説明

発光素子、発光素子製造方法、露光ヘッド及び画像形成装置

【課題】発光素子の素子寿命を長寿命化することを課題とする。
【解決手段】陽極71は、発光層72よりも熱伝導率が高い熱伝導率部材の一例としての高熱伝導部71Aと、高熱伝導部71Aよりも熱伝導率が低い低熱伝導部71Bとを有する。高熱伝導部71Aは、平面視において、発光層72の発光領域Rの中心部に重なる位置に形成され、低熱伝導部71Bは、高熱伝導部71Aの周縁部に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、発光素子製造方法、露光ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子を形成する基板と封止材とに、熱伝導率の良い部材を接触させることにより、素子の発熱を抑制する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、有機EL素子を用いたラインヘッドにおいて、有機EL素子の主走査方向のサイズと画素ピッチを規定することにより、素子の放熱性と必要光量のバランスを取る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−247902号公報
【特許文献2】特開2007−258688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発光素子の素子寿命を長寿命化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発光素子は、陽極と、前記陽極と対をなす陰極と、前記陰極と前記陽極との間に配置され、前記陰極と前記陽極との間に電圧が印加されることにより発光する発光層と、平面視にて前記発光層の発光領域の中心部に重なる位置に配置され、前記発光層より熱伝導率が高い熱伝導率部材と、を備える。
【0007】
本発明の請求項2に係る発光素子は、陽極と、前記陽極と対をなす陰極と、前記陰極と前記陽極との間に配置され、前記陰極と前記陽極との間に電圧が印加されることにより発光する発光層と、平面視にて前記発光層の発光領域のうち発熱量が最も大きい絶頂部に重なる位置に配置され、前記発光層より熱伝導率が高い熱伝導率部材と、を備える。
【0008】
本発明の請求項3に係る発光素子は、請求項1又は請求項2の構成において、前記熱伝導率部材と前記発光層との熱伝導率の比が、2以上1000以下である。
【0009】
本発明の請求項4に係る発光素子は、請求項1〜3のいずれか1項の構成において、前記陽極は、前記熱伝導率部材で形成された熱伝導率部を有する。
【0010】
本発明の請求項5に係る発光素子は、請求項4の構成において、前記陽極の熱伝導率部と前記陽極の熱伝導率部以外の部分との熱伝導率の比が、2以上1000以下である。
【0011】
本発明の請求項6に係る発光素子は、請求項1〜5のいずれか1項の構成において、前記熱伝導率部材は、カーボンナノチューブ添加のITOである。
【0012】
本発明の請求項7に係る発光素子は、請求項1〜6のいずれか1項の構成において、
前記発光層は、有機ELにより発光する。
【0013】
本発明の請求項8に係る発光素子製造方法は、下記(1)〜(7)の順の工程からなる発光素子製造方法
(1)基板上に反射層を形成する工程
(2)前記反射層上の中央部に熱伝導率部材を形成する工程
(3)前記反射層上にITO溶液をスピンコートにて塗布し、そのITOの表面を平坦化する工程
(4)前記ITOを乾燥焼成後、フォトリソエッチングによりパターニングして陽極を形成する工程
(5)前記陽極上に正孔注入層、発光層を形成する工程
(6)前記発光層上に陰極を形成する工程
(7)前記陰極上に封止層を形成する工程。
【0014】
本発明の請求項9に係る発光素子製造方法は、下記(1)〜(7)の順の工程からなる発光素子製造方法
(1)基板上の中央部に熱伝導率部材を形成する工程
(2)前記基板上にITO溶液をスピンコートにて塗布し、そのITOの表面を平坦化する工程
(3)前記ITOを乾燥焼成後、フォトリソエッチングによりパターニングして陽極を形成する工程
(4)前記陽極上に正孔注入層、発光層を形成する工程
(5)前記発光層上に陰極を形成する工程
(6)前記陰極上に反射層を形成する工程
(7)前記陰極上に封止層を形成する工程
本発明の請求項10に係る露光ヘッドは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光素子と、前記発光素子により生成された光を集光し、被照射面に結像する結像素子と、を備える。
【0015】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項10に記載の露光ヘッドと、前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の構成によれば、熱伝導率部材を有さない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0017】
本発明の請求項2の構成によれば、熱伝導率部材を有さない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0018】
