報テーブル15Bに示す説明図である。回線情報テーブル15Bでは、内線番号「2001〜2003」にダイヤルイン番号「03−2345−6001〜3」それぞれが設定されている。すなわち、電話主装置1は、例えば、ダイヤルイン番号による着信先番号「03−2345−6002」を受けた際に、その着信を内線番号「2002」のボタン電話機2に接続する。
【0057】
一方、電話主装置1が、上記図2の手順S6で、例えば内線番号「2002」のボタン電話機2から宛先電話番号として着信先番号「184−098−765−4321」を受付け、着信側の外線3を捕捉する。捕捉する外線は空き回線の一つである。発信者番号通知サービスでは、電話網側で先頭ダイヤル数字「184」から「非通知」設定を識別し、着信側に「非通知設定」を送るが、通常、この捕捉された回線に対応する電話網で設定された電話番号が着信側に送られる。すなわち、外線情報として、例えば上記実施例における回線情報テーブル15Aの外線番号「3」が捕捉された場合には、電話網で発信者番号としてこの外線「3」に付与された回線電話番号「03−2345−6003」が通知される。
【0058】
しかし、電話主装置1では、回線情報テーブル15Bにより発信内線番号「2002」がダイヤルイン番号を有していることを検知できるので、上記手順S7の回線情報検索の際にこのダイヤルイン番号「03−2345−6002」を取得して発信内線番号「2002」のボタン電話機2へ送出する。従って、発信内線番号「2002」のボタン電話機2では、使用回線種別「外線アナログPB」と着信先番号「098−765−4321」と発信者番号「03−2345−6002」と「非通知」設定とを取得情報として情報記憶部25に記憶することになる。
【0059】
図7は、この実施例における通話中にボタン電話装置2の情報表示部26に表示される情報画面26Bの一形態を示す説明図である。情報表示部26には、日付曜日と時刻が表示されており、更に、通話中では、図示されるような上述した情報が画面表示される。このように、上記実施例同様、ユーザ発信者は、「非通知」により着信者に発信者番号が伝達されていないことを予め知ることができる。
【0060】
このような構成により、自己内線に直接着信するダイヤルイン電話番号を画面表示できるので、ユーザ発信者は、通話中に着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、確実に折返し呼出し可能な発信者番号を容易に、即座にかつ正確に返答することができる。
【実施例4】
【0061】
本発明の実施例4について図8及び図9を併せ参照して説明する。
【0062】
この実施例は、ボタン電話装置で、内線のボタン電話機同士が接続した場合の発信者番号通知方法である。
【0063】
図8は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態を内線情報テーブルとして回線情報テーブル15Cに示す説明図である。回線情報テーブル15Cでは、回線番号「01〜04」に対応して内線電話番号「2001〜2004」それぞれにおける情報が予め設定され、回線状態、接続先回線などが記録されている。すなわち、上記図2の手順S6で、電話主装置1は、例えば、回線番号「02」のボタン電話機2からダイヤルボタンにより着信先番号「2004」を受けた際に、その着信を内線電話番号「2004」のボタン電話機2を収容する回線「04」に接続する。
【0064】
この場合、上記手順S7の回線情報検索の際に電話主装置1は、回線番号「02」からの発信に基づき回線情報テーブル15Cから回線電話番号「2002」を検索し、着信先番号「2004」と共に、発信内線のボタン電話機2へ送出する。従って、発信内線のボタン電話機2では、使用回線種別「内線」と着信先番号「2004」と発信者番号「2002」とを取得情報として情報記憶部25に記憶することになる。その表示は図9の情報画面26Cに例示される。
【0065】
上記説明では内線を単独構成としたが、内線も群分けして内線群番号を内線番号に付加して画面表示することもできる。
【0066】
このような構成により、内線相互間でも、内線による回線情報を画面表示できるので、ユーザ発信者は、通話中に着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、発信者番号を内線電話番号により、また必要あれば内線群番号も、容易に、即座にかつ正確に返答することができる。
【0067】
[その他の実施例]
上記実施例では、ボタン電話装置について説明したが、PABXも同様な構成により本機能を発揮することができる。すなわち、内線の電話端末であるボタン電話機が多機能電話機であり、表示画面を有するので、発信者番号表示が可能である。すなわち、PABXは、上述した電話主装置と同様の機能を所持可能なので、接続される多機能電話機では、システム独自に設定された発信者情報を、通話中に画面表示し、ユーザ発信者の利用に提供可能である。
【0068】
また、上記実施例2〜4は併用することができる。すなわち、外線接続と内線接続とに限らず、例えば、一部でダイヤルイン導入があっても、発信側の電話端末で多機能電話機に備えられるボタンなどの指定により機能を選択可能なためである。
【0069】
特に、複雑な構成を有する場合、または大規模システムの場合、システム又は装置それぞれで発信者番号を固有に設定することができ、単純な電話番号のみとは限らず、群番号も含まれるならば、発信端末における発信者番号の画面表示の必要性は大きい。
【0070】
また、上記説明では、発信者番号としたが、この代わりに、回線情報に含まれる発信回線番号が検索され、端末に画面表示されてもよい。
【0071】
また、多機能電話機といっても、表示画面の大きさには制限があるので、上記図面を参照して説明した画面情報に限定されず、縮小が必要かもしれない。一方では、大画面を接続して、上述した情報に限定されない多種情報を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
