説明

発光効率を改善した発光ダイオード

【課題】本発明は発光ダイオードに関するものである。
【解決手段】
上記発光ダイオードはサファイア基板; 上記サファイア基板上に成長させたn-半導体層; 上記n-半導体層の殆どの領域上に成長させた活性層; 上記活性層上に成長させたp-半導体層; 上記p-半導体層上に形成したp-電極; 上記n-半導体層の残りの領域上に蒸着させ、Cu及びSiが含まれる高反射率物質層;及び上記高反射率物質層上に形成したn-電極を含む。このようにn-電極とその下部のn-半導体層の一部領域間に高反射率物質層を形成すると、到達する光を基板側へ反射でき、それによって発光ダイオードの発光効率を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードに関するものである。より具体的に、本発明はn-電極とその下部のn-半導体層の一部領域間に高反射率物質層を形成し、到達する光を基板側へ反射することにより発光ダイオードの発光効率を改善した発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、青色または緑色波長帯の光を得るための発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)はInAlGaNのような窒化物系半導体を使用して製造している。
【0003】
現在発光ダイオード中フリップチップタイプの使用が増加する流れにあるが、フリップチップタイプ発光ダイオードの場合活性層から発生した光は直接サファイア基板を通して外部へ放射されるか、p-電極とn-電極に反射され基板を通して外部へ放射される。したがって、このような発光ダイオードの発光効率はp-電極とn-電極の反射率にも大きく影響を受ける。
【0004】
以下、図1を参照しながら従来の発光ダイオードのn-電極での光吸収について説明する。
図1に示すように、フリップチップタイプ発光ダイオード(100)は通常サファイア(Al2O3)から成る基板(102)、そのサファイア基板(102)に順次に成長させたメサ形態のn-GaN層(104)、活性層(106)及びp-GaN層(108)を含む。エピタキシ層であるこれらn-GaN層(104)、活性層(106)及びp-GaN層(108)は有機化学気相蒸着(MOCVD: Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を利用してサファイア基板(102)上に成長させる。
【0005】
また、p-GaN層(108)上にはp-電極(110)を形成し、n-GaN層(104)の活性層(106)を成長させない一部領域にはn-電極(112)を形成させる。
【0006】
ここで、p-電極(110)は活性層(108)から発生する光をサファイア基板(102)側へ反射させられるよう、できるだけp-GaN層(108)全体を覆うよう形成する。p-電極には反射率の高いAg、Al、これらの合金またはこれらを含む高反射率多層合金を使用したり、他の適切な高反射率素材を使用することができる。
【0007】
n-電極(112)は通常Cr/Auから成り、通常これらは各々300Åと4,000Åの厚さを有する。
【0008】
このような構造の発光ダイオード(100)において、活性層(106)から光を放出すると、これらは大きく三つの経路に進行する。先ず、一部の光線(L1)は活性層(106)からn-GaN層(104)とサファイア基板(102)を通過して外部へ放射される。他方の一部光線(L2)はサファイア基板(102)とn-GaN層(104)間界面からp-電極(110)側へ内部全反射してからp-電極(110)により反射し、再びp-GaN層(108)とn-GaN層(104)及びサファイア基板(102)を通過して外部へ放射される。もちろん、他方の一部の光線は活性層(106)から直接p-GaN層(108)を通じてp-電極(110)に到達した後p-電極(110)により反射し、再び外部へ放射されるものである。
【0009】
一方、一部の光線(L3)はサファイア基板(102)とn-GaN層(104)間界面から内部全反射した後n-電極(112)に到達する。しかし、n-電極(112)のCr/Au二重層においてn-GaN(104)に付着されたCrの反射率が先述したAgまたはAlより相対的に低いので到達した光線(L3)を反射するより吸収することになり光損失を発生させ、そうすることにより発光ダイオード(100)の発光効率を低下させる。
【0010】