本発明の請求項3の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0019】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0020】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0021】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0022】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0023】
本発明の請求項8の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0024】
本発明の請求項9の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、素子寿命を長寿命化できる。
【0025】
本発明の請求項10の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、露光ヘッドの寿命を長寿命化できる。
【0026】
本発明の請求項11の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、画像形成装置の寿命を長寿命化できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る露光ヘッドからの発光光が感光体ドラムに結像される状態を模式的に示した模式図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略平面図である。
【図5】図5は、トップエミッション型の有機EL素子の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、発光領域の中心位置を説明するための説明図である。
【図7】図7は、発光領域の中心位置を説明するための説明図である。
【図8】図8は、トップエミッション型の有機EL素子の製造工程を示す概略図である。
【図9】図9は、トップエミッション型の有機EL素子と比較例の有機EL素子の発熱プロファイルを示す概略図である。
【図10】図10は、トップエミッション型の有機EL素子と比較例の有機EL素子の発光輝度・光量の経時的な変化を示すグラフである。
【図11】図11は、トップエミッション型の有機EL素子の変形例を示す概略図である。
【図12】図12は、ボトムエミッション型の有機EL素子の構成を示す概略図である。
【図13】図13は、ボトムエミッション型の有機EL素子の製造工程を示す概略図である。
【図14】図14は、ボトムエミッション型の有機EL素子の変形例を示す概略図である。
【図15】図15は、有機EL素子を表示装置に適用した例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0029】
画像形成装置10は、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成部14によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部(図示省略)と、を備えている。
【0030】
画像形成部14は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール26と、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール28と、を備えている。
【0031】
画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、表面に静電潜像が形成される像保持体として、一方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30をそれぞれ有している。
【0032】
各感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、感光体ドラム30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体ドラム30の表面を露光して感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する露光装置としての露光ヘッド34と、感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置36と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体ドラム30の表面に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0033】
中間転写ベルト24は、二次転写ロール28に対向する対向ロール42、駆動ロール44及び支持ロール46によって支持され、感光体ドラム30と接触しながら一方向(図1において反時計回り方向)へ循環移動するようになっている。
【0034】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで、感光体ドラム30に対向している。一次転写ロール26と感光体ドラム30との間には、感光体ドラム30上のトナー画像が中間転写ベルト24に一次転写される一次転写位置が形成される。この一次転写位置において、一次転写ロール26が感光体ドラム30の表面のトナー画像を圧接力と静電力により中間転写ベルト24に転写するようになっている。
【0035】