接続される外線内線に対応する装置固有に設定された回線情報を予め記憶する回線情報テーブルを電話主装置に備え、内線に接続する電話端末から発信の際、電話主装置がこの電話端末に対応する発信者番号を、上記回線情報テーブルから検索取得して発信電話端末に送り、少なくとも通話中、画面表示させている。従って、本発明は、発信者番号通知機能で、低コストを求めるオンラインで対話する通信システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による発信者番号通知方法を用いたボタン電話装置の実施の一形態を基本のブロック構成で示した説明図である。(実施例1)
【図2】図1における電話主装置とボタン電話機とにおける主要動作手順の実施の一形態をシーケンスチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図3】図1及び図2におけるボタン電話機における主要動作手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図4】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態で示した説明図である。(実施例2)
【図5】図4における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例2)
【図6】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態で示した説明図である。(実施例3)
【図7】図6における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例3)
【図8】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態を示した説明図である。(実施例4)
【図9】図8における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例4)
【図10】従来の発信者番号通知方法を用いたボタン電話装置の一例をブロック構成で示した説明図である。
【図11】図10における外線情報テーブル構成での一例を示した説明図である。
【図12】図10における発信者番号記憶テーブル構成での一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1 電話主装置
2 ボタン電話機
3 外線
4 内線
11 外線I/F(インタフェース)
12 SW(スイッチ)
13 内線I/F
14、27 制御部
15、15A、15B、15C 回線情報テーブル
21 回線I/F
22 電話回路部
23 音声入出力部
24 入力操作部
25 情報記憶部
26 情報表示部
26A、26B、26C 情報画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電話、PABX(構内自動交換機)のような、複数の内線電話機を収容し、かつ公衆網に対して複数の外線と接続して内線外線それぞれの間を発信者の要求に基づいて相互接続する電話主装置と、この電話主装置に内線として接続する電話端末とで構成される電話装置に関し、特に、内線から発信した際に発信者番号を相手先の着信側へ通知する方法及びその方法を用いた電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の発信者番号通知システムとして、例えば、電話データ通信業者が発信者番号を着信者側に通知する発信者番号通知サービスがある。この場合、発信者番号は契約者回線番号またはダイヤルイン番号となる。例えば、PABX回線でダイヤルイン番号を発信者番号に指定しない場合、発信者番号として代表番号である契約者番号が発信者番号として着信者に通知される。代表番号で通知を受けた場合、この通知だけでは、着信者は誰から電話を受けたかその発信者を知ることができず、折り返して電話することができない。従って、発信者は着信者に発信者番号としてダイヤルイン番号を通知する必要がある。また、発信者番号通知サービスを契約した着信電話機であっても、発信側で発信者番号の非通知または常時通知拒否を設定の場合、着信者からの要求に応じるため、発信者は発信者番号の通知が必要である。
【0003】
例えば、自局番号通知機能付き移動通信システムとして、特開2000−115846号公報(特許文献1)が開示されている。これは、発信者番号が拒否設定しない限り着信者に自動的に通知される移動通信システムに限定されている。しかし、本特許文献1の技術では、発信者側の発信者番号通知用端末が通話状態で発信者から発信者番号通知のために予め定められたキー操作を受けた際に、通話チャネルを一時的に切り替え、所定の手順で予め設定されている発信者番号データを着信者に送信したのち再度通話状態に戻すことにより、発信者番号が自動的に通知されている。この結果、着信側の発信者番号受信用端末で、データで受けた発信者番号を画面の文字表示またはスピーカの音声出力で受け取ることができる。しかしながら、特許文献1の構成では、全ての端末が発信者番号の通知用と受信用との機能を設備しなければならず、携帯電話など移動通信システムでは可能であるが、一般家庭の固定電話機またはボタン電話装置を含む全ての通信システムに適用できるものではない。
【0004】
一方、PABXとして、特開2000−184414号公報(特許文献2)が開示されている。このPABXでは、内線からISDN公衆網へ発呼する際に、発信者番号の変更が可能である。
【0005】
この特許文献2で開示される関連技術について、図10から図12までを併せ参照してボタン電話装置により説明する。
【0006】
図10に示されたボタン電話装置は、電話網に複数の外線3を接続する電話主装置110と、電話主装置110に複数の内線4それぞれを介して接続するボタン電話機120とで構成される。電話主装置110は、図11に示される外線情報テーブル115と、図12に示される発信者番号記憶テーブル116とを有する。
【0007】
外線情報テーブル115には、外線I/F(インタフェース)11の外線ポートそれぞれに接続される外線の回線種別、ダイヤルインのための回線電話番号、及びこの回線に着呼の際の接続先内線ポート番号が契約により予め設定されており、その外線の使用状態が記録されている。
【0008】
すなわち、着信の際、例えば電話番号「03−2345−6002」のダイヤルイン番号の場合では、外線情報テーブル115の設定に従って公衆網から外線番号「2」の外線3に着信して、内線番号「02」の内線4が接続され、ボタン電話機120が呼び出される。
【0009】