したがって、例えばn-電極素材に使用されるCr/Auを他の高反射率素材で替わらせn-電極の反射率を改善すれば、このようにn-電極において起こる光吸収を防止して発光ダイオードの発光効率を改善することができるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は先述した従来の技術の問題を解決するために案出されたもので、本発明の目的はn-電極とその下部のn-半導体層の一部領域間に高反射率物質層を形成し、到達する光を基板側へ反射することにより発光ダイオードの発光効率を改善させるものである。
【0012】
本発明の他の目的はn-電極とその下部のn-半導体層の一部領域間に蒸着する高反射率物質層にCu及びSiを添加することにより上記高反射率物質層の安定性を向上させ、そうすることにより発光ダイオードの安定性と信頼性を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
先述した本発明の目的を成し遂げるために本発明は、サファイア基板; 上記サファイア基板上に成長させたn-半導体層; 上記n-半導体層の殆どの領域上に成長させた活性層; 上記活性層上に成長させたp-半導体層; 上記p-半導体層上に形成したp-電極; 上記n-半導体層の残りの領域上に蒸着させ、Cu及びSiが含まれる高反射率物質層;及び上記高反射率物質層上に形成したn-電極を含む発光ダイオードを提供することを特徴とする。
【0014】
本発明において、上記高反射率物質層はAg、Al、Pd、Rh及びこれらの合金を含む群から選択された少なくとも一つから成ることを特徴とする。
【0015】
本発明において、上記高反射率物質層は約0.2ないし0.8wt%のCu及び約 0.5ないし2wt%のSiを含有し、好ましくは約0.5ないし0.7wt%のCu及び約0.9ないし1wt%のSiを含有することを特徴とする。
【0016】
本発明において、上記高反射率物質層はスパッタリングまたは電子ビーム工程により蒸着することを特徴とする。
【0017】
本発明において、上記高反射率物質層が約300Å以上の厚さを有し、好ましくは約1,000ないし2,000Åの厚さを有することを特徴とする。
【0018】
本発明による発光ダイオードは上記高反射率物質層と上記n-電極全てと良く結合し合う物質から成り、上記高反射率物質層と上記n-電極間に介在した中間層をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
本発明において、上記中間層はNiから成ることを特徴とする。
【0020】
本発明において、上記中間層は約500Å以上の厚さを有し、好ましくは約1,000ないし4,000Åの厚さを有することを特徴とする。
【0021】
本発明による発光ダイオードは上記n-半導体層の残りの領域と上記高反射率物質層間に形成した伝導性酸化物層をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
本発明において、上記伝導性酸化物層はITO(Indium Tin Oxide)、CIO (Copper Indium Oxide)及びMIO (Magnesium Indium Oxide)を含む群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
【0023】
本発明において、上記n-半導体層の残りの領域は上面に垂直パターン処理(vertical patterning)を施すことを特徴とする。
【0024】
また、本発明において、上記サファイア基板は炭化珪素基板、酸化物基板及び炭化物基板を含む群から選択されたいずれか一つで代替することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましき実施例を添付の図を参照しながらより詳しく説明する。
【0026】
図2は本発明の第1実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【0027】
図2に示すように、本発明による発光効率が改善された発光ダイオード(10)は、例えばサファイア(Al2O3)から成る基板(12)、上記サファイア基板(12)上に成長させたn-GaN等のn-半導体層(14)、上記n-半導体層(14)の殆どを占める第1領域上に成長させた活性層(16)及び上記活性層(16)上に成長させたp-半導体層(18)を含む。上記n-半導体層(14)、活性層(16)及びp-半導体層(18)は有機化学気相蒸着(MOCVD)を通してエピタキシ成長させ、n-半導体(14)の第1領域を除く第2領域を露出させるようメサ構造でエッチングする。
【0028】
さらに、上記発光効率が改善された発光ダイオード(10)は上記p-半導体層(18)に形成したp-電極(20)を含む。上記p-電極(20)は活性層(18)から放出する光(L2)をサファイア基板(12)側へ反射させられるようできるだけp-GaN層(18)全体を覆うよう形成する。p-電極(20)には反射率の高いAg、Al、これらの合金またはこれらを含む高反射率多層合金を使用するか、他の適切な高反射率素材を使用することができる。