二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで対向ロール42と対向している。二次転写ロール28と対向ロール42との間には、中間転写ベルト24上のトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。
【0036】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ挟持搬送する搬送ロール対52と、を備えている。
【0037】
定着装置18は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0038】
二次転写位置より搬送方向下流側であって、定着装置18よりも搬送方向上流側には、定着装置18に記録媒体Pを搬送する搬送部材の一例としての搬送ベルト54が配置されている。
【0039】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置10では、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対52によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0040】
一方、中間転写ベルト24には、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、カラー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト24上に形成されたカラー画像が転写される。
【0041】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、記録媒体排出部(図示省略)へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0042】
なお、画像形成装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像形成装置でもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0043】
(露光ヘッドの構成)
次に、露光ヘッドの構成を説明する。図2、図3及び図4は、本実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略図である。
【0044】
各露光ヘッド34は、図2及び図3に示すように、主走査方向Xに長尺状に形成された基板60と、発光素子アレイの一例としての有機EL(エレクトロルミネッセント)素子アレイ62と、有機EL素子アレイ62により生成された光を集光し、被照射面たる感光体ドラム30の表面に結像する結像素子アレイの一例としてのセルフォックレンズアレイ64と、を備えている
基板60は、絶縁性を有する基板で形成され、例えば、ガラス基板や樹脂基板で構成されている。
【0045】
有機EL素子アレイ62は、発光素子の一例としての有機EL素子70を有している。有機EL素子70は、画素数(ドット数)に応じて、図4に示すように、基板60に主走査方向Xへ沿って複数配列されている。
【0046】
有機EL素子70は、後述の陰極73及び陽極71が、図4に示すように、それぞれ帯状に形成されており、陰極73及び陽極71が重なる交差部に発光領域Rが形成される。陽極71は発光領域R毎に分割されており、発光領域Rに流れる電流は個別に制御される。陰極73は全ての発光領域Rに対して共通に形成されている。
【0047】
また、基板60には、有機EL素子70を駆動する駆動回路の一例としてのドライバIC66が複数設けられている。ドライバIC66は、複数の有機EL素子70を個別に駆動するようになっている。
【0048】
セルフォックレンズアレイ64は、結像素子の一例としてのロッドレンズ64Aが複数配列されて構成されており、複数の有機EL素子70の光射出側に配置されている。
【0049】
セルフォックレンズアレイ64では、1ドットに対して複数のロッドレンズ64Aで正立等倍結像するように、各ロッドレンズ64Aが2次元状に配列されている。従って、各有機EL素子70からの発光光は、対応する複数のセルフォックレンズアレイ64を介して感光体ドラム30の表面に結像される。このように、有機EL素子70からの発光光によって、感光体ドラム30が露光されて潜像が形成される。
【0050】
なお、有機EL素子70に組み合わせる光学レンズとしては、セルフォックレンズアレイ64に限られず、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。また、個々の有機EL素子70上にマイクロレンズを接合しても良い。
【0051】
(有機EL素子70の構成)
次に、有機EL素子70の構成を説明する。
【0052】
有機EL素子70の構成としては、後述の発光層72から発生する光を基板60側から取り出すボトムエミッション型の有機EL素子70Aと、後述の発光層72から発生する光を基板60とは反対側から取り出すトップエミッション型の有機EL素子70Bとがある。
【0053】
以下に、トップエミッション型の有機EL素子70Aと、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bとの構成について説明する。
【0054】
なお、発光素子としては、有機EL素子に限られず、無機物を用いた無機EL素子であってもよい。
【0055】
(トップエミッション型の有機EL素子70A)
まず、トップエミッション型の有機EL素子70Aについて説明する。図5は、トップエミッション型の有機EL素子70Aの構成を示す概略図である。