一方、発信の際には、発呼者により宛先番号のダイヤル操作と共に通知用発信者を選択するためのキー操作があり、電話主装置110では、発信者番号記憶テーブル116により、例えば、キー操作で指定されたグループ番号「3」から通知用発信者番号「03−2345−6003」が選択される。一方、ISDN回線では宛先のダイヤル番号以外に加入者番号の送信が可能なので、公衆網における上記発信者番号通知サービスによる発信者番号の通知に加えて、発呼者により指定された発信者番号「03−2345−6003」も送信され、着信側の電話機で自動的に画面表示することができる。
【0010】
しかしながらこのような構成では、外線としてISDN回線を確保する必要がある。従って、例えば従来のPB(プッシュボタン式)またはDP(ダイヤルパルス式)によるアナログ回線を外線として使用する一般家庭の電話装置の場合、発信側端末から着信側に特許文献2の技術により発信者番号を送ることはできない。
【0011】
また、ボタン電話装置、PABXなどでは、電話端末が多機能電話機であり、情報を文字で画面表示できる。しかし、この画面には、ダイヤリングによる着信先の確認、通話時間とそれに基づく通話料金の確認のため、少なくとも通話時間及び接続先電話番号が表示されるが、自己の電話端末の電話番号を画面表示する特許文献は見当たらない。
【0012】
すなわち、上述した構成では、表示画面を有する発信端末でも、発信者番号を画面表示できないので、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に正確に回答できるとは限らない。いわんや、即座に返事することは困難である。
【0013】
【特許文献1】特開2000−115846号公報
【特許文献2】特開2000−184414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする課題は、例えばボタン電話装置で、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に、記憶に頼って返答する必要があり、内線の発信端末から着信側に常に正確な発信者番号を通知することができないことである。従って、着信側が一般固定電話加入者で発信者番号通知サービスを契約していない場合、または発信者番号通知サービスを利用していても発信側が非通知または常時通知拒否を設定している場合には着信側で正確な発信者番号を何時でも知ることができるとは限らないことである。
【0015】
すなわち、発信者は着信側からの要求で発信者番号を通知することが必要な場合がある。この場合、発信者は通話路を用いて音声で発信者番号を通知するが、正確性を期するためには、確認のための番号記入された示名条を備えるなどの対策が必要となっていた。例えば、発信者は、PABXの代表番号を記憶できても複数の電話番号による特定電話機着信に対する個々の電話番号を正確に記憶しているとは限らない。更に、PABXなどで表示画面を有する電話端末から発信する場合で、接続先電話番号及び選択された回線種別が表示できる場合でも、自分の電話番号を発信者番号として表示する機能を有する電話端末の文献は見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、着信側からの要求で発信者番号を通知する際に番号の正確性を期するため、ボタン電話装置、PABXなどの、一つまたは二つ以上の外線と複数の内線電話機とを収容し外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置に、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に回答できるように、電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を発信端末に送り、発信端末の表示画面で、その受けた回線情報から少なくとも所定の発信者番号を取り出して少なくとも通話中に表示することを主要な特徴とする。
【0017】
この構成により、電話主装置に記憶され、着信側回線に対応して設定された所定の電話番号が通話中に発信端末の表示画面に表示されるので、発信者が通話中に着信者から発信者番号の問合せを受けた際には画面表示を見て、正確な発信者番号を容易に回答することができる。
【0018】
すなわち、着信側回線が外線の場合、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報には、選択捕捉した外線に契約された電話番号、または発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号を発信者番号として含ませることができる。また、着信側回線が内線で内線接続の場合、発信端末に送る所定の回線情報には、発信端末の内線番号を発信者番号として含ませることもできる。更に、表示画面では、発信者番号と共に、発信者番号の通知/非通知、ISDN/アナログを含む回線種別の両者または何れかを表示することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発信者番号通知方法及びその方法を用いた電話装置では、電話主装置が着信側回線を接続した場合、着信側回線として外線を接続した際にはその外線の電話番号を、また着信側回線として内線を接続した際には発信内線の電話番号を、それぞれの発信者番号として発信端末に送るため、この発信端末が通話中にその受けた発信者番号を画面に正確に表示できるので、発信者は、着信側から発信者番号の問合せを受けた際に、正確な発信者番号を直ちに回答できるという利点がある。従って、本発明によれば、接続先の通信システム及びその設備に何ら変更を加えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
一つまたは二つ以上の外線と複数の内線電話機とを収容し、外線内線それぞれに対応する回線相互間の通話路を接続する電話主装置から、発信端末対応の電話番号を発信者番号として通知するボタン電話装置、PABXなどの電話装置または電話交換装置に関する。これら電話装置おいて、発信者が着信側から発信者番号の問合せを受けた際に正確な発信者番号を直ちに回答できるという目的を、上記電話主装置に電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、発信者が着信者から発信者番号の問合せを受けた際に回答できるように、前記電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を発信端末に送り、当該発信端末の表示画面で、その受けた回線情報から少なくとも所定の発信者番号を取り出して少なくとも通話中に表示することにより、実現した。