【0029】
一方、上記n-半導体層(14)の残りの第2領域には高反射率物質層(22)が形成され、上記高反射率物質層(22)上にはn-電極(24)が形成されている。
【0030】
上記高反射率物質層(22)は、Cu及びSiが含まれる高反射率物質の基材から成り、スパッタリングまたは電子ビーム工法により上記n-半導体層(14)の第2領域に蒸着させる。
【0031】
スパッタリング(sputtering)工法はスパッタリングガスを真空雰囲気のチャンバー内に注入し成膜させたいターゲット物質と衝突させてプラズマを生成した後、これを基板にコーティングする方法である。一般にスパッタリングガスにはArを始めた不活性ガスを使用する。
【0032】
その過程について簡単に説明すると、ターゲット側を陰極とし基板側を陽極として電源を印加すると、注入されたスパッタリングガスは陰極側から放出された電子と衝突して励起されAr+となり、陰極であるターゲット側へ引っ張られターゲットと衝突する。励起された各々のAr+はhνだけのエネルギーを有するので、衝突時エネルギーはターゲットに転移されターゲットを成している元素の結合力と電子の仕事関数(work function)を克服する時にターゲットからプラズマが放出される。発生したプラズマは電子の自由行程距離だけ浮上しターゲットと基板との距離が自由行程距離以下の場合プラズマは基板に成膜される。
【0033】
この際、印加された電源が直流である場合を直流スパッタリングといい、一般に伝導体のスパッタリングに用いる。絶縁体のような不導体は交流電源を使用して薄膜を製造し、通常13.56MHzの周波数を有する交流電源を使用するので、RF(Radio Frequency)スパッタリングという。
【0034】
電子ビーム工法は高真空(5x10-5ないし1x10-7torr)において電子ビームによりホルダーを加熱しホルダー上の金属を溶かして蒸留させ、その金属蒸気が比較的低温のウェーハ表面に凝縮されるようにするものである。電子ビーム工法はとりわけ半導体ウェーハの薄膜製造に主に用いられる。
【0035】
一方、適切な高反射率物質にはAg、Al、Pd、Rh及びこれらの合金があり、これらは単独または組合でスパッタリングまたは電子ビーム工法によりCu及びSiと共にn-半導体層(14)に蒸着させる。
【0036】
先述した高反射率物質はn-半導体層(14)上に蒸着させると自体の高反射率により優れた反射層を具現することができる。しかし、これらが単独で使用される場合にはヒルロック(Hill-Lock)や電子移動(electro-migration)が起こり高反射率物質層の安定性が低下しかねないので、これを防止するために適切な量のCuとSiを添加する。通常、Cuは蒸着した高反射率物質のヒルロックを防止し、Siは電子移動を防止する。
【0037】
ここで、上記高反射率物質層(22)に含まれるCuの含量は約0.2ないし0.8wt%で、Siの含量は約0.5ないし2wt%である。上記高反射率物質層(22)は好ましくは約0.6ないし0.7wt%のCu及び約0.9ないし1wt%のSiを含有する。
【0038】
このような構造の発光ダイオード(10)において、活性層(16)から光を放出すると、これらは大きく三つの経路で進行する。先ず、一部の光線(L1)は活性層(16)からn-半導体層(14)とサファイア基板(12)を通過して外部へ放射される。他方の一部光線(L2)はサファイア基板(12)とn-半導体層(14)間の界面で内部全反射した後p-電極(20)により反射し、再びp-半導体層(18)とn-半導体層(14)及びサファイア基板(12)を通過して外部へ放射される。もちろん、他方の一部の光線は活性層(16)から直接p-半導体層(18)を通してp-電極(20)に到達した後、p-電極(20)により反射され再び外部へ放射されるであろう。
【0039】
一方、一部光線(L3)はサファイア基板(12)とn-半導体層(14)間の界面で内部全反射してからn-電極(22)下部の高反射率物質層(22)に到達する。上記高反射率物質層(22)は先述したように高反射率を有するので、到達した光線(L3)を反射するようになる。したがって、従来の技術のCr/Auから成るn-電極とは異なって、n-電極(24)側での光吸収による光損失が発生しないので、発光ダイオード(10)の発光効率が大きく改善される。
【0040】
この際、上記高反射率物質層(22)は所望の機能を具現するために約300Å以上の厚さを有するようになる。好ましくは、高反射率物質層(22)は約1,000ないし2,000Åの厚さを有する。