【0056】
有機EL素子70Aは、図5(B)に示すように、陽極71と、陽極71と対をなす陰極73と、陽極71と陰極73との間に配置された発光層72と、反射層74と、正孔注入層76と、封止層75とを備えている。
【0057】
陽極71、陰極73、発光層72、反射層74、正孔注入層76及び封止層75は、反射層74、陽極71、正孔注入層76、発光層72、陰極73、封止層75の順で、基板60に積層されている。
【0058】
反射層74は、基板60表面に形成されている。反射層74は、発光層72からの光を発光層72側に反射する。反射層74には、例えば、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどが用いられている。なお、反射層74の材料としては、上記に限られるものではない。また、反射層74の厚さは、例えば、150nmとされる。なお、反射層74の厚さは、これに限られるものではない。
【0059】
正孔注入層76は、陰極73と陽極71との間に電圧が印加されることにより、陽極71側から正孔が注入される。正孔注入層76には、例えば、フタロシアニン類(CuPcなどを含む)またはインダンスレン系化合物などの低分子材料、MTDATA(4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、ポリアニリン、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)等の高分子材料等が用いられる。なお、正孔注入層76の材料としては、上記に限られるものでない。また、正孔注入層76の厚さは、例えば、30nmとされる。なお、正孔注入層76の厚さは、これに限られるものではない。
【0060】
発光層72には、陰極73と陽極71との間に電圧が印加されることにより、陰極73側から電子が注入される。また、発光層72には、正孔注入層76に注入された正孔が移動し、この正孔と電子とが発光層72で結合することにより、発光層72が発光する。
【0061】
発光層72としては、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、又はオキサジアゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又はポリアセチレン誘導体等が挙げられる。なお、発光層72の材料としては、上記に限られるものでない。また、発光層72の厚さは、例えば、50nmとされる。なお、発光層72の厚さは、これに限られるものではない。
【0062】
陰極73は、光を透過する透過性を有しており、発光層72から発生する光を基板60とは反対側から取り出すことを許容する。陰極73は、波長400〜900nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上の透過率を有することが望ましい。
【0063】
本実施形態では、陰極73は、第1層73Xと第2層73Yとを備えている。第1層73Xは、発光層72側に配置されており、例えば、Caで構成されている。第2層73Yは、発光層72とは反対側に配置されており、例えば、Alで構成されている。また、第1層73Xの厚さは、例えば、20nmとされ、第2層73Yの厚さは、例えば、数十nmとされる。なお、第1層73X及び第2層73Yの厚さは、これに限られるものではない。
【0064】
また、陰極73は一層で構成されていてもよい。また、陰極73の材料は、上記の限られるものではなく、例えば、SnO2、In2O3、ITO、IZO:Alなどの導電性金属酸化物を用いてもよい。また、陰極73と発光層72との間には、電子注入効率を高めるための電子注入層を配置しても良い。
【0065】
陽極71は、発光層72よりも熱伝導率が高い熱伝導率部材の一例としての高熱伝導部71Aと、高熱伝導部71Aよりも熱伝導率が低い低熱伝導部71Bとを有している。
【0066】
高熱伝導部71Aは、図5(A)に示すように、平面視において、発光層72の発光領域Rの中心部に重なる位置に形成され、低熱伝導部71Bは、高熱伝導部71Aの周縁部に形成されている。
【0067】
発光領域Rとは、発光層72が発光する平面視における領域をいい、例えば、発光層72のうち陽極71及び陰極73のいずれかが形成されず発光しない領域は除かれる。
【0068】
発光領域Rの中心部とは、周囲を周縁部で囲まれた領域(発光領域Rの外縁に接触しない領域)であって、発光領域Rの中心位置を含む領域である。また、発光領域Rの任意の形状に対し、その重心位置をその形状の中心位置とする。
【0069】
三角形の重心位置Gは、図6(A)に示すように、3中線の交点又は中央の底辺から1/3の高さである。平行四辺形(長方形・正方形を含む)の重心位置Gは、図6(B)に示すように、対角線の交点である。台形の重心位置Gは、図6(C)に示すように、台形を2つの三角形(三角形ACB・三角形ADC)に分け、その重心を結ぶ直線EFとAD、BCの中点を結ぶ直線MNとの交点である。
【0070】
円及び楕円の重心位置Gは、図7(A)に示すように、その円又は楕円に外接する正方形又は長方形の重心位置である。また、図7(B)に示すような半円筒形のように、対象形状の外に重心がある場合は、以下のように、高熱伝導部71Aを配置する。すなわち、対象部材の概略中心を通るような中心線を中心部として規定し、この中心線に一致するように高熱伝導部71Aを配置する。高熱伝導部71Aの幅は、対象部材の幅方向に略1/2以下になるように設定される。