【0021】
ここで、上記着信側回線が外線でその外線を捕捉接続した場合には、発信端末に送る所定の回線情報には、捕捉された外線に契約された電話番号、または発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号が発信者番号として記憶される。また、上記着信側回線が内線でその内線を接続した場合には、発信端末に送る所定の回線情報にはこの発信端末の内線番号が発信者番号として記憶される。
【0022】
以降に、本発明の装置をボタン電話装置として図面を参照し実施例をもって説明する。図面では、本発明に関する部分が主として示され、必須機能でも直接関係のない部分は図示及びその説明を省略する。また、電話主装置とボタン電話機との間の情報路と信号路との切替え、音声とデータとの転送における切替えは装置仕様に依存するので具体的な記載は省略する。
【実施例1】
【0023】
本発明の基本構成を実施例1とし、図1に示して説明する。
【0024】
図1は本発明による基本構成の実施の一形態をブロックで示す説明図である。
【0025】
図1では、ボタン電話装置が電話主装置1と複数のボタン電話機2とで構成される。電話主装置1は、一方を公衆電話網と一つまたは二つ以上の外線3、他方を複数のボタン電話機2それぞれに接続する内線4、それぞれを介して接続している。
【0026】
電話主装置1は、外線I/F(インタフェース)11、SW(スイッチ)12、内線I/F13、制御部14、及び回線情報テーブル15を有する。ボタン電話機2は、回線I/F21、電話回路部22、音声入出力部23、入力操作部24、情報記憶部25、情報表示部26、及び制御部27を有する。外線3は、ISDN、アナログなどの回線種別を有し、例えば基本インターフェースのISDNの場合、2つの情報チャネルと1つの共通信号チャネルを有する。内線4は、ボタン電話装置内部の固有システムを形成可能であり、本実施例では通信回線と信号回線とを個別に有するものとする。
【0027】
外線I/F11は、外線3を介して電話網と接続する機能を有する。SW12は、外線I/F11と内線I/F13と制御部14とを接続し、制御部14の制御を受けて、外線3、内線4それぞれの相互間で通話路を接続する一方、接続中の通話路を切断する。内線I/F13は、ボタン電話機2を接続する内線4を収容し、制御部14の制御を受けてボタン電話機2と接続する機能を有する。制御部14は電話主装置1内のほぼ全ての構成要素と接続しプログラム制御により所定の機能を実行する。その詳細は後に説明する。回線情報テーブル15は、外線3または内線4それぞれの回線種別、回線サービス、及び回線電話番号などを予め記憶し、制御部14の制御を受けて、回線状態等の回線情報を記憶すると共に、機能動作のためにその記憶情報を提供する。
【0028】
回線I/F21は、内線4を介して電話主装置1の内線I/F13と接続し、通話路を形成すると共に所定の手順に基づいて信号の授受を行う。電話回路部22は、内線I/F13に接続する通話回路を含む基本的な電話回路を有し、制御部27の制御を受けて電話機能を実現する。音声入出力部23は、例えば送受話器またはマイクとスピーカとであり、電話回路部22と接続する。入力操作部24はダイヤル・ボタンなどであり、ユーザの操作により所定のデータが制御部27に入力される。情報記憶部25は、プログラム及びボタン電話機2の動作に必要な基礎データを予め記憶する一方、回線I/F21または入力操作部24から入力する所定の情報、制御のために生成したデータなどを制御部27の制御により記憶、更新、抹消する。情報表示部26は、例えばLCD(液晶表示器)及びLED(発光ダイオード)などによる情報表示部であり、本発明では日付、時刻、通話時間、宛先電話番号などを表示する表示画面がそれを代表するものとする。制御部27は、ボタン電話機2内のほぼ全ての構成要素と接続しプログラム制御により所定の機能を実行するものであり、その詳細は後に説明する。
【0029】
次に、図2を図1と併せ参照して、本発明による発信者番号通知の基本構成における正常動作手順を説明する。接続手順の途中における中継線の輻輳、接続先話中、障害などの異常検出に対する動作は、本発明の範囲外なので説明は省略する。なお、外線はISDN回線を基準に説明する。
【0030】
まず、ボタン電話機2では、制御部27が、電話回路部22のオフフックを検出した際に、回線I/F21から内線4を介して電話主装置1へ発信信号を送出(手順S1)する。
【0031】
電話主装置1では、制御部14が、内線I/F13を介して発信信号を受付けし、回線情報テーブル15で発信内線4の回線状態を閉塞中に設定(手順S2)すると共に発信内線4の通話路へ発信音を送出(手順S3)する。
【0032】
ボタン電話機2では、音声入出力部23が発信内線4から回線I/F21及び電話回路部22を介して受けた発信音を受話器から音声出力(手順S4)する。
【0033】
ユーザ発信者は、受話器の発信音を聴取し確認した後、ボタン電話機2の入力操作部24で外線ボタン、数字ボタン、短縮ダイヤルボタンなど、または、これらの組合せにより接続相手の宛先電話番号を入力操作する。従って、制御部24は、入力操作部24から外線指定、内線指定などを含む宛先電話番号の入力を受付けし、受付けした番号情報を情報表示部26に画面表示すると共に回線I/F21から発信内線4を介して電話主装置1へデータ転送(手順S5)する。
【0034】
電話主装置1では、制御部14が、内線I/F13を介して宛先電話番号を含む回線情報を受付けし、回線情報テーブル15で着信側回線を捕捉(手順S6)する。着信側回線は、外線接続では外線3であり空き外線の一つが選択捕捉される。内線接続では着信先ボタン電話機を接続する内線が空きの状態の場合に捕捉される。捕捉された着信側回線は、回線情報テーブル15で「空き」から「閉塞中」に回線状態の変更を受ける。
【0035】