【0041】
このように高反射率物質層(22)をn-電極(24)の下部に蒸着すると、従来にn-電極側で吸収されていた光を殆どのサファイア基板(12)側へ反射させることにより、発光ダイオード(10)の発光効率を約16%以上向上させられる。
【0042】
こうした効率の向上については本明細書において後述する。
【0043】
一方、上記n-半導体層(14)の第2領域、即ち高反射率物質層(22)の下部領域に上記高反射率物質層(22)を蒸着する前に垂直パターン処理(vertical patterning)を施すと、この部分での反射率をより改善することができる。
【0044】
また、本発明の発光ダイオード(10)を構成する上記サファイア基板(12)は炭化珪素(SiC)基板、酸化物基板及び炭化物基板を含む群から選択されたいずれか一つで代替することができる。
【0045】
図3は本発明の第2実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【0046】
図3によると、本発明の第2実施例による発光ダイオード(10-1)は図2に示した第1実施例の発光ダイオード(10)と全般的に類似した構造となる。即ち、本実施例の発光ダイオード(10-1)はサファイア基板(12)と、このサファイア基板(12)上にメサ構造で順次に形成した(n-GaN等の)n-半導体層(14)、活性層(16)、p-半導体層(18)及びp-電極(20)を含む。これらの構造及び形成方法は先述した第1実施例と実質的に同一である。
【0047】
上記n-導体層(14)の一部領域には高反射率物質層(22)、中間層(26)及びn-電極(24)が形成してある。この際、上記高反射率物質層(22)とn-電極(24)は先述した第1実施例のものと実質的に同一であるので、重複を避け説明は省略する。
【0048】
一方、上記中間層(26)は上記高反射率物質層(22)とn-電極(24)間の円滑な結合を確保するためのもので、好ましくはNiから成る。言い換えると、Ag、Al、Pd、Rh及びこれらの合金から成る高反射率物質層(22)は通常Auから成るn-電極(24)と良く結合し合わないので、高反射率物質層(22)の構成物質とn-電極(24)の構成物質全てと円滑に結合するNiから成る中間層(26)をこれらの間に介在させると高反射率物質層(22)の構成物質とn-電極(24)間に優れた結合を確保できる。
【0049】
ここで、上記中間層(26)は約500Å以上の厚さを有することが好ましく、より好ましくは約1,000ないし4,000Åの厚さを有する。
【0050】
先述した第2実施例の発光ダイオード(10-1)は第1実施例の発光ダイオード(10)と同一に優れた発光効率を出しながらも安定性と信頼性をより向上することができる。
【0051】
一方、第2実施例の発光ダイオード(10-1)においても第1実施例の発光ダイオード(10)と同様に、上記n-半導体層(14)の第2領域、即ち高反射率物質層(22)の下部領域を上記高反射率物質層(22)を蒸着する前に垂直パターン処理して反射率をより改善することができる。
【0052】
また、本発明の発光ダイオード(10-1)を構成する上記サファイア基板(12)は炭化珪素基板、酸化物基板及び炭化物基板を含む群から選択されたいずれか一つで代替することができる。
【0053】
図4は本発明の第3実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【0054】
図4によると、本発明の第3実施例による発光ダイオード(10-2)は図2に示した第1実施例の発光ダイオード(10)と全般的に類似した構造を有する。即ち、本実施例の発光ダイオード(10-2)はサファイア基板(12)と、このサファイア基板(12)上にメサ構造で順次に形成したn-半導体層(14)、活性層(16)、p-半導体層(18)及びp-電極(20)を含む。これらの構造及び形成方法は先述した第1実施例と実質的に同一である。
【0055】
上記n-半導体層(14)の一部領域には伝導性酸化物層(28)、高反射率物質層(22)及びn-電極(24)が形成してある。この際、上記高反射率物質層(22)とn-電極(24)は先述した第1実施例のものと実質的に同一なので、重複を避け説明を省く。
【0056】
上記伝導性酸化物層(28)はITO(Indium Tin Oxide)、CIO (Copper Indium Oxide)及びMIO (Magnesium Indium Oxide)を含む群から選択された少なくとも一つから成る。このように形成した伝導性酸化物層(28)はn-半導体層(14)と高反射率物質層(22)間の吸着を促し高反射率物質層(22)でのヒルロック及び電子移動を防止することにより、発光ダイオード(10-2)の発光能の安定性と信頼性を改善することができる。