【0071】
上記のように、高熱伝導部71Aを発光領域Rの中心部に配置するのは、発熱分布を解析した結果、中心部が、発熱量が最も大きい絶頂部(ピーク)に相当するためである。
【0072】
従って、高熱伝導部71Aは、発光領域Rの中心部に配置するという思想ではなく、発熱量が最も大きい絶頂部に配置する構成をとってもよい。この場合においては、発光領域Rの発熱量を測定して、発熱量が最も大きい絶頂部を特定し、その絶頂部を含む領域であって、平面視における発光領域Rの一部領域に、高熱伝導部71Aを配置するようにしても良い。
【0073】
低熱伝導部71Bには、例えば、ITO(熱伝導率8.18(W/m/K))が用いられる。高熱伝導部71Aには、例えば、Au(熱伝導率315(W/m/K))、Pt(熱伝導率71.6(W/m/K))、Ag(熱伝導率420(W/m/K))が用いられる。
【0074】
イオン化ポテンシャルは、ITOが4.7eV、Auが5.0eVであり、AuはITOと近いので使いやすい。なお、他の材料のイオン化ポテンシャルは、Ptが5.0〜5.7eVであり、Agが4.3eVである。
【0075】
高熱伝導部71Aとしては、カーボンナノチューブ添加のITOを用いてもよい。カーボンナノチューブ熱伝導率は、3000〜5500 (W/m/K)である。ITOにカーボンナノチューブ1wt%から10wt%添加することにより、熱伝導性を高められる。
【0076】
また、高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比が、2以上1000以下であることが望ましい。高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比が、2未満であると放熱が不十分であり、高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比の上限は材料物性の点から1000となるためである。
【0077】
また、高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比が、2以上1000以下であることが望ましい。高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比が、2未満であると、放熱が不十分でありであり、高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比の上限は材料物性の点から1000となるためである。
【0078】
陽極71の厚さは、例えば、100nmとされる。なお、陽極71の厚さは、これに限られるものではない。
【0079】
平面視における発光層72の発光領域R(素子全体の面積)S1とし、高熱伝導部71A(熱伝導部材面積)をS2としたとき、S2/S1=1.1以上400以下であることが好ましく、さらに2以上25以下であることが好ましい。
【0080】
なお、素子の幅Wは、露光ヘッド34の解像度によるが600dpi時で、20um程度、1200dpi時で10um程度である。
【0081】
(トップエミッション型の有機EL素子70Aの製造方法)
次に、トップエミッション型の有機EL素子70Aの製造方法の一例について説明する。図8は、トップエミッション型の有機EL素子70Aの製造方法を説明するための図である。トップエミッション型の有機EL素子70Aの製造方法は、下記に限られず、種々の方法を用いることが可能である。
【0082】
まず、図8(A)に示すように、基板60上に、反射層74としてのAl膜を蒸着(スパッタ)により形成し、その形成されたAl膜をフォトリソエッチングによりパターニングする。
【0083】
次に、図8(B)に示すように、高熱伝導部71AとしてのAu(又はカーボンナノチューブ添加のITO)のアイランド電極をインクジェットで形成する。なお、印刷、スピンコートにて形成した後に、フォトリソエッチングにより、予め定められたサイズにパターニングしてもよい。
【0084】
次に、図8(C)に示すように、低熱伝導部71BとしてのITOをスピンコートにて塗布し、ITO溶液をAu電極以外に良くレベリングさせた後、乾燥焼成してフォトリソエッチングによりパターニングする。スピンコートの塗布特性として、突起物は平坦化される。なお、突起物の平坦化には、スピンコートの他にスプレーコートも適しており、この方法を用いても構わない。
【0085】
次に、図8(D)に示すように、正孔注入層76、発光層72をインクジェット、スピンコート、印刷等により順次形成する。
【0086】
次に、陰極73としてのCa、Al(又はITO)を蒸着(ITOの場合はスパッタリング)により形成し、最後に封止層75としてスライドガラスを接着材にて最上層に貼り付ける。
【0087】
(トップエミッション型の有機EL素子70Aの評価)
次に、トップエミッション型の有機EL素子70Aの評価について説明する。
【0088】
この評価では、トップエミッション型の有機EL素子70Aと、有機EL素子70Aにおける陽極71が高熱伝導部71Aと同材料で形成された比較例の有機EL素子とを比較評価した。これらに対して、発熱プロファイル(発熱分布)と、発光輝度・光量の経時的な変化とを評価した。
【0089】
この結果、比較例の有機EL素子は、図9の点線で示すように、その中心部を頂点とする急峻なプロファイルを形成するのに対して、有機EL素子70Aは、図9の実線で示すように、比較例の有機EL素子に比べ、フラットな平均化されたプロファイルを形成する。