更に、本発明では、制御部14が、捕捉された着信側回線種別、及び、例えばダイヤルイン番号通知というような予め設定された発信者番号通知方式に基づいて、回線情報テーブル15から通知すべき発信者番号を通知/非通知情報と共に検索取得して、発信内線4へ送出(手順S7)する。通知される発信者番号としては、例えば、外線それぞれに契約された電話番号、ダイヤルイン契約された番号、更に内線接続では発信内線番号が挙げられる。この発信者番号検索の詳細は個別の実施例として後述する。発信者番号は、ボタン電話機2の制御部27により受付けされ、情報記憶部25に記憶(手順S8)される。
【0036】
一方、上記手順S6で着信側回線を捕捉した制御部14は、受付けした宛先電話番号に基づき、着信側回線に所定の呼設定手順(手順S9)を行う。呼設定手順は、例えば外線でISDNでの接続であれば交換網に所定の呼設定メッセージが送出され、内線接続であれば着信側内線から着信電話端末を呼出しする。この結果、発信端末のボタン電話機2は通話路に呼出し音を受ける。
【0037】
次いで、電話主装置1の制御部14が、着信側の応答または応答メッセージを受けるので、応答信号として内線4を介してボタン電話機2の制御部27に送出(手順S10)する。制御部27は、応答信号の受付けにより、情報表示部26に、期日、時刻などの所定情報を残し、残りの情報に代わり、情報記憶部25に記憶した発信者番号とその通知/非通知情報とを通話時間と共に画面表示(手順S11)する。
【0038】
通話終了で、ユーザ発信者がオンフックとするので、制御部27は、オンフックの受付けにより、電話主装置1の制御部14へ切断信号を送出すると共に通話時間の計測を停止(手順S12)する。
【0039】
制御部14は、発信内線4から切断信号を受付けし、着信側へ例えば切断メッセージを送る切断処理(手順S13)を行う。着信側から通話路解放のメッセージを受付けするので、着信側回線の通話路を解放(手順S14)して解放信号を発信内線4へ送出すると共に回線情報テーブル15の発信回線4の状態を空きに設定し、ISDN外線であれば着信側網へ解放完了メッセージを送出(手順S15)する。
【0040】
ボタン電話機2では制御部27が解放信号を受付けした際に情報表示部26の画面表示情報を消去(手順S16)して手順を終了する。
【0041】
次に、図3に図1及び図2を併せ参照してボタン電話機2の動作手順の一実施例を説明する。
【0042】
制御部27は、電話回路部22または入力操作部24からオフフックを検出した際、電話主装置1へ内線4を介して発信信号を送出(手順S21)する。この結果、電話主装置1から発信音を受付けするので、音声入出力部23が受話器またはスピーカから音声を出力(手順S22のYES)する。
【0043】
発信音の聴取によりユーザ発信者は入力操作部24から宛先電話番号を入力するので、制御部27が、これを受付け(手順S23のYES)して、情報記憶部25に記憶し、情報表示部26に画面表示すると共に電話主装置へ転送(手順S24)する。この結果、制御部27は、電話主装置1から捕捉した回線の情報及び予め設定された発信者番号とその通知/非通知情報とを受付けするので、これら情報を情報記憶部25に記憶(手順S25のYES)する。一方、電話主装置1から着信端末まで通話路が接続された際にはボタン電話機2に呼出し音が送られ、この呼出し音は音声入出力部23の受話器またはスピーカから音声出力(手順S26のYES)される。
【0044】
次いで、着信者の応答により、制御部27は、電話主装置1から応答信号を受付け(手順S27のYES)するので、通話時間の計測を開始すると共に通話時間と、情報記憶部25に手順S25で格納された発信者番号などの所定情報を情報表示部26に画面表示(手順S28)する。ここから、ユーザ発信者は、着信者と電話主装置1を介して通話路が形成されるので、通話を含む情報交換(手順S29)ができる。画面に表示される情報の範囲は、端末により画面の大きさが相違するので、端末ごとに異なるが、少なくとも予め定められた発信者番号は表示される。
【0045】
終話によりユーザ発信者がオンフック操作し、制御部27がこれを検出(手順S30のYES)した際には、制御部27は、通話路を解放して切断信号を電話主装置1へ送出すると共に通話時間の計測を停止(手順S31)する。次いで、着信側が解放したことを通知する解放信号を電話主装置1から受付け(手順S32のYES)するので、制御部27は、情報表示部26に画面表示された情報を消去し、ボタン電話機2を初期状態に復旧(手順S33)して手順は終了する。
【0046】
このような構成を採用したので、図2での手順S11から手順S12まで、または、図3での手順S27から手順S31までの通話期間中には所定の発信者番号及びその通知/非通知情報が、発信内線に接続されるボタン電話機に画面表示される。従って、ユーザ発信者は、着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、正確な発信者番号を即座にかつ容易に返答することができる。
【実施例2】
【0047】
本発明の実施例2について図4及び図5に図1から図3までを併せ参照して説明する。
【0048】
この実施例は、電話網に接続される外線それぞれに電話業者と加入者契約した電話番号が付与され、ボタン電話装置の内線から電話網に発信した際、発信した外線に付与された電話番号を発信者番号として発信端末に画面表示している。
【0049】
図4は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態を外線情報テーブルとして回線情報テーブル15Aにより示す説明図である。図1における外線I/F11の3つの外線ポートそれぞれに、2チャネルのISDN回線と1チャネルのアナログPB回線とが接続されているものとする。電話主装置1は3回線の外線3に対して4回線以上の内線4それぞれにボタン電話機2が接続される。図示されるように、各外線番号「1〜3」には、回線電話番号「03−2345−6001〜3」それぞれが契約されているものとする。この構成で、内線番号「04」のボタン電話機2から発信されたとする。
【0050】
図2において、手順S6で、電話主装置1がボタン電話機2から、ダイヤルされた宛先電話番号「184−098−765−4321」を受けた場合、電話主装置1は、ダイヤル数字から「非通知」設定を識別し、受付けした宛先電話番号と共に情報を記憶格納する。また、電話主装置1は、ダイヤル数字から「外線接続」を識別し、三つの外線から空きのアナログPB回線(外線番号「3」)を選択した場合、外線番号「3」の回線には加入者番号として回線電話番号「03−2345−6003」が契約されているので、回線情報として回線種別「アナログPB外線」と回線電話番号「03−2345−6003」と「非通知」とが電話主装置1から送出される。ボタン電話装置2では、情報記憶部25にその回線情報が記憶格納される。