【0057】
本実施例の発光ダイオード(10-2)は先述した第2実施例の中間層(26)をさらに含むことができる。即ち、Niのような素材から成る中間層(26)を高反射率物質層(22)とn-電極(24)の間にさらに介在させると、発光ダイオード(10-2)の安定性と信頼性をより改善することができる。
【0058】
一方、本実施例の発光ダイオード(10-2)においても第1実施例の発光ダイオード(10)と同様に、上記n-半導体層(14)の第2領域、即ち伝導性酸化物層(28)の下部領域を上記伝導性酸化物層(28)を形成する前に垂直パターン処理して反射率をより改善することができる。
【0059】
また、本発明の発光ダイオード(10-2)を構成する上記サファイア基板(12)は炭化珪素基板、酸化物基板及び炭化物基板を含む群から選択されたいずれか一つで代替することができる。
【0060】
図5は本発明が適用される一形態の発光ダイオードの平面図で、図6は本発明が適用される他形態の発光ダイオードを示す平面図である。
【0061】
図5に示した発光ダイオード(10A)形態は通常使用するフリップチップタイプであって、n-電極(24)を全体発光ダイオード(10A)の一隅に形成し、残りの領域にp-電極(20)を形成した形態である。したがって、本発明によりn-電極(24)に該当する領域の反射率を改善すると、全体発光ダイオード(10A)の反射率が改善されることが分かる。
【0062】
図6に示した発光ダイオード(10B)は、n-電極が発光ダイオード(10B)の一隅に形成した接点(24a)と全縁端に沿ってp-電極(24)周囲に形成したフィンガー(24b)とで成る形態である。このような構成はp/n-電極間の電流集中(current crowding)を改善するためのものであって、この構成に本発明の発光ダイオードを適用すると発光効率をより改善することができる。
【0063】
図7は本発明と従来の技術による発光ダイオードの発光効率を比較したグラフである。
【0064】
本発明による発光ダイオードは320×300のチップサイズと図3の第2実施例の構造及び図5の平面形状を有するものを選択した。ここで、高反射率物質層はAl基材にCuとSiを夫々1wt%と0.5wt%含有し、厚さは2,000Åであった。中間層は2,000Å厚さのNi層を用い、n-電極は4,000ÅのAu層を用いた。
【0065】
一方、従来の技術の発光ダイオードは320×300のチップサイズを有し、n-電極は夫々300Å/4,000Å厚さのCr/Au層を用いた。
【0066】
このような本発明の発光ダイオード(Al/Ni/Au)と従来の発光ダイオード(Cr/Au)の光度試験を行った結果、図7のような結果を得た。本発明の発光ダイオード(Al/Ni/Au)は従来の発光ダイオード(Cr/Au)より光度が優れるばかりでなく、電流の強度が増加するほどその高度差が増加することが分かる。
【0067】
例えば、20mAの電流を印加した地点(P1)から発光ダイオード(Al/Ni/Au)は37.12mWの光度を有するが、これはこの地点(P1)で32.02mWを有する従来の発光ダイオード(Cr/Au)より16%ほど優れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
先述したような本発明によると、n-電極と下部のn-半導体層の一部領域間に高反射率物質層を形成し、到達する光線を基板側へ反射することにより発光ダイオードの発光効率を大幅に改善することができる。
【0069】
また、上記高反射率物質層にCu及びSiを添加することにより高反射率物質層の安定性を向上させ、それにより発光ダイオードの安定性と信頼性を改善することができる。
【0070】
さらに、上記高反射率物質層とn-電極間にNi等から成る中間層を形成することにより、高反射率物質層とn-電極間の結合を改善することにより発光ダイオードの安定性と信頼性を改善することができる。
【0071】
上記においては本発明の好ましき実施例を参照しながら説明したが、該当技術分野において通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内において本発明を多様に修正及び変更できることに想到するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来の技術による発光ダイオードのn-電極での光損失を説明する断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【図3】本発明の第2実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【図4】本発明の第3実施例による発光ダイオードのn-電極での反射を説明する断面図である。