【0090】
また、比較例の有機EL素子は、図10の点線で示すように、時間経過とともに、光量及び発光輝度が急激に低下するのに対して、有機EL素子70Aは、図10の実線で示すように、比較例の有機EL素子に比べ、光量及び発光輝度の低下が遅くなる。
【0091】
以上のことから、有機EL素子70Aによれば、素子の劣化特性を素子面内で均一化することがわかった。
【0092】
なお、図11(B)に示すように、陰極73は、陽極71と同様に、発光層72よりも熱伝導率が高い熱伝導率部材の一例としての高熱伝導部73Aと、高熱伝導部73Aよりも熱伝導率が低い低熱伝導部73Bとを有する構成であってもよい。
【0093】
高熱伝導部73Aは、図11(A)に示すように、平面視において、発光層72の発光領域Rの中心部に重なる位置に形成され、低熱伝導部73Bは、高熱伝導部73Aの周縁部に形成されている。なお、発光領域Rの中心部の定義は、上述の通りである。
【0094】
低熱伝導部73Bには、例えば、ITO(熱伝導率8.18(W/m/K))が用いられる。高熱伝導部73Aとしては、例えば、カーボンナノチューブ添加のITOが用いられる。
【0095】
また、上記の有機EL素子70Aでは、陽極71の一部が熱伝導率部材とされ、熱伝導率部材は陽極71の一部を兼ねる構成であったが、熱伝導率部材としては、陽極71とは別体で構成されていてもよい。
【0096】
なお、上記の有機EL素子70Aのように、熱伝導率部材が陽極71の一部を兼ねる構成では、陽極71とは別体の熱伝導率部材を基板60と発光層72との間に配置する構成に比べ、発光層72と基板60との距離が短くなる。また、陽極71とは別体の熱伝導率部材を発光層72と陽極71との間に配置する構成に比べて、熱伝導率部材と基板60との距離が短くなる。
【0097】
(ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの構成)
次に、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの構成を説明する。図12は、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの構成を示す概略図である。
【0098】
有機EL素子70Bは、図5(B)に示すように、有機EL素子70Aと同様に、陽極71と、陽極71と対をなす陰極73と、陽極71と陰極73との間に配置された発光層72と、反射層74と、正孔注入層76と、封止層75とを備えている。
【0099】
陽極71、陰極73、発光層72、反射層74、正孔注入層76及び封止層75は、陽極71、正孔注入層76、発光層72、陰極73、反射層74、封止層75の順で、基板60に積層されている。
【0100】
正孔注入層76及び発光層72の構成は、有機EL素子70Aと同様であるので、省略する。
【0101】
有機EL素子70Bでは、発光層72から発生した光を基板60側から取り出すため、陰極73は、光を透過する透過性を有している必要性はない。本実施形態では、陰極73は、一層で構成されている。陰極73は、例えば、Caで構成されている。陰極73の厚さは、例えば、30nmとされる。なお、陰極73の厚さは、これに限られるものではない。
【0102】
また、陰極73は複数層で構成されていてもよい。また、陰極73の材料は、上記の限られるものではなく、例えば、SnO2、In2O3、ITO、IZO:Alなどの導電性金属酸化物を用いてもよい。また、陰極73と発光層72との間には、電子注入効率を高めるための電子注入層を配置しても良い。
【0103】
反射層74は、陰極73表面に形成されている。反射層74は、発光層72からの光を発光層72側に反射する。反射層74には、例えば、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどが用いられている。なお、反射層74の材料としては、上記に限られるものではない。また、反射層74の厚さは、例えば、150nmとされる。なお、反射層74の厚さは、これに限られるものではない。
【0104】

陽極71は、発光層72よりも熱伝導率が高い熱伝導率部材の一例としての高熱伝導部71Aと、高熱伝導部71Aよりも熱伝導率が低い低熱伝導部71Bとを有している。
【0105】
高熱伝導部71Aは、図12(A)に示すように、平面視において、発光層72の発光領域Rの中心部に重なる位置に形成され、低熱伝導部71Bは、高熱伝導部71Aの周縁部に形成されている。なお、発光領域Rの中心部の定義は、上述の通りである。
【0106】
上記のように、高熱伝導部71Aを発光領域Rの中心部に配置するのは、発熱分布を解析した結果、中心部が、発熱量が最も大きい絶頂部(ピーク)に相当するためである。
【0107】
従って、高熱伝導部71Aは、発光領域Rの中心部に配置するという思想ではなく、発熱量が最も大きい絶頂部に配置する構成をとってもよい。この場合においては、発光領域Rの発熱量を測定して、発熱量が最も大きい絶頂部を特定し、その絶頂部を含む領域であって、平面視における発光領域Rの一部領域に、高熱伝導部71Aを配置するようにしても良い。
【0108】
低熱伝導部71Bには、例えば、ITO(熱伝導率8.18(W/m/K))が用いられる。高熱伝導部71Aには、例えば、Au(熱伝導率315(W/m/K))、Pt(熱伝導率71.6(W/m/K))、Ag(熱伝導率420(W/m/K))が用いられる。
【0109】