【0051】
図5は、通話中にボタン電話装置2の情報表示部26に表示される情報画面26Aの一形態を示す説明図である。情報表示部26には、日付曜日と時刻が表示される。更に、通話中では、着信側から応答を受けた上記図2の手順S8により、図5に示されるように通話時間、ユーザ発信者から受けた宛先電話番号から着信先番号「098−765−4321」並びに、回線情報として発信外線の回線種別「外線アナログPB」と発信者番号「03−2345−6003」及び「非通知」情報が画面表示される。ここでは、接続先対応の非通知設定のため、ダイヤルの際の設定となったが、発信全てに常時通知拒否設定の場合には回線情報テーブルで予め非通知設定がマークされる。また、発信端末の画面で、図5のように「非通知」表示がある場合、ユーザ発信者は、着信者に発信者番号が伝達されていないことを予め知ることができるという利点がある。
【0052】
上記説明では、外線それぞれに加入者電話番号が付与されるとし、ダイヤルされた宛先電話番号により空き外線の一つが選択されるとした。ボタン電話装置には、外線を群分けして外線群ごとに加入者電話番号を付与することもできる。また、ボタン電話機は、例えば外線または外線群それぞれに対応した外線ボタンを備えることもできる。従って、図4で示された外線番号は外線群ごとの番号とすることもでき、更に、発信の際、電話機のボタン指定により外線または外線群対応の発信者番号を指定することもできる。また、外線にはPABXのように専用線が含まれてよい。いずれの形態にしても、表示する発信者番号を予め設定し、電話主装置がそれをボタン電話機へ通知すればよい。
【0053】
このような構成により、ユーザ発信者は、着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、複数の外線のうち、使用中の外線の正確な発信者番号を容易にかつ即座に返答することができる。
【実施例3】
【0054】
本発明の実施例3について図6及び図7を併せ参照して説明する。
【0055】
この実施例は、ボタン電話装置でダイヤルインサービスを有する場合の発信者番号通知方法である。ボタン電話装置は、汎用の周知技術により、電話業者との契約で着信の際にダイヤルイン番号を識別できるものとする。
【0056】
図6は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態をダイヤルイン情報テーブルとして回線情報テーブル15Bに示す説明図である。回線情報テーブル15Bでは、内線番号「2001〜2003」にダイヤルイン番号「03−2345−6001〜3」それぞれが設定されている。すなわち、電話主装置1は、例えば、ダイヤルイン番号による着信先番号「03−2345−6002」を受けた際に、その着信を内線番号「2002」のボタン電話機2に接続する。
【0057】
一方、電話主装置1が、上記図2の手順S6で、例えば内線番号「2002」のボタン電話機2から宛先電話番号として着信先番号「184−098−765−4321」を受付け、着信側の外線3を捕捉する。捕捉する外線は空き回線の一つである。発信者番号通知サービスでは、電話網側で先頭ダイヤル数字「184」から「非通知」設定を識別し、着信側に「非通知設定」を送るが、通常、この捕捉された回線に対応する電話網で設定された電話番号が着信側に送られる。すなわち、外線情報として、例えば上記実施例における回線情報テーブル15Aの外線番号「3」が捕捉された場合には、電話網で発信者番号としてこの外線「3」に付与された回線電話番号「03−2345−6003」が通知される。
【0058】
しかし、電話主装置1では、回線情報テーブル15Bにより発信内線番号「2002」がダイヤルイン番号を有していることを検知できるので、上記手順S7の回線情報検索の際にこのダイヤルイン番号「03−2345−6002」を取得して発信内線番号「2002」のボタン電話機2へ送出する。従って、発信内線番号「2002」のボタン電話機2では、使用回線種別「外線アナログPB」と着信先番号「098−765−4321」と発信者番号「03−2345−6002」と「非通知」設定とを取得情報として情報記憶部25に記憶することになる。
【0059】
図7は、この実施例における通話中にボタン電話装置2の情報表示部26に表示される情報画面26Bの一形態を示す説明図である。情報表示部26には、日付曜日と時刻が表示されており、更に、通話中では、図示されるような上述した情報が画面表示される。このように、上記実施例同様、ユーザ発信者は、「非通知」により着信者に発信者番号が伝達されていないことを予め知ることができる。
【0060】
このような構成により、自己内線に直接着信するダイヤルイン電話番号を画面表示できるので、ユーザ発信者は、通話中に着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、確実に折返し呼出し可能な発信者番号を容易に、即座にかつ正確に返答することができる。
【実施例4】
【0061】
本発明の実施例4について図8及び図9を併せ参照して説明する。
【0062】
この実施例は、ボタン電話装置で、内線のボタン電話機同士が接続した場合の発信者番号通知方法である。
【0063】
図8は、この実施例において、図1における電話主装置1の回線情報テーブル15における内容の一形態を内線情報テーブルとして回線情報テーブル15Cに示す説明図である。回線情報テーブル15Cでは、回線番号「01〜04」に対応して内線電話番号「2001〜2004」それぞれにおける情報が予め設定され、回線状態、接続先回線などが記録されている。すなわち、上記図2の手順S6で、電話主装置1は、例えば、回線番号「02」のボタン電話機2からダイヤルボタンにより着信先番号「2004」を受けた際に、その着信を内線電話番号「2004」のボタン電話機2を収容する回線「04」に接続する。
【0064】