【図5】本発明が適用される一形態の発光ダイオードの平面図である。
【図6】本発明が適用される他形態の発光ダイオードを示す平面図である。
【図7】本発明と従来の技術による発光ダイオードの発光効率を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0073】
12 基板
14 n-半導体層
16 活性層
18 p-半導体層
20 p-電極
22 高反射率物質層
24 n-電極
26 中間層
28 伝導性酸化物層
L 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア基板;
上記サファイア基板上に成長させたn-半導体層;
上記n-半導体層の殆どの領域上に成長させた活性層;
上記活性層上に成長させたp-半導体層;
上記p-半導体層上に形成したp-電極;
上記n-半導体層の残りの領域上に蒸着させ、Cu及びSiが含まれる高反射率物質層;及び
上記高反射率物質層上に形成したn-電極を含む発光ダイオード。
【請求項2】
上記高反射率物質層はAg、Al、Pd、Rh及びこれらの合金を含む群から選択された少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
上記高反射率物質層は約0.2ないし0.8wt%のCu及び約0.5ないし2wt%のSiを含有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
上記高反射率物質層は約0.5ないし0.7wt%のCu及び約0.9ないし1wt%のSiを含有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
上記高反射率物質層はスパッタリングまたは電子ビーム工程により蒸着することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
上記高反射率物質層は約300Å以上の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
上記高反射率物質層は約1,000ないし2,000Åの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
上記高反射率物質層と上記n-電極全てと良く結合し合う物質から成り、上記高反射率物質層と上記n-電極間に介在した中間層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
上記中間層はNiから成ることを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
上記中間層は約500Å以上の厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
上記中間層は約1,000ないし4,000Åの厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
上記n-半導体層の残りの領域と上記高反射率物質層間に形成した伝導性酸化物層をさらに含むことを特徴とする請求項1または8に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
上記伝導性酸化物層はITO(Indium Tin Oxide)、CIO (Copper Indium Oxide)及びMIO (Magnesium Indium Oxide)を含む群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項12に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
上記n-半導体層の残りの領域は上面に垂直パターン処理(vertical patterning)を施すことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
上記サファイア基板は炭化珪素基板、酸化物基板及び炭化物基板を含む群から選択されたいずれかで代替することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−80475(P2006−80475A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359237(P2004−359237)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】