イオン化ポテンシャルは、ITOが4.7eV、Auが5.0eVであり、AuはITOと近いので使いやすい。なお、他の材料のイオン化ポテンシャルは、Ptが5.0〜5.7eVであり、Agが4.3eVである。
【0110】
高熱伝導部71Aとしては、カーボンナノチューブ添加のITOを用いてもよい。カーボンナノチューブ熱伝導率は、3000〜5500 (W/m/K)である。ITOにカーボンナノチューブ1wt%から10wt%添加することにより、熱伝導性を高められる。
【0111】
また、高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比が、2以上1000以下であることが望ましい。高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比が、2未満であると、放熱が不十分であり、高熱伝導部71Aと低熱伝導部71Bとの熱伝導率の比の上限は、材料物性の点から1000となるためである。
【0112】
また、高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比が、2以上1000以下であることが望ましい。高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比が、2未満であると、放熱が不十分であり、高熱伝導部71Aと発光層72との熱伝導率の比の上限は、材料物性の点から1000となるためである。
【0113】
陽極71の厚さは、例えば、100nmとされる。なお、陽極71の厚さは、これに限られるものではない。
【0114】
平面視における発光層72の発光領域R(素子全体の面積)S1とし、高熱伝導部71A(熱伝導部材面積)をS2としたとき、S2/S1=1.1以上400以下であることが好ましく、さらに2以上25以下であることが好ましい。
【0115】
なお、素子の幅Wは、露光ヘッド34の解像度によるが600dpi時で、20um程度、1200dpi時で10um程度である。
【0116】
(ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの製造方法)
次に、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの製造方法の一例について説明する。図13は、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの製造方法を説明するための図である。ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの製造方法は、下記に限られず、種々の方法を用いることが可能である。
【0117】
まず、図13(A)に示すように、基板60上に高熱伝導部71AとしてのAu(又はカーボンナノチューブ添加のITO)のアイランド電極をインクジェットで形成する。なお、印刷、スピンコートにて形成した後に、フォトリソエッチングにより、予め定められたサイズにパターニングしてもよい。
【0118】
次に、図13(B)に示すように、低熱伝導部71BとしてのITOをスピンコートにて塗布し、ITO溶液をAu電極以外に良くレベリングさせた後、乾燥焼成してフォトリソエッチングによりパターニングする。スピンコートの塗布特性として、突起物は平坦化される。なお、突起物の平坦化には、スピンコートの他にスプレーコートも適しており、この方法を用いても構わない。
【0119】
次に、図13(C)に示すように、正孔注入層76、発光層72をインクジェット、スピンコート、印刷等により順次形成する。次に、陰極73としてのCa及び反射層74としてのAl膜を蒸着により形成する。最後に封止層75としてスライドガラスを接着材にて最上層に貼り付ける。
【0120】
(ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの評価)
次に、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bの評価について説明する。
【0121】
この評価では、トップムエミッション型の有機EL素子70Aの場合と同様に、ボトムエミッション型の有機EL素子70Bと、有機EL素子70Bにおける陽極71が高熱伝導部71Aと同材料で形成された比較例の有機EL素子とを比較評価した。これらに対して、発熱プロファイル(発熱分布)と、発光輝度・光量の経時的な変化とを評価した。
【0122】
この結果は、トップムエミッション型の有機EL素子70Aの場合と同様であり、比較例の有機EL素子は、図9の点線で示すように、その中心部を頂点とする急峻なプロファイルを形成するのに対して、有機EL素子70Bは、図9の実線で示すように、比較例の有機EL素子に比べ、フラットな平均化されたプロファイルを形成する。
【0123】
また、比較例の有機EL素子は、図10の点線で示すように、時間経過とともに、光量及び発光輝度が急激に低下するのに対して、有機EL素子70Bは、図10の実線で示すように、比較例の有機EL素子に比べ、光量及び発光輝度の低下が遅くなる。
【0124】
以上のことから、有機EL素子70Bによれば、素子の劣化特性を素子面内で均一化することがわかった。
【0125】
なお、図14に示すように、陰極73は、陽極71と同様に、発光層72よりも熱伝導率が高い熱伝導率部材の一例としての高熱伝導部73Aと、高熱伝導部73Aよりも熱伝導率が低い低熱伝導部73Bとを有する構成であってもよい。
【0126】