この場合、上記手順S7の回線情報検索の際に電話主装置1は、回線番号「02」からの発信に基づき回線情報テーブル15Cから回線電話番号「2002」を検索し、着信先番号「2004」と共に、発信内線のボタン電話機2へ送出する。従って、発信内線のボタン電話機2では、使用回線種別「内線」と着信先番号「2004」と発信者番号「2002」とを取得情報として情報記憶部25に記憶することになる。その表示は図9の情報画面26Cに例示される。
【0065】
上記説明では内線を単独構成としたが、内線も群分けして内線群番号を内線番号に付加して画面表示することもできる。
【0066】
このような構成により、内線相互間でも、内線による回線情報を画面表示できるので、ユーザ発信者は、通話中に着信側からの問合せがあった際、表示画面を読むことにより、発信者番号を内線電話番号により、また必要あれば内線群番号も、容易に、即座にかつ正確に返答することができる。
【0067】
[その他の実施例]
上記実施例では、ボタン電話装置について説明したが、PABXも同様な構成により本機能を発揮することができる。すなわち、内線の電話端末であるボタン電話機が多機能電話機であり、表示画面を有するので、発信者番号表示が可能である。すなわち、PABXは、上述した電話主装置と同様の機能を所持可能なので、接続される多機能電話機では、システム独自に設定された発信者情報を、通話中に画面表示し、ユーザ発信者の利用に提供可能である。
【0068】
また、上記実施例2〜4は併用することができる。すなわち、外線接続と内線接続とに限らず、例えば、一部でダイヤルイン導入があっても、発信側の電話端末で多機能電話機に備えられるボタンなどの指定により機能を選択可能なためである。
【0069】
特に、複雑な構成を有する場合、または大規模システムの場合、システム又は装置それぞれで発信者番号を固有に設定することができ、単純な電話番号のみとは限らず、群番号も含まれるならば、発信端末における発信者番号の画面表示の必要性は大きい。
【0070】
また、上記説明では、発信者番号としたが、この代わりに、回線情報に含まれる発信回線番号が検索され、端末に画面表示されてもよい。
【0071】
また、多機能電話機といっても、表示画面の大きさには制限があるので、上記図面を参照して説明した画面情報に限定されず、縮小が必要かもしれない。一方では、大画面を接続して、上述した情報に限定されない多種情報を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
接続される外線内線に対応する装置固有に設定された回線情報を予め記憶する回線情報テーブルを電話主装置に備え、内線に接続する電話端末から発信の際、電話主装置がこの電話端末に対応する発信者番号を、上記回線情報テーブルから検索取得して発信電話端末に送り、少なくとも通話中、画面表示させている。従って、本発明は、発信者番号通知機能で、低コストを求めるオンラインで対話する通信システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による発信者番号通知方法を用いたボタン電話装置の実施の一形態を基本のブロック構成で示した説明図である。(実施例1)
【図2】図1における電話主装置とボタン電話機とにおける主要動作手順の実施の一形態をシーケンスチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図3】図1及び図2におけるボタン電話機における主要動作手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図4】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態で示した説明図である。(実施例2)
【図5】図4における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例2)
【図6】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態で示した説明図である。(実施例3)
【図7】図6における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例3)
【図8】図1における回線情報テーブル構成での実施の一形態を示した説明図である。(実施例4)
【図9】図8における回線情報テーブルにより電話端末に表示される画面の実施の一形態を示した説明図である。(実施例4)
【図10】従来の発信者番号通知方法を用いたボタン電話装置の一例をブロック構成で示した説明図である。
【図11】図10における外線情報テーブル構成での一例を示した説明図である。
【図12】図10における発信者番号記憶テーブル構成での一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1 電話主装置
2 ボタン電話機
3 外線
4 内線
11 外線I/F(インタフェース)
12 SW(スイッチ)
13 内線I/F
14、27 制御部
15、15A、15B、15C 回線情報テーブル
21 回線I/F
22 電話回路部
23 音声入出力部
24 入力操作部
25 情報記憶部
26 情報表示部
26A、26B、26C 情報画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線相互間の通話路を接続する電話主装置から発信者番号を通知する方法において、前記電話主装置に電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、前記電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を検索して発信端末に送り、その受けた回線情報から少なくとも発信者番号を取り出して少なくとも通話中に当該発信端末の表示画面に表示することを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線が外線で、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報に、発信者番号として、選択捕捉した外線に契約された電話番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項3】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線は外線で、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報に、発信者番号として、発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の発信者番号通知方法において、前記表示画面では、発信者番号と共に発信者番号の通知/非通知、ISDN/アナログを含む回線種別の両者または何れかを表示することを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項5】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線は内線で、着信側内線を接続した際に発信端末に送る所定の回線情報には、発信者番号として発信端末の内線番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項6】
回線相互間の通話路を接続する電話主装置と当該電話主装置に内線として接続される電話端末とで構成される電話装置において、前記電話主装置は、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶する回線情報テーブルと、内線端末から発信を受け、着信側回線を接続した際にこの接続対応の回線情報から少なくとも前記電話番号を取り出し発信者番号として発信端末に送る制御部とを備え、かつ、前記電話端末は、情報を画面表示する情報表示部と、発信して前記電話主装置から発信者番号を受けた際には、少なくとも通話中に当該発信者番号を前記情報表示部に表示する制御部とを備えることを特徴とする電話装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、公衆網に接続する外線ごとに回線種別と電話業者と契約された電話番号とを含み、前記外線を前記着信側回線に対応させることを特徴とする電話装置。
【請求項8】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、前記内線端末に対応して設定されたダイヤルイン番号を含み、ダイヤルイン番号の設定された内線端末からの発信には、発信の内線端末に設定されたダイヤルイン番号が取り出されることを特徴とする電話装置。
【請求項9】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、内線ごとの電話番号を含み、前記接続対応の回線情報を発信側対応内線から取り出すことを特徴とする電話装置。
【請求項1】
回線相互間の通話路を接続する電話主装置から発信者番号を通知する方法において、前記電話主装置に電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶し、前記電話主装置が着信側回線を接続した際に所定の回線情報を検索して発信端末に送り、その受けた回線情報から少なくとも発信者番号を取り出して少なくとも通話中に当該発信端末の表示画面に表示することを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線が外線で、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報に、発信者番号として、選択捕捉した外線に契約された電話番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項3】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線は外線で、外線を捕捉接続した際に発信端末に送る所定の回線情報に、発信者番号として、発信内線に対応して設定されたダイヤルイン番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の発信者番号通知方法において、前記表示画面では、発信者番号と共に発信者番号の通知/非通知、ISDN/アナログを含む回線種別の両者または何れかを表示することを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項5】
請求項1に記載の発信者番号通知方法において、前記着信側回線は内線で、着信側内線を接続した際に発信端末に送る所定の回線情報には、発信者番号として発信端末の内線番号を含ませることを特徴とする発信者番号通知方法。
【請求項6】
回線相互間の通話路を接続する電話主装置と当該電話主装置に内線として接続される電話端末とで構成される電話装置において、前記電話主装置は、電話番号を含む回線情報を回線対応に予め記憶する回線情報テーブルと、内線端末から発信を受け、着信側回線を接続した際にこの接続対応の回線情報から少なくとも前記電話番号を取り出し発信者番号として発信端末に送る制御部とを備え、かつ、前記電話端末は、情報を画面表示する情報表示部と、発信して前記電話主装置から発信者番号を受けた際には、少なくとも通話中に当該発信者番号を前記情報表示部に表示する制御部とを備えることを特徴とする電話装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、公衆網に接続する外線ごとに回線種別と電話業者と契約された電話番号とを含み、前記外線を前記着信側回線に対応させることを特徴とする電話装置。
【請求項8】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、前記内線端末に対応して設定されたダイヤルイン番号を含み、ダイヤルイン番号の設定された内線端末からの発信には、発信の内線端末に設定されたダイヤルイン番号が取り出されることを特徴とする電話装置。
【請求項9】
請求項6に記載の電話装置において、前記回線情報テーブルは、内線ごとの電話番号を含み、前記接続対応の回線情報を発信側対応内線から取り出すことを特徴とする電話装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−332892(P2006−332892A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151319(P2005−151319)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
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