高熱伝導部73Aは、平面視において、発光層72の発光領域Rの中心部に重なる位置に形成され、低熱伝導部73Bは、高熱伝導部73Aの周縁部に形成されている。なお、発光領域Rの中心部の定義は、上述の通りである。
【0127】
低熱伝導部73Bには、例えば、ITO(熱伝導率8.18(W/m/K))が用いられる。高熱伝導部73Aとしては、例えば、カーボンナノチューブ添加のITOが用いられる。
【0128】
また、上記の有機EL素子70Bでは、陽極71の一部が熱伝導率部材とされ、熱伝導率部材は陽極71の一部を兼ねる構成であったが、熱伝導率部材としては、陽極71とは別体で構成されていてもよい。
【0129】
なお、上記の有機EL素子70Bのように、熱伝導率部材が陽極71の一部を兼ねる構成では、陽極71とは別体の熱伝導率部材を基板60と発光層72との間に配置する構成に比べ、発光層72と基板60との距離が短くなる。また、陽極71とは別体の熱伝導率部材を発光層72と陽極71との間に配置する構成に比べて、熱伝導率部材と基板60との距離が短くなる。
【0130】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、発光部の別の構成として、陰極/電子輸送層/電子注入層/発光層/正孔注入層/正孔輸送層/陽極の層構造とってもよく、これらの種々の層の組合せにて発光部を形成しても構わない。また、図15に示すように、有機EL素子70を2次元状に配置して表示装置80を構成してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 画像形成装置
34 露光ヘッド
64A ロッドレンズ
70 有機EL素子
71A 高熱伝導部(熱伝導率部材)
71 陽極
72 発光層
73 陰極
73A 高熱伝導部(熱伝導率部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
前記陽極と対をなす陰極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置され、前記陰極と前記陽極との間に電圧が印加されることにより発光する発光層と、
平面視にて前記発光層の発光領域の中心部に重なる位置に配置され、前記発光層より熱伝導率が高い熱伝導率部材と、
を備える発光素子。
【請求項2】
陽極と、
前記陽極と対をなす陰極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置され、前記陰極と前記陽極との間に電圧が印加されることにより発光する発光層と、
平面視にて前記発光層の発光領域のうち発熱量が最も大きい絶頂部に重なる位置に配置され、前記発光層より熱伝導率が高い熱伝導率部材と、
を備える発光素子。
【請求項3】
前記熱伝導率部材と前記発光層との熱伝導率の比が、2以上1000以下である請求項1又は請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記陽極は、前記熱伝導率部材で形成された熱伝導率部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記陽極の熱伝導率部と前記陽極の熱伝導率部以外の部分との熱伝導率の比が、2以上1000以下である請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記熱伝導率部材は、カーボンナノチューブ添加のITOである請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記発光層は、有機ELにより発光する請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
下記(1)〜(7)の順の工程からなる発光素子製造方法
(1)基板上に反射層を形成する工程
(2)前記反射層上の中央部に熱伝導率部材を形成する工程
(3)前記反射層上にITO溶液をスピンコートにて塗布し、そのITOの表面を平坦化する工程
(4)前記ITOを乾燥焼成後、フォトリソエッチングによりパターニングして陽極を形成する工程
(5)前記陽極上に正孔注入層、発光層を形成する工程
(6)前記発光層上に陰極を形成する工程
(7)前記陰極上に封止層を形成する工程
【請求項9】
下記(1)〜(7)の順の工程からなる発光素子製造方法
(1)基板上の中央部に熱伝導率部材を形成する工程
(2)前記基板上にITO溶液をスピンコートにて塗布し、そのITOの表面を平坦化する工程
(3)前記ITOを乾燥焼成後、フォトリソエッチングによりパターニングして陽極を形成する工程
(4)前記陽極上に正孔注入層、発光層を形成する工程
(5)前記発光層上に陰極を形成する工程
(6)前記陰極上に反射層を形成する工程
(7)前記陰極上に封止層を形成する工程
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光素子と、
前記発光素子により生成された光を集光し、被照射面に結像する結像素子と、
を備える露光ヘッド。
【請求項11】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項10に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−192330(P2010−192330A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36991(P2009−36991)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】